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映画『親友の結婚式』

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【2016年/中国/97min.】
顧佳は、有名ファッション誌の編集長に就任したばかりで、忙しいけれど充実した日々。
テレビをつけると、学生時代からの大親友・林然が、有名サッカー選手にインタヴュ。
彼もまたイギリスで夢を叶え、スポーツジャーナリストとして大活躍。
お互い仕事で成功した今、もしかしてそろそろ一緒になる頃かも…などと、浮き立つ心を抑え、
ミラノコレクションを取材するため、イタリアへ飛んだ顧佳。
そこにロンドンの林然から一本の電話が入る。
「結婚することになったんだ!自分でも信じられないんだけれど、素直なすごくイイ子なんだよ。
式はこの週末。もちろん出席してくれるよね?」
えっ、結婚って誰と…?!林然からの寝耳に水の結婚報告に、ただただ動揺する顧佳は、
仕事をアシスタントの馬麗に投げつけ、早速ロンドン行きのチケットを手配。
飛行機の中では、ついつい悪酔いし、隣りの外国人男性に絡む始末。
ロンドンの空港に到着すると、乱れた心を抑え、迎えに来てくれた林然と久々の再会。
しかし、林然は一人ではなかった。
「顧佳、紹介するよ。彼女が僕の婚約者、萱萱だよ」
林然の背後から現れたのは、顧佳よりずっと若く可愛らしい女性であった…。



東京・中国映画週間2016で鑑賞。

中文原題は、『親友の結婚式』と同じ意味の『我最好朋友的婚禮』。
このタイトルからも、なんとなく想像がつくように、これ、監督P.J.ホーガン×主演ジュリア・ロバーツによる
1997年のハリウッドヒット映画『ベスト・フレンズ・ウエディング』の中華版リメイク。

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念の為、ハリウッドオリジナル版の中文タイトルをチェックしてみたところ、
大陸ではそのまま『我最好朋友的婚礼(親友の結婚式)』だが、
台湾では『新娘不是我(花嫁は私じゃない)』、香港では『真的想嫁你(ホントにあなたに嫁ぎたい)』であった。
私、香港版の切羽詰まった感じ、嫌いじゃないわ(笑)。


で、この度、ヒット作のリメイクを手掛けたのは、陳飛宏(チェン・フェイホン)監督。
1983年生まれ、中学を卒業した1998年にアメリカへ渡り、大学を卒業した後、2002年に帰国、
2011年『盛夏~Blossom』で長編監督デビューした新進気鋭の監督さんみたい。
自身の監督作品は、今のところ、それと『親友の結婚式』だけと、まだ少ないが、
他に何もしていないかというと、そうではなく、『北京ヴァイオリン』(2002年)、『PROMISE 無極』(2005年)、
『運命の子』(2010年)、『搜索~Caught in the Web』(2011年)、『道士下山』(2015年)
といった映画の制作にも携わっている。
お気付きの方も多いと思うが、これらは全て陳凱歌(チェン・カイコー)監督作品。
それもそのはずで、この陳飛宏監督は、陳凱歌監督の甥っ子なのだと。
(具体的には、外甥=陳凱歌監督の姉妹の息子。)

ついでなので記しておくと、陳凱歌監督のお身内は、陳飛宏監督と限らず、結構中華芸能界にいる。
3度目の妻・陳紅(チェン・ホン)が、陳凱歌監督作品にもよく登場する女優であることは有名だけれど、
他にも、俳優の陳赫(チェン・フー)が甥っ子(男兄弟の息子)だし、
2000年生まれの実の息子・陳飛宇(チェン・フェイユー)も、
陳凱歌監督の新作『空海 KU-KAI』で、そろそろ本格的に芸能活動しそうな予感。

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(↑)こちら、実子・陳飛宇。父親に似れば長身だろうし、この子は、本当に美男子に成長しております。
親のコネ無しでも売れそう。



さて、本題。
『親友の結婚式』は、学生時代から一番仲の良い男友達・林然から、突然結婚すると告げられたことで、
彼への特別な想いに気付いたファッション誌編集長・顧佳が、
林然と彼の婚約者・萱萱が暮らすロンドンへ飛び、
なんとか結婚式を阻止し、林然を自分に振り向かせようと奮闘するロマンティック・ラヴ・コメディ

細かいアレンジは色々有るけれど、基本的にはオリジナル版と同じ。

オリジナル版が制作されてからすでに20年近くが経っているので、
必然的によりモダンでお洒落っぽい雰囲気にはなっている。

撮影は、主に北京、ミラノ、ロンドンの3ヶ所。中国のシーンは極めて少なく、90%がヨーロッパ。
主人公の顧佳は、有名ファッション誌の編集長らしく、
ミラノではブルガリ・ホテル、ロンドンではローズウッドとお洒落なホテルに宿泊するし、
両都市の観光名所も網羅されている。

また、中国版<VOGUE>の編集長を務め、
“中国版アナ・ウィンター”と呼ばれる著名なファッション・ジャーナリスト、宇(アンジェリカ・チャン)や、
シューズデザイナー、クリスチャン・ルブタンが、本人役で出演。
もうねぇ、中国の若い女の子がワクワクしちゃうような要素が満載なワケよ。

★ キャスト

主要出演者を、オリジナル版と比較しながらザッとチェック。


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舒淇(スー・チー):顧佳~ファッション誌編集長
オリジナル版:ジュリア・ロバーツ

オリジナル版の主人公は料理評論家。中華版リメイクでは、ファッション誌編集長と設定を変え、よりお洒落に。
舒淇には元々ファッショナブルなイメージがあるし、
大きな口や、キュートな雰囲気は、ジュリア・ロバーツに通じるかも?

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ジュリア・ロバーツが持っているのは電話?それともトランシーバー…?
もし電話なら、約20年で随分進化して小型化したのですねー。昔のは、まるで筆箱(笑)。
『ベスト・フレンズ・ウエディング』がそんなに昔の映画だとは思ったこともなかったけれど、
こういう画像を見ると、時代の流れを感じる…。

なお、演じている舒淇自身は、この映画の顧佳と異なり、
ずっと“良い親友”と言い続けてきた馮倫(スティーヴン・フォン)に、2016年9月、40歳でお嫁入り。



馮紹峰(ウィリアム・フォン):林然~顧佳の長年の大親友、スポーツジャーナリスト
オリジナル版:ダーモット・マルロニー

近年、映画にも積極的に出演している馮紹峰。
ドラマで、声優に吹き替えられた声を聞き馴れてしまっているが、映画で聞く本人の地声は、とても甘く柔らか。
扮する林然は、その柔らかな声に合った、優しく人当たりの良い青年。
仮に結婚できなくても、こんな男友達欲しい!と思う女性は多いでしょう。
オリジナル版のダーモット・マルロニーは印象が薄かったため(←ただ単に、私好みではなかったとも言える)、
この役は、馮紹峰に軍配を上げる。



宋茜(ビクトリア/ソン・チェン):孟薏萱~林然の婚約者 資産家令嬢 通称“萱萱”
オリジナル版:キャメロン・ディアス

K-Popアイドルユニットf(x)の中国人メンバー“ビクトリア”と言った方が、日本では知る人が多いのでしょうか。
歌やダンスだけではなく、最近は演技のお仕事も増えている。
馮紹峰とは、ドラマ『幻城~Ice Fantasy』でも共演。
私は、演じている宋茜を、今回初めて見たのだけれど、うーン、微妙かしら。
演技が下手と言っているのではない。萱萱を演じるには、宋茜は大人っぽく見え過ぎる。
恋敵を演じる舒淇とは、実際には11歳も違うわけだが、舒淇が40歳にしては若く見えてしまうため、
二人に年齢差が感じられない。
この役、もっとガーリーな張檬(チャン・モン)や趙麗穎(チャオ・リーイン)が演じて、
甘ったれた声で舒淇に「顧佳姐~」なんて言ったら、もっとイラッとさせてもらえたハズ。
オリジナル版でこの役を演じていたのは、キャメロン・ディアス。
今やすっかり中堅女優という風格なのに、昔はこういう役をやっていたのですね。



鳳小岳(リディアン・ヴォーン):Nick~ひょんな出会いから顧佳と交流するようになる青年 実はゲイ
オリジナル版:ルパート・エヴェレット

オリジナル版でダーモット・マルロニーの影が薄いのは、ルパート・エヴェレットの存在が大きいからだと思う。
『アナザー・カントリー』(1983年)でスタアの仲間入りをしたルパート・エヴェレットは、
演じたガイ・ベネットと同じように、自身もイギリス上流階級出身のアリスト俳優。
その後、ゲイであることをカムアウトし、「えっ、そこまで『アナザーカントリー』と同じだったの?!」と
世間を驚かせ、一時期スクリーンであまり見なくなってしまった。
吹っ切れたのか、『ベスト・フレンズ・ウエディング』では、バリバリのゲイを演じ、見事に再起。
中華版でその印象的な役を演じているのは、英台ハーフの台湾明星・鳳小岳。
西洋の血が濃く出た顔立ちなので、役が限られてしまうように感じていたけれど、
今回は心置きなくイギリス人を演じ、流暢な英語も披露。
私はずっと「鳳小岳は絶対にゲイ役が合う!ゲイを演じて欲しい!」と思っていたので、
本作品ではその希望を満たしてくれた。
さらに、歌声まで披露。劇中、彼が歌う60年代の名曲<小さな願い~I Say A Little Prayer>は、
オリジナル版でも使われている歌。


この頃のルパート・エヴェレットって、胡歌(フー・ゴー)にソックリね。
余談になるが、私、その昔、ロンドンでルパート・エヴェレットにサインをもらったことがある。
ナマ胡歌にも会いたーーーい…!


小籠包みたいに巨大蒸籠で蒸し殺される宮女・玉檀を演じた葉青(イエ・チン)が、
主人公・顧佳のアシスタント・馬麗の役で出演している。





いかにも今時の大陸女子たちが好みそうな題材にも拘らず、酷評されているのを結構目にしたため、
余程の駄作なのかと、恐る恐る観たら、フツーに面白かった。
映画史に残る名作だとは、決して思わない。
顧佳なんか、編集長になったばかりなのに、仕事をすっぽかしてトンズラしちゃうし、
林然も、かのBBCでプロデューサーとして成功しているだけでも驚きなのに、仕事にぜんぜん行かないし、
皆が皆、最新ファッションに身を包み、お洒落でゴージャスな生活を楽しんでいるなんて、
まったく現実味が無いトレンディ・ドラマという感じだけれど、そういう物と割り切れば、楽しく観られるラヴコメ。

顧佳とゲイのニックに新たな恋を予感させるラストだけは、いただけない。オリジナル版でも、こんなでしたっけ?
ニックは、性別の枠に囚われず、何でも話せるゲイの親友だから良いのです!
いくら顧佳が林然にフラレたばかりの行かず後家だからって、ゲイのニックを彼女に無理矢理宛がう必要ナシ!
これ、ドラマ『続・宮廷女官 若曦(ジャクギ) 輪廻の恋~步步驚情』を観た時にも、同じ事を思った。
あのドラマでも、ゲイのジャック(NickならぬJack …笑)が、最後に女性の部下と相思相愛になる。
別に同性愛は病気ではないのだから、最後に女性に目覚めさせるなんて、余計なお世話でしかない。
なぜ大陸作品だと、こういうラストにするのだろうか。ゲイは一途にゲイでいてくれて良い。

あと、この映画では、ちょっとだけ“今どき中国語”のお勉強になった。
ロンドンの空港に到着直後、林然から婚約者の萱萱をどう思うかと尋ねられた顧佳が、
「年經噠~、美美噠~、可愛噠~(若くてぇ~、美人でぇ~、可愛くてぇ~)」と
いちいち語尾に“噠 dā”を付けて喋ったところ、
林然が「何が“噠”だ。まったく90年代生まれみたいな喋り方するなよ」と返すシーンに、「へぇー」。
中国の今どきの子は、そういう喋り方をするのですね。
私も今度、90年代生まれを気取り、語尾に“噠”を付けて喋ってみるワ。

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