台北。林曉潔は、勤務先のデパート海ですっかり雑用係にされている冴えないOL。
ある日、ロンドン出張の機会を得るが、現地でひったくりに遭遇し、湯駿という青年に窮地を救われる。
楽しかった想い出を胸に帰国すると、今度は空港で見知らぬ男に荷物を倒され、不愉快な気分に。
そこからまた始まった単調な日々。大晦日の晩さえ残業。
たったひとり食品売り場で作業をしていた曉潔の前に、有ろう事か、あの空港の男、高子齊が現れ…。
2013年4月、
ホームドラマチャンネルでスタートした中台合作ドラマ、

『シンデレラの法則~S.O.P女王/勝女的代價』が、11月上旬全30話を終了。
わざわざ書き残しておきたい程の感想は無いが、恒例なので、簡単に記録しておく。
★ 概要
前作『五月に降る雪~記得・我們有約』がえらく退屈だった張博(チャン・ボーユー)監督のドラマということで、期待薄。
本ドラマに特別出演している台湾の俳優・明道(ミンダオ)が2010年に独立し、設立した自身の会社、
明道工作室が初めて手掛けたドラマでもある。
原題は、台湾では『S.O.P女王』、大陸では『勝女的代價』。
大陸ではヒットし、、同監督、同男性主人公により、“勝女系列”第2弾『勝女的代價2』も制作。
本作品の続編ではなく、“姉妹作”という位置付けらしい。
本作品の売りのひとつは、
豪華ロケ。台湾、上海はもちろんのこと、
ロンドンでも撮影を決行。


そのイギリスにちなみ、ピーターラビットが重要なキャラクターとして登場。
あちらのドラマで、ミッキーやスポンジボブなどアメリカの人気キャラクターはよく見るが
ピーターラビットは珍しい。ちなみに、 ピーターラビットは中国語で“彼得兔(Bĭdé-Tù)”。
★ 物語
台湾大手のデパート海に勤める冴えないOL林曉潔の人生が少しずつ動き出す。雑用ばかり押し付ける会社にウンザリし、留学を決断したところ、いきなり昇進。
しかも、ひょんな出来事から、海の御曹司・高子齊と交際することに。
出張先のロンドンで知り合った中国人青年・湯駿とも仕事で再会し、何でも語り合える良き友人関係を築くが
この時林曉潔は、湯駿が中国有名デパート皇海の後継者であることも
彼が自分に好意を寄せていることも、まだ知らない。
林曉潔が知らないもっと悲惨な事実は、恋人・高子齊が有名モデル・白季晴と長年密かに付き合っており
自分とは打算で二股交際に踏み切っていたという事。
やがてこの事は林曉潔も知るところとなり、大いに傷付くが、その頃すでに高子齊も林曉潔に本気モード。
本ドラマは、ふたりの中台デパート御曹司の間で揺れる林曉潔の
ラヴストーリーと

そんなふたりの男性との出逢いを機に、冴えない崖っぷちOLだった彼女が
30歳目前で、雑用係のままお局様になるとういう難を逃れるのみならず、ビッグな恋とキャリアを手に入れ
人生の負け組から一気に勝ち組に転じるまでを描くオイシ過ぎるサクセスストーリー。
結局のところ、ハイ、またまた飽きもせずにシンデレラストーリーでございます。
しかも、つい最近観た『進め!キラメキ女子~小資女孩向前衝』同様、
主人公が恋に落ちるのは
デパートの跡取り息子。強いて本ドラマ独自の特徴を挙げるならば

“百貨店王子”がたったひとりしか出てこない『キラメキ女子』より気前よく
主人公・林曉潔は、贅沢にも中台ふたりの“百貨店王子”を射止め、自分を巡る争いをさせるのだから
まぁ差し詰め“両岸百貨店ラヴバトル”勃発って感じで、シンデレラの優越感も2倍。
大陸でのタイトル『勝女的代價』の意味、分からないんですけれど。
人並み以上の恋も仕事も手に入れた主人公・曉潔、勝ち組入りするために何か代価を払いました…??
★ キャスト

冴えない雑用係のOLが、徐々に自信と実力をつけ、外見も綺麗に変身していくのは
過去の主演ヒット作『ハートに命中!100%~命中注定我愛你』と似たパターン。
陳喬恩は顔立ちが庶民的なので、前半の何をやっても報われない三流OLはピッタリなのだが
後半の“お洒落でバリバリ仕事ができるキャリアウーマン”には無理があり
同性の私が、憧れの目で彼女を見ることが出来ない。
しかも本ドラマ、『ハートに命中!100%』に比べ、“カッコよく変身後”が長いから、ますます視聴がキツイ。
あっ、そう言えば、このドラマでは曉潔の家庭背景が一切描かれていない。
主人公の親兄弟がまったく出てこない偶像劇は、珍しい気がする。

私にとって張翰といえば、台湾の張震(チャン・チェン)の実兄の張翰なのだが、こちらは同姓同名でも
大陸版『花より男子』、『一起來看流星雨』で道明寺司にあたる慕容雲海に扮しブレイクした
大陸の新星。

目元の涼しい古風な二枚目で、時代劇の衣装などはなかなかお似合いなのだが
このドラマだと、
韓流を意識したかのような前髪モッサリの茶髪が田舎臭くて、残念すぎる…。

身長も183センチと長身なのに、恋のライバルが190越えの大男のため、プチに見えてしまい気の毒。
せめてサングラスくらい、もう少し似合うのを用意してあげてよ、頼むから。
正直、見た目ではビビッと来るものが無いのだが、扮する湯駿が
『イタズラな恋愛白書~我可能不會愛你』の李大仁にも通じるひたすら“尽くし型”の好青年なので
(李大仁には遠く及ばないけれど)ドラマ後半には情にホダされ、ホレかけた。

身長193センチの恵まれた体型に、甘いマスク、そして何より垢抜けているため
見た目だけなら、張翰を軽く超越してしまっている高以翔。
でも、その素晴らし過ぎるルックスにまだ演技力が及ばず、お飾り的存在になってしまっているようにも感じる。
セレブ・キャラが定着してしまい、役に意外性が無いのも、彼にイマイチ惹かれない一因。
同じ時尚F4出身で、当初高以翔よりイケていないと思っていた藍釣天(ギャビー・ラン)の方が
今では個性的な俳優として面白くなりつつあるように思える。
高以翔もいっそ体力だけが自慢の日雇い人夫でしかもホモとか
鼻水垂らしているズー体ばかり大きな木偶の坊とか、これまでの高以翔像をズタズタに壊す役に挑戦し
私をハッと驚かせていただきたい。

蔣怡も178センチと長身なので、高以翔と並ぶと、ファッション誌から抜け出てきたような素敵なカップル。
私生活では、今年2013年、
ジュエリーデザイナーと結婚し、夏には女児を産んでいるので

本ドラマは、恐らく彼女の娘時代(?)最後のドラマ。

『蒼穹の昴~蒼穹之昴』で演じた珍妃がとても可愛かった張檬を、現代劇で初めて見る。
整った愛らしい顔立ちの張檬は、その愛らしさを裏切るモード系の格好をすると、とてもキュートなのに
このドラマだと、衣装もヘアメイクもコンサバで、ちょっと野暮ったく見えてしまうのが残念。
でも、その“ちょっと野暮ったい”感じや、“悪い子ではないけれど、たまにイラッとさせられる”感じが
この世間知らずのお嬢様・楚楚にはピッタリ。
★ 湯家の邸宅
このドラマ、
ロケ地を売りにしているのに、ロケ地情報がほとんど出回っていない。

私が気になった場所をひとつ挙げるならば、湯駿の邸宅。
とても豪奢で、眠気も吹き飛ぶくらい
キンキラキンの割りには、まとまりがありシック。

どこで撮影したのだか。ホテルやレストラン、もしくは会員制クラブなどだろうか。
病み上がりの湯ママが乗っている車椅子まで、お住まいに合わせゴージャス仕様。
『アルプスの少女ハイジ』のクララが乗っている車椅子をもっと豪華にしたようなヨーロッパ家具調車椅子。
こんなの日本の医療介護用品販売店で取り扱っている…?!
さすがは中国。こういう豪華車椅子の需要も有りそうだ。
ちなみに、台湾の高子齊のお住まいは、こちらを参照。
★ 主題歌
オープニング曲は陳喬恩が歌う<喜歡孤獨>、エンディング曲は張翰が歌う<最愛你的朋友>と
主演の男女が、最初と最後にそれぞれ歌声を披露。
あと挿入曲で流れる江語晨(ジェシー・ジャン)の<最後一頁>がとても良い曲ではあるが
これ、『パンダマン 近未来熊猫ライダー~熊貓人』のエンディング曲として何度も聴いているので
“使い回し感”が否めない。 ここにはポップなオープニング曲
<喜歡孤獨>を。

歌っている陳喬恩自身が作詞。 作曲は、女優・張榕容(チャン・ロンロン)との唐突な結婚発表で
世間を驚かせた“ヨシマツ君”こと紀佳松(ブルーJ)。
かつての中台国際結婚といえば、貧しい大陸女性が台湾人男性に嫁ぐという形がほとんどで
その逆はあまり無かったが、近年中国の経済発展に伴い、逆転現象が進んでいるように見受ける。
芸能界でも、徐煕媛(バービィー・スー)のように、大陸の裕福な男性と結婚する台湾人女優が激増。
お洒落で綺麗な台湾人女性が同郷の男性を振って、大陸男性を選ぶこの中台合作ドラマも
そのような社会の変化が背景にあってこそ生まれた、世相を捉えた案外深いドラマだったりして。
また、男性主人公が、裕福な家庭で育った二代目で、上海の豪邸に暮らし、ロンドンにも不動産を所有、
そのロンドンで運命の女性と出逢う…、といった物語が、中国人女性をウットリさせ、ヒットしたのも納得。
でも、こういう嘘くさいバブリーな物語は、日本では今どきもうウケないと思う。
(そもそも日本の大企業の社長には、あまりオーナー社長がおらず、ほとんどがサラリーマン社長。
“社長”と呼ばれる人々の大半が、気兼ねの無い普通のオジさんだと知ってしまっているから
このようなシンデレラ物語には最初からリアリティなど見い出せないし、夢見る気にもなれない。)
同じように嘘くさくバブリーでも『王子様の条件~拜金女王』レベルまで度を越えたゴージャスだと
日本人の私でも楽しめるけれど、このドラマは劣化版『王子様の条件』という趣き。
女性監督・陳慧翎(チェン・フイリン)が手掛けた『王子様の条件』は洗練されているが
オッサン張博監督が手掛けると、どんなに似た作品を目指そうと、どこか野暮ったくなってしまうのが問題。
とは言うものの、最初からハードルを低くして広い心で観始めたので、それなりには楽しめた。
同じホームドラマチャンネルで同時期放送の『逆転!赤ずきん~大紅帽與小野狼』と
『1/2の両想い~美人龍湯』が本当にツマラないので、それらとの比較で“マシ”と思えるという利点も。

今週から『王子様をオトせ!~就是要你愛上我』を放送。
人気急上昇の郭雪芙(グオ・シュエフー/パフ・クオ)が炎亞綸(アーロン)のお相手役ということで話題。
これも期待していないが、取り敢えず最初の数話は観るつもり。