林曉如は、ホテルのレストランでチーフを務める26歳の女の子。
今度のラスベガス旅行で、パイロットの恋人・任以翔からプロポーズされること間違いなし!
宋杰修は、30歳の有名インテリアデザイナー。
マスコミにバレぬようコッソリ交際を続けているモデルの唐艾薇に、遂にプロポーズをするつもり。
ところが、林曉如も宋杰修も、マサカの撃沈。 バーでそれぞれヤケ酒をあおっていたところ似た境遇の者同士で意気投合。 酔った勢いで結婚してしまう。
酔いが醒め、焦ったふたりは、即離婚手続きをしようとするが、モデルの唐艾薇から待ったがかかる。
この仮面夫婦をマスコミからの隠れ蓑に、宋杰修とこっそり交際を続けようと考えたのだ。
唐艾薇から懇願され、林曉如は100万元の報酬と引き換えに
宋杰修と3ヶ月限定の契約結婚をすることになるが…。

10月、全30話の放送を終了。
話が二転三転するジェットコースターストーリーでお馴染みの陳銘章(チェン・ミンチャン)。
数々のヒットドラマを世に送り出した陳銘章監督だが、本作品が放送開始される前の2010年10月、
当時手掛けていたドラマ『我和春天有個約会』を上海で撮影中、

陳銘章監督は、説明や謝罪が遅れたことで、大批判の的に。
一時期台湾では、ヒットメーカーから無責任男に転落したが
幸い日本での知名度は無いに等しいので、ドラマの放送にも支障ナシ。
★ 物語
パイロットの恋人・任以翔に第二の女が出現し失恋した林曉如、キャリアを優先するモデルの恋人・唐艾薇から結婚を拒まれた宋杰修。
赤の他人にも関わらず、フラれた者同士で意気投合し、
酔った勢いで結婚。

正気に戻って離婚しようとするが、この結婚を歓迎したのが、意外なことに宋杰修のモデルの恋人・唐艾薇。
宋杰修が表向き林曉如と夫婦でいてくれれば、マスコミの目を逃れ、彼と交際が続けられると考えたのだ。
期間3ヶ月、報酬100万元で契約結婚に同意した林曉如は、宋杰修との仮初めの結婚生活を始める。
そんなふたりが仮面夫婦から契約無期限のホンモノの夫婦になるまでを描く
ラヴコメディ。

愛も無いのに諸事情から契約結婚をした男女に真の愛が芽生え
幾多の困難を乗り越え、“嘘から出たまこと婚”に至るという物語の基礎は
陳銘章監督の『ハートに命中100%』と何ら変わりない。
男性主人公が女性主人公より社会的地位の高いお金持ちで
そんな彼に相応しい美人の恋人がいるのも同じ。
だが、その美人の恋人が、『ハートに命中』の美人恋人より利己的ななかなかの策士で
自分の恋人と第三者との契約結婚を積極的に勧めるのが異なる点 (→後に“自業自得”に陥る)。
他、大きな相違点は、本作品の場合、女性主人公が不憫なほどブスではない、という事か。
それなりに男性から好かれるいい子で、パイロット以外にも幼馴染みからも想いを寄せられる。
また、男性主人公、女性主人公どちらもが肉親と何らかの問題を抱えており
その解決がサイドストーリーとして描かれている。
★ キャスト

早いもので、“可愛教主”ももうアラサー。
成長した少女の口元に、もうフサフサのヒゲは無い (今となってはあの口ヒゲが懐かしい)。
一般的に、老け顔に比べ、カワイ子ちゃんタイプは劣化し易いものだが
短くばっさりカットしたワンレンでこのドラマに臨んだ楊丞琳は、上手い具合に年を重ね
キュートな大人の女へのシフトに成功。 衣装もジーンズにハイヒールを合わせるなど、オトナ系カジュアル。
偶像劇出まくりの楊丞琳は、毎回こうして髪型やファッションを変え、視聴者を飽きさせない努力を続けているが
今回はヴィジュアル面のみならず、相手役に珍しい人材をもってきたことで、また新たな化学反応が生じ
楊丞琳自身の隠れていた一面も引き出された気がする。

私が好きな“台湾の3人の張クン”のひとり、
サル顔の張孝全が、久し振りに偶像劇らしい偶像劇に登場。

毎週テレビの中の張孝全に会える嬉しさも有るが
彼は台湾では数少ない映画俳優を目指せる若手実力派だと信じているので
今さら自分を安売りし、偶像劇などに出て欲しくなかったという思いもあり、ちょっと複雑…。
でも、このドラマがヒットした後も、ドラマ一辺倒にならず、我が道を行ってくれているので、結果的にOKとする。
この度の張孝全、演技はノリの良い偶像劇仕様。 髪型は、茶髪の韓流スタイルなどにせず
いつものままの短髪だし、お召し物も台湾偶像劇にしてはさり気なく、垢抜けている。
シャツ+ニット+ジーンズ、といった素の張孝全に近いシックなカジュアルは好印象。
比較的着用頻度の高い衣装で、どーーーしても受け入れ難かったのが、コレ(↓)
この画面越しにも安っぽい青いジャケットを着ていると、なんだか家電量販店の店員のように見える。
人気デザイナーじゃない…。 電卓片手に、今にも「現金払いならポイント20%付きますヨ」とでも言いだしそう。

台湾は日本より“もろガイジン顔”の混血女優を好む傾向がある。
私は元々ガイジン顔女優が苦手なので、今回もついぞ許瑋の良さは分からなかった。
許瑋って、もたっとした下膨れで、
目が普通のアジア人以上に小さな地味顔なのに

色素だけ欧米人並みに薄いから、変な顔に見えるのではないだろうか。
阮經天(イーサン・ルアン)の女の趣味が分からない…。 性格美人なのかもね。

演技をしている白梓軒をこんなにたっぷり見たのは初めて。
最初はちょっとギコチなく感じたが、その内慣れた。 扮するのは、最終的に許瑋とくっつく香港明星役。
ハーフ同士の間に子供が生まれたら、血の比率は、その子もハーフよねぇ…?
もっとも許瑋は台湾+アメリカのハーフで、白梓軒は香港+イギリスのハーフなので
子供は台湾、香港、アメリカ、イギリスのクォーターか。
まぁ、このふたりが実際に付き合って子供を作ることはなさそうなので、考える必要も無い。
白梓軒出演作なら、
同志片『安非他命~Amphetamine』を観てみたい。 ゲイ役似合いそ~。

★ その他

ジノ・サルファティのシャンデリアをセレクトしたコダワリのお宅。
場所は、台北市松山區信義路6段112號という設定になっているが
台北の一等地にこのレベルの一軒家は、相当な稼ぎが有ったとしても、購入困難と思われる。
それもそのはず、ここは宜蘭。 卡幄汀休民宿 Kawoting B&Bというお宿で撮影。
日本人観光客でも、ちょっとお金を払えば、泊まり込み可能なロケ地。
◆◇◆ 卡幄汀休民宿 Kawoting B&B ◆◇◆
宜蘭縣 員山鄉 枕山村 坡城路 71-3號
近年、台湾偶像劇に数多くの小道具を提供しているドイツの名門モンブランが、本ドラマにも商品供給。
万年筆は勿論のこと、女性が身に付けるアクセサリー類から男性の腕時計まで
右を向いても左を見ても、どいつもこいつもモンブラン。 台湾偶像劇を観ていると
台湾が世界一モンブラン所持率の高い国に思えてくる。 今回、数あるアイテムの中で特に目立つのは…
杰修の腕にガッチリ付いている時計は、
Nicolas Rieussec(ニコラ・リューセック)コレクションの物。

指輪を失くしてしまった曉如に、杰修が改めて贈るのは、
Cabochon de Montblancシリーズのリング。

モンブランのシンボル、ホワイトスターをかたどりカボションカットにした半貴石をセッティングしたリング。
曉如は、色違いで数本を重ね付け。
モンブランではないけれど、曉如がほぼ全シーンで身に付けているピアスも注目アイテム。
髪を短くしたことで、以前より
耳のオシャレが目立つようになった。

ネットで“楊丞琳”と入力すると、勝手に“耳環(イヤリング)”と第2検索ワードが出てくる程
女子たちからの注目度は高い。 大陸ネット通販では、“楊丞琳も付けている!”の売り文句で
類似品が数十円の大特価で売られているからビックリ。
実はこれ、耳用ではなくへそピアス。 おへそ用を耳に付けるのは、もう随分前から楊丞琳の定番で
彼女は、このドラマと限らず、他でも少しずつデザインの異なるこの手のピアスを付けて出ている。
よって、本ドラマで着用の物も、自身のお気に入りの私物と推測。 メーカーは不明。
楊丞琳は、かなりの数のへそピアスを所持しているらしく、中には
日本で購入した物も有るようだが

(嘘か本当か知らないが…)ほとんどは露店で購入したお手頃価格の物だという。
おへそ用は耳用に比べゲージが太いため、穴を広げないと着用出来ない。真似る方は気を付けて下さいませ。
最後に
使用曲。

エンディング曲<好的事情>や挿入歌<又不是這樣就不孤獨>が収録された
“台湾の爵(しゃく)ちゃん”こと嚴爵(イェン・ジュエ)の
アルバム<不孤獨>については、こちらから。

ここには、本ブログに出したことの無いオープニング曲、
Magic Power 魔幻力量の<不按牌理出牌>の方を。
それぞれに思惑が有って、ハズミでした結婚を解消せず、互いに打算で繋がっていた仮面夫婦が
次第に心を寄せ、本来の恋人さえ邪魔な存在になっていく過程や
それでも表面的には冷静を装い、あやふやな関係を続ける頃が、観ていて一番ワクワク。
曉如と杰修の両想いがほぼ確定してしまった後は、多少の事が起きても
惰性でハッピーエンディングに向かっていると感じるせいか、気分の盛り上がりが落ち着いてしまったが
平均的に面白く、笑い有り、ホロリ有り、ツッコミ所有りの正しい偶像劇であった。
女性主人公に扮する楊丞琳は、見飽きるほど偶像劇に出ているが
オトナへのイメチェンや張孝全とのコンビが新鮮だし、ふたりの掛け合いもテンポが良くて、楽しい。
同時期に放送が重なった『王子様の条件~拜金女王』、『画皮 千年の恋~畫皮』という強豪に
(私の中の)No.1の座は譲ってしまったが、及第点は余裕で突破。
最終回はイマイチ。 消えた60万元の行方を、わざわざ結婚式で明かす必要は有っただろうか。
それに、時間稼ぎとしか思えない回想シーンが多過ぎやしないか…?!
あと本ドラマも、人名の表記が片仮名なのが許し難い。
例えば、終盤、それまでずっと“シャオルー”だった女性主人公が
いきなり“アルー”になるが(実母からの呼ばれ方)、“曉如”、“阿如”と表記してくれないと、分かりにくい。
“杰修”を“チエシウ”と表記するのも、私が嫌いなパターン。
漢字で表記し、ルビをふるなら“チエシウ”でも構わない (…今さら何を言っても手遅れだが)。
ついでに言っておくと、邦題が、『最後“は”キミを~』なのか『最後“に”キミを~』なのか
放送終了まで遂に覚えられなかった…(
)。

まぁこれはマシな方で、最近の台湾ドラマの邦題は、どれも似通り過ぎていて紛らわしい。

2012年10月3日に『五月に降る雪~記得・我們有約』がスタートとテロップが出ていた。
『五月に降る雪』はあらすじにざっと目を通した限り、私が苦手なまどろこしい運命のラヴストーリーで
あまり期待できないけれど、吳中天(マット・ウー)が出ているからきっと観ます。