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北京2014:天津百餃園

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書店と北京攻略以外にも、
お食事するためにもう一回西单(西単)エリアに立ち寄っていたことをすっかり忘れていた。

こちらのお食事処も、地下鉄1号線/4号線・西单(西単)駅から徒歩圏内。
駅がある大きな十字路に立ったら、お店が沢山並ぶ西单北大街(西単北大街)とは逆の
宣武门内大街(宣武門内大街)を南下。そして、右側に見えてくる…


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…この新文化街(新文化街)という路地に入る。
大通りを一本入っただけで、この静けさ。特に、西単の北側に広がる繁華街とは別世界。
緑が生い茂るこの路地には、ポツンポツンと昔ながらの商店が建ち、なんか数十年前に迷い込んだみたい。
しかし、そんな郷愁に浸っている間も無く、ものの百メートルほどで、目的地に到着。

★ 天津百餃園

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やって来たのは、こちら、天津百饺园(天津百餃園)
天津に本店がある餃子屋さん。北京にも2軒支店があり、今回やって来たのは、その内の西単店。
早めに到着したら、まだ空席が目立ち、待たされること無くすぐにテーブルに案内された。




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無駄にシャンデリアがぶら下がっているけれど、別に高級店ではなく、むしろ気の置けない感じ。
(ただ、北京にはとことん庶民的な餃子屋さんが沢山あるので、
そういう所と比べると、ずっとお上品な部類に入るのであろう。)

テーブルに通され、すぐに、一人のおばあさんが、いきなり私の前に腰を下ろし、
ニコニコしながら、「ここ、いい?」と聞いてきた(…答える前に、すでに座っているけれど)。
周りを見渡すと、まだ空席は沢山ある。
しかし、このお店で、大きなテーブル一人占めはマナー違反なのかと思い、
本当は相席なんか大っ嫌いなのだけれど、“郷に従い”、
「どうぞ」と言って、見知らぬおばあさんと一緒にテーブルを囲むことに。

すると、今度は、服務員がやって来て、私に、「こちらは連れか?」と聞いてきた。
違うと答えたら、服務員はそのおばあさんを立たせ、他の空いているテーブルに案内。
結局のところ、このお店では、“1組=1テーブル”が基本ルールみたい。
さすがはシャンデリアをぶら下げているだけあり、大衆店とは一線を画したきめ細やかなサービス(?)。


相席を避けられ、ホッとしたところで、メニューをチェック。
このお店の特徴は、何といっても、餡の種類の豊富さ。
店名の“百餃”は大袈裟ではなく、いや、それどころか、229種類もの水餃子があることから、
“the most varieties of dumplings(餃子の豊富さ世界一)”として、あのギネスに登録されているのだとか。
メニューを数えていないし、常時229種類用意しているのかどうかは知らないが、選択肢豊富なのは確か。
メニューは中国語に加え、英語でも表記されている他、写真も載っているので、外国人にも判り易い。

…とは言っても、これだけ種類が有ると、迷う、迷う。
ベースの素材だけでも、ぶた肉、牛肉、羊肉、シーフード、ベジタリアンと色々有るし、
さらに、それぞれに様々な具材が混ぜられているから、組み合わせはほぼ無限。
試したい味が有り過ぎて困る。お一人様で、色々頼むことができないのが残念でならない。
涙を呑んで、絞りに絞って、2種類をオーダー。

★ 水餃子のオーダー

念の為、水餃子のオーダー方法。
このお店も、中国の他の餃子屋さんと同じで
重さ単位、“两(両 liăng=50グラム)”単位で注文するようになっている。

メニューには、例えば、「猪肉茄子 ¥8.2/两」といった具合に表記。
この場合、ぶた肉に茄子を混ぜた餡の水餃子が、1両につき8.2元ということ。

“水餃子1両”と聞いても、日本人には、どれくらいなのかイメージしにくいが、
このお店では、“1両=5個”と設定しているので、分かり易い。

メニューに1両単位の値段が記されていても、注文は2両からというお店も有るけれど、
このお店の場合は、1両からOKであった。

★ 食前準備

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注文が終わったら、お料理が運ばれる前に、食べる準備。
このお店では、ホールの隅に、数種類の付けダレが置かれた台が有るので、
自分でそこへ行って、好みのタレを小皿によそってくるシステム。


腐乳を使ったトロッとしたタレなど、日本で見慣れない物もある。
参考のため、人民の皆さまの様子を窺うと、
ニンニクを黒酢に漬けた中国北方のスタンダード、腊八蒜(臘八蒜)が、やはり一番人気。

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先日観た張藝謀(チャン・イーモウ)監督最新作『妻への家路』でも、妻役の鞏俐(コン・リー)が夫に、
年越しの餃子と共に、瓶に入った手作り臘八蒜を運んでいた。…この画像じゃよく見えないけれど。

私はニンニクがあまり得意ではないので、結局、普通の黒酢と辣油をチョイス。



タレ専用台の近くの壁際には、(↓)こんな物も。

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白湯と餃子湯の保温器。
こちらもセルフサービスで、欲しい人は、自分で勝手に持って行ける。

夏でもキンキンに冷えた水は飲まず、白湯を飲むのは中国の習慣。
日本でも最近、美容と健康を考える女性を中心に、白湯を飲む人が増えてきているように見受ける。

でも、餃子湯は、日本人に馴染みが無い。
これは、文字からも想像がつくように、餃子の茹で汁。
日本人が、お蕎麦の茹で汁、蕎麦湯を飲むような感覚なのだろうか。
私は、蕎麦湯も飲まないくらいだから、餃子湯もパス。試しにひと口くらい飲んでおくべきだったかしら…。


では、席に戻り、お料理を待ちます。

★ 拍黄瓜

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まず運ばれてきたのは、たたききゅうり、“拍黄瓜”。ドンブリ一杯22元也。

水餃子だけでは栄養のバランスが悪くなるので、何かちょっと野菜が欲しくて、
メニューを探したのだけれど、シンプルな野菜料理が出ていない。
試しに服務員に拍黄瓜は有るかと尋ねたら、「メニューには出ていないけれど、できる」と言うので注文。

そして運ばれてきたのは、ドカーンと大きな器に盛られた拍黄瓜。
このサイズは想定外であった。
きゅうりを3本以上使っていそう。
お一人様にとっては、“前菜”とか“箸休め”という量ではなく、立派なメインディッシュ。

私には若干ニンニクが多めにも感じるが、きゅうりがシャキッと瑞々しく、サッパリしたお味で、お箸が進む。

★ 水餃子2種盛り

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こちらが本当のメイン。1両ずつ2種類頼んだ水餃子は、大皿に一緒に盛られてやって来た。
見た目は、両方とも白くて、似たり寄ったり。
でも、餃子の名前が書かれた紙が添えられているので、どちらが何か判るようになっている。

★ 蝦仁芹菜

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一種類めは、“虾仁芹菜(蝦仁芹菜)”。1両8.6元也。

エビとセロリの組み合わせ。
セロリは茹でられても、シャキシャキの食感が残っている。
プリンとしたエビと、爽やかな香りのセロリの組み合わせはサッパリしていて、ばくばく食べられてしまう。

台湾だと、似た感じで、ヘチマとエビを合わせた小龍包が有名だが、
ヘチマにはほとんどクセが無いため、私には味が軽すぎて、ちょっと物足りない。
この水餃子は、同じように軽く、サッパリしているけれど、
セロリ特有の香りでパンチが効いて、存在感があるから、「食べた!」という気になる。
セロリは好き嫌いが分かれる野菜だけれど、セロリ好きなセロリストなら、この水餃子に満足できると思う。
いかにも“手作り”って感じのモッチリした皮も美味。

★ 猪肉尖椒

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もう一種類は、こちら、“猪肉尖椒”。1両8.2元也。

ぶた肉に、刻んだ唐辛子を混ぜ込んだ餡。
唐辛子はかなりたっぷり入っているけれど、耐えられない辛さではなく、ピリ辛というレベル。
使われている唐辛子の品種が、そもそも激辛ではないのだろうが
さらに、お肉の油やコクに包まれ中和され、巧い具合にバランスがとれている。
辛いのがまったく駄目という人は別だけれど、セロリよりクセが無いので、
大半の日本人はこれにハマってしまう気がする。
同じように唐辛子を使った物で、牛肉を使った“牛肉尖椒”というのも有り。




私が食べ始める頃にはすでに満席で、入り口付近に順番待ちをするお客さんがどんどん増えてきた。
一応“1組=1テーブル”でも、食べたら次の人にサッサと席を空けるというのが暗黙のルールみたいなので、
私も長居せず、お会計を済ませ退散。

それにしても、今回食べた物以外に、サワラやシャコの餃子、お魚やお肉に酸菜を混ぜた物など、
興味を引かれながらも、お一人様だったため、諦めた物が沢山。
胡瓜をバクバク食べなければ、せめてあともう一種類、もう一両はイケたかも知れない…。
色々考えると、胡瓜を呪ってしまいそうだが、自分の中で次にまた行く理由ができたので、良しとします。
(胡瓜は胡瓜で美味しかったので、結局次もオーダーしてしまう気がする。)




◆◇◆ 天津百饺园 Tianjin Hundred Dumplings Park ◆◇◆
北京市 西城 区新文化街甲 12号

LINCH 11:00~14:30/DINNER 15:00~21:30

地下鉄1号線/4号線・西单(西単)駅から徒歩8分程度

北京にはもう一軒、地下鉄5号線・刘家窑(劉家窯)駅近くに方庄(方莊)店という支店あり

映画『妻への家路』

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【2014年/中国/110min.】
バレリーナを目指す少女・丹丹は
右派として捕まったまま、もう何年も音信不通になっている父・陸焉識が、農場から逃亡したと聞かされる。
丹丹の母・馮婉瑜は、駅でこっそり夫・陸焉識と落ち合おうと試みるが
陸焉識は馮婉瑜の目の前で、再び捕えられ、辺境の地へ送られてしまう。
3年後、文化大革命も終わり、ようやく故郷に戻ってきた陸焉識。
彼を迎えたのは、バレエを諦め、工場で働く娘・丹丹ただ一人で、彼女は母親の話に触れようとしない。
はやる気持ちを抑え陸焉識が懐かしの我が家へ帰ると、そこには穏やかな妻・馮婉瑜の姿。
ところが、久し振りに再会した馮婉瑜と言葉を交わす内に、陸焉識は彼女の異変に気付く。
なんと馮婉瑜は心因性の記憶喪失に冒され、
目の前の陸焉識を自分の夫だとは認識していなかったのだ…。


張藝謀(チャン・イーモウ)監督最新作。
この前の『金陵十三釵~The Flowers Of War』(2011年)は日本未公開のままなので
ここ日本のスクリーンで張藝謀監督作品がかかるのは、『サンザシの樹の下で』(2010年)以来。

この新作は、その日本未公開作品『金陵十三釵』に引き続き、嚴歌苓(ゲリン・ヤン)の小説の映画化。
今回の原作は<陸犯焉識>というタイトル。

脚本を担当した鄒靜之(ゾウ・ジンジ)は、
最近だと王家衛(ウォン・カーウァイ)らと『グランド・マスター』(2013年)を手掛けた脚本家。
張藝謀監督作品だと、過去に『単騎、千里を走る』(2005年)を手掛けている。



主人公は、右派狩りで労働改造に送り出された元教授の陸焉識と、
そのまま音信不通になった夫の帰りを待ち続ける妻・馮婉瑜。
文化大革命が終わり、名誉も回復され、20年振りに帰宅を許された陸焉識は、
ようやく妻・馮婉瑜との再会を果たすが、
心因性記憶障害に冒された馮婉瑜は、陸焉識が自分の夫だと認識できない。
本作品は、なんとか自分を思い出してもらおうと奮闘する夫・陸焉識と
すぐ傍に居るそんな陸焉識が誰だか分からず、ひたすら夫の帰りを待ち続ける妻・馮婉瑜の
近くて遠く、もどかしく切ないメオト愛の物語

文化大革命の時代、政治犯は“○(姓)犯□□(名)”と呼ばれていたため、
中国の人々は、<陸犯焉識>という原作小説のタイトルを見ただけで
反射的にそれが文革期を背景にした話だと判るという。

実際、小説には、夫・陸焉識が右派狩りされる経緯なども書かれているそうだが
映画は、小説の最後の30ページ程度の部分、陸焉識が労改から逃亡するもまた捕えられ、
文革終了後にようやく帰宅してからの夫婦のやり取りを集中的に描いている。

小説の前半をバッサリ割愛した一番の理由は、誰もが想像するように、
今なお中国ではそれがデリケートな題材で、“触れぬが仏”だから。
また、時代をあまり直接的に作品に反映させず、余白を残して描きたいという
張藝謀監督の意図も有ったようだ。

私個人は、反右派闘争や文革に並々ならぬ興味があるけれど
もしそれらを全て盛り込んだら、3~4時間の長い作品になってしまっていたかも知れない。
それに、たとえ小説の前半部分が無くても、作中に散りばめられた数々の手掛かりが
夫婦に降りかかった波瀾の過去をあれやこれや想像させてくれる。
いや、“前半部分が無くても”ではなく、“無いからこそ”想像力を掻き立ててくれるのだろうか。


映画で集中的に描かれているのは、文化大革命終焉後。
夫・陸焉識の名誉も無事回復され、夫婦はようやく堂々と再会。
その後は、20年の空白を埋めるかのように、仲睦まじく過ごしましたとサ、めでたし、めでたし、
…だったら良かったのに、夫・陸焉識を襲う新たな試練。
なんと、音信不通だった間に記憶を失っていた妻・馮婉瑜から、「おたく、どなた?」と他人扱い…!
うわっ、せっかく名誉回復しても存在抹消ですか…??!

この妻・馮婉瑜ほど長期に渡るものではないにしても
“その人にとっての何か強いショックが、記憶を消してしまう”という実例を、身近に2件知っているので
この物語を“有り得ない話”とか“嘘くさい”などとは、まったく思わない。

その後は、夫・陸焉識の“妻に自分を思い出してもらう作戦”が始まる。
ただ、あの手この手で涙ぐましい努力を続けても、妻・馮婉瑜は一向に陸焉識が自分の夫だとは気付かず、
記憶の中の陸焉識を来る日も来る日も待ち焦がれる。
想い合う二人は本当はもう揃っているのに、リアル陸焉識が、皮肉にも幻想の陸焉識と、馮婉瑜を争うという
もどかしく不可解な一種の三角関係に陥る。




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主要キャストは、反右派闘争で捕えられ、労働改造に送られた元教授・陸焉識に陳道明(チェン・ダオミン)
そんな夫の帰宅を待ち続ける妻・馮婉瑜に鞏俐(コン・リー)
陸焉識と馮婉瑜の娘・丹丹に張慧雯(チャン・ホエウェン)。 


本作品の見所のひとつは鞏俐の演技。
50歳手前で臨んだ本作品では、老け役、しかも記憶障害という難しい役に挑戦。
撮影に入る前、鞏俐は一ヶ月老人ホーム通いをし、記憶を失くした老人たちを観察し続けたそう。
一般的に、“美人女優”と呼ばれる人たちは、その称号にしがみ付きたがるものだが    
鞏俐は若い頃から思いっ切りがよく、コテコテの農村の主婦なども演じていたし、それがまた上手かった。

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本作品冒頭の馮婉瑜は、恐らく演じる鞏俐の実年齢と大差ない40代。その頃は脳にも異常ナシ。
その後夫二度目の逮捕で心に深い傷を負い、気が付けば記憶障害。
そのままどんどん年を重ねていくことになる。
特殊メイクを施し、外見的にも助けられてはいるけれど、
それ以上に鞏俐の内面から表現される経年変化に目を見張るものが。
記憶を失くしても、おばあちゃんになっても、たまにふと覗かせる“恋する乙女”な一面に可愛らしさも。

この『妻への家路』での演技で、昨年、第51回金馬獎の主演女優賞にノミネートされ、
初めて金馬に参加したのに、受賞を逃し、「今後二度と金馬に参加することはない」と怒りを顕わにした鞏俐。
誰もが認める大物女優なのだから、軽く流しておけばいいのにねぇ~(笑)。
やはりそれくらい強気で、自分のお仕事に自信がある女優じゃないと、世界では通用しないのかしらー。
まぁ、とにかく、本作品の鞏俐は、新たな領域に挑戦していて、確かに素晴らしい演技を披露している。
70近くなっても未だ老婆を演じたがらない往生際の悪い吉永小百合に、鞏俐の爪の垢をのませたい。



夫・陸焉識に扮する陳道明の抑えた演技も良い。
最初の登場は逃亡中でまるで浮浪者。鉄橋の下に隠れ、妻を待っている間に、
水溜りにタオルを浸し、顔を拭く、ほんの数秒のシーンが印象に残っている。
逃亡中の身であっても、妻との久々の再会を前に身繕いをする様子は、
まるで人生初デートに臨む少年のような初々しさ。

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労改から解放されると、もう少し小奇麗な恰好になるけれど、あくまでも質素で、態度も控え目。
フランス語を解したり、ピアノを弾いたりというさり気ないシーンから、
“ボロは着てても心は錦”というか“腐っても鯛”というか、陸焉識が知識分子であることが窺える。

そんな陸焉識が、記憶を失くした馮婉瑜に、自分を思い出してもらおうと、
地味な努力をひたすら続ける姿は、理想の夫像。
陸焉識は、娘・丹丹が3歳の時に捕まっているので、まともな結婚生活は4~5年程度だったのかも知れない。
その後まともな結婚生活よりずっと長い20年の空白期間に、自分のことをすっかり忘れ、
“方師傅”だの“念信的同志(手紙を読んでくれる同志)”などと呼んでくる妻・馮婉瑜を見限ることなく、
あんなに献身的になれるなんて…。
例え馮婉瑜が今の自分を認識してくれていなくても、彼女が一途に想い続け、待ち焦がれている相手が
あくまでも自分だという事実が、いつ回復するかも分らない彼女に献身的に接する陸焉識の
心の支えになっているのかも知れない。



二人の娘・丹丹に扮するのは、本作品でスクリーンデビューを果たした張慧雯。
新たな“謀女郎(イーモウ・ガール)”ということで、彼女への注目度は高い。   
張慧雯は、章子怡(チャン・ツィイー)や劉詩詩(リウ・シーシー)と同じ北京舞蹈學院出身。
本作品で演じた丹丹はバレリーナを夢見る女の子なので、ピッタリ。
とは言っても、学校での専攻は民族民間舞なので、撮影前に2ヶ月バレエの特訓を受けたという。

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種類は違っても、やはり踊りのセンスは良いようだし、身体も綺麗なので、様になっている。
作中披露される有名な革命歌劇『紅色娘子軍』は
物語を離れ、時代を感じさせる一バレエ作品として、興味深く鑑賞。       



日本では、張藝謀監督の前作『金陵十三釵』が公開されていないので
一代前の“謀女郎”を知らない人のために、念の為。

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こちら、張慧雯の前任“謀女郎”、倪妮(ニー・ニー)
今やすっかり売れっ子で、交際中のダーリンは“蘭陵王”馮紹峰(ウィリアム・フォン)。
右2枚の画像は、昨年自分のお誕生日に微博にアップしたセーラームーンのコスプレをした倪妮。
(さすがは女優、コスプレもクオリティが高い。)案外こういうのに弱かったのか、蘭陵王。
新任“謀女郎”張慧雯も今後の活躍に注目。




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あと、本作品には、結構な有名俳優も、所々にちょこっとずつ顔を出している。
馮婉瑜・丹丹母娘に陸焉識と関係を断ち切るように促す工宣隊の隊長・劉亮に郭濤(グォ・タオ)
逃亡した陸焉識の行方を追う指導員に祖峰(ズー・フォン)
馮婉瑜を温かい目で見守る李主任に閆妮(イエン・ニー)
馮婉瑜の担当医・戴醫生に張嘉譯(チャン・ジャーイー)などなど。

『女と銃と荒野の麺屋』(2009年)に続き、張藝謀監督作品2度登板の閆妮は、すっかり自称“謀女郎”(笑)。
今回はスッピンで演じているそう。
スッピンで、無造作にパッツンと切ったワンレンの閆妮は、樹木希林+藤山直美÷2って感じ。
祖峰は、許鞍華(アン・ホイ)監督作品『黄金時代』、婁(ロウ・イエ)監督作品『二重生活』
地味ながら、最近私が気に入った作品で立て続けに見ている。
ちなみに張嘉譯も『黄金時代』に出演。



ロケ地も要チェック。本作品では、70~80年代の中国を覗けるのも楽しい。
小説の舞台は上海だが、映画では場所を特定しておらず、“中国北方のとある街”である事だけを想像させる。
物語の中で重要な舞台になる駅は、セットではなく、唐山南駅で撮影。
唐山南駅は、清代に建造された中国で最も古い鉄道駅のひとつ。
昔の雰囲気をそのまま残している現存する貴重な駅である上、
1996年に旅客列車駅としての役割りは終えているので、撮影に使い易かったようだ。
他、解放北路金融街、津灣廣場、解放橋、天津工業大學といった天津の各所、あと一部北京でも撮影。


そうそう、それから、この作品、劇中のピアノは郎朗(ラン・ラン)が弾いているそう。
例えば、陸焉識が自分で調律した古いピアノでポロンポロンと弾く曲なども、実は郎朗なのだろうか…?
さり気なく贅沢。




文革そのものを描いた“文革モノ”ではなく、文革が人々に遺した深い疵を描いた“文革後日譚”。
あの一大改革運動が人々に及ぼした影響は計り知れず、多くの惨劇も生まれたが、
この物語では、不幸を誰かのせいにしたり、誰かを悪人と決め付けたりはしていない。
自分たちを翻弄した時代と運命を、たとえ理不尽でも受け入れ、悔いの念に苛まれながらも、
今を必死に生きようとする登場人物たちが、優しく切ない。

もっとベタベタなメオト愛の物語を予想して鑑賞したが、恐れていたほどムズ痒いものではなかった。
ラストを無駄にドラマティックに盛り上げていないのも、好感がもてる。
主演二人の円熟した演技は見応えがあるし、ホーローの食器、ネッカチーフ、手作りの饅頭や水餃子…、
といったレトロなチャイナに触れられるのも楽しかった。
“老夫婦の感情を無駄に揺さぶるお涙頂戴映画”という私にとっての最悪を覚悟し、
ハードルを低くして鑑賞したという事もあるけれど、案外良かった。
もっとも、涙の一滴も流していないのは私くらいで、周囲に座っていた女性たちはボロ泣きだったので
もしかして“お涙頂戴映画”なのかしら…。

ついでに言っておくと、昨今の中華電影には珍しく、
日本語字幕で登場人物の名前を漢字表記にしているのは、高評価!
日本では、いつの頃からか、“時代劇なら漢字表記”、“現代劇なら片仮名表記”という
妙なルールが根付いてきてしまっているけれど、文革期ってもう時代劇の範疇なの…?

映画『男人四十』

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【2002年/香港/103min.】
香港、2001年7月。
林耀國は、妻・文靖との間に、安然、磊然という二人の息子を持つ40歳の国語教師。
高校の同級生だった妻・文靖とはちょっと倦怠期、
息子たちも年頃になり、最近何を考えているのか徐々に分からなくなってきた。
しかも、周囲を見渡すと、元同級生たちは皆出世して、冴えない自分にタメ息をつく今日この頃。
ところが、そんな林耀國に、教え子の胡彩藍が積極的にアプローチ。
林耀國は戸惑いながらも、徐々に彼女に惹かれていく…。
ちょうどその頃、林耀國は、妻・文靖から、
二人の高校時代の教師・盛世年が、久し振りに現れたと聞かされる。
なんでも盛世年は重い肝不全に冒されていてるという。
ひとり身の盛世年の世話をするため、病院通いを始めた文靖に、林耀國は胸騒ぎをおぼえ…。



許鞍華(アン・ホイ)監督2002年の作品。
同監督の『女人、四十』(1995年)が好きで、その兄弟分的本作品も、ずーっと観たいと思っていたのに、
日本では一向に公開されないまま、あれよあれよと言う間に13年…!

その気になれば観る手段はいくらでも有ったのだけれど、なにぶん私は“スクリーン第一主義”。
特に興味のある作品の初見は映画館の大スクリーンで!というコダワリが邪魔をして、
あっと言う間に月日が過ぎて行ってしまった。
もうこのまま観ずに生涯を閉じることになりそうだと思い始めたところ、
東京国立近代美術館フォルムセンターの“現代アジア映画の作家たち 福岡市総合図書館コレクションより”
という企画で上映されることを知る。いやぁ、待ってみるものです。
しかも、許鞍華監督2007年の作品で、やはり日本未公開の『生きていく日々』と有り難い2本立て。

そんなわけで、早速行って参りました、フィルムセンターへ。
私と同じような思いの人が多いのか、許鞍華監督作品ファンが多いのか、
はたまたフィルムセンター常連客が多いのかは分からないけれど、ほぼ満席の大盛況であった。



物語は、妻子ある40歳の高校教師・林耀國が
教え子・胡彩藍の挑発的な態度に戸惑いながらも、彼女に惹かれていく様子を軸に
結婚生活や仕事の悩みなど、人生の壁にぶつかり、揺れる姿を描くヒューマンドラマ

孔子なら「四十而不惑(四十にして惑わず)」だろうが、
寿命も延びた現代では、しじゅー男はまだまだ惑いっ放し。
いや、“まだまだ”というより、ちょうど惑いが生じる時期なのかも知れない。
前だけを向いて、ひたすら突っ走っていた頃なら、むしろ惑うことは無い。
主人公・林耀國のそんな時期はもう終わり、足を止め、改めて自分自身を振り返ると、
学生時代は優等生だったのに、今はしがない高校教師で、収入は成功した同級生たちに、遠く及ばず。
さらに、妻・文靖の最近の行動に不信感が湧き、ついつい蒸し返してしまう過去。
そんな時に始まった教え子・胡彩藍からの挑発的で甘い誘惑…。

先生と生徒の禁断の愛を描いた映画やドラマは、昔から多々有り。
本作品も、その手の恋愛映画だという認識で鑑賞したら、少々違っていた。
本作品の場合、現在と過去、二組の先生&生徒の不倫が、二重構造で綴られている。
教え子に手をつけるような妻子持ちの教師を軽蔑していたはずの主人公・林耀國自身が
何の因果か、自分の教え子と関係してしまう。

但し、林耀國の教え子との禁断の愛は、実は作品の肝ではなく、
そこから夫婦の過去や、息子の出生の秘密が紐解かれてゆき、
やがて思いも新たに、絆を強める家族の再生物語であった。




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出演は、高校で国語を教える40歳の教師・林耀國に張學友(ジャッキー・チュン)
林耀國の妻・陳文靖に梅艷芳(アニタ・ムイ)
そして、林耀國を惑わす教え子・胡彩藍に林嘉欣(カリーナ・ラム)など。


張學友は、頂点に君臨するオレ様タイプより、ちょっと情けない二番手風情がよく似合う。
本作品で扮する林耀國も、真面目だけが取り柄の冴えない国語教師。
あちらの国語は、我々日本人にとっての“漢文”なわけで、林耀國は、ヲタク気味に漢文大好き中年。
漢詩に詠まれている土地を実際に旅するのも好きで、
三峽がダムの下に沈んでしまう前に訪れたいと思っている(三峽ダムは2009年完成)。
古い文学に興味を示さない生徒たちに、その面白さを知ってもらおうと、
「魯迅は東京に住んでいたんだぞ。彼が暮らした神田という所は、渋谷からたったの10駅だ」などと
若い子が食い付きそうな話に絡め説明するが、空回り。
女生徒に手ぇ付けるエロ教師というより、哀愁漂う中年男といった感じで、ついつい応援したくなってしまう。

余談だが、渋谷⇔神田間はどれくらいだったかと疑問が湧き、山手線の路線図を見たら、
確かに約10駅、正確には11駅であった。
林耀國センセは、きっと東京にもやって来て、“魯迅所縁の地巡り”をしたことがあるに違いない。


2003年、40歳の若さで亡くなった梅艷芳にとって、本作品は遺作。
本作品は、先生と生徒の恋愛が中心で、梅艷芳扮する先生の妻・文靖は、
添え物程度の登場だろうと予想していたら、中盤からどんどん存在感を増す、実は重要な役であった。

私にとっての梅艷芳は、アクションやコメディのイメージが強かったけれど
本作品では、中流家庭の主婦を演じていて、それが意外にもハマっている。
病魔にさえ襲われなければ、今頃どんな女優さんになっていたのだろうと、ついつい想像してしまう。


林嘉欣は、これがスクリーンデビュー作。
1978年生まれの彼女、撮影当時はすでに23歳くらいのはずだが、童顔で、高校生役に違和感ナシ。
扮する胡彩藍は、いわゆる“いい子”ではなく、自由気ままに振る舞い、率直で、生意気な口もきくが
林耀國センセのような生真面目でオクテな男性は、
そういう子に振り回されながらも、惹かれてしまうのかもねー。

そんな胡彩藍が、モールの中にオープンした小さなブティックに
ガイドブック片手の観光客と思しき日本人女性が入店してくる、あのシーンは何だったのか…?
日本語で「試着させて下さ~い」→「でもやっぱ合わないみたい」と言って店を出るまでが、あっと言う間だった。
クロージングには、“中田有紀”という名がクレジットされていた。



他、林耀國と陳文靖の高校時代の先生・盛世年役で、庹宗華(トゥオ・ゾンホア)が出演。
盛世年センセは、演じる台湾人男優・庹宗華自身とは異なり、
“台湾人女性と結婚し→台湾へ渡り→離婚して→香港へ戻って来た”という設定。
回想シーンでの盛世年センセは、普段通りの庹宗華だけれど、現在のシーンでは、老けメイクが変。

あと、葛民輝(エリック・コット)が出ていたのは、知らなかった。
黃銳という、林耀國の学生時代からの友人役。
名門校出身の林耀國は、同級生が皆出世して、負い目を感じがちだが、
出世コースから外れ、多少ビンボーでも自由に生きている黃銳だけは、
林耀國に劣等感を抱かせない心のオアシス的友人。
周囲から「危険じゃないのか?!」と心配されながらも、深圳で働くことを決意するあたりは、
香港の中国返還からまだ4年程度の2001年だと感じる。




先生と教え子の禁断の恋をスキャンダラスに描いたドロドロ物語ではなかった。
妻・文靖の過去、特に長男・安然の出生の秘密は、充分衝撃的なはずだが、
それさえも、無駄に盛り上げず、サラーッとさり気なく描いているから、余計にシミジミ心に沁みる。
迷えるしじゅー男が、悶々としながらも、最終的に、妻や息子と絆を確認し、
未来へ向け小さな一歩を踏み出す、なかなかの良いお話。
…が、この直後に観た『生きていく日々』がもっと私好みだったので、『男人四十』の印象が薄れてしまった。
一本一本をじっくり味わいたかったら、2本立てはやはり駄目ね。
近年集中力が衰えたせいか、特にそう感じる。

それにしても、2001年って、こんなに“昔”でしたっけ…?!
携帯電話のような小道具や、ちょっとした台詞から伝わってくる2001年が、えらく昔に感じられた。
主人公・林耀國が行きたがっていた三峽も、今ではすでにダムの底に沈んでしまっているし、
15年近く過ぎると、色々な事が変わっているものだ。
香港では、今でも、高校の先生がアルバイトで家庭教師をして、問題にならないのかしら。
うちの祖母は、うちの父が小学生の頃、小学校の担任を家庭教師に雇っていたらしい。
もっとも昔の日本でも、学校の先生に家庭教師をやらせるなんて、あまり一般的ではなかったようで、
姑と不仲だった母がたまに「信じられな~い!お義母様ってやっぱり変っ!」とゲラゲラ笑いながら、
父をからかっているが。

春のお彼岸に仙太郎の七穀ぼた(+テレビ雑記)

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随分前にケーブルテレビの番組表で見掛け、気になっていた番組の詳細が判明。
BS朝日で3月22日(日曜)に放送される
『中越典子の美食と焼き物の旅~京都・有田そして中国へ 清水焼の源流を訪ねて』という番組。

昨年4月、香港のオークションで、直径わずか8センチの小さな器、通称“チキンカップ”が
なんと37億円の高値で落札。
皇帝が使っていたというその酒杯にそれほどの価値があるのか、その謎に迫るべく、
女優・中越典子が、日本を代表する焼き物の里、京都、有田、さらに中国の景徳鎮へと
焼き物の歴史を辿る旅に出る番組で、数々の美しい器は勿論の事、
器を引き立たせてくれる絶品料理も紹介されるらしい。

ちなみに、その“チキンカップ”というのは、(↓)こちら。

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“明代成化鬥彩雞缸杯”。
名前からも想像できるように、明朝第9代皇帝・成化帝(1447-1487)の成化官窯で製作された
ニワトリを描いた御用酒杯。
“鬥彩(闘彩)”というのは、染め付けの技法で、明の成化年間に取り分け発展。別名“豆彩”。
2014年4月、香港のサザビーズで、上海の大富豪実業家にして美術品コレクターとしても知られる
劉益謙がHK$28124億という高値で落札。 
実はこの“明代成化鬥彩雞缸杯”は、台北の故宮博物院にも収蔵されているので、我々も見ることが可能。
故宮では、チキンを描いた“雞缸杯”のみならず、ブドウを描いた“葡萄杯”も一緒に展示されているハズ。
昨年、香港でなぜそんな高値が付いたかというと、
鬥彩は制作が困難で、特に技術が最高潮に達した成化年間製の作品である事と、
現在世界中に19個しか存在が確認されておらず、なかなか出回ることが無い貴重品だからのようだ。




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22日(日曜)は、その後、NHK BSプレミアムが『アジアじぇじぇじぇ紀行』という紀行番組を放送。
日本で大ヒットした朝ドラ『あまちゃん』が、アジアの他国でも放送され、話題に。
そのブームを肌で感じるべく、『あまちゃん』出演者が、カンボジア、ミャンマー、台湾へ飛び、
人気の秘密を探る番組。レポーターは、渡辺えり、木野花、蔵下穂波の3人。
能年ちゃんはトークやレポが苦手そうだから、この人選は正しいかも知れない。

番組サイトによると、あの流行語が漢字で「接接接(じぇじぇじぇ)」と表記され、台湾でも流行っているという。
そこまで流行っているのか、にわかに信じ難い。試しにネットで調べてみた。
やはり実際に一般的な台湾人の間でそこまで流行っているようには感じられないが
日本で流行した言葉として、「岩手縣的方言」で、意味は「超級驚訝」、「吃驚 嚇一跳」といった説明の他、
「接得越多次,就表示越驚訝(“接じぇ”が多くなればなるほど、より大きな驚きを表す)」
といった使い方まで紹介されていた。たいへん的確な説明でございます。





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台湾関連では他に、3月26日(木曜)、NHK BSプレミアムの『世界で一番美しい瞬間(とき)』
“願いのランタン 天に上るとき~台湾・十分”と題し
十分で春節の満月の夜に行われるお祭り・天燈節や、天燈に込めた人々の想いを紹介する模様。
無数の天燈が夜空を埋め尽くす光景は幻想的!


その晩、同時刻、裏のBS日テレ『ホテルの窓から』もまた台湾特集。
“台湾/台中・日月潭への旅”とのこと。これ、新作ではなく、恐らく再放送。
この番組だったら、春の番組改編後の4月5日(日曜)に放送される
“シンガポールの必食TOP10を網羅する旅”と題したシンガポール美食紀行の方に興味あり。




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そして、香港不足の皆さま、ようやく体内に香港注入の時がやって参りました…!
3月23日(月曜)、BS朝日で
『アジア新発見紀行!~笹野高史と早見優が行く 眠らぬ街 香港!新たな夜の旅』という番組を放送。

この番組が、一般的な旅番組と異なるのは、夜に特化している点。
大人が夜を楽しみながら街をブラつき、2日間で、夜景に夜市、グルメや癒しのマッサージを体験。
香港のきらきらネオンは、見ているだけで気分を上げてくれるから、夜限定で取材する番組も“アリ”かも。

番組公式サイトを覗くと、えっ放送前に内容全公開しちゃっていいの?!と、こちらが心配になるくらい
全旅程や取材したお店がすでに掲載されている。
それらを見る限り、定番スポット巡りで、レア情報は無さそうだし、
笹野高史&早見優という人選もビミョーに感じてしまうのだけれど、
最近、アジアの街を紹介する旅番組というと台湾ばかりで、内容にも大差が無く、飽き気味だったので、
香港不足の私に、よぉぉーーーやく香港を補給できるのは、非常に嬉しい。





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ついでなので記しておくと、もう一つビミョーなところで、
明日3月21日(土曜)、日テレで、『戦力外捜査官APECIAL』というドラマがある。
武井咲&TAKAHIRO主演で昨年放送されたドラマが、2時間のスペシャルドラマとしてカムバック。
そもそも昨年のそのレギュラー放送を観ていない私だけれど、
今回の食い付き所は、澳門(マカオ)を舞台にしているという点。
中華芸能ニュースにザッと目を通したところ、
誰か有名な中華明星がゲスト出演しているといった話題は見当たらない。
でも、澳門の有名観光地は網羅しているようなので、
目からちょっとした異国情緒を味わうために、一応録画しておこうかしら…。



あと、ちょっと先になるけれど、3月29日(日曜)は、
NHK BS1で、月一音楽番組『アジア・ミュージック・ネットワーク』
“月一”なんて言えるのも、今月限り。なんと、残念ながら、3月で終了…。
そんな訳で、今回は総集編。
一青窈とマーティ・フリードマンのコラボで、周杰倫(ジェイ・チョウ)の『菊花台』も披露するらしい。

有名な曲であるが、御存知ない方は、(↓)こちらの周杰倫のオリジナルで予習を。


周杰倫も出演している張藝謀(チャン・イーモウ)監督作品『王妃の紋章』(2006年)の主題歌になっているので
普段C-Popを聴かない人でも、耳にしたことがあるかも知れない。
ちなみに周杰倫は、今週、新婚の妻・昆凌(ハンナ)と日本をぶらぶらしているところを、一般の人に激写され、
微博にアップされたその写真から、新妻御懐妊の噂が出ている。
私もナマで大物スタア観たかった。もう帰っちゃった…?

それにしても、この番組、無くなってしまうなんて、あまり評判が良くなかったのだろうか。
打ち切るくらいなら、月一レギュラーなどにせず、以前のように不定期で放送してくれれば良かったのに…。
とにかく、終了が決まってしまったのは仕方が無い。
K-Popを扱う番組は腐るほど有るわけだし、どうせだったら、半端にアジア全土に手を広げず、
中華圏だけに特化した音楽番組として復活を願います。




さて、2015年春のお彼岸は、3月18日が彼岸入り。
そんな訳で、私も季節のお菓子・ぼたもちを、すでに2個いただいている。
但し、一個は写真を撮っていないので、ここにはもう一個の方だけ。

★ 仙太郎:七穀ぼた

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大きさは、直径約7センチ。
刻んだ青じそを混ぜ込んだ七穀米で、つぶ餡を包んだぼた餅。




当ブログにも幾度となく登場している、仙太郎(公式サイト)“七穀ぼた”
年間を通し売られているので、私もお彼岸と限らず食べているお気に入りぼた餅。

一番の特徴は、餡を包んでいるお餅が、7種類の雑穀を混ぜた七穀米であること。
具体的に七穀とは、もち米、黒米、ひえ、粟、たかきび、押し麦、小豆の7種類。
雑穀のお餅は、ほとんどつかれておらず、ひと粒ひと粒が立っていて、もっちもちの食感。

所々に見える濃い緑色のぷつぷつは、カビではなく 、刻んだ青じそ。
雑穀に混ぜられた青じその清涼感と、中に包まれた素朴なつぶ餡は、意外にも相性抜群。


雑穀だとしっかり噛まなければならないから、満腹中枢に働く。
これだと、一般的なぼた餅を食べる時より、咀嚼回数が2~3倍になっている気がする。
雑穀+青じそ+つぶ餡のコンビネーションが絶妙だし、これ、仙太郎の傑作。
伝統的なぼた餅も良いけれど、それだけだとつまらないから、たまにはこういう変わりぼた餅も。

映画『生きていく日々』

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【2007年/中国・香港/90min.】
香港・天水圍、夏。
早くに夫を亡くした貴姐は、ひとり息子・家安と二人暮らし。
ある日、いつものように、職場のスーパーマーケットで作業をしていると、
梁歡という初老の女性がやって来て、働きたいと言う。
貴姐は早速マネージャーを紹介し、そのお蔭もあり、梁歡は無事職を得る。
なんとこの梁歡は、偶然にも貴姐と同じ集合住宅に引っ越してきたばかり。
こうして貴姐は、よく顔を合わせる梁歡の世話を何かとみるようになり…。



許鞍華(アン・ホイ)監督、2007年の作品。
東京国際映画祭で上映された際、私はチケットを持っていたにも拘わらず、
突然の仕事で、それを捨てる羽目に…。
あれから数年経ち、再び鑑賞の機会が到来。東京国立近代美術館フィルムセンターで開催の
“現代アジア映画の作家たち 福岡市総合図書館コレクションより”という特集で
『男人四十』(2002年)と本作品、許鞍華監督作品2本を上映。
私と同じように『男人四十』と2本立てで観る人が多いのか、こちらもほぼ満席の大盛況であった。



原題『天水圍的日與夜(天水圍の昼と夜)』の“天水圍”とは、香港・新界元朗區の西北に広がるエリア。
人口の増加に伴い、80年代から香港政府が開発を進めた新興住宅地。
東京に例えるなら、多摩ニュータウンみたいな感じか。
日本のニュータウンは、建物の老朽化や、人口流出による高齢化など、問題が出始めていると聞くが
香港の天水圍も、近年、失業率の高さや、少年犯罪、家庭内暴力といった問題が多発し、
“悲情城市”と称されてしまうワケ有りエリアになってしまっているのだとか。


本作品は、夫を早くに亡くし、スーパーマーケットで働きながら、
ひとり息子・張家安を女手一つで育てる中年女性・貴姐を中心に、
天水圍で暮らす人々の、ある夏から中秋までの日々を淡々と綴った物語。




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出演は、スーパーで働く、息子と二人暮らしの女性・貴姐に鮑起靜(パウ・ヘイチン)
貴姐の中学5年の一人息子・張家安に梁進龍(リョン・チョンルン)
貴姐と同じ集合住宅に引っ越し、スーパーの同僚になる梁歡に陳麗雲(チャン・ライワン)など。


鮑起靜は、当初、高校生の息子をもつ母親にしては老け過ぎているように感じた。
でもこの貴姐は、父を亡くし、家族を養い、弟たちに教育を受けさせるために、14歳で見習い工になり、
結婚してからも、早くに夫を亡くし、息子を育てるために、…と人生働きづめの女性。
ママ友とランチしたり、ヨガ教室に通っている女性たちとは違う。
老け気味くらいの方が、貴姐が背負ってきた人生に真実味が感じられる。
大きめTシャツにスラックスという洒落っ気の無い恰好がまた“いかにも香港に居そうなおばさん”。
あまりにも風景に溶け込んでいるため、ドキュメンタリー映画かと見紛うことも。
顔にボトックスだのヒアルロン酸だのを打ちまくり、
ちょっとでも若く、ちょっとでも綺麗に見せようと悪足掻きしている女優たちは
本気で演じる気があるなら、この鮑起靜を見習ってほしいわ。


本作品でデビューした梁進龍は、近頃見掛けないけれど、俳優活動を続けているのだろうか…??
このデビュー作で、貴姐の息子・張家安を演じている彼を見ても、最初の内はピンと来るものが無い。
張家安は、暖簾に腕押しというか、叩いても響かないというか、何を考えているのか分からず、
覇気が無ければ、掴み所も無い男の子。
遅くまで寝ていて、起きてもグダグダしているから、不良かニートに見える。
ところが、話が進むにつれ徐々に、大学受験を終え、その結果を待ちながら、
高校最後の夏休みを過ごしている男の子だと分ってくる。
口数は極めて少なく、無愛想にも見えるけれど、本当は聞き分けの良い優しい男の子。
台詞は少なく、特に前半なんて8割は、「哦…。(あー、うん)」ばかり。
そのぶっきらぼうな感じがまたあのお年頃のリアル。

本作品にはドリアンが幾度となく出てくるけれど、梁進龍は本当はドリアンが大の苦手らしい。
食べるシーンでは、監督の「カット!」の声が掛かるやいなや、歯磨きに走ったのだとか。


私は香港ドラマを観ないので、陳麗雲がどんなにキャリアの長いベテランでも、
演じている姿に触れるのは、恐らくこれが初めて。
陳麗雲扮する梁歡がこれまた“香港に絶対居る、居る!”って感じのおばさん。
梁歡も最初の内は無愛想。貴姐の親切に「有り難う」のひと言も無いから、感じが悪い。
梁歡に変化が見られるのは、彼女が電器屋で買ったテレビを部屋まで運ばせるため、
貴姐が自分の息子・張家安を電話で呼び出した時。
店までやって来た張家安を見て、それまでの無愛想が嘘だったかのように、初めて満面の笑みを浮かべ、
「あら、美男子ねぇ~」とお世辞まで言い、お礼に肉厚の立派な干し椎茸を贈るという変わり様。
その時は、ただ単に、“意外にも若いイケメン好きなおばちゃん”だったのかと思ったが
その後、徐々にあの笑みの理由が明らかになっていく。
梁歡は、色々事情があって、実の孫・阿傑になかなか会えず、淋しさを抱えていたのだ。





大きな事件なんて何も起きない。
ただひと夏の人々の営みを映し出しているだけなのに、不思議と引き込まれる。
登場人物にもシチュエーションにも現実味があり、まるで香港人の日常を覗き込んでいるような面白さ。

ショッピングセンターで、HK$50ごとのお買い物のレシートで1回福引ができるというシーンで、
なんか日本と似ている~と思ったり(ここで大当たりなど出さず、あっさりハズレ、立ち去るのがまた良い)、
逆に、履歴書も持たずに「仕事がしたい」とスーパーにいきなり乗り込み、当然断られるかと思いきや、
面接も無く、その場で採用され作業開始なんて、ここ日本では考えにくい。
スーパーで卵を買う時、おもむろにパックを開けて、品定めしちゃうなんて、日本ではかなりヒンシュク。
他にも、レストランで行われるお誕生日会が麻雀大会化していたり、
新聞は、ケチな新聞スタンドで買うより、コンビニで買った方が、ティッシュをオマケにくれるから良いとか、
そういう細々とした事のひとつひとつから、生活感や香港臭が感じられるのが魅力的。

この直前に観た『男人四十』(2002年)は、えらく昔の作品という印象を受けたけれど
2007年度の本作品だと、そこまで“昔”という感じはしなかった。
唯一時代を感じたのは、主人公・貴姐が持っていたキャンバス地のエコバッグ。

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なんと、世界中で争奪戦が起きたアニヤ・ハインドマーチの“I'm Not A Plastic Bag”ではないか。
懐かしい~。あのブームが起きたのは、約8年前だったのか。
貴姐のは勿論パチだろうけれど。
普通のおばちゃんが、何だか分からずパチを持っているその感じも、またリアル。

で、最後のシーンは中秋節。
貴姐・張家安母子と梁歡の3人が、中秋の食卓を囲む様子は、たとえ疑似家族でも温かで、
幕が下りた後も幸せの余韻が続いた。

ちなみに、貴姐の弟が3箱買ってきた月餅は…

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3箱の内2箱は、潮州月餅の貴嶼和記隆と、日本人にもお馴染みの美心の物であることが
パッケージから判る。美味しい潮式月餅、私も食べたーい!



秀作、待った甲斐あった。同じく天水圍を舞台にした許鞍華監督2009年の作品、
『夜と霧~天水圍的夜與霧』も未見なので、こちらも是非どこかで上映して欲しい。

<則天武后~女性と権力>外山軍治

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著 :外山軍治
発行:中央公論社



相変わらず中華ドラマはダラダラと観続けてはいるものの、
どっぷりハマれる程の作品にはそうそう出会えない。
今、一番日本上陸を待ち望んでいるドラマは、『武媚娘傳奇~The Empress of China』。

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范冰冰(ファン・ビンビン)が武則天(則天武后)を演じている話題のドラマ。
百話近くある超大作で、高額そうだし、手を出せる日本の会社はそうそう無いようにも思うけれど
これくらいの話題作なら、その内日本のテレビでも観られるだろうと楽観的に構え、
待っている間に、武則天についてちょっとお勉強しておくことに。


取り敢えずは、細かい事にはこだわらず、武則天について大雑把に一冊で簡単に学びたい。
そのような“武則天入門書”はどれだろうと検討したところ、
中公新書から出ている外山軍治の<則天武后>がまさにそんな本だという気がして
早速購入しようとしたら、実はこれ1966年初版で、すでに絶版になっており、
今現在重版の予定も無く、新品で入手するのは困難とのことであった。

そんな時、古本ならブックオフに有ることが分ったので、そちらで購入。
人生初のブックオフだったけれど、想像していたよりずっとコンディションの良い、新品に近い本であった。

★ 武則天

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武則天(624年?-705年)は、中国史上唯一皇帝の座に就き権力を掌握した女性。
唐に代わる新たな王朝・武周(690年-705年)を建立し、自ら皇帝に即位。

生年には諸説あり、現在では“624年生まれ、81歳没”という説が有力とされているようだが
本書が出版された1966年の時点では、著者の外山軍治は、77~78歳で没したと推測している。
いずれにせよ、約1300年前の人にしては驚異的な御長寿。

呼び名であるが、“武”は生家の姓。
死後、“則天大聖皇后”の尊号が送られ、高宗の皇后として、夫が眠る乾陵に合葬されたこともあり
あくまでも唐の高宗の皇后という扱いなのか、日本では“則天武后”が最も使われる呼称。
中国では、“武則天”、“武后”がよく使われている。
著者の外山軍治は、本文中、武周の皇帝としての彼女を語る時は、“則天皇帝”と記しているが
本のタイトルは、日本人に耳慣れている“則天武后”の名を採用。
なお、范冰冰主演ドラマのタイトルにもなっている“武媚娘”もまた武則天の呼び名のひとつ。
これは、14歳で唐朝第2代皇帝・太宗の後宮に入った際、太宗から請け賜った名“武媚”から来ている。


そんな武則天に対するイメージといったら、“女帝”、“身内をも殺す”、“凄まじい権力欲”、
“漢の呂雉、清の西太后と並ぶ中国三大悪女の一人”といった、なんかコワーイもの。
私と限らず、あまり武則天に詳しくない一般的な日本人が漠然と抱く印象は、そんなものではないだろうか。

武則天は、范冰冰が演じる前から、何回も映画やドラマに登場し、
例えば、比較的最近だと、徐克(ツイ・ハーク)監督作品『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』、
香港の劉嘉玲(カリーナ・ラウ)が扮した武則天なんか…

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コ、コ、コワイ…(そして変 )。

このように、知らず知らずの内に、“武則天=コワイ人(…そして変)”と植え付けられてしまっているけれど
ただ恐くて変な人だったら、大陸美人女優・范冰冰が、
百話近い大作でその人物の生涯を演じるとは考えにくい。

★ 武則天の略歴

著者・外山軍治曰く、日本にもヨーロッパにも、“女帝”や“女王”と呼ばれる人は出現しているけれど
その大半は、夫である皇帝や国王の死後に、皇后や王妃といった地位にあった女性が
予定される男子の継承者が幼少であるといった諸々の理由で、ある期間、帝位/王位に就く、
もしくは男児の継承者が居ない場合に、皇帝や国王の女児が即位、…のどちらか。
言わば、古今東西、多くの女帝や女王は、元来男性であるべき皇帝や国王の代用品的な存在。

ところが、武則天は、大した家柄でもないのに、自らの叡智と実力で、低い身分から徐々に地位を固め、
遂には最高権力を手に入れ、唐を周(武周)と改め、そこで15年間紛うかたなき皇帝として君臨。
日本の光明皇后や北条政子のようにバックに有力な生家があったわけではないし、
そもそも舞台のスケールが違うから、同列におくことは出来ないという。
息子・ネロを皇位に就かせるため、夫を毒殺したと言われる古代ローマ帝国のアグリッピナは、
権勢欲という点では武則天に近くても、間も無くして、その息子ネロに殺されてしまっているのだから、
やはり武則天とは比較にならない、と。なるほど。確かに。


では、古今東西見渡しても稀なオンナ皇帝・武則天は、無からどのように這い上がっていったのか。
その成り上がり人生をザッと見てみると…

14歳で、唐の第2代皇帝・太宗の後宮に入る。
太宗のお好みにはあまり合わなかったようで、子を授かることのないまま太宗崩御。

父・太宗の好みに合わなくても、ひ弱な息子・李治(後の高宗)は、勝ち気な彼女がお気に入りで、
父の存命中から密かに恋仲に。

“皇帝の寵愛を受けた者が俗界に住んでその身を穢してはならない”という勝手な配慮から
太宗崩御に伴い、寺に送られ尼僧となるも、唐朝第3代皇帝に即位した高宗からお声が掛かり、
髪が伸びるのを待って、後宮入り。

高宗の寵愛を受け、男児と女児を出産。
当時後宮では、高宗の皇后・王皇后と蕭淑妃が対立。この不仲を利用し、二人を高宗から遠ざけ、
続いて、自分が産んだ女児を我が手で殺し、王皇后の仕業と見せかけ、王皇后を廃すことに成功。
代わって皇后の座に就き、王氏(前皇后)と蕭氏(前淑妃)の四肢を切断し、酒壷に入れ、殺害。

679年、高宗崩御。子の中宗・李顕が即位するも、国政は武則天が握り、
遂には、中宗の皇后・韋氏の傍若無人な振る舞いを理由に中宗を廃し、その弟の睿宗・李旦を新帝に擁立。
睿宗・李旦は当然形ばかりの皇帝で、施政は皇太后という地位にあったママ武則天。

このように長らく事実上朝政を執り行ってきたが
690年、睿宗を皇太子に格下げし、遂に自ら帝位に就き、国号を唐から周(武周)と改め、
王朝の始祖、名実共に最高権力者となる。


ザッと目を通しただけでも、その成り上がり人生は充分ドラマに充ちているけれど
他にも、素性の怪しい薬売りに僧侶の身分と薛懷義という名を与え、囲ってみたり、
その後も張易之・張昌宗という美形兄弟を寵愛してみたり、
ばぁ様になってもガッツガツの肉食系で、そっちの方面でも衰え知らず。
古今東西、権力者がとかく色を好むという傾向は、別に男性だけに当て嵌まるわけではなかったようだ。
武則天の脳内では、草食系の私とは明らかに異なるホルモンが分泌されていたと感じるわ。

また、この時代は、前出の映画『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』、
『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』で、劉華(アンディ・ラウ)と趙又廷(マーク・チャオ)が演じた
武則天に仕えた宰相・狄仁傑のように、他にも有名人が出ているから、
色々な角度から語れる興味深い時代と言えそう。

★ 武則天の政治手腕

政治オンチの私には、政治家としての武則天の手腕は、この本を読んでもイマイチ分からず仕舞い。
(そもそも著者の外山軍治が、武則天の政治的業績を特別高くは評価していない。)
自分の家柄があまり良くなかったことも関係あるのか、
出身階級に拘らず、実力主義で人材を登用した点は、あの時代にしては画期的なのかも知れないが、
それを単純に、“人を家柄などで計らない公平な目をもった人”とは言い難い。
むしろ、出身階級が高い旧派閥に対抗し、ゆくゆく排除するための策として、
出身階級の低い人々に恩義を着せ、味方に取り込んだのだと感じられる。
他にも、自分の地固めのために、実家の武氏をあからさまに優遇したり、
逆に逆らう者は徹底的に葬るという恐怖政治を行い、
後世に良い意味での影響を与える何か大改革を行ったようには思えない。

★ 文字へのコダワリ

やたら頻繁に行われた改元や、官庁名、官職名の改変などからも分かるように
武則天の特徴のひとつに、文字へのコダワリがある。文字に霊威を感じるタイプだったらしい。

現在の日本でも、姓名判断に凝ったり、画数に拘り、改名する人は居る。
占いだの迷信だのにまったく無関心な私は、“藤岡弘、”の名前の最後の“、”って何ヨ?!とか、
藤純子(ふじ・じゅんこ)でも富司純子(ふじ・すみこ)でも、どっちでもいいじゃん!と思ってしまうけれど。
そんな私からしてみれば、武則天の改名好きも、
まるで現代の占い大好き女子と大差ないように感じてしまう。

ただ、武則天は、そこらの占い大好き女子とは異なり、やはり大物で、
単に改名するにとどまらず、“則天文字”と呼ばれる新たな漢字まで勝手に創ってしまっている。
それらは、辺境にも普及し、その後125年ほど使用されていたらしい。
もっと驚くのは、その則天文字は日本にも入ってきており、
戦後漢字制限が行われるまで、一部使われていたという。
例えば、水戸黄門として知られる徳川光圀(とくがわ・みつくに)の“圀”の字がそれ。
試しにパソコンで“くに”と入力したら、簡単に“圀”が出てきた。
1300年も前、女皇帝・武則天が考案した文字が、海を渡り、今なおここ日本に残っているなんて、
ちょっとロマンを感じる。

★ その後

本書は、武則天の死後にまで触れている。
武則天の死で武周は消滅し、かつて一度は廃された中宗が皇位につき、唐朝を復興。
中宗は、恐ろしい母・武則天からようやく解放され、ホッとしたのも束の間、
実は母以上にキョーレツだった鬼ヨメ・韋皇后に散々抑え付けられ、蔑ろにされた挙句、
その鬼ヨメと実の娘・安樂公主によって毒殺されるという悲劇。あらら、御愁傷様でございます…。
その後も血生臭い権力闘争は延々と続き、結局李隆基が唐朝第9代皇帝に即位するまでが記されている。
李隆基は、かの玄宗帝。楊貴妃に溺れ、国を傾けたあの皇帝に続くわけ。





女性の地位が極めて低かったあの時代、お世辞にも名家とは呼べない家に生まれた娘が、
大した後ろ盾も無いのに、自力で一国の頂点にまで上り詰めたのだから、これぞまさに“数奇な人生”。
彼女の人生のどこを切り取ってもドラマがあるから、何度も映像化されるのも分かる。
名君と称されるに相応しい人物かどうかは分からないけれど、
強烈な個性とカリスマ性、そして半端ない強運を持ち合わせていた事は確かであろう。
良くも悪くもそれくらい何か突出している人じゃないと、千年以上語り継がれるわけがない。

本書は、唐朝や武則天に精通している人には、物足りないかも知れないけれど、
入門書としては充分で、武則天の登場から、武周の消滅、その後の唐朝まで、
一人の女性を通し、あの時代の流れが分り易く解説されている。

現在LaLaTVがちょうど『謀りの後宮~唐宮燕』という唐朝を背景にした大陸ドラマを放送中。
官女のまぶたを水色に塗るなんて、時代考証云々を語る以前に、悪趣味の極みで、
画的にまったく魅力が無く、早々に捨てようかとも思ったのだが
本書に出ている人物が次から次へと登場し、本書の流れと同じように進んでいくので、
文字で読んだ事を、改めて映像として頭に焼き付けるのには最適で、
あの時代のお勉強にはそれなりに有益と感じている。
ちなみに、この『謀りの後宮』で武則天に扮しているのは…

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私も好きな香港のカッコイイおばさん、惠英紅(クララ・ワイ)。
このドラマに出てくるのは晩年の武則天で、残念ながらすでに死亡し、
今は何賽飛(ホー・サイフェイ)扮する韋皇后が暴れている。
何賽飛がこれまた上手い。太ったのだろうか。泉ピン子にも通じるふてぶてしさで、
イラッとさせられながらも、見入ってしまう。

それでも『謀りの後宮』は適当な所で捨てるかも。
本命の『武媚娘傳奇~The Empress of China』を待たせていただきます。
せっかく予習したのだから、またフジが手を出して、
『蘭陵王』みたいに吹き替え版で放送するような暴挙に出たら、暴れてやる。

映画『唐山大地震』

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【2010年/中国/135min.】
1976年7月28日。
まだ夜が明けない真っ暗な唐山を、未曽有の大地震が襲う。
元妮は、夫を失った上、双子の子供の消息まで掴めず混乱するが、
翌日、その子たちが瓦礫の下で生きているのを確認。
ところが、その状況で救えるのは、どちらか一人だけ。
救助の人々から選択を迫られた元妮は、涙ながらに「弟の方を…」と告げる。
元妮の息子・達は、片腕を失うが、その後母の元ですくすくと成長していく。

一方、瓦礫の下敷きになった達の双子の姉・登もまた奇跡的に命拾いをしていた。
登は、子供のいない王夫妻に引き取られ、大切に育てられる。

こうして、元妮と達、そして登は、何年もの歳月を接触の無いまま過ごしていくが…。



本来2011年3月26日に日本公開予定だった馮小剛(フォン・シャオガン)監督2010年度の作品。
直前で突如公開が中止になってしまったのは、3月11日にあの東日本大震災が起きたから。
大地震を描いた映画の公開直前に、実際に大地震発生とは、最悪の意味で、あまりにもタイムリー…。
せっかく買い付けたのだから、配給会社だって、公開して、お金を回収したかったであろうに、
世の中には、こういう不測の事態が起きることがあるものなのだ。
勿論公開中止は義務ではなく、あくまでも“自粛”。当時他にも公開を見合わせた作品はあったけれど、
大抵は一定期間を置き、お披露目されたのではないだろうか。
本作品はズバリ大地震を扱っているため、特に(時に必要以上に)空気を読む日本のような国では、
なかなか公開に踏み切れなかったのであろう。
もうこのままお蔵入りかと思いきや、4年の歳月を経てようやく公開!長かったような、短かったような…。

あっ、そうそう、断捨離できない私の引き出しには、当然4年前のチラシが残っていた。
(↓)こちら日本版チラシ新旧比較。

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大ヒット娯楽超大作というと軽々しいイメージを払拭するべく、『アバター』云々のくだりは削除して、
ヒューマンドラマや親子愛のイメージを強調したのかしら。



さて、本作品は、浙江省溫州出身、現在はカナダを拠点に活動する女性作家、
張翎(チャン・リン)の小説<餘震>の映画化。

タイトルにもなっている唐山大地震とは、
1976年7月28日、中国河北省唐山を襲ったマグニチュード7.8の直下型大地震。
この地震による死者は24万人にのぼり、4200人以上の震災孤児を生みだしてしまったという。
東日本大震災の死亡者数が、今現在判っている範囲で、16000人弱とのことなので
唐山大地震の被害がいかに甚大だったのかは想像に容易い。


悲劇の幕開けは、その唐山大地震。
この地震で元妮は夫を失い、二人の子供までもが、瓦礫の下敷きで瀕死状態。
この状況ではどちらか一人しか救えないと告げられ、
元妮は、止むを得ず、断腸の思いで弟・達のほうを選ぶ。
ところが、この時死んだと思われた姉・登も、実は奇跡的に命を取り留めており、
王夫妻に養女として引き取られる。
物語は、このように、地震によって引き裂かれ、互いの生存を知らぬまま、別々の場所で
長い歳月を生きる母子の癒されることのない深い心の傷と、そこから再生していく姿を描くヒューマンドラマ

24万人もの死者を出した大地震で命拾いするとは幸運♪なんて思ったら大間違い。
死ぬより辛い生き地獄というのもあるのです。
止むを得ない状況だったとはいえ、息子・達を選んだ母・元妮は、
そのせいで娘・登を死なせてしまったという罪悪感に、その後ずーーーっと苛まれることになる。
当の娘・登は、幸い優しい養父母に引き取られるが、あの大惨事を目の当たりにし、
孤児になったという事実は、幼い子供の心には、あまりにも重い。

あまりのショックで記憶を失った登。…のハズが、実は彼女の記憶は鮮明であった!!
瓦礫の下で耳にした母の「救弟弟…。(弟のほうを助けて)」というたったの3文字の言葉が忘れられず、
ひとり苦しみ続けることになる。いっそ、本当に記憶喪失になってしまった方が楽…。


苦しもうと絶望しようと、月日は流れる。
それぞれの登場人物たちのその後の生き様と、中国の近年の発展の歩みを、重ねて見られるのは興味深い。

特に弟・達は、高度成長期の中国を象徴するような人物。
大学へは進学せず、出稼ぎし、輪タクの運転手からスタートして、やがて起業し、会社が軌道にのり、
BMWに乗って、故郷で一番高級なレストランに母を招待するまでになる叩き上げの社長サン。

姉・登の方は、杭州の医大へ進学するが、訳あって一時姿を暗まし、
外国人男性との結婚を機に、カナダへ移住。
ちなみに、原作者の張翎は、本作品で姉弟が高校卒業後の進路で悩んでいる1986年に
カナダへ移り住んでいる。

地震発生の1976年で時が止まってしまったかのような母・元妮からさえも、時代の流れは感じられる。
恐らく、小平が進めた改革開放政策の煽りで、国営工場をリストラされたのではないだろうか。
元妮は、自分で小さな店を持ち、縫製の仕事をするようになる。
当時電話はまだ一家に一台の時代ではなく、御近所さんに取り次いでもらっているが
そんな彼女も、出稼ぎしている息子の声が聞きたくて、ついに大枚をはたいて自宅に電話を引くようになる。

このように、それぞれの場所で、各々の人生を歩んでいた彼らを、再び引き寄せたのが、また大地震。
唐山大地震から32年が過ぎた2008年、今度は四川省汶川を新たな大地震が襲う。
地震によって引き裂かれた家族が、地震によって再会するとは、皮肉な運命の巡り合わせ。




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出演は、双子の姉・方登/王登に張靜初(チャン・チンチュー)
双子の弟・方達に李晨(リー・チェン)、双子の母・李元妮に徐帆(シュイ・ファン)
登を引き取る養父・王清に陳道明(チェン・ダオミン)、養母・董桂蘭に陳瑾(チェンジン)
大学で知り合った登と付き合うことになる楊志に陸毅(ルー・イー)など。

折れそうなくらい華奢な張靜初と、ガタイのいい李晨。顔も体型もまったくかする所が無い二人。
二卵性だったとしても違い過ぎ、双子という設定であることなど、すっかり忘れていた。
もっとも、そんな設定などどうでも良くなるほど物語の中に引き込まれ、問題なし。

私も弟がいる姉なので、特に張靜初扮する登には、ついつい気持ちを重ね、見入ってしまった。
“母は弟を選んだ”、“自分は母に捨てられた娘”という思いが登をずーっと苦しめ続けるが
彼女はそういう悩みや不満をブチまけて発散できるタイプではない。
或いは、幼少の頃捨てられた経験が、何でも内に溜め込み、耐える性格を作ってしまったのかも知れない。
一見芯が強そうなシッカリ者。だから、硬い殻で脆い内面を覆い隠している様子が、益々切ない…。

双子の母・李元妮に扮する徐帆は、私生活では馮小剛監督の奥方。
双子の弟・方達役の李晨と、母子役で出演した映画が、日本で公開されるのは、これが初めてではない。
イケメン総出演版<楊家將>、『楊家将~烈士七人兄弟の伝説』(2013年)がそれ。
李晨が演じたのは、楊家の四男。地震が起き、日本では、制作年と公開年が逆に。

陳道明は、つい最近『妻への家路』でも見たばかり。
『妻への家路』では労働改造に送られた右派分子、本作品では改革解放軍の軍人と、
同じ時代を描いた作品でも、立場が随分異なる。
陳道明が『妻への家路』で、労改から逃走し、隠れて妻を待っていた駅の鉄橋と、
本作品で、杭州に行き、輪タクの方達から客引きされる場所って、撮影が同じ唐山南駅なのでは…?
駅の鉄橋に陳道明が居る光景が、まるでデジャヴュ。
あと、演じている役が、善良な男性という点も、両作品で共通。
本作品で扮する王清は、本当に優しく、愛情溢れる養父。

陳瑾扮する董桂蘭も、基本的には良い養母なのだが、
養女の登がお年頃になると、女のサガなのか、嫉妬心を覗かせる。
養父母も所詮人間。聖人に祭り上げて描いていないところに、現実味がある。



他、元妮の亡くなった夫・方大強の母、つまり元妮のお姑さん役で、呂中(リュイ・チョン)がチラリと出ていた。

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『大地の子』で上川隆也の養母、『蘭陵王』で林依晨(アリエル・リン)の祖母を演じている呂中は、
本作品出演者の中では、もしかして最も日本のお茶の間で見られている大陸女優かも知れない。



エンディングに“片尾曲:<心經> 演唱:王菲(フェイ・ウォン)”とクレジットされているのに
流れてきたのがインストゥルメンタル曲であった。
もしかして、私が聴いていなかっただけで、そのインストゥルメンタル曲の前に<心經>が流れたのか?
それとも、何か事情があって、日本では差し替えたの?





地震の前日、おびただしい数のトンボが空を埋め尽くす冒頭のシーンから引き込まれた。
よく言われているように、大地震の前には、そういう奇妙な予兆が現れるものなのだろうか。
その後に起きる地震の映像は、想像していたよりずっと迫力があり、生々しくて、ゾッとさせられる。
もっとも、本作品はそういう部分を売りにした特撮映画ではなく、地震によって引き裂かれた家族のドラマや、
その後もずっと人々を縛り付ける苦悩や葛藤を描いた作品なのだけれど。

ヒューマンドラマ以外の部分では、前述のように、1976年から今日に至るまでの
激変する中国の歩みが追えて、興味深い。
地震発生から僅か一ヶ月半後の1976年9月に行われた毛沢東(1893-1976)の国葬の映像を観て、
この大惨事が、文化大革命最末期の疲弊しきった中国を襲ったのだと、改めて確認。
まだインターネットが普及していない当時、半ば鎖国状態だった中国で起きた大惨事が
日本をはじめとする世界で、どのように報道されたのかも、気になる。

私は元々“お涙頂戴系”には批判的なので、4年前、本作品が“催涙弾映画”と宣伝されているのを見て、
虫唾が走り、「ふんっ…!」と鼻で笑ったものだが、
この度実際に観賞し、不覚にも上映中何度も目頭が熱くなるという事態に。
映画でもドラマでもまず泣くことの無い私の目頭が終始ウルウルだったのだから
平均的な日本人なら、涙腺が崩壊してボロ泣きするに違いない。


年を重ね、近年お気楽コメディからシリアスな物へと、作風がシフトしつつある
“賀歳片(お正月映画の巨匠)”馮小剛監督。
本作品は、重いテーマを扱いながらも、難解ではなく、
むしろ誰もが分かり易いエンターテインメントに仕上がっているのが、馮小剛監督ならでは。
2015年に入ってから観た中華電影だと、私の好みでは『薄氷の殺人』『二重生活』に軍配を上げるが
一般的には、この『唐山大地震』の方がずっとウケが良いハズ。

公開が一旦白紙に戻り、もう余計なお金がかけられなかったのか、
はたまた、“地震の映画”だから、空気を読んで、ひっそり再公開に踏み切ってしまいたかったのか、
そこら辺の事情は分からないけれど、本作品の宣伝はほとんど目にしないし、前売り券も無い。
そのせいか、客の入りは非常に悪く、『妻への家路』の半分にも達していなかった。
ちゃんと宣伝していれば、今年一番の中華系ヒット電影にも成り得ただろうに、惜しい。

ちなみに、その『妻への家路』を手掛けた張藝謀(チャン・イーモウ)監督の出世作、
『紅いコーリャン』が本作品の1986年の街中のシーンでポスター出演。
今調べたら『紅いコーリャン』は1987年度作品なので、ちょっとフライング。

小豆餡を使った和菓子2種(+海の向こうで話題の意外な日本人美女)

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昨日、微博を覗いたら、twitterの“トレンド”に当たる“熱門話題”に…

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「最美日本交換生(最も美しい日本人留学生」とあったので、気になって見てみた。



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こちらが美人と評判の長尾寧音(ながお・しずね)ちゃん。
北海道出身の19歳。普段は札幌大学の学生で、
廣東省惠州市惠州學院が3月に受け入れた17名の日本人短期交換留学生の内の一人。
美しい黒髪、艶やかな白い肌、スラリと細身のボディ、明るく活発な性格の彼女は
すぐに惠州學院生の間で「最美日本交換生」、「日本女神」、
「顏値超高女神(顔レベルが超高い女神)」と評判になり、キャンパス内での長尾寧音探しがブームに。

そんな惠州學院生の一人が、キャンパス内で“捕獲した”長尾寧音ちゃんの写真を微博に載せたところ、
すぐにメディアが注目し、本人にインタヴュー。
こうして彼女はみるみる内に、ちょっとした有名人になったようだ。

札幌大学の中国語の授業で中国に興味をもち、この度交換留学の機会を得て、
初めて中国へ渡ったという長尾寧音ちゃん。
留学期間は半月とのことなので、もうすでに日本に帰国しているのかも知れない。
中国では、同級生たちが皆優しくて、毎日を楽しく過ごしたという。
中国の餃子が好きだし、来年また来て、友達たちと再会したい、とも。

メディアからのインタヴュで、日本との一番の違いを聞かれると
「おトイレ。日本では、トイレットペーパーを流すけれど、中国では別に捨てるから」と回答。

さらに、記事によると、「日本では、すでに有名なモデル事務所と契約し、モデルをやっている」と記されている。
えっ、そうなの…?ちょっと検索したら、確かに、中谷美紀、常盤貴子、北川景子らと同じ
大手芸能事務所スターダストプロモーションに所属し、日本版wikipwdiaにまで載っているではないか。
私も観たwowowのドラマ『グーグーだって猫である』にも、市川実日子の中学時代でチラッと出ていたみたい。
うーん、どんなだったか思い出せない…。

そんなに売れていない子でも(←スミマセン)、芸能界に入るような子は
普通の大学のキャンパスで見たら、目立って可愛いのだろうか。
何の宣伝もしていないのに、中国で話題になり、スターダストプロモーションはホクホクに違いない。

まぁね、昨今日中間で明るい話題が乏しいから、こういうのも良いではないの。
長尾寧音ちゃん、これから中華圏でもっと活躍できるように、引き続き中国語のお勉強も頑張って下さい。




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中国語と言えば、3月31日(火曜)、NHK Eテレ『テレビで中国語』の2015年度新学期の放送がスタート。
今年度の生徒は壇蜜。
こちらもまた発表されて早々に中華メディアが「日本情色女王壇蜜出任中國語講座的嘉賓學員」とか
「日本性感艷星壇蜜學中文」といった具合に報じていた。
今期のNHK『テレビで中国語』は、これまでになくネット上で違法動画が拡散するかもね。
私もちょっと楽しみ。前年度はほとんど観ていないけれど、今年は結構観ちゃいそう。
それにしても、壇蜜に“性感艷星(せいかん・つやぼし)”という称号、なかなか良いわ。
日本語に訳すなら差し詰め“お色気スタア”って感じだろうが、“性感艷星(せいかん・つやぼし)”の方が
東洋の神秘的な(かつちょっと滑稽な)エロスが感じられ、私のお気に入り。



お菓子は、小豆の餡子を使った和の物2ツ。今回はちょっと地味目なセレクト。

★ 鈴懸:ぼたもち

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大きさは、直径約5.5センチ。
ひき割り羽二重糯をこし餡で包んだぼた餅。



ひとつめは、お彼岸の名残りでこちら。
もう何度も食べている鈴懸(公式サイト)“ぼたもち”
こし餡、つぶ餡、きな粉の3種類有り、私の選択はこし餡。

お米は滋賀県産、小豆は十勝産を使用。
お米は、粒が少し残るくらいにつかれており、モッチリかつ柔らかな食感。
藤色がかった綺麗な餡は、鈴懸定番の上品なこし餡で滑らか。

“蒸したもち米の旨味を十二分に味える鈴懸自慢のぼた餅”との事だが
確かに、もち米の甘みや旨味、そして食感を楽しめる。
鈴懸の他のお菓子より大きめで、食べ応えも充分。

★ くらづくり本舗:くらづくり最中 福蔵

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大きさは、約5センチ角×厚さ3センチ。
生地の中に、つぶ餡と福餅を入れた最中。



こちらは初めて。
川越にあるくらづくり本舗(公式サイト)というお店の看板商品“くらづくり最中 福蔵”

大きさといい、餡+餅という組み合わせといい、紀の国屋の人気商品“相国最中”に似ている。
包装紙から出し、見た目でまず違う点は、皮の上下それぞれに商品名の“福”と“蔵”の刻印。
その皮は、非常に軽く、パフッと、目があまり詰まっていない感じ。

割ってみると、餡の色が(この画像では分かりにくいが…)こちらの方が赤みがかっている。
食べると、味にも違いが。
100%十勝産小豆を使用して作ったというこの餡は、紀の国屋の餡に比べ、ややねっとり系。

中に隠れているのは福餅。
どういうお餅を“福餅”と呼ぶのか分らないけれど、私が知っている言葉で呼ぶならば、これは求肥。
トロンとした柔らかな食感で、紀の国屋・相国最中の中の求肥より、大きめ。


似ていても、お店によって味に違いが出るものだ。
これはこれで、まぁ良いけれど、皮の食感や餡の味は、紀の国屋の方が私好み。
大きな求肥がドーンと入っているのは、得した気分。

大陸ドラマ『謀り(たばかり)の後宮~唐宮燕』

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武則天が天下を治める唐代の中国。
小役人の孟元は、腹を空かせた罪人に情けをかけ、食事を与えたことを罪に問われ、
二人の娘、孟凡、孟芙の目の前で処刑される。
孟凡と孟芙も危うく処刑されそうになるが、美しい姉妹は宮廷からやって来た使いの目に留まり、
入宮することを条件に、命を救われ、戸惑いながらも、約束通り、宮女として働き始める。

宮廷では、高齢の武則天が、しばし妄想に憑りつかれ、残虐な殺害を命じることも。
皆恐怖に怯えながらも、水面下では、武則天亡き後の後継者争いの火蓋がすでに切られていた…。


2015年3月、LaLaTVで始まった大陸ドラマ『謀り(たばかり)の後宮~唐宮燕』
試しに観始めたものの、女優のメイクは悪趣味だし、イケメン不在だし、
とにかくヴィジュアル的に引かれるものが、まるで無い。
しかし、ちょうど外山軍冶の<則天武后~女性と権力>を読んだばかりで
本とドラマの内容が重なっていたので、ズルズルと視聴を続け、
約一ヶ月後の本日4月1日に放送された最終回まで、全46話をまさかの完走。
“いつでも捨て態勢”だったのに、ゴールするなんて、自分でも意外。

★ 概要

本作品は、大陸の大手映画ドラマ制作会社・拉風娛樂が手掛けたドラマ。
拉風娛樂のドラマは、ここ日本にあまり入ってきていないように思う。
日本でそこそこに知られている拉風娛樂制作ドラマは、『王の後宮~後宮』くらい?
似たような邦題が氾濫していて紛らわしいが、
『王の後宮』は安以軒(アン・アン)や馮紹峰(ウィリアム・フォン)が出演しているドラマ。
私は一部しか観ていないので、拉風娛樂テイストがどういうものか不明。

監督は、台湾出身の張孝正(チャン・シャオション)
私も大好きな台湾男優、張孝全(ジョセフ・チャン改めチャン・シャオチュアン)と紛らわしい一字違い。
名前は似ていても、監督の方はもっとずっとオジさん。
監督名の片仮名表記は、日本版DVD販売元エスピーオーの表記に一応従ったが、
ハッキリいって、“正 Zhēng”を“ション”と読ませようとする感覚は、私には理解できない。
とにかく、張孝正は、武侠ドラマや歴史ドラマを多く手掛けている監督で
代表作は『白髪魔女伝 美しき復讐鬼~白髮魔女』。

★ 物語

唐代の中国。
生き延びるための選択で宮女となった姉妹、姉・孟凡と妹・孟芙が、
いつしか皇帝の座を巡る権力争いに巻き込まれ、唯一無二の肉親でありながら対立する立場となり、
各々が信じた主の下で、自分の運命や時代を変えていこうとする姿を描く歴史フィクション


まず、軽く時代をおさらい。
ドラマの幕開けは、まだ、中国史上唯一の女帝・武則天(624-750)が天下を治めている時代。
武則天は、唐朝第3代皇帝・高宗(628-683)の妻で、夫の死後、皇位についた実子たちを廃し、自ら皇帝となり、
国号も“唐”から“周/武周”と改め、新王朝の始祖に。
武周は武則天が死ぬまで15年続き、
その後は、かつて一度は皇位から引き下ろされた中宗・李顯が再び皇帝の座に返り咲き、
国号も“武周”から“唐”に戻される。

本ドラマは、武則天の晩年から始まるので、正確には、ドラマ冒頭の時代背景は“武周”であり、
その後、復興した“唐”へと流れていく。

復興した唐朝で、取り敢えず皇帝に座についたのは、前述のように中宗・李顯であるが
おとなしい中宗を巧く操っているのは、中宗の皇后・韋氏。
中宗の在位中から、すでに次の皇帝の座を巡る水面下での争いは始まっており、
韋皇后は勿論の事、中宗の息子で韋皇后とは血の繋がりが無い太子・李重俊、
武則天の娘・太平公主、武則天の甥・武三思、中宗の甥・李隆基が派閥に分かれ、これに参戦。
(派閥を大雑把に分けると、唐朝の御本家である李氏、武則天の実家である武氏、
中宗の皇后の実家である韋氏という三ツ巴の闘い。)

邦題が『謀りの後宮』なので、唐朝の後宮における女たちの争いを想像してしまいがちだけれど、
実際には、皇位を巡る権力闘争を描いた“謀りの玉座”。
他の時代を背景にした王朝の権力闘争ドラマと異なるのは、
武則天が“女でも天下をとれる”という前例を作っているため、
本ドラマに登場する女たちは、男性の添え物などでは決して我慢できず、
自ら頂点に立つ気マンマンの猛女である点か。


主要登場人物の多くが実在の人物であるこのドラマで、主人公の姉妹は架空の人物。
この架空の姉妹は、訳あって宮廷にあがり、やがて権力者たちの争いに翻弄されることとなる。
つまり、歴史上実際に起きた唐朝の権力闘争を、架空の姉妹の目を通して描いたのが、このドラマ。

主人公が若い女の子なので、もちろん恋愛も描かれているけれど
他のこの手のドラマと比べると、ラヴ・ストーリーの要素は薄め。

★ キャスト その①:運命に翻弄される姉妹

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本ドラマの主人公は、歴史上実在しない姉妹で
偶然にも、他人でありながら、まるで姉妹のように、同じ“劉”姓の女優が演じている。
姉妹でも性格は異なり、姉・孟凡は、(自分自身も庶民でありながら)困窮する民を想う生真面目な正直者、
妹・孟芙は、上昇志向の強い野心家。性格や愛した男性の違いから、姉妹はやがて敵対関係になってしまう。
そういうところは、政治的に対立する立場に置かれた、かの宋家の三姉妹の下二人、
“国家を愛し”孫文に嫁いだ宋慶齡と、“権力を愛し”蔣介石に嫁ぎ台湾へ渡った宋美齡を彷彿。


劉庭羽(リュウ・ティンユー):孟凡役~孟芙の姉

劉庭羽は、本ドラマを制作している拉風娛樂の所属女優で
本ドラマと限らず、拉風娛樂制作のドラマに数多く出演。
よって、拉風娛樂制作ドラマの放送が少ない日本では、キャリアの割りに、あまり馴染みが無い。
このドラマで見ると、楊采妮(チャーリー・ヤン)の若い頃を彷彿させる顔立ちで
決しておブスではないけれど、私好みとは言い難い。
扮する孟凡は、陰謀渦巻く薄汚い宮中において、誠実に義を貫く善の象徴。
ちょっと堅物なくらいなので、後の玄宗帝、臨淄郡王・李隆基とのほのかな恋も
燃え上がることのないまま、静かに消火。
どうせ玄宗帝は、本ドラマ終了後、30年もすると楊貴妃に溺れ、国を傾ける運命なので、これで良し。



劉心悠(アニー・リウ):孟芙役~孟凡の妹

台湾女優・劉心悠は、数々の映画作品の他、
日香合作ドラマ『幸福(しあわせ)のスープはいかが?~幸福的味道』で成宮寛貴と共演したり、
最近だと『宮廷女官 若曦(ジャクギ)~步步驚心』で主人公の姉を演じているため、
ここ日本では劉庭羽よりずっと知られた女優であろう。
美人なので、これまではどちらかと言うと、落ち着いたクールビューティ系が多かったように感じる。
今回も当然姉を演じるのだろうと予想していたら、実年齢で1歳半年下の劉庭羽の方が姉役であった。
30過ぎの劉心悠が甘えん坊の妹役ってどうなの?!と心配しながら観始めたけれど
この孟芙は、あからさまに上昇志向が強く、ブラックな部分を持つなかなかの策士なので
結果的に、劉心悠には、おっとり系の姉より合った役だと感じた。
愛より出世を選び、安樂公主に寝返った直後の放送なんて、1話の中で、いきなり2名毒殺しちゃうしサ…。

本題からは反れるけれど、劉心悠って、中華圏の女優には珍しく、耳に穴を開けていないのだろうか。
『宮廷女官 若曦』の時もそうだったが、クリップ式のイヤリングを付けている。
アップになると、左耳には穴があるように見えるのだけれど。

★ キャスト その②:キョーレツな女たち

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本ドラマに登場する女性たちは、通常の宮廷ドラマに登場する女性たちとは異なり、
皇帝からの寵愛より、天下取りに野心を燃やしているため、並みの男より余程我が強くてキョーレツ。
なお、ここに挙げた4人は、全て実在の人物。


惠英紅(クララ・ワイ):武則天(624-750)役

これまでにも多くの女優たちが演じてきた武則天。
最近では、『武媚娘傳奇~The Empress of China』で范冰冰(ファン・ビンビン)が演じる武則天が話題。
本ドラマで演じているのは、香港のカッコイイおばさん惠英紅。
最初の内は、一般的な現代人がイメージする通りの武則天像で、酒壷や猫の悪夢にうなされたり、
妄想に憑りつかれ大暴れしてみたり、情け容赦なくバッサバッサと殺生も。
ところが死期が近付くと、さすがにおとなしくなり、ヒューマンな一面を覗かせ、崩御するから
“稀代の悪女”というより“一時代を築いた権力者”といった印象を残す。



何賽飛(ホー・サイフェイ):韋皇后(?-710)役~中宗・李顯の皇后

本ドラマで、武則天を最低最悪の“悪女”と感じないのは、武則天の死後、皇位についた中宗・李顯の皇后、
この韋皇后が、武則天を上回る筋金入りの外道だから、というのも一因。
演じている何賽飛が、私の中では『ラスト、コーション』(2007年)の蕭太太で止まっていたため、
随分でっぷりと貫録が出たように感じた。今や、東てる美に泉ピン子を掛け合わせたかのようなふてぶてしさ。
誰よりも夫の死を望んでいたくせに、白々しくも、人前でさめざめと泣いてみせる演技は秀逸であった。



劉娜萍(リュウ・ナーピン):安樂公主・李裹兒(685-710)役~中宗・李顯と韋皇后の愛娘

安樂公主は、父・中宗が廃され、左遷される道中の劣悪な環境で、韋氏が出産し、
淋しい幼少期を過ごしたため、父母から取り分け大切に育てられた娘。
孤独な安樂公主も、主人公・孟凡にだけは心を開き、主従関係を超え、本当の妹のように優しく誠実に接する。
…が、この安樂公主が、母・韋皇后と手を組み、実の父・中宗を殺したのは、歴史上の事実。
ドラマでは心優しい公主に設定を変えたのかしら?なんて思いながら観ていたら、
いやいや、案の定、後半いきなり最強のクズに豹変…!
キッカケは、孟凡が安樂公主のために良かれと思ってついた嘘の発覚。
もうこうなったら、可愛さ余って憎さ百倍。安樂公主の、孟凡に対する逆恨みは加速する一方。
さすがは韋皇后の娘、あの親にしてこの子あり、って感じの暴れん坊っぷりを発揮。
いや、優しく誠実だった頃とのギャップで、視聴者は韋皇后以上の鬼畜と感じるかも。

とにかく、全登場人物の中で、外見でも内面でも、最も変化が激しいのが、この安樂公主。

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最初の頃は無邪気で心優しい少女やがて美しい公主に成長するも、ある事を機にケダモノ化し 
なんと最後には、素人のくせに自ら戦闘の指揮を執り、案の定追い詰められ惨敗。
錯乱状態に陥り髪を振り乱した彼女には、もはや公主の面影は無く、まるで落ち武者。ギャーッ!…爆笑。

演じている劉娜萍は美人なのだけれど…

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私には“中国語を喋っている福田綾乃”にしか見えなかった…。
いつ吉高由里子のモノマネを始めるかとドキドキ。




楊恭如(クリスティ・ヨン):太平公主・李令月(665?-713)役~武則天の娘 李顯や李旦の妹

楊恭如が『ラヴソング』(1996年)で黎明(レオン・ライ)の妻を演じて注目されたのは、早いもので20年近く前。
近年は大陸ドラマで随分活躍しているようなので(まぁ映画でもちょこちょこは見掛けてはいるけれど)、
私が楊恭如を重要な役でたっぷり見たのは、今回が久し振りという気がする。
私の脳裏に焼き付いている『ラヴソング』でのオドオドした田舎の純朴女房とは異なり
本ドラマで演じている太平公主は、聡明で冷静な策士。
あれから約20年、アラフォー美女になった楊恭如に相応しい役。

★ キャスト その③:影の薄い男たち

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このドラマでは、女性があまりにもキョーレツなため、男性の影は限りなく薄い。
大勢の男性登場人物の内、絞りに絞って挙げたこの3人もまた実在した人物。


李承鉉(イ・スンヒョン):臨淄郡王・李隆基(685-762)役~武則天の孫 李旦の息子

『僕たちのプリンセス~全民公主』で初めて見て、まったくピンと来なかった韓国系アメリカン李承鉉。
あのドラマは、主要男性キャスト二人、孫藝洲(スン・イージョウ)と李承鉉が、共にイケていなかったため、
数話だけ観て捨てた日本人女性ドラマニアが多かったに違いない。
私が李承鉉を見るのは、あのドラマ以来今回が2度目。
現代劇で見てイケていなかった李承鉉は、時代劇で見てもやっぱりイケていなかった…。
決してブ男ではないのだが、主人公の相手役を演じるには役不足だし、
ましてや、この臨淄郡王・李隆基は、のちに唐朝第9代皇帝となるあの玄宗帝。
そういう役を演じるには、李承鉉にはオーラが無さ過ぎる…。
推測するに、本ドラマは、香台の有名女優たちに支払う出演料で予算が底を尽き、
男優は妥協で、ギャラの安さだけでキャスティングしたのではないだろうか。
どうせラヴストーリーの要素は薄いし、男性より女性が重要なドラマだから、まぁそれでも良いのだけれど。



陳威翰(チェン・ウェイハン):太子・李重俊(?-707)役~武則天の孫 中宗・李顯の息子

本ドラマ出演男優陣の中で、日本人女性ウケが一番良さそうなイケメンは、この陳威翰か。
台湾出身の陳威翰だけれど、拉風娛樂所属で、大陸ドラマを中心に活躍しているせいか、
日本での知名度はとても低い。
本ドラマで扮している李重俊は、国家と民を何よりも大切に思う正義感溢れる太子。
しかし若さゆえか、理想に燃え、突っ走り過ぎ、
彼の何倍も上をいく知能犯・韋皇后一派の策略にことごとくハメられ、
挙句信じて愛した孟芙にまで毒を盛られ、あの世逝き…。
気の毒と同情する反面、思慮の浅い若蔵で自業自得だったとも感じてしまう。ゴメンね、太子。



謝祖武(ウィリアム・シエ):中宗・李顯(656-710)役~唐朝第4代/第6代皇帝 生母は武則天

太子・李重俊のパパ、中宗・李顯に扮する謝祖武もまたFrom台湾。
李顯は、かつて一度皇位につくものの、生母である猛女・武則天に廃されるわ、左遷されるわ、
武則天にとっては実の孫である我が子まで殺されわ、…と散々な目に遭い、ビクビクと生きていたが、
そんな武則天も亡くなり、再び皇位に返り咲くも、ホッとしたのも束の間、
自分の女房・韋皇后が、母よりキョーレツな猛女で、実権を握られた挙句、殺されてしまうのだから、
もう「御愁傷様…。」のひと言しか、掛けてさし上げる言葉が見付からない。
謝祖武の神経質そうな顔立ちが、この気の毒な恐妻家・李顯にピッタリ。
でっぷり貫録のある何賽飛と並ぶと、線の細い謝祖武から益々漂う悲愴感。
まるで夫婦の力関係を表しているかのようなツーショットがよろしい。

★ その他の気になるキャラ:喜び組?はたまたナンバーワンホスト…?

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ドラマ前半で消えてしまうけれど、実在の張易之&張昌宗も勿論登場。
彼らは、武則天に気に入られ囲われていた美しい兄弟。
武則天を楽しませるための要員で、言わば北朝鮮の“喜び組”の男版、
もしくは、“ホストクラブ武則天”の売れっ子ホスト。
ショーパブのダンサーのように、首にフェザーのストールを妖艶に巻くこともあるし(!)、
歴史上語り継がれているように、木馬に乗って笛を吹くこともあり(…!!)。
いい年した大人の男が木馬にまたがっている姿に萌える武則天って、かなり趣味がマニアック。

★ 衣装

衣装では、安っぽいヴィヴィッドな色の化繊が目に付くが、
デザイン自体は平均的な大陸時代劇の物と大差なし。
決定的な特徴は無いけれど、強いて挙げるなら
女官のお召し物には、このドラマのオリジナリティが出ているかも。
彼女たちのお召し物は、トップスと、胸の上からストンと落ちるストライプでツートーンのスカートから成っており
地位や、働く持ち場によって、色が変わる。

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主人公・孟凡がドラマ前半で着ている衣装は、色合わせが白雪姫を彷彿。


あと、安樂公主が持っていたと言い伝えられる貴重なお召し物、
美しい鳥の羽で作った珍品“百鳥裙”も劇中に登場。
別に悪くはないけれど、私が想像していた感じとは、ズレあり。
孔雀の羽を縫い付けたマントのような物で、岡本知高のステージ衣装っぽかった。

★ メイク

衣装よりずっとパンチがあり、オリジナリティに溢れているのが、メイク。
パステルピンクの口紅や、バッサバッサのツケマ等、
これまでにも、大陸時代劇の時代背景を無視したメイクには、幾度となく唖然呆然とさせられたが、
本ドラマを観てしまった今思えば、それらはまだまだ許容範囲だったのだと思い知る。
本ドラマのメイクこそ、私の大陸時代劇視聴史上断トツの悪趣味メイク。


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時代考証云々を語る以前に、なぜ今敢えて水色のアイシャドーなのか…??!
官女たちのまぶたにコッテリ塗られた水色のアイシャドーが
その昔渋谷や自由が丘を席巻していた“丘サーファー”を彷彿させ、郷愁に駆られたワ。
あれは、唐代でも明代でもなく、紛れもない昭和末期のメイク。
昭和期に見ても変だと思ったが、今見たら、もっと変。
スタッフの中に、「それ変だから、やめましょう」と意見する勇気ある人は居なかったの…?!
監督以下撮影チームは余程気に入り、「今回は“水色アイシャドー押し”で行こう」と決めたのか。
ドラマの中の宮女たちは、入浴中も睡眠中も、獄に繋がれてい時も、床に臥し生死を彷徨っている時さえも、
目の上だけは変わることなく安定のライトブルー。
あまりにもシツコくこびり付いているので、目の上に青カビが生えたのかと思いました…。

★ 主題歌

主題歌、オープニングは主演女優・劉庭羽が歌う<女人天下>
エンディングも劉庭羽で、こちらは和匯慧(ショーン・ハー)とのデュエット曲<你的愛是我的命>
ここにはエンディング曲の方を。…と言いたいところだけれど、ちょうど良い動画が見当たらないので
劉庭羽と同じ事務所の穆婷婷(ムー・ティンティン)が歌うヴァージョンで。
デュエットのお相手は同じ和匯慧だし、曲のアレンジにも差を感じない。
強いて言うなら、劉庭羽の声の方が、もう少し柔らかい印象かも。






水色アイシャドーを見た瞬間に、「このドラマはハズレ…」と直感。
事実、前半はかなり退屈であったが、直前に読んだ<則天武后~女性と権力>と内容がカブるため、
文字で学んだ事を、映像として頭に焼き付けるには最適で、それなりに役立った。
私がこのドラマを観始めたもう一つの理由が、范冰冰主演ドラマ『武媚娘傳奇』の予習であった。
もしかして『武媚娘傳奇』がその内日本にも上陸するかも…、という希望的観測から
事前準備のつもりで観たら、(ほぼ同じ時代を描いているのだから当たり前だけれど)実際両作品では
登場人物もかなり重なるし、あの時代の流れを何となく掴めた気がする。
当然フィクションは盛り込まれているけれど、要所要所で史実を押さえて進行していくので
武周末期から玄宗帝が即位するまでの唐朝の歴史を学ぶには、悪くない。

画的に野暮ったいとか、イケメン不在とか文句言いながらも、結構ハマっていたのかしら、私。
遂に迎えた怒涛の最終回では、安樂公主の暴走がどのように止まるのかを気にして観ていたら…

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孟芙と共に、まるで団子か焼き鳥の如く、串刺し状態であの世逝き!
仮初めにも公主だった女性が、落ち武者化した上、
串に刺さったお団子のようになって生涯を閉じるなんて、あまりにも無様。
ドラマで公主の“串刺し死”は斬感と感心しつつも、失笑。
(“串刺し死”の直後にやって来た李隆基も、さすがに気の毒と思ったのか
「これでは体裁が悪いから鳳陽殿に移そう」とご尤もな事を言っておられた。)

あぁぁ…、結局は弱肉強食。
一人、また一人と脱落していき、玄宗帝時代の到来でゴールインするサヴァイヴァルゲームであった。


さて、水色アイシャドーにめげることなく、
やはり『謀りの後宮』を観ておこうかしら、と思い直した皆さま、朗報です。
終わったばかりなのに、LaLaTVでは、2015年4月6日から、月曜~金曜で、
午後3時半に毎日1話ずつのペースで再放送。
何度放送を繰り返してもヒットするとは考えにくいこのドラマを、早々に再放送する意図は何なのだろう…。

一方、『謀りの後宮』を放送していた朝の枠は、2015年4月2日から
楊冪(ヤン・ミー)、馮紹峰(ウィリアム・フォン)ら人気俳優が出演する大陸ヒットドラマ
『宮 パレス 時をかける宮女~宮/宮鎖心玉』を放送。
『謀りの後宮』より明らかにこちらの『宮 パレス』の方が日本人ウケが良いであろう。

そしてさらに、4月20日からは、『後宮の涙~陸貞傳奇』も再放送されるらしい。
こちらも、『謀りの後宮』よりは遥かに日本人好みすると思う。
但し、『後宮の涙』はほぼフィクション。史実をより踏まえているのは『謀りの後宮』の方。

映画『さらば、愛の言葉よ』

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【2014年/フランス/69min.】
人妻と独身男が出逢う。
二人は愛し合い、言い合い、もつれ合う。
一匹の犬が街を、田舎を、彷徨う。時は流れ、男女は再び出逢う。
かつての夫が全てを台無しにして、第二幕が始まる…。



2014年第67回カンヌ国際映画祭で、審査員特別賞とパルムドッグ審査員特別賞をダブル受賞した
ジャン=リュック・ゴダール監督最新作。

ジャン=リュック・ゴダール監督作品は、昔の物が好き。近年の作品は、実はそれほど好きではない。
それでも、本作品をわざわざ観たかったのは
これがジャン=リュック・ゴダール監督83歳にして初めて手掛けた3D作品だから。
これまでにも、従来では考えられなかった様々な手法を取り入れ、
映画界に新風を吹き込んできたジャン=リュック・ゴダール監督の長いフィルモグラフィの中でも
本作品はもしかして後々“取り分け革新的代表作”の一本になるかも…?

3Dにはもう飽き、“3Dは観客から余分なお金を搾取するための口実”くらいにしか思っていない私でも
ジャン=リュック・ゴダール監督の3D作品なら観てみたい。
なのに、本作品、日本では、2015年1月末に公開され、ズルズルと先送りにしていたら、
あっと言う間に2ヶ月が経過。
結局観逃してしまった…、とガッカリしていたところ、シネマート新宿でまだ上映されていた事を知る。
ちょっと待てば、直にソフト化されるだろうけれど、うちのテレビでは3Dで観ることができないし、
今度こそ機会を逃すまいと、映画館で駆け込み鑑賞。


結果から言うと、非常に感想を述べにくい作品であった。
感じる部分は多々あっても、それを文字で表現しにくいと言うか…。
本作品については、当ブログに感想を書くのをやめようかとも思ったけれど、
「“もしかしてジャン=リュック・ゴダールを代表する一作になるかも知れない作品”を観た」
という証し(?)のために、例え支離滅裂でも、簡単に記録を残しておくことにする。



作品に登場するのは、何人かの男と女と、そして犬。
ストーリーは有るような無いような…。

この手の作品は、“理解した人=知的”、“分らなかった人=お馬鹿”と
観衆の理解度がその人の知性を計るバロメーターと見做されがち。
もしそうなら、私はお馬鹿の仲間入り…!ホント、まったくチンプンカンプンでしたワ(笑)。

原題は、“言葉にさよなら”を意味する『Adiue au Langage』だけれど
実際の作品の中は、言葉、言葉、そしてまた言葉の応酬。
冒頭語られる「想像力のない人間は現実に逃避する」という台詞で、もうつまずいた。
えっ、普通は逆で、想像や妄想は、現実から目を背けたい人間の逃避場所なのではないの?と疑問が湧き、
ジャン=リュック・ゴダール監督が何を言わんとしているのかという事ばかりを考え込んでしまった。
自分が知る既成概念に当て嵌めて考えている時点で、すでに私は想像力を欠いた人間なのでしょう。

主要キャラクターの一人(一匹)である犬のロクシーは
何かに縛られることなく、街や自然の中を自由に行き来。
言葉を持たずとも、人間たちを静観し、思考を広げられる犬のロクシーのようにお利口になりたかったら
“Adiue au Langage(言葉にさよなら)”と決別するも良し。

ただ、このタイトル『Adiue au Langage』も、単純に“言葉にさよなら”とは受け止めにくい。
分解して、“Ah Diue!(あぁ神よ!)”や“Oh langage!(おぉ言葉よ!)”といった言葉遊びにもなっており、
“さよなら”どころか、崇拝にも感じ、翻弄させられる。



映像は、多くのジャン=リュック・ゴダール監督作品にみられるような、断片のコラージュ。
そこにさらに加わる3D技術。
3Dを“飛び出し系”と“奥行き系”に分類するなら、本作品は“奥行き系”。
ジャン=リュック・ゴダール監督作品に、銀河系を高速移動したり、
槍がビュンビュン飛んでくるシーンが有るとは考えにくいので、
“飛び出し系”ではないだろうと予想していたら、その通りであった。

しかし、その3D映像も通常の物とは異なり、右目から入って来る映像と、左目から入って来る映像が
ブレブレに重なり合う、といった実験的な手法が、一部試されている。



音もまた不可欠な要素。
台詞以外の音は、主に音楽だが、他に、私の耳にこびり付いたイヤーな音がふたつ有る。

ひとつは、1816年、確かバイロン卿の妻がスイスの湖畔で文字を書いているシーン。
インクを付けて書く、昔ながらのペン先が紙をこするキシキシという音は
黒板に字を書くチョークがたまに発するキ、キッ、キーッという音にも通じ、私にとっては不快な音で
「頼むから早くペンを置いてーっ…!」と心の中で叫んでしまった。

もうひとつは、バスルームで便器に腰掛けた男が発するブリブリッという排便音…!
まさかそんな音がおフランスの映画に使われるワケが無いという思い込みが有ったので
最初は自分の空耳かと思った。そうしたら、一度ならず、二度もブリブリッ…!
しかも、その男、真顔で「ウンチは平等」とまでのたまわったので、
空耳ではなく、本当に排便の音だったのだと知る。
香港映画のゲロには、もうとっくの昔に慣れっ子になっている私でも、
おフランス映画の“ブリブリッ!”には、なかなか馴染めそうにありませんわ…。




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出演は、女①ジョゼットにエロイーズ・ゴデ、女②イヴィッチにゾエ・ブリュノー
男ゲデオンにカメル・アブデリ等々。

…なのだけれど、私にとっては、恐らく初めて見る俳優ばかり。
女性二人は、見分けがつかず、裸になった時、“胸が小さい方”と“胸が大きい方”で勝手に区別。
もっとも、見分けが付かないのもまた、この物語にとっては、悪くない。
実際にはどちらの女なのだろう?とか、もしかして二人は同一人物なのではないだろうか?、
それともその両者ともが虚構なのか?と、混乱を招くのが狙いかどうかは分からないけれど。



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もう一人(一匹)重要なキャストが、本名で登場するロクシー・ミエヴィル
ジャン=リュック・ゴダール監督の愛犬で、カンヌ国際映画祭でパルムドッグ審査員特別賞を受賞。
ま、確かに可愛いけれど、名演技を披露しているとは感じなかった。
本作品は、演出力で見せる作品で、ワンちゃんの演技で見せる作品ではないような…。

一般的に、老人を喜ばせたかったら、老人本人より、むしろ老人の孫を褒めてあげた方が効果的な事がある。
それと同じで、この賞は、長年映画界で頑張ってきたゴダール爺を喜ばすために
業界の後輩たちが爺様の愛犬に捧げた心尽くしの功労賞なのかなぁ~と。
実際、過去ほとんどの場合、パルムドッグ賞は
一匹(もしくは同じ作品に出演する複数匹)のワンちゃんに贈られ、
2014年は、ハンガリー映画『ホワイト・ゴッド~Fehér isten』に出演する2匹のワンちゃんLukeとBodyが受賞。
『さらば、愛の言葉よ』のロクシーが受賞したのは、正確にはパルムドッグ賞ではなく、
普段は無いパルムドッグ“審査員特別”賞なのだ。 




年々集中力の低下を実感しているので、この手の作品は途中で爆睡してしまうかとも思ったが、
意外なことに、最後までバッチリ覚醒して観賞。
“映画館で鑑賞する映画”としては、大好きとは言えないけれど、
これをもし美術館で展示されている現代アートの一映像作品として観たら、案外私好みだったかも知れない。
目から入って来る紡がれた断片、断片の画が、脳に刺激を与えてくれる感じ。
それでも、この調子で2時間続いたら、さすがにキツイので、69分という潔い短さは正解。

昨年、還暦過ぎたペドロ・アルモドバル監督の『アイム・ソー・エキサイテッド!』を観た時は
あまりのキレの無さに、監督の老いをまざまざと見せ付けられた思いであったが、
その点、ゴダール爺は、80を過ぎても、未だアグレッシヴに攻めている印象。
ゴダール爺には、ウケようとウケまいと、もうこのまま好きなようにやっちゃって!と申し上げたい。
もっとも私にそんな事を言われるまでもなく、我が道を行くのでしょうが。

昨日、2015年4月2日、ポルトガルのマノエル・ド・オリヴェイラ監督が
106歳で亡くなったという訃報が飛び込んで来た。
百歳を過ぎても映画を撮り続けていたマノエル・ド・オリヴェイラ監督を思えば、
ジャン=リュック・ゴダールはまだまだ現役でいけるはずなので、新作にも期待。
(何はともあれ、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の御冥福をお祈りいたします。)



ちなみに、普段当ブログに外国映画の感想を書く場合は、トップにその国のポスター映像を載せているけれど
今回は珍しく日本のポスターを選んでみた。おフランス版ポスターは、(↓)こちら。

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この映画は、日本のポスターの方が私好み。デザインが良いし、作品のイメージも表現されている。
デザイナーさん、優秀。

東京は桜満開!だから桜餅をドーンと6種!(+テレビ雑記)

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今朝、朝刊のテレビ欄をチェックしていて、
フジ『にじいろジーン』の“世界ピカイチ☆ツアー”のコーナーが香港特集だと知り、慌てて視聴。

この香港特集、食べ物では
ミシュランで一ツ星を獲っている何洪記粥麵專家のエビ入りワンタン麺“鮮蝦雲呑麵”、
2014年、美食之最大賞・点心部門で受賞した彩福皇宴の
プチアワビ丸ごとのせ蒸しシューマイ“原隻鮑魚燒賣”、
あとは蘭芳園のジャンクで庶民的な茶餐廳グルメを紹介。


それより、ちょっとした驚きだったのは、この特集で街の案内人として登場したのが…

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香港の歌手で女優の連詩雅(シガ・リン)だったこと。
街中に居る姿を見ると、普通の人より明らかに細かった!

彼女は、方大同(カリル・フォン)が金牌大風に移籍する前のワーナー時代、
同社の先輩後輩のよしみで“方大同の妹分”と称され、売り出された女の子。
その後、確か、若気の至りで撮った男性との奔放なお色気写真が流出するというスキャンダルが有り、
最近の動向は知らなかったのだけれど、今朝いきなり日本のテレビで見て、健在だったことを知る。

試しに彼女のfacebookを覗いたら、3月19日付けで
「日本のテレビ番組“にじいろジーン Rainbow Colour Jean”の撮影」とある。
『にじいろジーン』はわざわざ英語で“レインボー・カラー・ジーン”と訳されたのか。

ちなみに、“方大同の妹分”だったくらいだから
当時、大同お兄ちゃんに作曲してもらった<灰伯爵的忌廉遐想>という歌も歌っている。





さらに、今朝の『にじいろジーン』では、香港で数年前からどういうわけか人気の、
尖沙咀東部にある商店の店長、猫の“忌廉哥”までもが、“クリームあにき”という名前で紹介されていた。

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広東語はぜんぜん分らないけれど、“忌廉哥”の“忌廉”が、クリームを意味するらしく、
北京語だと“奶油哥”と説明的に訳されていたりする。日本語名は“クリームあにき”だったのか。

私は、今朝初めてテレビで、“クリームあにき”という日本語名を知り、
当然今回が日本のメディア初登場なのだと思っていたら、
実はすでに<香港の大スター★クリームあにき>という日本版の写真集まで出ているのだと。

昨年猫好きの中川翔子が香港へ行った際、あちらで受けたインタヴュで
「時間があったら忌廉哥に会いに行きたい」と語っている記事を見て、
忌廉哥人気にコジつけた記者から、半ば誘導尋問的にそう答えさせられたのかと想像したけれど、
もしかして日本でも猫好きの間では、“知る人ぞ知る忌廉哥”だったの…?

ちなみに私は猫より犬派。私にとっての“あにき”は“台北あにき”金城武だけ(←知る人ぞ知る幻の名曲)。
さらに言ってしまうと、“○○哥”で、真っ先に思い浮かべるのは、二丁目の“拓也哥”であった。(→参照




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さて、本日4月4日(土曜)は、もうすぐ、夜6時56分より、
BS朝日で『ネイチャードキュメント 奇跡の地球紀行』という新番組を視聴予定。
大自然にはあまり興味が無いのだけれど、
初回の今晩は、宮本亜門がブータンを取材しているようなので、ちょっと面白そうかナ、と。




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そして、明日4月5日(日曜)の晩は、BS日テレ『ホテルの窓から』
放送曜日が木曜から日曜に移動して初めての回は
“シンガポールへの旅 他民族国家シンガポールで食べるべき10の料理を巡る旅”と題した
シンガポールの美食紀行♪
マンダリン・オリエンタル・シンガポールを拠点に、シンガポールならではの食を10紹介するそう。

この番組、その翌週の4月12日(日曜)もアジアで、ベトナムのダナンとホイアンを特集。
ランタン祭りなどを紹介する模様。


ちょっと先になるけれど、4月23日(木曜)、日テレ『ぐるぐるナインティナイン』
2時間スペシャルで、豪華にシンガポールと台湾へ。
ナイナイ岡村が女優さんとシンガポールを旅するようだ。




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さて、本日の東京は曇りで、ここ数日に比べ、気温も低め。
来週は日中の最高気温が10度に届かない日も有るとか。寒いのもうイヤ…。
でも、寒ければ、今週半ばで満開になった桜が、散らずにもう少し楽しめるかしら。

桜の季節にはやはり桜餅。今しか食べられないから、一気にドーンと6種類!

★ 村上:桜餅①

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大きさは、直径約4.5センチ。
こし餡を道明寺で包み、桜葉で巻き、トップに塩漬けした桜の花をあしらった桜餅。



まずは、初めて食べる村上(公式サイト)“桜餅”
村上は、創業明治44年、金沢の和菓子屋さん。
実は、村上は2種類の桜餅を出していて、ひとつ目のこちらは道明寺を使った関西風。

ピンクではなく、白い道明寺は、もっちりとした食感。
桜葉は塩分控えめで、上部を飾っている桜の花の塩分が、味のアクセントになっている。

★ 村上:桜餅②

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大きさは、幅約8センチ。
こし餡と求肥を生地で包み、桜葉で巻いた桜餅。



村上のもうひとつの“桜餅”、こちらはクレープ状の生地を使った関東風。
本来、金沢の伝統的な桜餅は、関東風なの?それとも関西風なの…??

柔らかな求肥は、棒状で、結構たっぷりの量があるから、普通の関東風桜餅より、案外食べ応えがある。
桜葉は、前出の関西風でも、この関東風でも、塩分はかなり控えめ。
そのため、全体にとても上品な優しい味にまとまっているけれど、
私はどちらかというと濃い味が好みなので、もうちょっと塩分が強くても良いかも。

★ 叶匠壽庵:桜もち

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大きさは、直径約5センチ。
こし餡を道明寺で包み、桜葉一枚で巻いた桜餅。



叶匠壽庵公式サイト)“桜もち”は、毎年この時期、最低でも一度は食べている気がする。
滋賀に本店を構える叶匠壽庵の桜餅は、もちろん関西風。

上品な薄いピンク色の道明寺には弾力。
中の餡は適度に甘く、桜葉は適度に塩気があるので、前出の村上の物より味にパンチがある。

★ 笹屋伊織:道明寺

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大きさは、直径5センチ弱。
こし餡を道明寺で包み、桜葉一枚で巻いた桜餅。



笹屋伊織(公式サイト)の桜餅も、毎年必ず食べている。
叶匠壽庵の物に似ているけれど、名前は“道明寺”。…ン、あら、そんな名前でしたっけ?
昨年まで“桜餅”と呼ばれていたような…。私の記憶違いかも知れないが。

笹屋伊織では、中に入れた餡によって、白とピンク、2色に色分けした桜餅を出している。
私は、こし餡の方が好きなので、ピンク色の方を選択。

外に巻いた桜葉はとても薄く、柔らかなので、食べても口の中で邪魔にならない。
塩分は控えめ。私は、もう少し塩分が強い方が好み。
でもまぁ基本に忠実で、安定のお味。

★ 虎屋:桜餅

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大きさは、約5センチ角。
こし餡と求肥を生地で四角く包み、上に塩漬けした桜の花を飾り、
さらに上下に一枚ずつ、計2枚の桜葉を添えた桜餅。



5ツめは、虎屋0422-22-2083)の“桜餅”。
“夜の梅”、“おもかげ”といった羊羹でお馴染みの老舗、あのとらやとは関係の無い、
吉祥寺にひっそり佇む、知る人ぞ知る小さな和菓子屋さん。

吉祥寺のお店なので、ここのは勿論関東風。
関東風桜餅は、楕円形の生地を二つ折りにした物や、クルクル丸めた物が主流だが、
ここのは、ふくさで包んだ箱のような四角い形と、中に求肥を入れている事、
それと、桜葉を2枚も使っているのが特徴。

葉はしっかりと厚みがあるので、桜餅と一緒に食べたら、ゴワゴワするかも。
私はいつも、桜葉は食べるのが正式なのか、それとも取り除くのが正式なのかと、考えてしまうのだけれど
虎屋の場合は、外して食べる。
取り除いても、大きな桜葉2枚に挟まれていた桜餅には、充分香りが移っているから、春気分を味わえる。

生地は厚みがあり、とてもシットリしていて、中の餡も上品。
求肥の量は、村上の物と比べると小さいが、トロける柔らかさ。

メディアは、吉祥寺の和菓子屋というと
羊羹を買い求める客で連日行列ができる小ざさばかりを取り上げるが、
個人的には、あまり知られていない虎屋の“桜餅”の方が、ずっと美味しいと思っている。

★ 青柳正家:さくら餅

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大きさは、約5センチ×4センチ。
薄く焼いた生地でこし餡を四角く包み、さらに2枚の桜葉で巻いた桜餅。



最後は、菊最中で有名な向島の和菓子屋さん、青柳正家(公式サイト)“さくら餅”
これは、去年初めて食べて、とても気に入り
「来年も桜の季節になったら絶対にまた買う!」と決めていた桜餅。

御無沙汰している間に、私の中で、青柳正家の桜餅サマが神格化されてしまっていたのか、
一年振りの対面の第一印象は、「あら、こんなに小さかったでしたっけ…?」

でも、食べてみたら、そう、これ、これ!と納得。
とにかく、しっとり柔らかな生地が美味。
原材料表示に記されている羽二重粉の効果なのかも知れない。
中の餡は、上品な藤色で、繊細な甘さ。



生まれも育ちも東京の私が、大人になってから、ずっと関西風桜餅支持だったのは
本当に美味しいと思える関東風桜餅を食べたことが無かったからに違いない。
でも、絶品関東風桜餅と出逢い、急に関東風に寝返った。
もっとも、“関東風ならどれでも”とは、まったく思っていない。
平均的な関東風桜餅なら、道明寺を使った関西風の方が、やはり好み。
青柳正家の物は、東京でも別格。今のところ、私の中では、これが、関東風桜餅の最高峰。
とにかく、生地が他店の物とは格段の差。
例えると、他店の関東風桜餅の生地がゴソゴソの安っぽいゴザなら、
青柳正家の生地はふっくらしなやかな肌触りの高級羽毛布団。

吉祥寺の虎屋の物もなかなか。
こちらも非常に美味しいけれど、ふっくらした青柳正家の生地と比べてしまうと、
虎屋の方はややベッタリに感じてしまう。
あくまでも、“比較すれば”だし、私の感覚の問題で、実際には虎屋の物も大好物。
他にも、このレベル、もしくはそれ以上の関東風桜餅が有るなら、それも是非試したい。

東京MX『明日、どこいくの!?~明天去?犠儿!?』

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何だか分からないまま録画しておいた番組『明日、どこいくの!?~明天去哪儿!?』を観る。
昨晩、2014年4月4日(土曜)、東京MX2で放送された30分番組。
その日が初回で、今後毎週放送されるみたい。

これ、一種の旅番組。
近年、中華圏からの訪日旅行者が増加している事に着目し、
彼らが日本でどのように過ごすのかを、カメラが密着して追う旅行ドキュメンタリー。
つまり、日本で放送される通常の旅番組と異なり、旅の場所は日本、旅人は華人に限定。
ディレクターも毎回全員中国人で、番組の中で使われている言語も中国語。そこに日本語の字幕が付く。
だから、外国のテレビ局が自国の芸能人をレポーターに使い、
自国の視聴者に向けて制作した日本を紹介する旅番組を
日本人の私が「へぇー、日本がこういう風に紹介されているんだぁ~」と覗き見する感じ。


で、記念すべき第一回の旅人は、(↓)こちら。

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今回が初来日の塔斯肯(タスケン/タースーカン) @皇居のお堀り。
1979年、新疆・烏魯木齊(ウルムチ)出身、哈薩克(カザフ)族の歌手。
プロ歌手としてレコード会社と契約したのは2002年だが、
名前が売れたのは、2013年に出場した人気オーディション番組『中國好聲音~The Voice of China』。
今回、『明日、どこいくの!?』の冒頭で、旅人・塔斯肯を簡単に紹介する時も
その『中國好聲音』で審査員の張惠妹(アーメイ)が彼の歌声に興奮している姿が映し出されていた。


では、我々もお試しに、阿妹を興奮させた塔斯肯の歌声を聴いてみようではないの。
なんと塔斯肯は、日本人なら子供から老人まで誰でも知っている文部省唱歌、
「兎追ーいし、かの山~」の、あの<故郷>を中文でカヴァーしておられた。



広大な新疆の大地にも響き渡りそうな、透き通った美しい声でございます。
中国語で聴いても郷愁を誘う。由紀さおりとデュエットさせたい。
間奏に使われている楽器はシタールだろうか。
しっとり落ち着いた中にも、エキゾティックな音色がちょっと新鮮。
この歌は、倪妮(ニー・ニー)&井柏然(ジン・ボーラン)主演映画『等風來~Up In The Wind』の
プロモーションにも使われたようだ。



そんな塔斯肯、『明日、どこいくの!?』で初めてやって来た日本の東京では
suica(“西瓜卡 Xīguā Kă”と訳されていた)を使い、山手線で移動し、
浜松町で旧芝離宮恩賜庭園を見学したり、新宿で都庁舎へ寄ったり、つな八で天ぷら揚げ体験をしたり、
改修された東京駅舎も見て、そこから程近い皇居前広場は
天安門広場に比べ、小さいと感じたようだが(笑)、松の写真を撮り、
渋谷では109に寄ったり、PABLOのチーズタルトを買って食べていた。



塔斯肯の旅は、次週も続く。
土曜日に観逃しても、まだ火曜日と木曜日に再放送あり。

さらに、この番組は、東京MXのみならず、大陸の大手ネット動画配信サイト、
爱奇艺(iQIYI)腾讯(Tencent)でも配信予定らしいので
日本でも東京MXが入らない地域にお住まいの方々には、もしかしてそちらの方が好都合かも…?

今後は、台湾、香港、シンガポール等からやって来る旅人の取材も放送されるみたい。
地味な番組だけれど、誰がレポーターをやるのか興味深いし、
全編中国語放送なので、お勉強になって良い。
常に他局とは別の方向を向き、我が道を爆走している東京MXは
やはりお江戸が誇るナイスなテレビ局です。

北京2014:東直門~成龍邸勝手に探索

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2014年8月半ば、香港の俳優・房祖名(ジェイシー・チャン)と
彼の友人で、『あの頃、君を追いかけた』の主演男優として
日本でもそこそこに知られる台湾の若手・柯震東(クー・チェンドン)が、薬物使用の疑いで
北京市公安局に連行されたというニュースが、中華芸能を賑わした。(→参照



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房祖名は、あの成龍(ジャッキー・チェン)の息子。
女性関係が華やかで、実際のところ、世界中にどれだけの子種を振り撒いたのか
もはや確認不可能と思わせる成龍ではあるが、房祖名は成龍の正室が産んだ唯一無二のお世継ぎ。
(←大陸時代劇の観過ぎで、表現がついつい後宮ドラマ風なってしまう私。)
お金持ちの息子や二世俳優は、とかく親の七光りだの馬鹿息子だのと批判されがちだけれど、
房祖名に関しては、私個人はパパ成龍よりよほど良い俳優だと思っていたので、
8年も前から薬物を使用していたと判明し、残念に感じたのであった。

この逮捕のニュースでは、公安が房祖名の家に踏み込み、本人から薬物を提出させている動画までもを公開。
日本だと、事が重大でも、容疑者が有名人でも、そこまでやらないから、ちょっと驚く。



でも、私がそれより気になり、注目したのは、その逮捕の現場となった房祖名邸。
北京の东直门(東直門)にあるNAGA上院という名の高級マンションで、
そこがオープンする際、成龍がイメージキャラクターを務め、自らも一室購入し、
息子・房祖名28歳のバースデーに贈ったという。

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羨ましい。さすがは世界の成龍。お誕生日プレゼントもケチケチしていない。
ここは他にも、吳彥祖(ダニエル・ウー)、あと一説には劉華(アンディ・ラウ)、
謝霆鋒(ニコラス・ツェー)といった成龍のお友達数人も部屋を所有し、
ちょっとした“香港明星ビル”になっているという。


こんなニュースが出た直後に北京に旅立った私。タイムリー♪
その内富豪と結婚し、NAGA上院の一室をプレゼントされ、香港明星たちとご近所さんになった時、
あまりにも勝手が分らないと困るので、今のうちに下見をしておこうではないの。


…という事で、ぶらり東直門散策。

★ 東直門

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そもそも东直门(東直門)とは。
かつて紫禁城の東北にあった城門。“北京城九門”のひとつで、九門の内、最小。
その歴史は古く、元代に遡り、当時の名称は崇仁门(崇仁門)。
明朝初期、洪武年間には改築され、現在と同じ東直門という名に。
その明朝初期には、北京城建設に必要な木材が、
主にこの東直門から城内に運ばれていたため、“木门(木門)”という俗称も。
しかし、世界の他の大都市と同じように、都市の発展に伴い、交通利便等の計画で、徐々に取り壊され、
1965年、ついに城樓も撤去。

★ 東直門内大街

現在、地元北京っ子でも、観光客でも、多くの人々がこの東直門にやって来る目的は、大抵、
この地域を真っ直ぐはしる大通り、东直门内大街(東直門内大街)でお食事するためではないだろうか。

東直門内大街は、地下鉄2号線/13号線・东直门(東直門)駅と
5号線・北新桥(北新橋)駅の間を真っ直ぐはしる通り。
ここは、両脇に飲食店が軒を連ねる北京有数のグルメストリートで、通称“簋街”。

“簋街”の名称は比較的新しく、元々は“鬼街”と呼ばれており、
今でも日本のガイドブック等には、大抵“鬼街”の名で紹介されている。

“鬼街”の名の由来は(…諸説あり)、清代に遡る。
当時、北京城の城門にはそれぞれ用途があり、
東直門は、前述のように、主に木材の運搬に使われていたわけだが
もう一つ、遺体を城外に運び出す際にも、ここを使用。
城内の鼓樓から真っ直ぐのびる大通りは、この東直門を抜け、城外に出ると、大きな墓地に突き当たるのだ。
城門の附近には、早朝から市が立ち、夜半になると、無数の石油灯がゆらゆらと光を放つ光景に加え、
近隣に、棺桶屋や葬儀屋が多かったので、
鬼=幽霊の市場、“鬼市”と呼ばれるようになったのが由来。

時代はぐぐーっと近付き、90年代後半には、“鬼街”の名で、飲食店が建ち並ぶ有名な通りに発展。
2000年になると、グルメストリートに“鬼街=幽霊ストリート”はないだろー、という事になり、
“鬼guĭ”と同音の“簋 guĭ”の字をあてた“簋街”に改称。

この“簋”とは、丸く口が開き、両脇に取っ手が付いた形の、食物を盛る古代の容器のこと。
食にまつわる字だから、グルメストリートに相応しいと、採用されたらしい。

日本では、ここを紹介するNHKのドキュメンタリー番組で一度だけ“簋街”と表記されているのを見ただけで
ガイドブック等には今でも“鬼街”が使われているように見受ける。
“簋”は日本でほぼ使われることの無い字で、パソコンでも変換が困難だし、画数多いし、根付きにくそう。
渋谷センター街の“バスケットボールストリート”以上に浸透しないと思うワ。
それに、地域の歴史を知る上では、“鬼街”の方が良いようにも思うけれど…。

★ 散策スタート

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では、実際に歩きます。
地下鉄2号線/13号線・东直门(東直門)に着いたら、A出口から外へ。
地上に出ると、そこは交差点で、斜向かいにはドーンと立派なビル、东方银座(東方銀座)。
これは、住居、オフィス、商業施設などが入る複合ビル。


交差点の真ん中に目を向けると…

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大きな鼎。
西周時代初期(だいたい紀元前1043年)に使われていた青銅製の“伯簋”のレプリカ。
そう、これこそが、“鬼街”改め“簋街”の語源となった料理を盛る古代の器・簋。
通りが“簋街”と改称されたことに伴い、2008年、ここのシンボルとしてお目見え。
幅3.2メートル、高さ3.8メートルと、かなり大きな物なので、レプリカと言えども、結構な迫力。




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交差点から、その“簋街”こと東直門内大街を西へ。



通り沿いには、控え目にこのような物も。

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こちら福世普济药王庙(福世普濟藥王廟)
通称“东药王庙(東藥王廟)”あるいは“小药王庙(小藥王廟)”。
薬王廟とは、孫思邈のような古の名医たちを薬王として祀っている廟。
北京には、このような薬王廟が10以上点在。
この東薬王廟は、北薬王廟の次に古く、明代萬曆年間初期に創建された廟。
元々は3ツの大殿から成る廟であったが、現在はこの山門を残すのみ。
道の脇にポツネンと建っているので、見逃してしまいそうだけれど、なかなか歴史ある遺跡なのです。

画像は、歩道から撮ったので、山門の裏側になってしまった。
ちゃんと正面を写真に収めたかったら、車道側から撮影しましょう。

★ NAGA上院

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そしていよいよNAGA上院
駅からほんのちょっと歩いただけで、
上に堂々と“naga上院”とサインを掲げたグレーの建物が、右手に見えてくる。
成龍もお買い上げになったマンションだけあり、
よく見ると、“g”の文字に、ドラゴンが巻き付いているではないか。




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住人でもなければ、住人からお呼ばれもされていないので、さすがに中へは入れない。
通りから外観を見るだけ。

設計は、イギリス人建築家マーク・リントット。
台湾を拠点に活動し、“林馬克”という中国語名まで持っているくらいだから、
台湾を中心とした中華圏に作品が多く、例えば、台湾の新光三越や
伍佰(ウー・バイ)の自宅は、彼の手による。

NAGA上院は、歩道から撮ったこれら画像だと、部分的にしか写っていないので、狭く見えるが、
敷地面積は9000㎡と結構広く、その中に、プール、ジム、カフェ、レストラン、シガーバー、
ワインセラーなどを有し、セキュリティもしっかりしているという。

で、ここはそもそも、日本とも何かと関わりがある政治家で思想家の康有為(こう・ゆうい)が暮らしていた場所。
康有為の故居は、北京に現存する四合院の中でも最も保存状態が良い物のひとつなので
NAGA上院は、それを生かし、他の新しい建物で囲むような形で設計されている。


◆◇◆ NAGA上院 ◆◇◆
北京市 东城区 东直门内大街9号

★ グルメストリート

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NAGA上院の前でウロウロ長居して、警備員に不審者と疑われ、捕らわれてもいけないので、
さらに西へ向かって歩いていくことにする。

この通りは、NAGA上院をちょっと先に進んだ辺りから、道の両脇に建ち並ぶお食事処の数が一気に増え、
グルメストリート簋街の様相になってくる。
パッと見渡す限り、看板に“小龙虾(ザリガニ)”と“火锅(鍋料理)”を掲げるお店が多い。

暗くなると、赤い提灯がともり、大勢の客が押し寄せる簋街だけれど、昼間は長閑な雰囲気。
夜に出た大量のゴミを片付ける清掃員の他、
いかにも北京っ子という感じのおじいさんを多く見掛ける下町風情が残る場所。
東京だと、NAGA上院のような高級マンションのすぐ近隣に、
こういうエリアが広がっていることは、あまり無いと思う。



さらに西に進むと、お食事処の数は減ってきて、それ以外の商店がポツポツと出現してくる。

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こちらは、日本ではあまり見かけない喫煙道具屋さん。
ウィンドウの中には、エキゾティックなデザインの水タバコの道具がいっぱい。
西域まで広がる他民族国家ならでは。
三里屯辺りのバーでは、水タバコをやっている西洋人をよく見掛ける。




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そして、ほら、また出たっ、北京を席巻するおサルさん、ポール・フランクのジュリアス君…!(→参照
但し、看板に掲げられたおサルの顔の両脇には、
本来記されるべき“PAUL FRANK”の代わりに“LUCKY FRIEND”の文字。

★ 終点

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地下鉄2号線/13号線の东直门(東直門)駅から、東直門内大街をただ真っ直ぐ歩き、
5号線・北新桥(北新橋)駅に到着。
立ち止まって写真を撮ったりしなければ、20分程度で歩ける距離ではないだろうか。

この駅がある十字路から、雍和宫大街(雍和宮大街)を北上すれば、
国子监(國子監)、孔庙(孔廟)、雍和宫(雍和宮)といった観光スポットも徒歩で行ける。

歌舞伎町にゴジラ降臨!(+末代皇帝の弟君逝去)

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新宿・歌舞伎町のコマ劇場跡地に
シネコンやホテルが入る複合ビル、新宿東宝ビルが建ち、間も無くオープン。
それに先立ち、4月9日(木曜)、ビルのシンボルである実物大ゴジラのお披露目式典が行われた。

特別ゴジラが好きというわけではないのだけれど、
このゴジラに限って、なぜか以前から気になって気になって仕方が無かったので、
本日、あいにくの曇り空の中、歌舞伎町までひとっ走りしてきた。




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かなり目立つ!
歌舞伎町の中に入り込まなくても、靖国通りに立つと、もうすぐにゴジラの頭部が目の中に飛び込んでくる。
このキッチュな感じが、俗で猥雑な歌舞伎町の街にやけにマッチ。
(街のイメージ一新を試みている歌舞伎町に対して、不名誉な褒め言葉かも知れませんが…。)

世の中には、私と同じように「ゴジラ見たい!」とここに駆け付ける単純な人が多いようだ。
周囲には、上を見上げ、パチパチ写真撮影をする人々がかなり居た。



このビルに入るTOHOシネマズ新宿は、4月17日(金曜)開業。
もしメジャー作品ばかりを上映するなら、私がこのシネコンを利用することは無いと思う。

入居する飲食店は、外からパッと見たところ、リンガーハット、銀だこ、大阪王将、焼肉トラジ、
クリスピークリームドーナツ等々、お手頃なチェーン店がほとんど。
映画のついでに立ち寄るにはこれくらいが丁度良いのかも知れないけれど、
わざわざ友達と連れ立って行きたいようなお店は無いので、これらも今後私が利用することな無い気がする。


自分が利用しなくても気になるのは、4月24日(金曜)オープンのホテルグレイスリー新宿(公式サイト)
ビルの8階から30階までを占める全970室のホテル。
グレイドは、どこにでもあるビジネスホテルという感じだが、ここには他には無い“売り”がある。

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間近にゴジラを臨めるお部屋、通称“ゴジラビュールーム”を6室オファー!
6室ともシングルで、報道によると、一泊15000円から。
それくらいの宿泊料だったら、人気になって、予約が殺到するのでは…?

★ ゴジラの尻尾

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歌舞伎町の新宿東宝ビルから飛び出しているのはゴジラの頭部だけで、
新宿駅東口には、トカゲの尻尾のようにブツッと切り取られたゴジラの尻尾が展示されていた。
TOHOシネマズ新宿の宣伝なので、尻尾はいつまでここに置かれる予定なのか不明。



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尻尾の脇では、そのTOHOシネマズ新宿でも上映予定の三池崇史監督最新作『極道大戦争』の宣伝活動。
傍らには、ゆる過ぎるゆるキャラ。
煮染めたタオルケットのようにヨレヨレに薄汚れたカエルの着ぐるみに漂う哀愁…。

★ ラストエンペラーの弟君よ、さようなら…。

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話は飛ぶが、ついでなので記しておく。
2015年4月10日(金曜)午後3時、映画『ラストエンペラー』で世界的に知られる清朝最後の皇帝、
宣統帝・愛新覺羅溥儀の末の弟(四男)、愛新覺羅溥任(漢名・金友之)が
肺炎のため、北京で亡くなったという。享年96歳。

溥任は、1918年9月21日、北京の什剎海北岸にたつ攝政王府/醇親王府で誕生。
兄・溥儀の母は醇親王・載灃の正室・幼蘭で、溥任の母は側室・佳氏なので、同父異母の弟になる。
上、左側の画像で、前列左から3番目が、幼少時代の溥任。

1947年、北京競業小學を創立し、校長となるも、
後に学校が政府に接収されると、一教師として退職するまで教育に従事。
退職後は、清朝の歴史を研究し、数々の著書を発表した他、
中國人民政治協商會議北京市委員會委員や、京市文史研究館館員を務めたらしい。



昨年5月には、川島芳子の妹で“清朝最後の格格”、愛新覺羅顯(漢名・金默玉)も亡くなったし(→参照
しょうがない事ではあるけれど、こうして清朝の灯火が徐々に消えていく。
(逆に、歴史上の人物だと思っていた人々が、今の今までこの世に存在していた、という驚きもあるが。)


ちなみに、愛新覺羅家の人々は、満州語の“アイシン”が金を意味するため、
辛亥革命後は皆さん大抵“金”姓を名乗っていらっしゃる。
昨日亡くなった溥任は、生前暮らしていた胡同の御近所さんたちから、“金四爺”と呼ばれていたそうだ。


なお、溥任が生まれた醇親王府の北府は、その後宋家の三姉妹の次女で
孫文の妻・宋慶玲が1963年から18年間暮らし、現在は宋慶玲故居として一般公開されている。
上海にある宋慶玲故居よりずっと立派で、私個人的には、こちらの方がお薦めの見学スポット。

何はともあれ、金四爺よ安らかに。御冥福をお祈りいたします。

映画『月滿軒尼詩~Crossing Hennessy』

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【2010年/香港/105min.】
“阿來”こと蔣覺來は、母が営む電器店・大電器を手伝いながら、
その母と叔母との3人で暮らす41歳の独身男。
ある日、いつまでも結婚しない息子に気を揉む母が、またまたお見合いをセッティング。
今度の相手は、近所のバス・トイレ用品店で働く20代の女性・愛蓮。
このお見合いを機に、周囲から背中を押され、阿來と愛蓮はしばしば一緒にお茶をするようになるが
当の本人たちは、まったく乗り気では無い。
実は愛蓮には、傷害罪で服役中の阿旭という恋人がいて、彼が出所する日を待ちわびているのだ。
二股をかける気など毛頭なく、阿來にも、阿旭の存在を早々に打ち明ける愛蓮。
阿來にしても似たようなもの。
離婚して再び自分の前に現れたかつての恋人・敏如と曖昧な関係を始めていたのだった…。


『ラヴソング』(1996年)、『アンナ・マデリーナ』(1998年)、『男人四十』(2002年)といった
数々のヒット作の脚本家として知られる香港の岸西(アイヴィ・ホー)
『親密』(2008年)に引き続き発表した自身の長編監督作品第2弾。
『親密』は、2008年第21回東京国際映画祭で上映された際に、私も鑑賞。
この監督作品第2弾も、本当は映画館の大きなスクリーンで観たかったのだけれど
日本では一般劇場公開はおろか、映画祭でもスルーされ、
もう待っても無駄という気がしてきたので、シビレを切らせて観てしまった。



物語は、それぞれにパートナーがいる四十男・阿來と、20代の地味女子・愛蓮が
気の進まないお見合いで知り合い、互いを結婚相手と意識しないまま、
いや、それどころか、相手に「自分には交際している人が居る」と正直に打ち明け、
たまにお喋りしたり、相談する仲となり、知らず知らずの内に心を通わせていく様子を描く、
言わば、草食系男女の決して燃え上がることの無いトロ火のゆるゆるラヴ・ストーリー


主人公二人は、結婚に消極的。
周囲がそんな彼らのお尻を叩き、結婚を急かすのには、それなりの理由がある。

男性主人公・阿來は、すでに41歳。
父を早くに亡くし、母と叔母の3人暮らし。付き合っていた女性は居るけれど、結婚歴はナシ。
41歳までずっと独身だったら、親が心配するのも無理はない。
冗談か本当かは分からないけれど、阿來の話では
母は、お墓参りをする度に、墓石の下の亡き夫から、結婚しない息子の事で責められている気がして、
結果、阿來は、毎年二回、清明節と重陽節の時期にお見合いをさせられているという。
日本に置き換えるなら、毎年春と秋のお彼岸のお墓参りで老母にスイッチが入り、
見合い話を持ってくる、といった感じ。

女性主人公・愛蓮は、子供の頃に両親を亡くし、叔父に引き取られて育った女性。
大人になった今は、叔父夫婦が営むバス・トイレ用品店を手伝っている。
まだ結婚に焦る必要のない20代で、しかも、ご近所では、中国四大美女の一人、西施を引き合いに出し
“馬桶西施(便器屋の西施)”と噂されるほど、そこそこの器量よし。
だったらわざわざ冴えない四十男とお見合いなんて、…とも思うが、実は彼女、ダメンズにハマっているのだ。
そのダメンズ、交際相手の阿旭は、傷害事件を起こし服役中。
愛蓮を育てた叔父が、「マトモな男と結婚させ、そんな男とは別れさせたい。
じゃなきゃ死んだ愛蓮の両親に申し訳が立たない」と思うのも理解できる。

しかし、どんなに周囲が頑張っても、当人にその気が無ければ、なかなか結婚に至るものではない。
阿來は、かつての恋人・敏如と再会し、焼け棒杭に火がつくし、
愛蓮も、阿旭がようやく出所し、彼と自由に会えるようになる。
それぞれの相手とそれぞれに幸せになれるなら、それはそれで“アリ”だが
阿來も愛蓮も、久し振りに恋人と過ごす内に、徐々に違和感を見い出すようになる。
そんな時、ふと気付くと、一緒に居て楽な人が身近に…。



この映画、画面に映し出される舞台となる街もまた魅力的。
『月滿軒尼詩~Crossing Hennessy』というタイトルが示すのは
香港島を東西にはしる大通り、軒尼詩道(Hennessy Road ヘネシーロード)

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物語は、灣仔(ワンチャイ)と銅鑼灣(コーズウェイベイ)を結ぶこのエリアを中心に展開。
大通りには2階建てトラムが走り、夜になると看板のネオンが灯る。
立派なショッピングモールもあるけれど、ちょっと横道に反れると、緑もあれば、下町風情も。
主人公が働く電器屋もバス・トイレ用品店も勿論このエリアだし、
二人がお茶をするのは、小洒落たカフェなどではなく、レトロな茶餐廳・檀島咖啡餅店。
阿來はいつもここで、名物の蛋撻(エッグタルト)を注文。




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出演は、41歳の独身男、“阿來”こと蔣覺來に張學友(ジャッキー・チュン)
阿來のお見合い相手、勞愛蓮に湯唯(タン・ウェイ)
阿來の母・張秀玲に鮑起靜(パウ・ヘイチン)
その母が想いを寄せる“青叔”こと曾傑青に李修賢(ダニー・リー)
阿來の元恋人で、離婚して阿來の前に再び現れる敏如に張可頤(マギー・チョン)
傷害事件で逮捕された愛蓮の恋人、“阿旭”こと黃海旭に安志杰(アンディ・オン)などなど。


“歌神”と称えられる張學友は、お芝居では、まったく神がかっていない冴えない男がよく似合う。
阿來は、結婚や恋愛のみならず、何事にもガツガツしておらず、マイペース。
父を亡くし、母と叔母という女ばかりの家で育ち、しかもその母親がキョーレツな性格だという事も
彼の人格形成に何らかの影響を与えたのであろう。
付き合った恋人・敏如まで、シッカリ者。
そうそう、こういう男性って、結局自分の母親みたいな強い女性に惹かれるのだ。
声を荒げたりしない心根の優しいイイ人なのだけれど
彼の言動には、たまに私をイラッとさせる所があり、「この男、絶対にモテないだろうな」と
阿來がずっと独身でいる事に妙に納得させられた(…自分の事を棚に上げて言うのもナンですが)。



『ラスト、コーション』(2007年)で主人公・王佳芝に抜擢され、一躍トップスタアの仲間入りをしたかと思いきや、
その『ラスト、コーション』のせいで、大陸の廣電總局が彼女を使うなと各方面に圧力をかけ、
芸能界から実質ホサレてしまった湯唯にとって、本作品は記念すべき3年振りの復帰作。
廣電總局に目を付けられてしまったのは、漢奸を愛する女を美化したとか、
性描写が過激だったからとか色々言われているけれど、はっきりした理由は闇の中。
時代の雰囲気を出すため、ワキ毛まで生やし(…!)、体当たりで王佳芝を演じた湯唯は
私にも鮮烈な印象を残した。まったく何がイケなかったのだか。中国って未だ不可解な事が起きる。
とにかく、無事復帰でき、良かった良かった。

復帰作は取り敢えずあまりへヴィな作品にはしたくなかったのであろう。
『ラスト、コーション』で見せた旗袍姿の女スパイ王佳芝も良かったけれど
あれとはとはまったく異なる作風の本作品で愛蓮を演じる湯唯もまた違った魅力。
ラヴコメ要素もある本作品だが、生活感を完全に排除したトレンディドラマとは違うし、
主人公・愛蓮も若くて美人といっても、所詮服役中の男と付き合っている便器屋の看板娘だから
いまひとつ垢抜けない。特に、お見合いで阿來に初めて会う時なんて…

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先方から断ってもらいたかったのであろう。
おてもやんのように頬紅を塗りたくった念入りメイクでイモ姉ちゃんっぷりに拍車。
湯唯は、長身でスタイル抜群だけれど、顔立ちは絶世の美女とは言い難い地味顔。
それが強みで、メイクや衣装で美人にも不美人にも変幻自在。
本作品では、女スパイ王佳芝とは別人の、ダメンズにハマる愛蓮で、野暮ったくもキュートな一面を披露。



阿來の母を演じる鮑起靜の変わり身もスゴイ。
最近観た出演作『生きていく日々』(2008年)や『浮城』(2012年)で扮した質素なおばちゃんとは
同一人物とは思えないゴージャスマダム(…なんて言うと聞こえは良いが、彼女もまた垢抜けない)。
草食系の息子とは異なり、63歳になっても恋に貪欲な女豹。
美容にも気を抜かず、メイクやネイルもバッチリ。ただ、バッチリ過ぎるから…

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…崩れ易い(笑)。こちら、嫉妬で血圧が上がり、病院に担ぎ込まれた時のシーン。


彼女をヤキモキさせた恋のお相手・青叔に扮する李修賢も、私が抱いていたこれまでのイメージを覆す。
私の記憶の中の李修賢は、アクションだったり、ヤクザもんだったり、警察官だったり…。
とにかく、しかめっ面の印象が強かった。
本作品で扮する青叔は、一応大電器の会計係らしいが、働いている様子はほとんど無く、いつものらりくらり。
他にも、年金や、家作からの収入があるらしいので、悠々自適なのだろう。
どこへ行く時も、小脇に座敷犬の友友を抱えていて、その姿が、二丁目のゲイバーのママを彷彿させるため、
まさか女性に興味がある人だとは想像もしなかった。
ただ、その興味の対象があの阿來のママなのだから、趣味はやはり多少変わっている。


愛蓮の恋人・阿旭役に安志杰を起用しているのも、変化球。
阿旭は、頭にカッと血が上り易く、すぐに手が出てしまう単純な男ではあるけれど
本作品には激しい格闘シーンなど無い。アクション抜きで演じる安志杰も良いではないか。




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他、曾國祥(デレク・ツァン)が阿來のママが担ぎ込まれた病院の医師、
鄭伊健(イーキン・チェン)が愛蓮が治療に通う歯科医、
邵美(マギー・シュウ)が結婚登録所の担当官といった具合に、お馴染みの香港明星がチラリと友情出演。
鄭伊健は、岸西の監督デビュー作『親密』の主演男優でもある。





お見合いで知り合った阿來と愛蓮が、紆余曲折を経て、最後には結婚をして、ハッピーエンディング♪
…という最も有りがちな流れを予想していたら、二人はラストまで結婚せず、
結婚をしたのは阿來の母親の方であった。
何事にも積極的で少々出しゃばりなママ、結局は中年の独身息子を差し置いて、自分が2度目の御嫁入か。
予想とは多少異なるけれど、あの母子の性格を考えたら、納得の成り行き。
もちろん阿來と愛蓮も決して不幸ではなく、これから始まる明るい未来を予感させ、
幸せの余韻で映画は幕を下ろす。主人公二人の恋の始まりが、映画の終わりなんて、
オクテでスロースターターな二人に相応しいエンディングではないの。

ドラマティックな事件など何も起きず、平凡な香港人の日常を切り取ったさり気ない作品だけれど、
かと言って小難しい文芸作品でもなく、ちょっとファンタジーを交えた、楽しく心温まる娯楽作であった。
私の生涯の一本に加えるには、作風がやや軽いと感じるが、
落ち込んだ時などにDVDを引っ張り出して観たら、気分を楽しくしてくれそうな、愛すべき小品。
何より、香港の風景が満載なのが良い。
香港に行ったことのある人なら、記憶の片隅に焼き付いているであろう
香港のあーんな風景や、こーんな風景が、次から次へと画面に登場。
お蔭で、香港不足の私に、香港成分を補給できた。
似たようなアクション映画はもういいから、こういう毛色の異なる香港映画を、もっと日本に入れて欲しい。
昨今の日本で香港映画が下火なのは、配給会社の作品選びのセンスにも大いに問題があると感じる。

モンブラン2種(+第68回カンヌ国際映画祭あれこれ)

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第68回カンヌ国際映画祭は、来月、2015年5月13日から24日まで開催。
今年のコンペティション部門審査委員長は、ジョエル&イーサン・コーエン兄弟。
昨日4月16日に発表された、コンペティション部門入選作品にザッと目を通す。

『Dheepan』
監督:ジャック・オーディアール  フランス

『La Loi du marché』
監督:ステファヌ・ブリゼ  フランス

『Marguerite et Julien』
監督:ヴァレリー・ドンゼッリ  フランス

『Il racconto dei racconti~The Tale of Tales』
監督:マッテオ・ガローネ  イタリア/フランス/イギリス

『Carol』
監督:トッド・へインズ  アメリカ/イギリス

『黒衣の刺客~聶隱娘 The Assassin』
監督:侯孝賢(ホウ・シャオシエン)  台湾

『山河故人~Mountains May Depart』
監督:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)  中国/フランス/日本

『海街diary~Our Little Sister』
監督:是枝裕和  日本

『Macbeth』
監督:ジャスティン・カーゼル  イギリス/フランス/アメリカ

『The Lobster』
監督:ヨルゴス・ランティモス  ギリシア/フランス/アイルランド/オランダ/イギリス

『Mon roi』
監督:マイウェン  フランス

『Mia madre』
監督:ナンニ・モレッティ  イタリア

『Saul Fia~Son of Saul』
監督:ラースロー・ネメス  ハンガリー

『La giovinezza~The Early Years』
監督:パオロ・ソレンティーノ  

『Louder Than Bombs』
監督:ヨアキム・トリアー  ノルウェイ/フランス/デンマーク

『The Sea of Trees』
監督:ガス・ヴァン・サント  アメリカ

『Sicario』
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ  アメリカ


ヨーロッパの主要映画祭ですでに受賞歴のあるお馴染みの顔ぶれが多く出揃っており、
ダークホース的な監督は少ないかも…?
その分、この中から日本で公開される作品が多そうな予感。

私個人の趣味では、今年は3本入選しているアジア作品が、やはり取り分け気になる。

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台湾の侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、中国の賈樟柯(ジャ・ジャンクー)、日本の是枝裕和、
3人とも大好きな監督で、これら新作にも期待大。
日本人監督・是枝裕和の『海街ダイアリー』はもちろんの事、
侯孝賢監督の『黒衣の刺客』も2015年秋に松竹の配給が決まっているし、
賈樟柯監督の『山河故人』はオフィス北野が制作に携わっているので、3本とも日本で観られるはず。
『山河故人』のジャパンプレミアは、今年11月の東京フィルメックスかしら。
もっと早く観られるに越したこと無いけれど。
(侯孝賢監督の『聶隱娘』の邦題は、いつの間にか『黒衣の刺客』に決まっていたの?
松竹の公式サイトには相変わらず『The Assassin(原題)』と出ている。)


『黒衣の刺客』のカンヌ入選は、侯孝賢監督のお膝元、台湾では当然大きく報道。
本作品は、準備に7年も費やした侯孝賢監督久々の新作であり、初の武俠アクション映画。
侯孝賢監督はこれまでに、『戲夢人生』(1993年)、『好男好女』(1995年)、『憂鬱な楽園』(1996年)、
『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998年)、『ミレニアム・マンボ』(2001年)、『百年恋歌』(2006年)と
自身の監督作品を6本もカンヌに入選させており、今回は約十年振りの7度目。
(かの『悲情城市』は、カンヌではなく、1989年にヴェネツィアで金獅子賞を受賞。)

台湾作品全体に目を向けると、カンヌ入選は、
2009年、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督作品『ヴィザージュ』以来の6年振り。
さらに“カンヌで受賞に至った台湾映画人”となると、2001年、『ミレニアム・マンボ』と
『ふたつの時、ふたりの時間』で、録音を担当した杜篤之(ドゥ・ドゥジー)が技術賞を獲ったのが最後。
台湾16年振り悲願の受賞!…となるか、台湾で期待が膨らむのも理解できる。

何度でも言わせていただくが、『海角七号』(2007年)が下手にヒットしてしまったがばかりに、
昨今台湾では大衆に媚びる娯楽映画ばかりが作られ、質の低下が顕著で、失望させられっぱなし。
今回のカンヌを契機に、台湾の人々が“『KANO』みたいな映画を百本撮っても、国際市場では通用しない”
という事に気付き、風向きが変わることを切に願う。
そういう意味でも、『黒衣の刺客』には何らかの賞を獲っていただきたい。
(もっとも未見の『黒衣の刺客』がどういう作風か不明。バリバリの娯楽作品だったりして。)


侯孝賢監督自身、約十年ぶりのカンヌ入賞の知らせを喜んでおり、
来月は関係者を率いてカンヌ入りすると言っているようなので
レッド・カーペットを歩く舒淇(スー・チー)や張震(チャン・チェン)を見られるのではないだろうか。
日本人キャストの妻夫木聡も、仮に自腹でも、この機にカンヌへ行くと予測。


是枝裕和監督『海街diary』からは、主人公の四姉妹に扮する綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが
恐らくカンヌ入り。長澤まさみは、吳宇森(ジョン・ウー)監督作品『太平輪~TheCrossing』のプロモーションで
カンヌにデビューし(→参照)、たったの一年で、
今度はコンペ入賞作の主演女優として同映画祭に戻れるのだから、とてもラッキー。
今年も素敵なお召し物で登場してくれることでしょう。


あと、アメリカ映画だが、ガス・ヴァン・サント監督作品『The Sea of Trees』も、軽く日本絡み。
渡辺謙がマシュー・マコノヒーと共演している。



他、コンペ外では、ある視点部門に、wowow制作の黒沢清監督作品『岸辺の旅』が正式招待。

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主演は、浅野忠信と深津絵里。こちらは、2015年秋公開予定。




ついでに、テレビ。
フジテレビで明日4月18日(土曜)に放送の『にじいろジーン』
“世界ピカイチ☆ツアー”のコーナーで澳門(マカオ)のピカイチ情報を紹介。

その晩、MX東京の『明日。どこいくの!?~明天去哪儿!?』
先週までの塔斯肯(タスケン)の東京巡りが終わり(→参照)、今週から香港人夫婦の北海道旅に密着。
恐らく今回は芸能人ではない、普通の香港人を取材していると察するので、
テレ東の『Youは何しに日本へ?』と似た感じかも。

4月20日(月曜)は、BS TBS『世界一周 魅惑の鉄道紀行』
“台北~基隆 2泊3日台湾丸かじり 三大祭り・中元祭”という特集で、台北の夜市や茶葉料理、
猫好きに人気の猴硐貓村、天燈飛ばしで有名な十分、そして雞籠中元祭が行われる基隆を巡るらしい。

同じくBS TBS、4月24日(金曜)の『地球絶景紀行』は、“雲南 花輝く大地”という特集。
春節の頃、花盛りを迎えた菜の花で、大地が黄金色に輝く雲南省羅平の絶景を紹介。




お菓子は、カンヌ国際映画祭にちなみ、おフランス的なお菓子、モンブランをふたつ。

★ エミリー・フローゲ:モンブラン

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大きさは、直径約7センチ、高さ約5センチ。
メレンゲの台の上に生クリーム。中に、栗の渋皮煮を隠し、上からマロンクリームを絞ったモンブラン。




エミリー・フローゲ(公式サイト)というお店のケーキは食べたことが無い。
当然この“モンブラン”も初めて。

メレンゲは軽くてサックリした食感。
中に隠れている栗は大きく、贅沢な感じ。
この栗が意外にもモンブランの中をドカーンと占領しているため、生クリームの量は想像していたより少ない。
少な目の生クリームで、栗の渋皮煮をガッツリ食べる感じなので、
甘い物があまり得意ではない日本人には向いているかも。

激甘党の私には、ややアッサリ系のモンブランにも感じる。
ぜんぜん期待せずに食べたけれど、まぁまぁであった。

★ パティスリー ドゥネル:熊本産和栗のモンブラン

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大きさは、長さ約6センチ、幅約4センチ、高さ約5センチ。
メレンゲの台の上に生クリーム。中に、栗の渋皮煮を少量隠し、全体をマロンクリームで覆ったモンブラン。




パティスリー ドゥネル(公式サイト)のモンブランは以前食べたことがあるような記憶が…。
でも、この“熊本産和栗のモンブラン”とは別のモンブランだったように記憶している。

メレンゲ+生クリーム+マロンクリームという基本を守った伝統的なモンブランだが
下に敷いたメレンゲがとても薄いのが特徴的。
板状のメレンゲは無いに等しいくらい薄いけれど、サクッリとした歯応えが食感のアクセントになっており、
極薄でも存在に意味を感じる。
中に隠れている栗は、本当に少量。栗の渋皮煮というより、これ、マロングラッセだろうか。

和栗特有の上品でサッパリした味。
余分な物は無く、マロンクリームと生クリームを楽しむモンブランで、美味。
…でも、ちょっと小さい。私なら、立て続けに2個くらいペロリといける。

映画『いつか、また』

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【2014年/中国/104min.】
中国最東端の小島。
ここで地理の教師として働く江河は、西の地に赴任することが決まる。
外の世界で見識を広め、過疎化した故郷を立て直そうと意気込み、戻って来たものの、
現実に夢破れた浩漢も、またこの島を出ることを決意。
二人の友人・胡生もこれに便乗し、三人の青年は、浩漢の車で、西を目指し、島をあとにする…。



80後を代表する人物、時代の寵児と、これまで日本のメディアにも幾度となく取り上げられてきた
大陸の人気作家・韓寒(ハン・ハン)の初監督作品。

日本だと、“映画監督がメインで小説も書く”という人は居るけれど、
作家が映画を撮って成功した例は、あまり無いような…。
“映画も撮る作家”で真っ先に辻仁成を思い浮かべ、
「韓寒大丈夫?!キャリアに汚点を残すような事はやらない方が良いかもヨ…」と不安が過る。

韓寒はレーサーとしてもプロだし、興味の範囲が広く、
またそれを徹底的に突き詰めたいタイプなのかも知れない。
今まで文字で表現していた自分の世界観を、自らの手で映像化してみたいという気持ちは分からなくもないし。
この初監督作品では、当然脚本も自分で手掛けている。



物語は、中国最東端の小島に暮らす三人の青年、馬浩漢、江河、胡生が、
車で西の地を目指す道中、幾つかの出逢いと別れを繰り返しながら、様々な経験をし、
それぞれの人生を歩みだす様子を描く大陸横断3890キロのロード・ムーヴィ


原題は『後會無期』。
中国語には、再会の時がまたある、機会があればまた会うことを意味し、
「じゃぁまたその内に会いましょう」という感じで使う“後會有期”という言い回しが有る。
それをもじった本作品の原題だと、“期が無く”、次が無く、今度いつ会えるかなんて分からないのである。
日本語のタイトル『いつか、また』は、希望的逆説か。
作中、日本語字幕では、確か“一期一会”と訳されていた。

実際のところ、「じゃぁその内にまた」と言ったところで、それは形式的なばかりで、
その“また”が訪れることはほとんど無く、人生は一期一会の積み重ねなのかも知れない。

ましてや、この物語は、一ヶ所に留まらず、見知らぬ地を常に移動し続けるロード・ムーヴィなのだから
出逢いと別れの繰り返しがより顕著で、人生の縮図のよう。




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旅する男たちを演じるのは、西の地に赴任が決まった地理の教師・江河に陳柏霖
故郷の島を変えようと理想に燃えるも、現実の壁に阻まれる馬浩漢に馮紹峰
江河、馬浩漢の友人で、一緒に旅立つ最年少24歳の胡生に高華陽(ザック・ガオ)
バイクで自由気ままに旅するライダーで、
浩漢の車に途中から同乗することになる阿呂に鐘漢良(ウォレス・チョン)と両岸三地の男優が集結。

一緒に旅をスタートさせた江河、浩漢、胡生という3人の青年の物語なのかと予想していたら、
一番若い胡生が、突然の騒動の中、仲間たちに忘れられ、置いてけ堀を食らうという事態が発生し、
旅の序盤で早々にマサカの戦線離脱。

後に、東莞出身のライダー阿呂が加わり、また3人になるが、彼もまた想定外の謀反を起こし(?)
消えていくので、物語の主人公は、江河と浩漢の二人と言えるであろう。
この二人に扮する陳柏霖と馮紹峰がヒゲ面で、いつになくムサいのだけれど
それがまたカッコよくて、私のツボにはまった。“ムサくしている男前”と
私の周囲にいくらでも居る“本当にムサいオヤジたち”とでは、どうしてこうも違うのでしょう。不・思・議。


さらに言うと、主人公二人の内、陳柏霖扮する江河は、最終的に作家になるので、
もしかして韓寒監督が自分自身を一番投影している人物なのかも知れない。

姓が“江”で名が“河”と、川尽くしの名前を持つ彼は、その名の通り、どんな事態も受け入れ、淀まず、
静かに流れに身を任せ、前に進んでいく自然体の人。
但し、本気で気に入ったものには執着するらしく、
辣醤を塗った好物のトーストを食べるために、わざわざトースターを持ち運んだり、
一度は捨てたコールガール蘇米の名刺を、未練がましく便器の中から拾い出したり…。
30過ぎた陳柏霖は、さらに金城武化が進み、益々私好みのイイ男に成長中。
声や喋り方まで金城クンに似てきている。素敵。


江河に比べると、馮紹峰扮する浩漢は、やや激情型。
旅立つ前に、住んでいた家を焼き払ったのには驚いた。究極の断捨離!
いくら退路を断つためでも、普通の人はそこまで徹底的に潔くなれない。

馮紹峰も良いワ。以前は何とも思っていなかったのに
ドラマ『蘭陵王』効果で、いきなり素敵に見えるというマジックにかかり、私の中で急高騰した馮紹峰株。
昨今ドラマに留まらず、映画出演がドッと増え、活躍が目覚ましい。
娯楽作から文芸作まで器用にこなす姿に、偶像劇のただの二枚目じゃなかったのだと改めて感心。
まぁ好きなのも、そうでないのも色々有るけれど、映画に限定すると、本作品は、馮紹峰出演作史上、
今のところ、最も彼の力量と魅力が発揮されている作品と感じた。

この作品では、お笑い担当という程ではないにしても、
一見オトナな浩漢の、ちょっとズレた言動が、クスッと笑わせてくれる。
あの高潔な蘭陵王が、立ちションした挙句(!)、直後に指の臭いを嗅ぎ(!!)、
しかも、その手で人の肩を叩くなんて…!あ゛あ゛ーーーっ、四爺ーっ…!!!
逆に、密かに想いを寄せていた文通相手・劉鶯鶯から、予想だにしなかった真実を打ち明けられた後の
複雑な心境を滲ませた表情は、多くを語らないだけに、余計に切ない…。



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女性陣にも目を向けると、浩漢の幼馴染みで、都会で女優を夢見る周沫に陳喬恩(ジョー・チェン)
江河が宿に呼んだコールガール蘇米に王珞丹(ワン・ルオダン)
浩漢の長年の文通相手・劉鶯鶯に袁泉(ユアン・チュアン)等々。

この中で、最も印象的だったのが、蘇米役の王珞丹。
王珞丹は、私が好きな張震(チャン・チェン)との共演作『悠長駕期』も控えているし
近頃映画出演が一気に増え、大躍進。
私は、比較的最近チャンネル銀河で放送された主演ドラマ『賢后 衛子夫~衛子夫』で少し彼女を見たが、
途中で録画に失敗し、鑑賞を断念したのが、残念でならない。再放送やらないかしら。
時代劇では、ひたすら清らかな美人に見えた王珞丹が、
この現代劇だと、影があり、謎めいて、雰囲気のある魅力的な女優さん。単純に顔立ちも好み。


ちなみに、この王珞丹扮する蘇米の叔父さん、三叔役で…

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賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督が登場。
自身の監督作『罪の手ざわり』で扮した男と同様、田舎ヤクザのような風貌であった。
蘇米の電話に、三叔が“3 uncle”と登録されていたけれど、その英訳って、どーなのでしょう?)


陳喬恩は、テレビ専門で、映画館のスクリーンで見るのは初めてかも。
台湾偶像劇の視聴率女王から、徐々に大陸偶像劇にシフトし、最近は彼女もまた映画出演が激増。
本作品は現代劇なのに、ポスターで、彼女だけレトロな旗袍を着ているを不思議に思っていたら、
本番前に有名女優のスタンドインをしたり、台詞の無い“その他大勢”をやる女優の卵の役であった。
陳喬恩の出演シーンは思いの外短かったが…

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撮影所で休憩中に手を温めているキティちゃんのマフに目が釘付け。
オールド上海のセットをバックに、旗袍にキティちゃんを組み合わせた画がシュール。



本作品には、日本も少しだけ関わっており、音楽を小林武史が担当。

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『いつか、また』の北京プレミアにもちゃんと出席。
小林武史と中国映画界の接点が見えないので、意外な起用に感じた。
中華圏でもそこそこに知られる岩井俊二監督作品の音楽を過去に手掛けているから、とか…?
あと“小林武史と中国”といえば、自分の会社の名前を烏龍舎にするほど、烏龍茶が好きらしい。
烏龍茶好きという理由だけで、親近感をもたれて起用されたとは、考えにくいけれど…。


最後に、主題歌。
60年代のヒット曲<この世の果てまで~The End of the World>を
香港の紫棋 G.E.M.が中文でカヴァーした映画と同名の<後會無期>にしようかとも思ったが
ここには、もう一曲のオリジナル主題歌で
シンガーソングライター朴樹(プー・シュー)が十年ぶりに発表した新作でもある<平凡之路>を。
作曲と歌は朴樹、歌詞は朴樹と韓寒の共作。聴けば聴くほど味があるし、映画の雰囲気に合っている。







期待半分、不安半分で観たが、結果的に結構好みの作品であった。
江河がいきなりコールガールを部屋に呼んだかと思ったら、直後に警察が踏み込んできて、
ドタバタしている間に恋に落ちていた…、といったような唐突な展開が多いのは、
説明不足で雑だと批判的に捉えるべきなのか、はたまたテンポが良いと好意的に捉えるべきなのか、
自分でもよく分からない。
しかし、そういう細々とした疵を帳消しにできるほど、全体から醸される雰囲気が好み。

その“醸している雰囲気”が、これまでの中国映画にはあまり無かったタイプなので、新鮮にも感じた。
寂れた安宿、薄暗いビリヤード場、無人のガソリンスタンド…、と出てくる場所は
ことごとく“場末感”が漂っているのだが、これも新鮮。
これまでの中国映画だと、こういう場所は、リアリティを追求する社会派作品や文芸作品の中だけで
目にするものであった。
本作品の場合、寂れた場所でも、画的にどこか洗練されている点が、中国社会派作品とは異なり、
むしろ『ストレンジャー・ザン・パラダイス』や『バッファロー'66』のようなアメリカ映画に近い匂いを感じた。

昨今の中国映画は、両極端に、ギラギラなエンタメ超大作と、非商業的な文芸作品が目立っているので、
その中間に位置する、このようにフツーな作品は、有りそうであまり見ない(少なくとも日本では)。
“ユニクロでも売っていそうな一見何の変哲も無いVネックのセーターが、
実はロロピアーナのヴィクーニャ素材で百万円”といった感覚と似ていて、
お金もキャストも贅沢に使っておきながら、「肩肘張らずに撮りました」とさり気なく見せられるのは
中国に、洗練された高感度のクリエイターがどんどん出てきていて、
市場もそれを受け入れられるように変わってきている証しかも知れない。

作家が撮った作品らしく、作中、「なるほど」と頷ける台詞が数多く散りばめられているのも、特徴。
珠玉のお言葉は数有れど、今一番記憶に残っているのは、浩漢が故郷の美しい海岸を眺めながら
「素晴らしいだろ。ここは“黄金海岸(ゴールドコースト)”とは呼べなくても、
“陽光沙灘(陽ふりそそぐ砂浜)”と呼べるだろ。“陽光沙灘”って英語で何て言うんだ?」と質問したのに対し、
胡生が得意げに答えた、ビミョーに間違っている(そして意味はえらく違っている)
「知っているよ、“son of bitch(≒sun of beach)”」。
あっ、そうそう、宇宙探査機ボイジャー1号を、中国語で“旅行者1号”と呼ぶとは知らなかった。
まんま“Voyager1=旅行者1号”。へぇー。むしろ日本語の“ボイジャー”の方が何の事だか判らない。


ついでに、もうひとつ記しておくと、クロージングに出た「吸烟有害健康 骑摩托车请正确佩戴头盔」
(喫煙は健康を害します バイクに乗る時はきちんとヘルメットをかぶりましょう)
という注意勧告も、もしかして中国映画で初めて見たかも知れない。

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確かに、特に馮紹峰は喫煙シーンが多い。
中国も欧米並みに喫煙に厳しくなっているようだ。…嫌煙の私には嬉しいが。
(ヘルメットは、むしろ、被る必要の無いシチュエーションでまで被っていた。)


この映画、公開初日に観に行ったら、ポストカードのプレゼントがあった。

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チケット購入時に、窓口で、4種類ある中から2種類選べる。
列の後ろの人に申し訳ないので、ぐずぐず迷ってもいられず、適当に2枚選択。
皆さまは、どれをお選びになりましたか。

蘭陵王(『蘭陵王』)と李大仁(『イタズラな恋愛白書~我可能不可愛你』)の共演作だからか、
会場には、従来の中華電影ファンより、ドラマニア風の女性客が多いように見受けた。

“多い”と言っても、あまり宣伝もされていないし、観客はまばら。
シネマートで上映される作品に有りがちだけれど、前売り券を出さないってどうなの…?!
集客を考えたら、来場者にポストカードを配るより、そっちでしょ。
わざわざ1800円払ってまで映画を観たいという人は、決して多くない。
相も変わらず日本語字幕で、人物名を片仮名で表記しているのも、いただけないし。
最近の日本人は漢字が読めないからとか、“余計な配慮”以外の何ものでもない。
作品自体は良くても、日本の配給会社の姿勢には感心できないことが多々ある。

映画『オーロラの愛』

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【2014年/台湾/117min.】
1990年。
大好きな恋人・北川と、いつか一緒にオーロラを見に行くと約束したのに、
家族の事情で、理由も告げずに、彼の前から消えざるを得なかった大学生の曉鳳。

2014年。
未だに北川を忘れられず、彼との想い出を文章にしたため続ける作家の曉鳳。
そんな母のもとで育った娘の艾莉莎にも、Yoloという音楽プロデューサーの恋人ができる。
艾莉莎が働く花屋の同僚・小開は、密かに艾莉莎に想いを寄せると同時に、
Yoloに盲目になっている彼女を案じ、静かに見守る。
そんなある日、小開は、花の配達に行き、偶然にも、Yoloの二股を知ってしまい…。



2015年6月に閉館するシネマート六本木では、閉館前特別企画“台湾シネマ・コレクション2015”を開催。
今回上映される新作は4本。あまり興味のある作品は入っていなかったけれど、一応4本全て鑑賞予定。
取り敢えず、本作品と『ピース!時を越える想い』を2本立てで鑑賞。
両作品とも宥勝(ヨウション)出演作で、ちょっとした“宥勝祭り”。

まず一本目のこちらは、
2013年、57歳で亡くなった舞台演出家・李國修(リー・グォショウ)の代表作『北極之光』を
妻・王月(ワン・ユエ)のプロデュースで、息子の李思源(リー・スーユエン)が映画化したもの。
李思源は1990年生まれと、まだまだ若い。親子3人の共作で、23歳の映画監督デビューを飾る。



「一緒にオーロラを見に行こう」と約束しながら、結局実らなかった大学時代の初恋をずっと引きずる母・曉鳳、
そんな母を間近で見ながら育ち、自分は恋で失敗しないと心に誓っていたのに、
恋人の裏切りを知り、傷付く娘・艾莉莎。
本作品は、1990年と2014年という2ツの時代を背景に、母娘それぞれの初恋を描くと共に、
失恋で傷付いた娘が、母の想いを知り、一歩前へ踏み出す姿を描く再生の物語。

艾莉莎に想いを寄せる花屋の同僚・小開が、
ネット上で見付けた「初戀的存在、只是為了遺憾」という言葉を艾莉莎に教える。
実はこれは艾莉莎の母が書いた言葉だったのだが、日本語字幕では、確か「初恋は心残り」と訳されていた。
結局のところ、その言葉に集約されているように、
実ることのない初恋こそが、この映画のテーマなのかも知れない。

儚い初恋に、オーロラの女神の伝説を絡め、2時間のお芝居にするなんて、
作者がロマンティストな男性だから出来た作品と言えるかも。
とかく男性の方が女性より乙女な部分があるように感じる。
私にはムズ痒く、特にオーロラ云々のくだりは、バッサリ端折ってくれても良いとさえ思った。
オーロラは物語の鍵なので、それを言ってしまったら、身も蓋も無いのだけれど…。


物語の大局はともかく、細部には、良くも悪くも食い付ける点が多々あり。
“ひと昔前”を描く台湾映画を観て、いつも思うことだが、
本作品でも、台湾の“ひと昔前”が、日本の“ふた昔”も“三昔”も前に感じる。
母・曉鳳が大学生だった1990年も、まるで日本の60~70年代を見ているかのよう。
勿論個人差はあるけれど、一般的に日本の90年代の大学生って、
あんなにウブで、純愛にドップリだっただろうか。
男子大学生が、好きな女の子のために、針仕事して、お人形を作るなんて…。
それをもらった女の子の方も、えらく感激して、“小妹”と名付け、宝物にしているし。

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すっかりスレてしまった私には、これが怨念のこもった藁人形にしか見えなかった。
私だったら、こんな人形をもらったら、喜ぶどころか、「この男に呪い殺される…」とビビるわ…。


今も昔も、手作りプレゼントって難しい。もらって、重いとか、迷惑と感じる人は多い。
でも、本作品の主人公母娘は、そうではないみたい。
母・曉鳳が、呪いの藁人形、…いえ、小妹をプレゼントされ、ものすごく嬉しかったように、
娘・艾莉莎も、交際中のYoloに、二人の似顔絵をプリントしたTシャツをプレゼント。あっちゃー…。

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いい年した艾莉莎が初恋に盲目になっているという設定自体が不自然だが
さらに、成熟した大人の音楽プロデューサーYoloに、こんな手作りTシャツをプレゼントするなんて、
一体どんなセンスをしているのだか。
こんなファンシーなTシャツをもらって、嘘でも喜んでいる素振りをみせたYoloが、私には仏に見えた。
(結局、このTシャツは、Yolo本人ではなく、Yoloの元恋人が着ることになるのだけれど…。)




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出演は、花屋に務める女の子、“艾莉莎”こと王亞曦に楊丞琳(レイニー・ヤン)
艾莉莎の同僚で、彼女に密かに想いを寄せる“小開”こと李學開に宥勝(ヨウション)
1990年の大学生で、後に艾莉莎の母になる王曉鳳に林妍柔(リン・イェンロー)
曉鳳の交際相手、張北川に林柏宏(リン・ボーホン)
艾莉莎の母で、作家になったオトナの王曉鳳に季芹(ジー・チン)
艾莉莎が交際する音楽プロデューサー“Yolo”こと沈克傑に李運慶(ジャック・リー)
Yoloの別れた恋人Cocoに魏蔓(マンディ・ウェイ)
そして北川の父親に樊光耀(ファン・グァンヤオ)等々…。

楊丞琳はショートヘアがよく似合う。元々小さな頭が益々コンパクトに見える。羨まし。
ただ、可愛いのだけれど、演じている艾莉莎は、かなりウザい女。
交際に際し自分で勝手に決めたルールを文書にして、相手にサインさせたり、
そのルールも、例えば、毎日何度電話しろとか、
こちらが「愛している」と言ったら、それ以上の言葉で返せとか。同性の私から見てもゲンナリ…。
可愛いからまだ許されているけれど、ブスが同じ事をしたら、絞め殺されるワ。

そもそも、ようやく初恋を迎えたオクテな女の子が、
相手にここまで強気にシツコく色々な注文を突き付けるだろうか。
お相手のYoloにしたって、モテそうな大人の音楽プロデューサーなのに、
わざわざ面倒を抱えてまで、こんな幼稚な女の子に付き合うとは考えにくい。
艾莉莎が作ったスタンプ・カードを大切に持っていて、
何か良い事をしたと認められる度に、彼女からスタンプを押してもらい、嬉しそうにしている姿に、
「いい年した大人の男で、こんなの居るわけないだろ」と激しい違和感…。
しかし、後々、“スタンプを10個集めたら抱かせてもらえる”という特典があった事を知り、納得。
艾莉莎のことを心底好きとか、艾莉莎と絶対に関係を持ちたいとかいう以前に、
コツコツと数を集め、何か事を成し遂げるという達成感への執着ね。だったら、判る気もしないでもない。

このYoloに扮する李運慶は(私は、李さんちの“うんけい”と呼んでおります)、
ちょうど現在ホームドラマチャンネルで、出演ドラマ『恋にオチて 俺×オレ~愛上兩個我』が放送中。
そちらでの役名は、“Yolo(ヨロ)”じゃなくて“Leo(レオ)”。
LeoはYoloと違い、誠実で女性にも一途。主演の炎亞綸(アーロン)より好みだが
こちらの映画で見たら、スタンプ集めに精を出すやや軽薄な男だったので、ギャップを感じた。

ちなみに、“Yolo”とは、比較的新しい流行語で、「You Only Live Once」の略。
一度きりの人生、大いに楽しもう!というYoloは、純愛の対象には相応しくないかもねー。
Yoloは艾莉莎に二股を隠すため、スマートフォンにCocoを偽名で登録しているのだけれど
それが“約翰(ヨハネ)”なのは、イマイチ理由が分からなかった。
ヨハネ(Coco)は、キリスト(Yolo)が一番愛した弟子だから?


Yoloとの恋に破れた艾莉莎は、近くでいつも見守ってくれていた小開の優しさに気付き
新たな恋の予感を匂わすが、映画ではそこまで決定的な終着点を描かない。
小開は、宥勝らしい、控え目なイイ人キャラ。
本名の李學開から“開”を取って、呼び名は“小開(=御曹司)”。
実際、親が事業に失敗するまで、そこそこの“小開”だったという設定。

1990年パートで、母・曉鳳の恋人だった北川に扮する林柏宏は、どことなく宥勝に似ている。
母娘では、男性の好みも似るものだと思うので、これは巧いキャスティング。
この北川は、姓が“張”で名が“北川”。日本ではまず付けない名前。まるで“松尾スズキ”のよう。
こういう面白さや、日本との違いを伝えるためにも、
日本語字幕では、“ベイチュアン”ではなく、ちゃんと“北川”と表記するべき。

北川の恋人で、後に艾莉莎の母となる少女、曉鳳に扮する林妍柔という若手女優は、初めて見た。
それもそのはずで、本作品がデビュー作。
林妍柔は、昔から芸能界入りを夢見ていたため、台灣藝術大學に進学し、
歌手志望で、事務所と12年間の長期契約を結ぶも、2年経っても曲を出せず、
悩みに悩んで、37キロまで激ヤセした挙句、所属事務所から契約解除…。
ところが、王月の目に留まり、本作品出演のチャンスを掴む。
現在は救いの神・王月と契約し、演技の道での発展を目指しているらしい。
ちょっとした苦労人なので、若く見えるけれど、もう20代半ば。
清潔感がある可愛らしい女優さんで、日本人男性が好きそうなタイプ。これからの活躍にも注目。


その救いの神・王月自身女優さんなので、本作品ではプロデュースするにとどまらず、
北川の母親役で出演もし、息子の李思源監督をサポート。
王月は、日本でこれまでずっと“ワン・ユエ”と紹介されてきているけれど
本作品には英語で“Moon Wang”とクレジットされていた。台湾人の英語名、判り易いわ。

北川夫妻だったら、母より父に扮する樊光耀の方が印象に残る。
1990年パートでは、普段通りの樊光耀。ところが、2004年パートでは、すっかりヨレヨレの翁(おきな)に…!
樊光耀は1975年生まれで、撮影当時はまだ30代。信じ難い枯れっぷり…!
ドラマ『光陰的故事~Time Story』でも思ったが、この人、本当に老け役が上手い。




日本統治時代の名残りで、台湾ではお弁当の事を“便當”と呼ぶことは、よく知られているが
本作品では、顔に付いた米粒のことも“便當”と呼んでいた。
そう、「お弁当付けて、どこ行くの♪」のあの感覚。
こういう使い方は知らなかった。これも日本統治時代の名残り?

米粒より重要な存在として登場する食べ物は、ふたつの時代を繋ぐスープ。
千切り生姜をこれでもかーって程入れた薑絲湯(jiāngsīitāng)ならぬ“想思湯(xiāngsītāng)”。
生姜好きな私が見ても、あの生姜の量は尋常ではない。あそこまで入れたら辛くない…??


テレビドラマでお馴染みの俳優が多数出演している上、タイトルが『オーロラの愛』だから
ベタベタのロマンスを予想し、期待せずに観たせいか、最悪ではなかった。
でも、まぁやはりベタベタではあるけれど。
元々舞台劇だったものを、舞台とはまったく異質の映画に落とすのは、やはり無理があるのかも知れない。
いや、舞台劇だった割りには、控え目に表現されているだろうか。映像には落ち着いたニュアンスがある。

呪いの人形やTシャツ以外にも、純な女子大生が初恋の相手と旅館に行き、自分で280元払うなヨとか、
そもそも、20年以上前である事を考慮しても、一泊280元は激安すぎないか?!とか
孤児の大学生がどうやってアメリカでの医療費を工面できるんだ?とか
ネルソンって誰よ?とか、ツッコミ所は挙げだしたらキリがない。
ツッコミ所の他、先の“便當”のように、所々で台湾の文化や風習が覗けるのは、興味深い。
台湾では、男性からスマートフォンの暗証番号を教えてもらえる事を、
ステディな関係に昇格した証しとして喜ぶ女性が多いのかなぁ~、とか。
台湾人女性との交際を希望する日本人男性は、心しておくように。
スマートフォンをこっそり盗み見られるのではなく、堂々とチェックされますから!

敢えてもう一度観たいとは思わないけれど、最低最悪でもなく、
今年観た中華電影の中では、少なくとも『KANO』よりはマシであった。
23歳のデビュー作で、このレベルだったら上出来なのでは。

ホイップクリームをのせたチョコレートケーキ2種(+テレビ雑記)

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私以上に明星察知アンテナが高感度で、しょっちゅう芸能人に遭遇しているうちの両親が、
今週木曜、今度は、日比谷のペニンシュラ東京で、偶然ポール・マッカートニーを目撃したらしい。
ホテルの前には、出待ちをするファンが大勢居たという。
母が言うには、そういうファンたちが、ある男性に会員番号のようなものを確認をされていたとの事なので
もしかして、ファンクラブが有って、飛行機の到着や宿泊ホテル、滞在中のスケジュールなどを公表し、
「我々大勢で集まって、ポールを温かくお迎えしましょう!」みたいな態勢なのかしら。



さて、本日4月25日(土曜)は、東京MX2の『明日、どこいくの!?~明天去哪儿!?』
本日の放送では、幼子二人を連れて東京にやって来た香港人夫婦を紹介。
なんでも、年に2度は来日するリピーターで、
今回はベビーカーを押しながら、デザイナーショップ、上野公園、お台場などを巡るらしい。

それで、大陸人気男優・超(ダン・チャオ)のことを思い出した。
つい先ごろ、『宮廷の諍い女~後宮甄嬛傳』でお馴染みの妻・孫儷(スン・リー)との
仲良し日本旅行の写真を微博に出し、ちょっとした話題になっていたので。

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これらの写真は、数日前に出された物だが、日本にやって来たのは、3月下旬から4月の上旬にかけて。
桜のシーズンに合せ、家族で東京へやって来たらしい。
上の写真は、私の間違いでなければ、ほぼ確実に、上野公園と、その中にある上野こども遊園地。
昭和レトロな遊園地の売店で買い食いとは、意外にも庶民的な甄嬛サマ。

『明日どこ行くの!?』の香港人夫婦と同じように、超&孫儷夫妻には幼子が二人いるので、
ベビーカーを押しながら、東京のあちこちに出没する姿は、素人カメラマンにも激写されており、
それらを見ると、出没した場所は、銀座松屋やお台場であったと、私は99%確信。
松屋では、庶民的ではなく、高級インポートシューズが並ぶ2階などでお買い物を楽しまれたようだ。
超&孫儷夫妻の東京滞在は、家族構成も行動パターンも、
『明日どこ行くの!?』の香港人夫婦と似ている。私も、ナマ甄嬛見たかった~。
(それに、中華圏の大物明星が、プライベートで日本に来ていることを堂々と公表できる状況に
戻りつつあるのも嬉しい。)


その『明日どこ行くの!?』だけれど、先週も香港人夫婦を追跡。
彼らが喋るのは広東語なので、通常の日本語字幕以外に、簡体字の中文字幕も付いて、
よりお勉強になった(…ヒアリングのお勉強にはならないけれど)。今晩の放送もダブル字幕かしら?



あと、再放送だけれど、結構好きで、しょっちゅう観ているNHK BSプレミアム『桃源紀行~君住む街で』
明朝、4月26日(日曜)朝6時の放送は、北京の南鑼鼓巷を紹介。
この番組は、地方都市を紹介する事が多く、今回のような大都市の人気エリアは、通常あまり登場しない。
すでに一度観ているが、内容を忘れてしまっているので、明朝改めて視聴予定。


その晩のBS日テレ『トラべリック』の“美食・癒し 魅惑の台湾”と題された台湾特集も再放送かしら?
詳細が記されていないので分らない。すでに視聴澄みかも知れないが、念の為録画予約。


あっ、その日は、もう一本、NHK BS1『奮闘!日本人~エキサイト・アジア』を録画予約。
開発部から突然上海駐在を命じられたタニタ社員が、言葉も営業も不慣れで、戸惑いながらも、
自身が開発した健康管理システムを中国企業に売り込む様子を取材。




お菓子は、筒型のチョコレートのてっぺんにホイップクリームを乗せた姿が似たケーキを2ツ。
見た目は似ているけれど、味は別物。それぞれに美味。

★ ラ・ヴィ・ドゥース:メルベイユ

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大きさは、直径約5.5センチ、高さ約5センチ。
チョコレートクリームの中にヘーゼルナッツ・メレンゲをはさみ、
全体をアーモンドダイス入りチョコレートで覆い、さらにトップにホイップ・クリームをトッピング。




ひとつ目は、ラ・ヴィ・ドゥース(公式サイト)“メルベイユ”

全体を覆うチョコレートは、パリッとした食感で、そこにさらにアーモンドの歯応えも加わる。
対して、中のチョコレート・クリームは、固そうに見えるけれど、実はとても軽くて、滑らかな舌触り。

味も、外と中のチョコレートでは異なり、
外は甘さ控え目のダークチョコ、中は優しいミルクチョコと、コントラスト。

チョコ尽くしでも、味にも食感にも幅があるし、そこに加わったメレンゲとの組み合わせも絶妙。
まだ数回しか食べたこと無いけれど、何度でもリピート買いしたい、すでにお気に入りケーキ。

★ ノリエット:ノリエット

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本体部分の大きさは、直径約6センチ、高さ約3センチ。
チョコレートでコーティングしたクラシック・ショコラの上に、ホイップ・クリームをトッピング。




ノリエット(公式サイト)のケーキを食べること自体久し振りだが、この“ノリエット”は初めて。
店名を冠しているくらいだから、自信の一品なのであろう。
食べる前、3分は常温に置くようにとのアドバイス有り。

このケーキ、メインの部分は、クラシック・ショコラ。…らしい。
店員が当たり前のように「クラシック・ショコラです」と説明していたが、
日本語に訳すと、ただの“伝統的なチョコレート”なわけで、
日本の洋菓子業界が、どのような物をクラシック・ショコラと定義しているのか、私には今一つ不明。
食べてみたところ、チョコレートにバターなどを加えて作る、スポンジよりはパウンドに近いどっしりした生地。
日本では、確かにこういうケーキを、
クラシック・ショコラとかガトー・ショコラと呼んで、売っているお店が多いかも。

食べる前に常温に置くことで、冷蔵庫の中でキュッと引き締まっていたチョコレートやバターが緩み、
ドッシリだけれど、シットリした食感に。
チョコレートの味は濃厚。それなりに甘いけれど、適度にカカオの苦味も。

上には、ホイップ・クリームが、ケーキ本体と同じくらいの高さに、たっぷり盛られ、見るからに美味しそう。
量はたっぷりでも、味は甘さ控え目のあっさりで、軽い食感。濃厚クラシック・ショコラとの相性良し。


ザッハトルテの変化球版といった感じ。
自分でクリームを泡立てて添えなくても、最初からたっぷりトッピングされているから、好都合。

大陸ドラマ『宮 パレス 時をかける宮女~宮/宮鎖心玉』

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現代の中国。骨董店のひとり娘・洛晴川は、
父亡き後、店を支えてくれている林非凡との気乗りしない婚約パーティーの最中、
風に舞う一枚の古い美人画に導かれ、いつしか辿り着いた森の中で、
不思議な光の中へ引き込まれてしまう。
ふと気付くと、周囲に広がっているのは、見慣れない光景。
なんと晴川は、康熙帝が天下を治める清の時代、1708年に迷い込んでしまったのだ…!
晴川が偶然舞い降りたのは、花魁を決めるコンテスト会場。
たまたま持っていた音楽プレイヤーから流れた歌が観衆の注目を集め、計らずも優勝し、
とある高貴な男性に仕えるため、彼の家に連れて行かれてしまった晴川。
その高貴な男性とは、康熙帝の御曹司。晴川は、太子に献上されてしまったのだ。
現代で学んだ歴史から、この太子がゆくゆく廃されることを知っている晴川は
自分を自由にしてもらう事を交換条件に、太子を窮地から救うと宣言し…。


2015年4月、LaLaTVで始まった大陸時代劇『宮 パレス 時をかける宮女~宮/宮鎖心玉』
月曜から金曜まで、毎日2話ずつの進行はキツかったけれど、
同月月末には全35話の放送を終了。あっと言う間。

★ 概要

大陸のお騒がせプロデューサーでありヒットメーカー、于正(ユー・ジョン)制作の2011年度のドラマ。
監督したのは、于正工作室御用女性監督、香港出身の李慧珠(リー・フイジュ)
本ドラマも見事ヒットし、その後、第2弾『宮 パレス2 恋に落ちた女官~宮鎖珠簾』、
第3弾『宮鎖連城~The Palace The Lost Daughter』、さらに映画版『宮鎖沉香~The Palace』まで
“宮系列”として制作されている(映画版は別の監督)。
私は、李慧珠監督が手掛けた于正ドラマだと、最近『傾城の雪~傾城雪/美人如畫』

“時を~かける少女~♪”ならぬ『時をかける宮女』と命名された本ドラマは
そのお題からも判るように、現代人の主人公が過去に迷い込んでしまうタイムトラベルもの、
いわゆる“穿越”と呼ばれるジャンル。
洋の東西を問わず、タイムトラベルを題材にした映画やドラマは数多くあるが
大陸では特に2007年頃から増えだし、歴史の湾曲などを懸念した廣電總局が、穿越禁止のお達しを発令。
まぁ、それほどこの『宮 パレス』をはじめとするその手のドラマが大ヒットしたという事でしょうか。

★ 物語

主人公は、ひょんな事から康熙帝が天下を治める清代にタイムワープしてしまった
現代中国の骨董品店のひとり娘・晴川。
宮女として宮廷に仕えることになった晴川は、慣れない息苦しい日々の中、康熙帝の二人の御曹司、
性格がまったく異なる、冷静な第四皇子と子供っぽい第八皇子に、徐々に惹かれるようになる。
この二人こそ、康熙帝の御曹司たちによる後継者争い“九王奪嫡”の中心人物で、
その争いがどのような結末を迎えるかも知りながら、
時に歴史に逆らい、時に運命を受け入れ、奮闘する晴川の姿を描く清宮ラヴ・ロマンス


物語のベースは、清朝・康熙年間後半から雍正年間初期の史実。
具体的には、主人公・晴川が現代から飛んで来たのは、1708年(康熙47年)春の暮れ。
それから諸々あり、1722年(康熙61年)12月、康熙帝の崩御に伴い、雍正帝が即位し、
後継者争いで雍正帝と争った異母弟、第八皇子・胤禩が、爵位を奪われ、“阿其那(=犬)”と改名され、
失意の中、1726年(雍正4年)に病死するまでの年月。
つまり、このドラマが描いているのは、清朝の中の約18年間ということになる。

★ 亜流『宮廷女官 若曦』…?

清代にタイムワープした現代女性が、宮廷にあがり、
康熙帝の息子たちによる後継者争い、九王奪嫡に巻き込まれ、悩みながらも
第四皇子と第八皇子の間で恋に揺れる物語…、って、

『宮廷女官 若曦』の原作は、桐華(トンホア)が2005年に発表したインターネット小説<步步驚心>で
それのドラマ化『若曦』は2010年12月にクランクイン→2011年9月に放送開始。
一方『宮 パレス』に原作は無く、脚本を于正が手掛け、
2010年7月にクランクイン→2011年1月末に放送開始。
さすがは于正、対応の速さは中国一!御本家『若曦』を出し抜き、フライングで“早いモン勝ち”をやってのけた。

『宮 パレス』は、好意的に捉えるなら、桐華の小説<步步驚心>に“オマージュを捧げたドラマ”で、
批判的に捉えるなら“パクリ”…?
于正が一応パクリ疑惑を否定しているので、『宮廷女官 若曦』を桐華の小説の“公式ドラマ化”、
『宮 パレス』を“勝手に非公式ドラマ化”とマイルドに位置付けておこう。

実際のところ、『宮 パレス』独自のアイディアも沢山盛り込まれ、“似て非なるもの”に仕上がっているが
小説<步步驚心>に相当インスパイアされちゃった感は、否定できない気がする。

★ 清朝版『流星花園』…?

よく挙げられるもうひとつのパクリ疑惑、…いえ、オマージュを捧げた作品は『花より男子~流星花園』。
現代のセレブ校を清代の宮廷に置き換え、そこに入学/入宮した場違いな平民女子が
お坊ちゃま集団F4/康熙帝の御曹司たちからのイジメに遭うが、そのイジメも実は愛情の裏返しで、
平民女子はやがてお馬鹿だが根の優しい道明寺/⑧様と、寡黙な花沢類/④様の間で揺れる、
…という逞しい雑草のような女の子とボンボンの身分違いのシンデレラ・ラヴ・ストーリー。

平凡な自分が大金持ちの男性と付き合うのも、自分のことを二人の男性が奪い合うのも、
女子が夢見がちなシチュエーションで、『流星花園』に限らず、そういうドラマは結構ある気がする。
まぁだから、パクリと言えばパクリだが、
ただ単に、有りがちな女子憧れ恋愛モデルケースのアレンジ版とも言えるかも。

★ キャスト その①:主人公・晴川

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楊冪(ヤン・ミー):洛晴川~清代に迷い込んだ現代女性

子役出身の人気大陸アイドル女、ヤンキー、…じゃなて楊冪(ヤン・ミー)。
映画でもドラマでも、出演作はぼちぼち日本に入ってきているけれど、
たっぷり楊冪を見られる作品は、この『宮 パレス』が初めてかも。
そんな訳で、現地での人気の割りに、これまで日本ではさほど知名度が高くなかった楊冪。

中華圏では、北川景子が“日本の楊冪”と紹介されているのをしばしば目にするが…

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いざ比べると違うけれど、確かに二人とも同系統の顔立ちか。1986年生まれで、年も同じ。
楊冪は香港の俳優・劉威(ハウイック・ラウ)と結婚し、
昨年女児をもうけ、ひと足お先にママ・ミー(?)になっているが、北川景子はDAIGOとどうなのでしょう。

それはさておき、そんな楊冪が本ドラマで扮する晴川は、『宮廷女官 若曦』の主人公・張曉/若曦と同じように
ふとした拍子に、現代から清代へ迷い込み、宮中で仕えることになる女の子。
やはり若曦と同じように、康熙帝の御子息、④様と⑧様の間で恋に揺れるが、
最終的に、後の雍正帝④様を選んだ若曦と異なり、後継者争いに敗れる⑧様を選ぶのが晴川。
現代で清朝の歴史を学び、後継者争いの結末を知った上で、
皇帝に即位する④様を選んだ若曦を、少々計算高い女だと感じていたので、
無茶でも「④様は冷酷!⑧様に残された時間が僅かでも、私がその時間で彼を幸せにする!」と息巻き、
⑧様の悲惨な末路を知りつつ、それでも彼を選んだ晴川の方が、同性には嫌われにくい女の子かもねー。

★ キャスト その②:皇位と晴川を巡り火花を散らす愛新覺羅家の御曹司お二方

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康熙帝の御子息たちにより後継者争い“九王奪嫡”の中心的人物、
④様・胤と⑧様・胤禩が奪い合ったのは、皇位のみならず女性主人公。
それは、『宮廷女官 若曦』も本ドラマも同じ。ここでは、両作品のキャストを簡単に比較。



馮紹峰(ウィリアム・フォン):⑧愛新覺羅胤禩~康熙帝の第八子
『宮廷女官 若曦』:鄭嘉穎(ケビン・チェン)

『若曦』では、皇位も女性も異母兄④様に奪われ、踏んだり蹴ったりだった⑧様。
本ドラマでは、史実通り皇位こそ逃しても、女性だけは辛うじて死守。
でも、そのせいもあり、晴川を忘れられない④様から嫉妬され、置かれた立場は悪くなる一方。
「自分がここに居る限り、兄弟間の争いは終わらない…」と感じた晴川は、⑧様を愛し、守りたいがゆえ、
⑧様の元を離れ、現代に帰る決心をする。
『若曦』では、現代に戻った若曦こと張暁が、④様にソックリな現代人男性と出会い、
時空を超越した赤い糸や輪廻転生を匂わすが、このドラマの⑧様は…

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清代で非業の死を遂げたその足で、なんと辮髪のまま現代にやって来ちゃったから、ビックリ…!
当然街中で浮きまくり、「時代劇の撮影か?」と人だかりができてしまう。



何晟銘(ミッキー・ホー):④愛新覺羅胤~康熙帝の第四子 後に清朝第5代皇帝・雍正帝に即位
『宮廷女官 若曦』:吳隆奇(ニッキー・ウー)

『若曦』の④様は、男性側の最重要登場人物であるが、
本ドラマでは、女性主人公が異母弟⑧様になびいてしまうため、脇役扱い。
康熙帝崩御で、清朝第5代皇帝・雍正帝に即位するのは、『若曦』と同じで、史実通り。
ただ、本ドラマでは、⑧様、もしくは⑭様が次期皇帝有力候補と目されていたので、
最後の最後、康熙帝が「ワシはずっとお前を後継者と心に決めておった」と④様を御指名して死ぬという
大ドンデン返しは、いささか唐突で、説得力にも欠け、肩透かしを食らった気分。
いっそ、“遺詔に書かれていた‘十四’の‘十’の字を‘于四’に書き換える小細工で、弟⑭様から皇位を奪った”
という雍正帝即位にまつわる黒い噂を採用した方が、物語が面白くなるし
④様もダークな新皇帝として、もっと印象に残るキャラクターになったのでは。

演じている男優は、『若曦』の吳隆奇も、『宮 パレス』の何晟銘も、どちらも私の好みからは外れている。
でも、好みかどうかは別にして、何晟銘の顔は非常に個性的で、
他の“今どきイケメン”とも完全に差別化ができ、今後も益々彼の強みになっていく気がする。

★ キャスト その③:愛新覺羅家のその他の高貴な殿方たち

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ここには、登場する愛新覺羅家の殿方たちを、『宮廷女官 若曦』と比較して一応載せておくが、
『若曦』と異なり、本ドラマの康熙帝の御子息たちは、一部を除き、大変影が薄い。
しかも、中国語の台詞では、「九弟」だの「十三阿哥」だのと呼ばれているにもかかわらず、
日本語字幕では、それさえも端折られている場合が多いので、
最後まで誰が何役かよく分からなかった視聴者も結構居るのでは。



湯鎮業(ケン・トン):康熙帝~清朝第4代皇帝
『宮廷女官 若曦』:劉松仁(ダミアン・ラウ)

最近観た『宮廷の秘密~王者清風』では雍正帝を演じていた湯鎮業。
本ドラマでは、その父・康熙帝。さらに宮系列第3弾『宮鎖連城』では、息子の乾隆帝と、
清朝歴代皇帝を虱潰しに演じ、もはや清宮劇御用達エンペラー男優。



宗峰岩(ゾン・フォンイェン):②愛新覺羅胤礽~不出来な太子 結局父帝もかばい切れず廃太子に
『宮廷女官 若曦』:張雷(チャン・レイ)

出番が少ない上、終始悪役だった『若曦』の②様に比べ、
本ドラマの②様は結構登場シーンが多く、特に物語前半では、重要な役。
太子を廃されてしまうくらいなので、無能であることは両作品共通だけれど
意地汚い『若曦』の②様と違い、こちらの②様は単純(良く言えば素直)で、決して悪人ではない。
付き合うなら、根性の腐ったキレ者より、素直なお馬鹿の方がずっと信用できる。私、この②様、嫌いじゃない。



馬文龍(マー・ルーロン):⑨愛新覺羅胤禟~異母兄⑧様と仲良し
『宮廷女官 若曦』:韓棟(ハン・ドン)

『宮廷の秘密~王者清風』では、高潔な大俠を演じ、主演の何晟銘より余程カッコよく、
すっかり見直してしまった馬文龍であるが、このドラマでは、お調子者に逆戻り。
私の彼への愛も、潮が引くように、スーッと消えた…。
韓棟扮する『若曦』の⑨様ほど陰湿でないのが救い。



劉濱(リウ・ビン):⑩愛新覺羅胤䄉~異母兄⑧様と仲良し
『宮廷女官 若曦』:葉祖新(イエ・ズーシン)

『若曦』の⑩様は、お馬鹿で子供じみていても、お茶目でそれなりに好かれるキャラクターとして確立しているが
本ドラマの⑩様は、いつも行動を共にしている⑧様、⑨様の蔭に隠れ、まったく目立たない存在。
活躍もしなければ、大失態も犯さず、作中、最も影が薄い御曹司かも知れない。



田振崴(ティエン・ジェンワイ):⑬愛新覺羅胤祥~異母兄④様と仲良し
『宮廷女官 若曦』:袁弘(ユアン・ホン)

『若曦』の⑬様は、一応“チーム④様”の一員ではあるけれど、世俗を離れた知的な文人タイプで、
争いには必要以上に足を突っ込まず、主人公・若曦とも男女の性別を越えた友情を築く。
このキャラクター設定と、演じる袁弘、共々もろ私好みであった。
一方、『宮 パレス』の⑬様は、当の④様以上に“④様押し”に必死で、
④様を次期皇帝にするためなら、汚い事もしてしまう。こういうガツガツした男、苦手…。
『若曦』と『宮 パレス』の⑬様対決は、迷うことなく『若曦』が圧勝。



茅子俊(マオ・ズージュン):⑭愛新覺羅胤禵~④様の同母弟 生母・妃から溺愛 素言に片想い
『宮廷女官 若曦』:林更新(ケニー・リン)

本ドラマの⑭様は、『傾城の皇妃~傾世皇妃』で林心如(ルビー・リン)の弟・馬度雲を演じた茅子俊。
⑭様を演じるこのドラマを観ていても、しれーっと悪事を働き、
何食わぬ顔をするあのコザカしい度雲が重なってしまい、人格をついつい疑ってしまった…。
今回演じているこの⑭様は、ずっと都を離れているため、ドラマ終盤まで目立たない存在。
ただ、本人が登場しなくても、生母・妃の態度からは溺愛されていることが明らかで、
同母兄④様の嫉妬の対象になっている。
残念ながら、今回の茅子俊は、ややオーラに欠け、
ドラマ終盤次期皇帝最有力候補に急浮上するほどの人物には見えなかったし、
両親を盲目にするほどの何らかの魅力も、ほとんど感じられなかった。
あまりにも魅力的だった林更新扮する『若曦』の⑭様とは、比べ物にならないほど希薄な存在感…。
『若曦』と『宮 パレス』の⑭様対決は、『宮 パレス』が惨敗。

★ キャスト その④:後宮の女たち

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佟麗婭(トン・リーヤー):素言~④様が宮廷内に送った間諜

新疆出身、錫伯(シベ)族の女優・佟麗婭は、エキゾティックな美人さんではあるけれど、このドラマでは…

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清代に有るまじき白っぽいパステルピンクのメイクで一人浮きまくり。

扮する素言は、④様が宮廷内に送った間諜。表向きは宮女の身分で、蔭で④様のために一生懸命働くが、
愛する④様は結局自分を妻として迎え入れてくれず、失意の中死亡。…したと思ったら、
仕立て屋の小春に助けられ、命拾い。小春を年羹堯、自分を年羹堯の妹とでっち上げ、
今度こそ④様に嫁ぐことに成功!

④様・雍正帝の側室で、兄・年羹堯の権力を笠に着て、後宮で幅を利かせた女性といえば…

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『宮廷の諍い女~後宮甄嬛傳』のあの華妃のモデルになった年妃である。
年妃を、“④様を愛するあまり身分を詐称して宮廷に戻ってきた元間諜”とするとは、大胆な解釈。
しかし、『宮廷の諍い女』であまりにも鮮烈な印象を残した蔣欣(ジャン・シン)扮する華妃(年妃)に比べると
本ドラマの佟麗婭版年妃は、魅力にも迫力にも欠ける。



劉雪華(リウ・シュエホア):妃~康熙帝の妃 ④様・⑭様の生母 下の息子⑭様を溺愛

お馴染み劉雪華が今回扮する妃は、
足の引っ張り合いが当たり前の後宮には珍しい、誠実で優しく出しゃばらない良妻賢母。
…だと思っていたら、控え目で無欲に見せるのも実は計算であった。
ドラマ前半がまるで聖母だっただけに、中盤以降、たまにボソッと呟く邪悪なひと言からは、
終始毒づいている極悪人より、よほど腹黒さを感じさせる。
もっとも、そうなってしまうのは、溺愛する息子⑭様を皇帝にしたいがため。
可愛い我が子のために盲目になってしまうのは今も昔も母親の性で、
完璧な良妻賢母より人間味のある役かも知れない。



邵美(マギー・シュウ):良妃~康熙帝の妃 ⑧様・胤禩の生母 実は…

得意の武芸を披露している時、たまたま通りがかった康熙帝の目に留まり、
「しなやかな動きが王羲之の書にも勝る」と見初められ(←さすがは皇帝、平凡な男とは惚れポイントが違う)
寵愛を受けるも、その後色々あり、承乾宮に籠りっぱなしで、ドラマに登場しないため、
妃に比べ、影が薄いが、終盤一気に存在感を増す。
だって、なんと、清川のみならず、この良妃も、実は清代に“穿越”した現代人だったのですもの…!
しかも現代での生業は刑事…!!拳銃を構えて犯人を追う姿は、香港映画で見る邵美のまんま。
そういう現代パートで見ると、普段通りの邵美も、清代パートで見ると、ぽっちゃり気味のオバちゃん。
政治家・鳩山邦夫の妻・エミリっぽくなっている(勿論若い頃のエミリではなく、オバちゃん化してからのエミリ)。
当初、太ったのかと思ったが、そうではなく、恐らく古裝が似合わないのだと思う。
この良妃は、想定外に面白いキャラクターであった。
なんと言っても、清宮ドラマ初の“側室刑事(デカ)”ですから…!



郭羨妮(ソニア・クォック):僖嬪~康熙帝の妃 なかなか子に恵まれず 康熙帝の気を引くことに必死

他の嬪妃に比べ、若く綺麗な僖嬪だが、子供がいないため、将来が不安。
康熙帝の寵愛を受けようと必死に努力するも報われず、遂には仕立て屋・小春を逆レイプし(!)、
妊娠、そして出産。ところが、辻褄を合わせるために服用した早産を促す薬の副作用で、激しい脱毛(!!)。
宮女を襲い、奪った頭髪で、なんとか体裁を繕うが、
有ろう事か、皇帝の前でコケた拍子に、ズラが外れるという前代未聞の緊急事態発生(!!!)。
ズラがバレるという珍事で、冷宮送りになった妃なんて、宮廷ドラマで初めて見た。



徐麒雯(シュー・チーウェン):金枝~④様の正室 費揚古の養女で実の父は隆科多

かつて馮紹峰(ウィリアム・フォン)とも恋の噂が立った女優さん。
扮する金枝は、隆科多(ロコンド)が外で作った子供で、表向きは費揚古(フィヤング)の娘。
④様は、隆科多を味方につけるため、愛してもいないこの金枝を妻に迎える、という設定。
“費揚古の娘”で“④様の皇后”であることから、孝敬憲皇后がモデルと言われている。
孝敬憲皇后は、『宮廷の諍い女』で、雍正帝が最も愛した亡き皇后・純元皇后として名前だけ登場。
蔡少芬(エイダ・チョイ)扮する雍正帝の皇后は、故・純元皇后の異母妹で、
姉亡き後、姉に代わって皇后の座に就いたという設定であった。
つまり、『宮 パレス』の金枝は、『宮廷の諍い女』には登場しない、蔡少芬の亡きお姉さんって事。
徐麒雯が演じる金枝は、④様を心底愛するゆえとは言え、嫉妬深く、浅はかで、かなり面倒な女。
ケチな意地悪をしたり、頬にエクボが出ることから、『マッサン』での相武紗季がダブった。

★ キャスト その④:その他の男たち

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王翔弘(ワン・シャンホン):顧小春~仕立て屋の息子から年羹堯に

晴川にさえ出逢わなければ、小春は仕立て屋として平凡でも静かな人生を送ったに違いない。
一方的に好きになった晴川を近くで助けたくて、宮廷に出入りするようになったばかりに、
妊娠したくて仕方が無い僖嬪から逆レイプ。割り切って精子提供だけのつもりが、気が付けば、彼女に夢中。
その後色々あって⑧様を恨んでいたところ、
④様を恨む素言と、復讐という共通目標で共鳴し、ビジネスパートナーに。
そして、素言の悪知恵で、なんと年羹堯に成りすますことになる。
雍正帝擁立の立て役者と言われる、あの年羹堯が
実は、元々街の一介の仕立て屋だったという大胆な仮説にビックリ。


任學海(レン・シュエハイ):李全~本名・李安達 康熙帝お付きの太監

大陸時代劇には欠かせないベテラン俳優・任學海。
穏やかな優しい顔立ちにぴったりの、控え目で人柄の良い役が多いように感じる。
本ドラマで演じている李全も、康熙帝に忠実な太監。…が、んン、今回は若干様子が違う。
康熙帝の死後も、次期皇帝のお引き立てを得るべく、後継者争いの情勢を見ながら、
その都度あっちに付いたり、こっちに加担したりと、風見鶏。
ちなみに、この“李全”は、康熙帝に仕える架空の太監として、様々な清宮ドラマに登場。
『若曦』で、立民(ダン・リーミン)が演じている康熙帝お付きの太監も、やはり名前は“李全”。
康熙年間に実在した太監、梁九功や魏珠をモデルにしたと言われているのだとか。
私は、この名を見ると、いつも反射的に、北京ダックの老舗・全聚(ぜんしゅとく)を思い出してしまう…。



郭明翔(グォ・ミンシャン):小順子~李全の乾兒子 雍正帝の妃になった僖嬪を追って宮廷に

小順子は、幼馴染みで、かつての恋人・僖嬪が忘れられず、例え報われなくても、彼女を蔭で支えるべく、
乾爹(義理の父)李全のコネで、太監として宮廷に入る。
復縁不可能な元カノに尽すためだけに、自ら進んで去勢って、ナンなの、その無償の愛…?!
しかも、そこまでしたのに、当の僖嬪からは「愚かな上に、もはや男でもない」と足蹴にされる。嗚呼、無情…。
演じている郭明翔は、雜技団出身なのだと。今でも雜技できるのかしら?
お椀を頭のてっぺんにのせたり、足で挟んだりしながら、身体をくねーっと曲げて、
「粗茶でごさいます」って皇帝に差し出す演技を、ドラマで見たい。

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(↑)こんなイメージ。お願い、それ時代劇でやって。

★ あっちゃー、やっぱ于正ドラマ…!

さすがは奇を衒いまくりの于正ドラマ。
今回もリアリティを一切無視した唖然ボー然の演出で、視聴者のド肝を抜く。
色々有るけれど、ここには特に印象に残った2ツを挙げておこう。


ショー演出

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妓楼・夢仙居の崖っぷち妓女・紫煙の人気復活の手助けをすることとなった晴川は、
現代のショーをヒントに、豪華な衣装や照明、ゴンドラでの宙吊りといった派手な演出で紫煙を売り込み、
見事観客の心を掴み、彼女の人気を不動のものとする。
これに驚き、晴川の手腕を見込んだ夢仙居の女将は、「他の演出も頼むわ!」と仕事を依頼。
崖っぷち芸人の売り込みからショー演出まで手掛ける総合プロデューサー晴川は、
まさに清代オンナ版ジャニー喜多川or秋元康!



素手でカチ割り氷&即興アクロバティック・アイス・スクラプチャー

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康熙帝の関心を、なんとか⑧様に向けさせたくて、晴川が⑧様にやらせた、氷を使ったパフォーマンス。
まずは、暑さで食の進まない康熙帝のために、氷の塊りを素手でガシガシ割って、
文字通り“手作り”のカチ割り氷を献上。
さらに、おなかのみならず、目でも満足していただけるよう、
今度は剣を手に、即興で宙を舞いながら、氷の塊りから皇帝のシンボルドラゴンを彫刻!
所要時間ものの数秒。ス、ス、スゴ過ぎます、⑧様…!
こんな一芸があれば、皇族やめても、高級ホテルの宴会部から引く手あまた。
喰いっぱぐれの心配無用。⑧様は案外生活力のある男かも知れない。

★ 主題歌

主題歌、オープニングは主演女優・楊冪が歌う<愛的供養>
エンディングは④様・何晟銘が歌う<見或不見>
どちらにも特別思い入れはないが、“愛の供養”という仏事じみたタイトルだけに惹き付けられ、
ここにはそのオープニング曲の方を。タイトルを目にしただけで、頭の中に、
“葬り去られた過去の愛に、白いお饅頭をお供えしている”画が思い浮かんできてしまう。






晴川と⑧様が現代で再会し、これからもうひと盛り上がり有るかと思いきや、
映像もBGMもブチッと切れて、何事も無かったかのように、毎度のエンディング曲に突入したのは、
ちょっとしたサプライズ。相変わらず雜な作り(笑)。ここまで視聴者を余韻に浸らせないドラマも珍しい。

非常に軽いテイストで、大傑作とは到底思わないけれど、ツッコミ所が満載で、それなりに面白いことは確か。
『宮廷女官 若曦』と比較しながら観ることで、より楽しめた気もする。

では、その『若曦』との比較の結果、どちらが良かったかと言うと、うーン、やはり『若曦』。
『若曦』は、個性の異なる様々な男優を愛新覺羅家の御曹司にキャスティングし、
それぞれに④様、⑨様、⑬様…と番号をふり、女性視聴者が、その番号でお気に入り御曹司を御指名できる
“ホストクラブ紫禁城”システムをとっていた点が、新鮮であった。
この『宮 パレス』の方は、男優のキャスティングにあまり幅が感じられず、
特に⑩様、⑬様、小春、小順子など、似たような丸顔男子を多く起用しているため、
好みが異なるワガママ女性視聴者に対応しきれていないし、何より区別がつきにくい。
(前述のように、日本語字幕で、個々の御曹司をちゃんと番号で区別して表記していないことも問題。)
『若曦』が、一流ホストばかりを集めた都会の会員制高級ホストクラブなら、
『宮 パレス』は、ホストの質には目を瞑り、取り敢えず頭数だけ揃え、
その代わり、アイディア勝負の奇想天外なショータイムでお客を楽しませようとする
下町の気さくなショーパブって印象。
『若曦』が“ホストクラブ紫禁城”なら、こちらはぜいぜい“ショーパブ門前町”くらいかしら。
別にそれが悪いと言っているのではなく、安っぽさも、ここまで奇抜だと唯一無二の個性だと感じるし、
結局のところ、何度も苦笑したり、ギョッとしたりしながら、かなり楽しめた。


LaLaTVで『宮 パレス』を観終えたこの絶妙なタイミングで、DATVが2015年5月3日(日曜)の無料開放日に
宮系列の第2弾『宮 パレス2 恋に落ちた女官~宮鎖珠簾』を1話から4話まで放送。
これは録画しなくては。

LaLaTVの方はというと、平日朝のこの枠は、この後2015年5月4日(月曜)から
『美人心計 一人の妃と二人の皇帝~美人心計』を放送。
もう一度観ているし、主演の林心如(ルビー・リン)は特別好きな女優ではないので、今回はパス。
これで少しはドラマ視聴地獄から解放される…。

(ところで、この『宮 パレス』、オープニングもクロージングも、映像だけで、文字が全く無かったのはナゼ…?
私は中国での放送がどうだったのか確認していないけれど、あちらでも文字ナシだったの…??
もし元々有ったのなら、日本の放送向けに、どうして消してしまったのか?
映画でも、俳優名、スタッフ名、ロケ地、衣装協力、使用曲など、事細かにチェックするのが好きなのに…。
日本で放送する時に、勝手に余計な事はしないで欲しい。)
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