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映画『ウィンストン・チャーチル~ヒトラーから世界を救った男』

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【2017年/イギリス/125min.】
1940年5月9日。
勢いに乗るドイツ軍が、次々と欧州を制圧していく中、
対独融和の政策をとってきたネヴィル・チェンバレンが、
野党・労働党からの激しい批判を浴び、首相辞任へと追い込まれる。
早速、次の首相選びが始まるも、支持者の多いハリファックス卿は、自ら辞退。
も一人の候補者ウィンストン・チャーチルは、
これまで失策が多い上、変人ぶりで、党内でも煙たがられていたが、
この窮状では止むを得ず、新首相就任の決定が下される。

翌5月10日。
ハリファックス卿とも親しい国王ジョージ6世は、必ずしも納得しないまま、
バッキンガム宮殿に呼んだチャーチルに、首相就任の大命を告げる。
こうして自身の内閣を発足させたチャーチルは、
ダンケルクで窮地に追い込まれた英仏連合軍を救出すべく、早速動きだすが…。


『プライドと偏見』(2005年)や『つぐない』(2007年)で知られるジョー・ライト監督のこの新作は、
第90回米アカデミー賞で6部門にノミネートされ、
内、主演男優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した話題作。

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特殊メイクを担当し、その賞を受賞したのが、アメリカを拠点に活動する日本人・辻一弘で、
この部門の日本人受賞は初めてだった事もあり、日本では大々的に報道。
かくして、本作品は、日本で久々に大きく扱われるイギリス映画に。
想像していた通り、映画館はかなりの賑わい。
私は、アカデミー賞とは趣味が合わないことが多いので、本作品も過度の期待を抱かず鑑賞。




本作品は、首相に就任したばかりのウィンストン・チャーチルが、
ヒトラー率いるドイツ軍に強硬な姿勢を貫き、
絶体絶命の危機に陥った約30万人の兵士を、
ダンケルクから救出させることを成功させるまでの27日間を描いた歴史ドラマ


最近、陳凱歌(チェン・カイコー)監督の伝奇映画『妖貓傳~Legend of the Demon Cat 』(原題)が、
空海の伝記映画との誤解を招く『空海 KU-KAI』の邦題で公開され、
案の定、「タイトル詐欺!」と大批判を浴びたので、
これも先にタイトルについて記しておく。

本作品の原題は『Darkest Hour』であり…

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かのウィンストン・チャーチル(1874-1965)の名前は、どこにも入っていない。
しかし、『空海』とは異なり、チャーチルを中心に描くチャーチル映画であることは紛れもない事実なので、
「タイトル詐欺!」と怒る人は、あまり居ないであろう。

但し、“チャーチル映画”であっても、チャーチルの生涯を描く伝記映画ではない。
第二次世界大戦初期、イギリス首相就任から、
フランス・ダンケルクの兵士を撤退させる“ダイナモ作戦”を成功させるまでの
たった27日間に焦点を絞って描いているのが特徴。



たった27日間とはいえ、そこには、我々後世の者がイメージするチャーチル像や、
チャーチルにまつわるエピソードが所々に織り込まれている。

例えば、チャーチルと言えば、葉巻と同じくらい、Vサインをしている写真をよく目にする。
映画によると、チャーチルは、“勝利”を意味するVサインをする若者を新聞で目にし、
これを気に入り、自分も早速記者のカメラに向けやってみて、その姿が新聞に掲載。

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ところが、このVサインは、手のひらが内側。
この新聞記事を見た、秘書のエリザベス・レイトンから
「これだと“Victory”ではなく、“Up your bum”の意味になってしまいます…」と恐る恐る助言されると、
下々の者たちのお下劣なジェスチャーなど知らなかったチャーチルは、
「そうか、“Up your bum”なのか!ハッハハ!!」と馬鹿ウケしながらも、
次からは、手のひらを外側にして、Vサインをするようになる。
(オジさんが、下手に若者を真似ると、間違ってしまうというのは、国や時代に関係ないようだ。)

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そんな訳で、チャーチルのVサイン写真には、2パターン有るのですね。


もう一つ、強く印象に残っているのが、チャーチル様の地下鉄初体験。
上流階級出身で、生まれてから一度も地下鉄なんかに乗ったことが無かったチャーチル様が、
いきなりお車から降り、たった一人で、最寄りのセント・ジェームズ・パーク駅へ向かい、
ディストリクト線に乗って、ひとつ先のウェストミンスター駅へ向かう車中で、
下々の者たちとの交流を描くシーン。

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これはフィクション。
チャーチルが、一人で地下鉄に乗ったなどという史実は残されていないようだ。
車中でのやり取りは、私個人的には同意できない台詞が数多く飛び交うのだが、
それはここでは取り敢えず置いておき、それ以外に、かなり驚いた事が一つ。
なんと、チャーチルは、地下鉄の車内で葉巻を吸おうとするのだ(!)。
ところが、マッチが見当たらない。
すると、すでにタバコを吸っている(!!)一人の乗客が、チャーチルにマッチをあげるの。
世間知らずのチャーチルが、場所を考えずに、葉巻を吸いたがるのは分かるけれど、
マッチを差し出すくわえタバコの庶民まで居るという事は、
つまり、1940年当時、ロンドンの地下鉄は、喫煙OKだったということ…?!
しかもねぇー、葉巻に火を点けたチャーチルは、そのマッチを床にポイ捨て…!ビックリ!
日本でも、昭和のある時期までなら、長距離列車などは、喫煙できたはずだが、
いくらナンでも地下鉄は火気厳禁じゃないの…??!

このシーンについて、さらに言うと、たったひと駅がやたら長い。
1940年代当時、地下鉄はこんなノロノロ運転だったのだろうか。




主人公ウィンストン・チャーチルを演じるのは、ゲイリー・オールドマン

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実在の人物を演じるのは、その人物が有名であるほど、難しいもの。

振り返ると、私がゲイリー・オールドマンを知ったのも、
彼が実在の人物シド・ヴィシャス(1957-1979)を演じた1986年の映画『シド・アンド・ナンシー』であった。

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ゲイリー・オールドマンは、いわゆる“美男”に属する俳優ではない。
対してシド・ヴィシャスは、私の中で“カッコイイ”に属する男性で、しかも若くして亡くなり伝説化していたため、
『シド・アンド・ナンシー』のゲイリー・オールドマンには、当時、好印象がなかった。

ところが、その後、ゲイリー・オールドマンは実力派として、めきめきと頭角を現し、
気が付けば、すでに還暦の名俳優。
役者寿命延命の鍵は、朽ち易い美しい顔より、実力である。

本作品一番の見所は、脚本や美術など以上に、ゲイリー・オールドマンの“成り切りチャーチル”だと感じる。
元の顔は、チャーチルとは程遠いので、そこは特殊メイクに頼っている。

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ひと昔前の特殊メイクは、明らかにメイクと判るワザとらしい物だったけれど、技術の進歩は凄い。
顔に何かを貼り付けているという異物感がまるで無い。
それは、喋ったり、顔を動かしている時もである。

実際のチャーチルとも比較。

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かなり近い。
技術的には、恐らく瓜二つにすることも可能なのではなだろうか。
このメイクでは、ゲイリー・オールドマン自身の個性も残しつつ、
現代人の我々が「チャーチルってきっとこんな人」と錯覚できるチャーチル像に仕上がっている。

特殊メイクに頼ることには、賛否両論あるだろうが、この容姿で演じられると、説得力は格段増す。
力強いスピーチをするカリスマ性と、
逆に妻クレメンティ―ンの尻に敷かれているお茶目な面のギャップなども、面白い。





日本では、概ね好評のようだが、私個人的には、評価しにくい作品であった。
たった27日間に焦点を絞り、そこからチャーチル像を浮かび上がらせるという脚本や、
ゲイリー・オールドマンのチャーチル成り切り度の高さ等、
作品としてのクオリティは充分高いと思うけれど、
お話の内容自体には、何とも釈然としないモヤモヤ感が残った。

実際のウィンストン・チャーチルは、バリバリの帝国主義者で、
インド政策など、共感できない部分も多々あれど、キャラが際立つ“面白い”人物ではある。
私は、この映画を観たことで、チャーチルのイヤな面の方を、余計に覗いてしまった気がする。
鑑賞しながら、どうしても考えてしまったのが、
“現在の日本のトップが、このチャーチルのような人物だったら…”という事。
作中、チャーチルは、報道を操作し、現状、イギリスが劣勢であることを国民には伝えず、
得意の話術で、人々に、ドイツという敵に対し、交渉は無駄、ただ強く立ち向かうのみ!と煽りまくる。
「ここで屈し、たとえ生き長らえても、
ハーケンクロイツがはためくイギリスの空の下で生きて、それは幸せと言えるのか?!」とか、
「我々は屈しない!家族や命を失っても、戦おう!」などとホザくわけ。
地下鉄の車内で、そんな事を言われた下々の者たちが、
「そうだ!我々は決して屈しない!戦おう!」と大唱和する気味の悪さよ…。

戦後70年以上経った今、世界中で、ヒトラーもナチスも“悪”と評価されているため、
その揺ぎない完全悪を相手に、果敢に挑む勧善懲悪の物語を作っても、誰からも文句は出ない。
でも、それはナチス惨敗の現実があっての結果論でしかない。
未来なんか予測できないのに、今現在、作中のチャーチルと同じような事を言って、
他国を敵視したり、戦意を煽るような人物がいたら(実際に居る)、私にとっては、危険人物でしかない。
また、そのような言葉に国民が安易に煽られ、妙な熱気に包まれる風潮も、異常で不気味。

アメリカは、元々愛国ヒーロー物が好きだろうけれど、イギリスまで、こういう映画を作ってしまうとは…。
私の勝手な想いだが、イギリスには、自国にもっとシニカルでいて欲しかった。

それにしても、チャーチルは、朝っぱらから葉巻をくわえて、お酒を呑み、あんなにコロッコロに肥え、
不健康にしか思えないのだが、それでも90まで生きたなんて、
やはりあれくらいギラギラした人は、生命力が凄まじい…。

亀屋:桜の季節の上生菓子2種(+宇多田ヒカル離婚とか日本上陸中華映画とか)

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昨日、4年も前に投降した宇多田ヒカル再婚の記事に、アクセスが集中しているから、何事かと思ったら、
離婚が発表されていたのですね。
日本の芸能ニュースを見ていなかったので、遅ればせながら、中華芸能ニュースから知った。

一度目の結婚は4年半、二度目は4年で終わり、「5年の壁が超えられない」と報道されているのを目にしたが、
5年どころか、もっととっくの昔に、ヒッキーはイタリア人夫に三下り半を突き付けていたはずである。
イタリアは、情熱的な恋愛体質の人が多いと思われがちだが、教会が強い保守的な国でもあるのです。
4年前に記した通り、イタリアの離婚は非常に時間がかかり、
申請から3年別居したことが認められないと、離婚が成立しない。
あの時、私は、こう記した…
「万が一ヒッキーが明日別居に踏み切ったとしても、3年間は法律上夫婦のまま。
つまり、最速でも2017年夏までは離婚報道が出ることは有り得ない。」と。
そうしたら、案の定、離婚報道が出たのは、2018年初春。
もし、現時点で完全に離婚が成立しているのなら、
少なくとも3年前には離婚を決意し、離婚申請を出しているはず。
実質結婚期間は約一年で、ベイビーを産んだ頃には、御主人はすでにお払い箱だったのであろう。

日本は、階級意識の無い人が多いので、
「プーリア出身のバリスタと結婚」と聞いても、さほど驚かないのだろうけれど、
ある程度イタリアを知っている人なら、結婚と同時に離婚へのカウントダウンが始まったと感じたに違いない。
私の周囲も皆口々に「離婚の確率99%」と言っていた。
結婚継続の可能性を1%残しているのは、相手が離婚に応じてくれないかも知れないから。
人は、一度贅沢を知ってしまうと、それを手放せなくなるものなのです。

宇多田ヒカルくらいお金が有れば、どうにでも処理できるけれど、
普通の女性はよく考えてから国際結婚しないと、あとが面倒になるから、気を付けましょう。
ヒッキーはねぇ、もうこうなったら、3度でも4度でも結婚して、自由に生きちゃって!
まぁ、人から言われるまでもなく、きっと自由に生きていくでしょう。
すでに次の交際相手がいるとの噂もあるけれど、別に先月離婚して、今月新恋人を作ったわけではないはず。
前夫とは、3年前に切れているのです。
離婚申請中に次の相手がいるというイタリア人はとても多く、そんな事では誰も驚かない。
(ちなみに、宇多田ヒカル離婚のニュースは、イタリアではほとんど報じられておりません。)



ところで…

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評判の香港アクション映画『殺破狼·貪狼~Paradox』、
第18回東京フィルメックスのオープニング作品『相愛相親(そうあいそうしん)~相愛相親 Love Education』
そして、第30回東京国際映画祭で、最優秀芸術貢献賞と最優秀主演男優賞をW受賞した
『迫り来る嵐~暴雪將至 The Looming Storm』が、日本の配給会社に買われたのだとか…?本当?


『殺破狼·貪狼』は、監督・葉偉信(ウィルソン・イップ)×主演・古天樂(ルイス・クー)なので、
放っておいても、その内、日本に入って来ると、ほぼ確信していた。
この『殺破狼·貪狼』上陸で、日本のアクション映画ファンの間でも…

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遂に吳樾(ウー・ユエ)時代が到来しそうな予感。
吳樾は、吳京(ウー・ジン)、張晉(マックス・チャン)に続き、
日本で火がつくアクションスタアの第一候補ではないだろうか。良いですよね、吳樾。


私個人的には、未見の『殺破狼·貪狼』以上に、
映画祭ですでに鑑賞済みの残りの2本が、正式公開され、再見できる方が嬉しい。

『相愛相親』は、張艾嘉(シルヴィア・チャン)が
初めて大陸キャストをメインに、大陸を舞台に撮った、監督&主演最新作。
3世代の女性を描く人間ドラマだが、お墓問題が軸にあるので、日本人にも興味深い内容かも。
もう直、2018年4月15日に発表される第37回香港電影金像獎では、
『殺破狼·貪狼』と並ぶ、ノミネート数第2位で、9部門の発表待ち。
ちなみに、最多の11部門でノミネートされているのは、
許鞍華(アン・ホイ)監督の『明月幾時有~Our Time Will Come』。これも観たい!

『迫り来る嵐』は、撮影出身の董越(ドン・ユエ)監督による長編処女作で、
1997年の中国を舞台にしたダークなヒューマン推理ミステリー。
東京国際映画祭で主演男優賞を受賞した主演俳優は、段奕宏(ドアン・イーホン)。
受賞納得の怪演です。
他、チラッとカメオ出演(?)で、酒井のりピー(←映画を観た人は意味が分かる)。
この映画、もう一度観たら、もっとちゃんと理解できると思っていたから、日本公開は本当に嬉しい。
『薄氷の殺人』(2014年)のような大陸犯罪劇が好きな人なら、これも気に入ると思う。


ちょっと不安なのは、正式公開にあたり、邦題や字幕がどうなるのか?という点。
邦題は『迫り来る嵐』ですっかり定着しているので、変える必要はないでしょー?!(だから変えないで。)
下手に変えたら、情報が混乱するし、
ましてや、英語タイトルを片仮名にして、『ルーミング・ストーム』なんてイヤだから…。
あと、映画祭では、字幕の人名を、
最初の一度だけ“漢字+片仮名ルビ”で出し、あとは片仮名という古い方式だったので、
それは、全部“漢字+片仮名ルビ”で統一して欲しい。
片仮名だと判りにくく、人物関係も掴みにくくなってしまう。

『相愛相親(そうあいそうしん)』も、そのままでヨロシク。
『ラヴ・エデュケーション』だと、なんか、女性アイドルユニットの歌のタイトルみたいで、安っぽい…。




お菓子は人様からの頂き物で、桜をモチーフにした亀屋042-385-8181)の上生菓子。
東京の桜は、すっかり散ってしまったし、こういう和菓子も、今年はもう食べ納めであろう。

★ 夜桜

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大きさは、だいたい4.5センチ角×高さ2.5センチ。
羊羹と浮島を半々ずつ合わせ、上部に桜の花びらを模した羊羹で飾ったお菓子。



一つめは、“夜桜”

羊羹と浮島を合わせたお菓子。
“和風スポンジケーキ”浮島は、洋菓子のスポンジよりキメが細かく、しっとり。
羊羹は白餡の物で、上品な甘さ。

★ 花筏

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大きさは、直径約4.5センチ。
中に白餡を包み、くぼみに寒天を流し入れた餅菓子。



もう一つは、“花筏(はないかだ)

“花筏”の名の通り、上部の窪みに流し込んだ寒天で池を模し、そこに散った花びらを浮かべている。
お餅は、とても柔らかな羽二重。
中には、まろやかな白餡。

映画『グレート・アドベンチャー』

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【2017年/中国/108min.】
17世紀の中国で作られた“ガイア”、
それは“森之瞳”、“命之翼”、“靈之泉”という3ツのパーツから成る美しい首飾り。
盗賊の張丹は、その内の一つ、森之泉を、ルーヴル美術館から盗み出すも、
その直後、何者かに襲われ、お宝を持ち去られた上、警察の御用となってしまう。
5年後、刑期を終え、出所した張丹は、雪辱の大仕事に動きだす。
信頼できる弟分・小寶に、新たな女性メンバー葉紅を加え、
長年敵対関係にあるフランス人刑事ピエールが目を光らせる中、
ガイアの一つ命之翼を盗み出すことに成功。
そこに新情報が舞い込む。
古城に暮らすチャーリー・ルオという中国成り金が、靈之泉を所有しているというのだ。
記者を装った葉紅が、早速、チャーリー・ルオに接近すると、
彼はまんまと葉紅の色香に堕ち、計画は半ば成功したかに思えたが…。



『TAICHI/太極』(2012年)以来5年ぶりの馮倫(スティーヴン・フォン)監督作品。

原題は『俠盜聯盟~The Adventures』。
2017年秋、東京・中国映画週間で『ザ・アドベンチャーズ』の名で上映されたが、私は観に行けなかった。
そうしたら、『グレート・アドベンチャー』と邦題を変え、一般劇場公開されたので、今度こそ鑑賞。



本作品は、本来3ツのパーツから構成されていたものの、
今ではバラバラに点在している貴重な首飾り“ガイア”を巡り、
張丹率いる窃盗団、張丹を長年追い続けているフランス人刑事ピエール、
そして、かつて張丹を罠に嵌めた謎の敵らが、
ヨーロッパを舞台にせめぎ合いを繰り広げるアクション娯楽作


2013年、カンヌ国際映画祭開催中のフランス・カンヌで、
高級宝飾品が相次いで消えるという窃盗事件が発生したことは、日本でも報道された。
本作品は、あの事件からインスピレーションを得た馮倫監督が、
自ら脚本を書き下ろしたオリジナルストーリー。

大泥棒・張丹率いる窃盗団には、峰不二子ちゃん的立ち位置の女性メンバーもいて、
銭形警部のように、張丹を長年追い続けてるフランス人刑事が目を光らせる中、
曰く付きの高級首飾りを狙い、ヨーロッパ中を駆け巡る華麗なる活劇は、
よく言われているように、実写版『ルパン三世』を思わせる。


物語の主軸となる、お宝争奪戦や、泥棒と警察の攻防戦以外に、
5年前に張丹を陥れた謎の人物を探るちょっとしたミステリーや、その人物に対する復讐劇、
張丹と元婚約者アンバーの愛憎劇、仲間の裏切りといった要素も盛り込まれている。
(但し、それらの描き方は浅く、先が簡単に読めてしまう。)


この壮大なバトルが繰り広げられる舞台は、主に、フランス、チェコ、ウクライナ。
チェコのシーンでは、同国を代表する大作曲家べドルジハ・スメタナの
あまりにも有名な<わが祖国>を流すというベタな演出。
大変素晴らしい曲だが、この映画の作風からは、浮いているように感じてしまった。




キャストは、まず、3人組窃盗団を演じているのは…

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チームのリーダーで、その名を広く知られる大盗賊・張丹に劉華(アンディ・ラウ)
張丹の弟分・陳小寶に楊祐寧(トニー・ヤン)
新たにメンバーとして加わる紅一点・葉紅に舒淇(スー・チー)

主演の劉華は、プロデューサーも兼任。
劉華は変わることなく、この映画でも、やはり劉華!といった印象の役。
ヨーロッパを舞台にした劉華主演の華麗なお洒落泥棒のお話という共通点で、
『イエスタデイ、ワンスモア』(2004年)が重なった。


台湾の楊祐寧が演じている小寶は、1989年、高雄生まれの童貞という設定。
葉紅にアプローチする様子から、彼女に気があるのは一目瞭然だが、
“ウブな男の子”を強調するような役ではなく、案外フツー。
先日再見した『恋するシェフの最強レシピ』(2017年)で演じている
軽薄で馬鹿っぽいレストランマネージャー程子謙の方が、面白味があった。
その『恋するシェフの最強レシピ』再見の際、こちらに記したように、
本作品でも、楊祐寧の英語名は“Yo Yang”でクレジットされているのを確認。
日本の皆さま、彼はもはや“トニー・ヤン”ではありません。


舒淇は、本作品の撮影中、本作品の監督で、かねてから交際の噂があった馮倫と入籍。

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おめでとうございます!朗らかな可愛らしい夫婦。
『グレート・アドベンチャー』は、初めての“夫婦共同作業”といったところか。
新妻・舒淇扮する葉紅の七変化は、作品の一つの見所と言えるかも。

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『ルパン三世』の峰不二子のように、女を武器にターゲットに接近するシーンもあるけれど、
基本的には、お色気キャラというより、ブッ飛んだ女の子という印象。
私は、舒淇が香港映画で数多く演じてきたキャピキャピの女の子より、
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督作品で見せる、神秘的で儚げな女性の方が、断然好みなのだが、
本作品の葉紅は、どちらかと言うと、前者に近い。
つまり、“香港映画の中の典型的な舒淇”を演じている感じ。
私生活で夫となった馮倫監督が撮りたかった舒淇って、こういう舒淇なの…?ちょっと残念。
もう40過ぎているし、こういう役はそろそろ卒業しても良いのでは。もっと違う舒淇が見たい。



他の注目キャストもチェック。

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靈之泉を所有する成り金、查理·羅(チャーリー・ルオ)に沙溢(シャー・イー)
張丹の元婚約者アンバーに張靜初(チャン・ジンチュー)
張丹が師と慕う金剛に曾志偉(エリック・ツァン)
長年張丹を追い続けるフランス人刑事ピエールにジャン・レノ
取り引きに応じるウクライナの闇商人にカレル・ドブリー等々…。


馮倫監督が、張靜初を起用した大きな一因は、やはり彼女の英語の会話力だったみたい。
これっぽっちの留学経験も無いとは信じ難い。
海外育ちの華僑を除いたら、張靜初の英語は、中華芸能トップレベル。
これまでにも、作中英語を披露する機会はあったけれど、
今回は、中国作品でありながら、台詞の多くが英語である。
扮するアンバーは、主人公・張丹の元婚約者で、
悪党の彼を憎みながらも、腐れ縁を断ち切れず、張丹の命運を左右する結構重要な役。
なのに、そんな主要キャストの張靜初を、
なんと、日本の配給会社が、出演していないことにしてしまうという不手際…。

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チラシに、“チャン・ジンチュー(張靜初)”の名は無く、
代わりに有るのは、本作品にはカメオ出演さえしていない“シュウ・ジンレイ(徐靜蕾)”…!
かねてから、邦題や人名に片仮名表記をやたら使いたがる傾向にある、この某配給会社が、
案の定、片仮名で間違いを犯した。
“ジン(靜)”しか合ってないじゃん…!
そもそも中国語の複雑な発音を、日本語の50音に当て嵌めることには相当な無理があり、
“チャン”だの“チェン”だの“ション”だのと、似たり寄ったりになり、紛らわしい。
“張靜初”と“徐靜蕾”は、漢字で見れば、明らかに違う名で、誤表記は起こりにくい。
H社よ、片仮名表記への無意味な固執は、いい加減やめましょう。


曾志偉扮する金剛は、主人公・張丹が信頼する師匠だが、実は事件の黒幕だったという大ドンデン返し。
驚くべき展開なのに、驚けないのは、『スキップ・トレース』(2016年)で演じた
成龍(ジャッキー・チェン)を裏切る黒幕・白志勇とキャラがカブるからかも。


ヨーロピアン俳優枠では、より重要な役で出演するジャン・レノより、
終盤、取り引き相手としてチラリと出てくるだけのウクライナの俳優、カレル・ドブリーの方に、惹き付けられた。
カレル・ドブリーが登場するだけで、スクリーンの中の空気が一瞬にしてガラリと変わり、
お気楽エンタメ作品が、ヨーロッパのアート系作品になったような錯覚が。





観ている間はそれなりに楽しめても、終わってみたら、何も残っておらず…。
その一番の要因は、新鮮味に欠ける有りがちな娯楽作に納まっているからだと思う。
前述の作品全て、つまり、『ルパン三世』をベースに、
『イエスタデイ、ワンスモア』や『スキップ・トレース』等の要素をミックスした感じなので、
“初見の映画”で得られるはずの新鮮な驚きが得られない。

出演者も、観衆が自分に求めがちなイメージをそのまま演じているかのよう。
成り金を演じる沙溢と、闇商人を演じるカレル・ドブリーだけが、
凡庸な作品に、ちょっと違う風を吹き込んでくれていた。

ヒマ潰しやデートムーヴィには良いかも知れないけれど、
私にとっては、満額払ってまで観るほどの作品ではなかった。

“トニー・ヤン”改め“ヨー・ヤン”の楊祐寧は、
『恋するシェフの最強レシピ』に本作品と、最近、思い掛けず、出演作を立て続けに鑑賞。
どちらも主演ではないけれど、30代も半ばになり、地道に足場を固めているという印象。
この『グレート・アドベンチャー』の後は、
『モンスター・ハント』(2015年)の続編『捉妖記2~Monster Hunt2』、
人気ゲームの映画版『真·三國無雙』と、話題作への出演が続く。
古天樂(ルイス・クー)が呂布、王凱(ワン・カイ)が曹操を演じる『真·三國無雙』に、
楊祐寧は劉備役で出演ですヨ。スゴイですね。今後の活躍も注視。

大陸美女名鑑:張慧雯

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大ヒット大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』の続編、
『琅琊榜<弐> 風雲来る長林軍~瑯琊榜之風起長林』が、2018年3月末、日本上陸。
放送チャンネルが衛星劇場ということで、視聴がかなり限定されてしまっていると思うけれど、
どうでしょう、皆さま、ご覧になっていますか?
衛星劇場は断固契約せず!と長年心に誓っていたのに、誘惑に負け、入れてしまった私…。
が、序盤の数話で、すでに物語の世界に引き込まれ、今のところ、契約に悔いナシ。


キャストは、広く名の知れた大物、フレッシュな顔と色々。
一番目立ってるのは、やはり主役の兄弟、蕭平章と蕭平旌を演じる
黃曉明(ホアン・シャオミン)&劉昊然(リウ・ハオラン)だろうけれど、
今回は敢えてそこを外し、
高い技術をもつ濟風堂の医女で、
今後、弟・蕭平旌と何やら発展していきそうな女性・林奚に扮する女優、

張慧雯(チャン・ホイウェン)を取り上げ、久し振りに“大陸美女名鑑”を更新。
(Yahoo!ブログの不具合で長文投稿不可につき、残念ながら、突っ込んだ内容にはなっておりません。)

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まずは、簡単なプロフィールを。

氏名            :張慧雯 (拼音:Zhāng Huìwén)
日本での通称:チャン・ホイウェン/チャン・ホエウェン

生年月日:1993年9月13日
出身地   :江西省鷹潭市
身長       :166センチ
学歴       :北京舞蹈學院 中國民族民間舞系 卒


私が、そして世の多くの人々が、この
張慧雯を知ったのは、
彼女のスクリーンデビュー作である、張藝謀(チャン・イーモウ)監督2014年の作品『妻への家路』
そう、
張慧雯は、将来を(ほぼ)約束された“謀女郎(イーモウ・ガール)”なのです。
オーディションを勝ち抜き、『妻への家路』で、
張慧雯が勝ち取った役は、
鞏俐(コン・リー)と陳道明(チェン・ダオミン)の娘・丹丹。

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丹丹は、バレエに青春をかける女の子。
(…が、才能は有っても、逃亡した右派分子の娘であるため、夢を断たれてしまう。)
元々、この役に、有名な若手スタアを使うつもりのなかった張藝謀監督は、
無名の新人・張慧雯の輝く瞳に惹かれ、起用を決めたという。
バレリーナを目指す女の子の役なので、

張慧雯が
北京舞蹈學院
出身であることも、無関係ではなかったかも知れない。
もっとも、
張慧雯の専攻は民族民間舞なので、撮影前、2ヶ月バレエの特訓を受けたらしい。

このデビュー作『妻への家路』は、
2014年、第67回カンヌ国際映画祭の非コンペティション部門でプレミア上映。

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ベテラン鞏俐お姐サマらと、カンヌのレッドカーペットを踏むという華々しい国際デビュー。

その年、第51回金馬獎では、最佳新人獎(最優秀新人賞)にノミネートされた他、
第9回亞洲電影大獎(アジア・フィルム・アワード)では、
最佳新演員(最優秀新人賞)を受賞。 


これで前途洋々!スタア街道まっしぐら!と思いきや、
謀女郎の割りには、その後の活動が地味に感じませんか…?!
ちなみに、先輩の
謀女郎には、(↓)このような女優さんたちがいます。

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初代“
謀女郎”鞏俐(コン・リー)、ハリウッドでも大活躍の章子怡(チャン・ツィイー)、
清純派からキュートな個性派に成長中の周冬雨(チョウ・ドンユィ)、
そして、スタイリッシュで雰囲気のある倪妮(ニー・ニー)等々。

倪妮を有名にした『金陵十三釵~The Flowers Of War』(2011年)は、
戦中の南京を題材にしているため、現時点で日本未公開につき、ここ日本での知名度は今一つだが、
現地では人気で、馮紹峰(ウィリアム・フォン)や井柏然(ジン・ボーラン)との華やかな恋も話題。


これら先輩たちに比べ、張慧雯の活動の地味なこと…。

『妻への家路』以降の出演は、だいたい一年に一作品。
…が、その内容を見てみると、案外オイシイ仕事をしている事が分かる。

出演作は全てテレビドラマではなく映画で…

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『梔子花開~Forever Young』(2015年)では李易峰(リー・イーフォン)と共演。
『妻への家路』で特訓したバレエは、この映画でも活用。


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韓国人監督・郭在容(クァク・ジェヨン)が手掛けた
中国版『世界の中心で、愛をさけぶ~在世界中心呼喚愛』(2016年)では歐豪(オウ・ハオ)と共演。
このように、それぞれの作品で、人気若手男性スタアの相手役を務めている。
(ちなみに歐豪は、『空海 KU-KAI』で劉昊然扮する白龍と“白鶴少年”コンビを組んでいる丹龍。
張慧雯は、『世界の中心』では歐豪、『琅琊榜 弐』では劉昊然と、“白鶴少年”を二人とも制覇。

さらに…

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日本でも人気の香港明星、張家輝(ニック・チョン)+古天樂(ルイス・クー)+吳鎮宇(フランシス・ン)主演
香港映画『ダブル・サスペクト 疑惑の潜入捜査官~使徒行者』(2016年)にも出演。
この映画、日本では、特殊な上映で限られた公開だったため、私は未見。
その後、2018年1月にDVDが出ているので、興味のある方はどうぞ。



そんな張慧雯が、初めて出演するテレビドラマであり、初めて挑戦する時代劇が、『琅琊榜 弐』なワケ。
映画にこだわってきた彼女が、ドラマに出る決心をしたのは、
第一に、優秀なスタッフが集まった、学ぶ事の多い現場で、貴重なチャンスだと感じたから。
また、前作『琅琊榜』を観ており、大好きだったため、
監督から出演の打診が来た時、単純に嬉しかった、とも語っている。

でもね、『琅琊榜』続編の制作が決まり、2016年秋、そのメインキャストが公表された際、
当ブログでも、こちらに記した通り、そこに張慧雯の名は無かった。
張慧雯の出演正式決定は(もしくは、“林奚”という役が出来上がったのは)、あの第一報より後だったのかも。
どうやら、役について話さないまま取り敢えず張慧雯に会った監督が、彼女の雰囲気が役に合うと感じ、
間も無くして正式に出演の決定が下されたようだ。
確かに、役に、そして作風に合った人選と感じる。
前作もそうだったが、お直しが過ぎた女優を見慣れた目には、
『琅琊榜』は一見“地味”と感じる女優を起用しており、それが作品の品や風格にもなっている。
過ぎたお直しや、盛り過ぎメイクは、パッと見には華やかだけれど、画的に安っぽくなってしまうのよねぇ。

この先、物語の展開と共に、張慧雯の演技にも注目して、ドラマを楽しませていただきます♪
ちなみに、彼女、現地では、劉亦菲(リウ・イーフェイ)に似ていると言われています。


なお、
張慧雯の名前の片仮名表記に関しては、“チャン・ホイウェン”はドラマ『琅琊榜 弐』、
“チャン・ホエウェン”は映画『妻への家路』の公式サイトに従っております。
何度でも申しますが、中国語の複雑な発音を片仮名に起こすのは無理があります。
華人の名前は漢字で覚えましょう。

第57回香港電影金像獎受賞結果+勝手にファッションチェック♪(簡略版)

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2018年4月15日、香港文化中心大劇院にて、
“香港版アカデミー賞”こと、第37回香港電影金像獎(香港フィルム・アワード)の授賞式開催。

広東語はどうせチンプンカンプンなので、翌日結果だけチェックするつもりだったのに、
試しに中継を覗いたら、やめるタイミングを失い、結局最後まで観てしまった…。
終了したのは、日本時間で午前1時。
週の頭から、こんな夜更かしをしてしまったことを、ちょっと後悔。
あぁー、眠っ…。この先の一週間が思いやられる。



今回の金像獎で、私が特に注目していたのは、
最多の11部門でノミネートされていた許鞍華(アン・ホイ)監督最新作、
『明月幾時有~Our Time Will Come』が、どこまで結果を残せるか。
ノミネート数9ツで第2位の張艾嘉(シルヴィア・チャン)監督&主演作
葉偉信(ウィルソン・イップ)監督最新作『殺破狼·貪狼~Paradox』の行く末も気になるところ。


結果、『明月幾時有~Our Time Will Come』は…

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最佳電影(最優秀作品賞)、最佳導演(最優秀監督賞)、最佳女配角(最優秀助演女優賞)、
最佳美術指導(最優秀美術指導賞)、最佳原創電影音樂(最優秀オリジナル映画音楽賞)の5部門を制覇し、
トロフィーの数トップの快挙。
内、音楽賞を獲ったのは、日本の久石譲。
残念ながら、授賞式には欠席であったが、久石サン、おめでとうございます。


他の賞も、日本人が注目しそうな部分に絞り、以下に記す。

最佳電影(最優秀作品賞)
『明月幾時有~Our Time Will Come』

最佳導演(最優秀監督賞)
許鞍華(アン・ホイ):『明月幾時有』

最佳男主角(最優秀主演男優賞)
古天樂(ルイス・クー):『殺破狼·貪狼~Paradox』

最佳編劇(最優秀脚本賞)
張艾嘉(シルヴィア・チャン)+游曉穎(ヨウ・シャオイン):『相愛相親~Love Education』

最佳女主角(最優秀主演女優賞)
毛舜筠(テレサ・モウ):『黃金花~Tomorrow is another day』

最佳男配角(最優秀助演男優賞)
姜皓文(フィリップ・キョン):『ショックウェーブ~拆彈專家』

最佳女配角(最優秀助演女優賞)
葉嫻(デニー・イップ):『明月幾時有』

最佳新演員(最優秀新人俳優賞)
凌文龍(リン・マンロン):『黃金花』

新晉導演(最優秀新人監督賞)
彭秀慧(キーレン・パン):『29歳問題~29+1』

最佳兩岸華語電影(最優秀両岸映画賞)
『大仏+~大佛普拉斯』:黃信堯(ホアン・シンヤオ)監督


という訳で、今年の影帝/影后に封じられたのは…

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『殺破狼·貪狼~Paradox』の古天樂(ルイス・クー)と、
『黃金花~Tomorrow is another day』の毛舜筠(テレサ・モウ)であった。
意外な事に、お二方とも初受賞らしい。過去に、すでに受賞済みだと思っていた。


古天樂に初影帝の栄誉をもたらした作品『殺破狼·貪狼』は、
他にも最佳動作設計(最優秀アクションデザイン賞)と最佳音響效果(最優秀音響効果賞)を受賞し、
今回2番目に多いトロフェィ3ツを獲得。
一週間ほど前、こちらに記した通り、すでに日本の配給会社に買われているので、
その内公開されることでしょう。
(余談になるが、中継を見ていて、広東語の『殺破狼』の発音が、“サッポロ”に聞こえてしょうがなかった。)


毛舜筠は、主演作『黃金花』で、自閉症の子をもつ母親を演じているらしい。
その自閉症の息子を演じた凌文龍(リン・マンロン)も、
今回、最佳新演員(最優秀新人俳優賞)を受賞。
“新人”といっても、1986年生まれで、すでに30歳を過ぎている。
これまで、舞台を中心に活動してきて、映画は『黃金花』が初めてだから“新人”。
スクリーンデビューで、一気に注目の俳優に。


私個人的には、主演男/女優賞以上に、
姜皓文(フィリップ・キョン)の最佳男配角(最優秀助演男優賞)受賞の方が嬉しかったかも。

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屈折(?)33年、これまで3度ノミネートされ、51歳にして初めての受賞。
あのギョロ目にウルウルと涙を溜め、受賞のスピーチをする姜皓文の姿は、
広東語が判らなくても、グッと来るものがあった。


ちなみに、今回、主演男/女優賞、助演男/女優賞は、受賞者の年齢がやや高めで、
4人の平均年齢が、56.75歳とのこと。
まぁ、平均年齢を上げているのは、『明月幾時有』で助演女優賞の葉嫻(デニー・イップ)だろうけれど…。
葉嫻は、『明月幾時有』と同じ許鞍華監督と前回お仕事した『桃さんのしあわせ』(2012年)でも、
金像獎の主演女優賞を獲っている。
評判の新作『明月幾時有』は、香港の抗日を描いているため、
昨今の日本では無駄に騒ぐ輩も出現しそうだが、怯まず、是非ぜひ公開して欲しい。
(音楽は久石譲だし、永瀬正敏も出ているし、さらに言えば、許鞍華監督も日本のハーフです。)


日本公開情報を合わせてチェックすると、
最優秀新人監督賞受賞の『29歳問題』は、間も無く2018年5月19日に公開。
このタイミングで、日本で観られるのは、嬉しい。

最優秀脚本賞受賞の『相愛相親(そうしんそうあい)』も、一週間ほど前、こちらに記したように、
日本に買われ、2018年初秋の公開が決まり、すでに公式サイトが立ち上げられている。
そのサイトを見ると、タイトルが“『相愛相親(仮)』”となっているのだけれど、
別に“(仮)”じゃなくて、もうそのままで良いと思いますが…。

日本に入って来る香港映画は、アクション映画に偏っているので、
非アクション作品が入って来るのは、大歓迎。
もっと多種多様な作品が入って来るようになって欲しい。


香港以外に目を向け、大陸/台湾の作品を対象にした
最佳兩岸華語電影(最優秀両岸映画賞)を受賞したのは、台湾の『大仏+~大佛普拉斯』。
『芳華-Youth-『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』といった大陸の大ヒット作を抑えての受賞だったため、
台湾では、盛り上がっているようだ。
私が今一番観たい台湾映画も、映画祭で観逃した二本、
この『大仏+』と『血觀音~The Bold, the Corrupt, and the Beautiful 』である。



あと、今回の金像獎で印象的だったのは、
長年、茶水の係りを務めてきた楊蓉蓮(ポーリン)姐に、專業精神獎が贈られ、
成龍(ジャッキー・チェン)からトロフィを渡されたシーン。
茶水の裏方さんに光を当てるのが、なんか香港っぽくて、良いですね。
あっ、それと、アクション指導賞のプレゼンターとして登壇したタイのトニー・ジャーが、
突如広東語で<上海灘>を熱唱なんてシーンも。
なかなか面白い授賞式であった。




続いて、当ブログ恒例企画(?)、“勝手にファッション・チェック♪”。
昨晩の夜更かしで、非常に眠いため、いつも以上に雑&簡単に行きます。
題して、“超簡略版・金像獎勝手にファッション・チェック♪”。

★ 男子の部

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まずはザっと男性をチェック。


古天樂(ルイス・クー)

本年度の、そして自身初の影后に封じられた古天樂は、
とてもシンプルなブラックのブルックス・ブラザーズで。
ボウタイを、シャツと同じ白に合わせているのが、ポイント。
トロフィは、インドの人気俳優、アミール・カーンから授与された。


劉華(アンディ・ラウ)

結果的に、トロフィは、古天樂に渡ったが、劉華も『ショックウェーブ』で主演男優賞にノミネート。
お召し物は、黒の古天樂と対照的に、白のトム・フォードで。
白は、下手すると、ウェイターに見えてしまうので、難しい。
ええ、勿論、劉華サマなら、ウェイターと言っても、高級レストランのウェイターですが。


姜皓文(フィリップ・キョン)

香港映画10本中8本には出ているんじゃない?!ってほど出まくり、ようやく手にした助演男優賞受賞!
なんか痩せたようにも見えるけれど、気のせいだろうか。
ハレの日のお召し物は、ご本人に負けず劣らず個性的。
誰でも着こなせる装いではない。オッサンのマリン!姜皓文が着るとカッコイイ!

★ ブラック

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ここからは、女子の部。
まずは、定番のブラック。


毛舜筠(テレサ・モウ)

本年度の影后に封じられた毛舜筠は、
泰明小学校の制服で不本意にも注目が集まった(?)ジョルジオ・アルマーニ。
胸元の刺繍がオリエンタルな雰囲気。
合わせたジュエリーはティファニー。


麗欣(ステフィー・タン)

麗欣は、先月大阪アジアン映画祭でも上映された『空手道~The Empty Hands』で、
主演女優賞にノミネート。
大きくVに開いた胸元にネットをあしらったこのステラ・マッカトニーにお召し物は、
レッドカーペットの時の物ではなく、会場内でお着換えした物。

ちなみに、その『空手道』からは…

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日本の倉田保昭も助演男優賞にノミネートされ、授賞式にも出席。
私、倉田サンは、若い頃より、白髪がエレガントな70を過ぎた今の方が断然好み。

★ ペイルカラー

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麗欣(ステフィー・タン)

麗欣をもう一度。
こちらは、レッドカーペットで着ていたヴァレンティノ。
ベースカラーはピンク。
全体に凝った刺繍が施されているため、目くらましになっているが、実は足の辺りがヌーディーに透けている。
この日の麗欣は、どちらも素敵だったけれど、
彼女の個性には、もしかして、シンプルなブラックより、華やかで遊びのあるこちらの方がより似合うかも。


苗苗(ミャオミャオ)

名前を聞くまで、誰だか分からなかった。
『芳華-Youth-』で、文工団の団員たちからイジメに遭う小萍を演じた苗苗である。
その『芳華』が、最優秀両岸映画賞にノミネートされたため、出席。香港は初めてらしい。
映画の中だとドンくさかったけれど、
金像獎の会場では、スラっとスタイルが良く、それでいてピュアな雰囲気があり、ひと際目を引いた。
お召し物は、全体にスパンコールを散りばめたアルベルタ・フェレッティ。
下にストンと落ちる、ごくごくシンプルなラインで、色味も落ち着いており、
彼女自身の素材を引き立てていた。
いや、ホント、これがあの“ワキ汗”でイジメられていた小萍とは、信じ難い。
実物は綺麗だったのですね。さすが女優。



薛凱(フィオナ・シッ)

薛凱は、朗月婷(ラン・ユエティン)と共にプレゼンターとして参加。
細-い身体を、ふっくら大きく包み込むチュールが印象的なお召し物は、
台湾のブライダルブランド、Nicole+Felicia Couture。
お姫様のようであった。

★ 番外:趙薇

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趙薇(ヴィッキー・チャオ)

趙薇もプレゼンターとして参加。
なぜ彼女をここで取り上げたかと言うと、
真っ赤なガウンが、昨秋、審査員として参加した東京国際映画祭を思い起こしたから。
画像左が今回の物でヴァレンティノ、右が東京国際映画祭の時の物でステラ・マッカートニー。
趙薇は、赤が好きなのかしら。
東京国際映画祭の時の方がスッキリ見え、スタイリッシュでカッコよかった。
今回のこれは、ちょっとポッチャリと野暮ったく見えてしまうのが、残念。
足元は、ジュゼッペ・ザノッティのシルバーのプラットフォームなのだけれど、
東京国際映画祭の時に履いていた物と酷似。




昨日は、金像獎の中継を見てしまったので、
同時に行われた第8回北京國際電影節のオープニングを見ていない。
そちらでは、今年の審査委委員長は王家衛(ウォン・カーウァイ)。
北京の方も、華やかで楽しそう。

今春ラスト桜餅(+祝・張震カンヌで審査員♪)

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2018年5月8日、第71回カンヌ国際映画祭開幕。
今年のカンヌでは、コンペティション部門の審査委員長に、
オーストラリア出身の女優、ケイト・ブランシェットが就任したことは、もう随分前に発表されていたけれど、
本日、審査員団他の顔ぶれも明らかに。

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私が何を言いたいかお分かりになりました…?

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そう、私が溺愛する張震(チャン・チェン)が今年の審査員になっているのです。
張震サマ、おめでとうございます♪


他のメンバーも紹介しておくと、アメリカの脚本家で監督のエイヴァ・デュヴァーネイ、
フランスの監督ロベール・ゲディギャン、ブルンジ出身のシンガーで作曲家のカジャ・ニン、
フランスの女優レア・セドゥ、アメリカの女優クリステン・スチュワート、
カナダの監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ、そして、ロシアの監督アンドレイ・ズビャギンツェフ。


カンヌの公式サイトでは、それぞれの審査員が過去にカンヌと関わった作品も掲載。
張震は(↓)こんな感じ。
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結構ありますね。
作品数では、審査委員長のケイト・ブランシェット以上。
念の為、日本語で補足しておくと、画像上段左から、
『黒衣の刺客』(2015年)、『停車~Parking』(2008年)、『ブレス』(2007年)、
中段行って、『シルク』(2006年)、『百年恋歌』(2005年)、『2046』(2004年)、
そして下段、『グリーン・デスティニー』(2000年)、『ブエノスアイレス』(1997年)。

内、コンペティション部門に入選した作品は、
古い順に、『ブエノスアイレス』、『2046』、『百年恋歌』、『ブレス』、『黒衣の刺客』の5作品。
その内訳、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督作品2本、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督作品2本、
そして、韓国の金基(キム・ギドク)監督作品1本。
私好みの監督&作品ばかり。


台湾人がカンヌで審査員を務めるのは、李安(アン・リー)監督、女優・舒淇(スー・チー)に続き3人目、
華人の男優に絞ると、2003年の姜文(チアン・ウェン)以来なのだとか。
(もっとも姜文は、俳優業のみならず、監督としても広く知られているが。)
華人でも女優なら結構いて、昨年も范冰冰(ファン・ビンビン)が審査員をやっている。
そんな訳で、すでにあちらでは、“台灣之光”、“華人之光”と明るいニュースに。

一方、張震が“Chinese Actor”と紹介されている事も、いくつかの台湾メディアが早速食い付いている。
これ、主催者側の間違いではなく、張震合意の上で表記されている可能性もあると想像する。
数年前のカンヌで、舒淇が“Chinese Actress”とされた際も、台湾メディアが真っ先に食い付き、
「舒淇自らが“中国ではなく台湾だ”と毅然と否定した」などと勝手に盛って報道し、
映画なんて観ない日本のネトウヨまで中国憎しの念だけで盛り上がり、誤報が拡散されていったが、
その後、舒淇が「そんな事は言っていない」とその誤報を否定し、火消しに奔走する羽目となった。
張震が不服に感じたら、張震自身が訂正を申し出るだろうから、外野が面白半分で煽るのはやめて欲しい。
私の張震を無駄に騒動に巻き込まず、そっとしておいて欲しいワ。



そんな張震も審査員を務める今年のカンヌのコンペティション部門に、東アジアからは4作品が入選。

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日本からは最多の2本で、是枝裕和監督の『万引き家族』と濱口竜介監督の『寝ても覚めても』、
中国からは賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督の『江湖兒女~Ash Is Purest White』、
そして、韓国から李滄東(イ・チャンドン)監督の『バーニング~버닝 Burning』。
全部観たい。
日本の2作品は、公開確実だから問題なし。
最も観たい『江湖兒女』は、ビートたけしの独立問題でオフィス北野が揺れながらも、
取り敢えず今年は、東京フィルメックスの開催が決定したので、そこに期待。
(フィルメックスは、来年以降がホント心配…。
今まで無関心だった芸能人の独立騒動を、この度初めて注視した。
オフィス北野が手を引いたら、どうなってしまうのか…。フィルメックスの存続を強く願っております!)



ついでに、近々放送の要録画番組を一本。

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4月20日(金曜)、日テレで放送の『アナザースカイ』
今週のゲストは陳建一で、彼の“アナザースカイ”は、親子三代のルーツ、中国・四川。
以前、陳建一が、やはり自分のルーツを辿って四川を旅するNHKの番組があって、それも面白かった。
父・陳建民は、日本に根を下ろすまで、奔放に生きていたようで、家族の関係が確かちょっと複雑なのよね。
今回は、息子の陳建太郎も出演するそう。
父子一緒に四川旅でしょうか…?
麻婆豆腐発祥の店、点心の人気店、天才料理人の店など、鉄人が通う名店が続々、…だって。
これは楽しみ。



最後にお菓子を一つだけ。
東京の桜はとっくに散り、桜餅も和菓子屋さんの店頭から消える時期なので、駆け込みで購入。

★ 鈴懸:桜葉餅

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大きさは、長い部分で約5.5センチの俵型。
ヒヨクモチでこし餡を包み、上下に2枚の桜葉を添えた桜餅。




恐らく今春最後になるであろう桜餅は、鈴懸(公式サイト)“桜葉餅”
鈴懸はよく利用する和菓子屋さんだけれど、この桜葉餅を購入するのは、かなり久し振りだと思う。
久し振りの桜葉餅は、マイナーチェンジされていた。

福岡の和菓子屋さん・鈴懸の桜餅は、関西風の道明寺で、色は白。
使用しているのは、佐賀県産のヒヨクモチ。
原材料自体は、多分、以前と同じと察するが、炊き加減や扱い方に変化を感じる。
以前の道明寺は、粘り気が強く、柔らかめ。
対して、今回食べたこの道明寺は、ひと粒ひと粒にしっかりとコシがあり、全体的にも弾力を感じる。

中の餡にも変化。
こし餡であることには変わりはないが、以前は、鈴懸特有の藤色の餡で、
今回の物は、もっと濃い色の餡。
味も、コックリと濃いめになったかも。


道明寺は、ベタベタとあまり柔らか過ぎる物より、これくらいシッカリ弾力のある物の方が好み。
その道明寺に負けないよう、餡も濃いめにしたのかしら…?
ラスト桜餅、美味でした。

台湾ドラマ『恋の始まり、夢の終わり~荼蘼』

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2008年。
即席麺の会社で働く如薇の日課は、コンビニで新作カップ麺を試すこと。
そんな如薇を、毎日遠くから眺めているのは、コンビニの向かいにある設計事務所に勤務する有彥。
いつの間にか、如薇に惹かれていた有彥は、偶然を装い、彼女に近付き、やがて二人は恋に落ちる。
交際して3年の月日が流れた頃、上司から如薇に、上海支社で働いてみないかとの打診。
突如訪れた大きなチャンスに、夢が膨らむ如薇。
最初は乗り気ではなかった有彥も、如薇に触発され、職探しを始め、
なんとザハ・ハディドの上海オフィスに採用。
こうして、揃って上海行きの切符を手にし、明るい未来を思い描く二人に、想定外の出来事が降り掛かる。
有彥の父親が、交通事故に遭い、入院してしまったのだ。
長男の有彥は、父を介護するため、上海行きを断念。
如薇にも、2ツの選択肢が突きつけられる。
プランA、一人で上海へ行き、有彥と遠距離恋愛を続ける、
プランB、台湾に残って、有彥を支える。
話し合いの末、人生の岐路で、二人が下した決断は…。


2018年2月上旬、TVKテレビ神奈川で始まった台湾ドラマ『恋の始まり、夢の終わり~荼蘼』が、
約2ヶ月後の本日4月20日、全12話の放送を終了。
マンネリ化で駄作連発の台湾ドラマ界に、久々の光。
これ、なかなか面白いです。
しかも、全12話と台湾ドラマにしてはコンパクトにまとまっているため、あっという間の完走。

★ 概要

異なる監督が手掛けた8編のドラマから成る『植劇場』シリーズの一本。
この『植劇場』は、新しい試みのシリーズで、新人育成の場にもなっている。
8人の監督、王小棣(ワン・シャオディ)、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)、陳玉勳(チェン・ユーシュン)、
許傑輝(ジェフリー・シュー)、瞿友寧(チョウ・ヨウニン)、王明台(ワン・ミンタイ)、徐輔軍(シュー・フージュン)、
安哲毅(アン・ジャーイー)が共同で創設したQ Place表演教室で養成した24人の新人俳優を起用し、
すでに名の知れた人気俳優たちと共演させているのも一つの特徴。


そのシリーズの一編である『恋の始まり、夢の終わり』最大の売りは、
『光陰的故事~Time Story』『イタズラな恋愛白書~我可能不會愛你』といったヒット作で知られる
徐譽庭(シュー・ユーティン)が脚本を手掛けている事。
その徐譽庭の脚本をドラマにしたのは、
『インターン~大醫院小醫師』、『赴宴~Banquet』に続き、
彼女とのコラボが3度目になる前出の有名監督・王小棣(ワン・シャオディ)
実際には、王小棣と、撮影出身の黃天仁(ホアン・ティエンレン)との共同監督作品である。


原題は『荼蘼』。
随分難しい漢字ですよね。発音は“tǘmí”。
お花の名前で、日本では、“トキンイバラ”、もしくは“ボタンイバラ”と呼ばれているそう(…聞いたこと無いし)。

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中国原産のバラ科の植物らしい。
中華圏でどれ程度メジャーなお花なのかは不明だが、
小説<紅楼夢>の中や、王菲(フェイ・ウォン)の歌<開到荼蘼>に登場。
荼蘼は、一般的にお花の季節とされる春が終わる頃から夏にかけて開花する植物なので、
荼蘼が散った後は、もう次に咲く花は無い。
つまり、荼蘼の開花は、お花のシーズンの終了を意味する。
そんな事から、文学の世界などでは、この荼蘼の開花を、女性の人生に重ね、
華やいだ時期が終わりに近付いている事を暗に表現しているワケ。
原題『荼蘼』を、『恋の始まり、夢の終わり』とした本ドラマの邦題は、満更間違っていない。
女性をドンヨリ暗くするお題ですね(苦笑)。
但し、脚本家の徐譽庭は、一般的な解釈からさらに一歩踏み込み、
お花の季節が終われば、次に新たなお花の季節が到来するという意味をも込め、
『荼蘼』をタイトルにしたという。

実は、『荼蘼』が本決まりになる前に付けられていたタイトルは『第一萬零九百五十天』(=第10950日)。
この数を、365日(=一年)で割ると、30に。
元々のこのタイトルからは、30歳の女性を描いた物語であることが判る。

★ 物語

上海勤務のビッグチャンスが到来するも、交際3年の恋人・有彥の父親が突如倒れたことで、
人生の岐路に立たされた如薇を描く、“正しいのはどっち?!揺れるアラサー人生選択物語”。


人生の中では、誰しも、選択を迫られる機会がしばしば訪れる。
自分の身は一つなので、一つの選択肢しか取れない。
ある選択肢を取った結果、3年後、5年後に、自分がどうなっているのかが分かれば、選ぶのも簡単だが、
残念なことに、将来は見えないので、伸るか反るかの賭けに出るしかないのが現実。
このドラマの面白いところは、人生の選択に迫られた主人公・如薇が、
Aという選択肢を取った場合と、Bという選択肢を取った場合の両方の“その後”を
並行して見せてくれている点。

上海勤務というビッグチャンスを得たものの、恋人・有彥の父親が突如要介護になる想定がが起きたため、
主人公・如薇に突き付けられた選択肢は、以下の2ツ。

プランA:一人で上海へ行き、有彥とは遠距離恋愛を続ける。
プランB:上海行きを諦め、台湾に残り、有彥を近くで支え続ける。

突き詰めると、よく有る“仕事か恋愛(結婚)か”という選択である。
脚本家・徐譽庭は、30歳前後は女性にとって迷いやプレッシャーが特に多い時期であると感じており、
だからこそ、最近は、その年頃の女性を主人公にした脚本を多く書くようになったみたい。
有名なところでは、『イタズラな恋愛白書』の主人公・程又青が然り。
程又青が、本ドラマの如薇と違うのは、
迷ったところで、仕事でも恋愛でも、絶対に“最高”、“勝ち”を狙おうとする点である。

本ドラマの如薇が求める物は、もっとささやか。
このままコツコツ働けば、社内でそれなりの地位には付けるけれど、
20年耐えたところで、4万元程度の月給しか得られない台湾で埋もれていくのはイヤだから、
高給と新たな可能性を求め、上海へ行くべきか、
はたまた、ワンランク上の生活や自分を高める事より、
好きな人と毎日一緒にゴハンを食べる平凡な幸せを選ぶべきか…。
ささやかなだけに、現代台湾をよりリアルに感じられるし、台湾の人々にとっては、共鳴し易いドラマかも。

★ キャスト その①:女性主人公・鄭如薇

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楊丞琳(レイニー・ヤン):鄭如薇~即席麺の会社に勤務するOL

台湾偶像劇が日本に入り始めた初期から常にメディアに露出しているため、
日本人にとっては、台湾を代表するアイドル女優の一人になっている楊丞琳だけれど、
実は、台湾で長編ドラマに出演するのは、
かつては“可愛教主”と呼ばれ、実年齢より若く見えるカワイ子ちゃんタイプゆえ、
下手すると、25歳くらいをピークに需要が減り、消えて行ってもおかしくなかった楊丞琳だが、
女性同士の同性愛を描く映画『TATOO-刺青-』(2007年)に主演したり、
『笑うハナに恋きたる~不良笑花』でブッ飛んだ不思議ちゃんを演じたり、
『最後はキミを好きになる!』では見た目からカワイイを卒業したりと、
要所要所で自分の違う面を出していき、案外上手いこと大人の女優へのシフトに成功している。

この『恋の始まり、夢の終わり』で演じている如薇は、本人と同世代のアラサー。
現実の世界で、バリバリ仕事に邁進する派と、家庭に落ち着いていく派とに、分かれていき易いお年頃。
ドラマの中では、楊丞琳が、その両方を演じ分けている。

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スタート地点こそ同じでも、
プランAを選び、上海へ発った如薇は、凡庸なOLから、華やかで出来るキャリアウーマンに飛躍し、
プランBを選び、台湾に残った如薇は、お金にも時間にも余裕が無い生活に消耗されていく…。

扮する楊丞琳は、十代半ばから大人の世界で働き、精神的にも経済的にもシッカリした女性のはず。
プランAの姐御タイプの如薇を見ながら、
実際の楊丞琳も、可愛らしい見た目とは裏腹に、こういうテキパキした姐御肌なのではないかと想像した。

プランBはねぇ、私にとっては、迷うまでもなく、有り得ない選択肢。
恋人・有彥の狭ーい実家に住み込み、雑用に追われる日々…。
台湾ドラマでは、ほとんどの場合、長男の嫁は、まるで“都合よくタダで雇われたお手伝いさん”と化す。
台湾育ちの台湾人女性は、それを自然に受け入れ、家族の一員になった喜びと捉えるのかも知れないが、
日本の都会で、中流以上の家庭で育った女性の90%は、あの状況に耐えられなくなるのでは。

このプランBの如薇は、有彥の仕事と経済基盤をまず整えてから結婚と考えているのだけれど、
計画外の妊娠が発覚したため、入籍し、出産するという“プランC”への移行を余儀なくされる。
きちんと計画を立てたつもりでも、人生には番狂わせが起きるものですね。


ちなみに、演じている楊丞琳自身、30代の今、そろそろ人生の次のステージへ行きそうな予感…?

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大陸の売れっ子シンガーソングライター李榮浩(リー・ロンハオ)とは交際3年。
過去にも色々と恋の噂があった楊丞琳だけれど、今回はかなり特別なようで、
最近もインタヴュで、「デビュー18年で初めて普通の人になりたいと思った」と語るなど、
李榮浩大好き!の気持ちと幸せオーラが溢れているのよねぇ。
結婚して引退という山口百恵のような選択肢は、楊丞琳には無いと思うけれど、
近い将来、おめでたいニュースが舞い込む可能性は大。

★ キャスト その②:男性主人公・湯有彥

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顏毓麟(イェン・ユーリン/ヤン・ユーリー:湯有彥~設計事務所に勤務する如薇の恋人

有彥は、恋人・如薇に上海勤務の話が持ち上がったのを機に、
彼女と現地で暮らすため、自分も職を見付け、あとは出発するばかりとなった矢先、
父親が事故に遭い、夢を断念する、ごく平凡な青年。
彼が見付けた仕事って、日本語字幕には訳されていなかったが、なんとザハ・ハディドの上海事務所なの。
平凡な青年に、そんなオイシイ話が飛び込んできたら、何が起きても、普通断念しないでしょ…?!
但し、日本でも大きく報道されたように、現実世界で、そのザハ・ハディドは、その後2016年にまさかの急逝。
有彥も如薇と共に上海へ行って働きだすが→ザハ・ハディドの急死で上海事務所が閉鎖され→現地で失業、
…というドラマの番外編、有彥の“プランA-α”を、私は勝手に想像した。

扮する顏毓麟は、偶像劇の王子様タイプではなく、ごくごく平均的な台湾人という印象で、この有彥にピッタリ。
恐らく、本作品で日本初お披露目となる新人俳優。
過去に広告や映像作品への出演経験があったものの、兵役で芸能活動を中断したら、
退役後再開しても上手く行かず、一時期サラリーマンをやっていたが、
2015年、Q Place表演教室の俳優選抜に通り、第2期生として同コースを修了、
2016年に本ドラマに起用された、…という経歴の持ち主。
顏毓麟のようなフツーの人が、フツーの男性役で主演を張れるとは、
マンネリ化した台湾ドラマ界に一縷の望み。


ついでに記しておくと、顏毓麟扮する湯有彥の両親を演じているのは、(↓)こちらのベテラン。

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父・湯剛に張復建(チャン・フージェン)、母・周亞青に陳季霞(チェン・チーシャー)
湯ママは、台湾にこういうオバちゃん居るっ!と思わせる庶民的で気兼ねのないオバちゃん。
演じる周亞青には、故・文英(ウェン・イン)の面影がちょっと重なった。
結婚相手にこういう姑が漏れなく付いてきたら、私だったら、絶対に耐え切れず、離婚だけれど、
湯パパの奥ゆかしさが、妻の図々しさをカバーしているから、ドラマの中では、まぁ許せます。
典型的な“割れ鍋に綴じ蓋”夫婦ですね。
ドラマも終盤になると、湯パパは、3歳の時、近所の優しいおばさんに、誘拐同然で連れられ、
大陸から渡ってきた外省人一世であることが、本人の口からポロリと語られる。
一口に“台湾人”といっても、様々な背景を背負っている人が居ることを、改めて感じさせるシーン。
演じている張復建自身、3歳の時、出生地の青島から(祖籍は湖北)、両親に連れられ、
まず香港へ渡り、その後台湾へやって来た外省人。
但し、張復建を連れ大陸を離れた彼の親は生みの親なので、そこはドラマとは違う。


なお、ドラマ日本公式サイトによる、顏毓麟の名の片仮名表記“ヤン・ユーリン”は明らかにおかしい。
台湾ドラマの配給に不慣れな会社じゃないのに、なぜこのような間違いをそのままサイトに載せたのか?

★ キャスト その③:その他

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路斯明(ジョニー・ルー):容亦超~上海支社の社長 香港出身

容亦超は、如薇の才能を見抜き、彼女と秘密の関係を続けながら、ビジネスを叩き込む香港人上司。
「本気で人を愛しては駄目だ」と言いながら、毎週末如薇と密会を重ねるの。
本当にビジネスを教えたいのなら、レッスン代を取ってでも、それだけに徹すれば良いものを、
「愛情なし」と釘を刺した上で、ちゃっかり如薇と肉体関係を持つとは、なんて都合のいい男。
そんな容亦超を好きになれない私だったが、彼が失踪した後、実父との複雑な関係や確執、
また、如薇に対する想いが感じられたのが救い。
演じている路斯明は、香港人ではなく、本当は台湾人。
子供の頃からアメリカで育ち、香港で芸能活動を開始した人だから、
一般的な台湾人とは違う雰囲気を醸し、香港人役でもあまり違和感ないかも。
さらに補足すると、路斯明自身、役と同じように、実父とは離れたところで成長している。
今は亡き彼の父・陳功は、陳楚河(バロン・チェン)の父である台湾黒社会の大物・陳啟禮と共に、
竹聯幫を創設した人物。つまりは、ヤーさん(…しかも、筋金入りの)。
陳功が、普通の極道とちょっと違ったのは、ファッション。

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めっちゃ個性派。あちらでは、生前、“嘻皮(ヒッピー)教父”と呼ばれていたらしい。


吳岳(ウー・ユエジー):趙輝~田舎ら上京し、如薇行きつけの上海の食堂で働く青年

失踪した香港人社長・容亦超からビジネスを学んだ如薇が、独立してレストランをオープンする際、
その店にスカウトした青年が趙輝。
頼れる姉と可愛い弟のような関係だが、もしかして恋に発展?と匂わせた矢先に事故死…!ぎゃーっ!
まさかこのような形で、趙輝クンが、突如物語から姿を消すとは…。
扮する吳岳は、主演の顏毓麟と同様、Q Place表演教室のレッスンを受けた24人の新人の一人。
趙輝を演じるにあたり、安徽訛りを練習したらしいが、
うーん、まとう雰囲気が、大陸の農民工ではなく、どうしても今どきの台湾人青年に見えてしまう。
このシリーズは、新人養成を兼ねているので、台湾人の吳岳起用が必須なのは分かるけれど、
ドラマのリアリティを重視するなら、本当だったら、大陸の俳優を起用した方が良かった。


謝盈萱(シェ・インシュエン):張姐~如薇の上司

張姐は、如薇の会社の上司ではあるが、頼れて、相談のできる姉のような存在。
自身は結婚で家庭に縛られるようになった事を悔いているため、
如薇には、恋人の実家に縛られない生き方や上海行きを勧める。
とても台湾っぽい姐御で、出番は多くないけれど、私は結構好きな役。
扮する謝盈萱は、舞台出身の女優さん。
映像作品への出演が少ないので、新鮮味があるし、
こういうシッカリした役者がいると、ドラマ全体も引き締まる。

★ テーマ曲

テーマ曲、オープニングは<年輪說>、エンディングは<相愛的方法>
共に、主演女優・楊丞琳が歌っております。
私は、どちらかと言うとオープニング曲の方が好きなので、ここにはその<年輪說>を。






最終回では、プランAの如薇とプランBの如薇が対峙。
仕事で成功しても、有彥を失い、誰とも結婚せず、子供もいないプランAの如薇が負けなのか、
はたまた、有彥のために台湾に残ったものの、彼の家の犠牲になってしまったプランBの如薇が負けなのか?
結局のところ、どちらの選択肢でも、勝ち負けも正誤もなく、
紆余曲折を経て、荼蘼(ボタンイバラ)はきっとまた咲く…、という希望のあるエンディングであった。

久々に台湾ドラマで楽しめた。
重厚で小難しい文芸作品ではなく、娯楽性を備えているが、
かと言って、いわゆる“偶像劇”のような少女漫画的世界観ではなく、
リアリティがあって、きちんと地に足が付いているから、大人の視聴に耐え得るドラマ。
偶像劇にゲンナリし、もう何年も台湾ドラマは観ていないという人にも、これはお薦め。
…ただ、残念な事に、続かない。
TVKテレビ神奈川、土曜昼のこの枠で次に放送するのは『アテンションLOVE~稍息立正我愛你』。
結局、幼稚な偶像劇に逆戻り…。
Q Place表演教室のような人材育成の機関が誕生しても、学んだ新人が充分活躍できる受け皿に乏しく、
相も変わらず制作され続けているのは幼稚な偶像劇ばかり…。
台湾ドラマ界が蘇るとしても、それにはまだまだ時間を要しそうだ。
いや、現時点でも、良質な台湾ドラマが皆無という訳ではない。
まったく流行らないのに、なぜか偶像劇に固執して買い続けている日本の配給会社にも問題が。

ついでに言っておくと、そのお気楽偶像劇『アテンションLOVE』でさえ、
日本語字幕で人名を“漢字+片仮名ルビ”で表記しているのに、
それより高尚な(?)この『恋の始まり、夢の終わり』は、なぜ片仮名表記にしてしまったのか…?!
しかも、前述のように、主演男優・顏毓麟を、“ヤン・ユーリン”の誤表記で紹介しちゃっているし…。
日本に入って来る台湾ドラマの中では、近年マレな良作なだけに、このような失態は実に残念。

華僑服務社で中国黒酢

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中国の黒酢は便利なので、家に常備。
買っているのは、中国四大名酢の一つ、江蘇省鎮江の特産、鎮江香醋。
強いコダワリがあるわけではなく、それが日本で最も出回っている、購入し易い中国の黒酢だから。

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この黄色いラベル、よく見掛けますよね。

私はいつも、新宿の“知音”という中華食材&雑貨店で購入していた。
知音は、新宿駅から近いという好立地で、しかも安い。

以前、知音で、2種類の鎮江香醋が棚に並んでいた。
確か、高い方でも値段は一本200円(!)、安い方に至っては、120円(!!)の破格であった。
ボトルのデザインが似ているため、値段の差が何なのか分からず、店主に尋ねたら、
「こっち(高い方)ブランド、こっち(安い方)ブランドじゃない」とシンプルな回答。
じゃぁ、どうせなら!と、ブランド品買いましたよ、200円で(笑)。

で、ちょっと前、お酢が切れそうになったので、久し振りに知音へ行ったら、
入居している雑居ビルが、工事のシートで覆われている。
外装工事だと思い、シートを除け、中へ入ろうとしたら、
工事を請け負ってる職人さんに「中、もう何も無いヨ」と言われた。
どこかに引っ越したのか、仮設店舗で営業してるのかを知りたくて、その場で知音に電話をしたら、
「この番号は現在使われておりません」のメッセージ。
ガーン…!
こうして、私は、便利な場所にある行きつけの中華食材店を失った…。

池袋なら、その手のお店が何軒かあるのは知っている。
でも、お酢だけのために、池袋へ行くのは面倒くさい…。
新宿だって華人が多いのだから、お店はきっと有るはず!と信じ、調べたけれど、見付からず、
結局、諦めて、お隣りの新大久保まで足をのばすことにした。



目的のお店は、(↓)こちら。

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華僑服務社(かきょう・ふくむしゃ)。
私は、新宿歌舞伎町から歩いて、所要約15分。
JR新大久保駅からだったら、徒歩2分程度の場所。

地下1階が一般食材、2階が冷凍食品、3階がお酒、DVD、CD、日用雑貨、書籍など。
私はお酢目当てだったので、地下1階へ直行。

お客さんが結構いたので、店内全体を見渡す写真は撮っていない。
客層は、日本在住華人と思しき人と、私のような日本人が、半々くらい。

早速お酢探し。
キョロキョロしながら、縦長の店内を進むと、奥にありました、お酢コーナー!

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想像していたより品揃えが良い。

お馴染み鎮江香醋は、ここでもやはり安い。
でも、これだけあるのだから、どうせなら、他の物を試したい。


で、今回のmango'sセレクトは、(↓)こちら。

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鎮江香醋と同じように、中国四大名酢の一つに挙げられる山西省の山西老陳醋。
山西老陳醋だけでも何種類かあったが、鎮江香醋と比べ、どれも平均的にボトルのデザインが良い。
中国は、良質な伝統食品を作っているメーカーでも、
パッケージデザインが悪く、安っぽく見え、損をしていると感じることが多々あったけれど、
この分野も近年改良されてきている。
原産地呼称などで、地域の特産の保護やブランド化も進んでいるように見受けるし、
元々食の大国なので、このまま行けば、この分野でフランスやイタリア以上になるでしょうね。


私がこの度選んだ山西老陳醋は、5年熟成物。
お値段は、陳列されていた物の中で最も高級な(笑)248円也(税抜き)。
舌が慣れている鎮江香醋と比べ、お味はどうでしょう…?
試すのが楽しみ。
これが気に入れば、次回も山西老陳醋で、気に入らなければ、毎度の鎮江香醋に戻ります。



今回は時間が無かったので、お酢以外はちゃんと見ていない。
次回は、上の階も覗いてみたい。

なお、新宿駅近辺にこの手のお店があるならば、是非知りたい。
情報、引き続き、募集中。



◆◇◆ 華僑服務社 ◆◇◆
東京都 新宿区 百人町 2-11-2

 03-5338-5131

 10:00~24:00

 JR新大久保駅から徒歩2分程度

お土産の土鳳梨酥(+中華ドラマ配給会社にイエローカード、その他諸々)

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来月5月のケーブルテレビ番組表をチェックしていたら、
LaLaTVで始まる新番組に『酔麗花~エターナル・ラブ』という中華or韓国ドラマらしき物がある。
何だろうと疑問に思い調べたら、劉詩詩(リウ・シーシー)主演の『醉玲瓏~Lost Love in Times』であった。
同じNBCユニバーサルが配給する作品では、『大唐榮耀~The Glory of Tang Dynasty』も、
現在チャンネル銀河にて、『麗王別姫~花散る永遠の愛』の邦題で放送中。

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NBCでは、目下、“麗”の字を使うのが、社内ブームなの…?
原題から掛け離れていて分かりにくい上、似ていて紛らわしい。
別の配給で、今『麗姫と始皇帝』というのも放送中なので、益々混乱。
但し、『麗姫と始皇帝』は、原題が『秦時麗人明月心/麗姫傳』だし、実際、物語の中に麗姫が登場。
一方、『麗王別姫』には、今のところ、“麗王”なる人物は出てこない(この先も出てくることはないであろう)。

何の脈絡もなく“麗”を使うのって、なんか元ヤンが娘に付けるキラキラネームっぽくて、陳腐…。
NBCの2本は、サブタイトルまで“エターナル・ラヴ=永遠の愛”で揃え、陳腐の上塗り。

『醉玲瓏』は、“醉”のみ日本風の漢字“酔”に置き換え、『酔玲瓏(すいれいろう)』で良かったのに…。
以前、こちらにも記したが、“玲瓏”は…

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将棋の羽生善治竜王が揮毫にしており、今や広く知られる言葉であり、“れいろう”で一発変換もできる。
むしろ、俗っぽい“麗花”の方が、漢字の変換が面倒なのヨ。

NBCは、現代モノでも、かつて、台湾の大ヒット偶像劇『我可能不會愛你』を、
『イタズラな恋愛白書』と題した前科あり(←しかも重罪)。
“趣味が悪い”は、風邪で体調が悪いのとは違い、なかなか治らないから厄介。



まぁ、『麗王別姫』も『酔麗花』も、私にとってはまったく思い入れの無いドラマなので、まだ目も瞑れる。
残念でならないのは、同じくNBC配給で、元々興味のあった『ミーユエ 王朝を照らす月~羋月傳』である。

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『琅琊榜(ろうやぼう)<弐> 風雲来る長林軍~琅琊榜之風起長林』目当てで衛星劇場を契約したところ、
ちょうど再放送が始まったので、こちらも視聴。

主人公“羋月”の姓“羋”の字は、非常にレアな漢字なので、邦題に使いづらいのは理解できる。
でもさぁー、ドラマ本編の日本語字幕で、
主人公の親族が全員“羋(び)”姓なのに、主人公だけ“ミー”って、ナンなのよ?!
しかも下の名前も、他の兄弟たちは“姝(しゅ)”、“茵(いん)”、“戎(じゅ)”、“冉(ぜん)”といった具合なのに、
主人公だけ“ユエ”…。
この場合、“月(げつ)”でしょー…??!
“劉備(りゅうび)”、“孫堅(そんけん)”、“孔明(こうめい)”といった<三国志>の英雄の中で、
“曹操”一人だけを“ツァオツァオ”と表記するのと同じくらい滑稽。
NBCは、「“び・げつ”じゃ可愛くなぁ~い!“ミーユエ”の方が響きがカワイイ♪」という愚かしい思い付きで、
主人公の名前の表記を決めてしまったという気がしてならない…。

黃歇役で出演の黃軒(ホアン・シュエン)も、“ホアン・シュアン”の誤表記で堂々と紹介しちゃっているし…。
別の黃軒主演ドラマ『女医 明妃伝~女醫·明妃傳』を先に入れた某配給会社に追随したのだろうけれど。
韓流を主流にやってきた配給会社が、中華モノに手を出すのは結構だが、
その場合は、元々の中華作品ファンを幻滅させなよう、細心の注意を払って欲しい。


NBCは、『武則天 The Empress~武媚娘傳奇』を「中国時代劇歴代視聴率NO.1!」、
『秀麗伝~秀麗江山之長歌行』を「『武則天』に続く2017年中国時代劇NO.1!」と謳ったり、
『麗王別姫』を「巨匠チャン・イーモウのドリームチームのよる超大型歴史エンターテインメント!」と宣伝したり、
ン…?と首をかしげてしまうことが多々あり。
100%の嘘ではないけれど、10%の真実を120%に盛るアザトい宣伝が目につく。
恐らく財力があるから、大作をどんどん買えるわけで、
そのお陰で、我々も新たなドラマにあり付けていることを承知しているので、
不満はかなり控えめに言っているつもり。
でもね、視聴者がグッとこらえている内に改善していかないと、その内、人々の不満は噴出しますから。
今は、イエローカードを出すに留めておきます。

勝手に“ホアン・シュアン”にされた黃軒(ホアン・シュエン)については、こちら“大陸男前名鑑:黃軒”を。



ついでに、近々放送の要録画番組を2本。

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一本目は、4月28日(土曜)、NHK BSプレミアムで放送の『中国秘境 四川美人谷』
四川省成都から約400キロ、
母系社会の伝統が残る山岳民族・嘉絨藏族(ギャロン・チベット族)が多く暮らす集落、
丹巴縣の“美人谷”を、俳優・満島真之介が取材。
満島クンは、ちょうど2年前にも、NHKで、タクラマカン砂漠(塔克拉瑪干沙漠)の奥深くに暮らす
“楼蘭の末裔”と言われる謎の民を取材していましたよね。
もうすっかり“秘境御用俳優”。
顔が濃いぃから、前回の取材では、現地の西域にしっくり馴染んでいた。

今回の美人谷は、日本では“alan”の名で活動した歌手、
“阿蘭”こと阿蘭·達瓦卓瑪(アラン・ダオジュオマ)の出身地。
日本を引き揚げ、帰国してからの活動に関しては、
ドラマ『宮廷女官 若曦(ジャクギ)~步步驚心』のオープニング曲<一念執着>を、
胡歌(フー・ゴー)とデュエットしていた事が印象に残っているくらいで、あとはあまりよく知らない。
試しに彼女の微博を覗いてみたら、今でもお仕事で日本に来ることはあるみたい。

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阿蘭が、こういうコスプレをする人だとは知らなかった。
このロリータファッションで帰省したら、美人谷の村人は腰抜かすかもね。
ちなみに、阿蘭は、ズバリ<美人谷>という歌も歌っているようだ。
NHKの番組のBGMにも使われるでしょうか…?


デュエット曲<一念執着>繋がりで、公開されたばかりの胡歌のお仕事も。

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<VOGUE 服飾與美容>6月号の表紙。
有名なイタリア人ファッションフォトグラファー、パオロ・ロヴェルシによる撮影。
お相手は、新進の(でもすでに売れっ子の)オランダ出身モデル、ルナ・ベイル。
撮影は、初春にミラノで行われたらしい。
パオロ・ロヴェルシらしい色味で雰囲気のあるお写真。
パオロ・ロヴェルシは意識していなかっただろうが、首元のファーが、ちょっぴり宗主を彷彿。
サインは、“Hu Ge(胡歌)”のスペルがビミョー(苦笑)。


話を戻してテレビ。

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月をまたいで5月3日(木曜)、NHK BS1で放送の『地球タクシー』
世界各地でタクシーに乗り、ドライバーとの出会いから街を散策する紀行ドキュメント番組。
今回、訪れるのは、イギリスから中国に返還され20年になる香港。
香港の街並みは、見ているだけで気分が上がるので、これは楽しみ。

★ お土産の土鳳梨酥

本題はこちら。

先日、父の関係で、久々に、多数の台湾人ゲストを接待することとなり、パーティーへ。
例の如く、沢山のお土産を頂き、その中に鳳梨酥(パイナップルケーキ)も。
台湾菓子は、子供の頃から身近にあったが、良い印象が無く、
好きか嫌いかと聞かれれば、ずっと嫌いであった。
大人になってから、自発的に台湾に興味をもち、積極的に台湾菓子を食べるようになった人々と、
私の感覚は違うと思う。
今でも、わざわざ自分で買ってまで食べたい物ではないけれど、
近年、台湾菓子の質が向上したのか、私自身の好き嫌いが減ったのか、口にすることもしばしば。

台湾土産の定番・鳳梨酥は、最近、日本でも色々な場所で売られているが、
やはり自分では買わないので、せっかく頂いたこの機会に、食べることにした。


頂いたのは、正確には“鳳梨酥”ではなく、100%台湾原産のパイナップルを使用した“土鳳梨酥”。
一般的に、“鳳梨酥”の方は、餡にパイナップルのみならず、冬瓜が混ぜられている。
混ぜ物をしているのは、セコイ偽物かと言うと、そうでもなく、
むしろ伝統的な鳳梨酥は、パイナップルと冬瓜のミックス餡なのだとか。
でも、消費者の味の志向の変化とか、100%パイナップルの方が高級に感じるというイメージなのか、
近年は、“土鳳梨酥”が流行っているように見受けますよね。

そんな一種のブームで、「うちのは“鳳梨酥”ではなく“土鳳梨酥”」を売りにするメーカーも多いので、
頂いた物が、何という会社/お店の物なのかが、気になった。
ところが、箱も包装紙も隅々までチェックしたのに、社名の記載がどこにも無い…!

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箱は、千代紙や水引を連想させる和風のデザイン。しかも…

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箱には「幸せになってね」、紙袋には「だから幸せ」という日本語。
もしかして、羽田空港のお土産コーナーで買った日本製だったりして(笑)。
嘘、嘘。それはない。
引き出物など大量の受注で、社名を伏せ生産している会社かも…?

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箱の中には、黄色い包みが8個。



では、実食。

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大きさは、約4.5センチ角。
重さは、45グラム±5グラム。


この画像で分かるだろうか。
生地の表面が、干上がった沼地みたいに(?)ガビガビザラザラしているの。

一般的な鳳梨酥の生地は、良く言えば“シンプルで素朴”だが、
悪く言うと、焼きの甘い小麦粉の塊のようで、どうも苦手。
説明しづらいが、なんか口の中の水分がどんどん失われていく感じのモソモソとした質感なのだ。
だから、以前台湾人に教わった通り、大抵、オーブンで焼いて食べている。
焼くと、モッサリ感が薄れ、表面はサクッ、中はホロっとした食感に変わり、ぐっと食べ易くなる。

一方、この頂き物の生地は、一見パイ生地。
実際にはパイではなく、表層をサクッとさせたクッキー生地みたいな感じで、重過ぎず軽過ぎず。
生地の厚みは、一般的な鳳梨酥に比べ、やや薄いかも。
だから、口の中で、モソモソしない。

中の餡は、甘さと酸味のバランス良し。
パイナップルの素材は活かされているけれど、繊維が口に残ることはなく、
もちろん、水飴で煮詰めたようなネッチョリした質感でもない。



ぜんぜん期待せずに食べたら、意外と美味しかった。
日本人に人気の微熱山丘(サニーヒルズ)の土鳳梨酥より、こちらの方が食べ易い。
通常の鳳梨酥は、一個食べれば充分だが、
これは、大き過ぎず、皮も厚過ぎないので、2個目にも手がのびる。
これから黄金周、夏休みと、台湾へ遊びに行く方々、お試しにどーぞ!
…とお薦めしようにも、製造メーカー名が分からなくて残念。

映画『スマート・チェイス』

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【2017年/中国/95min.】
中国・上海。
プライベート・セキュリティー・エージェントS.M.A.R.T安保のダニー・ストラットンは、
客から預かったゴッホの<ひまわり>を輸送中、何者かに襲撃され、大切な名画を奪われてしまう。
すっかり信用を失った上、私生活では、恋人・莫凌との仲もギクシャク。
莫凌の叔父で、S.M.A.R.Tのメンバーでもある馬赫らとつるみ、セコイ詐欺で小遣い稼ぎをする日々。

あの襲撃事件から12ヶ月。
開店休業状態のS.M.A.R.Tに、幸運にも、美術館から仕事の依頼が舞い込む。
“十二月神瓶”と呼ばれる3600万ドルもする国宝級の青花器を、ロンドンへ運んで欲しいというのだ。
これは、汚名をそそぐまたとないチャンス。
早速、ダニー、馬赫、そして紅一点の婕婕は、ITヲタの少年・叮噹を司令塔に、
連携して十二月神瓶の輸送をスタート。
ところが、悪夢再び。
空港への道中、あろう事か、またまた襲撃に遭い、お宝強奪…。
ダニーは確信する、犯人は一年前のあの事件とと同一人物であると。
だったら、壺のみならず、ゴッホの名画も一緒に取り戻してやる…!
気乗りしないS.M.A.R.Tメンバーも、ダニーの熱意に負け、犯人の行方を探り始めるが…。



これまでテレビ番組の演出を手掛けてきたイギリス人監督、
チャールズ・マーティンによる長編映画初監督作品。

私が、本作品の制作に関する第一報を知ったのは、2016年2月頃。
その時は、『世界最速のインディアン』(2005年)などでお馴染みのロジャー・ドナルドソンが監督が
メガホンをとると報道されていた。
いつの間にか、監督が交代していたのですね。

監督はイギリス人でも、キャストの大半は中華圏の俳優で、中国を舞台にした、れっきとした中国映画。
日本に入って来る可能性は低いと思っていたが、意外にも日本上陸。
但し、限られた期間の小規模公開。
この機会を逃さぬよう、慌てて映画館へ。



本作品は、一度ならず二度も襲撃され、客から預かったお宝を強奪されてしまった
プライベート・セキュリティー・エージェントS.M.A.R.T安保のダニーが、
2ツの事件が同一犯によるものだと気付き、仲間と共に、犯人を追い、
お宝と失った信頼を取り戻そうと奮闘する姿を描くアクション映画


一年前の犯人と、新たな事件の犯人が、同一犯であることは、早々に判る。
判明に至る経緯には何のヒネリも無く、
襲われた本人ダニーが、「絶対に同じ人物だ」と言い切るので(笑)。

犯人からお宝を取り戻す経緯や、
犯行グループの背後にいる真の犯人“黒幕”が誰なのか、
またその黒幕の目的は何なのかというミステリー要素の方が見所かも。
(もっとも、そんな複雑な話ではないので、簡単に裏は読めてしまうが。)



物語の舞台は、中国・上海。
大陸映画界は好景気で、贅沢な海外ロケをする作品が近年非常に多いため、
本作品も、上海とロンドンの2都市を舞台に繰り広げられるものと想像していたら、
空港に向かう道中でお宝が強奪されたので、上海で足止めを食らい、結局ロンドンへは行かず仕舞い。
私は、上海の景色を見る方が気分が上がるので、それでも別に構わないが。
近未来的夜景や、下町風情が残る場所など、
イギリス人監督が感激したであろう上海の風景が、スクリーンを彩る。

使用言語は英語と中国語が7:3くらい。
日本語字幕は、英語からの訳と推測。
なので、上海へ行ったことのある普通の日本人観光客でさえ知っている有名ストリート“福州路”が、
“フーチョウ道路”などと記されてしまう残念な訳も多い。




キャストは、大半が中華圏の俳優。
配給会社は、どうやら中華エンタメに暗いようで、
映画公式サイトのキャスト紹介は、不充分な上、間違いも多い。

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まずは、プライベート・セキュリティー・エージェントS.M.A.R.T安保のメンバーから。
名誉挽回を賭け犯人を追うダニー・ストラットンにオーランド・ブルーム
ダニーの恋人・莫凌の伯父でもある馬赫に任達華(サイモン・ヤム)
ITヲタの少年・叮噹に吳磊(ウー・レイ)
紅一点の婕婕に昆凌(ハンナ/ハナ―・クイリバン


日本に入って来る可能性は低いと思っていた本作品が、良い意味で予想に反し、日本公開に至ったのは、
主演がオーランド・ブルームだからに違いない。有り難う、オーリー。

そのオーランド・ブルームは、本作品に出演するに留まらず、
本作品を制作する大陸大手・熙頤影業Bliss Mediaとの提携で、
自身の映画制作会社・幸福開花 Blissbloom Productionを設立するほど、中国進出に意欲的な俳優。

中国進出の記念すべき第一弾であるこの『スマート・チェイス』、勝負の髪色は、おめでたいゴールド。
私個人的には、オーランド・ブルームはナチュラルな髪色の方がずっと似合うと思っている。
敢えてブロンドに染めたのは、黒髪の華人キャストたちの中で、“ガイジン感”を際立たせるための計算か?
台詞はほぼ全て英語だが、「你好」、「多謝」、「幫個忙」といったごくごく簡単な中国語は、所々で口にしてる。


華人俳優の中で一番の大物・任達華は、S.M.A.R.Tメンバーの中でも最年長だが、
頼れるリーダーとか、素敵な紳士というより、若干チンピラ臭を醸す気のいいオジちゃんという印象の役。


任達華は大好きな俳優だが、本作品に限って言えば、注目すべきは、任達華以上に吳磊じゃない…?!
日本の公式サイトでは、吳磊について一切触れていないし、チラシにも名前が出ていない。
もしかして、申し訳程度にしか登場していないのか?と疑ったが、いざ映画を観たら、堂々の主要キャスト。
配給会社プレシディオは、中華エンタメを本当に解っていないと見た。
あのねぇー、子役出身の吳磊は、1999年生まれのまだティーンだが…

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大ヒットドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』の飛流役で大ブレイクし、
日本でも彼を知る人は今や多いのヨ。
「カワイイ♪」と誉めそやされた子役出身の多くは、成長とともに、その可愛さを失っていくものだが、
吳磊は、これまで不細工になったことが一度も無く、身長も早々に180越え(現在182センチ)。
3歳で芸能界に足を踏み入れているため、若くても経験豊富な彼は、実力も折り紙付きで…

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北京電影學院を受験し、見事首席で合格、この秋の入学を控えている。
…とまぁ、実力とルックスを兼ね備えた“奇跡の子役出身俳優”。

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張藝謀(チャン・イーモウ)監督話題の新作『影~Shadow』にも出演。
なのに、『スマート・チェイス』でそんな吳磊を完全スルーしてしまうとは、
配給会社プレシディオは、自分たちの“宝の持ち腐れ”に気付いていない。

そんな吳磊に関しては、こちらの“大陸男前名鑑:『琅琊榜』の麗しき殿方たち①”を参照。

すでに吳磊を知っている皆々様にとっては、
『スマート・チェイス』は彼の成長の一過程に触れられる良い作品かも知れない。
扮する叮噹は、ドローンとパソコンを駆使して、S.M.A.R.Tメンバーに指令を出す今どきのIT少年。
最初の登場シーンでの眼鏡姿は特に可愛い。
『琅琊榜』では、「うん」、「やだ!」、「嫌い!」くらいしか喋らない無口な子だったのに、
『スマート・チェイス』では、英語をいっぱい喋っていますヨ。
『琅琊榜』ファンの皆さまは、私のように、心の中で「頑張れ~」と母心で応援してしまうことでしょう。


あと、意外にも良かったのが、S.M.A.R.T唯一の女性メンバー婕婕。
演じている女優さんは、映画公式サイトで、“ハナ―・クイリバン”と紹介されているので、判りにくいが、
“昆凌(ハンナ)”の表記で見れば、ピンと来る人も多いであろう。

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そう、周杰倫(ジェイ・チョウ)に見初められ、大玉の輿に乗ったシンデレラ、あの昆凌である。(→参照
独身時代は、平凡な混血タレントだった彼女、
結婚で一気に“天王嫂”に格上げされ、メディアへの露出も激増。
でも、演技で注目されたり、ましてや評価されたことは無かったので、『スマート・チェイス』も期待せずに観たが、
これまでの“イイ子ちゃんだが退屈”なイメージを崩す、不良っぽい役を演じており、これが意外と良い。
昆凌は、中韓ハーフの母と、オーストラリア人の父のもと、台湾で生まれた混血女性で、
3歳で両親が離婚した後は、父親に引き取られて育ったので、英語はまったく問題ナシ。
演技経験の乏しい彼女が『スマート・チェイス』に起用されたのは、英語力の高さもポイントだったかも…?
扮する婕婕は、根はいい子でも、一見ぶっきらぼうのスレッ枯らし。
アメリカ映画に出てくる、ダウンタウンの不良少女みたい。
昆凌を知らない日本の観衆がこの婕婕を見ても、“中の人”が子持ちの人妻だとは想像しないであろう。
しかも、撮影時、昆凌は、二人目の子を妊娠中。
その割りには、アクションシーンも頑張っている。(で、その後、2017年6月に第二子となる男児を出産。)

ちなみに、中華圏ではほとんど使われていない昆凌の英語の姓“Quinlivan”は、
日本では大抵“クインリヴァン”と表記されるはずであるが、映画公式サイトでは“クイリバン”。
配給会社は、中国語どころか、英語さえよく解っていないのかも知れないという疑惑が…。



他のキャストも簡単にチェック。

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ダニーの恋人・莫凌に熊黛林(リン・ホン/ホウ・リン?!
ダニーとギクシャクしている莫凌に想いを寄せアプローチしてくる西幕に白梓軒(トム・プライス)
謎めいた富豪女性・嚴塔拉に梁靜(リャン・ジン)
嚴塔拉の手下・飛龍に釋行宇(シンユー)改め釋彥能(シー・イェンノン)
そして、美術館の宋館長に英達(イン・ダー)等々…。


当初、ヒロインは景甜(ジン・ティエン)と言われていたが、蓋を開けたら、熊黛林であった。
私は景甜の良さがまったく分からないので、熊黛林で良かった。
但し、扮する莫凌は、やや“お飾り”っぽく、特別惹かれる役ではなかった。
今まで観た中で、熊黛林が最も魅力的だったのは、台湾偶像劇の『王子様の条件~拜金女王』
日本で広く一般には、『イップ・マン』シリーズで甄子丹(ドニー・イェン)の妻を演じ、知名度を上げたはず。
…が、本作品公式サイトには、なぜか“ホウ・リン”の名で紹介…。(チラシでは“リン・ホン”)
さらに言うならば、彼女は本作品に“Lynn Xiong”の名でクレジットされている。
日本では“香港のモデル”として認知されたため、広東語の発音“熊=Hungホン”で広まったのだろうけれど、
元々南京出身の大陸の人なので、“熊=Xiong”、つまり“リン・シオン”とするのが無難。
ここまで“リン・ホン”が浸透してしまうと、変更は困難だろうけれど、少なくとも“ホウ・リン”は論外。


その熊黛林扮する莫凌にアプローチしてくるイケメンセレブ西幕を演じているのは、
これまで台湾偶像劇のチョイ役くらいでしか目にする機会が無かった香港の白梓軒。


脇を飾る女性で、熊黛林以上に存在感があるのは、実は梁靜。
梁靜をスクリーンで見るのは、彼女の夫・管虎(グアン・フゥ)が監督した『ロクさん』(2015年)以来。
最近では、チャンネル銀河で放送中の中華版『深夜食堂』に出ているのを見たばかり。
両作品とも、梁靜は、野暮ったいオバちゃん役で出演しているのだが、
今回『スマート・チェイス』で演じている嚴塔拉は、ガラリと変わり、華やかで怪しげなマダム。

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化けますね。
『スマート・チェイス』嚴塔拉の髪型は、宝塚の男役のように撫でつけたオールバック。
指先には、時代劇でよく目にする付け爪“指甲套”を標準装備(!)。
これが、武器にもなるの(…!!)。
英語が上手かったのも、ちょっと意外であった。
ネイティヴ並みに喋る昆凌のようなキャストを除いたら、梁靜の英語の発音が一番綺麗であった。
『深夜食堂』では山東訛りのズーズー弁を喋っていたし、梁靜は耳が良いのかも?


その梁靜扮する嚴塔拉の手下で、釋彥能が出演!
アクション映画なので、アクション系の俳優の出演は必須。
日本の配給会社は、釋彥能が出演している事も、まったく触れていないのヨ。
もっとも、出演シーンは、そう多くはないけれど。

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釋彥能は、元リアル少林僧。
本気で闘ったら、オーランド・ブルームは、無傷ではイギリスに帰れなかったであろう。
『スマート・チェイス』のチャールズ・マーティン監督は、アクション映画を撮り慣れていないせいか、
釋彥能を活かしきれていないようにも感じた。


英達扮する宋館長に関しては、見てのお楽しみ。
中国の范偉(ファン・ウェイ)や、日本の角野卓三のような雰囲気を醸しつつ、
最近だと、曾志偉(エリック・ツァン)が演じそうな役であった(←これだけで、かなりのネタバレか)。




ほとんど宣伝されていないせいか、オーランド・ブルーム主演作なのに、映画館は閑散。
これ、“オーランド・ブルームが中国で演じているレア作品”として買われたのかも知れないけれど、
“オーランド・ブルーム‘も’出ている中国アクション映画”として中華電影ファンに売り込み、
シネマート辺りで上映したら、もっとお客さんが入ったのではないかと想像する。
アクション映画としては物足りなく、褒める部分もさほど無いが、
中華電影目線からすると、実は結構な豪華キャストで、
「オーリーが任達華の姪っ子と付き合っているのかー」とか、「オーリーと釋彥能が闘っている!」とか、
「芸能人としては鳴かず飛ばずだった周杰倫の嫁が女優として開花」とか、色々見所もある。
特に、『琅琊榜』ファンは、私たちの“飛流”吳磊を、スクリーンで見られる貴重な機会なので、
上映打ち切りになる前に、急いで映画館へどうぞ。

端午の節句に柏餅4種(+『琅琊榜<弐>』とかテレビとか)諸々

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黄金周もせっせと録画の消化。
目下、私mangoが気に入って観ているドラマは…

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ブッチギリの第一位は『琅琊榜(ろうやぼう)<弐>風雲来る長林軍~琅琊榜之風起長林』。
次いで、『琅琊榜』とはまったくタイプの異なる大陸史劇『ミーユエ 王朝を照らす月~羋月傳』。
そして、現代モノでは、軽く観られる中華版『深夜食堂~深夜食堂』。


『琅琊榜<弐>』は、衛星劇場で週に一回、月曜に2話というペースなので、余裕と構えていたが、
次の月曜になる前に、前の月曜の分をもう一度観直すという“復習鑑賞”をしているため、
結局、毎週“のべ4話”観ることとなり、案外忙しい。
でもねぇー、やはり、コレ、面白いです。話に引き込まれ、集中力が高まるせいか、一話があっという間。

魅力的な登場人物、気になる俳優も次々と出てくるのだが、中でも、キョーレツな印象を残すのが…

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郭京飛(グオ・ジンフェイ)扮する濮陽纓。
荀皇后からもお引き立てされている白神教の上師。
中性的で怪しげな雰囲気を醸す、かなり個性的なキャラ。

琅琊榜(琅琊番付け)4位の段桐舟が、不思議なハンドパワーの持ち主で、
自分の手を焼きゴテ並みに自動加熱させるシーンは、物語序盤から度々目にしていたが、
その後、濮陽纓までも、手から発火させるというハンドパワーを持っていたことが発覚。
最初の内は、指先からポッと可愛らしく百円ライター程度の炎を出していたのだが、
この前放送の11話では、白煙が覆う器に手を浸したことで、ハンドパワーが強化されたようで…

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ひゃーっ、立ち上る火柱!驚異の火力!さすがは中国、中華レストランのガスコンロ並みのハイカロリー。

ただね、これを見て、私は懐かしさも感じたのです。

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濮陽纓に、費翔(クリス・フィリップス)を重ねたのは、私だけか…??

私が、この濮陽纓を見て、ふと思い出したのは、
ノーランズの<Sexy Music>を費翔が中文でカヴァーし、ヒットした<冬天裡的一把火>の
(↓)こちらのMV。


『琅琊榜』の濮陽纓とはまた別の意味で濃いぃー費翔。
もしかして、中華世界では、“手のひらから炎を出す”は、案外フツーなのかも知れません(笑)。


他に、今週の放送での大きな出来事は、梁帝と長林王に恨みを募らせていた萊陽太夫人が、
明るみになった過去の罪にケジメをつけるため、そして息子・蕭元啟を守るために、命を落とす。
この萊陽太夫人は、夫・萊陽王の死で、梁帝と長林王に並々ならぬ恨みを募らせており、
自室でこっそり“中国版呪いの藁人形”扎小人(針刺し小人)をやっていたのだけれど…

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そのお人形さんが割りと精巧な作りで、前後にスダレみたいのを垂らした冕冠をちゃんと被っているの。
これじゃぁ皇帝だとバレバレだから、
頭に手拭いを巻いた水飲み百姓風のお人形でも使っていれば良かったのにぃ…、とも思うけれど、
駄目なんでしょうね、ちゃんと皇帝らしく見えるお人形じゃないと。


で、今週放送第12話のクライマックスは、
黃曉明(ホァン・シャオミン)扮する蕭平章が、劉昊然(リウ・ハオラン)扮する弟・蕭平旌に、
自分が実の兄ではないと告げるシーン、…あくまでも、ボソッとあまりにもさり気なく。

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蕭平章が、母親の輿入れの時からずっと長林王府に仕えてきた周さんにお暇を出した伏線から、
この告白に至るまでのシーンには、グイグイ引き込まれた。
これで、蕭平旌の無邪気な少年時代も幕を閉じ、
大人への次なるステージ、陰謀渦巻く薄汚い世界へ足を踏み入れることとなるのだろうか。
この先の展開が益々楽しみ。



ドラマ以外の番組も録画して観ております。(だから余計に消化が大変…。)
近々放送の要録画番組を何本か。

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まずは、NHK Eテレの『香川照之の昆虫すごいぜ!』
5月3日(木曜・祝日)に、クマバチを取り上げた新作が放送されたのに、見逃すという痛恨のミス…!
が、しかし、早くも5月6日(日曜)、午後4時半に再放送。
今度こそ、忘れず録画。



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同じ5月6日(日曜)の夜は、NHK BS1の『三和 人材市場~中国・日給1500円の若者たち』も。
中国・深圳の龍華新地区にある巨大な就職斡旋場“三和人材市場”を取材したドキュメンタリー。
“中国のシリコンバレー”と呼ばれる深圳で、製造業大国を底辺で支える人々の本音を聞きながら、
希望と絶望の間であえぐ若き出稼ぎ労働者の現実に迫る番組。

何年か前、様々なトラブルでドン底まで落ちたいしだ壱成が、
中国へ渡り、日給5百円程度でエキストラの仕事をやっている姿を紹介する番組を見たのだが、
寝起きしている場所が、どう考えても日給5百円で生きてる俳優が泊まれるようなホテルではなく、
非常にシラケたことがある。
今回のNHKの番組は、まったく違う趣旨のドキュメンタリーだけれど、
ふとあの時のいしだ壱成を思い出してしまった。



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翌5月7日(月曜)の午後もNHK BS1で『Asia Insight』
久し振りに観るこの番組、今回は“北京 706青年空間”という特集。
“706青年空間”は、北京の学生街にあるマンションの一室を使った学生のためのフリースペース。
そこで自由に議論し、明日を真剣に見つめる若者たちの姿を追う番組。
これ、北京の五道口にある、恐らくかなり有名なフリースペースで、以前にも何か他の番組で見た記憶が。



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最後は、5月8日(火曜)、NHK BSプレミアムの『世界ふれあい街歩き』
今回は、“過ぎし日の面影 香港・九龍地区”と題した香港特集。
この番組では、これまでにも香港を取り上げているし、九龍特集もあったはずだけれど、
今回のは新作よねぇ…?
つい先日に放送した『地球タクシー~香港を走る』と同時期に並行して撮影したのでしょうか。
あの『地球タクシー』も良い番組であった。
そちらも、同じ5月8日の午後6時に再放送あり。



さて、今では“子供の日”と呼ばれる本日5月5日は端午の節句。
自国の将来を憂いて入水自殺した楚の政治家・屈原(紀元前340-紀元前278頃)の亡骸が、
お魚のエサになってしまわぬよう、人々が代わりに川に粽(ちまき)を投げ入れたのが、
端午節に粽を食べる風習になったと言い伝えられる。

現在視聴中のドラマ『ミーユエ 王朝を照らす月~羋月傳』では…

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その屈原を祖峰(ズー・フォン)が演じている。
歴史ドラマを見ると、「〇〇と△△は同時代の人だったのねぇ~」といった具合に、
バラバラだったパズルのピースが繋がっていく感覚があって、楽しい。

ちなみに、『羋月』の屈原・祖峰と、『琅琊榜<弐>』の蕭平章・黃曉明は、北京電影學院の同期生。

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祖峰の方が黃曉明より老けて見えるって…?
祖峰は、高校卒業後、一度就職してから北京電影學院に入学しているため、実際、黃曉明より年上です。


話を戻して、端午節。
この日、日本でも粽は食べられるが、より一般的なのは、やはり柏餅であろう。
私も、異なる和菓子屋さんが出す4種類の柏餅を食べました。

★ 仙太郎:柏餅(みそあん)

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大きさは、幅約6.5センチ。
中に、味噌餡を詰めた餅を、柏葉で包んだ季節の伝統菓子。



一つめは、仙太郎(公式サイト)
つぶ餡、こし餡、味噌餡の3種類が販売されており、私のは味噌餡。
仙太郎は、よく利用する和菓子屋さんの一つであるが、柏餅を試すのは、もしかして今回が初めてかも。

形は、コロッとした餃子のような、貝のような、ごく一般的な柏餅の形。
この形について、お菓子に付いてきた<和菓子歳時記>に興味深い記述が。
端午の節句に欠かせない二つのお菓子は、粽が男児のシンボルであるのに対し、
柏餅は女児のシンボルとの説があるため、こじ付けで、ハマグリ型になったというのだ。
柏餅の形に関しては、ハマグリ説の他、兜説など諸説有るので、どれが本当かは分からないけれど、
まぁ、とにかく、仙太郎のお菓子に付いてくる<和菓子歳時記>は、いつも楽しく読んでいる。

で、この仙太郎の柏餅だが、色は白。
うるち米粉をこねて、蒸し、つき上げたという生地は、
他店の柏餅に比べ、やや透明感があり、みずみずしい。

味噌餡の柏餅は、特に京都人が好む傾向が強いということで、
中の餡は、京都五条にある白味噌専門店・山利の白こうじ味噌を使って作られている。
塩分控えめのまろやかな味噌餡は、あっさりした餅生地にも合っている。


変えられない伝統の枠の中で、コダワリ抜いて作った柏餅という印象。

★ 亀屋:柏餅(味噌餡)

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大きさは、幅約6.5センチ。
中に、味噌餡を詰めた餅を、柏葉で包んだ季節の伝統菓子。




こちらは頂き物で、亀屋042-385-8181)の物。
何種類の柏餅が売られているかは不明。
とにかく、私が食べたこれは、味噌餡。

形は、仙太郎と同じようなハマグリ型。
色は、薄紅色。
味噌餡の柏餅によくある色で、仙太郎の白色の方が、むしろ珍しいかも…?

生地は、上新粉で作ったお餅特有の、モッチリかつ歯切れのよい食感。
餡は、甘さの中に適度な塩分。


今回食べた中で、最も正統派の味噌餡柏餅であった。

★ 紀の国屋:柏餅(みそ餡)

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大きさは、直径約5.5センチ。
中に、味噌餡を詰めた餅を、柏葉で包んだ季節の伝統菓子。




続いて、“相国最中”や“おこじゅ”でお馴染みの紀の国屋(公式サイト)
つぶ餡、こし餡、みそ餡の3種類が売られており、私のはまたまた味噌餡。

形は、まん丸。
色は、薄紅色だが、亀屋の物に比べると、やや濃い色にも感じる。

生地は、もっちり食感。
餡は、まろやかな甘さで、塩分は控えめ。


これも、ほぼ正統派の味噌餡柏餅だけれど、形をまん丸にしているのが、ちょっとしたアレンジ。

★ 鶴屋吉信:柏餅(こし餡)

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大きさは、幅約5センチ。
中に、こし餡を詰めた道明寺を、柏葉で包んだ季節の伝統菓子。




最後は、鶴屋吉信(公式サイト)
つぶ餡とこし餡の二種類あり、私のは後者。

形は、丸に限りなく近い俵型。
色は、白。

鶴屋吉信の柏餅の特徴は、生地に道明寺を使っていること。
つまりは、葉っぱを桜葉から柏葉に替えた関西風桜餅のようなお菓子。

道明寺は、粘り気があり、もっちり食感。
中の餡は、色が濃いめ。
水分は控えめに作られており、こし餡でもコックリとした味わい。


柏葉は、桜葉ほど個性的な香りがしないので、“香りを楽しむ道明寺”ではないけれど、味は良し。
但し、柏餅のイメージからはかけ離れたお菓子という印象。

★ お皿

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ちなみに、お皿は、例年通りで、この時期限定使用の桃太郎柄です。

映画『ザ・スクエア~思いやりの聖域』

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【2017年/スウェーデン・ドイツ・フランス・デンマーク/151min.】
クリスティアン・J・ニールセンは、X-ロイヤル美術館を束ねるチーフ・キュレーター。
間近に控えているのは、
アルゼンチンのアーティスト、ローラ・ライアスの作品<ザ・スクエア>を発表する展覧会。
地面に正方形を描いただけの<ザ・スクエア>は、
「信頼と思いやりの聖域。その中では、誰もが平等に権利と義務を共有する」をコンセプトに、
現代社会に潜む問題を提起するシンプルなインスタレーション作品。
この展覧会の準備に追われているある日、
クリスティアンは、街中で、何者かに追われている女性を助けたつもりが、詐欺に遭い、
財布と携帯電話、さらには形見のカフスボタンまでを盗まれてしまう。
幸い、携帯電話のGPS機能を使い、犯人が暮らす集合住宅を突き止める。
…が、何戸もある大きな建物の中から、どうすれば犯人の家を特定できるだろうか?
部下のミカエルが、妙案を思い付く。
建物全戸のポストに脅迫状を投函すれば良いと言うのだ。
この案に、当初は戸惑ったクリスティアンであったが、
盗んだ物を駅近くのセブンイレブンに届けるよう指示する脅迫状を大量に用意し、
夜を待ち、集合住宅へ出向き、一軒一軒にこっそり投函。
すると、早速、セブンイレブンに小包が届き、クリスティアンは無事盗品を取り戻すことに成功。
これで一件落着とホッとしたのも束の間、再びセブンイレブンから届け物の連絡が入る。
すでに盗品は戻ってきているのにナゼ…?!
新たな小包の中身は、
投函された脅迫状のせいで、無実の罪を着せられた少年からの怒りのメッセージであった…。



今はちょうどカンヌ国際映画祭の季節。
スウェーデンのリューベン・オストルンド監督によるこの作品も、カンヌに所縁があり、
昨2017年、第70回カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルム・ドールを受賞。

リューベン・オストルンド監督作品は、前作の『フレンチアルプスで起きたこと』(2014年)も未見。
そもそも、私は、スウェーデン映画が超久し振り。
イングマール・ベルイマンで私のスウェーデン映画体験は止まってしまっているのではないかと思うくらい
最近遠ざかっているけれど、これは昨年カンヌで受賞した時から、気になっていた。




本作品は、現代美術館の名の知れたキュレーター、クリスティアンが、
“信頼と思いやりの聖域”をテーマに、現代社会の蔓延る問題に一石を投じる企画を始動させるも、
自分自身は、盗難事件をきっかけに、知らず知らずの内に、信頼や思いやりとは逆の方向へ動きだし、
エゴを晒しながら空回りしていく様を描く人間悲喜劇


タイトルにもなっているくらいだから、物語の主軸は、
“信頼と思いやりの聖域”をテーマにした<ザ・スクエア>というアート作品にまつわるエピソード。
決して派手ではないこの作品を展示するにあたり、
いかにプロモートし、世に問題を提起できるのか?また、いかに大衆からの注目を集められるのか?
美術館は、広告代理店に依頼し、Youtubeを使ってのプロモーションを展開することになるのだが、
それが後々大問題を引き起こす。

そもそも英語の“Square”は、単純に四角い形を表すのみならず、
“公平”、“正直”、“きちんとしている事”なども意味する。

主人公のクリスティンは、有名美術館でチーフ・キュレーターを務め、
地位も知性もそこそこの経済力もある男性。
だから、自分のような人間は、
世間から信頼されるに足る正直で公平性をもった紳士でなければならないと分かっている、…頭では。

ところが、その頭の中での理解が試される出来事がクリスティアンに降りかかる。
一つは、女性記者・アンとの出逢い。
クリスティアンは、インタヴュを受けたことでアンと知り合い、
パーティーでの偶然の再会で、そのまま彼女の部屋へなだれ込み、一夜を共にしてしまう。
このお気軽な肉体交渉が、アンにクリスティアンに対する不信感を生み、責められる羽目に。


もう一つの出来事は、物語上さらに重要。
盗まれた財布と携帯電話を取り戻すため、犯人が暮らす集合住宅全戸に脅迫状を投函したことで、
事件とはまったく関係の無い少年を傷付けてしまったのだ。
その集合住宅は、経済的に恵まれない移民などが多く暮らす場所。
そんな所をウロウロすることに抵抗があったのか、単純に後ろめたい事に手を染めたくなかったのか、
クリスティアンは、黒人の部下・ミカエルに投函を頼むが、
ミカエルに拒否されてしまったため、ミカエルのジャケットを借りて着て、自ら建物に入り、投函。
盗品は無事手元に戻るも、
その後再びコンビニに、あの集合住宅からクリスティアン宛ての怪しげな小包が届くと、
自分自身は警戒し、具体的な事情を説明しないまま、またまたミカエルをコンビニへ送り込む。
クリスティアンのような“立派な紳士”が抱くべきではない、格差や人種などへの偏見や差別意識が、
どんなに覆い隠そうとしても、頭をもたげてしまう。


リューベン・オストルンド監督は、
政治家が声高に叫んだり、メディアがセンセーショナルに報じることで、
内容の良し悪しに関わらず、人々が食い付き、盛り上がってしまう昨今の風潮を危惧し、
本作品を撮ろうと思ったという。
その点で、リューベン・オストルンド監督の思いをストレートに表現しているのは、
最初に戻り、美術館が<ザ・スクエア>をプロモーションするYoutubeのエピソードであろう。
敢えて、スウェーデン人らしい金髪の可愛い少女をモデルに起用し、
その子がスクエアの中でドッカーンと木っ端微塵に吹き飛ばされるという過激な動画は、
あれよあれよと言う間に再生回数30万回を突破し、世間で物議を醸すこととなる。
道徳的に正しいかどうかは関係なく、目立ったもの勝ちの、いわゆる“炎上商法”である。
さらに、再生回数が激増したため、クリスティンには、Youtubeの運営会社から連絡が入り、
広告の掲載を打診される。
リューベン・オストルンド監督は、注目を集めることがお金に結び付くという昨今の経済のシステムも問題視。
この一連のエピソードは、日本でも同様の現象が起きているので、我々にも分かり易い。




出演者は大半が初めて見る顔。

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X-ロイヤル美術館のヘッド・キュレーター、クリスティアン・J・ニールセンにクレス・バング
クリスティアンの部下ミカエルにクリストファー・レス―
女性記者アンにエリザベス・モス
そして、美術館主催のパーティーで猿のパフォーマンスを行うオレグ・ロゴ―シンにテリー・ノタリー等々…。


主演のクレス・バングはデンマークの俳優ですって。
190を越える長身の色男で、もう少し若い頃のランベール・ウィルソンがちらりと重なった。
扮するクリスティアンも、洗練された身なりの素敵な中年男性だけに、
彼が自分を正当化しようと繕えば繕うほど、そのザマがセコく見える(笑)。


その部下ミカエルを演じるクリストファー・レス―もデンマークの俳優。
(彼の姓“Læssø”は、他の皆さまに従い“レス―”と表記したが、
私自身がデンマーク語の読み方を知らないので、本当にそれが正しいのか、確認のしようがない。)
同じ美術館で仕事をしている仲間でも、
クリスティアンは、黒人のミカエルを、心のどこかでやはり見下しているのであろう。
黒い肌の彼は、低所得者層が暮らす場所に居ても馴染む人、いかにも事件を起こしそうな人に見えるから、
集合団地での脅迫状投函を頼んだり、コンビニへ使いにやったりしたのだろう。
でも、ミカエルもミカエルよねぇー。
「投函なんて簡単。僕がやって上げるよ」と確かに自分から仕事を買って出たのに、
現地に到着した途端、そんな発言は無かったことにしちゃうんだもん。
あの変わり身には、私も意表を突かれたので、クリスティアンが唖然としたのも分かる。


女性記者のアンに扮するエリザベス・モスは、日本で一番知られた本作品のキャスト。
このアンもなんか不可解な女性であった。
パーティーで再会したアンの部屋へ流れ込み、一夜の肉体関係を楽しみ、それっきりというクリスティアンは、
女性を性の対象としか見ていない卑劣な男という位置づけなのだろうか。
アンは、大して知りもしない男を部屋に入れ、同意の上で関係を持ったわけで、
その後、クリスティアンの仕事場へ押しかけ、
「私は好きでもない男と簡単に寝るような軽い女じゃない!
アナタは私と何をしたか覚えているの?!」と彼を責めても、説得力が無く、
いえ、いえ、アンさん、アナタ様にも問題が…と思ってしまった私は、日本人的なのか…?


そして、パーティーでお猿のパフォーマンスを披露するオレグ…!

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ただのパフォーマンスのはずが、徐々に人々を恐怖に陥れていく様子を、
結構な長さで見せる印象的なシーンである。
実際にはその場に居ない私まで、息を止め、固まってしまう程の迫真の演技と臨場感!
扮するテリー・ノタリーは、シルク・ド・ソレイユのパフォーマーとしてキャリアをスタートさせ、
これまで『猿の惑星』など数多くの作品で、動物を演じてきた俳優らしい。
本作品のリューベン・オストルンド監督は、猿を真似られる俳優をグーグル検索し、
このテリー・ノタリーを探し当てたのだとか。





私がこの作品の存在を初めて知った時の説明文では、
<ザ・スクエア>というアート作品の四角い枠の中に立った人々の人間性が
徐々に暴かれていく様子を描く作品、…という理解であった。
まさか四角い枠の中だけで、物語が展開するのか?究極のワンシチュエーション物…?!と疑問が沸々。
結局は、四角い枠の外で普通に話が進行していくのだけれど、
観ないことには、まったく内容が掴めず、鑑賞中も先がなかなか読めない映画。

万人ウケする作品だとは思わない。
好き嫌いが分かれそう。私は、“好き”の側の人。
格差、差別、偏見、偽善、他人への無関心、また逆に、他人への過干渉といった
現代社会に潜む問題が作中沢山散りばめられているが、
だからと言って、監督が定義する善悪を観衆に押し付ける説教臭い社会派作品とも違う。
私自身、必ずしも全てに共感したわけではなく、腑に落ちない部分も有って、
後味もスカッとせず、モヤモヤするし、繰り返し何度も観たいとは思わないけれど、
それでも、不思議と鑑賞中は、作品世界に入り込み、2時間半という長さが、まったく気にならなかった。
北欧らしいクリーンでスタイリッシュな映像も良し。

春でもコッテリ系ケーキ2種(+カンヌ開幕とかテレビとか)

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数日前の2018年5月8日、第71回カンヌ国際映画祭開幕。
先月、こちらに記した通り、今年のカンヌでは、審査委員長・ケイト・ブランシェット率いる審査員団に、
私が溺愛する張震(チャン・チェン)が加わっております。
(カンヌ開幕を伝える日本の朝の情報番組で、
ケイト・ブランシェットの近くにいた張震が、フレームからバッサリとカットされていて、気分はドンヨリ。)


カンヌ入りした張震、まずは、他の審査員たちと記者発表会に出席。

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お召し物はジヴァンシー。
目がチカチカするのは、グレンチェックのチェスターコートのせいだけではありません、
張震サマ、あなたが眩いから。


続いて、開幕のレッドカーペット。

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シャツもボウタイも全てブラックで統一。
こちらもジヴァンシー。
審査員団の他の男性陣たちより若いから、
全部黒でまとめることで、より若々しくスタイリッシュにも見えますね。


今年、コンペティション部門に入選したアジア映画の中で、私が最も興味ある作品、
賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督最新作『江湖兒女~Ash Is Purest White』からも…

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主演の男女、廖凡(リャオ・ファン)と趙濤(チャオ・タオ)がレッドカーペットに登場。
国際映画祭慣れした実力派の二人。
私も大好きな廖凡は、クラシックにブリオーニのビスポーク。

今回は、趙濤も素敵。

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マニッシュなタキシード風+修道女風のストイックなガウンは、クリスチャン・ディオール。
御主人の賈樟柯監督は、開幕式は欠席した模様。



中華圏からは他にも沢山カンヌに乗り込んでいるのだが、特に気になった3人だけをピックアップ。

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范冰冰(ファン・ビンビン)

范冰冰は、昨年の審査員。
今回は、ジェシカ・チャスティン、マリオン・コティヤールらと共演のスパイ・スリラー『355』の宣伝で参加。
装いは、毎回、期待を裏切らない華やかさ。
下手すると安っぽく見えてしまうこういうペパーミントグリーンは、普通なかなか選ばない色ですよね…?!
こちらは、チュニジア出身の新進デザイナー、アリ・カルイのガウン。
大陸の女優は、ファッションも新しい物の先取りが、日本とは比較にならないほど速い。

ちなみに、曹保平(ツァオ・バオピン)監督が手掛ける黃軒(ホアン・シュエン/ホアン・シュアン)との共演作、
『她殺』も最近クランクアップしたそうで、小出しに内容が露見しつつある。
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主演の二人以外では、王子文(ワン・ズーウェン)、辛芷蕾(シン・ジーレイ)、李沁(リー・チン)も出演。
王凱(ワン・カイ)の鬱陶しいガールフレンドを演じた王子文のキャスティングがちょっと意外だけれど、
辛芷蕾は『長江 愛の詩』(2016年)が良かったし、
李沁は『紅楼夢 愛の宴~新紅樓夢』で演じた薛寶釵が良かったし、結構私好みのキャスティングかも。
この『她殺』は、黃軒のお誕生日に、こちらに記したように、この冬、東京での撮影も目撃されてるので、
公開が余計に楽しみ。



馬思純(マー・スーチュン)

金馬影后・馬思純は、“中國電影新力量形象大使”の立場でカンヌに参加。
ちょっと変わったパンツスーツは、ヴェラ・ウォンのS/Sコレクションから。
フツーにお洒落で素敵なのだが、レッドカーペットで見ると、えらく地味な印象になってしまう。
…特に、范冰冰のような女優と比べてしまうと。
馬思純自身が可憐なお花のように質素な雰囲気なので、
こういうイベントではもっと派手にしても良いのでは。じゃないと、霞んじゃう。


苗苗(ミャオミャオ)

『芳華 Youth』(2017年)で、“ワキ汗”でイジメられる小萍を演じ、注目された新星・苗苗である。
先月、香港金像獎に出席しているのを見たら(→参照
とてもスタイルが良く、清楚で、えっ、これがあのワキ汗の小萍?!と驚かされた。
今回のお召し物は、スカート部分がチェス盤の柄であることから、
2018S/Sコレクションでチェスをフィーチャーしていた一目瞭然のクリスチャン・ディーオールである。
でも、苗苗はなぜカンヌに?と思ったら…

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新作映画『六月的秘密』を引き下げ、郭富城(アーロン・クォック)、吳建飛(ウー・ジェンフェイ)と共に参加。
ちなみに、男性の装いは、お二方ともトム・フォード。

苗苗は、カンヌのビーチで、(↓)このようなお写真も撮っております。

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これ…

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1993年、『覇王別姫』が第46回カンヌ国際映画祭に出品され、
現地入りした主演女優・鞏俐(コン・リー)へのオマージュだって。

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結局、『覇王別姫』は、その年のパルムドールを受賞。
鞏俐と一緒に映ってるのは、共演の張豐毅(チャン・フォンイー)と、今は亡き張國榮(レスリー・チャン)。
懐かしい~…。


今年のカンヌでは、日本からも2作品、
是枝裕和監督の『万引き家族』と濱口竜介監督の『寝ても覚めても』が、
コンペティション部門に選出されているけれど、監督も出演者も、開幕式には出席しなかったようですね。
東出昌大クンにレッドカーペットを歩いていただき、
日本にだって長身男性は存在する!というところを世界に見せてさしあげたかったワ。
でも、何か賞を獲って、閉会式に出席する方が、本望でしょうね。



ついでに、近々放送の要録画番組を2本だけ。

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5月12日(土曜)、BS朝日で放送の『ザ・ドキュメンタリー』
“水墨の雲海を翔ぶ 悠久の世界遺産 中国・黄山”と題し、
揚子江の下流に近い安徽省の南部にそびえる黄山を特集。
今回は、山岳写真を数多く発表し、広告写真の世界でも活躍する気鋭の写真家・高野晃輔が現地を訪れ、
壮麗な中国の自然を象徴する黄山の撮影に挑む。
ドローンによる雲海のスペクタクル映像なども交え、
悠久の世界遺産・黄山の魅力をたっぷり紹介してくれるのだと。



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もう一本は、翌5月13日(日曜)深夜、正確には14日(月曜)0時55分スタートの
『NNNドキュメント』、“南京事件Ⅱ”。
“Ⅱ”というからには“Ⅰ”がある。
そう、ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞を受賞した、2015年放送の『南京事件 兵士たちの遺言』が“Ⅰ”。
当時、ゲリラ的に放送されたが、ネトウヨ&ネトウヨ御用達紙・産経新聞が、案の定の大騒ぎ。
近年、そういう騒ぎで、メディアが委縮する中、よくぞ“Ⅱ”の放送に踏み切った。
日本にもまだ骨太のジャーナリズムは辛うじて残っていたのですね。
(そもそも、本来自由であるはずの日本で、大騒ぎする輩に配慮し、
ゲリラ的に放送しなければならない空気が漂っていることも、昨今の日本の気持ち悪さ。)



お菓子は、ここ最近、冬に逆戻りしたかのように冷えたので、コッテリめのケーキを2ツ。

★ パティスリー・ウルソン:WAGURI 和栗

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大きさは、直径約5センチ、高さ約6センチ。
スポンジ生地を台に、その上に、メレンゲ、生クリームを重ね、
上からマロンクリームで覆ったモンブラン。




一つ目は、パティスリー・ウルソン(公式サイト)“WAGURI 和栗”
同店では、洋栗を使った物を“モンブラン”の名で売っていて、
和栗を使っている方は、ズバリ“和栗”の名で出しているようだ。

そんな和栗で作られたマロンクリームは、しっとりした口当たり。
和栗のお菓子は、私には、時に、アッサリし過ぎに感じることがあるのだけれど、
これは、和栗らしいサッパリ味であっても、淡白すぎず、コクもある。

生クリームも濃厚で、量も充分。
メレンゲは、口の中でサッと溶けて消える軽さ。

私は、“マロンクリーム+生クリーム+メレンゲ”という基本的なモンブランが好きなので、
これは、スポンジ生地だけが、余分であった。
メレンゲが有るのに、なぜさらにスポンジ生地を使ってしまったのだろう。
グラグラ動かないよう、安定を良くするため…?
先にスポンジ生地を片付け、基本のモンブランにしてから、食べたら、美味しかった。

★ モンサンクレール:モンサンクレール

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大きさは、直径約6センチ、高さ約4センチ。
バタークリームの中に、コーヒーを浸み込ませたスポンジ生地を隠し、
表面をたっぷりのプラリネナッツで覆ったケーキ。




もう一つは、モンサンクレール(公式サイト)“モンサンクレール”
店名をそのまま冠したくらいだから、お店の代表作、自信作と考えても良いのでは。
私のお気に入りで、モンサンクレールでは、ほぼこれしか買わない。
今回食べたのは、久し振り。

メインになっているバタークリームは、濃厚でも、重くなく、
口の中に、妙なベタベタ感など当然なく、スーッと消えていく。
表面にたっぷりまぶされたプラリネナッツは香ばしく、歯応えのアクセントにもなっている。
コーヒーのホロ苦さが、全体の甘さを調和。


昔の日本では、バタークリームのケーキは、安くて不味いケーキの代表格だったけれど、
昨今は、格段美味しくなった。
昔のアレは、安い“なんちゃってバター”を使っていたのかも知れない。
モンサンクレールのこの“モンサンクレール”と同じように、
バタークリームとナッツを合わせた、もう一つのお気に入り、
ピュイサンスの“ピュイサンス”も久し振りに食べたくなった。

映画『君の名前で僕を呼んで』

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【2017年/イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ/132min.】
1983年夏、北イタリアのどこか。
17歳の少年エリオが暮らす美しいヴィラに、一人のアメリカ人青年がやって来る。
彼の名はオリヴァー、考古学教授であるエリオの父の教え子。
この日から6週間、エリオの一家とひと夏をここで過ごすのだ。
堂々とした態度で、はっきりと物を言うオリヴァーを、無礼だと感じるエリオだが、
親から諭され、多くの時間を彼と共有するように。
サイクリングをしたり、水泳をしたり、夜は踊りに行ったり…。
格好のよいアメリカ人のオリヴァーは、女性たちから熱い視線を注がれ、
中でもキアーラは彼に本気の様子。
一方、エリオも、マルシアと良い雰囲気になっていくが、
オリヴァーのことがどうも気になってしまい…。



本作品は、イタリアのルカ・グァダニーノ監督、
『ミラノ、愛に生きる』(2009年)、『胸騒ぎのシチリア』(2015年)に続く、
“Trilogia del Desiderio(欲望三部作)”の最終章。

原作は、アンドレ・アシマンが2007年に発表した同名小説。
それを脚本にし、プロデュースしたのは、お馴染みジェームズ・アイヴォリー

“欲望三部作”の一本に挙げているくらいだから、
当然ルカ・グァダニーノ監督の思い入れが強い作品なのかと思いきや、
本来、別のもう一人と共同監督をする予定だったのは、ジェームズ・アイヴォリー。
イタリア人のルカ・グァダニーノは、イタリアを舞台にするこの作品で、
当初ロケハンのコンサルタントとして雇われていたのだが、二転三転し、結局、単独でメガホンをとることに。



本作品は、1983年の北イタリアを舞台に、
17歳の少年・エリオと、彼の父の教え子である24歳のアメリカ人青年・オリヴァーとの
ひと夏の恋を描く物語

簡単に言ってしまうと、BLモノ、同性愛映画である。


アメリカでは、映画化される以前に、原作小説がすでに人気だったのだとか。
私はそれを読んでいないので、分からないけれど、映画では、原作から変えている部分もあるとのこと。
まず、原作では、約20年という長い時間を、主人公のエリオが回想する形で綴られているらしいが、
映画では、1983年を現在進行形で描写。
ルカ・グァダニーノ監督曰く、
「それが、観客の登場人物への理解を助ける、より明確な解決方法だと感じたから」。


背景の設定も、原作の“1987年、リグーリアのボルディゲーラ”から、
“1983年、北イタリアのどこか”に変更。

1987年と1983年では、たった4年しか違わないので、変える必要性が感じられないのだが、
ルカ・グァダニーノ監督が敢えて1983年にしたのは、80年代前半を、一つの時代の終焉と考えたから。
キーワードとして、作中、人々の会話の中に何度か
イタリアの政治家、ベッティーノ・クラクシ(1934-2000)の名が出てくる。

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1983年夏というのは、そのクラクシが、社会党(PSI)の政治家として、初めて首相就任を果たした時で、
それから4年という長期政権を維持するも、
その後は、大規模な汚職捜査で対象に挙げられ、チュニジアへ逃亡(帰国しないまま現地で死亡)、
社会党も衰退していく。


作中、もう一人…

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『アンダルシアの犬』(1929年)や『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』(1972年)など
数々の名作で知られるスペイン出身の映画監督、ルイス・ブニュエル(1900-1983)の名前も出てくるが、
彼が亡くなったのもまた1983年の夏、7月19日のことである。

ルカ・グァダニーノ監督が、日本人にとってはピンと来ない80年代前半を“一つの時代の終焉”と考えるのは、
イタリア人として、映画人として、そんな諸々があるからでしょうかね…?



物語が展開する場所に関しては、“北イタリアのどこか”としているが、
具体的には、ロンバルディア州クレモナのクレーマを中心に撮影が行われている。
ルカ・グァダニーノ監督は、シチリア出身だが、現在のお住まいはクレーマとのこと。
よく知った場所で、作風にも合うと考えたのだろうか。
物語終盤のエリオとオリヴァーのプチ旅行も、原作ではローマだけれど、
映画ではメインの場所をクレーマに設定したため、そこからほど近いベルガモに変更されている。


エリオが暮らすヴィラも素敵です。
あちらは、クレモナ郊外モスカッツァーノにある
17世紀に建てられた“Villa Albergoni(ヴィッラ・アルベルゴ―二)”。

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趣味の良いインテリアは、ヴィオランテ・ヴィスコンティ・ディ・モドゥローネが手掛けたもの。
このヴィオランテ・ヴィスコンティは、ルカ・グァダニーノ監督の『ミラノ、愛に生きる』の美術も手掛けた女性で、
“Visconti di Modrone”の名からも察しがつくように、ミラノの名門貴族の出であり、
かのルキーノ・ヴィスコンティ(1906-1976)の子孫。
(現地イタリアでも、“姪”説と“兄弟の孫”説、両方の記述があり、詳細は不明。)
本作品のインテリアも、さすがの貴族的趣味で、ウットリ。
そして、このヴィッラ・アルベルゴ―二、なんと、売りに出ているそう!(←少なくとの2ヶ月前は。)
値段を見たら、そんなに高くなかった。確か2千5百万円くらいからの入札とか、そんな感じだったような…。
但し、映画で使われた家具は付いていない気がするし、修復費や維持費に莫大な金額がかかりそう…。
お金が有り余っている皆サマ、17世紀のヴィラをお一ついかがですか?



日本ではあまり紹介されていない裏方さん情報を、ついでにもう一つ。
作品のポスターに使われている題字は、
中国・浙江省出身、ミラノ在住の書家でグラフィックデザイナー陳莉(チェン・リー)の手による字。
ルカ・グァダニーノ監督は、観客を映画の世界に招く招待状の雰囲気を出したくて、
手描きの文字を採用したそう。

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日本も、監督の意図を汲んで、手描きの風合いを活かしたポスターを制作した方が良かったかもね。
(他国のポスターを見てしまうと、
世界の中で日本だけ、“授業中居眠りしていて先生のお話を聞いていなかった子供”のように
監督のコンセプトに耳を傾けていなかったのかという疑問が…。)



映画の内容に話を戻すと、私は、エリオの家族やオリヴァーが、ユダヤ系であることが気になった。
特に、エリオの一家は、キリスト教大国イタリアでは異端の存在である。
敢えてユダヤ系に設定したのは、何か深い意味があるのか気になったが、
単純に、原作者のアンドレ・アシマン(1951-)がユダヤ系。
アンドレ・アシマンはトルコとイタリアを起源にもつユダヤ系の両親の元、エジプト・アレクサンドリアに生まれ、
家では主にフランス語を喋りながら、英語教育の学校に通っていたが、
ナセル大統領の反イスラエル政策が強まっていったため、
1965年にイタリア、1968年にはアメリカへ移住し今に至り、
現在もニューヨーク大学などで教鞭をとっているらしい。

ユダヤ系、少年期のイタリア生活、多言語、アメリカの教授等々、映画と重なる部分があまりにもあるので、
小説は、自叙伝なのか?という疑問が湧く。
アンドレ・アシマン自身は、結婚をし、3人の子供にも恵まれたそうで、自身をゲイだとは言っていない。
しかし、映画の後半、エリオとオリヴァーの関係に気付いていたパールマン教授は、
息子・エリオに「私も若い頃に似た経験があったけれど、自分を抑えてしまった」と語り、
同性同士の愛に理解を示すのだ。
そういう諸々を考えると、エリオ、オリヴァー、パールマン教授それぞれに、アンドレ・アシマンの影がチラつく。
それに、作中の3人は、同性しか受け付けない同性愛者ではなく、異性も愛せるバイセクシャル、
…という以上に、広く“人間愛”を感じさせる男性たちである。
だとすると、アンドレ・アシマンが妻子持ちであろうと、
やはり彼の経験や、彼が本来もつ要素を散りばめた半自叙伝なのではないかと、想像が膨らむ。

ちなみに、アンドレ・アシマンは、映画にゲイの役でカメオ出演しております。

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エリオが「ソニー&シェールみたい」と小馬鹿にする、父親の友人であるゲイカップルの内、
小柄な方が原作者のアンドレ・アシマン。



主演俳優も簡単にチェック。

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17歳のエリオ・パールマンにティモシー・シャメラ
イタリアにやって来る24歳のアメリカ人青年オリヴァーにアーミー・ハマー

2人とも実際にユダヤの血を引くアメリカ人。
アーミー・ハマーは(短パンの丈が短過ぎるのは“時代”と目を瞑り)、
ガタイが良く、ヨーロッパの女の子を魅了する“80年代の典型的アメリカ人美青年”という印象。

でも、日本の腐女子によりウケそうなのは、エリオ役のティモシー・シャメラであろう。
近年は世界的に、鍛え上げたマッチョな男性がもてはやされる時代が続いたけれど、
ティモシー・シャメラは、胸板が薄く、どちらかと言うと貧弱で、とても“少年”っぽい。
(もっとも、196センチの大男アーミー・ハマーと並んでいるから小柄に見えるだけで、
単独なら充分長身の182センチあるらしいが。)
現在22歳で、これからどんどん大人になっていくから、
『君の名前で僕を読んで』は、彼の最後の少年期をギリギリのところでフィルムに収められた
ラッキーな作品と言えそう。
撮影があと一年遅れただけでも、あのエリオの雰囲気は失われただろうし、
あのエリオが存在しなければ、『君の名前で僕を読んで』という映画自体が成立しなかったに違いない。





実は、公開して間もない頃、思い立ってフラッと映画館へ立ち寄ったら、
すでに最前列にしか空席が残っていなくて、観るのを諦めた。
その時初めて、この映画が世間で人気になっていると知った。
それからなかなか映画館へ行けずにいたので、
期待ばかりがどんどん膨らんでいってしまったのが良くなかった。

結果を言うと、この作品への私の評価は、世間の皆さまほど高くない。
何でも期待が大き過ぎると、実際の思いがその期待を超えられなくなっちゃうんですよねぇー…。
『君の名前で僕を呼んで』は、充分良作だとは思うけれど、目新しさは感じないというか、
良くも悪くも、ジェームズ・アイヴォリー的な世界観を色濃く感じてしまった。
ジャームズ・アイヴォリー監督1987年の作品『モーリス』も少し重なった。
『モーリス』の方がまだ背徳の香りがする分、観応えがあったかも。
『君の名前で僕を呼んで』は、登場人物がみんな物分かりが良過ぎるのも、物足りなく感じてしまう一因か。
息子エリオとオリヴァーの関係に気付きながらも、咎めるどころか理解を示す両親は勿論の事、
他にも、例えば、エリオと付き合うマルシア。
若い女の子が、好きな男の子と幾度となく肉体関係をもち、
挙句、相手から恋人と見做されていないと知っても、相手を認め、許すあの寛大さは、十代にしては出来過ぎ。
エリオにしても、夏の間、あんなに愛し合っていたはずのオリヴァーから、
「2年前からズルズル交際を続けていた女性と近々結婚する」と報告され、
ショックを受けながらも、恨みツラミを口にしない心の広さ。
一人くらい物分かりの悪い人を投入してくれた方が良かったかも…、なんて思ってしまった。

阿部ちゃんが林書宇監督最新作出演とかイタリア離婚事情とか

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どうやら阿部寛が、林書宇(トム・リン)監督最新作に出演するようだ。

マレーシア出身の作家・陳團英(Tan Twan Eng)の小説で、
2013年、第6回マン・アジア文学賞を受賞した<The Garden of Evening~夕霧花園>が原作。

共演は、李心潔(アンジェリカ・リー)、張艾嘉(シルヴィア・チャン)、そしてイギリスのジョン・ハナ―など。

この小説は、現時点で、日本語訳は出ていないみたいだし、
小説のタイトルが、そのまま映画のタイトルになるのかも不明。
李心潔が出ているということは、やはりマレーシアが舞台なのでしょうか…?
『空海 KU-KAI』に続き、今度は林書宇と、阿部ちゃんは、最近、華人監督とのお仕事が続きますね。
<夕霧花園>というタイトルが美しくミステリアスで、期待が膨らむ。



話はガラリと変わり、イタリア離婚事情。
多くの日本人が御存知のように、宇多田ヒカルが、イタリア人夫との結婚生活を4年で終了。
以前、私は、こちらに、
「イタリアは離婚に非常に時間が掛かり、申請から3年別居したことが認められないと、離婚が成立しない」、
「つまり、現時点でヒッキーの離婚が成立しているならば、
少なくとも3年前には離婚を決意し、離婚申請を出しているはず。
結婚期間は実質約一年で、ベイビーを産んだ頃には、御主人はすでにお払い箱だったと推測」と記した。

ところが、ベイビーを産んでからも1~2年、
ヒッキーが結婚生活を続けていたかも知れない可能性が分かったので、
彼女の名誉のために、記し直します。

そう感じたのは、最近、久し振りにイタリア人男性Dに会ったから。
彼は、結婚したくない人で、前に付き合っていた同じ年の女性も、そこに業を煮やし、最終的に彼をフッた。
約一年のフリー期間を経て、Dが付き合い始めたのは、またまた同じ年の女性。
同じ年だったら、結婚しないとまたフラレるわヨと私が言ったら、
「大丈夫。彼女は、前の夫との離婚申請を出したばかり。向こう3年は再婚できない」とD。

しかし、今回、久し振りに会ったDが、「イタリアの法律が変わってしまった…」と浮かない顔。
なんと、3年だった別居期間が、近頃、6ヶ月に大幅短縮されたのだという。
Dのガールフレンドは、予定を前倒しして、離婚成立。
今は、Dとの結婚と出産を熱望。
Dは、「勝手に法律を改正され、僕は心の平静を失った…」とシナ垂れていた。
ご愁傷様デス(笑)。

ヒッキーに関しては、いつ離婚申請を出したかによって、別居期間が最長で3年、最短で6ヶ月の可能性。
もう終わった結婚なので、どちらでも良いのだが、
もしかして彼女の名誉に関わるかも知れないので、一応、訂正しておきます。

亞洲華語版ドラマ『深夜食堂~深夜食堂』①

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すっかり夜も更け、時計の針が0時を指す頃、港町に佇む一件の小さな店に灯りがともる。
切り盛りしているのは、無口な店主ただ一人。
メニューはたったの3ツ。
但し、客が食べたい物を注文すると、できる物なら作ってくれる。
そこは、いつしか“深夜食堂”と呼ばれ、今夜も一人、また一人と、客がやって来る…。


2018年3月下旬、チャンネル銀河で始まった大陸ドラマ『深夜食堂~深夜食堂』が、
約2ヶ月後の5月半ば、全40話の放送を終了。
遅ればせながら、私もゴール。最近観た現代モノの中では、一番楽しめた。

20以上ものエピソードを詰め込んだオムニバス風ドラマであるため、
作品について記そうとすると、端折っても端折っても、どうしても長くなってしまう。
そこで、今回は、以下の2ツのエントリに分け記載。

亞洲華語版ドラマ『深夜食堂~深夜食堂』①
概要、エピソード紹介、物語の舞台、マスターのレシピ、広告など

抜粋エピソード、キャスト、音楽など


では、スタート。

★ 概要

原作は、安倍夜郎による同名コミック<深夜食堂>。
日本では、2009年に初めてドラマとして放送され、以降、シリーズ化。
映画化もされ、2015年に『深夜食堂』、2016年に『続・深夜食堂』と2作発表。

『花より男子~流星花園』で偶像劇ブームを作った台湾の監督・蔡岳勳(ツァイ・ユエシュン)が、
そんな人気コミックの版権を小学館から買ったというニュースが流れたのは、2012年のこと。
私は、原作コミック未読だけれど、日本のドラマと映画は好きで全部観ているので、
この中華版も楽しみにしていた。

ところが、この中華版『深夜食堂』、いざ蓋を開けたら、現地での評価はズタズタ。
「こういう形式の飲食店は中国に馴染みが無いのに、巧いこと現地化されず、違和感しかない」、
「出てくる料理がマズそう」、「劇中に、商品の広告が入り過ぎ」等々酷評の嵐。

じゃぁ、この題材はもう中華圏では駄目なのかと言うと、そうでもなく…

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日本でもお馴染みの香港明星・梁家輝(レオン・カーフェイ)が初めてメガホンをとる自作自演映画が誕生し、
本年度2018年中の公開が予定されている。
出演者は、超(ダン・チャオ)、彭于晏(エディ・ポン)、魏晨(ウェイ・チェン)らと豪華。


こちらのドラマ版だって、出演者の顔ぶれは、なかなか豪華。
特に中台の俳優が数多く出演。
台湾の俳優は、蔡岳勳監督の過去の作品の出演者を中心に、大物からそれ程でもない人まで色々。
自力では大陸に進出できない俳優も沢山起用されているし、裏方さんも同様。
台湾人の雇用にかなり貢献してるドラマだと感じる。

★ 物語

店主一人で切り盛りしている港町にある小さな食堂に、
夜な夜な集まってくる孤独な人々それぞれの人間ドラマを描く群像劇


基本的には、日本版『深夜食堂』と同じ。
数えたら、この中華版は、以下の24のエピソードから成っていた。
日本版ですでに映像化されているエピソードもあり。

1) 『三姊妹』~蟹肉酸菜麵(高菜漬け入り牛肉麺)
クズ男・張軒を巡り亀裂が入る3人の女友達、伊麗莎白、エルメス、Msの友情物語。

2) 『魚鬆飯』~魚鬆飯(田麩ご飯)
不思議な少女・奇奇が、大好きな歌で、人生の一瞬だけ命を輝かす物語。

3) 『流星花園』~煎餅菓子(揚げパン包み)
かつて“F4”と呼ばれた中年4人組が、マドンナ佳佳の結婚式で再集結する青春再燃物語。

4) 『紅香腸與雞蛋卷』~紅香腸(タコさんウィンナー)
托尼という男が、龍哥の義兄弟・阿義に持ち掛けた商売話からこじれていく任侠物語。

5) 『馬克的女兒』~樂樂套餐(特製ハンバーガー)
実母の出現で引き裂かれる、耳が不自由な船員・馬克と養女・樂樂の疑似親子愛物語。

6) 『酒蒸蛤蜊』~酒蒸蛤蜊(蛤の酒蒸し)
呑んだくれの阿蓮姨と、そんな母に手を焼く息子・阿丈の切るに切れない親子の愛憎物語。

7) 『明天』~跳舞西西(スノーダンス)
難病の二人、先天性心疾患の胡西西と膠芽腫の任里昂の儚くも輝かしい恋愛物語。

8) 『大明星與流浪漢』~醬油炒麵(醤油焼きそば)
失踪した父・孫尚を密かに探し続ける孤独な人気女優・孫可唯の物語。

9) 『傷心涼粉』~傷心涼粉(傷心涼粉)
失恋ばかりしているCA小泉に片想いする冴えない太っちょ運転手・高の実らぬ恋の物語。

10) 『紅燒肉』~紅燒肉(紅焼肉)
中風で体が不自由になった気難しい老医師・蘇と、彼を介護する農村女性・孫翠芳の絆の物語。

11) 『破曉食堂』~雞蛋三明治(卵サンド)
夢を追う内スレ違っていく二人、ジャーナリスト志望の新聞配達・蔡智勇と女優の卵・林小桑の恋物語。

12) 『紅香腸再登場』~微笑章魚紅香腸(タコさんウィンナー2)
大学時代のある事件で姿をくらました龍哥が、死期迫るかつての恋人・李牧美と再会を果たす物語。

13) 『永遠懷念的朋友』~紅棗粽子(東北ちまき)
“直條紋(縦じま)先生”からの代筆の手紙で、彼と心が繋がる女性・曉蓉のエア恋愛物語。

14) 『拳擊手』~回鍋肉(回鍋肉)
未亡人・明美とその息子・酷顆のために闘うボクサー・文中勝の愛と勇気の物語。

15) 『老醬油』~鹵豬腳(豚足の醤油煮)
醤油作り一筋の父・姜志忠が倒れ、久し振りに故郷へ戻ったデザイナー姜大山の父子愛の物語。

16) 『外婆奏鳴曲』~蟹粉小籠包(蟹入り小籠包)
借金の取り立てで手に入れたピアノから阿賢の記憶に蘇る、優しかった祖母との少年時代の物語。

17) 『忘年之戀』~蜜桃成熟時(桃の食べ頃)
若いダンサー明明に心を奪われた世界的建築家の老いらくの恋の物語。

18) 『魚香肉絲』~魚香肉絲(魚香肉絲』)
仲良しだった近所のお兄さん・高遠との再会で、料理への情熱を思い出す料理評論家・魏然の再生物語。

19) 『深夜快遞』~隔夜咖喱飯(カレーライス)
エルメスが恋したまだ十代の配達員・小艾の悲しい過去と双子の兄・徐大天への想いを描く物語。

20) 『彼岸花開』~薑末蛋炒飯(生姜炒飯)
40代でアルツハイマーを発症した女性・海芬が、元夫や娘夫婦に再び支えられる家族再生物語。

21) 『深夜食堂分店』~魚汁蒸蛋(魚汁蒸蛋)
失読症で止むを得ずヌードモデルをする郁美と彼女の想い出の味を再現しようとするコック蔣明の恋物語。

22) 『花好月圓』~炸糯米圓子(揚げ白玉)
理想的な女性を演じてきた小月が、自由な妹・小梅のように自分を解放し、姉妹の仲も修復する再生物語。

23)『舞者』~喜相逢與雞蛋餅(喜相逢)
若手にトップの座を奪われた馬玲玲が、寿退職よりダンスを選び、再びステージで輝く不死鳥伝説。

24)『心靈蛋雞湯』~老芝雞湯(チキンスープ)
恋愛のカリスマとして知られるも私生活では離婚の危機にある作家・高建瓴が妻と向き合う物語。

一つのエピソードは大体2~3話。サクサクと観易いです。

★ 舞台

日本版『深夜食堂』の舞台は新宿ゴールデン街。
実際には、埼玉県入間の倉庫に、ゴールデン街を再現し、撮影したらしい。

一方、中華版の『深夜食堂』では、“港町”と紹介されるに留まり、具体的な地名は出てこないが、
主演の黃磊(ホァン・レイ)が撮影のため、135日間高雄に長期滞在したという話からも、
店内を中心とした多くのシーンが、台湾・高雄で撮られてことが判る。
蔡岳勳監督は、『ブラック&ホワイト~痞子英雄』も高雄で撮影。
その後、現地で立派な家まで購入しているし、高雄は本当に監督のお気に入りシティなのであろう。
『深夜食堂』は室内シーンが多いドラマではあるが、
所々で、そこが明らかに高雄であると判る建物が映り込む。

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特に高雄85大樓(高雄85ビル)や、ショッピングモール漢神巨蛋購物廣場の“HANSHIN”のロゴは、
目にする頻度が高いかも。


撮影は、さらにもう一つの港町、大陸の大連でも行われている。

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こちらも非常に分かり易く、放射線状に道がのびる大変有名な中山廣場の映像が、よくインサートされる。
また、屋外シーンでは、広場附近の近代建築群もしばしば登場。
歴史的価値の高い欧風建築が出てくるシーンは、ほぼ間違いなく、大連であろう。


中華版『深夜食堂』は両岸コラボ作であり、このように、実際、撮影も両岸にまたがり行われてるため、
舞台は場所を特定しない“架空の港町”にするのが必然だったのでしょうね。
“架空”で、さらに“港町”なので、ドラマには御伽噺のような幻想的な雰囲気が無きにしも非ず。
土着感やリアリティという点では、“新宿ゴールデン街”と特定している日本版の方が上。

★ 老闆食記

『深夜食堂』では、毎話、エピソード所縁のお料理が登場。
現地では、それらお料理も「どれも不味そう」、
「中国は食の大国なのに、なんでインスタント麺なんか出すんだ!」と槍玉に挙げられた。
しかし、実のところ、日本版にも大したお料理は出てこないのよねぇ…。
例えば、赤いウィンナーをカットして焼く“タコさんウィンナー”は、日本版にも登場するメニュー。
この手のドラマはとかく“飯テロ”などと表現されるけれど、
私自身は、日本版『深夜食堂』を観て、うわぁ~これ食べたい!と作中のお料理にソソられたことは無い。
『深夜食堂』は、お料理そのものより、それにまつわる人間ドラマを味わう作品という認識。


それはそうと、中華版では、エンディングで“老闆食記(マスターのレシピ)”として、
所縁のお料理の作り方が、イラストによって紹介される。

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それらイラストは、台湾の女性イラストレーター巧可(チョコ)の手による物。
巧可の他の作品を見たら、私好みの作風ではなかったのだけれど、
本ドラマの“マスターのレシピ”は、温かみのある素敵なイラストです。

★ プロダクト・プレイスメント

ついでなので、現地でもう一つ悪評を呼んだ「広告入り過ぎ!」についても少し。
作中、小道具などとして、商品/商標を見せる、広告に見えない広告、
いわゆる“プロダクト・プレイスメント”は、どこの国にも有るもの。
一般的には、あくまでも“さり気なく”やるべき事なのだろうけれど、これが中華圏だとあからさま。
昨日今日始まった事ではなく、日本人の私には、もはや“伝統”にさえ感じられる。
“お金を出した人には、きちんとそれなりの見返りを”という華人の義理堅さが、
あのような露骨な広告になっているのではないかとも推測。

中華版『深夜食堂』も、確かに、商品広告が多い。
取り分け目に付いたのが、(↓)こちら。

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“微風”という台湾ブランドのフェイシャルマスク。
「これ、使ってみて」と女性にプレゼントするなど、かなり強引に物語に絡め、様々なシーンに挿入される。
ヒンシュクを買っても、視聴者の脳裏には焼き付いたのだから、広告として成功?


もう一つは、(↓)こちら。

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ペプシ・コーラ。
近年、大陸ドラマでお約束の飲料と言えば、“RIO”だけれど、
ひと昔前の中華作品なら、やはりペプシでしょー…!
蔡岳勳監督の出世作『流星花園』でブレイクしたF4は、ペプシのイメージキャラクターとなり、
その後、続編ドラマの中では、このシーンでもあのシーンでもペプシ、ペプシ、ペプシ…。
F4は、病院に入院中でもペプシを愛飲していた(笑)。
続編を撮ったのは蔡岳勳監督ではないのだけれど、
ペプシには、『流星花園』やF4との因果を感じ、懐かしくなる。




亞洲華語版ドラマ『深夜食堂~深夜食堂』②

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2018年3月下旬、チャンネル銀河で始まった大陸ドラマ『深夜食堂~深夜食堂』が、
約2ヶ月後の5月半ば、全40話の放送を終了。

20以上ものエピソードを詰め込んだオムニバス風ドラマであるため、
作品について記そうとすると、端折っても端折っても、どうしても長くなってしまう。
そこで、今回は、以下の2ツのエントリに分け記載。

概要や、エピソード紹介、物語の舞台、マスターのレシピ、広告など

亞洲華語版ドラマ『深夜食堂~深夜食堂』②
抜粋エピソード、キャスト、音楽など


ここでは、まず、20以上のエピソードの中から、私mangoの印象に特に残った物を5つに絞って記す。
記載の順番に優劣はなく、ただ単に放送順になっております。

★ 流星花園

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学生時代“F4”と呼ばれた面影の無い冴えない中年男4人が、マドンナ佳佳の結婚式で再集結し、
もう一度輝かしかったあの頃を取り戻す青春再燃物語。
『花より男子~流星花園』で一時代を築いた蔡岳勳監督ならではのエピソード。
劇中、中年F4が歌う歌は、もちろん<流星雨>!
キラキラ輝いていた頃の台湾偶像劇が好きだった日本人視聴者なら、きっと郷愁を覚えるはず。

マドンナ佳佳に扮する陳彥妃(エッダ・チェン)は、実際、ドラマ『華麗なる遺産~我的燦爛人生』で、
F4の内のF1、言承旭(ジェリー・イェン)との共演経験あり。

★ 馬克的女兒

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捨てられていた樂樂を拾い、大切に育ててきた耳の不自由な船員・馬克の前に、
樂樂の生みの母親・艾真が現れたことで、
実の父娘同然だった二人が引き裂かれてしまう疑似親子の悲しい愛情と再出発の物語。

出演は、馬克に趙又廷(マーク・チャオ)、樂樂の実母・汪艾真に戚薇(チー・ウェイ)

蔡岳勳監督の『ブラック&ホワイト~痞子英雄』でデビューした趙又廷が
またまた監督とコラボした本作品では、まず、普段とは違うロン毛に目が行ってしまう。

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この『深夜食堂』を、映画『So Young~過ぎ去りし青春に捧ぐ』(2013年)に続く
“趙又廷の不自然なズラ作品”に認定させていただきます。
ズラには多少違和感があっても、演技は上手くなりました。
言葉で意思を伝えられない馬克のもどかしさや憤りが、ひしひしと伝わってきた。

★ 紅燒肉

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現役時代は名の知れた優秀な医師だったものの、
中風で倒れ、息子夫婦に疎まれるながら、ほぼ寝たきりの生活をしている気難しい老人・蘇と、
蘇の介護に雇われた農村出身の女性・孫翠芳との絆を描く物語。

出演は、老医師の蘇に金士傑(ジン・シージエ)、介護に雇われた孫翠芳に梁靜(リャン・ジン)

金士傑は、台湾新電影の監督たちの作品で、80年代から日本でお馴染みという事もあり、
“とても台湾らしいベテラン俳優”という印象があるけれど、近年は大陸作品への出演多数。
今回は、口を開けば毒づくヘソ曲がりの老医師を、ねちっこく好演(でも根っこはイイ人)。
この蘇というおじいさんは、現役時代は大層な仕事人間で、家にはろくに帰らず、病院に詰めていたので、
病院内の蘇の部屋は、同僚たちから影で“蘇宅”と呼ばれていたという。
…と、さり気なく『琅琊榜(ろうやぼう)、麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』ネタも投入されております。

そんな蘇を介護する翠芳役の梁靜は、日本で『深夜食堂』の放送中、出演映画『スマート・チェイス』も公開。

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ズーズー弁で喋る農村出身の野暮ったい翠芳と、英語で喋る悪役のマダムとの極端な差に、びっくり。
同時期に、まったく違う顔を見せる2種類の梁靜を堪能した私であった。
この『紅燒肉』は、お話自体がもちろん良いし、両岸実力派俳優の演技も見もの。

★ 拳擊手

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年上の未亡人・明美と恋に落ち、彼女の息子・酷顆のことも我が子のように愛するボクサー、
“阿勝”こと文中勝が、二人を幸せにしたい一心で、危険な試合に臨む勇姿を描く人間ドラマ。

出演は、ボクサー文中勝に江奇霖(ジャン・チーリン)、未亡人の明美に于小惠(ユー・シャオホイ)
そして明美の息子・酷顆に蔡豐澤(ツァイ・フォンズァ)

主演俳優は、『太子妃狂想曲<ラプソディ>~太子妃升職記』の趙王役で久し振りに見たら、
面白い俳優に成長していたあの江奇霖ですヨ。
正統派の美男子ではなく、大陸の若手にはあまり居ない“雰囲気イケメン”タイプの俳優。
今回は、ずっと年上の于小惠相手に、『太子妃』の趙王とはまた違う顔を見せてくれている。

で、その于小惠は、私生活で蔡岳勳監督の奥方であり、4人もの子をもつ母。
元々女優だが、結婚後は基本的に家庭重視で、プロデュサーや脚本家としての裏方作業が多い。
夫が見守る中、久々の女優業に挑んだ于小惠は、ずっと第一線で活躍している洗練された女優とは異なり、
丸みのある腰や太めな二の腕からも生活臭を醸し、子持ちの未亡人役にリアリティあり。

そして、明美の息子・酷顆を演じる蔡豐澤クンは、蔡岳勳監督&于小惠の4人の子の内の3番目の坊や。
5歳の初演技でも、実のママと一緒だから、母子の雰囲気が自然。
でも、監督の妻子相手に演じなければならなかった江奇霖は、やりにくかったかも知れませんねぇー。

★ 忘年之戀

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十年以上前に妻を亡くした世界的建築家・莫華が、若いダンサー明明に心奪われるが、
住む世界があまりにも違うため、世間から心ない声を浴びせられるも、
彼女を真剣に愛し、誠実に接する姿を描く老いらくの恋の物語。

出演は、世界的建築家・莫華に張國柱(チャン・グオチュウ)、ダンサー明明に葉青(イエ・チン)

張國柱は、セレブな熟年男性を演じられる貴重な台湾俳優。
台湾は、気さくなオジちゃんを演じられる俳優は多いけれど、セレブ系の層は薄いんですよねぇ。
長男の張翰(チャン・ハン)も、『紅香腸與雞蛋卷』のエピソードに、托尼哥役でチラリと出演。
(張翰と言っても、大陸の人気俳優、あの張翰ではありません。40代半ばの同姓同名台湾人俳優。)
さすがに、大物になりすぎた次男の張震(チャン・チェン)は、こういうドラマには出てくれませんよね。

相手役のダンサー明明を演じているのは、『宮廷女官 若曦(ジャクギ)~步步驚心』の玉檀。

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清代、巨大セイロでシュウマイみたいに蒸し殺された(!)あの玉檀は、
今生でダンサーになり、金持ちのオッサンと恋に落ちていた。

★ キャスト その①:主人公・老闆

上に記した以外のキャストも簡単に見ておきます。

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黃磊(ホアン・レイ):老闆(マスター)~深夜食堂を一人で切り盛りする店主

絶対に外せないのは、このマスター。
顔の傷からは、人には言いにくい何かしらの過去を背負っていることを想像させる。
日本版で演じている小林薫と比べると、黃磊は若く、何でも優しく聞いてくれそうな穏やかな雰囲気。
私は、小林薫扮する日本版マスターが好きなのだけれど、どうせ原作コミックを知らないので、
中華版の黃磊も、また別のマスターとして、抵抗なく受け入れた。
訳アリの雰囲気なら、新たな映画版の梁家輝(レオン・カーフェイ)の方が小林薫に近いかも。

一応、それら3人を比較。

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中華版ドラマで黃磊が、日本風の作務衣を着ているのは、
蔡岳勳監督が権利を買う際、原作者の安倍夜郎から出された条件の一つだったらしい。
なのに、梁家輝は、作務衣じゃなくて良いの…?
ちなみに、店内にこういう形式のカウンターを設けるのも、原作者からの条件。

★ キャスト その②:レギュラーメンバー

深夜食堂の常連客の中から数人をピックアップし、日本版と比較。

三姉妹

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日本版では、ミキ、ルミ、カナの3人組で、通称“お茶漬けシスターズ”。
中華版では、エリザベス、エルメス、小姐という3人組で、
いつも即席麺を注文することから“泡麵三姊妹(即席麺三姉妹)”と呼ばれる。
演じているのは、順番に、吳(ウー・シン)、李佳桐(リー・ジアトン)、謝承穎(シエ・チェンイン)
特に、普段の姿とはまったく異なるラヴリーなお召し物で不思議チャンを演じている吳は印象的。


竜ちゃん/ゲン

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ヤクザ者のコンビを演じるのは、日本版だと“竜ちゃん”こと剣崎竜に松重豊、
その子分、“ゲン”こと林ゲンに山中崇。
中華版では、“龍哥”こと趙銘龍に宋洋(ソン・ヤン)、“阿賢”こと金志賢に蔣雪鳴(ジャン・シュエミン)

宋洋は、松重豊よりずっと若い二枚目で、サングラスを取ると、目が優しい。
でも、そのお陰で、カタギだった大学時代の回想シーンに違和感なし。
最近観た映画『無言の激昂』(2017年)で演じた鉱山労働者もとても良く、益々気になる俳優。

“最近観た”と言えばドラマ『開封府 北宋を包む青い天~開封府傳奇』のイカれ劉復!
悪役ながら人気を博した彼を、立て続けに現代劇でもお目に掛かるとは。
北宋で処刑されたチンピラ劉復は、今生に転生しても、やはりチンピラであった。
でも、実は、元々は優等生で、ピアノが得意という設定(笑)。


小寿々/マリリン

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曲者ポジションからはこの二人(…まぁ、他のキャラも充分曲者ですが)。
日本版では、二丁目のゲイバーを経営する小寿々に綾田俊樹、
ストリップ劇場・新宿ニューアートのダンサー・マリリン松嶋に安藤玉恵。
中華版では、それぞれ、“小壽叔”こと姚小壽に姚安濂(ヤオ・アンリエン)
“馬玲玲”こと馬玉玲に楊壹童(ヤン・イートン)

日本版の小寿々が、メイクをした“二丁目の名物ママ”風なコミカルなキャラなのに対し、
姚小壽扮する中華版の小壽叔はノーメイクで、喋り方も落ち着いており、よりリアルな熟年ゲイといった印象。

マリリンはねぇー、私は日本版の安藤玉恵が好き過ぎるので、楊壹童さま、ゴメンなさい!
安藤玉恵は、気のいいお水を演じさせたらピカイチ!
マリリンは、ダンサーと言っても、昭和臭漂う場末のストリップ劇場のストリッパーで、
観客のおじいちゃんたちの「ご解きーんっ!」の掛け声に合わせ、お股をパカーンと広げちゃったりするの。
中華圏じゃぁ、この設定では、放送しにくいだろうから、まぁ仕方がないですね。

★ キャスト その③:その他

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登場人物の多い群像劇なので、特に印象に残った人だけを、絞りに絞ってほんの数人だけ挙げておく。

劉昊然(リウ・ハオラン:小楊~『魚鬆飯』より 新進気鋭の音楽プロデューサー

主演したコメディ映画『僕はチャイナタウンの名探偵』(2015年)はヒットしてシリーズ化、
『琅琊榜』の続編『琅琊榜<弐>風雲来る長林軍~琅琊榜之風起長林』の主演にも抜擢されるなど
ノリに乗っている劉昊然を外すわけにはいかないであろう。
子犬系の顔で、おっとり朴訥とした雰囲気を醸す若干ハタチの劉昊然には、弟キャラが似合うのだが、
今回は、同じ年の徐嬌(シュー・チャオ)相手に、普段より大人っぽい音楽プロデューサー役に挑戦。


恬妞(ティエン・ニウ):阿蓮姨~『酒蒸蛤蜊』より 息子に迷惑を掛けてばかりの呑んだくれ

昔は香港、今は大陸でのお仕事が多いため、“台湾女優”の印象が無い、台湾出身の恬妞。
比較的最近観た出演作だと、『後宮の涙~陸貞傳奇』で演じた北齊の周太妃の印象が強かったけれど、
『深夜食堂』では皇族からガラリと転じ、元トラック運転手の呑んだくれ。
時代劇では感じなかったが、しがない元トラック運転手を演じている本作品で見たら、
そのウラブレッぷりが、冨士眞奈美にソックリだったので、記憶に焼き付いた。


蕭敬騰(ジャム・シャオ):任里昂~『明天』より 膠芽腫を患い余命僅かな青年

本ドラマには、台湾の人気男性シンガーが二人出演。
一人は任賢齊(リッチー・レン)で、もう一人はこの蕭敬騰。
俳優業ですでに成功している任賢齊と違い、演じている蕭敬騰を見る機会は少ない。
声は恐らく声優の吹き替えではなく、本人の声が採用されていると推測。
少々タドタドしく聞こえるけれど、歌手なので、声を吹き替えられれしまったら、ファンは怒るでしょうね。
相手役、胡西西を演じているのは『ときめき旋風ガール~旋風少女』で注目された胡冰卿(フー・ビンチン)。
続編では降板した初代・百草の胡冰卿が、余命いくばくもない女性を『旋風少女』よりシットリ演じている。


張鈞(チャン・チュンニン):孫可唯~『大明星與流浪漢』より 音信不通の父を探し続ける人気女優

本作品には、女優という設定の役が二人登場(ボディダブル要員の女優も含めると3人)。
一人は張鈞扮するこの孫可唯で、
もう一人は洪晨穎(ホン・チェンイン)扮する『破曉食堂』の林小桑。
張鈞も洪晨穎も、蔡岳勳監督の『ブラック&ホワイト』に出演した台湾女優であることが共通点。
そう、洪晨穎は『ブラック&ホワイト』の小である。
『深夜食堂』で洪晨穎が演じている小桑は、エキストラばかりやらされている女優の卵役。
普通っぽくて素朴な洪晨穎は、そのお話の前半部分は役に合っているのだけれど、
後半、売れて、人気女優になるという設定には、説得力が無さ過ぎた…。
洪晨穎と比べることで、張鈞はやはり綺麗で、女優役も合う女優さんだと思い知らされた。


王迅(ワン・シュン):王永好~『心靈蛋雞湯』より 出稼ぎ中に起きた震災で家族を亡くした男

今回、釣り人風の帽子を被って王永好を演じた王迅は、
現地で「電車で痴漢しそう」、「日本のオジさんみたい」、「日本のヲタクっぽい」と評価。
中国人がイメージする“日本の中年男性”って、こういう感じなのでしょうねぇ。
ちなみに、この王迅、日本絡みの作品への出演が、この先にも続く。
黃磊が監督&主演する、山田洋次監督作品『家族はつらいよ』の中国版リメイク『麻煩家族』が、それ。
娘婿の役を演じているらしいので、つまりは、林家正蔵ポジションってことか…?


北村豊晴:フレンチレストランのシェフ~『深夜食堂分店』より

こちらは、リアル日本人。台湾を拠点に活動する俳優で監督の北村豊晴。
『深夜食堂分店』のエピソードの主役で、実家の烤鴨店を継がず、フレンチの料理人を目指す蔣明を
クビにするレストランのシェフ役で、物語冒頭にチラリと出演。
ドラマ『開封府 北宋を包む青い天~開封府傳奇』枢密使・張林を見た時、
「えっ、北村豊晴が大陸史劇に出る大出世?!」とビックリしたら、見間違いだったのだけれど、
チョイ役とはいえ、こちらの『深夜食堂』には本当に出演を果たしたのですね。
本ドラマ唯一の日本人出演者ではないだろうか。

★ テーマ曲

まず最初に言わせていただきますと、このドラマ、オープニングもエンディングも、
元々あったはずの文字を全て消去し、歌の日本語訳だけを音楽&映像に付け流すという、
私が大っ嫌いなタイプであった。
中文歌詞まで消し、中文カラオケにさえなっていない、ただのイメージ映像なんて要らない。
特にクロージングクレジットは、情報の宝庫だから、絶対に消さないで欲しい。
このように、このドラマのOPとEDは、共に私にとっては無用の長物でしかなく、いつも早送りしていたため、
音楽にも思い入れがない。
でも、一応、挙げておきます。
オープニングは、俳優として出演もしている蕭敬騰(ジャム・シャオ)の<光線背後>
エンディングは、許一鳴(シュー・イーミン)の<放膽>
許一鳴は、有名なプロ歌手数人が先生を務める音楽番組『夢想的聲音~Sound of My Dream』で、
蕭敬騰先生の下につく挑戦者として出演し、注目を集めた新進の実力派シンガーみたい。
そんな訳で、ここには、すでに有名な蕭敬騰ではなく、お弟子さん許一鳴が歌うエンディング曲の方を。





現地での評判があまりにも悪かったため、恐る恐る観始めたけれど、なんの、なんの、面白かった。
市井の人々のささやかなお話で、ドラマティックな展開などは無いが、それがまた良し。
お気楽な台湾偶像劇とも、豪華で観応えのある大陸史劇とも違い、
有りそうであまり無いタイプの中華ドラマだから、新鮮味もある。
これ、現地より、むしろ日本の方が、視聴者ウケするのではないだろうか。
現地での悪評も、何か決定的な欠点を指摘しているというより、
オリジナルの日本版との比較で、人々の観る目が厳しくなっているようにも見受ける。
これと限らず、人気作がリメイクされる場合は、オリジナルのファンから叩かれるものである。
悪評の一因となっている“現地化/ローカライゼーション”についても、どうなのでしょう。
特に大衆向け商品などは、現地化することで、売れ易くなる傾向はあるだろうけれど、
“完全な現地化をしない面白さや魅力”というのも絶対にあり、それは映像作品にも当て嵌まる。

ついでに、日本側の作業についても言及しておくと、
オープニング&エンディングを、ただのイメージ映像にされてしまった事には不満だが、
日本語字幕で、登場人物の名を漢字表記にした事は、高く評価。
これだけ登場人物の多い群像劇だと、片仮名表記は紛らわしくて、混乱の元。
他の中国語ドラマも、『深夜食堂』の字幕を見習い、これに追随して欲しい。

関連作品では、梁家輝監督&主演映画『深夜食堂』も日本に入って来ると期待。
こちらも楽しみ。

果実の酸味爽やかなチョコレートケーキ2種(+関西行きとかドラマとか)

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近年、この時期恒例になっている関西出張に行ってきた。
全ての手配をしているイタリアの会社には、
「私はイタリア人じゃないの。日本人だから朝ゴハンはガッツリの食べるの。
ホテルは絶対に朝食付きで3泊予約して!」と事前に念を押しておいたのに、
彼ら、朝食付き3泊の代わりに、なぜか朝食抜きで4泊予約した…。
(こちらが想定しない類の間違いが結構な頻度で起きる。)
チェックインの際、ダメ元で、
「4泊目をキャンセルする代わりに、3泊で朝食付きに出来ないか?差額があるなら払う」と頼んでみたが、
一切の変更不可という条件での予約だったため、案の定ダメだった。
そりゃあ、そうよね…。

しかも、昨年宿泊した神戸オリエンタルホテルがなかなか良かったので、今年も同じと期待していたのだが、
予約が遅かったため、オリエンタルホテルはすでにスタンダードルームが満室、
そこで、同じ系列の神戸メリケンパークオリエンタルホテルに予約を入れたという。

同じ系列と言っても、グレードはかなり下であろう。
建物を見て、すぐにそう感じた。
なんか、“昭和期、熱海辺りにあったファミリー向けリゾートホテル”という印象。
立地も、仕事へ行くには不便な場所であった。


でも、メリケンパークオリエンタルホテルの名誉のために申しておきますと、
コスパは良いホテルなのではないかと思う。
イタリアの会社がいくら支払ったのかは知らないけれど、恐らく高くないはずで、その割りには良い。
少なくとも、東京だったら、同額でもっとずっとセコいビジネスホテルにしか泊まれないであろう。
設備の古さは否めないが、従業員の皆々様は非常に優秀。
この辺りも近年は外国人宿泊客が多いのか、従業員も中国系やインド系と思しき人が多く、
日本語上手いし、腰が低く、とても丁寧なので、驚いた。


私のお部屋からの眺めは、(↓)こんな感じ。

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海に面したバルコニー付きのお部屋。
色が変わる観覧車が見えます。


空いた時間で、周囲を散歩してみた。

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このモザイク柄の不思議なオブジェは、日中国交正常化20周年に建てたられた記念碑らしい。
つまり、今から26年前の1992年に建てられたのであろう。
昔から外に開かれた港町・神戸らしくて良いですね。
ちょうど中華版『深夜食堂』を観ていたので、ドラマの舞台となる港町・高雄のイメージも重なった。
どこの国でも、港町には共通の“ニオイ”を感じる。


チャイナ繋がりで中華街。
大丸のデパ地下へ行くついでに、こちらも寄ってみた。

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横浜よりこじんまりした中華街。

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中華街仕様のパンダちゃん付き可口可樂(コカ・コーラ)の自販機がキュート。


東京の家に帰宅後は、渾身の力を振り絞り、今回の不満を長文メールにしたため、イタリアへ送信。
元々風邪気味だったのに、精魂尽き果て、それ以降ずっと体調が優れない。
吐き気がして、テレビの明るい画面がキツイから、
録画しておいた今週放送の『琅琊榜(ろうやぼう)<弐> 風雲来る長林軍~瑯琊榜之風起長林』も
まだ観ていない…。


ドラマと言えば、今回の関西行きを機に、
少しずつ録画を消化していた『麗王別姫 花散る永遠の愛~大唐榮耀』を
キリの良い20話で、視聴停止決定。
主演の景甜(ジン・ティエン)が、元々苦手な女優ということもあり、気が進まないまま観始めたけれど、
結局、その苦手意識が払拭できる程の脚本とは思えなかった。
(脚本が面白い作品だと、苦手な俳優もが魅力的に見えてきてしまうこと多々あり。)
退屈して、それまでにも何度も挫折しかけたが、「もう、やめよう」と思う度に…

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安祿山役で林雪(ラム・シュー)がひょこっと投入されるので、ズルズルと観続けてしまった…。
全30話くらいだったら、惰性で観ることもできたかも知れないが、なにせ全82話…。
“林雪(はやし・ゆき)ちゃん効果”が有っても、あと4倍の量を観続けるのはキツイと判断した。
私と同じように、林雪ちゃんにツラれ、ズルズル観続けてしまっている視聴者は他にもきっと居ますよね…。

その後、5月11日よりLaLaTVで放送開始した『酔麗花 エターナル・ラブ~醉玲瓏』も、
今のところ、私は乗れていない。
こちらも適当なところで捨てて、
『琅琊榜<弐>』と『ミーユエ 王朝を照らす月~羋月傳』の2本に集中しようかと検討中。

皆さまは、一体どのドラマを気に入って視聴中なのでしょうか…?
後々世間の盛り上がりを目の当たりにして、
「あぁー、捨てずに観ておけば良かったぁー」と悔やむのもイヤというか…。
最終的には、自分の好みの問題になるので、自分の目で確かめないことには何とも言えないのだが。




お菓子は、関西土産の物ではなく、何の関係もないケーキを2ツ。
どちらも、チョコレートと酸味のある果実を合わせた物。

★ ルージュブランシュ:オレンジ・ショコラ

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大きさは、幅約8センチ、厚さ約3センチ。
チョコレートムースとオレンジムースを合わせ、トップにスライスしたオレンジをのせたケーキ。



一つめは、ルージュブランシュ(公式サイト)“オレンジ・ショコラ”
一見ロールケーキ風だが、2種類のムースをメインにしたケーキ。

チョコレートムースは、“ムース”と言うより、ふわっふわの“チョコレートクリーム”。
特別暑くない今の時期でも、室温で、どんどん緩く崩れていく。
それ程ふわっふわの軽い質感なのだけれど、味は濃厚。
表面をコーティングするチョコレートは、さらに濃厚な味わい。
オレンジムースは、爽やかで、チョコレートとの相性も良し。

底面には、少量だが、何やらサクサクの物が敷かれている。
全体がふわふわなので、これが食感の良いアクセントに。


どんどん崩れてくるので、見た目はあまり良くないし、ちょっと食べにくいのだけれど、お味は良し。

★ ヴィタメール:ミロワール・カシス

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大きさは、幅約7センチ×4センチの楕円で、高さ約5センチ。
中にスポンジ生地とホワイトチョコレートクリームを隠したカシスムースのケーキ。



もう一つは、ヴィタメール(公式サイト)“ミロワール・カシス”

メインのカシスムースは、見た目の印象より柔らかで軽い食感。
カシスのフルーティーな酸味がしっかり効いていて、爽やか。
一方、中のホワイトチョコクリームはマイルドな甘さで、カシスの酸味を中和。


コーヒーにも紅茶にも合う感じ。
コクが有るのに爽やかなお味は好みだが、柔らかな物だけで構成されているのが残念。
歯応えのアクセントになる物が欲しい。

北京2017:四方三川

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Yahoo!ブログの不具合もあり、2017年秋・北京旅行記がすっかり滞っております…。
今回、久々の更新では、お食事処・四方三川Restaurant Sifang Sanchuanを取り上げておく。

四方三川は、まだ未開拓のレストランを試したいと思い、調べていたところ、
比較的新しい2016年春のオープンにもかかわらず評判が良く、
場所も便利だったので、行ってみることにした。


店名にある“四方”は、歴史上の雲(雲南昆明)、貴(貴州貴陽)、川(四川成都)、渝(四川重慶)を指し、
それら4ツの国の起源であり、三国時代から中原の文化を育んできたのが渭河、河、洛河の“三川”。
どうやら、絶え間ない探求心や発見の思いを込めた勇壮な店名であるようだ。
我々日本人には、単純に、画数の少ない簡単な漢字であることが、覚え易くて良いですね。
私は、勝手に日本式に“しほうさんせん(四方三川)”と呼んでおります。


提供されるお料理は、四川料理がベース。
伝統的な四川料理ではなく、四川に貴州などの要素を加えた、言わば“ヌーヴェル四川料理”。
辛いだけではなく、酸味や甘みを加えたお料理が多い。
実のところ、他の地方の物もぼちぼち有るし、
広く“創作中華料理”とか“フュージョン中華”と呼んだ方が良いのかも。

★ 場所

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場所は、三里屯エリア。
最寄りの駅は、地下鉄10号線・团结湖(団結湖)駅。
D出口から地上に出て、大通り・工人体育场北路(工人体育場北路)を西へ直進した左手。

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道をはさんだ真向かいは、有名な複合商業施設・三里屯太古里(旧・三里屯VILLAGE)だから、
北京初心者でも迷いません。


お目当ての建物は、(↓)こちら。

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建物の前に“me”のオブジェ。
そう、ここ、日本を含む世界中で展開しているMercedes me(メスセデスミー)。
レストランやカフェを併設し、自社の情報発信をする、メルセデスの一種のショールームのような空間。
東京のメルセデスミーに入ってるのは、確かカジュアルな洋風レストランとかカフェだと聞いたことがあり、
わざわざ行こうと思ったことは一度も無かった。


東京でも行ったことのないメルセデスミーに、北京で足を踏み入れてみる。

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車は当然展示されているけれど、他にも雑貨が売られていたり、お花屋さんがあったり。
確かに、昔ながらの自動車ショールームとは違う雰囲気である。
併設のお食事処は2ヶ所で、一つは1階エントランス脇のカフェ。
明るく開放的だが、落ち着いており、
お一人様でコーヒー休憩をするのにも、お友達とウダウダするのにも良さそう。
でも、私のお目当ては、もっとガッツリ食べられるレストランの方。

★ 四方三川

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建物内の階段で2階へ上がると、すぐ目の前に四方三川の入り口。

こちらは店内。

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天井から下げられた沢山の照明器具が、空を埋め尽くす気球のよう。



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サービスで“欢迎茶(歓迎茶)”が一杯運ばれてきた。
ウェイターの男の子が、“涼茶”だと言っていた。
普通にオーダーすると、32元也。
ほんのり棗の味がする冷たいお茶で美味しいが、お食事のお供にするには甘いかも。


以下、こんな物を食べました。

★ 檸香話梅蓮藕

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まずは、“柠香话梅莲藕(檸香話梅蓮藕)”
ひと皿、56元也。
ちょこちょこっとつまむ前菜のつもりで頼んだが、いざ運ばれてきた物を見たら、量が多くてびっくり。

私自身、何だかよく分からずに注文したのだが、揚げレンコンである。
スティック状にカットした蓮根を、大学芋のように飴掛けした料理。
味付けのポイントは、話梅(干し梅)。
そう、中国茶のお茶請けとしてもお馴染みの、あの話梅。

日本だと、蓮根を揚げる場合は、薄く輪切りにすることが多いけれど、
いやいや、これからはスティック状にカットするべき!
蓮根がこんなホックホクの食感になるとは、新鮮な驚き。
話梅がまた良いアクセント。
酢豚のタレの甘酸っぱさとはまた違う、梅特有の甘さと酸味が、揚げレンコンにぴったり。

★ 干鍋麻婆豆腐蝦

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続いて、“干锅麻婆豆腐虾(干鍋麻婆豆腐蝦)”
母は、辛い物を好んで食べないのだが、私はどうしても麻婆豆腐を食べたくて、注文。
ドンと鉄鍋でサーヴされ、118元也。

料理名からも察しがつくように、ここのは、エビを加えたアレンジ麻婆豆腐。
このお店のスタンダードな状態を取り敢えず試したかったので、辛さの調節は頼まなかった。
充分辛いが、耐えられないレベルの激辛ではなく、ちゃんと旨味も感じられ、程良い。
エビはプリンとした食感。
淡白なエビは、当然ながら、麻婆豆腐の辛いタレの相性よし。
正統派麻婆豆腐ファンにとっては、邪道だろうけれど、コレはコレでアリ。

★ 松茸菠菜蝦餃皇

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この広東風の点心は、“松茸菠菜虾饺皇(松茸菠菜蝦餃皇)”
ひとセイロに4ツ入りで、58元也。

定番のエビ蒸し餃子“蝦餃”に、若干のアレンジを施した点心で、皮はほうれん草を練り込んだ緑色。
あと、具に少量の松茸も混ぜられている。
メインのエビはプリプリの食感。
松茸は、味も香りも、さほど強くない。

★ 蟹子牛肝菌燒賣

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また点心で、“蟹子牛肝菌烧卖(蟹子牛肝菌燒賣)”
ひとセイロに4個入りで、48元也。

点心類は、元々2種類オーダーするつもりだったのだが、
これは、メニューで名前を見て、どういう物か簡単に判ったので、パスし、別の点心を注文。
ところが、ウェイターが運んできたセイロの蓋を開けると、どうやら私がパスした点心らしき物が入っている。
手をつける前に、ウェイターを呼んで、取り換えさせようとしたら、
母が、「そんな事をしたら、あのウェイターの子が、あとで上司から怒られて可哀相。
点心ひとセイロくらいでケチケチすることはない。
これを引き取って、mangoちゃんが食べたかった物をもう一度オーダーすれば良いでしょ」と言うから、
仕方なく引き取った。
おなかペコペコの時なら余分に有っても良いけれど、この時点で私はすでにほぼ満腹。
お店側が間違えた物を、お金を払って引き取ることに、まったく納得しないまま、…でも、母に従い引き取った。

間違って運ばれてきたその点心がどういう物かと言うと、見ての通り、広東点心定番中の定番のアレ。
日本では、何て呼ばれているのでしょう。
エビやキノコを混ぜた豚肉を、黄色い皮で包み、上にトビコをのせた蒸し餃子。
ちなみに、“蟹子”はトビコで、“牛肝菌”はポルチーニみたいなキノコ。
蟹や牛肉は使われていない。

ぜんぜん不味くはない。定番点心なので、間違いのない味。
ただ、せっかくの機会だから、私は、変わった物が食べたかったのヨ…。

★ 松露翡翠鳳眼帶子餃

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で、私が元々オーダーしたかったのは、こちら、“松露翡翠凤眼带子饺(松露翡翠鳳眼帶子餃)”
ひとセイロに3ツ入りで、58元也。

もうすでにおなかパンパンだったけれど、次にいつこのお店に来られるか分からないから、
悔いを残さないため、改めてオーダーした。

浮き粉で作った半透明の皮で、お肉と一緒にホタテを包んだ蒸し餃子。
かなり私好み。
が、一口食べ、ン…??
ガーン!苦手な香菜入りだった…!
半透明の皮からうっすら透けている緑の葉物を目にし、確かにイヤな予感がしたのだけれど、
いざ口にして、そのイヤな予感が的中してしまった…。
おなかいっぱいなのに、わざわざ再オーダーして失敗…。

香菜が好きな人には、美味しい点心だと思う。
ホタテがプリプリで、上品な味付けの点心。




本当は、食後に甘い物を何点か注文したかったのだが、
“デザートは別腹”が通用しない程おなかがパッツンパッツンで、断念。
このお店に再訪したら、今度は計画的にオーダーし、デザートまで辿り着きたい。
再訪したら、もう一度食べたいのは、揚げレンコン“檸香話梅蓮藕”。
これは、ここで初めて食べ、本当に気に入った。
点心に関しては及第点は突破しているが、
広東系のレストランで最高の物に口が慣れてしまっていると、驚きがない。



◆◇◆ 四方三川 Restaurant Sifang Sanchuan ◆◇◆
北京市 朝阳区 三里屯1号 MercedesMe2层

 010-8588-7150

 地下鉄10号線・团结湖(団結湖)駅 D出口から徒歩10分

添好運のテイクアウト(+オマケの中華芸能)

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日本でもかなり報道されたように、是枝裕和監督の新作『万引き家族』が、
十日ほど前に閉幕した第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞。
当初の私の勝手な予定では、来月の公開早々に鑑賞するつもりだったのだけれど、
パルム・ドール効果で、恐らく、当分の間、映画館は大混雑。
思いつきでフラリと映画館へ立ち寄っても、良席はきっと取れない…。
パルム・ドール受賞や、日本映画が盛り上がる事は、喜ばしいけれど、
自分の予定や良席確保を考えると、少々頭が痛い。


そのカンヌで審査員を務めた張震(チャン・チェン)は、
今度は、第21回上海國際電影節(上海国際映画祭)でも、
メインのコンペティション部門に当たる金爵獎の審査員をすることが発表されている。
もうすっかり“審査員俳優”(?)、と言うか、ベテランの域。

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張震のボスになる審査委員長は、姜文(チアン・ウェン)。
私好みの殿方が二人して審査とは、良いですね。
こういう交流から、姜文監督×張震主演の新作映画が生まれたら、なお嬉しい。
あと、今年の審査員には、日本からも、映画監督・河直美が選ばれております。
その第21回上海國際電影節は、2018年6月16日に開幕。
華やかに行われるであろう開会式が、楽しみ。


台湾明星繋がりで、陳柏霖(チェン・ボーリン)のちょっとした近況も。
陳柏霖は、最近、兄弟の結婚式に参列したという。

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眼鏡をかけた“陸添(ルー・ティエン)”という新郎は、
兄弟と言っても、陳柏霖の本当の肉親ではなく、兄弟のように親しい仲間。
でも、参列した豪華メンバーの中、その主役の彼・陸添だけ見覚えナシ。誰…?
どうやら新郎は、有名プロデューサー陸國強(ルー・グォチャン)の息子らしい。
そんな訳で、新郎新婦の両脇には、馮小剛(フォン・シャオガン)監督とその妻・徐帆(シュー・ファン)の姿。
(馮小剛監督、日本の結婚式ではあるまじきラフな装い。犬の散歩のついでに立ち寄ったかのよう。 …笑)

改めて、新郎の“兄弟”たちをチェック。

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左から、竇驍(ショーン・ドウ)、陳柏霖、張一山(チャン・イーシャン)、
そして新郎をはさみ、楊旭文(ヤン・シューウェン)。
楊旭文は、日本では現在、チャンネルNECOで主演ドラマ、
『射英雄伝 レジェンド・オブ・ヒーロー~射英雄傳』が放送中。
ドラマ自体にはハマッていないのだけれど、楊旭文扮する主人公・郭靖は純朴で可愛らしいと思う。
楊旭文の素朴な顔立ちと恵まれた高身長というアンバランスは、劉昊然(リウ・ハオラン)にも通じる。

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楊旭文の身長は、充分長身であるはずの陳柏霖が小さく見える188センチ。
最近の子はスタイルが良いですね。
小中は南京外国語学校で(最終学歴は中央戲劇學院)、このルックスで英語も流暢というから、
今後、活躍の場が広がりそうだし、若い女の子にモテそう。


新郎の友人が揃いも揃って美男だったら、
もし私が新婦なら、「私の夫は、本当にこの人でいいの?!」と
結婚式当日に、往生際悪くマリッジブルーに陥りそうで、コワイ…。
いえ、陸添サンもきっと性格美男。皆から好かれる良い顔をしている。
誰だかよく知らないけれど、末永くお幸せに!

★ 添好運のテイクアウト

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本題はこちら。
庶民価格でありながら、ミシュランの星を獲得したことで知られる
香港の点心専門店・添好運(ティムホーワン)が、2018年4月上旬、日本上陸。
(一応、前出の新郎・陸添と“添”繋がりにしてみた。)

海外の有名店日本進出のニュースを知る度に、いつもちょっと複雑な気分に。
日本に居ながらにして、海外の物を入手できるのは、便利だが、
“わざわざ海外まで出向き、ようやく手に入る物”という有り難味は激減。
その昔、デパートの物産展が盛んになりだした頃にも、同じような事を感じた。
物産展のお陰で(物産展のせいで)、欲しかった物が東京で手に入ってしまうから、
わざわざ地方へ行ってお買い物をする楽しみが減っちゃいましたヨ。

世界中どの街へ行っても、同じお店が軒を連ねていたら、その国、その街の個性は薄れちゃう。
実際、地球が狭くなり、世界中が徐々に同じトーンに染まってきているという感覚がある。
グローバル化には良い事も沢山あるけれど、
“没個性”という点では、私にとっては、負の側面の方が大きいかも。

添好運の日本上陸もねぇー、嬉しいのだが、
心のどこかで「わざわざ日本に進出してくれなくても良かったのに…」という気持ちが無きにしも非ず。
まぁ、それでも、その内、絶対に食べに行く。
今、行かないのは、まだ開店したばかりで連日長蛇の列ができているから。


そんな訳で、当分の間は口にしないと思っていた添好運の味を、思いがけず食べることになった。
たまたま日比谷のお店の前を通りがかった母が、テイクアウトしてきたのだ。
母が買ったのは、(↓)こちら。

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同店の看板商品、“酥皮焗叉燒包(ベイクドチャーシューバオ)”!


母は、添好運がどこにできたのかも知らず、歩いていたら、行列ができているお店が目に飛び込んできて、
それがたまたま添好運。
お店の脇にはテイクアウト・コーナーもあり、そちらは空いていたため、試しに購入したらしい。

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向かって右側の一角がテイクアウトコーナー。
(↑)こちらの写真は、私がお店の前を通った時に撮った物。


そのテイクアウトコーナーで買えるのは、一箱3個入りの酥皮焗叉燒包のみ。
一人2セットまでで、300セット売り切った時点でその日の販売は終了。
母は2セット買い、私に一箱くれた。


ちなみに、“酥皮焗叉燒包”は、
よく使われている表現通り、“チャーシュー餡入りメロンパン”のような点心。
私も、香港のお店で食べ、大層気に入った。

日比谷のお店の周辺では、
テイクアウトコーナーで買った酥皮焗叉燒包を立ち食いしている人もチラホラ居たととのこと。
やはり出来立てをすぐに食べるのが一番なのだけれど、家に持ち帰る人も多いですよね…?
母はお店の女性から、冷めてしまった場合は、オーブンで温めるよう勧められたという。


で、私も、久し振りの酥皮焗叉燒包を実食!

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画像の酥皮焗叉燒包は、オーブンに焼かれ過ぎ、色黒になってしまいましたー。

これねぇ、意外と温め加減が難しい。
メロンパンのような生地で、糖分を含んでいるため、焦げ易いのだと思う。
一個目は、指示通り、オーブンで温めたのだが、表面に焦げ目がつくまで焼いても、中の餡は冷めたまま。
なので、次からは、まず、電子レンジで20秒ほど温めた後、オーブンに入れることにした。
電子レンジだけでは、絶対に駄目。
電子レンジで加熱すると、生地の表面がブヨッとフヤケてしまうので、
その後、オーブンで焼き、水分を飛ばすと、表面はサックリで、中の餡も温かな酥皮焗叉燒包になる。

味は、トロっとした餡にも生地にも、ほんのり甘み。
塩キャラメルや塩大福など、一般的な“甘じょっぱい系”食べ物と同じで、クセになる。

但し、味は良くても、食感に関しては、出来立てとまったく同じに再現するのは、困難。
まだ一度も酥皮焗叉燒包を食べたことがない方々には、
まず最初は店内で本来の食感&味を体験することをお勧めいたします。


ちなみに、この添好運、近年、もの凄い勢いで世界進出しており、
日本には、まだこの日比谷の一軒だけだが、
例えば、ご近所の台湾だと、すでに本拠地・香港より多い9軒も出店。
そろそろホトボリが冷めた(かも知れない)台湾のお店の方が日比谷店より案外狙い目かも…?



◆◇◆ 添好運 Tim Ho Wan ◆◇◆
東京都 千代田区 有楽町 1-2-2
日比谷シャンテ別館1階

11:00~23:00

 “酥皮焗叉燒包(ベイクドチャーシューバオ)”のテイクアウトは、
3個入りの箱が一日300セット限定で、無くなり次第、終了。
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