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大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』①

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太子・蕭景宣と、その弟である第五皇子、譽王・蕭景桓の水面下での覇権争いが絶えない梁國。

最近、北燕で、影の薄かった第六皇子が意外にも太子に冊封され、
その裏には謎の謀士・麒麟の才子の力添えがあったという噂を聞きつけた譽王は、
早速助言を求めるため、自ら琅琊閣へ足を運ぶ。
琅琊閣、そこは、対価を払えば、如何なる問いにでも、答えを与えてくれる場所。
その琅琊閣で、譽王は一つの錦袋を手に入れる。
袋の中の紙に書かれていたのは
「琅琊榜首位、左江の梅郎・麒麟の才子を得た者が天下を得る」という言葉。
ちょうどその頃、太子もまた琅琊閣から同じ錦袋を受け取っていた。
その麒麟の才子が、江左盟の宗主・梅長蘇だと知った太子と譽王は、
何がなんでも彼を自分の味方に付けようと、それぞれに動き出す。

一方、太子と譽王の動きに先手を打つ当の梅長蘇。
二人からの申し出を受ける前に、療養を口実に、“蘇哲”という仮の名で、自ら密かに梁の都・金陵へ。
そして、梁の高官である寧國侯の長子、蕭景睿からの招待を受けるという形で、
客人として寧國府で世話になることになったが…。



2016年4月半ば、チャンネル銀河で始まった大ヒット大陸ドラマ、
『琅琊榜(ろうやぼう) 麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』が、
約ひと月半後の5月下旬、あっと言う間に全54話の放送を終了。
以前に一度ザッと中文字幕で観て、非常に気に入り、日本上陸を待ち望んでいたドラマ。
願い叶って、日本に入り、日本語字幕で改めて観て、やっぱり感動…!
このドラマは思い入れが強過ぎて、記録を残そうとすると、軽く本一冊分くらいの量になってしまう。
削りに削ったが、それでもブログの一記事としては有り得ない長文。
これ以上削ると、私の想いまで削られてしまうから、もう削らないワッ!…と決め込んだまでは良かったが、
そのせいか、不具合気味のブログが投稿を拒絶…。


仕方がないので、このドラマに関しては、以下のような“3部構成”で掲載いたします。

大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』①
ドラマ全般について。

キャストについて。

所作、衣装、音楽について。


興味のある方は、お時間に余裕のある時に、3日でも4日でもかけ、気長にお読み下さいませ。

★ 概要

大陸の女性作家・海宴(ハイイェン)によるインターネット小説<琅琊榜>を海宴自らが脚本にし、
孔笙(コン・シェン)李雪(リー・シュエ)が共同監督、侯鴻亮(ホウ・ホンリャン)がプロデュース。




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孔笙監督×李雪監督×侯鴻亮Pは、これまでにも『溫州一家人~family On The Go』、
『北京無戰事~All Quiete in peking』といったドラマを成功させてきたゴールデントリオ。
現地で『琅琊榜』の直前に放送された(撮影は『琅琊榜』の方が先)李雪監督×侯鴻亮Pコンビによるドラマで、
『琅琊榜』と多くのキャストがカブる『偽裝者~The Disguiser』もまた大ヒット。
『偽裝者』も非常によく出来たドラマで、中華圏では『琅琊榜』とセットで語られる事が多いけれど、
抗日戦争期を背景にした諜報モノなので、残念ながら対中関係でピリピリしている現状の日本に
入って来ることは、まず無いと想像。


そんなゴールデントリオによる『琅琊榜』は、現地中国で、2015年9月半ばから約一ヶ月放送され、大ヒット。
“神劇”と讃えられ、その年、“中国版エミー賞”とも称されるテレビドラマアワード、
國劇盛典 TV Drama Awardsで、10もの賞を獲得。(→参照
その後放送された台湾でも一大ブームとなった他、韓国でも中華ドラマとしては異例のヒット。


作品の特徴をひと言で表すなら“高品質”。
脚本、演出、キャスト、美術、衣装、映像と、どこを取っても、非常に洗練されており、質が高く、
もはや映画レベル。近年、国産劇に力を入れている中国の実力を思い知らされる。
これまでの数年、大陸時代劇というと、『美人心計 一人の妃と二人の皇帝~美人心計』、
『宮 パレス 時をかける宮女~宮/宮鎖心玉』に代表される于正(ユー・ジョン)プロデュースのドラマ、
エンタメ性を強く打ち出したチャラいドラマが、話題になりがちだったが、
高品質ドラマ『琅琊榜』の出現で、中華圏では“于正ドラマ時代の終焉”とまで言われるように。
『琅琊榜』と放送時期が重なった楊穎(アンジェラベイビー)主演の于正ドラマ『雲中歌~大漢情緣之雲中歌』も
かなり比較され、「チャラ過ぎる」と槍玉に挙げられた。

ちなみに、侯鴻亮Pは1973年、于正Pは1978年と、共に70年代生まれのプロデューサー。
力のあるプロデューサーが、日本に比べ、若いと感じる。

★ 物語

謀略に嵌り、父が率いる7万の赤焰軍と共に
謀反の汚名を着せられたまま梅嶺で死んだはずの19歳の少年・林殊が、実は命拾いしており、
12年後、姿を変え、正体を伏せ、江湖の“梅長蘇”を名乗り、
次期皇帝後継者争いに揺れる梁國の都・金陵に舞い戻り、
かつて自分たちを陥れた者をジワジワと逆に陥れながら、謀士として梁帝の第七皇子・靖王と皇位を狙い、
父と仲間の名誉を回復しようとする復讐劇



復讐劇と言っても、ただの“仕返し”ではなく、
梅長蘇の最終的な目標は、謀反の罪を着せられた父や仲間たちの汚名をそそぐこと。
そのためには、自分たちを陥れた奸臣の排除や、彼らを信じ愚かな決断を下した梁帝自らの前言撤回、
また、志を同じくする靖王の即位も必然。
一つ、また一つと、やっかいなお仕事を片付けながら、その最終目標に着々と駒を進めて行く様は、
頭脳アスリートの知的謀略ゲーム…!

必殺仕事人・梅長蘇が次々と仕掛ける罠や取り組む難題は、毎回「…??」の連続なのだが、
解決と共にタネ明かしされる推理サスペンスのような楽しみも。

架空の王朝を舞台に、訳の分からぬ毒で大変身した主人公が暗躍することからも分かるように、
現実離れした歴史ファンタジーでありながら、決して幼稚な夢物語ではなく、
むしろ大人の好奇心を刺激する知的ドラマという矛盾。

物語の中心は、女性より男性で、この手のドラマに洩れなく付いてくるラヴの要素は、かなり控えめ。
主要登場人物である靖王の側室はまったく姿を現さず、正室・柳氏の嫁入りも拍子抜けするほどアッサリ。
全編を通し、キスシーンさえ皆無の昨今珍しいドラマ。


…こういう事ばかりを書くと、なんか重くギスギスしたつまらないドラマを想像する人も居るかも知れないが、
実はかなりエンターテインメント性にも富み、終始“見せ場”の連続で、退屈するヒマ無し。
男女のベタベタした恋愛は薄目でも、厚い友情には胸が締め付けられるほど感動させられるし、
“大爆笑”とまでは行かなくても、ホッコリ和めるシーンも意外に多い。
現実には有り得ない奇想天外なファンタジーを、不自然に浮かせることなく、シリアスな物語に織り込ませている
脚本と演出の巧さにも脱帽。

★ 琅琊榜

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ここで今一度、タイトルにもなっている“琅琊榜(ろうやぼう)”について。
琅琊榜の“榜”の字は、中国語で“ランキング、番付け”の意。
つまり、“琅琊榜”は、情報組織・琅琊閣が発表する様々なランキングのことで、
日本語に訳すなら、差し詰め“琅琊(ろうや)番付け”。
主人公・梅長蘇は、“天下十大公子番付け”で堂々一位の奇才。



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その琅琊閣では、指定された対価さえ払えば、様々な質問も受けてくれる。
次期皇帝の座を狙い競っている梁の太子と弟の譽王は、それぞれに琅琊閣に助言を求め、
「琅琊榜首、左江梅郎、麒麟才子、得之可得天下
(琅琊番付け首位、左江の梅郎・麒麟の才子を得た者が天下を得る)」という同じ回答を受け、
梅長蘇を自分の謀士にしようと躍起になる。

★ 人物相関図

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ドラマを観進めて行く内に、登場人物は自然と頭に入ってくるが、
まだ混乱し易い最初の内は、人物相関図を横に置きながらドラマ鑑賞するのも、良いかも知れない。


個々の登場人物に関しては、



一応、当ブログで『琅琊榜』出演キャストを取り上げた“男前/美女名鑑”を改めてリンク。

私mango厳選の男前4人衆、“『琅琊榜』神カルテット”、主人公・梅長蘇役の胡歌(フー・ゴー)、
靖王役の王凱(ワン・カイ)、蒙摯役の陳龍(チェン・ロン)、そして飛流役の吳磊(ウー・レイ)について。

正統派を好まないアナタ様には、譽王役の黃維(ビクター・ホァン)、謝玉役の劉奕君(リウ・イージュン)、
夏江役の王永泉(ワン・ヨンチュエン)、藺晨役の靳東(ジン・ドン)とクセ者揃いのこちらを。

第3弾は女性特集で、霓凰郡主役の劉濤(リウ・タオ)、靜嬪役の劉敏濤(リウ・ミンタオ)、
秦般弱役の王鷗(ワン・オウ)、そして宮羽役の周奇奇(チョウ・チーチー)について。

大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』②

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2016年4月半ば、チャンネル銀河で始まった大ヒット大陸ドラマ、
『琅琊榜(ろうやぼう) 麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』が、
約ひと月半後の5月下旬、全54話の放送を終了。

日本上陸を待ち望んでいた大好きなドラマで、
思いの丈を綴っていたら、あれよあれよと言う間に超長文化してしまい、
不具合の続くブログから投稿を拒絶されてしまった故、今回は以下のような3部構成でドドーンと掲載。


ドラマ全般について。

大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』②
キャストについて。

所作、衣装、音楽について。



興味のある方は、お時間に余裕のある時に、気長にお読み下さいませ。
今回、ここでは、キャストについての第2章をどうぞ。

★ キャスト その①:目的を同じくする魂で結ばれた永遠の友

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胡歌(フー・ゴー):梅長蘇/蘇哲~江湖の江左盟・宗主 実は12年前に死んだはずの林殊

胡歌については、こちらの“男前名鑑”から。
“面白味に欠ける二枚目俳優”程度に思っていたのに、この『琅琊榜』を観て、私ってば不覚にも胡歌オチ!
私と限らず、『琅琊榜』で胡歌オチした女性は数知れず。『琅琊榜』は紛れもなく胡歌の代表作になる作品で、
梅長蘇は彼にしか演じられない“ハマリ役”と言って間違いない。

その江左盟の宗主・梅長蘇は、実はなんと梁帝の甥っ子・林殊にして故人!
林殊は、12年前、父・林燮率いる7万の赤焰軍と共に謀反の汚名を着せられたまま梅嶺で死亡。
…が、実際には、奇跡的に命拾いしており、自分たちを貶めた朝廷の奸臣に復讐し、
父や仲間たちの汚名をそそぐため、姿を変え、“蘇哲”と名乗り、都に舞い戻って来る。
ちょっとぐらい変装したところで、旧知の人々にはすぐに正体がバレてしまいそうなものだが、
“火寒”という摩訶不思議な毒にやられ、容貌が完全に変わってしまっているから、なかなかバレない。

12年前のありのままの林殊を演じているのは、張哲瀚(チャン・ジャハン)

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いや、ホント、面影まったくナシ。(張哲瀚も充分イケメンではありますが…。)
胡歌のルックスに変われるなら、“火寒”服毒希望!という男性は、世の中に一定数居ると思う。
但し、このルックスと引き換えに、虚弱体質&短命になるという副作用もあるので要注意。

そんな訳で、梅長蘇も、発熱ありーの、昏睡ありーの、吐血ありーのと、身体もーボロボロ。
“主人公は武芸の達人”がほぼお約束の大陸時代劇では非常にレアな病弱英雄。
アクションの見せ場が無いどころか、主人公にも拘らず床に臥している時間がやたら長い。
なのに、そんな梅長蘇が女性視聴者にモッテモテって、本ドラマを観た人にしか理解できませんよねぇ?!

梅長蘇の魅力は、知性、高潔な人格、そしてエレガンス。
時に冷酷にさえ感じるほど冷静に事を進める謀士だが、その裏に見え隠れする優しさと悲哀に心打たれる。
また、一挙手一投足がいちいち雅。長身の胡歌がジョロンと長い漢服をサラリと着こなしているだけで、
香り立つほどエレガントで、絵になってしまう。ここまで佇まいが美しい俳優は稀有な存在。
私が胡歌オチしたのは、金城武を好きな理由と根本で同じ気がする。



王凱(ワン・カイ):靖王・蕭景琰~梁帝の第七皇子 梅長蘇と組み皇位継承争いで頭角を現すダークホース

王凱については、こちらの“男前名鑑”から。
靖王は、かつては太子でありながら、謀反の汚名を着せられ死に追い遣られた長兄・祁王や、
大親友・林家の無実を信じたがため、父である梁帝に疎まれ、皇位継承争いからもすっかり外れた皇子。
当初は本人にも“諦めちゃった感”があり、“得た者が天下を獲る”と言われる麒麟の才子・梅長蘇から
「私はあなたを選ぶ」と御指名されても、「こいつ、いくらナンでも大穴狙い過ぎだろ…」と自虐的に半信半疑。
それでも梅長蘇との交流の中、彼に共鳴し、内に眠る野心が目覚め、共に棘の道を進む覚悟を決める。
この靖王は、沈着冷静な梅長蘇とは真逆で、性格は分かり易いほど一本気。
純粋で正義感が強いため、自分の首を絞めかねない余計な事を口走しってしまいがち。
梅長蘇は、そんな靖王の性格を理解しているからこそ、自分が死んだ大親友・林殊だとは打ち明けない。
本当は固い絆で結ばれている親友同士なのに、靖王が真相を知らないが故に梅長蘇を誤解し、
二人の間に深い亀裂が生じるくだりは、とーっても切ない…。
周囲の人々が次々と梅長蘇の正体に気付く中、
疑念を抱きながらも、ドラマ終盤まで確信が持てない靖王の鈍感力の高さは、敬服の域。

胡歌と同じ1982年生まれで、それなりにキャリアのある王凱だが、本格的ブレイクはこの『琅琊榜』。
胡歌にとって『琅琊榜』が代表作になったように、王凱にとっても愚直な靖王はハマリ役で、
彼が本ドラマを機に大きく飛躍したのは納得。子犬のような純真な瞳に吸い込まれるし、低音ボイスも素敵!
(胡歌も王凱も、このドラマでは地声が使われている。)

★ キャスト その②:梅長蘇&靖王コンビを支える仲間たち

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陳龍(チェン・ロン):蒙摯~禁軍を統括する大統領 梁國一の凄腕

陳龍については、こちらの“男前名鑑”から。
蒙摯は、梅長蘇の正体を知る数少ない人物で、何も知らない靖王と梅長蘇の間の橋渡し的な役も担う。
武術の腕は梁國一で、その点では梁帝からも厚い信頼を寄せられている。
性格は、運動馬鹿というか体育会系というか、優れた体力や腕力に知力は遠く及ばないのだが、実直なイイ人。
陳龍は、武松を演じた『水滸伝 All Men Are Brothers~水滸傳』
着ぐるみのトラ相手に真剣に闘っている雄姿を見て、さすがは俳優!と感心させられた。
『琅琊榜』の蒙摯は、『水滸伝』のあの力持ちで生真面目な武松に、
さらにトボケた味を加えた感じで、より魅力的。



吳磊(ウー・レイ):飛流~梅長蘇の護衛

吳磊については、こちらの“男前名鑑”から。
飛流は、子供でありながら梅長蘇の護衛。名ばかりの護衛ではなく、実際滅法強く、並大抵の男では敵わない。
口数が少なく、愛想もないが、梅蘇長のことは大好きで、いつも蘇兄さんを守るために一生懸命。
でも、どんなに強くても所詮子供で…

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手合わせで蒙摯に負けショゲたり、藺晨にカラカワれてスネたり、
蘇兄さんにお菓子など御褒美をもらい嬉しそうにしたり、くるくる変わる表情の、なんとまぁ可愛らしいこと。
私は、子役や動物を売りにする映画やドラマが大嫌いなのだけれど、吳磊扮する飛流の可愛さにはメロメロ。
飛流のシーンは、常に緊張感漂う本ドラマで、ついつい顔をほころばせてしまう和みのオアシス。
飛流は、現在は16歳で身長も180センチを超え、すっかりイケメン若手男優に成長した吳磊が、
あの時期、あのタイミングを逃したらもう絶対に演じられなかった少年だと感じる。



靳東(ジン・ドン):藺晨~瑯琊閣少閣主

靳東については、こちらの“男前名鑑”から。
靳東は友情出演という扱いで、ドラマの冒頭と終盤にしか出てこない。
扮する藺晨は、医術に長けた瑯琊閣の少閣主で、悪友・梅長蘇の健康面をサポート。
態度は大柄だし、口も悪い。見た目も、登場する他の男性たちとは異なる風流人の風情で、
髪はそよ風にサラサラとなびくロン毛だし、左耳には男性なのに、…しかも大昔の男性なのに、
イヤーカフ付けているしーっ(笑)。
ちょっと変わり者だが、根はイイ人で、案外頼れるアニキ的存在。
性格は違っても、実は誰よりも分かり合っている梅長蘇との忌憚の無い会話や、宿敵(?)飛流とのやり取りは、
箸休め的にホッとさせてくれるし、時には藺晨のさり気ない一言で感動さえさせられる。
さすがは“老幹部”と呼ばれ人気爆発の靳東だけに、少ない登場シーンで強い印象を残す。

★ キャスト その③:大梁ロイヤルファミリー

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丁勇岱(ディン・ヨンダイ):梁帝・蕭選~梁國皇帝

疑い深く、いざとなったら残酷な処置も辞さないという設定の梁帝だが、
大陸時代劇に登場する一般的な皇帝に比べ、むしろ親しみ易く感じるのは、
せんだみつおを彷彿させる顔立ちのせいか?
“ドラマの中の皇帝はこうあるべし”というイメージに捕らわれて見ると、やけに気さくに感じるけれど、
所詮せんみつなのだと思えば立派な皇帝。そう、この梁帝は“品と威厳を兼ね備えたせんみつ”って感じ。
全体のシルエットもドラえもんのようで憎めない。(弟の紀王は、さらに“ゆるキャラ度”が増す。
この紀王、ボケーっとしているようでいて、要所要所で結構イイ仕事しております。)
終盤の山場、御本人の誕生日の宴で、想定外の展開が待ち受けていた上、皆から総スカンを食らい、
裸の王様状態になった梁帝は、むしろ可哀相で、「もう勘弁してあげてー!」と助け船を出したくなりましたわ。
世の中の美女など選り取り見取りのハズの皇帝なのに、
後宮の女性たちが、案外年増揃いで、それで充分満足している様子なのも、女性視聴者目線で好感度高し。


高鑫(ガオ・シン):蕭景宣~梁帝の第四皇子にして太子 のちに廃され獻王に降格

太子・景宣は、弟の譽王とライバル関係。
太子なのだから、通常、何事もなければ、そのまま次期皇帝に即位できる立場。
でも、この太子は所詮“琅琊榜(ろうやぼう)”、…じゃなくて、“木偶の坊(でくのぼう)”。
勝算があるから、譽王も闘い甲斐があるというもの。
そんな見るからに無能なモソーッとした太子なのだけれど…

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化けまくり。太子に変身前の高鑫は、充分“イケメン枠”にも入れる好感度の高い爽やかなルックス。
この太子を演じるにあたり、10キロの増量をしたという。ヒゲと体重で、随分印象が変わるものだ。
高鑫は、杜峯(ジョニー・トー)監督作品『ドラッグ・ウォー 毒戦』(2012年)にも、ヤクの売人・小癲の役で
ちょこっとだけ出演していたらしい。まったく気付かなかった~。今度観直してみます。



黃維(ビクター・ホァン):譽王・蕭景桓~梁帝の第五皇子

黃維については、こちらの“男前名鑑”から。
約十年兄の太子・景宣と闘い続け、景宣を蹴落としホッとしたのも束の間、
ダークホース靖王の台頭で新たな闘いに突入し、窮地に追い遣られる譽王。
ズル賢く、あの手この手で靖王を嵌めようとする譽王は、一応悪役である。
しかし、生母ではない皇后とタッグを組んでいる事からも、
この譽王は出自に何やら訳アリであることは想像に容易い。
本人も知らなかった真相暴露後の悪足掻きとガタ落ちっぷりは、見ていて痛ましく、同情を誘う。
『琅琊榜』を最初にザッと観た時には、さほど好きではなかったのに、
今回、2度目の鑑賞では、譽王に悲哀を感じ、結構好きなキャラに昇格。

★ キャスト その④:シニアの部~梁の重鎮たち

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王勁松(ワン・ジンソン):言闕~梁帝の皇后・言氏の兄

言闕は、政に関わることなく、世捨て人状態。
息子の言豫津は、そんな父を、“大志無く、悠々自適に暮らす御隠居さん”くらいに思っているが、
実は若かりし頃には、お国のために大事を成し遂げた勇敢な人物。
御隠居さんと化したのは、その後の朝廷に失望し、諦めの気持ちから、身を引いたため。
当初、譽王付きの謀士だと思い込み、冷めた目で見ていた梅長蘇の真意を知ると、
控えめながら再び義侠心に火がつき、力を貸すようになる。
枯れ切った“翁(おきな)感”満載の言闕、いいわぁ~。オヤジ好きな私には、タマラないものが。
が、しかし、演じている王勁松は、実は“翁”と呼ぶには早過ぎる、井森美幸と同じ1968年生まれ。
もっと正確に言うと、井森より2週間ほど若い。確かに、顔をよく見ると、結構ハリのある良い肌をしております。



劉奕君(リウ・イージュン):謝玉~寧國侯 梁帝の妹・蒞陽長公主の夫

劉奕君については、こちらの“男前名鑑”から。
謝玉は、梁帝の妹・蒞陽長公主を娶り、梁帝の義理の弟という立場。
太子と譽王の皇位後継者争いでは、中立を保ち、争いとは距離を置く梁の重鎮。
…が、実はそれは表向きで、裏ではガッツリ太子推し。
しかも、話が進むにつれ、蒞陽長公主との結婚にも裏が有ったことが判明し、
我々視聴者は、この謝玉が結構ブラックな男だと気付かされる。
謝玉が江湖の卓家と共同の息子としている蕭景睿のお誕生日会を利用し、
梅長蘇が彼を断罪するシーンは、ドラマ前半の山場。あのシーンでは、多くの謎が解明しスカッとするものの、
蕭景睿にとっては人生最悪のアンハッピー・バースデーで、「お気の毒様…」の一言である。

話はやや反れるが、程皓楓(チョン・ハオフォン)扮するその蕭景睿は、真面目で優しい本当に良い青年。
ルックスだって決して悪くない。なのに、なぜ私は景睿オチしないのか考えてみたところ…

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一番の要因は髪型。知らず知らずの内に、私は景睿に野球の三浦大輔を重ねていた…。
時代劇にも拘らずリーゼント風に盛られたヘアの景睿は、“ハマの番長”ならぬ“金陵の番長”。
藺晨の風になびくサラサラのロン毛より、ガッチリ固められた景睿のリーゼントの方が、私の中ではNG。



王永泉(ワン・ヨンチュエン):夏江~皇帝直属の調査諮問機関・懸鏡司の首尊

王永泉については、こちらの“男前名鑑”から。
謝玉が片付くと登場するのが、謝玉以上のクセ者・夏江。
いかなる党争にも加担せず、平等に調査するのがお仕事であるはずの懸鏡司のトップでありながら、
夏江は裏で譽王とがっちり手を結び、靖王下ろしに尽力。
あのキレ者・梅長蘇を崖っぷちまで追い詰めたのだから、さすが経験値が違う古狸。
無駄に長生きなんかしていない。
そんな夏江を憎々しく演じる王永泉は、実は本ドラマの監督さんの一人。
なんと、私生活での妻子も本ドラマに出演している。
さあ、どの役が王永泉の妻子でしょう?答えは、“男前名鑑”で御確認を。

★ キャスト その⑤:女子の部~大梁後宮

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方曉莉(ファン・シャオリー):皇后・言氏~梁帝の皇后 譽王の養母

『琅琊榜』は朝廷モノではあっても、争いのメインは皇位であり、
皇帝の寵愛を競う“後宮モノ”としての要素は薄め。
この言氏は、後宮での地位は、ナンバーワンの皇后。
但し、実子を亡くしているため、頼みの綱・譽王と組んで、皇位継承者レースに参戦。
血の繋がった実の母子ではなくても、譽王に注ぐ愛情と信頼はホンモノと見受けるし、
他の嬪妃に行うネチッこい嫌がらせも、『宮廷の諍い女~後宮甄嬛傳』に比べたら、まだまだ甘い。
梁の後宮にも、『宮廷の諍い女』の華妃みたいな側室が居たら、この言氏は即失脚していたに違いない。



楊雨婷(ヤン・ユーティン):越貴妃~梁帝の側室 太子・蕭景宣の生母

地位は皇后・言氏より当然低いが、物語が幕開けする当初は、梁帝から最も目を掛けられている寵姫で、
息子の景宣も太子ということで、態度も強気。皇后・言氏にとっては、最大にして最悪のライバル。
太子・蕭景宣とは、見た目にまったく似ていない母子だが、あまりお利口に立ち回れない点は、母子で共通。
このバカ母子、私は案外嫌いじゃない(…と言う以上に、かなり好き)。
計算下手で、脇が甘くスキだらけ、お馬鹿っぷりが露骨な彼らは、なまじの利口者より、好感度高し。
演じている楊雨婷は1978年生まれで、息子役の高鑫より実は2歳年下。
半眉で般若のお面のような個性的な顔立ちも良し。
そして、越貴妃(のちに降格して賢妃)と言えば、失脚し気が触れてしまった時の(↓)この顔である。

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楊雨婷は、この顔ができるからキャスティングされたんじゃないか?!って思わせるほど
インパクトのある表情であった。夢に出てきそう…。



劉敏濤(リウ・ミンタオ):靜嬪~梁帝の側室 靖王の生母 後に靜妃に昇格

劉敏濤については、こちらの“美女名鑑”から。
靜嬪は、このドラマの女性陣の中で一番好きなキャラ。
医女の出で、後宮での地位は低く、梁帝からも半ば忘れ去られた存在であったが、
小うるさい他の女性たちとは異なる控えめな性格に癒されるのか、徐々に目を掛けられるようになり、
息子の靖王と同じように、ダークホース的に後宮での立場を高めていく。
ただ優しく控えめな癒し系なのではなく、聡明な女性である点も、同性に厳しい私の評価が高い理由。
鈍感な息子とは異なり、勘も鋭く、会ったことも無い梅長蘇の正体を早々に見破る。
ついに迎えた梅長蘇との初対面では、彼の脈にものの数秒触れただけで、全てを理解するスーパードクター!

★ キャスト その⑥:女子の部~その他の女性たち

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劉濤(リウ・タオ):穆霓凰~雲南穆王府の郡主 林殊の許婚

劉濤については、こちらの“美女名鑑”から。
霓凰郡主は、かつて林殊の許婚。林殊の死後は、他に嫁がぬまますでに27歳。
今の時代だったら、27歳で独身はまったく珍しい事ではないけれど、
寿命が短かった昔の27歳って、今の40~50歳くらいの感覚ではないだろうか?
名家出身の高貴な女性が、アラフォー、アラフィフで行かず後家って、
あの時代の封建社会で、相当気まずいんじゃないの?!…と、私も同じ行かず後家なだけに、
彼女の立場を案じてしまった。
この霓凰郡主が、梅長蘇に寄せる特別な想いは、本ドラマの中で数少ない恋愛要素の一つだが、
それさえも非常に控えめ。ラヴ全開のドラマより、霓凰郡主が自分の気持ちを押し殺し、
梅長蘇が成し遂げようとしている大事に力を貸すことで愛情表現をする本ドラマの方がグッと来るものがある。
最後、梅長蘇から言われる「来世で一緒になろう」もキツイわぁー。
私だったら、「頼むから、結婚は現世でお願い!」って泣きつくかも(笑)。



王鷗(ワン・オウ):秦般弱~謀士として譽王に仕える滑族の女性

王鷗については、こちらの“美女名鑑”から。
秦般弱は、紅袖招という諜報部隊を統率し、そこから情報を得ながら、譽王に謀士として仕える女性。
やけに若くて美人なので、謀士という名目で譽王に囲われている愛人なのかと思いきや、
滑族の再興という明確な目標のために譽王を手助けしている女性であった。
もっとも自身の出自を知らない当の譽王は、自分がその目標達成に必要な中核の人物だという事さえ
分かっていないのだが…。
この秦般弱と言えば、何着かあるお召し物の内、特に水色の物がお似合いで、記憶に残る。

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“中華版『アナ雪』”って感じ。

あと、他の女性のメイクとは異なる赤いアイラインも印象的。

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演じている王鷗曰く、これは異民族の雰囲気を出す工夫なのだと。



張齡心(チャン・リンシン):夏冬~懸鏡司の首尊・夏江の弟子

夏冬は、12年前、赤焰軍の前鋒大将だった夫・聶鋒を亡くした未亡人。
まさか自分の師匠である夏江が、夫を死に追い遣った赤焰軍事案の首謀者の一人とは知る由も無い。
夏江らの思惑通り、謀反を起こした祁王らに非が有ると信じているから、祁王に近い靖王に対しても、
当初は態度が露骨にトゲトゲしい。
ところが、(ここに詳細は避けるが…)亡くなったはずの夫が、変わり果てた姿で捕獲され(…!)、
十数年ぶりに奇跡の再会を果たすことに…!

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…衝撃映像。この変わり果てた姿の夫・聶鋒は、本ドラマ一のシュールなキャラクター(笑)。
その昔、「中国の山奥で全身が毛むくじゃらな不思議生物“多毛児(たもうじ)”が発見された」という都市伝説が、
ここ日本で実しやかに語られたことがあったけれど、あれって聶鋒だったのかしら…。
どこからどう見ても滑稽でしかないこのようなキャラを投入しながらも、物語がB級ホラーやコメディにならず、
感動的な夫婦愛にもっていく監督&脚本家の手腕は大したもの。




『琅琊榜』出演キャストに関しては、当ブログの“男前/美女名鑑”を改めてまとめてリンク。

私mango厳選の男前4人衆、“『琅琊榜』神カルテット”、主人公・梅長蘇役の胡歌(フー・ゴー)、
靖王役の王凱(ワン・カイ)、蒙摯役の陳龍(チェン・ロン)、そして飛流役の吳磊(ウー・レイ)について。

正統派を好まないアナタ様には、譽王役の黃維(ビクター・ホァン)、謝玉役の劉奕君(リウ・イージュン)、
夏江役の王永泉(ワン・ヨンチュエン)、藺晨役の靳東(ジン・ドン)とクセ者揃いのこちらを。

第3弾は女性特集で、霓凰郡主役の劉濤(リウ・タオ)、靜嬪役の劉敏濤(リウ・ミンタオ)、
秦般弱役の王鷗(ワン・オウ)、そして宮羽役の周奇奇(チョウ・チーチー)について。




所作、衣装、音楽については、

大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』③

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2016年4月半ば、チャンネル銀河で始まった大ヒット大陸ドラマ、
『琅琊榜(ろうやぼう) 麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』が、
約ひと月半後の5月下旬、全54話の放送を終了。

日本上陸を待ち望んでいた大好きなドラマで、
思いの丈を綴っていたら、あれよあれよと言う間に超長文化してしまい、
不具合の続くブログから投稿を拒絶されてしまった故、今回は以下のような3部構成でドドーンと掲載。


ドラマ全般について。

キャストについて。

大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』③
所作、衣装、音楽について。


興味のある方は、お時間に余裕のある時に、気長にお読み下さいませ。
今回は、いよいよ最終章。

★ 所作

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本ドラマに登場する男性たちは、見目麗しいだけではなく、立ち居振る舞いでまで美しく、ただただウットリ…。
それら美しい身のこなしは、きちんと古代中国の伝統的様式に基づいており、
指導は、『宮廷の諍い女~後宮甄嬛傳』の所作指導を行い、
溫太醫の役で出演もしている張曉龍(チャン・シャオロン)のチームが担当。
俳優たちの指導に直接当たったチームのリーダーは、張曉龍の愛弟子・李斌(リー・ビン)

ドラマ『琅琊榜』の所作に関するさらなる情報は、こちらから。




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ちなみに、このドラマでは、登場人物たちが日本人のように、床にぺったり座していることが多い。
実際、中国大陸でも、秦代、漢代では、床に座るのが当たり前、
魏晉南北朝時代は過渡期で、隋代、唐代になると、完全に椅子のような物に腰掛ける習慣に変わったという。
腰掛け文化に移行せず、ずーっと床座り文化が続いていたら、
現代の中国人のあんよも、日本人や韓国人のような大根足になっていたかもね。
(逆に、遣隋使や遣唐使を大陸に送っておきながら、日本に腰掛け文化が導入されなかったのも不思議。
遣隋使、遣唐使が腰掛け文化を日本に持ち帰っていたら、
現代日本人の足が劇的に美脚になっていたかも知れないのに…。)

★ 衣装

『琅琊榜』は衣装も非常に素晴らしく、目を楽しませてくれる。
女性の衣装にたまに使われているラインストーンだけが、私にとってのNGで、他はほぼ完璧。
担当したのは、映画『一代天驕成吉思汗~A Brilliant Man, Cheng Ji Si Han』で
1998年、第18回中國電影金雞獎 Golden Rooster Awards・最佳服裝(最優秀衣装賞)を受賞し、
『戰長沙~Battle of Changsha』、『北平無戰事~All Quiet in Peking』、『偽裝者~The Disguiser』、
そしてこの『琅琊榜』と侯鴻亮Pの作品に4度関わっている茹美(ルー・メイチー)

架空の時代劇ではあるが、衣装や美術のデザインは南北朝時代(420-589)がベース。
まず脚本を読んだ茹美は、魏晉南北朝時代の服装を改めて研究、
登場人物個々の性格、性別、年齢、地位などを考慮し、4ヶ月の時間を費やし、千セットの衣装を制作。
茹美曰く、南北朝時代の服装は秦代の物に近く、お堅い雰囲気。
全て南北朝風にしてしまうのは、茹美が思い描くイメージと違うため、
唐朝をはじめとした他の中国歴代王朝的要素も採用。
例えば、何人かの嬪妃の衣装には、清朝の面影も微かに。

素材にもこだわり、衣装用の生地は、主に広州と香港で調達。
昨今の大陸時代劇では、煌びやかな衣装が主流だが、茹美自身はケバい色調をあまり好まず、
このドラマで目指したのは、言わば水墨画のようなシックな高級感。
それに合うマットな質感の生地は、近年なかなか見付からないという。

こうして入手した生地に施す刺繍の図案は、歴史資料を参照。
皇帝の衣装に施す龍の刺繍は5本の爪で、親王は一本少ない4本といったルールは当然守りながら、
伝統的な中国刺繍に、ちょっとだけヨーロッパ風の図案も取り入れている。



このように、昨今のキンキラ衣装とは一線を画している本ドラマの衣装だが、
中でも、その特徴が顕著に表れているのが、主人公・梅長蘇の衣装ではないだろうか。
平民という立場上、皇族以上に豪華な衣装は不都合だが、だからと言って、主人公らしい風格も必要。
そんな条件をきちんと満たして出来上がったお衣装は、究極のシンプル&シックで、とっても素敵。

梅長蘇の衣装は主人公の割りに決して多くはなく、十着程度。
色は白を基調に、グレーやブルー。
素材は主に綿と麻。特に良質な麻素材は、宮廷内の人々が着ている素材より、昨今むしろ高価。
ディティールにもかなりこだわっており…

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襟は、一本一本細いヒモを並べてかがった物で、実はかなり手の込んだ高級品。

襟と言えば、気になるのが、梅長蘇の首元を覆う白い生地。通常の大陸時代劇では、目にしない物である。
防寒対策のヒートテック?と思ってしまったのは、私だけか。
これ、ヒートテックではなく、スカーフのような方形の布地。
茹美はこの白色ネッカチーフ(←死語?)を首に巻くことで、梅長蘇の虚弱体質を表現したという。


さらに上方に目をやると、頭部には小冠。

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梅長蘇と限らず、男性登場人物の多くが、ヘアアクセ“冠帽”で髮をまとめている。
この“冠帽”は、魏晉の時代、材質の違いで、身分が一目瞭然になるものであった。
漢代でも、その制度は継承されるが、もっと小ぶりの“小冠”が流行。
梅長蘇ご愛用の品は、彼のイメージカラーでもある白い玉(ぎょく)の小冠。
以前、横店影視城を取材したドキュメンタリー番組で、元家具職人の小道具さんが、
樹脂で器用にホンモノそっくりの玉器を作るのを見たため、梅長蘇の小冠も当然樹脂製だと思い込んでいたら、
なんとホンモノの白玉なのだと。アンティークではなく、このドラマのために新たに作らせた物とのこと。
もちろん玉にもピンからキリまで有り、この小冠の素材は、高額取り引きされる稀少な玉ではないが、
それでも樹脂ではなく、本物の玉。
本ドラマ全編を通し感じられる徹底的なコダワリは、このような細部からも感じ取れる。




でも、このドラマの衣装で一番目を引くアイテムは、登場人物たちの首を飾るファーなのでは。
一部の宮女の衣装でフェイクファーを使用している以外は、梅長蘇の寝具に至るまで全てリアルファー。
欧米の動物愛護団体が見たら怒りで気を失うであろうほど、リアルファー大量使用なのだ。
茹美は、これらのファーを卸売市場で購入。
さすがは卸売市場、お値段は私が想像していたよりずっとお手頃で、一つ大体数百元。
最も高い物はミンクで、それでも1800元(≒3万円)程度だという。

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実物を見ていないので断言はできないが、梅長蘇の物は大半がフォックスで、右端のホワイトがミンクと推測。

ファーを身にまとった梅長蘇は、見ていてタメ息が漏れるほどエレガントで素敵ですよねぇ~。

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案の定、真似る人、続出(右端のベイビー、プチ梅長蘇、キュート)。
あちらの男性はチャレンジャーですワ。日本の男性は、ファッションで危険な冒険は避けた方が無難かと。
ファーを身にまとって良い男性は、ヘルムート・バーガーと梅長蘇だけですから…!



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…あと、マタギ系ファーなら『真田丸』の草刈正雄もOK。

★ 音楽

このドラマは、音楽も素敵。
なのに、台湾や香港の放送では、忌まわしくも、オープニングもエンディングもポップミュージックにスリ替え、
『琅琊榜』の世界観をブチ壊しにするという暴挙にでた。
日本でも、特に外国映画の場合は、勝手に“日本版テーマ曲”とか“日本版イメージソング”なる物に
スリ替えられてしまうことが有る。裏にオトナの事情が有ることは容易に想像できるけれど、
作品のファンにとっては、迷惑以外の何物でもない。
音楽も、現地中国と同じままで『琅琊榜』が鑑賞できる我々日本在住者は、香台の視聴者よりラッキーです。


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そんな素敵な音楽を担当したのは孟可(モン・クー)で、主演の胡歌がエンディングの<風起時>
また劉濤の<紅顏舊、王凱の<赤血長殷と主要キャストの歌がそれぞれ挿入歌に使われている。
でも、私が一番好きなのは、オープニングのインストゥルメンタルの曲。
冒頭から視聴者の気分を盛り上げ、物語の世界に誘ってくれるこの曲は、
まるで映画音楽のように壮大かつ優美。
これと限らず、ドラマの要所要所でバックに流れるインストゥルメンタル曲も印象に残る美しい旋律。
これらを作曲した孟可は、中央音樂學院卒業後、北京交響樂團でファゴット奏者を経験した後、作曲家に転向。
北京オリンピックなどビッグプロジェクトにも関わり、2008年から映像作品の音楽を手掛けるように。
劉歡(リウ・ホアン)と組み、『宮廷の諍い女』や、侯鴻亮プロデュースの『闖關東』で編曲を手掛け、
その後、その劉歡の推薦で侯鴻亮Pの新ドラマ、本作品と『偽裝者』の音楽を立て続けに担当している。

『琅琊榜』は孟可にとって初めて単独で手掛ける時代劇の音楽だが、それを純粋な中国伝統音楽にはせず、
西洋的なオーケストラと伝統楽器の融合にしたのは、孟可曰く「日本の大河ドラマの影響です。
彼らは、NHK交響楽団をよく使い、日本の伝統楽器・尺八などを合わせます。
西洋的なシンフォニーの奥行と豊かな表現は、伝統音楽には替え難いものがあるし、
伝統楽器にもまた西洋の楽器には替え難いものがあります」だって。
私個人的には、昨今のNHK大河ドラマには言いたい文句も色々あるが、
こんな素敵な音楽が、日本からのインスピレーションで生まれていたのは、意外だし、ちょっと嬉しいですね。

ここには、まず、孟可作曲のインストゥルメンタル曲ばかりを幾つか集めた『琅琊榜』OSTを。
オープニング曲も開始から5分30秒くらいの所で流れます。




続いて、胡歌が歌うエンディング曲<風起時>。こちらは、作曲が孟可で、作詞は原作者の海宴。






文句ナシ。マスターピースに認定させていただきます。
日本のドラマなら5本分にも当たる50話以上あって、一切の無駄が無く、中ダルミ無し。
物語の大きな2ツの“山”は、前半も後半も、なぜか必ずバースデーパーティーに起きるのだけれど、
それ以外にも小さな“山場”は常に有るし、知的な舌戦の応酬は一言たりとも聞き逃せないから、
毎話、毎話が緊張の連続。時間の経つのも忘れ、のめり込むようにテレビに食い付いていると、
いつの間にか黒酢だの大麦若葉だのの画面に変わっていて、えっ、もうCMだったの?と拍子抜け、って感じ。
(←ちょっと大袈裟か。CMに入る前にチャンネル銀河のロゴが入るし。

“見応えのあるドラマ”だったら、例えば『宮廷の諍い女』が有るが、あちらは清朝の史実を上手く絡めており、
元々私が好むタイプの、知的好奇心を刺激してくれるドラマである。
一方、この『琅琊榜』は、本来私がまったく興味の無い架空の歴史モノで、
しかも、毒で顔が男前にアップグレードするとか、全身に毛がボーボーに生えるとか、
普段の私ならドン引きレベルの、かなり強引でエキセントリックなファンタジーまで織り込まれている。
…にも拘わらず、全体の仕上がりが、むしろ“知的好奇心刺激系”オトナのドラマという不思議。
脚本、映像、美術、役者の演技と、様々な面で表現がかなりストイックで、洗練されているというのもポイント。
この洗練されたストイックさは、これまでの中華ドラマにはあまり見られなかったもの。
韓国も基本的に感情爆発型だから、自国には無い『琅琊榜』のストイックさに惹かれ、ウケたのかなぁ、と。

少なくとも時代劇では、もはやアジアで中国以上の物を作れる国は無いと感じる。
現在日本では、NHK大河ドラマ『真田丸』が放送中だが、『琅琊榜』などと比べてしまうと、ショボさが否めないし、
何より物語の世界にまったく引き込まれない。
真田幸村や、あの時代の日本史に興味のある人なら、それなりに楽しめるかも知れないけれど、
そういうものに興味も知識も無い外国人に、ただ“日本製の時代劇”として『真田丸』を観せた場合、
どれ程度の人が「面白い!」とハマるのだろうかと、考えてしまった…。

『琅琊榜』を観ると、つくづく人口13億という大国の強みを思い知らされる。
莫大な資金や広大な土地を有しているのはもちろん羨むばかりだが、一番の宝は豊富な人材。
子供から中高年まで、どの世代にも素晴らしい俳優が居るし、
それは監督、脚本家、美術など裏方さんにも言える事。
どの分野でも、13億から抜きん出て来るような人材は才能ハンパないし、
そういう人たちが集結すれば、まぁ『琅琊榜』も生まれますわね。


そのように素晴らしい『琅琊榜』が、
まさかチャンネル銀河での放送が最初で最後なんて冗談は、ありませんよねぇ…?!是非ともBSで放送を!
並みの映画より余程スゴイから、中華電影は観るけれどドラマは観ないという日本人に是非観て欲しい。
日本のテレビ関係者も観るべし。相手を知って、負けを認めない限り、日本の再生は有り得ませんから。
また、今回チャンネル銀河で観た方々にも、2度目の“おかわり視聴”はおススメ。
私自身が、今回2度目だったのだが、一度目には気付かなかった細々とした部分が山ほどあり、
初回以上に楽しめた。注意して観ると、このドラマ、全編伏線だらけ。
それらが全て回収され、あのクライマックスに繋げていく脚本は、実に巧妙!
あと、日本語字幕で観るのはやはり楽ちん。
小説の注釈のように、「掖幽庭:罪人家族の収監場所」、「天牢:重罪犯を収監する牢」といった具合に、
所々でオリジナル中文版には無い説明が入るのも親切。
小説の場合、注釈が付いて所に出くわす度に、巻末と本文を行ったり来たりしなくてはならず、面倒だけれど、
このドラマだと、その場で説明されるから、楽だし為になる。




では、最後に改めて。ドラマ『琅琊榜』に関しては、以下のエントリも併せてどうぞ。




ついでに、当ブログで『琅琊榜』出演キャストを取り上げた“男前/美女名鑑”も改めてまとめてリンク。

私mango厳選の男前4人衆、“『琅琊榜』神カルテット”、主人公・梅長蘇役の胡歌(フー・ゴー)、
靖王役の王凱(ワン・カイ)、蒙摯役の陳龍(チェン・ロン)、そして飛流役の吳磊(ウー・レイ)について。

正統派を好まないアナタ様には、譽王役の黃維(ビクター・ホァン)、謝玉役の劉奕君(リウ・イージュン)、
夏江役の王永泉(ワン・ヨンチュエン)、藺晨役の靳東(ジン・ドン)とクセ者揃いのこちらを。

第3弾は女性特集で、霓凰郡主役の劉濤(リウ・タオ)、靜嬪役の劉敏濤(リウ・ミンタオ)、
秦般弱役の王鷗(ワン・オウ)、そして宮羽役の周奇奇(チョウ・チーチー)について。

映画『海よりもまだ深く』

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【2016年/日本/108min.】
良太は、過去に一度、小説<無人の食卓>文学賞を受賞したものの、その後どうもパッとせず、
興信所勤めでなんとか生計を立てているバツイチ中年男。
好きなギャンブルがやめられず、懐はいつもピーピー。
別れた妻・響子に毎月支払うべき養育費も滞りがち。
なんとか金を工面しないことには、一人息子の真悟にもう会わせてもらえない。
良太は、母・淑子の留守中に実家に忍び込み、質屋で換金できそうな品を物色するが、
そうこうしている間に、母が帰宅。
さり気なく、亡き父が遺したはずの雪舟の掛け軸の在りか聞き出そうとするも、
母から「そんな物は捨てた」とツレナい返事…。

台風が日本列島に接近しているある日、
響子を説き伏せ、なんとか真悟とのお出掛けを許可された良太は、真悟を連れ、実家へ。
夕方、響子が迎えに来るが、みるみる怪しくなる空模様。
「今から帰るのは危ない、泊まっていきなさい」という元姑・淑子からの誘いを無下に断ることもできず、
響子は真悟と共に、淑子の家に留まることに。
こうして、良太、響子、真悟の元家族3人は、ひとつ屋根に下でひと晩を過ごすこととなり…。



是枝裕和監督、『海街diary』(2015年)以来の最新作を鑑賞。

前作は同名漫画の映画化であったが、本作品は是枝裕和監督が真骨頂を発揮するオリジナル脚本。
本作品の着想は、父親が亡くなり、団地で一人暮らしを始めた母親をお正月に訪ねた時、
いつかこの団地の話を撮りたいと思った2001年頃。
『歩いても、歩いても』(2008年)公開直後の2009年には、この映画のためのノートを作り始め、
2013年夏、『海街diary』の脚本に取り組みながら、
本作品の脚本執筆も始め、早々に第一稿を仕上げたという。



物語を簡単に説明すると、仕事でも家庭でも失敗し、それでも現実を受け入れきれず、
叶わぬ夢を追い続ける往生際の悪い中年男のとことんトホホなヒューマン・ドラマ

主人公の良太は、作家崩れの探偵。
15年前、小説<無人の食卓>で島尾敏雄文学賞を獲ったものの、その後は鳴かず飛ばず。
あくまでも“小説のリサーチ”と称し、興信所で働くが、好きなギャンブルがやめられず、家庭も崩壊。
元妻・響子が引き取った一人息子・真悟にたまに会うのが楽しみだが、
万年金欠状態で養育費の支払いも滞り、響子から真悟との面会を拒まれつつある。

“かつて一冊の著書で成功したものの、その後が鳴かず飛ばずの作家崩れ”という共通点から、
『女が眠る時』(2016年)で西島秀俊が演じた主人公・清水健二を思い出した。
あちらは、スペインの小説が原作の、ミステリー仕立てのファンタジーで、主な舞台はリゾート地のホテル。
主人公・清水健二は、そこで見掛けた奇妙な年の差カップルを執拗に追うようになり、自分自身をも見失うが、
最終的に、夢とも現実とも線引きできないその経験に感性が刺激されたのか、
再び小説で成功し、妻との関係も修復され、物語は幕を下ろす。

一方、この『海よりもまだ深く』の重要な舞台は、リゾートホテルなどではなく、もっと庶民的な団地。
主人公・良太も、『女が眠る時』の主人公・清水健二とは違い、感性の刺激も無く、とことんノラリクラリで、
小説家としても夫としても、最後まで人生の大逆転など無い点に、より現実味と悲哀を感じる。


舞台となる団地の撮影は、是枝裕和監督本人が実際に9歳から28歳まで暮らした
東京都清瀬市の旭が丘団地。
是枝裕和監督の母上も、本作品の良太の母・淑子と同じように、
亡くなるまでこの団地で一人暮らししていたらしい。(本作品の母・淑子は元気で、物語の最後まで健在。)
そんな事からも、本作品には、是枝裕和監督の何かしらパーソナルな想いが
詰め込まれているように感じてならない。

是枝裕和監督自身の“パーソナルな想い”だったら、母上を亡くして撮った『歩いても、歩いても』も同じこと。
そこで気になるのが、両作品に出てくる両親像。
母親像に関しては、演じている役者が同じという事もあり、両作品で通じるものがあるけれど、
父親像は、2作品で違う印象。
『歩いても、歩いても』の父親は、今でこそ女房に丸め込まれているが、昔は威厳のあった元開業医。
一方、この『海よりもまだ深く』の父親は、すでに故人で、作中登場こそしないが、
様々な会話等から、生前、良太に負けず劣らずの駄目人間だった事が分かる。

最近観た『台湾新電影(ニューシネマ)時代』の中で、是枝裕和監督が語った話によると、
監督の父上は、台湾の高雄で育ち、映画『KANO』の出てくる嘉義農業で学んだ後、
旅順へ渡り、シベリアに抑留されるという波乱万丈を経験した人物らしい。
あの世代の日本人は皆多かれ少なかれ戦争に翻弄され、人によっては、それがある種の心の後遺症となり、
自暴自棄になったり、後の人生を立て直せなくなる事もあったのではないかと想像する。
是枝裕和監督自身の父上は、『歩いても、歩いても』タイプだったのか、『海よりもまだ深く』タイプだったのか、
どちらでしょう…?「父さんさえしっかりしていれば、母さんだってずっとこんな団地に住むことはなかった」
といった台詞も有るところから察するに、後者に近い感じだったのかもね。




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出演は、作家崩れの探偵・篠田良太に阿部寛、良太の母・篠田淑子に樹木希林
良太の別れた元妻・白石響子に真木よう子、良太の息子・白石真悟に吉澤太陽
良太の姉・中島千奈津に小林聡美、良太が務める興信所の所長・山辺康一郎にリリー・フランキー
良太の興信所の同僚・町田健斗に池松壮亮、淑子の音楽の先生・仁井田満に橋爪功など。

「映画はキャスティングが8割」という是枝裕和監督だけあり、作品のイメージに合った面々。
阿部寛と樹木希林は、『歩いても、歩いても』に続いて、またまた母子役。

樹木希林が演じる母・淑子は、前述のように、『歩いても、歩いても』の母親と通じるものがある。
すっかり大きくなった息子を、いつまでたっても子供の頃と同じように想う母親というのが、
是枝裕和監督が抱く母親の記憶なのであろう。
但し、元開業医の妻である『歩いても、歩いても』の母親と違い、
駄目な夫に苦労させられっ放しだった本作品の母は倹約家で、お札をストッキングで包み、米びつに隠したり、
たっぷりの水で薄めたカルピスをガッチガチに凍らせ、デザートにしたり。
数々の些細なシーンから、こういうおばあさん本当に居そう!と思わせる母親。


阿部ちゃん扮する主人公は、“良太”という名前と、“甲斐性なし”という点で、
『歩いても、歩いても』で演じた主人公と共通。
失業中の凡庸な中年男、『歩いても、歩いても』の良太を、もっと進化させ(いや、退化?)、
駄目っぷりに拍車を掛けたのが、本作品の良太って感じ。
いい年して、親の家から金目の物を盗み出し、質に入れたり、元妻を尾行したり、
「小さい男…」と呆れるばかりのエピソードが満載だが、
中でも野球をやっている息子・真悟とスポーツ用品店にスパイクを買いに行くシーンは取り分けセコかった。
父親の懐事情を察し、安いスパイクを選んだ真悟に
「なに遠慮しているんだよ、スパイクはやっぱりミズノだろ。ミズノを買ってやるよ」と豪語し、
カッコいいパパを演じたまでは良かったのだが、その後、そのスパイクにこっそりキズをつけ、
店員に値引き交渉を始めるセコさに苦笑。そもそもミズノって、野球少年の憧れなの?
そういえば、息子とのランチも「マックじゃなく、モスに連れて行った」と言っていたし、
良太なりのコダワリがあって、大切な一人息子に注ぐ愛情が見て取れる。
阿部ちゃんが小さな男を演じると、あの立派なボディがモソーッと無駄に大きく感じられ、
余計に木偶の榜の雰囲気が増すのがよろしい。


あと、これも『歩いても、歩いても』と同じで、主人公の姉が登場。
『歩いても、歩いても』ではYOUが演じ、本作品では小林聡美。
でも、姉の夫が高橋和也なのは、両作品で共通。





是枝裕和監督が、脚本の1ページ目にまず書いた言葉は
「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」だったという。
主人公・良太ほど極端ではなくても、
例えば、十歳の少女にとって、二十歳のお姉さんはすごく大人に見えるのに、
いざ自分がその年になってみると、「二十歳ってまだまだ子供じゃないか」と感じるように、
誰しもが、大人であるはずの自分を「あら、こんなハズじゃなかった…」と思う事があるものだ。
これまでの是枝裕和監督作品と同様に、
本作品もまた描かれている些細な出来事に「それ、ある、ある!」と頷いてしまう現実味があったり、
共感したり、クスッと笑える台詞が沢山あって、楽しく鑑賞。
違う角度で描いた家族のドラマとして、『歩いても、歩いても』とセットでも観ても面白いかも。
ちなみに、是枝裕和監督曰く、開業医の家庭を描いた『歩いても、歩いても』は小津安二郎的で、
庶民の家庭を描いた『海よりもまだ深く』は成瀬己喜男的。確かに。

チョコレートケーキ2種(+テレビ雑記)

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2016年6月2日(木曜)、お江戸で隠れた人気の情報番組、東京MX『5時に夢中』に、
監督作品『マネーモンスター』のPRで来日したジョディ・フォスターがマサカの出演!と巷で話題。
遅ればせながら、先ほど私も半信半疑でその録画を観る。

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「ジョディ・フォスター出演!」と大風呂敷を広げておきながら、
“ジョディ・ポスター”とかいう物まねタレントが出て来て御茶を濁す、
…等という茶番も、MXなら充分“アリ”かと想像していたが、
いえいえ、ホンモノのジョディ・フォスターが、あの麹町のスタジオに降臨。
出演時間は、ものの数分ではあったけれど、
ちゃんと番組の雰囲気を汲んだ砕けたトークで楽しませてくださった。
綺麗で、しかも、こんな番組にも出る度量の広さを持ち合わせているなんて、ファンになってしまいます。


ちなみに、私がこの放送を録画したのは、なにもジョディ・フォスターだけが目当てだったわけでは無い。
実は、木曜の『5時に夢中』は、ほぼ毎週録画している。と言うのも…

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木曜は、岩井志麻子がレギュラー出演しているから。面白すぎるわ、志麻子センセ。
御下劣も岩井志麻子レベルまで行くと、もう畏敬の念しか湧かない。


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この日は、大人の対応で、ジョディ・フォスターに噛み付くことなく、
借りてきた猫(…いや、ヒョウ?)のようにおとなしかった志麻子センセイ。
当日、衣装にヒョウ柄全身タイツ姿を選ばなかったのも、
ハリウッドスタアより目立ってはならないという配慮だったのかも知れない。
(全身タイツは避けたものの、全身ヒョウ柄ファッションだった事には変わりはないのだが…。)




そして、東京MXで私が継続的に毎週録画しているもう一本の番組といえば、
土曜夜の全編中国語放送番組『明日、どこ行くの!?~明天去哪儿!?』も。

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今一盛り上がりに欠けるため、季節の変わり目の度に、
「もしかして、今度こそ打ち切りかも…」とハラハラしているけれど、なんとか放送続行中。
6月4日(土曜)からは“第2シーズン”と位置付け、
タレント“U(ユー)”こと曾宇璦(ツォン・ユーアイ)がレポートする旅番組に様相を変えた。

この曾宇璦(旧:曾馨嬅)は、金城武の異父兄の娘。
金城武の姪っ子である事は事実でも、血は100%台湾人。
メディアに売名行為とも思える“金城武”の名を出した売り込みを続け、
金城武の所属事務所側から、「金城武の名前を使うな」と釘を刺されたとも言われている。
…にも拘らず、数年前の日本デビューで、やたら「金城武の姪っ子」、「日台混血美女」と宣伝されていたので、
万が一有名にでもなったら、何やらマズい事になるのではないかと思っていた。
ショーンKの学歴詐称なんて可愛いもので、このUなんか“日台混血”と言い続ければDNA詐称だし…。
(日本で彼女のマネージメントをやっている事務所も、
当時もしかして事情をちゃんと把握していなかったのでは…?)


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2015年春、仲間由紀恵主演のHNKドラマ『美女と男子』に、
台湾出身アイドルユニット・Tガールズのメンバーという設定で出演した際、ちょっとだけ話題になった後は、
音沙汰が無いので、日本での活動を諦め、台湾へ完全撤退したものだと思っていた。
そしたら、お江戸ローカル局のマイナー番組とはいえ、レギュラー出演できる事になったのですね。
私が知らなかっただけで、他にも例えば…

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日本で若い女の子に人気の下着メーカーPeach Johnの広告などもやったことがあるらしい。

あと、余談になるけれど…

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映画『GF*BF』(2012年)で張孝全(チャン・シャオチュアン)に育てらてる双子を演じ、
出演ドラマ『幸せが聴こえる~聽見幸福』、『キミをプロデュース~A咖的路』が日本でも放送されている
混血女優・雷瑟琳(ニタ・レイ)とは“一輩子的閨蜜(一生の親友)”と呼ぶほど仲良しみたい。


『明日、どこ行くの!?』に初めて登場した6月4日の放送では、さすがに「金城武の姪っ子」とは紹介されず、
それどころか、他のプロフィールなども一切出されないままでの旅レポであった。
明るく、ざっくばらんな物言いで、日本人がイメージする通りの“台湾の女の子”という印象。
妙な売名行為に走らなくても、素のままで「可愛いのに明るく気さく!」と日本人男性にウケそうな気がした。
このUが初登場する『明日、どこ行くの!?』は、6月7日(火曜)と9日(木曜)にも再放送あり。




他、これから放送の物では、6月11日(土曜)のTBSの番組、
『歴史時空ミステリー 鑑真和上1200年の旅路~東儀秀樹、中国から唐招提寺へ』を録画予約完了。

番組内容は、「千二百年前の奈良時代、仏の教えを伝えるため、命懸けで海を渡り来日した鑑真和上。
今年5月、それを連想させるような壮大な式典が行われた。
姿を現したのは、真新しい2体の鑑真和上像。
その内一体は中国の鑑真ゆかりの寺に納められ、もう一体は船に乗せられ海を渡る。
その一部始終に雅楽師の東儀秀樹が密着!そして寺に隠された幾多のミステリー!
中国揚州から奈良の世界遺産・唐招提寺まで1500kmを旅する」とのこと。

今年5月、そんな壮大な式典が何か有りましたっけ…?そんな報道、見た覚えが無い。
ちょっと調べたら、確かに2016年5月、鑑真が来日した際と同じルートで、新たに作られた鑑真和上座像が
中国から日本に運ばれるというイベントが、日中仏教文化交流促進の目的で、
揚州の文峰寺と、その友好寺院である京都市の壬生寺の共同提案で行われた模様。

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日本ではほとんど見ない極彩色の像。(肌が本当に肌色だし…。)
私個人の趣味では、この手の像は彩色していない方が好みだけれど、
中国からやって来ました!という雰囲気は伝わって来る。
そして、やっぱり出ました、栗原小巻。(→画像中段右)
長年日中の文化交流に貢献している栗原小巻は立派だが、こういう機会に出て来る日本の芸能人が、
何十年も変わらず栗原小巻と谷村新司だけという状況は如何なものか。
もっと若年層の心を掴むような若手の隠し玉が無いと、将来的にマズい気がする(…と言うか、すでにマズい)。

まぁ、今回の番組では、栗原小巻嬢は関係なく、東儀秀樹がレポーター。
私は、以前テレビで、東儀秀樹が自身について「秦の始皇帝の末裔」と言っていたことが忘れられない。
随分大きく出たわよね、ヒデキ。そこまでハッキリ出自を遡れるのかは疑問だけれど、
雅楽をやっている以上、大陸と何らかの所縁はあるのかも知れない。



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あと、台湾を舞台にした日本映画『トロッコ』(2009年)が、明日、6月6日(月曜)、衛星劇場で無料放送。
劇場公開時に一度観て、それっ切りなので、記憶がもうおぼろげ。
普段、衛星劇場は契約していないけれど、この機会に録画して再鑑賞。
最近、ホームドラマチャンネルで出演作『元カレはユーレイ様~我的鬼基友』が放送されている
張睿家(ブライアン改めレイ・チャン)も出ております。




お菓子は、チョコレートケーキを2種。
チョコレートケーキは、これからの季節、少々暑苦しい気もするが、今日は涼しいし、良いのでは。
(東京も、本日午前、梅雨入りしたらしい。)

★ ダロワイヨ:オペラ

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大きさは、だいたい長さ6センチ×幅3センチ×厚さ2センチ。
ビスキュイ・ジョコンドをベースに、コーヒー風味のバタークリーム、ガナッシュ、チョコレート、グラサージュ等を
7層に重ね仕上げたケーキ。




ひとつめは、ダロワイヨ(公式サイト)の看板商品、“オペラ”
オペラは、今では多くのお店で売られている定番チョコレートケーキだが、元祖はダロワイヨ。
ダロワイヨのパリの本店が、オペラ座に近いフォーブルサントノーレにあることや、
金箔で飾った華やかさが、オペラ座に集う貴婦人を連想させることから、
“Opéra オペラ”と名付けられたという(←諸説あり)。

日本だと、自分でカットして食べる正方形の物以外に、
すでに小さくカットされたオペラが、箱に入った状態で売られている。
この箱入りプチ・オペラ、5個入りでお値段が千円(税抜き)とお手頃だし、賞味期限も3~4日あるから、
“取り敢えず甘い物を何か”という時に、気負わずに買えて便利。

冷蔵庫で保管していたため、表面に汗かいちゃって、あまり良い画像ではないが、お味は悪くない。
チョコレート、コーヒー、ナッツの風味がバランスよく融合し、
ただのチョコレートケーキより、濃厚で深い味わい。

味は良くても、なにぶん小さい。
このジャパニーズ・サイズ一個では、日本人離れした激甘党の私には物足りず、
最低でも一回に2個は食べるから(本当は一遍に5個全て平らげることも可能だが、自制)、結局不経済かも。

★ ベルアメール:パッション・ラクテ

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大きさは、だいたい長さ11センチ×幅3センチ×高さ3.5センチ。
パッションフルーツ・ジュレを、ビスキュイ・ジョコンド、フィアンティーヌなどと共に
ミルクチョコレート・クリームで覆い、四角くカットしたケーキ。




こちらは、ベルアメール(公式サイト)“パッション・ラクテ”
2016年5月にオープンした紀尾井町店限定の商品。

ショコラティエのケーキらしく、メインはチョコレートのクリーム。
柔らかな甘さのミルクチョコレートに、パッションフルーツの酸味が効いている。
間にちょこっと入っているフィアンティーヌの層もミソで、これが歯応えのアクセントに。

割りとよくあるチョコレートケーキだと思い、あまり期待せずに食べたのだが、
お口にトロピカルな味わいが広がり、なかなか美味。
販売期間は、今のところ未定とのこと。
パッションフルーツを使った夏らしいチョコレートケーキだから、取り敢えずあと1~2ヶ月は有るかも。

映画『若葉のころ』

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【2015年/台湾/110min】
娘・白白を連れ、コンサートへ出向いたシングルマザーのピアノ教師・王蕾は、
その会場で、偶然、林克銘の姿を見掛ける。
林克銘、それは王蕾がまだ17歳だった頃、淡い想いを寄せた初恋の人。
それから約30年が過ぎ、自分はまったく変わらない林克銘に気付いたのに、彼は私に気付かなかった…。
林克銘に宛てた、そんな甘く切ない気持ちを、出すことの無いメールに綴る王蕾。
間も無くして、王蕾は交通事故に遭い、命こそ取り留めたものの、意識不明に陥ってしまう。

一方の林克銘は、未だ独身のインテリアデザイナー。
恋人の淇淇から結婚を迫られるも煮え切らず、結局破局。
学生時代からの大親友・小胖は、女性といつもこんな調子の林克銘をたしなめる。

その頃、王蕾の一人娘・白白は、密かに両想いだと信じていた葉中樹が、
親友の雯雯と密会している現場を目撃してしまう。
気持ちを処整理できず、途方に暮れる白白は、母のパソコンの中に、一通の未送信メールを見付ける…。



台湾の周格泰(ジョウ・グータイ)、初の長編監督作品。

長編は初監督でも、MVでは有名な監督さんで、これまでに手掛けたアーティストは数知れず。
梁靜茹(フィッシュ・リョン)の<崇拜>では、
2008年、第19回金曲獎・最佳音樂錄影帶獎(最優秀MV賞)を受賞。
私でも知っているの物だと、周杰倫(ジェイ・チョウ)の<回到過去>とか。
御膝元・台湾はもちろんのこと、香港の大物、劉華(アンディ・ラウ)や莫文蔚(カレン・モク)、
大陸の人気シンガー李宇春(クリス・リー)等々のMVも撮り、幅広く中華圏全土で活躍。
周格泰監督のMVは、ストーリー性が有ったり、登場人物の会話や周囲の環境音が入ったり、
また、カメラをあまり動かさずに撮影するなど、映画的な特徴があると言われる。
そんな周格泰監督が、長編映画を手掛けるのは、必然だったのかもね。


その長編処女作の原題『五月一號』は、イギリスのヴォーカルユニット、ビージーズ(The Bee Gees)が
1960年代末にリリースした曲<The First of May>の中文タイトル。
映画の日本語タイトル『若葉のころ』も、ビージーズの曲の日本語タイトルをそのまま流用。

周格泰監督は、ビージーズのその歌の、特に「When I was small, and Christmas trees were tall.
Now we are tall, and Christmas trees are small.(僕が小さかった頃、クリスマスツリーは大きかった。
今もう僕らは大きく、クリスマスツリーは小さくなった)」という部分の歌詞に感銘し、
20年来心の中に温めてきた物語を、女性作家・袁瓊瓊(ユアン・チュンチュン)に脚本にしてもらったという。

余談になるが、袁瓊瓊の元夫は、張作驥(チャン・ツォーチ)監督作品『夏休みの宿題』(2013年)に
主人公のおじいさん役で出演している詩人の“管管”こと管運龍(グワン・ユンロン)。



物語は、バツイチのシングルマザー王蕾が、初恋の林克銘を偶然見掛けたことで蘇る80年代の日々と、
その王蕾の娘・白白の現在進行形の恋、二つの時代、二人の17歳の初恋を描くラヴ・ストーリー

現代と80年代が並行して描かれるが、大方の想像通り、17歳の初恋は必ずしもワクワク楽しいだけではない。
現代の17歳・白白は、自分に一途だと思っていた葉中樹を、親友に取られたと誤解し、傷付く。
白白の母である80年代の17歳・王蕾の淡い恋は、お相手・林克銘の退学で消滅。

実らなかった甘酸っぱい想い出だからこそ忘れ難くもあり、懐かしくもあるのか、
約30年後、偶然林克銘を見掛けた王蕾は、彼にメールを送ろうとするも、事故で意識不明に陥ってしまう。
その頃、恋に悩んでいた娘の白白は、母のパソコンから、その未送信メールを見付け、
今の自分と同じ17歳だった頃の母の恋を垣間見る。そして、母に成り済まし、林克銘に「会いたい」と送信。

こうして、ついに80年代と現代が交差。
本作品は、それぞれに初々しい2ツの時代の初恋を描く青春映画であるばかりか、
延々と30年も引きずる想い出から抜け出せない、“若葉のころにすがる枯れ葉”とでも呼びたくなる
未練がましい“かつての17歳”を描く懐旧の物語の側面ももつ。



本作品は、2ツの時代を描いているという事で、ノスタルジー溢れる80年代の台湾を覗ける楽しみも。
近年の台湾、特に台北のような大都市は、日本の東京とももはやそう変わりが無いけれど、
ちょっと前の時代は別世界。
これは、“ひと昔前”を描く台湾の映画やドラマを観て、いつも思う事だが、
台湾の“ひと昔前”が、日本の“ふた昔前”くらいに感じられる。
本作品が描く“80年代”は、まだ戒厳令下の時代と推測(戒厳令は、1987年に解除)。
そんな事情もあり、日本の80年代とは益々雰囲気が異なるのかも。

ひとつ気になってしまったのは、建物の壁に貼ってあった大きな『風と共に去りぬ』(1939年)の看板。

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いくらノスタルジックな雰囲気を出す演出だったとしても古過ぎるのでは。
もちろん、“名画座で上映中”という設定なのかも知れないけれど、
どうせだったら、もっと80年代の台湾を感じさせる映画の看板にして欲しかった。
ちなみに、『風と共に去りぬ』の中文タイトルは『亂世佳人』だったのですね。
なんか、戦国時代を駆け抜けた姫君の激動の人生でも描いていそうな壮大なタイトル。





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主演は、“初恋青春映画”として観るなら、現代の17歳、“白白”こと沈亦白と、
17歳の頃の母・王蕾を一人二役で演じる程予希(ルゥルゥ・チェン)

二人の17歳に扮する程予希は、実のところ、役よりずっと年上で、1988年生まれの27歳。
その年齢の割りには、出演作が少なめ。
彼女が、しっかりメインキャストとして出演しているのを観たのは、韓ドラの台湾版リメイクで
男装の主人公を演じた『美男ですね Fabulous☆Boys~原來是美男』くらい。
正統派アイドル顔ではなく、どちらかと言うと個性的な顔立ちだから、
台湾偶像劇で求められるタイプではないのかも知れない。
本作品は、銀幕デビュー作。スクリーンの中の程予希は、テレビドラマで見るより、ずっと魅力的!
清潔感があり瑞々しい彼女は、日本人が求める“台湾映画のヒロイン”だと思う。

過去の代表作『美男ですね』では、妹と兄(…と言うか、男装して兄に化けた妹)という一種の一人二役を演じ、
本作品では、17歳の娘と、17歳だった頃の母という、これまた特殊な一人二役を好演。
特に、80年代の17歳を演じている時のワカメちゃんカットの程予希はキュート。

但し、このワカメちゃんカットは、本人が好きこのんでやっている訳ではなく、
法律に則した(!)合法ヘアスタイル(…!!)。
台湾では、1969年(民國58年)に教育部が、中高校生の髪型に関する法規“髮禁”をスタート。
1978年(民國67年)には、男子は三分刈り、
女子は耳の下で切り揃えた西瓜皮(おかっぱ頭)にする事と制定。
この法律は、1987年(民國76年)、戒厳令の解除と共に消え、
以後、髪型に関するルールは、各学校にお任せとなって、今に至る。

そんな訳で、本作品と限らず、その時代を描いた台湾の作品では、女学生のおかっぱ頭はお約束。

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画像左は、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督作品『恋恋風塵』(1986年)、
右は、2008年の大ヒットドラマ『光陰的故事~Time Story』
その昔、『恋恋風塵』を初めて観た時、男の子・謝文遠の制服姿が、サファリスタイルっぽいと思った。
が、実は、これも、サファリと言うより、“髮禁”時代特有のスタイルらしい。
当時、帽子は、お洒落したいお年頃の男の子が、ダサい刈り上げ頭を隠すための救世主的アイテムとして、
よく被られていたんだと。
台湾の人々は、映画やドラマで、登場人物のこういう髪型や帽子を見ただけでも、
遠い“髮禁”時代に想いを馳せるのかも知れない。



話が反れたので軌道修正して、キャストについて。

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もしこの映画を“若葉のころにすがる未練がましい枯れ葉”の物語として観るなら、主演俳優は、
シングルマザーのピアノ教師・王蕾に扮する賈靜雯(アリッサ・チア)と、
王蕾の初恋のお相手で、インテリアデザイナーの林克銘に扮する任賢齊(リッチー・レン)

任賢齊は、歌手というより、もうすっかり俳優のイメージで、近年香港映画を中心によく見るが、
賈靜雯の方は、演じている姿を目にする機会は非常に少なく、
私が観た出演作は、恐らく大陸ドラマ『二人の王女~太平公主秘史』くらい。
出演作よりプライベートのニュースで目につき、昨年、9歳年下の修杰楷(シュウ・ジエカイ)と
コブ付きで2度目の結婚を果たしたのには、驚かされた。
本作品で扮する王蕾は、物静かな性格な上、早々に事故で寝たきりになるし、
しかも、娘時代を演じる程予希が輝いているため、やや影が薄い。




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若手キャストでは、現代パートから、白白を好きな男の子・葉中樹に鄭暐達(アンダーソン・チェン)
白白の親友・“雯雯”こと張懷雯に邵雨薇(シャオ・ユーウェイ)
80年代パートから、17歳の林克銘に石知田(シー・チーティエン)
王蕾の親友・蔡桃桂に楊又穎(シンディ・ヤン)

男の子は、どちらも今後人気者になりそうな感じの子。
“石知田”って、日本人感覚からすると、なんか字ヅラが、全部名字っぽくて(笑)、記憶に残る。
私は未見の話題作、『軍中樂園』と『我的少女時代』にもチラッと出ているそう。
古風な雰囲気が良い。

鄭暐達扮する葉中樹も、同世代の女の子よりピュアで一途な感じがとても良いのだけれど、
ホテルで服を脱いだ時、あっちゃぁー、やっぱり有りました、背中にタトゥ。台湾明星のタトゥ率、高すぎっ…!
それも今どきのリアルな台湾文化と受け止めるべきなのだが、日本人の感覚からすると、
女の子に押し切られちゃうようなピュアな少年の背中に彫り物なんか有ったら、一気に興醒めなのよ。
俳優をやるなら、どんな役にでも対応できるよう、刺青は目立たない場所に入れて欲しい。

女の子では、80年代パートに登場する王蕾の親友・蔡桃桂が可愛らしいのだが、
演じているのは、昨2015年、ネット上の誹謗中傷に傷付き、24歳で自ら命を絶ってしまった楊又穎である…。
残念ながら、本作品が遺作。可哀相に。仕事も人生もこれからだったのに…。御冥福を祈ります。




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あと、気になるキャストは、林克銘の恋人・淇淇に楊淇(ケイト・ヨン)、林克銘の父親に王道(ワン・ダオ)
80年代パートの高校の英語の先生・陳修如に王宇婕(マーガレット・ワン)
生活指導主任・張楷良に庹宗華(トゥオ・ツォンホァ)などなど。

香港の楊淇は、未だに『花蓮の夏』(2006年)の高校生のイメージが鮮明なため、
30歳を超え、恋人・林克銘に結婚を迫る女性を演じていてる姿を見て、時の流れをひしひしと感じた。
そして、顔の変化もビシバシ感じた。鼻ガッツリいじったでしょ…?!人工進化が露骨すぎる…。
ちなみに、林克銘と破局した彼女の次の恋を予感させる混血イケメンJohnson役で登場するのは、
同じく香港出身の明星・白梓軒(トム・プライス)。

林克銘の父親は、80年代も現代も同じ俳優・王道が演じている。
王道は、昨2015年、96歳で亡くなった王玨(ジョージ・ワン)の息子。(『グランド・マスター』が遺作?)
近年、台湾偶像劇の社長だの病院長だのの役でお馴染みだが、
今回スクリーンで見たら、とても映画が合う俳優さんに思えた。もっと映画に出れば良いのに。

林克銘にビージーズのレコードを贈る英語の先生で、
男子生徒たちから“女神”と呼ばれる陳修如に扮している王宇婕は、
女性アイドルユニット七朵花(7Flowers セブンフラワーズ)の元メンバー。
当時のお仲間・陳喬恩(ジョー・チェン)は、近年大陸を中心に活動し、大人気だけれど、
王宇婕は見る機会が無かった。台湾では今でも“女神”と呼ばれる男子憧れの存在なのかしら。

庹宗華が演じているのは、台湾の学園モノに必ずといってよいほど登場する
生徒の規律を正す厳しい生活指導の先生なのだけれど、
最後の最後で、自分自身の風紀が乱れまくっていたので、驚いた。
乱れるなら、場所選べヨ、と言いたい。


他にも、カメオ出演程度に、あーんな顔や、こーんな顔が多数出演。
幕開け早々、“台湾の爵(しゃく)ちゃん”こと嚴爵(イェン・ジュエ)がピアノ弾いております。




テレビの台湾偶像劇に近いベタなラヴストーリーを想像していたので、あまり期待していなかったのだが、
案外アッサリしたテイストで、なかなか。
特に映像が良く、ワンカット、ワンカットが絵になる。
清々しい木々の新緑や光は印象的で、台湾映画らしさを感じる。

…が、しかし、本当なら大好きな一本になりそうな作品なのに、そこまで夢中になれず、
一歩引いた場所から冷めた目で見てしまった。
それは、私がすでにスレ切った超現実的なオンナであるからに他ならない。
これ、“原案が男性”とモロ分かりの作品。周格泰監督は、筋金入りのロマンティストに違いない。
任賢齊扮する林克銘は、一体何歳なのだか。大体50歳前後であろう。
その年で、初恋を30年引きずるって、どーヨ…?!
そもそも、初恋の女性が30年後に“賈靜雯(アリッサ・チア)状態”を保っているなんて、ファンタジー。
現実なら、その初恋の女性は、かなりの確率で、あき竹城や柴田理恵のようなオバちゃんになっていますから!
で、そのオバちゃんは、初恋の男の子の事なんて、とーーーっくの昔に綺麗サッパリ忘れ、
お煎餅バリバリ食べながら、ドラマの中の韓流スタアとのおデートを妄想していたりするワケよ。
この映画は、女性より、若葉のころを美化しているドリーマーな中年男性たちに是非おススメしたい。

でも、まぁ、台湾の80年代の学生生活を覗けるのは、それなりに興味深かった。
例えば、映画の中の学校には、日本では見たことがないお弁当保管ルームが有る。
冷めた物を食べないという習慣や、物が腐り易い南国ならではの設備だと納得。


ちなみに、私がシネマート新宿に本作品を観に行った初日の初回では、
終映後に、周格泰監督の舞台挨拶があった。

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周格泰監督は、紺のコットンシャツにジーンズ、足元は赤いスニーカー、
右腕にはナイキのリストバンドというラフなスタイルで登場。
15分程度だったので、そんなに突っ込んだ話は出なかったが、
程予希をキャスティングした理由を聞かれ、「監督と俳優は縁と直感が大切。
彼女は外見はクールだけれど、目の奥に情熱を感じた。とても双子座っぽい女の子」と周格泰監督。
双子座だったら、どうなのだろう…?
星座占いとか、星座による性格判断などこれっぽっちも信じていない私には、よく分からない。
やはり周格泰監督は、私より余程オトメだと改めて感じた。

最後にシネマート新宿に一言。冷房がキツ過ぎますっ…!館内が、まるで大きな冷蔵倉庫。
そこにジッと保管されているハムや乳製品の気持ちがよく分かった…。

和菓子3種(+テレビ雑記)

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2016年6月10日、チャンネル銀河での放送を終了した日中合作ドラマ『蒼穹の昴~蒼穹之昴』
すでに一度観ているので、今回はスルーするつもりでいたが、放送最終週分だけ録画し、先程鑑賞終了。
最終週でキーパーソンとなるのは、実在の人物、袁世凱(1859-1916)と康有為(1858-1927)。
一度目の鑑賞の時は、あまりにも有名な袁世凱と比べ、
知名度のやや落ちる康有為には、さほど注意を払っていなかった私。

時の皇帝・光緒帝は、この康有為に啓蒙され、改革を試みるも失敗し、慈禧(西太后)により幽閉、
康有為は日本人の手引きで日本に亡命するところまで、ドラマで描かれている。

今回、2度目のドラマ鑑賞で、いきなり康有為が気になったのは、
約2年前、軽ーく康有為のお宅訪問(?)をしたからに他ならない。(→詳しくは、こちらを参照
康有為がかつて暮らした家は、状態の良い四合院で、形を変え、北京に未だ存在。
康有為故居をエントランスとした高級レジデンスに生まれ変わっているのだ。
そして、その一室を、お誕生日プレゼントとしてパパ成龍(ジャッキー・チェン)から贈られた
房祖名(ジェイシー・チャン)が、友人の柯震東(クー・チェンドン)と共に、
薬物使用で御用となった曰く付きの場所。
清朝から成龍まで、こんな風に繋がっているのですね~。
古い物がどんどん取り壊され、姿を消していると言われる北京だけれど、
気にして散策しないと、見落としてしまうような歴史の痕跡があちらこちらに有って、やはり面白い。




ついでに、近々放送予定のテレビ番組をいくつかピックアップ。

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一本目は、明日、6月13日(月曜)、NHK BSプレミアムで放送の映画『恋する惑星』
ラヴ・ストーリーの傑作。大好きな作品で、DVDもなぜか2枚持っているのだが、それでも録画予約。
…と言うのは、NHKが独自に付けた字幕版で放送するのではないかと想像しているから。
例えば、金城武の台詞で、劇場公開版では、名前が伏せられている山口百恵と三浦友和が、
NHK版では、確か出ていたような気がするのだ。実際のとこ、どうでしたっけ…?




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同日13日(月曜)は、NHK Eテレの『グレーテルのかまど』も。
この番組は、今週と来週、2週に渡り、台湾の甘味を紹介。
“ヘンゼル”こと瀬戸康史が、まず挑戦するのは、タピオカミルクティー。
次週は、一青妙の母との想い出の味、豆花を作るという。




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最後は、6月19日(日曜)、NHK BSプレミアムで放送の『桃源紀行』
最近、再放送ばかりだったが、ようやく新作で、取り上げるのは安徽省の合肥(ごうひ)。
<三国志>に出てくる“合肥の戦い”の場所だが、番組でどのように取り上げるのかは、まだ分からない。
いくつかの画像で見る限り、今はかなりモダンな街に生まれ変わっているようだ。




お菓子は、和の物ばかりで、まぁまぁ品の良いものを3種。

★ とらや:ホールインワン

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大きさは、直径約4センチ。
ゴルフボールを模した白い皮の中に、こし餡を詰めた最中。




一つめは、とらや(公式サイト)の“ホールインワン”
見ての通り、ゴルフボールにそっくりな最中。
この商品、結構歴史は古く、大正15年(1926年生まれ。
ゴルフがまだ限られた階層のスポーツだった頃に誕生し、斬新な和菓子として評判を呼んだという。
今は、ホールインワンを出した時のちょっとした記念品としても人気。
これも、どなたかのホールインワン記念で、父がもらってきた物。

大きさも、まるでゴルフボールなので、とらやの通常の最中より小さく感じる。
しかし、一般的な最中が平べったいのに対し、これは球状なので、実は見た目の印象より量はたっぷり。
中には、やや硬めのしっかりした餡が、隅っこまでギッシリ。

普段、自分でとらやの最中を買うなら、他のを選んでしまうので、たまにはこういうのも良し。
箱の絵柄もレトロで可愛らしい。

★ 長門屋本店:香木実

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大きさは、直径約2.5センチ。
鬼くるみを餡で丸ごと包み、表面に黒糖をまぶした茶席菓子。




続いて、会津のお菓子屋さん、長門屋本店(公式サイト)“香木実”
これで“かぐのきのみ”と読む。
いつもどこかでお茶席が催されているという土地柄だからこそ、
より会津らしく、お茶席に出される品格のある和菓子を!と考案されたという。

“長”の焼き印が押されたなんとも立派な木箱に、和紙で包まれた小さなお菓子が17個入り。
プレゼンテーションが上品。
見た目の良さだけではなく、通気性の良い素材がこのお菓子の保存に最適という理由で、
木箱を使っているらしい。

肝心のお菓子は、見た目がチョコレートのトリュフのよう。
(但し、色は、チョコのトリュフより明るい茶色。)
銅鍋に火を入れてから、職人が3時間付きっ切りで炊き上げるという餡は、甘さ控えめで、あっさり。
中に入っているのは、地元・会津の特産、鬼くるみ。
とても軽く、サックリした食感。

表面に黒糖がまぶされているので、もっとコックリ、…悪く言えば、クドイ甘さのお菓子なのかと思っていたら、
割りとライトな甘さで、それでいて味に適度な深みも。
変なクセがなく、どんなお茶にも合いそう。

★ 音羽堂:加賀 紫雲石

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大きさは、だいたい3.5センチ角×厚さ2センチ。
ふっくら炊き上げた大納言小豆を、寒天でまとめたお菓子。




最後は、音羽堂(公式サイト)“加賀 紫雲石”

小豆を寒天でまとめた、いわゆる“錦玉”。
但し、“しゃらす”と呼ばれる、まわりを乾燥させ、ジャリッとした食感の一般的な物と同じにしないため、
かなり工夫して作られているという。

主役である丹波産の大納言小豆は、ふっくら炊いて、蜜漬けに。
その小豆を、“繋ぎ”程度に寒天で寄せ、粉をはらい、半日乾かし、薄皮を張らせ、
摺りガラスのように半透明に仕上げている。

確かに、薄ーい表層だけサクッとした食感で、中の寒天は柔らかでツルンと舌触り。
小豆は、ひと粒ひと粒がふっくら。

上品でシンプル。小豆を美味しく味わえる。
皇太子殿下お買い上げの品とのこと。

勝手に上海電影節ファッションチェック2016♪

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今年で19回目を迎える上海國際電影節(上海国際映画祭)が、2016年6月11日(土曜)に開幕。

この映画祭は、昨年、東京国際映画祭と協力提携を締結。
東京国際映画祭は、領土問題勃発以降、大陸は勿論の事、台湾、香港からも明星の参加が、
分かり易いほどパッタリ無くなったので、この協力提携発表を機に、状況が一気に変わるかと期待もしたが、
実のところ、昨秋10月に開催された第28回東京国際映画祭では、大した変化は感じられなかった。
ただ、一時期から比べれば、たとえ僅かでも前進で、
こういう所から少しずつ状況が改善されていくと良いのになぁ~、…と今後に微かな期待も無きにしも非ず。

一方、この上海国際映画祭は、初回が1993年と、歴史はまだ浅い。
私も、以前は、地味な映画祭という印象を抱いていたけれど、近年どんどん華やかになり、
今年は上映本数も、昨年の約290本から、約600本に激増。
それに伴い、日本映画も27本も上映され、
内、最高賞・金爵獎を争うコンペティション部門には阪本順治監督最新作『団地』が入選。
また、コンペ外のドキュメンタリー部門の審査委員長が、
『ゆきゆきて、神軍』(1987年)でお馴染みの原一男監督だったり、
アニメーション部門の審査員に『名探偵コナン』シリーズの静野孔文監督、
アジア新人賞部門の審査員に『淵に立つ』の公開が待たれる深田晃司監督が居たり、
また、そのアジア新人賞部門・最優秀作品賞に阿久根知昭監督の『はなちゃんのみそ汁』がノミネート、
同部門、最優秀男優賞に『ピンクとグレー』で中島裕翔がノミネート等々、日本もかなり絡んではいる。
これも、東京国際映画祭と提携した事が、少しは関係しているのだろうか。

でも、開幕式の様子を観ると、人気スタアをガンガン送り込んでいる韓国と違い、日本の存在感は極めて薄い。
そこそこ名の知れた俳優で、レッドカーペットを歩いたのって、
同時開催の2016上海・日本電影周で『縁』が上映される平岡祐太くらいではないか…?
しかも、大して話題にもなっていないようだし、寂しい限り…。



気を取り直して、当ブログ恒例の“勝手にファッション・チェック”を。
これまで、他の映画祭、音楽祭などは取り上げてきても、上海国際映画祭はお初です。

★ 男子の部

今回の上海国際映画祭にも、素敵な装いの殿方は沢山いたけれど、
男性のファッションは女性に比べヴァリエーションに乏しく、
しかも、シックで素敵になればなるほど、フツーっぽいので、面白みに欠けてしまう。
なので、男性編はスルーしようかとも思ったが、ここには、趣味の良し悪しは関係なく、
笑えるかどうか、…いや、スミマセン、“印象に残る”かどうかという基準だけで、4名セレクト。


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吳亦凡(クリス・ウー)

元・韓流アイドルユニットEXOの中国人メンバー、吳亦凡。
脱退にあたり、韓国の事務所と契約問題で裁判沙汰になっても、人気は衰え知らずで、
昨年から映画出演目白押し。
今回は、作家・郭敬明(かく・けいめい)が、自著を自ら監督し、豪華キャストでも話題の映画、
『爵跡~L.O.R.D: Legend of Ravaging Dynasties』に出演していることで、上海国際映画祭に参加。
この闘牛士、もしくは鼓笛隊と見紛うお召し物は、バルマンの2016F/Wコレクションのお品。
合わせた時計や指輪は、全てブルガリ。
なんか、韓流に一度足を踏み入れちゃった人って、独特の金満オーラ、もしくはホスト臭のどちらかを
(または両方を)必ず醸すわよね。



黃子韜(タオ)

こちらも、もはや韓国人より韓国人らしい容貌の元EXOメンバー。
吳亦凡と同じように、韓国の事務所を相手に、専属契約不履行の訴訟を起こしているが、
大陸での活動には何の支障も無く、むしろ順調と見受ける。
今回、上海国際映画祭に参加したのも、成龍(ジャッキー・チェン)主演のアクションコメディ、
『鐵道飛虎Railroad Tigers』に出演しているため。
その映画、ぜんぜん興味無いけれど、『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす』で惚れた
“靖王”こと王凱(ワン・カイ)も出ているから、ちょっと観てみたい…。(ちなみに、王凱は、この日欠席。)
話戻って黃子韜クン、この日のお召し物は、ベルギーの人気デザイナー、アン・ドゥムルメステールで。




何潤東(ピーター・ホー)

何潤東は、最新主演作『魔輪~The Precipice Game』の共演者、林心如(ルビー・リン)と仲良く登場。
葉巻とブランデーグラスを手に、ロッキングチェアでくつろぐ男を彷彿させる、この不動産成金風情、
ど、ど、ど、どうしてしまったのでしょう…??!
中華圏一とも言われた立派なボディをもつ何潤東でさえも着こなしきれない高難易度のお召し物は、
Jinliang Lin(林進亮)という大陸のデザイナーの物らしい。
中国で春節の時などに、入り口に貼る門番の神様“門神”からインスパイアされたコレクションのお品なのだと。



鐘漢良(ウォレス・チョン)

大陸に活動の場を広げ、大人気の香港明星・鐘漢良は、
杜峰(ジョニー・トー)監督最新作『三人行~Three』で共演している同郷の古天樂(ルイス・クー)と登場。
なんか、ヨーロッパのレストランで働いているお給仕の人みたい…。
普段、もっとカッコイイのに、どうしてしまったのか。
思わず、「メニュー、ぷりーず」と呼び止めたくなりましたわ…。

★ 女子の部:その① ブラック

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劉濤(リウ・タオ)

霓凰郡主~!『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす』の日本初放送が終了し、もう随分経つのに、
未だ『琅琊榜』関連ワードで当ブログを訪れる人々は非常に多い。かつて無い現象。お化けドラマです。
そんな神劇『琅琊榜』で霓凰郡主を演じた劉濤は、ドラマ女優のイメージが強いけれど、
この日は、エルマンノ・シェルヴィーノの黒いガウン姿で、かの成龍(ジャッキー・チェンとお手々を繋いで登場。
マーティン・キャンベル監督最新作で、成龍&ピアース・ブロスナン主演の英中合作映画、
『普通人~The Foreigner(仮)』に、劉濤も重要な役で出演が決定したとのこと。
世界進出も決まり、おめでたいところだが、この日ちょっと残念だったのは…

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先輩女優・陶虹(タオ・ホン)とお召し物が色違いでカブッてしまったこと。
誰が何を着て出席するって、事前に調べられないのだろうか…?
皆さまは、どちらの女優の着こなしがお好みでしょうか。
なお、映画ファンには馴染みが薄いであろう劉濤については、こちらの“大陸美女名鑑”を参照に。



唐嫣(ティファニー・タン/タン・イェン)

香韓合作映画『賞金獵人~Bounty Hunter』の共演者、
李敏鎬(イ・ミンホ)、鐘漢良(ウォレス・チョン)らと姿を現した唐嫣は、
スリムなボディにヴィヴィアン・ウェストウッドのシンプルなガウンをまとい、
手にはロジェ・ヴィヴィエのクラッチバッグ。
アグレッシヴなイメージが強いヴィヴィアン・ウェストウッドだけれど、唐嫣が着ると良い意味でおとなしく、上品。
唐嫣は、もう一本の新作『大活西游3~A Chinese Odyssey3』のチームと現れた時の
(↓)こちらのお召し物もお似合い。

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こちらは、アレクシ・マビーユのオートクチュール。足、細~い!
普通の人が穿いたら“小洒落た腰ミノ”以外の何物でもないミニスカートもお似合い。
一緒に写っているのは、共演者の韓庚(ハン・グン/ハンギョン)。
“契約問題で裁判沙汰になっても韓国アイドルユニットを脱退し、成功した中国人”のはしりとも言える韓庚も、
もう32歳だってー。

ちなみに、唐嫣が付けているジュエリーは、どちらもTESIRO通靈珠寶の品。
日本では聞かない名前だが、中国の大物実業家・沈東軍(リチャード・シェン)が、
ベルギーのユーロスターとの提携で設立した新進のジュエラーで、有名スタアに自社製品を付けさせたり、
ベルリン国際映画祭の公式ジュエラーになったりと、近年力を伸ばしているようだ。
唐嫣は、そこのイメージキャラクターを務め、
主演ドラマ『克拉戀人~Diamond Lover』にも多くの商品が提供されているらしい。



趙薇(ヴィッキー・チャオ)

スイスの時計メーカー、ジャガー・ルクルトのブランド・アンバサダーを務める趙薇は、
同ブランドと上海国際映画祭の提携が6年になるため、
監督作品第2弾『沒有別的愛』の撮影を一旦お休みして、開幕式に出席。
趙薇のお召し物は、胸のカットなどが、唐嫣の物と少し似た印象だが、
こちらはアレキサンダー・マックイーン2016プレフォール・コレクションのお品。
左腕に付けている時計は、もちろんジャガー・ルクルト。
ちなみに、現在撮影中の趙薇監督作第2弾には…

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水原希子も出演。水原希子ってさぁ、オイシイとこ、ちゃんと押さえているわよね。

★ 女子の部:その② モノトーン

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佟麗婭(トン・リーヤー)

錫伯(シベ)族の女優・佟麗婭は、『驚心破~Heartfall Arises』の共演者、
謝霆鋒(ニコラス・ツェー)、劉青雲(ラウチン・ワン)らと共に、
ヴィヴィアン・ウェストウッドのグレーのガウンで登場。
徐克(ツイ・ハーク)監督作品『タイガー・マウンテン~雪原の死闘』(2014年)出演以降、
香港映画人とのコラボが続いております。
この佟麗婭、今年1月末、夫で俳優の陳思誠(チェン・スーチェン)との間に息子を産んだばかりなのに、
相も変わらずこの細さ!ちょっと痩せ過ぎという気も…。
ストーンとストレートなラインのお召し物だと、貧相に見えちゃうだろうから、
これくらい下半身にボリュームのある物で正解かも。



林心如(ルビー・リン)

つい最近、年下の男優・霍建華(ウォレス・フォ)との交際を公けにした40歳の林心如は(→参照)、
新作映画『魔輪~The Precipice Game』のために、共演者の何潤東(ピーター・ホー)と登場。
お召し物は、トルコ出身のデザイナー、タリク・エディズのお品。
ブラウスとスカートを合わせているように見えるけれど、くっ付いているイヴニングドレスらしい。
アメリカのサイトで、1352ドルで売っているのを発見。芸能人がこのようなイベントで着用する物としては、
かなりお手頃価格だが、スラーッと長身に見え、お似合い。
合わせているジュエリーはブルガリ。自身が、ブルガリの宣伝をやっている関係だと思う。
ブルガリを身に付けた林心如の写真が貼ってあった。



舒淇(スー・チー)

大親友・林心如の交際公開に触発されたのか、
長年交際を否定し続けてきた馮倫(スティーヴン・フォン)との親密写真を公開し、
やっぱり付き合っていたのか?!と改めて噂されている舒淇は、
『我最好朋友的婚禮~My Best Friend's Wedding 』の宣伝で、全身真っ白コーディネイトで登場。
靴は、イタリアの人気ブロガー、キアーラ・ファッラーニが興したシューブランドの物、
ジュエリーはブルガリの物と分かっているけれど、服はどこのお品か不明。
いつもお洒落な舒淇だが、これはイマイチに感じる。なんかさぁ…

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フーテンの寅さんを重ねてしまうのは、私の中に流れる日本人のDNAゆえか…?
ちなみに、『我最好朋友的婚禮』は、英語タイトルを見ても分かるように、
ハリウッドのヒット作『ベスト・フレンズ・ウェディング』(1997年)の中華版リメイク。
舒淇が演じているのは、オリジナル版でジュリア・ロバーツが演じた主人公。
ダーモット・マルロニーが演じたお相手は、馮紹峰(ウィリアム・フォン)が演じる。
上海国際映画祭に全身真っ白で登場したのは、新作映画のお嫁サマをイメージしたのでしょうか。

★ 女子の部:その③ カラー

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郭采潔(アンバー・クォ)

台湾でずっとまったりしていそうな郭采潔だが、最近は大陸とのお仕事にも積極的で、
この日も、『冲天火~Sky On Fire』、『爵跡~L.O.R.D: Legend of Ravaging Dynasties』と
2本の出演作を引っ提げ登場。
『爵跡』チームと登場した時の、ヨージ・ヤマモトの全身ブラックはまだ良かったのだけれど、
『冲天火』チームと登場した時の、こちらのステラ・マッカートニーは、ビミョーかも…。
なんか、スケルトンタイプの疑似餌を彷彿させます…。



范冰冰(ファン・ビンビン)

范冰冰、来たーーーっ…!
彼女は、郭采潔も出ている、その『爵跡』の主演女優でもあるが、
他にも、成龍(ジャッキー・チェン)との共演作『絕地逃亡~Skiptrace』や、
李連傑(ジェット・リー)をはじめとした豪華キャストの『封神傳奇~Gods legend』といった作品が
紹介されるため、連日違った最新ファッションに身を包み、目を楽しませてくれている。
今回、私がここに出したのは、開幕のレッドカーペットで着た、スペイン発のブランド、デルポゾの物。
デルポゾって、変わったカットのデザインが多いのだけれど、これも胸当て(?)がエリマキトカゲっぽいワ。



劉亦菲(リウ・イーフェイ)

昨夏、交際を公けにした韓流スタア宋承憲(ソン・スンホ)と、もう別れただの、いやまだ付き合っているだのと、
色々噂が絶えない劉亦菲は、2本の出演作『致青春·原來你還在這裡』と
『三生三世十里桃花』を携え、映画祭に参加。
画像のお召し物は、『三生三世十里桃花』の共演者・楊洋(ヤン・ヤン)らと登場した際の、ディオール。
これ、2015S/Sのコレクションの物で、当ブログに以前からお越しの方は、お気付きかと思いますが…

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昨年のカンヌ国際映画祭で、楊穎(アンジェラベイビー)が着ていた物と同じシリーズ。(→参照
私でさえ気付いたのに、劉亦菲のスタイリストは、「あら、べいべーとダブッちゃう」と思わなかったのだろうか。



楊穎(アンジェラベイビー)

そのベイベーは、エリー・サーブの黄緑のガウンを身にまとい、
『封神傳奇~Gods legend』で共演している新婚の夫・黃曉明(ホァン・シャオミン)とお手々つないで登場。
合わせたジュエリーはティファニー。
画像ではバッサリ切ってしまった夫・黃曉明は、トム・フォードのスーツで、べいべーをエスコートしております。



王珞丹(ワン・ルオダン)

ドラマ『賢后 衛子夫~衛子夫』のヒット以来、映画出演も増えている王珞丹。
今回は、新作『我的戰爭~My War』のために、共演者の劉(リウ・イエ)、楊祐寧(トニー・ヤン)らと登場。
チュールが何層にも重なったお召し物は、ディオールの2015S/S、オートクチュールコレクションから。
アクセントになっているグリーンのラインが、夏らしい。



張靜初(チャン・ジンチュウ)

この日、香港の吳彥祖(ダニエル・ウー)、台湾の張孝全(チャン・シャオチュエン)、郭采潔ら、
出演作『冲天火~Sky On Fire』のチームと一度、
ジャガー・ルクルトのグローバル・コミュニケーション・ディレクター、ローラン・ヴィネ氏ともう一度と、
計2度レッドカーペットを歩いた張靜初。
お召し物は、NYブランド、CHキャロリーナ・ヘレナの真っ赤なガウン。
シルクタフタと思われるハリのある素材で、シンプルなラインが美しく、
しかも、エプロンみたいに大きなポケット付きという遊び心も。
今年の上海国際映画祭で審査員を務める林嘉欣(カリーナ・ラム)が、
やはりランヴァンの全身真っ赤で登場したのだが、私は迷わず張靜初に軍配を上げる。





今回、この中で、私が選ぶベスト・ドレッサーは張靜初、ワースト・ドレッサーは郭采潔。
皆さまは、どの方のどのお召し物がお気に召しましたでしょうか。

なお、第19回上海国際映画祭は、6月19日(日曜)に閉幕。

映画『団地』

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【2016年/日本/103min.】
大阪近郊のとある団地。
山下夫妻は、営んでいた老舗の漢方薬局をたたみ、半年ほど前にここに越してきたばかり。
妻のヒナ子はスーパーで慣れないパート勤め、夫の清治に職は無い。
どこか謎めいた雰囲気の夫婦に、好奇心旺盛な団地の住民たちは興味津々。
数人集まれば陰口をたたく彼らに半ば呆れるヒナ子だが、
団地の自治会長・正三の妻で、ゴミの管理を担当する君子とだけは、お喋りする仲になっていく。
その頃、ちょっとしたキッカケで、清治は床下の収納庫に身を隠すように。
それまでは植物図鑑片手にフラリと散策に出ていた清治なのに、パッタリ姿を消したため、
御近所さんたちの妄想は膨らむ一方。
思い起こせば2ヶ月前、清治は君子に担ぎ出され自治会長選に出たものの、結局落選。
清治を見掛けなくなったのは、その後である。なのに、ヒナ子は何食わぬ顔でパート通い。
「山下さんの御主人、奥さんに殺されていると思う」
団地でそんな噂が流れ始める。
ずっと山下夫妻を擁護し続けてきた君子までもが、ヒナ子を疑い始め…。




阪本順治監督、『ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年』(2015年)以来の最新作。
その前作は、テーマに興味の無いドキュメンタリー作品だったため、私は未見。
私が阪本順治監督作品を観るのは、前々作『人類資金』(2013年)以来。

阪本順治監督は、タイプの異なる作品を色々撮っているため、
フィルモグラフィの中に、私にとっての“好き”と“嫌い”がゴッチャにある監督さん。
“好き”な方を幾つか挙げると、『顔』(2000年)、『KT』(2002年)、『闇の子供たち』(2008年)、
『大鹿村騒動記』(2011年)など。
エンターテインメント性を強く打ち出した作品より、
地味な人間ドラマや社会派作品に優れた作品が多い気がする(←あくまでも私の好みの基準で)。

今回は、私の“好き”な方に入っている『顔』でタッグを組んだ藤山直美との16年ぶり、2度目のコラボ。
舞台を中心に忙しく活動する藤山直美の予定が2015年夏頃にポッカリ空くことが分かり、
映画の話を持ち掛けたところ、「阪本さんの映画なら出てもいい」という色好い答えが返ってきたため、
彼女のために数日でプロットを考え、一週間でオリジナル脚本を書き下ろしたという。



舞台は、大阪近郊にある古びた団地。
山下夫妻、ヒナ子と清治は、営んでいた老舗の漢方薬局をたたみ、その団地に引っ越してきたが、
団地の自治会長を選ぶ選挙に敗れた後、夫・清治が忽然と姿を消したため、
噂好きの近隣住民が、殺人事件を疑い、巻き起こす騒動と、
実は哀しい過去をもつ山下夫妻が、その過去と向き合おうとする姿を描く人情悲喜劇

…なんだけれどぉ、後半、不可解な方向に物語が進み、結局着地点がSFだったのは、想定外!
関西圏団地版『未知との遭遇』…??
早々に分かるので、ネタバレという程ではないと思うから、書くけれど、
山下夫妻は、一人息子・直哉を理不尽な事故で亡くし、心に深い傷を負っている。
突然この世から消えた大切な人にもう一度会いたいというのは、誰もが思う事であり、誰もが実現できない事。
でも、山下夫妻の場合、それを実現できる人が意外にも身近な所に存在したのだ…!
“芸は身を助く”じゃないけれど、漢方薬作りの名人だったお蔭で、
本人たちも期せずして、本来不可能なはずの願いを叶える運びとなる。


そのように、主人公の山下夫妻が、元漢方薬局経営者という事で、
この作品では、知っていそうで実はよく知らない漢方の丸薬の作り方が見られるのも、ちょっと興味深い。

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普通の薬屋さんで売られている大手薬剤メーカーの丸薬は、機械でポンポン大量生産されるのだろうけれど、
山下夫妻の丸薬は、一個一個手作り。材料を混ぜ、粘土みたいに捏ね、棒状に伸ばしたお薬を、
特殊な木製の器具を用い、小さなコロコロに成形していく。
工作のよう。へぇー、こうやって作るんだぁ~と見入った。





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出演は、団地に越してきた主婦・山下ヒナ子に藤山直美
元漢方薬局店主で、ヒナ子の夫・山下清治に岸部一徳
団地でゴミ管理をする行徳君子に大楠道代、団地の自治会長で、君子の夫・行徳正三に石橋蓮司
山下夫妻を以前から知る謎めいた青年・真城貴史に斎藤工などなど。


阪本順治監督が藤山直美のために脚本を書き下ろしたくらいだから、藤山直美は監督のミューズであり、
本作品は、彼女の魅力や特徴を上手く引き出した、彼女無しでは成立しない物語。
そんな藤山直美はもちろん良いが、私は岸部一徳のあのトボケた味も好きなのよ。
タップタプの大きな涙袋が印象的な顔も良し。

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近年、私の中では、岸部一徳と大陸男優・倪大紅(ニエ・ダーホン)が、“東アジア二大涙袋男優”として君臨。
(御両人、なんとなく似ているし。)

本作品での岸部一徳は、相変わらず肩の力が抜けた感じで、トボケた印象だが、
さらに、なんとも言えない哀愁も漂っている。内に秘めた想いをベラベラと語らないから、余計に切ない。
かと言って、湿っぽいわけでもなく、藤山直美とのメオト漫才のような息の合った掛け合いは、見ていて楽しい。

大楠道代&石橋蓮司が扮するもう一組の夫婦・行徳夫妻は、山下夫妻とはまた異なり、
テキパキした妻と少々ガツガツした夫のコンビ。
夫の正三は、“ガツガツ”と言っても、脇の甘いガツガツで、
例えば、いい年して浮気をしているのだが、結局その浮気でちょっと痛い目に遭ったりする。
石橋蓮司って、強面を演じても、情けない男を演じても上手い。
今回は後者なのだが、悲哀を醸すあのスカスカの寂しい頭頂部は、石橋蓮司の武器だわね。


そして、一番意外性のある使われ方をしているのが斎藤工。
“実力派”、“ベテラン”と呼ばれる俳優が出演していても、画的に地味になるから、
作品に彩りを添え、物語の箸休め的存在にもなるイケメンを投入したのだろう、…と当初私は思っていた。
ドラマ『昼顔』のイメージに縛られていると、“団地”と“斎藤工”というコンビネーションに、妙なエロさも感じるし。
ところが、物語開始早々に登場する斎藤工扮する真城は、「五分刈りです」(「御無沙汰です」の誤り)とか
「効果きしめん」(「効果テキメン」の誤り)といった
子供が喜んで真似しそうなオヤジギャグを真顔で連発する掴み所の無い不思議サン。
しかも、ただの不思議サンではなく、物語終盤、実は想像していた以上に重要な役であった事が判明。
まさか、遠方からお越しの、…しかも超遠方からお越しの方だったとは!


あっ、あとねぇ、噂好きな御近所さん4名の名字が…

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それぞれ東・南・西・北(トン・ナン・シャー・ペイ)。





予備知識無しで観たため、まったく予想だにしていなかった展開に驚かされた。
その想定外の展開は、正直に言って、私が阪本順治監督作品に求めるものと掛け離れており、
本作品は、私のお気に入りにはならなかった。
映画監督はいつも観衆の期待に応えるようなマンネリ作品を撮り続けていれば良いというものではなく、
期待を裏切ってくれても当然結構で、その裏切りを新鮮に感じることも多々あるのだけれど、
今回の阪本順治監督の裏切りには、私は乗り切れなかった。
この夏なにか面白いもの撮ろうよ!と気の合う仲間たちと集まって作ったという和気藹々とした雰囲気や
遊び心は伝わってきても、一本の映画としての完成度は、満足のレベルに達しなかった。
最近観た“団地モノ”なら、私は是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』の方が、ずっとずっと好み。
勿論それはあくまでも私個人の好みの問題で、館内ではドッカンドッカン笑いが起こり、
終盤には、ススリ泣く声まで。
また、現在開催中の第19回上海国際映画祭でも、金爵獎コンペティション部門にノミネートされている。
人民の皆さまの好みが、私の好みと逆を行き、何かしらの賞を獲ってくれれば良いと思っております。
(ただ、「五分刈りです」や「効果きしめん」といった台詞が、巧く訳されるのか疑問。
世界で勝負する時は、“おやじギャグ”や“内輪ノリ”はキビシイ。
ちなみに、中国語のタイトルも、まんま『团地』。意味、分かるのかしら…?)

ケーキ3種(+上海国際映画祭とかテレビとか)

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現在開催中の第19回上海國際電影節(上海国際映画祭)
開幕式の明星のお召し物については、こちらの“勝手に上海國際電影節ファッションチェック2016♪”から。


今年は、かなりの数の日本映画が上映されているため、日本からも地味ぃにボチボチ参加あり。

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昨日、6月17日には、岩井俊二監督作品『リップヴァンウィンクルの花嫁~瑞普·凡·温克尔的新娘』
一回目の上映があったそう。岩井俊二監督は、アジアで人気ですよね~。大盛況だった模様。
上映のあったシネコンSFC上影・上海影城店のスクリーン1というのは、
座席数1000を越える大会場で、スクリーンも巨大らしい。


同日、『高台家の人々~高台家的成员』の上映もあり…

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出演者の水原希子が登壇。お召し物は、アナ・スイの旗袍風イブニング・ドレス。
合わせてるのは、サンローランの靴と、ティファニーのジュエリー。

「大家好!我是上海人。」と上海語で挨拶をし、会場の掴みもバッチリだった事、
今回が初めての訪中ではない事、中華圏の豪華な顔ぶれと交友関係があり、
竇靖童(リア・ドゥ)、楊穎(アンジェラベイビー)、趙薇(ヴィッキー・チャオ)、孫(スン・ユエ/そん・えつ)、
何(ホー・ジョン)、鹿(ルー・ハン/ルハン)、井柏然(ジン・ボーラン)らと親しい事などが報道されている。

孫は、元NBAのバスケットボール選手。なんでそんな人と知り合いなの?と疑問が湧くが、
水原希子が出演する趙薇の監督作品第2弾『沒有別的愛』に孫も出演するので、
共演者という関係なのだと思う。
本当に仲良しなのは、比較的年齢の近い竇靖童や楊穎なのではないだろうか。
竇靖童は、王菲(フェイ・ウォン)の長女。
本当に親しいようで、彼女が日本に来ると、あちらこちら連れて行っているみたい。
ママ(王菲)にも会わせてもらったかしら。


ちなみに、水原希子は、上海に行く前に、北京でもひと仕事。

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北京・三里屯にある、香港のアパレルブランドb+abのリニューアルオープンのイベントに
イメージモデルとして参加。

水原希子は、日本の芸能界では数少ない、中華圏の重要性を分かっている人で、
また、大陸進出を着実に進めている人だと感じる。
マネージャーが中国人で、その人から中国語を教わっているらしい。
ここ数年、水原希子の大陸での露出の多さから、かなりの敏腕マネージャーであると察する。
最近噂されている野村周平クンからも、中国語を習っているかもね。
(日本の他の芸能人も、世界のエンタメ界勢力図がすでに変わっていることを理解し、対策を練らないと、
将来、日本に埋もれたまま、厳しい状況に直面しますから。)



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また、上海国際映画祭では、本日、X JAPANのYOSHIKIが『We are X~我们是X』の上映に登壇。
他にも、コンペティション部門に入選している『団地~团地』の阪本順治監督や、
『母と暮らせば~如果和母亲一起生活』の山田洋次監督も登壇している。

なお、第19回上海国際映画祭は、明日6月19日(日曜)閉幕。




ついでに、気になるテレビ番組をちょっとだけ。

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一本目は、明日、6月19日(日曜)、テレビ東京で放送の『モヤモヤさまぁ~ず2』
今回は海を渡って、香港をブラブラ。
飲茶、ヌードルといったモヤモヤ香港グルメや、謎のスポットを大発掘するという。
“モヤモヤ香港グルメ”とは、どういう物を指すのかよく分からないけれど、香港というだけで楽しみ。



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続いて、6月20日(月曜)、NHK BS1で放送の『Asia Insight』
“‘アジア最大’上海ディズニーがやってくる”と題し、日本でも昨今話題の上海ディズニーランドを取り上げる。
私は、わざわざ飛行機に乗って、大混雑のディズニーランドへ行く程ディズニー・マニアではないけれど、
雑技を取り入れたショーというのは、見てみたいと思った。超絶技に圧倒されそう。
上海ディズニーのオープンは、東京と香港には痛手かもね。



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最後は、6月23日(木曜)、BS TBSで放送の『地球バス紀行』
今回は“昆明~棚田の里から国境の町へ”と題し、中国・雲南省をバス旅。
バスは、観光地としても有名な昆明を出発し、ベトナムとの国境地帯を目指す。
途中寄るのは、世界遺産にも登録された哈尼(ハニ)族の棚田がある元陽。
そして、春節を迎える頃、国境の街・河口に到着し、新年のカウントダウンで盛り上がる街を取材。
“春節”ということは、撮影してから、随分時間が経っているわけか。ま、別に問題なし。こちらも楽しみ。




お菓子は、今回、洋モノで、ケーキを3ツ。

★ 雪乃下:タルトカフェ

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大きさは、直径約6センチ、高さ約5センチ。
中に胡桃入りキャラメル・サレを流し入れたタルトの上に、エスプレッソ・ムースを重ねたケーキ。




ひとつめは、雪乃下(公式サイト)“タルトカフェ”
雪乃下で一番好きなケーキ。

下はドッシリ、上はフンワリの二重構造。
下のタルト生地の中に流し込まれているのは、塩分が効いた濃厚なキャラメルで、
そこにたっぷり混ぜられている胡桃は、さっくり食感。
上のエスプレッソ・ムースは空気を多く含み、口の中で瞬時に消える軽さ。

ナッツ+キャラメル+コーヒーという相性の良い組み合わせ。
一つのケーキの中で、味にも食感にも幅があり、バランスが良い。
美味。これ、やっぱり好き。

★ 雪乃下:フロマージュ・キュイ

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大きさは、直径約5センチ、高さ約6センチ。
トップをメレンゲで飾ったチーズケーキ。




雪乃下だとタルトカフェばかり食べてしまうので、たまには他の物も。
こちら“フロマージュ・キュイ”。この春から売られている比較的新しい商品のようだ。

“fromage cuit フロマージュ・キュイ”、つまりベイクド・チーズケーキ。
舌に吸い付くような質感のしっとりチーズケーキ。
チーズケーキで、メレンゲを合わせているのは珍しい。
メレンゲの間には少量のレモンソースが添えられ、爽やか。
さらに、底部には、アプリコットも。

チーズケーキは普段積極的に食べないけれど、これはちょっとアレンジがあって、興味を引く。
トップのメレンゲの量が結構たっぷりなのが魅力。
メレンゲとレモンソースを添えることで、レモン・タルトをも彷彿させる味になり、なかなか。

★ マテリエル:ムラング・フレーズ

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大きさは、幅6センチくらい。
苺のコンフィチュールとカシス風味の生クリームを、ふたつのメレンゲで挟んだお菓子。




最後は、マテリエル(公式サイト)“ムラング・フレーズ”
見ての通り、おフランスの伝統菓子、ムラング・シャンティをアレンジした物。

どうアレンジしているかと言うと、ベリー系の味付けでアレンジ。
カシス風味の生クリームはたっぷりの量で、甘さもちゃんとある。
中に隠れている苺のコンフィチュールには、ほんのり酸味が。

軽くサックリした食感のメレンゲもまた普通と違った。
レモン味なのだ。通常のヴァニラ味のメレンゲより、さっぱり。表面にはココナッツ少々。

元々ムラング・シャンティが好きなので、これも大変気に入った。
もしかして普通の日本人はイヤがるかナと感じるくらい、ちゃんと甘さがあるのも良い。
それでいて、苺のコンフィチュールやメレンゲのレモンの酸味がいい感じに融合していて、後味爽やか。
これは、また食べたい。

藤山直美が上海国際映画祭で影后に冊封♪

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2016年6月19日(日曜)の昨晩、ザッピングしていたらフジテレビ『Mr.サンデー』で、
たまたま上海ディズニーランドを取り上げていたので、リモコンを置いた。
そこで行われている『ムーラン』のパレードに対し、
「本来、ディズニーには無い『三国志』風の山車まであり」云々と紹介されているのを見て、唖然。
私はそのまま寝落ちしてしまったが、つい先ほど、こちらの記事で、その後番組が発言を訂正するも、
その訂正さえ間違っていて、twitterなどでツッコミや批判が続出したことを知る。
番組制作者が『ムーラン』を知らなかったという事が、
ディズニーや『ムーラン』のファンのお怒りに触れたことも理解できるけれど、問題の本質はそこではない。
近年、日本のメディアの何がナンでもまず“中国悪しき”を前提にした報道は、本当に見苦しい。
今回の件も、自分の無知にも気付かず、事実を湾曲してまでの中国dis。ネトウヨならともかく、一応報道番組。
視聴者ウケを狙って中国コキ下ろしを続けるメディアにも、それを見て喜んでいる日本人にも、ゲンナリ。
“急に自分よりお金持ちになった御近所さんの‘下剋上’が憎たらしくて、必死に粗探ししながら、
有る事無い事言い触れている鬱陶しいオバさん”みたい。
現実が見えず、相手を正当に評価できず、上から目線で悪口言って喜んでいるなんて、日本も終末期ヨ。
哀しくなるから、いい加減にして欲しい。



本題はこちら。
その『Mr.サンデー』が放送された日、中国・上海では、第19回上海國際電影節(上海国際映画祭)が閉幕。

日本映画の上映が27本と多かった今回、最高賞・金爵獎を争うコンペティション部門にも、
阪本順治監督最新作『団地』が入選。
私個人的には、あまりビビッと来るものが無かった作品だけれども、
上海で何かしらの賞に引っ掛かれば良いと思っていた。
作品の公式上映に合わせ、現地に飛んだ阪本順治監督も、会見の席で、
「ノミネートされただけで光栄。賞の受賞なんて考えてもいません」と謙虚に答えておられたが、
なんとトロフィーもらっちゃいました~♪おめでとうございます。


第19回上海国際電影節、主な受賞結果は以下の通り。

最佳影片(最優秀作品賞)
『蘭~DeLan』:劉傑(リウ・ジエ)監督 ~中国

評委會大獎(審査員賞)
『See You In Texas~州見』:ヴィート・パルミエーリ監督 ~イタリア

最佳導演(最優秀監督賞)
アンティ・ヨキネン監督:『Flowers of Evil~惡之花』 ~フィンランド

最佳男演員(最優秀男優賞)
劉(リウ・イエ):『追兇者也~Ccck And Bull』 曹保平(ツァオ・バオピン)監督 ~中国

最佳女演員(最優秀女優賞)
藤山直美:『団地~The Projects』 阪本順治監督 ~日本

最佳編劇(最優秀脚本賞)
アンドレアス・グルーバー:『Hanna’s Sleeping Dogs~漢娜睡狗』 ~ドイツ/オーストリア

最佳攝影(最優秀撮影賞)
郭達明(グォ・ダーミン):『皮繩上的魂~Soul On A String』 張揚(チャン・ヤン)監督 ~中国

藝術貢獻獎(芸術貢献賞)
『Haze~霧』 ラルストン・ホヴェル監督 ~フィリピン

最佳紀錄片(最優秀ドキュメンタリー作品賞)
『When Two Worlds Collide~當兩個世界碰撞時』:Heidi Brandenburg+Mathew Orzel共同監督 ~ペルー

最佳動畫片(最優秀アニメーション作品賞)
『Molly Monster~小怪物茉莉』:テッド・シエガー監督 ~ドイツ/スイス/スウェーデン



そんな訳で、今年の上海の影帝・影后は、それぞれ中国の劉(リウ・イエ)と日本の藤山直美に。

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劉が上海国際映画祭で影帝の座についたのは、2004年『ジャスミンの花開く』以来、12年ぶりの2度目。
藤山直美は当然初めて。そもそも舞台女優で映画にあまり出ていないし、
上海で日本人がこの賞を受賞する事自体がお初。



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せっかくの受賞だが、現在新作舞台のお稽古中で、日本を離れられない藤山直美に代わり、
現地で賞を受け取ったのは阪本順治監督。

この主演女優賞で、賞を授与したプレゼンターは…

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コミカルな演技に定評のある郭濤(グォ・タオ:画像左)と
2013年、第26回東京国際映画祭で、『オルドス警察日記』の演技が認められ、
最優秀男優賞を受賞した王景春(ワン・ジンチュン:画像右)でした。




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最優秀作品賞に輝いた『蘭~DeLan』は、80年代の雲南省を舞台にした物語。
“蘭”というのは、藏(チベット)族の女の子の名前。
この作品で主演を務めた董子健(ドン・ズージェン)につては、こちらの“大陸男前名鑑”を参照に。
日本では最近、出演作『山河ノスタルジア』が公開された注目の若手俳優。
今回の上海国際映画祭でも、最優秀男優賞は、劉とこの董子健の一騎打ちだったと言われている。



あと、賞には直接関係ないけれど、最優秀撮影賞で、イタリアのダニエーレ・ルケッティ監督と共に
プレゼンターを務めた馮紹峰(ウィリアム・フォン)に目が釘付け。

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痩せてカッコよくなっているではないの。
多分『蘭陵王』の頃がMAXデブだったのよね。あれはあれで、“The 時代劇俳優!”って感じで好きだけれど。
ちなみに、馮紹峰この晩のお召し物はダンヒルです。



ついでに、中国映画関連でもうひとつ。

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本日2016年6月20日(月曜)の朝日新聞に、中国の独立電影(インディペンデント映画)についての記事あり。
邱炯炯(チュウ・ジョンジョン)監督や、同監督の『癡(ち)~Mr. Zhang Believes』(2015年)も取り上げている。
華やかな上海国際映画祭などとは対極にある、もう一つの中国映画の世界。
莫大な制作費とスタアを投入し、どんどん大作化していく中国映画は、中身空っぽの物が多い。
広電総局から干渉されたり、経済的にも大変だと思うけれど、
独立電影の監督さんたちには頑張っていただきたい。応援しております。



なお、第19回上海国際映画祭、開幕の時の、明星たちの華やかなお召し物については、

同映画祭に参加した岩井俊二監督、水原希子、Yoshikiらについては、こちらから。

藤山直美に最優秀女優賞をもたらした映画『団地』については、こちらから。絶賛上映中です。

映画『素敵なサプライズ~ブリュッセルの奇妙な代理店』

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【2015年/オランダ/105min.】
唯一の肉親・母をも亡くし、葬儀を終えたヤーコブは、
膨大な遺産を全て処分して、財団に寄付し、自身の死の準備に取り掛かろうとする。
ところが、死ぬのもなかなか難しく、いつも邪魔が入り、失敗続き。
静かな海岸まで行き、車中で何度目かの自殺を試みた時、
車椅子の老人を断崖で消したと思われる怪しい男を偶然目撃、
その男が落としていった“Elysium”と書かれたマッチ箱を拾う。

早速、その“Elysium”を訪ねたところ、そこはあの世への旅立ちを手助けしてくれる会社と判明。
ヤーコブは、いつ、どこで、どのように死ぬか分からない“サプライズ”というコースを選び、契約成立。
好みの棺桶を選ぶよう指示され、上階にあるクリスチャン向け棺桶フロアに移動すると、
そこにはすでに一人の先客。
アンネというこの女性もまたヤーコブと同じ契約を結び、棺桶を選んでいる最中だという。
でも、顧客同士の交流はルール違反。
その場をあとにし、これでもうアンネとは会うことなど無いと思っていたヤーコブだが、後日偶然にも再会。
カーマニアのアンネは、ヤーコブが乗ってきたクラシックカーに大興奮。
二人はルールも忘れ、言葉を交わすようになるが…。



ポスターから、ポップでお洒落なフレンチ・ラヴ・コメディ風の作品を想像。
今そういう気分じゃないのよねぇ~とスルーしようと思ったら、
メガホンをとったのが、長編監督デビュー作『キャラクター~孤独な人の肖像画』(1997年)で
第70回米アカデミー賞・外国語映画賞を受賞したオランダのマイク・ファン・ディム監督だと知り、
急に興味が湧いて、鑑賞。

マイク・ファン・ディム監督の名を目にするのは実に久し振り。
オランダ映画はマイナーだし、作品が日本に買われたのが久々なのだろう思ったら、
そもそも、この『素敵なサプライズ』は、マイク・ファン・ディム長編監督作第2弾。
なんと『キャラクター』以降、長編映画を撮っていなかったのだと。

2作目まで20年近く空いてしまった理由は恐怖か失敗かと聞かれたインタヴュで
マイク・ファン・ディム監督は、「アカデミー賞受賞後、確かにハリウッドから多くのオファーが来ました。
アカデミー賞を受賞したのは、作品がオリジナルで特別だったから。
でも、ハリウッドはそういう映画には興味が無い。
It’s like receiving a Michelin Star and being asked to grill burgers.
(まるでミシュランで星を獲って、バーガーを焼けと頼まれているようなものサ)」
とハリウッド・システムの矛盾を皮肉に語っている。(上手い表現と感心。)

仮に矛盾を感じても、多くの映画監督は夢のハリウッドに飛び付くだろうが、
母国オランダに残り、CMなどを撮っていたというマイク・ファン・ディム監督、信念があってカッコイイですわ。
ただ、そんな生活を続けている内に、長編映画を撮るという興味も失せてしまい、
数年前にやっと「サプライズを作るぞ!」と奮起したという。

久々の監督作品第2弾に選んだのは、オランダの作家ベルカンポ(1902-1990)の小説<De Surprise>
マイク・ファン・ディム監督は、19990年、知人を介し知ったこの小説を気に入り、映画化を望んだが、
ちょうどベルカンポが亡くなり、遺族が映像化権に敏感になっている時期で、
オランダ映画TVアカデミーを卒業したばかりで、経験も浅いマイク・ファン・ディム監督は、権利の取得を断念。
しかし、数年前、ベルカンポの娘にコンタクトを取ったところ、彼女は監督の事を知っていてくれて、
作品の映画化に乗り気になってくれたという。
一本の映画作りにも、タイミングや縁があるのですね。




物語は、人間らしい感情が無い大富豪のオランダ貴族・ヤーコブが、死を決意し、
ブリュッセルにある“あの世行き”を手伝う謎の代理店とキャンセルの効かない契約を結ぶが、
その直後、同じ代理店で同じ契約を結び同じように死を待つ女性・アンネと出逢ったことで、
これまで感じたことのない感情が湧き、自殺願望から一転、生きようと必死になる姿を描くブラック・コメディ

主人公のヤーコブ・ファン・ザイレンは、大富豪のオランダ貴族。
生活には何不自由なく、当初、自殺の動機が見えてこない。
その後、彼は4歳で父親を亡くして以降、一切の感情を持てなくなってしまった男性と判明。
喜怒哀楽が無いと、人生はつまらないものなのかも知れない。
ヤーコブは、人生が辛いから何がナンでも死にたい!と強く願っているというより、
“生への執着が無い”ことの裏返しで、死を望んでいるようにも見える。

そんなヤーコブ、自ら何度も自殺を試みるが、ことごとく失敗。
そんな時、たまたま、自殺を幇助してくれる“Elysium(極楽)”という代理店の存在を知る。
死のお手伝いにも色々な方法があり、ヤーコブが選んだのは“サプライズ”というメニュー。
いつも通りの生活をしている内に、巧いこと殺してくれるというもの。
いつ、どのように殺されるのか、契約者本人には知らされないから、まさにサプライズ。

契約も交わし、これでもう直死ねると一安心したヤーコブは、
同じ代理店で同じ契約を結び、同じように死を待っている女性・アンネと出逢う。
そんな二人が恋に落ちるラヴ・ストーリーになっていくのも、
愛する人ができたゆえに、死にたくないと考えを改めるのも、想定内の展開。

でも、アンネの正体は想定外であった。
とにかく、一度交わした契約は破棄できない決まりなので、
生き延びるために、追っ手を振り払い逃げる、逃げる。そこら辺は、アクション満載の逃走劇

さらに終盤、ヤーコブを待ち受ける最後の難関も想定外。
ヤーコブが、辛い難題をどうクリアするのか、ハラハラした。




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出演は、大富豪のオランダ貴族、ヤーコブ・ファン・ザイレンにイェルン・ファン・コーニンスブルッヘ
ヤーコブが代理店で出逢う女性アンネにジョルジナ・フェルバーン
ヤーコブの面倒をずっと見てきたファン・ザイレン家の執事長ムラーにヤン・デクレール
不思議な代理店“Elysium(極楽)”の経営者、Mr.ジョーンズにヘンリー・グッドマン等々。

マイク・ファン・ディム監督は、本作の脚本を執筆中、主人公のヤーコブに、
『チャンス』(1979年)のピーター・セラーズや、
『トゥルーマン・ショー』(1998年)のジム・キャリーを思い浮かべたという。
ロビン・ウィリアムズが上手く演じていたような、
奇抜というだけではなく、そこに孤独感や無邪気さをも併せ持つ人物像。
そんな風にイメージしていた時、テレビ番組で見たイェルン・ファン・コーニンスブルッヘの無邪気さが、
監督が探し求めていた物そのものだったため、彼なしにこの映画は成り立たないとまで思い、出演を依頼。
幸いイェルン・ファン・コーニンスブルッヘも快諾してくれ、ヤーコブを演じるために17キロも減量したという。
私はオランダ映画をほとんど観ていないので、当然俳優に関しても無知で、
このイェルン・ファン・コーニンスブルッヘの事も知らなかったのだが、17キロってかなりのものよねぇ?!
普段はどんな感じなのかと検索してみたところ…

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貴族感ゼロ(笑)。どちらかと言うと、労働者階級っぽい。
内面に、主人公ヤーコブに通じる物を見い出され、外見も貴族に近付けたのは凄い。
特にフランスや南イタリアには、こういうサル顔の貴族が本当に居るもの。
決して美男とは言えないけれど、イェルン・ファン・コーニンスブルッヘ扮するこのヤーコブからは、
監督が言うような孤独や無邪気さが感じられ、憎めない人物像になっている。


アンネ役のジョルジナ・フェルバーンはオーディションでキャスティング。
監督曰く、そもそもオランダにはコメディをできる女優が少ないので、
オーディションに呼んだのもほんの数人で、その中で勝ち残ったのがジョルジナ・フェルバーン。
結果的に正解の人選で、アンネはまるで彼女のために当て書きしたような役だと、御満悦の様子。
このジョルジナ・フェルバーン…

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顔はオードリー・ヘップバーンの上品さに、台湾の吳珈瑋(ウー・ジアウェイ)のお下劣さを混ぜたような雰囲気。
スタイルが良くて、シンプルな服をお洒落に着こなしている。
終盤、彼女の“ミイラ取りが…”な展開には驚かされたけれど、よくよく考えてみると、
彼女の背景については、それ以前の台詞にヒントが沢山隠されていたのよねぇー。
例えばアンネがカルマについて語っても、私はよく居る“東洋カブレの西洋人”くらいにしか思わなかったが、
“東洋カブレ”どころか、“どっぷり東洋”の中で育ってきたわけだ。


ファン・ザイレン家の執事長ムラーを演じるベルギーの俳優ヤン・デクレールは、
マイク・ファン・ディム監督の前作『キャラクター』でも重要な役だったので、知っている。
…と言っても、随分前で、よく覚えていない。髪もここまで白くなかったはずだし。
白髪になって、おヒゲをモコモコに蓄えたお顔は、レイモンド・ブリッグズの絵本、
<Father Chiristmas>に出てくるサンタさんにソックリ。
言葉が少なく、一見、素っ気なくも感じられるが、実はヤーコブを誰よりも気遣う優しさが伝わってくる。

“Elysium”の経営者、Mr.ジョーンズに扮しているのは、全出演者中最もメジャーであろう俳優、
イギリスのヘンリー・グッドマン。威厳があるし、怪しげ。
インド人と言われれば、インド人にも見える。





マイク・ファン・ディム監督作品というだけで、内容を知らずに観たら、怒涛の展開にビックリ。
しっかりヨーロッパ映画でありながら、実はエンターテインメント性にも富み、
ブラックな笑いあり、ラヴあり、アクションありと盛り沢山で、まったく飽きさせることなく突っ走る1時間45分。
“エンターテインメント性に富んだヨーロッパ映画”というと、
私が嫌いな『TAXI』に代表されるリュック・ベッソン・プロデュース作品などを思い浮かべてしまうが、
そういうのとは明らかに何かが違い、ちゃんとヨーロッパ映画のヨーロッパ映画たる特質を残しつつ、
人々を飽きさせない娯楽性も加味した、巧いバランスの作品。
地味な作品かと思いきや、ゴージャスな貴族のお屋敷などもたっぷり映し出されるから、
そういう部分は目にも楽しい。

この作品について、あまり小難しい事は言いたくないけれど、
テーマになっている自殺幇助に関しては、オランダ人が一体どのように考えているのか、少々気になった。
本作品の舞台になっているオランダもベルギーも、安楽死を法的に認めている国であるが、
恐らく反対意見も賛成意見も色々あって、だからこのような映画も撮られるのかなぁ~と想像。
作中の台詞で、“Elysium”のような仕事は、将来的にもっと伸びる業種だとも言っているけれど、
主人公のヤーコブは、結局生きる喜びを見い出し、契約違反してまで自殺幇助を振り切っている。
重い病に侵され健康に生きられる見込みの無い人が願う自殺幇助と、
人生に喜びが見い出せない人が願う自殺幇助とでは、違う気がするので、何とも言えないが、
まぁ、特に後者のような人は増えないに越したことないですよね。


あと、細かい部分で、ちょっとした文化の違いを感じたのは、棺桶選びのシーン。

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環境問題に関心の高いアンネは、「鉛の金具を使っているのは駄目」だとか、
「十年後に土に換えるエコな物でなくてちゃ」などと棺桶の素材にコダワリの発言。
火葬が当たり前の日本だと骨壺のサイズくらいしか考えないけれど、
土葬の国では、棺桶のデザインのみならず、人によっては、そういう部分まで考えて購入するのだと、
本作品を観て気付かされた。

鈴懸・季節の和菓子2種(+金曲獎とか明星とか映画とか色々)

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イギリスのEU離脱に腰抜かし、ヨーロッパの、ひいては全世界の未来を憂いたその後、
高知東生(たかち・のぼる)覚醒剤逮捕のニュースに、同じレベルで驚いてしまった自分に
「私って、低俗…」と自己嫌悪に陥るmangoでございます…。



さて、2016年6月25日の昨晩、台北小巨蛋にて、
“台湾版グラミー賞”こと第27回金曲獎 Golden Melody Awardsの授賞式あり。
今回はあまりmango押しの人が出ないため、特別興味も無かったのだが、
お召し物を見たりするのは楽しいので、ちょっとだけYoutubeでライヴ中継を覗く。

日本人でも興味ありそうな重要な賞の結果を一部挙げておくと…
最佳國語男歌手獎(最優秀北京語男性シンガー賞)
林俊傑(JJ/リン・ジュンジエ):<和自己對話>

最佳國語女歌手獎(最優秀北京語女性シンガー賞)
彭佳慧(ジュリア・パン):<大齡女子>

最佳樂團獎(最優秀バンド賞)
蘇打(ソーダグリーン):<冬 未了>

最佳新人獎(最優秀新人賞)
謝震廷(シエ・チェンティン):<查理PROGRESS REPORTS>

最佳年度歌曲獎(最優秀年度楽曲賞)
<不要放棄 Aka pisawad> 舒米恩・魯碧(スミン)

最佳國語專輯獎(最優秀北京語アルバム賞)
<冬 未了> 蘇打(ソーダグリーン)



そんな訳で、今年の歌王&歌后は、JJ林俊傑(リン・ジュンジエ)と彭佳慧(ジュリア・パン)に決定。

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シンガポール出身のお馴染みJJは、2014年度に続き、2度目の金曲歌王、
彭佳慧は、1997年新人賞を獲って以来、屈折(?)20年にしてようやく手にした歌后の座。


また、今年の楽曲賞を獲った舒米恩(スミン)の<不要放棄>は、(↓)こんな曲。


鄭有傑(チェン・ヨウジエ)&勒嘎.舒米(レカル・スミ)共同監督の映画『太陽の子~太陽的孩子』の主題歌。
阿美(アミ)族の言葉で歌っていて、意味は分からなくても、懐かしさを感じる優しい旋律。
映画『太陽の子』は、虎ノ門の台湾文化センターでの特殊な上映しかなく、なかなか観に行けない。
一般劇場公開は決まりそうにないのか…?



お召し物もザッと見ておこう。
ヴェルサーチやアレキサンダー・マックイーンでキャリアを積み、2014年自身のブランドを立ち上げた
カナダ華僑のデザイナーDaniel Wongのファッションチェックによると…

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今回、男性で一番イケていたのは、ランヴァンを着た蕭敬騰(ジャム・シャオ)、
女性では、ゴールドに輝くバルマンを身にまとった“阿妹”こと張惠妹(チャン・ホェイメイ)。

蕭敬騰は、最近見る度に色が変わっている頭ばかりに目が行ってしまう。今はパープルなのね。
なんか北欧雑貨を扱うお店で売っている、小ジャレたタワシみたい(笑)。
余談になるが、蕭敬騰と一緒に出てきた郎朗(ラン・ラン)のピアノ演奏が、とても良かった!特にショパン。

そして、阿妹も髪がパープル。今年台湾はパープルが風水的にラッキーカラーとか、何か意味があるの?
それにしても迫力の阿妹。角度によって渡辺直美のようでもあるが、
棒キレみたいに細い女明星が増えた昨今に、我が道を行く彼女。もう、どうぞ、このまま突っ走っちゃって。
服装も、映画祭と違い音楽祭の場合は、これくらい突き抜け感があった方が良い。



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例えば、左端の林依晨(アリエル・リン)。綺麗ではあっても、コンサバ過ぎて、音楽祭では物足りなくツマラない。
こういうのと比べてしまうと、やはり阿妹くらいキョーレツな方が音楽祭向きに感じる。
私個人的には、TWINSのマーク・ジェイコブスと、蔡依林(ジョリン・ツァイ)のラルフ・ローレンがお気に入り。
どちらも、カラフルで夏らしい装い。



ちなみに、今回の金曲獎には、日本から平井堅が参加。

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台湾のギタリスト保卜(バオブー)の伴奏で、<魔法って言っていいかな?>を披露。


平井堅は、このパフォーマンスの前、レッドカーペットでのインタヴュで
「こんなに沢山のカメラに囲まれ驚いているし、興奮しています。
最後に台湾に来てから14年ぶりで、この場に居ることを光栄に思います。
今晩、日本語で歌い、観客の皆さんに伝わるか心配ですが、誠心誠意歌わせていただきます。」と話している。
私、日本の芸能人が中華圏で通訳を介さず、英語を使い自分の言葉で話しているのを初めて見たかも。
他の日本の芸能人もこれくらい出来るようになると良いのにねぇ…。

デザイナーDaniel Wongは、ランヴァンを着た蕭敬騰、トム・フォードを着たJJに続き、
この平井堅をメンズのベストドレッサー3位に選んでおられる。
スタイリストの中山ナディアがデザインした物なのだとか。
スーツ着用に縛られていない点や、シャツの質感、パンツのシルエット等が評価されている。





金曲獎は終わりにして、ファッション繋がりで胡歌(フー・ゴー)を。

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最近、ヨーロッパづいている胡歌。
観光大使のお仕事でロンドンへ行った後は、ミラノ・メンズ・コレクション2017SSへ。
長身の胡歌は、欧米人の中に入っても見劣りせず、カッコイイ。ミラノの帝王アルマーニともツーショット。
微博にシチリアの写真なども出しているのだが、イタリアではミラノコレクションのお仕事だけでなく、
南部にまで足を運んだのだろうか。



宗主・梅長蘇(胡歌)から『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす』繋がりで、飛流も!

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数ヶ月前、こちらに記した通り、ロジャー・ドナルドソン監督が中国との合作で撮る映画、
『S.M.A.R.T Chase:The Dragon&Phoenix~極智追擊:龍鳳劫』に出演する吳磊(ウー・レイ)。
共演者のオーランド・ブルームとの仲良しショットが公開されている。
私たちの可愛い飛流が出世して、嬉しいやら淋しいやら複雑な気持ちですね~。あぁ、母心…。
念の為記しておくと、左端にもう一人居るオリエンタルは、
ドラマ『宮廷の泪 山河の恋~山河戀·美人無淚』で主人公・玉兒(ユアル/タマコ)の兄、
吳克善(ウクシャン)を演じていた劉恩佑(リウ・エンヨウ)。

EU離脱で中国との接近が最近よく語られるイギリスだが、オーランド・ブルームもまた中国進出に意欲的。
『極智追擊:龍鳳劫』に出演するに留まらず、その映画を制作する大陸大手・熙頤影業Bliss Mediaとの提携で、
自身の映画制作会社・幸福開花 Blissbloom Productionも設立。
(会社の名称にある“開花”は、御本人の姓・ブルームBloomの中国語訳。中国での彼の愛称でもある。)
また、2週間ほど前には、中国版twitter微博も開設。まだフォロワー数は少なめで、約3万。
ちなみに、オーランド・ブルームは、漢字表記で“奧蘭多・布魯姆”。

吳磊については、こちらの“大陸男前名鑑”をご参照。




映画繋がりでもう一つ。

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高倉健主演作『君よ憤怒の河を渉れ』を吳宇森(ジョン・ウー)監督がリメイクする『追捕~MANHUNT』が、
大阪でクランクイン。
6月17日、あべのハルカスで、オリジナル版で高倉健が扮した役を演じる大陸の張涵予(チャン・ハンユー)、
そのライバルを演じる福山雅治、ヒロイン戚薇(チー・ウェイ)らが集結して、鏡開きの儀式を行った。

メインキャストの中で一番“大抜擢!”という印象があるのは、
これまでテレビドラマの端役でしか見ていなかった戚薇(画像左から5番目)。益々夫との格差が広がる大出世。
作品の中では、日中混血という設定で、旗袍(チャイナドレス)姿も披露するそう。

(↑)この画像に写っている人も写っていない人も居るが、日本からは他にも國村準、池内博之、竹中直人、
倉田保昭、桜庭ななみ、TAOら結構な人数の俳優陣が出演。
裏方さんでは、以前、私が当ブログのこちらで推測した通り、種田陽平が美術を担当と正式に発表。
種田陽平はこの前に美術を手掛けた中国映画『モンスター・ハント』も、小規模ながら、この夏日本で公開。
あと、『レッドクリフ』、『太平輪~The Crossing』と、これまでに吳宇森監督作品の音楽を2度手掛けている
岩代太郎も、今回またまた参加するとかしないとか。それと、アクション監督で谷垣健二も(多分)。

なお、『追捕』は、中国では2018年春、日本でも2018年中には公開予定。
どなたか、大阪で撮影隊に出くわした方いらっしゃいます?!私もナマ張涵予、見たい。




最後に、気になるテレビ番組を一本だけ。

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6月28日(火曜)、00時25分(つまり27日深夜)、フジテレビで放送の『セノタビ』
関根勤とDAIGOを司会に、毎回、大人の女性に憧れる美女を迎え、
ちょっと背伸びする旅“セノタビ”を通し、様々な国の文化と競馬を紹介する番組。
今回は、モデルのメロディ洋子が、大好きな香港でセノタビ。お洒落な街と初めての競馬を満喫するという。
この4月に始まり、8月までの5ヶ月間、月一のペースで全5回放送予定の番組で、私は一度も観たことがない。
女性に競馬をプロモーションする一種の競馬番組なのだろうか。
ハッキリ言って、競馬にはまったく興味ないのだけれど、場所が香港なら録画して観ます。




お菓子は、今回、鈴懸(公式サイト)の物ばかりを2ツ。どちらも、この季節ならでは和菓子。

★ 水無月

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大きさは、だいたい8センチ×6センチ×厚さ2.5センチの二等辺三角形。
外郎生地の上に小豆を乗せた季節菓子。




ひとつめは“水無月”
その名の通り、水無月(6月)の伝統菓子。

暑気をはらう氷に見立てた外郎生地の上に、魔除けを意味する小豆をのせたお菓子で、
一年の折り返し地点である6月30日、前半年の罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願する神事、
“夏越祓(なごしのはらえ)”の際に用いる。
京都発祥のお菓子だけれど、今では東京でも大抵の和菓子屋さんで売っており、
お店によって、味や大きさがちょっとずつ異なるので、食べ比べも楽しい。
昨年試した水無月では、初めて買ったとらやの物が意外にもマズく、期待が大きかっただけに大失望。
今年はとらやだけでは絶対に買わない!と決めていた。(→とらやの水無月は、こちらを参照)

この鈴懸のは、毎年一度は食べている水無月。
うどん粉を捏ねて作ったような白くボッテリした外郎生地は、私の中ではNGだが(とらやのが、まさにソレ)、
鈴懸のは、適度に透明感があって、見た目合格。
実際に食べても、モッチリしながらも、柔らかさもある食感が良い。
外郎は、良い意味でパンチの無いボケた味なので、
ちゃんと適度に甘さのある小豆とのコンビネーションが絶妙。

★ 大葉餅

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大きさは、直径約5センチ。
中にこし餡を包んだ道明寺を、上下2枚の大葉ではさんだ季節菓子。




もう一つは、“大葉餅”
鈴懸では、同じ道明寺のおまんじゅうに、桜葉、椿といった季節の葉を合わせ販売しているが、
そのシリーズの夏ヴァージョンが大葉。

道明寺は、佐賀県産のヒヨクモチを使用。
変なベタベタ感がない道明寺で、お米のひと粒ひと粒がしっかりしており、適度のふっくらモッチリ。
中には、鈴懸定番のこし餡。綺麗な藤色で、上品な甘さ。
そこに添えられている大葉は、新鮮で柔らか。
この大葉特有の香りが、餡の甘さと絶妙に融合。

鈴懸の傑作商品のひとつ。桜葉餅、椿餅より、私はやはりこの大葉餅が好き。
ひとつ残念なのは、大葉がデリケートな植物で、しおれたり、黒ずみ易かったりすること。
炎天下で持ち歩くことを避けたいから、すぐ帰宅する時しか買えない。
でも、この夏まだ何度か食べられるでしょう。

映画『帰ってきたヒトラー』

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【2015年/ドイツ/116min.】
2014年、ベルリン。
空き地の片隅で横たわったまま目を覚ましたアドルフ・ヒトラーは、
事情が掴めず、傍でサッカーをする子供たちに質問をするが、相手にされない。
取り敢えず歩きだすと、街は様変わりしており、人々も総統である自分にやけに馴れ馴れしい。
立ち寄ったキオスクで新聞を手に取り、ようやくそこが未来で、今のドイツが嘆かわしい状況であると知る。
行くあても無ければ金も無く、キオスクの店主の厚意で、ひとまずそこに身を寄せることに。

一方、テレビ局myTVの上司・ゼンゼンブリンクから、いきなり解雇を申し渡されたサヴァツキは、
なんとか復職するため、斬新な企画を提出しようと必死。
何かヒントを掴もうと、家でパソコンに向かい、自分が撮った映像を見ていると、
横にいた母が、画面の後方に小さく映るヒトラーにそっくりな男を発見。
これだ!と閃き、捜査を始めると、幸運にも、行きつけのキオスクに、あのヒトラーが。
サヴァツキはヒトラーを説き伏せ、カメラを携え、二人でドイツ中を撮影行脚。
撮った映像をmyTVに持ち込んだところ、新局長ベリーニ女史の目に留まり、採用決定。
ヒトラーは早速人気バラエティ番組『クラス・アルター』に出演。
ここまでヒトラーにそっくりな男をテレビに出演させる事は、
ベリーニ女史にとっても危険な賭けであったが、結果は大成功。
ヒトラーはみるみる内に、お茶の間の人気者となり…。



ドイツのデヴィッド・ヴェンド監督作品。
小さな街でネオナチの活動に傾倒していく二人の女の子を描いた2011年度の監督作品、
『Kriegerin(英語タイトル:Combat Girls)』で注目を集め、
シャルロット・ロシュの同名小説を映画化した次の『Feuchtgebiete(英語タイトル:Wetlands』(2013年)では、
国内の映画賞のみならず、サンダンス映画祭、ロカルノ国際映画祭などでもノミネートされた監督さんらしい。
過去の監督作はいずれも日本では未公開のはず。

『Feuchtgebiete』に続くこの新作は、ティムール・ヴェルメッシュの同名小説<Er ist wieder da>の映画化。
この原作小説は、日本でも<帰ってきたヒトラー>のタイトルで、河出書房から発売。
“帰ってきた○○”で私が思い浮かべるのは、“ウルトラマン”と“ヨッパライ”くらいで、“ヒトラー”は知らなかった。




本作品は、2014年、ベルリンの空き地で目を覚ましたアドルフ・ヒトラーが、
テレビ局をリストラされ、再起をかけ、新企画を探していた男・サヴァツキに見い出され、
バラエティ番組に出演したところ、ヒトラーそのものの容貌と、危ういトークで、これが馬鹿ウケし、
みるみる内に現代人の心をも掴んでいく様子を描くブラック・コメディ


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主人公は、恐らく世界一有名な独裁者であろうナチスの指導者、かのアドルフ・ヒトラー(1889-1945)。
試しにヒトラーをwikiで見たら、189もの言語で説明されていた!
世界レベルで、そんなに知られた人って、なかなか居ないものだ。

本作品では、とっくの昔に自殺したはずのそのヒトラーが、どういう訳か、現代のドイツにワープして来てしまう。
本人も、なぜそんな事になったのか、事情が分かっていないが、
現代でも臆することなく、ありのままのヒトラーとして振る舞う。
現代の民衆にとっては、これまでの“ヒトラー芸人”とはひと味もふた味も違う、その成り切りっぷりが大いにウケ、
動画サイトでの再生回数は100万回を超え、テレビのバラエティ番組にも引っ張りダコと、
あれよあれよと言う間に人気者に祭り上げられていく。
かつて民衆を扇動したカリスマ的指導者は、70年後の現代でも変わらず人心を掌握していくのだ。



本作品が、普通と違っているのは、フィクションに、ゲリラ的に撮影したノンフィクションを融合させた
セミドキュメンタリーになっている点。

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ヒトラーが、街中をブラブラしたり、民衆たちとやり取りするシーンは、作り込まれたドラマではなく、
ヒトラーの台詞の多くもアドリブだという。
つまり、街中でヒトラーと遭遇した人々の素の反応が見られるわけ。
あからさまに不快感を表す人も勿論居るけれど、多くは好意的。
ネオナチの若者などが、ヒトラーに向かって敬礼するのは、私の想定内。
ごく普通の人々が、面白がってカメラを向けたり、話し掛けたりするのも、分かる。
しかし、ごく普通の人々の反応は、そこに留まらず、
移民の大量流入で、失業が増えたり、治安が悪くなった今のドイツを立て直す
強いリーダーシップのあるヒトラー的指導者の再来を待ち望んでいるのでは?!と思わせるような発言も…。


最後まで本作品を見ると、ヒトラーはやはり“悪”であり、“怪物”である。
しかし、彼は決して強引に独裁者になったのではなく、きちんと民主的に選ばれ、指導者になったとし、
あのような怪物を生み出し、支持した民衆の責任まで考えさせるような描かれ方。
自国の負の過去を都合よく“自虐史”と称し否定するどころか、
こんな映画にしてしまえるなんて、ドイツって成熟した国…。





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出演は、現代に迷い込んだアドルフ・ヒトラーにオリヴァー・マスッチ
テレビ業界への再起をかけ、ヒトラーをスカウトするファビアン・サヴァツキにファビアン・ブッシュ
テレビ局・myTVの新局長に就任したやり手の女性カッチャ・ベリーニにカッチャ・リーマン
ベリーニをライバル視するクリストフ・ゼンゼンブリンクにクリストフ・マリア・ヘルプスト
サヴァツキが好意を寄せるmyTVの受付嬢フランツィスカ・クレマイヤーにフランツィスカ・ウルフ等々。

主演のオリヴァー・マスッチは、舞台を中心に活動する俳優さん。
本作品の制作陣は、ヒトラーにリアリティを出すため、知名度の低い俳優を起用すると決めていたらしい。
でも、ヒトラーを演じられる世代で、世間にあまり知られていない俳優を探すのは至難の業で、
様々な舞台を鑑賞し、ついにこのオリヴァー・マスッチを探し当てたという。
当のオリヴァー・マスッチは、顔も似ていないし、背も193センチもある自分に、
なぜ白羽の矢が立ったのか、当初分からず、驚いたと語っている。
日本人からしてみれば、“ドイツ人は平均的に長身”というイメージなので、
193センチという大きさが起用されない理由になるとは考えにくい。
念のため、ヒトラーの身長を調べたところ、諸説あり、173~175センチという説が有力みたい。
確かに、本人より約20センチも高いとなると、
ドイツの人々は抱いているヒトラーのイメージとの差を感じてしまうのかも知れない。
『ALWAYS 三丁目の夕日』で小雪を見た私が、
昭和にこんなスタイルの日本人が居るわけないワ、と吐き捨てたようなものか(←ちょっと違う?)。

身長はともかく、オリヴァー・マスッチ本人が「似ていない」という顔は、
なんの、なんの、かなりイイ線いっている。
…が、これは、人口の鼻、目の下の隈、口周りのシワ、口髭と2時間かけたメークで仕上げているそう。
実際のオリヴァー・マスッチは、こんな感じ…

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強いて言うなら、國村準を若く、やや美形にして、さらに松重豊の要素を足し、ドイツ人化させた雰囲気の顔。
ヒトラーには似ていなくても、目力があり、独特なオーラを放っている。
それが、あのカリスマに通じるのであろう。
あと、ヒトラーは、七三分けの髪型と口髭がとても特徴的なので、そこを真似るだけでも、かなり近くなる。
ヒトラーが可笑しなチョビ髭にしている理由は、劇中の台詞が本当なら、「以前はカイゼル髭にしていたが、
それだとガスマスクに納まらないので、小さくした」とのこと。これ、本当の話かしら?

外見ばかりを語ってしまったけれど、オリヴァー・マスッチは演技力、即興力も共にピカイチ。
現在、悪の象徴になっているヒトラーだが、女性たちが憧れの銀幕スタアにでも会ったかのように、
キャーキャー熱狂する当時の映像を以前見て、ヒトラーはただ単に高圧的だったわけではなく、
何かしら人を惹き付ける魅力があったのだろうと、想像していた。
本作品で、オリヴァー・マスッチが演じるヒトラーも、強面だが、その外見とのギャップで、
ちょっとした言動がお茶目。…でも、所々でやはりドス黒さを感じずにはいられない。ヒトラー、怖っ…!

物語前半にもすでに、ヒトラーの潜在的な暴力性を見せ付けられるシーンがある。
愛犬家として知られるヒトラーが犬を欲しがり、ブリーダーを訪ねるのだが、
自分になつかないワンちゃんを、バキューンとやっちゃうシーン(これが後々大問題になる)。

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動物保護が厳しいドイツ、当然VFXで処理。ご安心を。


あと、そう、怖いと言えば、ドイツでヒトラーに成り切り、街に出るなんて、怖すぎる…。
いくら仕事とはいえ、オリヴァー・マスッチの勇気に感服。
この映画は、民衆の素の反応を捉えるこれらドキュメンタリーの部分を融合させているからこそ、
より説得力があり、より怖い作品になっているわけで、
このコンセプトに共感し、実行してくれる俳優が居なければ、薄っぺらなコメディに留まっていたかも知れない。
また、どう反応するか読めない民衆を相手に、アドリブで柔軟に対応できるのは、
オリヴァー・マスッチがライヴに慣れている舞台出身俳優という事が、きっと大きい。
ああいうシーンは、言わば、脚本の無い究極の即興劇だから。


ファビアン・ブッシュ扮するファビアン・サヴァツキは、ヒトラーを発掘した人物。

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赤いダウンベスト+Gジャンというお召し物が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマイケル・J・フォックスを彷彿。
見た目も性格も正反対のサヴァツキ&ヒトラーが、動画を撮りながら全国行脚する前半は、
凸凹コンビの面白おかしいロード・ムーヴィ。
サヴァツキの目論見は当たり、動画は話題となり、ヒトラーは大ブレイクするのだが、
幸か不幸か、サヴァツキはこのヒトラーが、あのホンモノのアドルフ・ヒトラーである事に気付いてしまう。
なんとかブームの流れを止めようと必死に働き掛けるが、時すでに遅し。
大衆が狂信的になると、真実を叫んだ一人の真人間が狂人として葬り去られるという悲劇…。


あと、テレビ局の女性新局長カッチャ・ベリーニをライバル視する
クリストフ・マリア・ヘルプスト扮するクリストフ・ゼンゼンブリンクの小者っぷりも印象的。
カッチャ・ベリーニを局長の座から引きずり降ろそうと目論み、あの手この手で小細工をするのだが、
ことごとく裏目に出てしまうのが、情けなくて可笑しい。
それでも、ヒトラーの著書<帰ってきたヒトラー>が映画化される際には、
自分の役はブルーノ・ガンツに演じてもらいたいと言い出す、身の程知らずなゼンゼンブリンク。
よほどブルーノ・ガンツのファンなのか、本作品の中には、ゼンゼンブリンク自身が
『ヒトラー~最期の12日間』(2004年)をパロッているシーンまである。





本作品は、ただのブラック・コメディではない。
コメディという形を借り、右傾化する世界を描いた、やけにリアルな恐怖映画。
最近観た作品の中で最もガツーン!と強い衝撃を受けた。
イギリスのEU離脱が決まったり、出馬がアメリカン・ジョークにしか思えなかったトランプが健闘したり、
これまでの常識では考えられなかった想定外が次々と起き、
明らかに世界が違う方向に動き出したと感じる今の時代に一石を投じる問題作。
人々を民族主義や排他主義に向かわせる、大量の難民流入やテロなどが
今のところ日本には無いからといって、“他人事”と冷静に構えて観ていられる作品ではない。
それどころか、今の日本にバッチリ当て嵌まる事ばかり。
ちょっと設定を変えれば、ちゃんと“日本映画”として成立する作品なのだ。
景気低迷、失業、少子化などなど、明るい未来が見えない状況下で、
大衆が知らず知らずの内に右傾化し、懲りもせず、また暗黒の時代に突き進んでいくというプロセスは、
私が昨今の日本に感じている不安そのもので、作品を観ながら背筋がゾッ…!

ドイツはヨーロッパ随一のお金持ち国家というイメージもあるけれど、このような作品が撮られるという事は、
抱える問題はやはり深刻で、状況を危惧する人が居るのであろう。
それでも、これを発表できるドイツは、日本に比べ、よほど健全で自由で良識もあると、羨ましくも感じる。
今の日本では、こんな映画、ゼーーーッタイに作れない…!
ドイツにはまだこのデヴィッド・ヴェンド監督のように、萎縮せずこのような作品を発表する監督や、
それを受け入れる環境もあるではないか。日本と違い、徹底した歴史教育がなされている事も大きい。
昨今の日本は、気味の悪い自画自賛が増えた上、
“空気を読む”とか“皆に合わせる”という日本人の美徳が、負の方向に働いているのが、本当に怖い。

私の2016年度上半期ベスト3に確実に食い込む作品。
他の皆々様も本作品に対する関心は高いのか、大した宣伝もしていないのに、映画館は混み混みであった。
これから鑑賞をお考えの方は、お席の確保をお早めに。

台湾ドラマ『ずっと君を忘れない~熱海戀歌』

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1977年(民國66年)、福興宮で伝統の儀式が厳かに行われようとしている西螺。
英雄と彼の義兄弟・添財は、車椅子の少女を喜ばせたい一心で、
儀式のルールを破って媽祖像を奪い去り、彼女のもとへ猛ダッシュ。
ところが、良かれと思ってやったこの行為で、献上された媽祖像の首飾りを壊してしまい、
街の人々の逆鱗に触れてしまう。
二人は追っ手を払い、西螺大橋を越え、北へ北へと逃走。
辿り着いたのは、人で賑わう台北の市場。
そこで、野菜を買おうとしている女の子・小花を見掛けた添財は、お節介にも値切りの交渉を開始。
商売の邪魔をされた店主は激怒。
英雄と添財は、ここでも追われる羽目となるが、小花に助けられ、その場を脱出。
小花にとっては、自分のために値切ってくれた添財は、素敵な侠客。
すっかり彼に一目惚れしてしまい、英雄と添財の二人を、父が働く北投の温泉旅館・美川閣に連れ帰る。
小花の父は、この温泉郷ではちょっと知られた“阿忠師”と呼ばれる料理人。
よくよく話を聞くと、阿忠師もまた西螺の出身で、偶然にも英雄の伯父・李茂森と旧知の仲。
そんな御縁で、英雄と添財は、美川閣の仕事を手伝いながら、阿忠師のもとで世話になることに。
この美川閣は、毎晩客であふれる北投屈指の温泉旅館だが、実は借金まみれ。
その日も借金取りがやって来て、美川閣の娘・秀秀にちょっかいを出す始末。
英雄は、持ち前の義侠心で、秀秀を助けようとするが、それが裏目に出て、
秀秀の父・吳天豐からチンピラ呼ばわりされてしまい…。



2015年10月、BS Twellv(BSトゥエルビ)で新たに設けられた台湾ドラマ枠で始まった
『ずっと君を忘れない~熱海戀歌』が、年を跨いだ2016年7月初旬、全35話の放送を終了。
週に一度、土曜に一話という放送形態は、私にとっては程よいペース。
溜め込んだ録画の消化にゼーゼー追われることも無く、放送終了と時をほぼ同じくしてゴール。

★ 概要

製作費1.5億台湾ドルをかけ、台湾のテレビ局・三立電視の開局20周年記念ドラマとして撮られた作品で、
同局の“週五台灣好戲”枠で2014年3月から8月にかけて放送され、そこそこのヒットを記録。
メガホンをとったのは、2012年話題になった映画、
『陣頭~Din Tao Leader of the Parade』の馮凱(フォン・カイ)監督。
テレビドラマだと、『緑のシンフォニー~光森林』、『真愛找麻煩 True Loveにご用心~真愛找麻煩』等が
日本で紹介されている監督さんで、台湾のローカル色を出すのが得意という印象。

“週五台灣好戲(金曜台湾良質ドラマ)”というのは、
民國百周年を記念し、2011年に三立で設けられた、文字通り金曜に放送されるドラマ枠で、
本作品は、その第6弾に当たる。

三立では、1話90分、全23話であったが、その後放送した台視では、1話60分、全35話。
BS Twellvで放送した物は、後者の台視版と同じ編集と推測。
但し、すでに発売されている日本版DVDは全23話なので、三立版なのであろう。


お金をかけた三立20周年記念ドラマということで、撮影は台湾国内のみならず、日本の鹿児島でも決行。
桜島、指宿温泉、出水麓武家屋敷群、垂水千本イチョウ、おれんじ鉄道といった鹿児島の名所が、
ドラマの中で旅番組のように紹介される。


あと、本作品の大きな特徴は、日本に入って来る台湾ドラマとしては非常に珍しい台語メインの作品である事。
台語ドラマが、日本に買われたのは、『パイ・ピンピン物語~菅芒花的春天』以来、実に17年ぶりだという。
『パイ・ピンピン物語』は、そのタイトル通り、
台湾の歌手で女優・白冰冰(パイ・ピンピン)の半生を描いたドラマで、
彼女の夫であった梶原一騎役で、日本の加勢大周が出演。
俳優としてまだ今ほど評価されていなかった阿部寛も、コーヒー屋のマスター役で出演している。
近年、一旗揚げようと台湾へ渡る日本人男性モデルが結構いるけれど、
今思えば、阿部ちゃんは、その先駆けかも。


ちなみに、原題は『熱海戀歌~Once Upon a Time in Beitou』
邦題もそのまま郷愁漂う『熱海恋歌(あたみ・こいうた)』にしておけば、
なんで台湾ドラマなのに熱海?!と日本人の食い付きも良かったハズなのに、
わざわざ唐沢寿明&キムタク主演の戦争映画『君を忘れない』(1995年)をパクったようなタイトルにしたのか、
その狙いがまったく理解できない。
頭に“ずっと”を付け、マイナーチェンジしたところで、紛らわしいだけで、記憶に残らない。

★ 物語

70年代、台湾の温泉郷・北投で、立場の違う二人の男女、
地元の有名旅館の娘・秀秀と、西螺からの流れ者・英雄が出逢い、恋に落ち、
音楽という共通の夢に未来を託そうとするが、現実には勝てず、
秀秀が親の独断で、白原正彰という裕福な日本人青年に嫁がされ、鹿児島へ発ったことで、
青春期の恋に終止符を打ったかのように思われたが、
36年の時を経て、二人は運命に導かれるかのように再会、
新たな障害を乗り越え、今度こそ想いを成就させるまでを描くピュア過ぎる純愛物語


物語は中盤以降までずっと、“台湾温泉郷版『ロミオとジュリエット』”とでも呼びたくなる
温泉旅館の娘と、流れ者の青年という二人の男女の障害だらけの恋が展開。
この台湾温泉郷版ジュリエットの秀秀は、実は貧しい家の出身で、
養女に行った温泉旅館も借金まみれなので、お嬢様度が低く、根が庶民的。
お相手・英雄とは、“両家の確執”など無いし、実のところ二人の間に経済的社会的格差もほとんど無いため、
御本家『ロミオとジュリエット』と比べてしまうと、ドラマ性に乏しい。

『ロミオとジュリエット』とのさらなる違いは、悲劇で幕を閉じない点。
台湾温泉郷版のロミオ・英雄は、ジュリエット・秀秀が、他の男と結婚し、国を出ても、
一途に彼女を想い続けながら老い、今やシニアの一歩手前。
別れから36年後に、彼女の死を知らされても、御本家ロメオのように、早とちりで後追い自殺などしない。
その甲斐あってか、秀秀の生存が確認されると、純な青年期に戻ったかのように、再度猛アタックをかけ、
見事、36年越しの純愛を実らせてしまうのだ。
詰まる所、“石の上にも36年(…!)”、執拗なまでの初志貫徹で実らせる老いらくの恋の物語なのです。

★ 物語の舞台

英雄の出身地・西螺と、彼が流れ着き、秀秀と恋に落ちる北投の位置関係を、ここで改めて確認しておこう。


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北投は西螺から北に200キロちょっと。東京⇔長野くらいの距離に相当するようだ。



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物語は、台湾中部を流れる大河・濁水溪に架かる橋、西螺大橋の使用料徴収が廃止となった
1977年(民國66年)に幕を開ける。
主人公の英雄と、彼の義兄弟・添財は、生まれ育った西螺でひと悶着を起こしてしまったため、
咄嗟に乗り込んだ軽トラで、この西螺大橋を渡り、未知の世界へ飛び込んで行く。
今でこそ何てことない旅路だが、西螺の外を知らなかった当時の英雄には、
大きな濁水溪に隔たれたこちら側とあちら側では、世界が違っていたかも知れない。
ふたつの世界を繋ぐ西螺大橋を越える幕開けは、その後のドラマを予感させる象徴的なシーンと言えるかも。

★ キャスト その①:運命の二人

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李李仁(リー・リーレン):羅英雄~故郷・西螺を飛び出し北投へやって来て秀秀と恋に落ちる青年

日本に入って来ている出演ドラマが『戦神 Mars~戰神』と、
もう直放送が始まる『武則天 The Empress~武媚娘傳奇』くらいなため、
台湾の人気司会者、“陶子”こと陶晶瑩(タオ・ジンイン)のイケメン亭主というイメージばかりが強い李李仁。
私が彼を見るのは、日本統治時代に実在した社会運動家・蔣渭水(1891-1931)を演じた映画、
(この映画は、特別上映だったため、今のところ、日本で日本語字幕付きで観るのは難しいかも。)
なかなか私好みのナイスミドル・李李仁であるが、本ドラマで、十歳も年下の李千娜をお相手に、
恋にウブで一途な青年を演じるのは、年齢的にややキツイものも感じた。
ドラマ後半、実年齢に近い(と言う以上に、実年齢を優に超えた)オジさんを演じるようになると、魅力倍増。
ただ、若い頃に別れた女性をその後も36年間ずーーーっと一途に想い続けるって、どーヨ…?!
ボケが始まって、36年前を“昨日の事”のように思い込んでいるのではないかと、心配したワ。
その秀秀と36年ぶりの再会を果たしても、「げっ、秀秀、オバさん化している…」なんて驚きの素振りは
これっぽっちも見せずに、昔と変わらぬ愛しい目で彼女を見詰めちゃうのも、男として出来すぎ。



李千娜(ナナ・リー/リー・チェンナ):吳秀秀~美川閣のオーナー吳天豐の養女

日本でこれまで“リー・チェンナ”で紹介されていた李千娜だが、
本ドラマの日本版公式サイトでは“ナナ・リー”となっているので、併記しておく。
李李仁と同じように、彼女もまた、日本での露出が少ない女優さん。
歌のオーディション番組<超級星光大道>の出身で、その後は女優業にも進出。
私が観た彼女の出演作は映画祭で上映された2本の映画で、オムニバス『ジュリエット』(2010年)と
『百日草』(2015年)のみ。
若く見えるがすでに30過ぎで、しかも、十代で結婚→子供を2人出産→20代半ばで離婚と、
一般的なアラサーに比べ、かなり濃密な人生を経験しておられる。
本ドラマでは、そんな濃いぃ私生活を微塵も感じさせない、ピュアな女の子を好演。
しかし、この秀秀、いくらピュアに英雄一筋だからといって、
日本人青年・白原に対する態度がどんどんトゲトゲしくなっていくのは、見ていて感じが悪く、
好感度は右肩下がり。物語後半には、私の中ですっかり“嫌いなオンナ”になっていた。
そんな秀秀は日本人・白原と結婚し、日本に移住するくらいだから、日本語の台詞も結構多い。
高校の日本語学科で学んだ李千娜の実力は、「・・・・。」(以下自粛)。
ちなみに、日本人共演者・平岡祐太は、彼女の日本語を70点と評価している。



中年になった英雄と秀秀も見ておこう。(↓)こんな感じ。

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李千娜は相手役の李李仁と逆で、中年期の方に無理がある。
濃いめのファンデーション、薄めの眉毛、ペンシルで書いた法令線で作り込んだ老け顔は、やはり不自然。

この秀秀は、日本人・白原と結婚し、日本で暮らすようになり、“白原節子”と改名するのだが、
この名前の由来って、やっぱり“原節子”?
芸能界をきっぱり引退し、その後死ぬまで決して公けに姿を現さなかった原節子のように、
秀秀も潔く身を引き、ペンシル法令線の不自然な顔なんかで元恋人の前に現れないで欲しかった…。

★ キャスト その②:恋のライバル

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平岡祐太:白原正彰~日本人の父と台湾人の母をもち、日本で育った裕福な青年 秀秀に片想い

本ドラマは、日本の俳優・平岡祐太、初の海外出演作。
彼より少し前に『ショコラ~流氓蛋糕店』で初めて台湾ドラマ出演を果たした長澤まさみと異なり、
平岡祐太は台湾入りしても、現地のメディアに「暇潰し用に日本から沢山本を持ってきた」などと
呑気な事を語っていたので、大丈夫なのか?!と案じていたら、彼の台詞はほぼ全て日本語。
(平岡祐太が日本語しか喋れないから、李千娜がたどたどしい日本語を披露する羽目になったのかも。)
撮影が終了し、台湾を発つ前のインタヴュでも「ようやく日本に帰れて嬉しい」などと言っているし、
この人は、あまり海外向きの人材ではないと感じた。
海外で、心にも無い事を言って、現地メディアに媚びろとは言わないが
(上辺だけ繕ったお世辞は、相手にも伝わり、益々印象が悪いから、言わない方がマシ)、
もう少し好感度を上げる対応というものが有るはず。素で出来ないのなら、慣れて学ぶしかない。
平岡祐太の態度と比較することで、私の中で長澤まさみの株が上がった。
一般の日本人を見ても、海外では、男性より女性の方が、
柔軟に振る舞う人が多いように感じるので、仕方がないのかしら。
ま、そんな平岡祐太ではあるが、2016年6月に開催された第19回上海国際映画祭に出席した際には、
そのスケールの大きさや熱気に圧倒されたようで、「この国の映画に出演したいという野望が
ひしひしと湧いてきました」と興奮気味に語っているので、今後に期待。中国語学習も頑張って続けてね!

平岡祐太への説教ばかりを綴ってしまったけれど、演じた白原は好感度高し。
ただ、脚本に無理があるのか、私は白原の立ち位置に矛盾を感じてしまった。
と言うのも、この白原は、お金持ちで、礼儀正しく、周囲にも気を遣える申し分のない好青年。
なのに、物語上、“英雄と秀秀の仲を引き裂く第2の男”が必要であるため、
何の非も無い白原を、この手の悲恋に洩れなく付いてくるステレオタイプの金満家に
仕立て上げてしまっている点が、腑に落ちない。
私には、この白原が、“金に物言わせて秀秀を奪おうとするイケ好かない男”にまったく見えなかったし、
“金持ち=傲慢でイヤな奴”という卑屈で古臭い定義には、ゲンナリさせられる。



陸明君(ルー・ミンジュン):梁鳳君~通称“鳳姐” 電話間を取り仕切るママ

177センチのスレンダーボディにのっぺり顔の陸明君は、見た目からして私好みで、
『アウトサイダー~鬥魚』の頃から大好きな女優さん。
子宮頸癌を患い、一時期休養していたけれど、それからもう随分経って、完治したのだろうか。
出演作を観るのは、恐らく『イタズラな恋愛白書~我可能不會愛你』以来。
見た目から受ける印象通り、“頼れる姐御”って感じの役を演じる事が多く、今回もその例に漏れない。
本ドラマで扮する鳳姐は、“電話間(コールルーム)”のママ。
“電話間”というのは、ホステスの派遣を請け負うホステス紹介所のようなお店。
そこを仕切る鳳姐は、外省人という設定なのだろうか。
台語が飛び交う本ドラマで、彼女だけが北京語で喋っている。
同じく北京語を喋る外省人らしき齊常浩という既婚の刑事の愛人をズルズルと続けているが、
日陰の存在でいることに疲れ、報われない恋と知りながらも、真っ直ぐな英雄に惹かれていく。
その後、鳳姐は独身のまま身籠り、出産。英雄は日本に発った秀秀を未だ一途に想いながらも、
鳳姐を助けるために、父親不明のその子・詩詩の形式的な父となり、3人は不思議な“家族”になっていく。
この関係が36年後秀秀を誤解させてしまい、秀秀と英雄の復縁にひと波乱!



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ちなみに、鳳姐が仕切っていたような電話間は、実際、北投が多くの酒家で賑わっていた70年代に存在。
当時、酒家はホステスを店に専属で雇うことはなく、
必要に応じて、電話間から呼び寄せるのが一般的だったそう。
本ドラマに描かれているように、お呼びの掛かったホステスが、バイクで酒家に送られていくのは、
当時の北投でよく見られた光景なのだと。


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気になるお遊びのお値段は、酒家で一卓使い、食事をし、ホステスを一人呼ぶと、
公務員の給料の半月分ほど。なので、客は比較的裕福な人が多かったという。
庶民がどんちゃん騒ぎをする酒場とは異なる社交場だったようだ。

★ キャスト その③:主人公を取り巻く人々

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唐從聖(タン・シャンシェン):廖添財~西螺で英雄と一緒に育った義兄弟

かの楊昌(エドワード・ヤン)監督作品『カップルズ』(1996年)にも出演していたのに…

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…いつの間にか、その時の共演者・張震(チャン・チェン)や柯宇綸(クー・ユールン)とは進む道が反れ、
『イタズラなKiss~惡作劇之吻』で琴子のパパになってしまった唐從聖。しがない小者キャラはお手の物。
本ドラマでは、秀秀に一目惚れするも、彼女の気持ちは大親友・英雄に向いており、案の定撃沈。
そして、自分に夢中になってくれる奇特な女性・小花を邪険にするが、ある時から立場が逆転し、
小花からまで振り回され、挙句、尻に敷かれてしまうという、やっぱり今回もしがない唐從聖なのであった。



袁艾菲(ユアン・アイフェイ):曾小花~阿忠師の娘で秀秀の大親友 添財に一目惚れ

袁艾菲は、日本での放送が重なった『カノジョの恋の秘密~金大花的華麗冒劍』で演じた曉菲がウザかったが、
こちらで演じている小花も、負けず劣らずウザい。
“蓼喰う虫も好きずき”で、一目惚れした添財に邪険にされても、彼を一途に追うのは可愛げあるけれど、
ある時からガラリと立場を逆転させ、添財に対して今度はいきなり大威張り。
私から見れば、好青年でしかない白原に対しても、敵対心ムキ出しだし、なんか感じ悪かったぁ~。
終盤になると、もっとウザい詩詩という女の子が登場するため、小花がやけにマトモな中年女性に見えてくる。



檢場(ジエン・チャン):吳天豐~美川閣経営者 秀秀の養父

養女・秀秀と英雄の交際を反対し、白原との結婚話を進めようとする吳天豐もまた白原同様、
私が設定に納得ができない登場人物。
ドラマでは、“金の亡者”、“お金のために娘を日本人に売るようなゲスな男”と散々な言われようだが、
果たしてそんな悪人だろうか…?大切に育ててきた娘にお金の苦労なんかさせたくない、
裕福な家に嫁ぎ、幸せになって欲しいと願うのは、ごくごく普通の親心。
まだ若い娘が、一時の迷いで流しの男に夢中になっても、
その愛の炎が落ち着いた時、お金が無いという現実に直面した娘が苦労し、ヤツレていくという末路を、
人生経験を積んだオトナは見通せるものなのだ。
もし私に娘がいて、その子が「この人と結婚したい」と流しの男を連れてきたら、私だって全力で阻止するわっ!



陳博正(チェン・ボージョン):曾炳忠~通称“阿忠師” 腕のいい料理人 小花の父

阿忠師は、英雄の伯父・李茂森の古い友人であることから、
北投で拠り所の無い英雄と添財を自分の元に置き、面倒を見る料理人。
美川閣のオーナー吳天豐とも親しいため、英雄から秀秀を引き離そうとする吳天豐をなだめ、
若い男女との仲介役もする。
『坊やの人形』(1983年)で銀幕デビューした陳博正も、もはや“おじさん”を通り越して“おじいさん”の雰囲気。
マッチ棒のような細さは、何十年も変わらず。



楊麗音(ヤン・リーイン):千代~秀秀の生母

かつて『坊やの人形』で、前出の陳博正の妻だった楊麗音。

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台湾電影ファンには懐かしい、うらぶれコンビ。
その後も楊麗音は侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督作品への出演が多かったのに、
いつの間にか偶像劇でよく目にする気の置けないオバちゃんになっておられた。
今回の夫は陳博正ではなく、夏靖庭(シャー・ジンティン)扮する許旺松。
この許旺松が甲斐性の無い男で、美川閣の養女になった娘・秀秀に、いつまでも金の無心。
…が、のちに、許旺松と秀秀に血縁が無い事が判明。秀秀の実の父親は、千代を孕ませ、捨てた流しの男。
そんな事情から、千代は流しにネガティヴ・イメージしか無く、秀秀と英雄の交際にも猛反対。
女癖の悪い男だの、ヒモみたいな男だの、千代の男性遍歴はダメンズ尽くしですねぇ。

★ キャスト その④:子世代の若人たち

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ドラマ後半、物語の舞台が現代に移ると、登場人物たちの子供世代が登場。

黃薇渟(ホァン・ウェイティン):羅詩詩~鳳姐の娘 実父は不明 形式上の父は血の繋がりの無い英雄

鳳姐の娘・詩詩は、血の繋がらない父・英雄の姓を名乗っているから“羅詩詩(ルオ・シーシー)”。
なんか『宮廷女官 若曦(ジャクギ)~步步驚心』の劉詩詩(リウ・シーシー)を重ねてしまう名前。
この詩詩、ずっと母親には反抗的だったのに、秀秀の出現で、態度が一変。
自分たち母子から英雄を奪ってしまうかも知れない秀秀に敵意ムキ出しになり、彼女と英雄の再会を妨害。
気持ちは分からなくもないが、あまりにもギャーギャーうるさく、しかもシツコいので、
私は彼女を徐々に鬱陶しく感じるようになってしまった…。
詩詩は1989年生まれという設定だから20代前半のはずだが、18歳くらいの学生にすら見えるのは、
見た目の若さだけでなく、精神的に幼稚だからかも知れない。
扮する黃薇渟は、“ポスト陳庭妮(アニー・チェン)”と称される通り、陳庭妮似の顔立ち。
でも、実は陳庭妮より2歳年上のアラサーで、デビューも陳庭妮より先。
大学時代からCMモデルを始め、卒業後もインテリアデザインの会社に勤務しながらモデルのお仕事。
今は完全に芸能界一本に絞り、出演ドラマも徐々に増加。今後は、年相応の大人の女性を演じる彼女に期待。



曾少宗(フィガロ・ツェン):張正宇~音楽プロデューサー張家宏の息子

張正宇は、秀秀と英雄のデビューを手助けしようとした音楽プロデューサー張家宏の息子。
張家宏が契約金を持って北投に現れなかったため、秀秀は英雄から引き離され、白原と結婚させられる羽目に。
英雄や彼の仲間たちからしてみれば、張家宏はとんだ裏切り者。
もっとも、これは英雄らの誤解で、実は鳳姐が口にしたちょっとした一言に原因が有ったのだけれど…。
濡れ衣を着せられた張家宏は、秀秀と英雄を助けられなかった事がずっと心に引っ掛かり、
ついには重い認知症を患い、老人ホームで寝たっきり。
曾少宗は、認知症の老父を介護する息子を演じるには若過ぎて、役に説得力が無いという印象。
…が、実はこの曾少宗、1981年生まれで、御無沙汰している間に30代半ばになっていた!
よくよく考えてみたら、王傳一(ワン・チュアンイー)と同じ可米小子(コミックボーイズ)出身だし、
それくらいの年齢になっていても、何の不思議もない。
実年齢よりずっと若く見えてしまう顔に問題があったようだ。
ただ、この張正宇は詩詩と恋に落ちる役でもあるので、あまり中年っぽくても彼女と釣り合わないし、
まぁ曾少宗でも良かったのだろうか。



徐浩軒(シュー・ハオシュエン):廖志傑~廖添財と小花の息子

廖志傑は、子供世代の中でも、前出の詩詩、張正宇に比べ、存在感が希薄。
ハッキリ言って、物語の中で、さほど重要な役ではない。
でも、演じている徐浩軒クンは、『幸せが聴こえる~聽見幸福』で見て間もなかったので、気になった。
『幸せが聴こえる』では、香港の方大同(カリル・フォン)似だったのに、
本ドラマで、眼鏡を外した彼は、眉が凛々しく、また違った印象。
ヘアスタイルが父親・添財と似たような真ん中分けなのは、父子の雰囲気をだす工夫?

★ キャスト その⑤:実在の人物

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『ずっと君を忘れない』はフィクションの物語だけれど、一人だけ実在の人物が登場する。
北投にやって来て、秀秀と英雄の歌を認めてくれるプロの人気歌手・鳳飛飛(フォン・フェイフェイ)が、その人。
もっとも、ホンモノの鳳飛飛は2012年に58歳で亡くなっているので、方寧(ファン・ニン)が演じている。
方寧は、テレビの物真似コンテスト<超級模王大道>で注目された鳳飛飛のソックリさん。

方寧扮する鳳飛飛が登場するのは、70年代のシーンにほんのちょっとだけだけれど、
その後、舞台が2012年に移ると、テレビからこの鳳飛飛死亡のニュースが流れる。
それは、英雄たちにとって、ひとつの時代が終わったかのような象徴的な出来事と感じさせる。

ちなみに、鳳飛飛のトレードマークは帽子。趣味の良し悪しを超越した個性派コーデが目を引く。
同じ年の麗君(テレサ・テン)が生前、同様に、チープなレースやファンシーな花柄小物など、
よせばいいのに、必ず一つは不要な物を足すトゥマッチなファッションに身を包んでいた事を思い出す。
素人でも有名人でも、台湾のオバちゃんたちの辞書に“シンプル・イズ・ベスト”の文字が無いのは共通みたい。

★ 美川閣

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このドラマを観ると、物語の重要な舞台、温泉旅館の美川閣が、どこにあるのか気になりますよね?
一般的に台湾ドラマはローバジェットであるため、既存の建物を使っての撮影が普通。
幸い台湾には日本統治時代の建物がかなり残っているので、
この美川閣も、そんな過去の遺物の一つかと思いきや、なんとおニュー。
さすがは三立電視開局20周年記念ドラマだけあり、たっぷりお金をかけ、美川閣を建ててしまったのだという。
場所は北投ではなく、新北市にあるウォーターパーク・八仙樂園の第2駐車場らしい。
八仙樂園は、日本でも報道されたように、
2015年6月、イベントで使われたカラーパウダーの引火で、悲惨な爆発事故が起きてしまった場所。
営業停止命令が出て、そのままのはずなので、
一般の人が中に入り、ドラマのセットを見学するのは困難と推測。興味のある人は、事前に要確認。



八仙樂園 Formosa Fun Coast
住所:新北市八里區中山路三段112號

★ 言語/日本語字幕

前述のように、本作品は、日本に入って来る台湾ドラマでは珍しく、台詞の7割くらいが台語。
後半、時代が現代になると、北京語率が増えるけれど、それも実際の台湾社会を反映しているのであろう。

日本人にとっては北京語以上に馴染みの無い台語だが、
日本統治時代からそのまま残った日本語の単語が台詞の所々に混ざるのは、一つの食い付き所。
台湾に残る日本語では、“歐巴桑(おばさん)”、“運醬(運ちゃん/タクシー運転手)”等が有名だけれど、
本ドラマで最も使用頻度が高い日本語は、恐らく“那卡西(流し)”であろう。
“流しのギタリスト”といった具合に使われる、あの“流し”。
今や日本でも使われなくなったこの単語を、まさか台湾ドラマでイヤというほど耳にするとは…!


日本語字幕には、問題アリ。
私が大嫌いな“名前の片仮名表記”を採用しているだけでも、もう充分問題アリだが、
本作品は、台語の台詞が多いだけに、北京語作品以上に大問題。
例えば、主人公の“英雄”。劇中、彼は皆から台語の発音で“インヒョン”と呼ばれているのに、
字幕は一貫して北京語に倣った“インシオン”で表記され、耳から入って来る音と明らかなズレがある。
そもそも、“英雄”と漢字で表記した方が覚え易いし、この主人公の人となりも伝わるのに、
なぜにわざわざお見当違いな“インシオン”…。
“日本語字幕で華人の名前は片仮名表記”などという凝り固まった考えは、いい加減捨てて欲しい。
“最近の若い子は漢字が苦手だから”とか色々言い訳も有るだろうが、
だったら日本人の名前はなぜ漢字で表記するのか?
“向井理(むかい・おさむ)”、“斎藤工(さいとう・たくみ)”、“黒木華(くろき・はる)”等々、
どれも解読不可能な名前なのに漢字で表記しているでしょーが。
“英雄”程度の漢字で難しいなどと言っていたら、村田英雄や野茂英雄は、一体どうしたらいいの…?!

★ テーマ曲

オープニングに流れる曲は、主演の二人、李李仁と李千娜が台語で歌う<心愛的Honey>
これは、物語の中でも、二人を繋ぐ重要な歌になっている。
エンディングは、李千娜の<愛到站了>
…なのだけれど、日本では、放送の枠に収まらなかったのか、バッサリ割愛。
そんな訳で、ここには、日本のテレビで観ていた視聴者により馴染みのある<心愛的Honey>の方を。
今どきのC-Popとはかなり異なり、昭和歌謡にも通じる趣きのデュエットソング。







日本に最も入って来がちな偶像劇とは毛色の異なる台湾ドラマが紹介されたという点で、高評価。
幼稚な台湾偶像劇には食傷気味なので、
これといったアイドルが出演せず、内容で勝負しようとしている本ドラマは、新鮮に感じる。
想像するに、現地台湾でも、日本でいう“NHK朝ドラの視聴者層”と似たような層に
幅広く受け入れられたのではないだろうか。
日本人の私には、凝ったセットや衣装で作り上げられた70年代の台湾を覗けるのも、楽しい。

が、しかし、(これを言ってしまうと、本ドラマを全否定することにもなってしまうが…)
本ドラマのテーマになっている“長きに渡る男女の純愛”には、まったく共感できず。
ちょっと前に、台湾映画『若葉のころ』で17歳の初恋を30年引きずる男女を見て、ドン引きしたけれど、
上には上が居るもので、この『ずっと君を忘れない』なんて、36年もズブズブですからっ…!
青春時代の恋なんて、触れずにそっと想い出としてしまっておくから美しいのであって、
何十年もズルズル引きずり、再燃させようとするなんて、無粋を通り越して不気味でしかない。
それでもこのドラマが辛うじて成立しているのは、李李仁が美オヤジだからに他ならず、
加齢臭漂う普通の中年男が、36年前の恋人を想い続け、独り身を通していたら、美談になるどころか、
意地の悪い若い同僚OLから「○○さん、まじキモイんですケド」などと陰口を叩かれかねないから、要注意。

我々日本人は、台湾というと、素朴で人情味のある人々をイメージしがちだが、
確か台湾の離婚率は、日本以上に高かったはずである。
パーッと燃え上がって結婚し、スーッと引いて離婚してしまう南国気質が、
忍耐強い北国気質を理想化し、このような作品が次々と作られたのではないかと、勝手に分析。



さて、昨秋、土曜の『ずっと君を忘れない』、日曜の『王子様をオトせ!~就是要你愛上我』
2本立てで始まったBS Twellvの台湾ドラマ枠だけれど、早くも消滅したようで、
本ドラマの後に、台湾ドラマ放送の予定は無い。
日本の平岡祐太が出演しているにもかかわらず、話題にならなかったのだから、仕方がないのだろうか。
取り敢えずは、もう直最終回を迎える『王子様をオトせ!』の後がどうなるか様子見。
ただ、こちらも期待薄であろう。韓ドラ枠は続いているのにねぇ…。

富山・高山のお菓子(+日々のあれこれ)

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2016年7月4日(月曜)、イランのアッバス・キアロスタミ監督、突然の訃報に、少なからずショックを受ける。
パリで癌の治療中だったという。享年76歳。
映画を通し、未知の国・イランを教えてくれた最初の監督だったかも知れない。
残念。御冥福をお祈りいたします。




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明るい話では、mango一押しの大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす』
日本版DVDが出ることを、遅ればせながら知った。

(↓)こちら、そのDVD用に作られた新たなトレーラー。


なんだか映画館で観る映画の予告編のように壮大ですね~。
レンタルは2016年9月2日から、販売は10月5日からとの事。

数年に一度出るか出ないかの傑作ドラマなので、私はBSでの放送を期待しているけれど、
…と言う以上に、BSで放送あり!とほぼ確信しているけれど、
CSチャンネル銀河が家に入らず、御預け状態になっている日本の皆さまにとっては、
取り急ぎ『琅琊榜』体験できるDVDのリリースは、きっと朗報であろう。
当ブログで、未だ『琅琊榜』関連の検索が非常に多い事からも、皆さまの期待のほどが窺えるし、
レンタルが始まったら、ちょっとした争奪戦になるかも知れない。健闘を祈ります。





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さて、テレビでは、日テレ『アナザースカイ』が久々にちょっと楽しみ。
次回、7月8日(金曜)のゲストは野村周平で、彼がかつて舞台挨拶で訪れた台湾を紹介。

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『男子高校生の日常』をPRするため、共演の菅田将暉と台湾へ渡った2013年の事だろうか。

今回の『アナザースカイ』では、堪能な中国語を駆使しながら、屋台料理を満喫したり、
得意のBMXのテクニックを披露する他、台湾ドラマの撮影現場を見学し、現地の俳優たちと交流、
あちらで活躍する日本人女優とは、海外進出への想いを語るという。
あちらで活躍する日本人女優というのは、大久保麻梨子など、かなり限られた人になると想像するけれど、
撮影を見学したのがどの台湾ドラマで、現地の俳優が誰なのかは、とても気になる。
“堪能な中国語”がどれ程度堪能なのかも、少々興味あり。
ちょっと前に観た深夜番組『ディーン・フジオカ&アジアの友 We Are Asia』では、
香港へ渡った野村周平が発した中国語が、中国語歴一週間の人でも言えそうな
「有興趣嗎?没有?」だけで、肩透かしを食らったので。


テレビでは、翌日7月9日(土曜)にも台湾取材あり。
TBS朝の情報番組『サタデープラス』で、“渡辺直美 故郷・台湾里帰りに密着”というコーナーがあるようだ。




お菓子は、富山・高山方面に行ってきた母が持ち帰った物ばかりを4種。
あの近辺のお菓子は、東京であまり食べる機会が無く、詳しくない。
今回食べた物も全て初めての物ばかり。

★ 林盛堂本店:おわら玉天

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大きさは、一辺だいたい4センチの立方体。
淡雪羹の表面に黄身を付け、こんがり焼き上げたお菓子。




ひとつめは富山から。民謡・おわら節で知られる越中八尾の町で、
江戸末期に創業した林盛堂本店(公式サイト)“おわら玉天”
明治時代中期、そこの2代目・林駒二郎が考案し、
今では、富山の三銘菓のひとつにも挙げられる八尾町の郷土菓子として親しまれているらしい。
その老舗のこともお菓子のことも知らなかった私は、“林盛堂”という店名を見て、
反射的に台湾の映画監督・林正盛(リン・チェンシェン)を思い浮かべた。…余談だけれど。

名物菓子と知らずに、これを見たら、普通は卵焼きと思うであろう。
ところが、手にすると軽く、中は真っ白。
卵白、砂糖、寒天を混ぜて作る、いわゆる“淡雪羹”の表面に、黄身を付けて焼き上げたお菓子なのだ。
一般的な淡雪羹と違い、卵の黄身が加わるから、懐かしく、優しい素朴な味わい。

“お菓子版はんぺん”って感じ。
何がナンでもまた食べたい!て程ではないけれど、郷愁を誘う素朴な味でありながら、
実は他では見たことのないタイプの珍しいお菓子だと思った。

★ 富士屋花筏:枇杷

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大きさは、長さ約4センチ、幅約3センチ。
餅生地で白あんを包み、琵琶に見立てた季節菓子。




ここから高山。まずは、富士屋花筏(公式サイト)の季節の上生菓子で“枇杷”
この花筏は、築百年になる町屋造りの古民家を改装した、カフェを併設した素敵な和菓子屋さんらしい。

枇杷を模したお菓子は、夏の上生菓子の定番。
大抵、煉り切り製か餅生地製だが、ここのは後者。
柔らかでありながら、歯切れのよいお餅の中には、さっぱりした甘さのこし餡。

基本に忠実に作られた伝統菓子で、意外性は無いけれど、
薄っすらオレンジ色のコロッとした枇杷は、見ているだけで、気分ほっこり。
日本の夏を感じさせてくれる上生菓子。

★ 富士屋花筏:夏栗きんとん

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大きさは、直径約3.5センチ。
栗きんとんを、水饅頭生地で包んだ涼菓。




こちらも、富士屋花筏の物で、“夏栗きんとん”
同店、夏の人気商品らしい。

水饅頭というと、中にこし餡が入っている物が一般的。
ここのも、見た目は普通の水饅頭なのだけれど、中に入っているのが、栗きんとん。
栗の素材を生かした甘さ控えめの上品な味。
外の生地は、やたらプリンプリンに弾力がある安っぽい水饅頭と違い、
適度に柔らかで、ツルンとしたノド越し。

秋をイメージさせる栗きんとんを、夏にサッパリ食べさせる良いアイディア。
ただ、激甘党の私には、栗きんとんの甘さがやや足りない。もう少し味にパンチが欲しいところ。
一般的な舌をもつ日本の皆さまには、むしろ丁度よく、上品に美味しくいただけると思う。

★ いわき:いわきの早蕨

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容器の大きさは、大体12センチ角×深さ4センチ。
きな粉と黒蜜が添えられた、黒糖風味の手作りわらび餅。




最後は、いわき0577-34-1113)の“いわきの早蕨”
わらび餅一品勝負の知る人ぞ知る名店らしい。
その勝負商品は“早蕨”と書き、“さわらび”と読む。

ツルンとしたノド越しのわらび餅は、夏の人気菓子で、ひんやり冷やして食べたいところだけれど、
ここのは、容器にしっかり「冷蔵庫に入れないで下さい」と注意書きあり。
固くなってしまうという理由で、室温での保存を推奨している。その状態で、賞味期限3日間。
意外な気もするが、もちろん保存料などは一切不使用。
また、固くなってしまった場合は、電子レンジで温めると良いとのこと。

この商品、主原料は国産の蕨粉のみ。色が茶色がかっているのは、黒糖で軽く味付けされているため。
容器には、短冊状にカットされたわらび餅が5切れ入っている。
取り敢えず、ひと切れだけ食べてみようとしたら、あまりにも柔らかで、上手く取り出せない。
その時点で、このわらび餅の質感は充分に想像できたけれど、
いざ口の中に入れたら、本当に滑らかでトロトロの食感で、感動すらした。

昨今、“わらび餅”の名で売られている物でも、大抵は他のでんぷん質が混ぜられているから、これは贅沢。
コンビニのプリンプリン食感のわらび餅がホンモノだと思い込んでいる人に食べさせたい。
どんなに鈍い人でも、食べ比べれば、その差は歴然のハズ。
近年、蕨粉100%のわらび餅があまり出回らない理由は、コストの問題が一番だと想像するが、
買ってきた母曰く、これは一パック5百円程度だったらしい。信じられない。あまりにも良心的。
パッケージがイマイチなため、実は大して期待していなかったのだが、
いやいや、なんの、これはわざわざ食べる価値あり。
ここまでとろける食感の手作りわらび餅は、東京ではなかなかお目に掛かれないので、
機会があれば、是非また食べたい。

中華ドラマ“あるある”

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中華ドラマを観ていると、よく遭遇する光景あり。
気になって気になって仕方がないので、今パッと思い浮かぶ“中華ドラマあるある”を、
ざっくり台湾偶像劇と大陸時代劇の2ツに分け、列挙してみる。

これらの“あるある”に、私は決して“もう見飽きたからいい加減にやめてヨ”とは思っていない。
むしろ、水戸黄門の印籠と同じで、出ると「来たーっ!待ってました!」という安心感が。
また、それら“あるある”からはお国柄が感じられるので、
日本をはじめとする他国のドラマとの差別化にもなっているのが良い。

★ 台湾偶像劇編

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アクシデンタル・キッス

いきなり振り返る、つまづく等、何かしらの事情で、事故的にキスをしてしまう
恋人関係ではない男女(ゆくゆく恋に落ちるのは明白)が、多数存在。
あんなに上手い具合に口と口が当たるワケないと思うが、台湾では成功率100%。
普通だったら、万が一上手いこと口と口が当たっても、
歯が折れたり、唇が切れ、血みどろのオドロオドロしいキスになるはず。

“真愛三部曲”の内に2作品、『真愛找麻煩 True Loveにご用心~真愛找麻煩』



顔が本当に赤くなる

CGで頬がポーッとピンクに染まるので、「あっ、この人、今恥ずかしいのね」と分かり易い。



ボディガードが絵に描いたようなボディガード

ヤクザや要人などを守るボディガードの身なりが、
黒いスーツにサングラスという、分かり易いまでにボディガードのコーディネイト。
また、その黒いスーツが、イチキュッパでズボンが2本付いてくるような庶民派スーツ。



ボディガード集団の中に、気の抜けた男が必ず一人(もしくは全員)

ヤクザや要人などを守るボディガードは、メインキャストではないので、
頭数を揃えるためだけに、プロの俳優ではないとモロ分かりの気の抜けた顔の男が
チームの中に最低でも一人は混入されている。



気の置けないオバちゃんはレギンス

主要登場人物の陽気な母親、近所の噂好きな中年女性など、
庶民的で気さくなオバちゃんは、大抵レギンスを着用している。
トップスはユルめのチュニック、足元はツッカケである確率も高い。



セレブの家が業務仕様

セレブのお部屋に、フロア見取り図や“EXIT”のプレート等、
民家には通常無いはずの物が、チラリと映り込むことアリ。
予算が少ない台湾偶像劇は、セットを組まず、既存の建物を使って撮影されることが多く、
インテリアが素敵なホテルは、セレブのお宅に打って付け。



どんなイヤな奴も、最後にはあっさり改心

基本的に台湾偶像劇には、根っ子から腐りきったヤツは居ない。
どんな悪人も、最終話までには、「一体、今までのあの悪行はナンだったの?!」と
見ているこちらが呆気にとられるほど、あっさり改心する。
また、人と人とのコジレきった関係も、綺麗に和解し、何のシコリも残さない。



タトゥ率高し

台湾芸能界のタトゥ率は、アジアの中で突出して高い。
台湾刺青アイドルの先駆けとも言える“大S”こと徐煕媛(バービィ・スー)は、
かつて『ホントの恋の見つけかた~轉角*遇到愛』等お嬢様を演じる必要がある作品では、
肌色のサロンパス(?)でタトゥを隠していた。
ただ、タトゥは隠れても、逆にサロンパスの方に目が釘付けになり、物語に集中できない視聴者に配慮したのか、
近年の台湾偶像劇では、お嬢様でもお坊ちゃまでも、平凡なサラリーマンでも、タトゥ丸出し。
朝ドラで人気急上昇のDEAN FUJIOKA(ディーン・フジオカ)も、
台湾時代には、タトゥ丸出しで幾度となくお坊ちゃまを演じている。
随分目が慣れた私でも、『イタズラな恋愛白書~我可能不會愛你』における王陽明(サニー・ワン)は、
“脱いでも柄シャツ”着ているみたいで、さすがにドン引き。



毛に無頓着

トップアイドル()でも、口ヒゲが生えていたり、
ノースリーブから覗く脇に毛の剃り残しがしばしば見えたり、とにかく毛の処理が甘い。
しかし、これは改善傾向。…いや、私にとっては“改悪”か。
林依晨(アリエル・リン)、陳嘉樺(エラ・チェン)、楊丞琳(レイニー・ヤン)、楊謹華(シェリル・ヤン)等々、
これまで私の目を楽しませてくれた台湾アイドル女優たちの口元から徐々にヒゲが消え、
最近では遂に“最後の砦”だった柯佳嬿(アリス・クー)までもが綺麗さっぱりシェイヴィング!
台湾女優の口ヒゲ継承者問題は、もはや深刻。
あれこそ、台湾という土地柄を、日本人の私に感じさせてくれる最高の武器だったのに。
口ヒゲにグローバル化不要ですから。
台湾女優の口ヒゲ消失は、香港映画から、いつの間にか消えた白ブリーフと同じくらい惜しい…。



アイプチで二重まぶた

顔がアップになると、アイプチ、もしくはアイテープで成形された二重まぶたが見える事しばしば。
これは、一重まぶたの明星と限らず、元々二重まぶたの明星が二重の幅を広くするためにも用いられる。
但し、これもムダ毛と同じで、昨今減少傾向。
台湾人が一重まぶたの涼しい目元の魅力に気付いたのなら、それはそれで良いけれど、
美容整形でガッツリお直しするくらいなら、アイプチ使用を続行し、私の目を楽しませていただきたい。



鄭元暢が泣いていない

これは、“台湾偶像劇”というか、鄭元暢(ジョセフ・チェン)個人の気になる“あるある”。
もっとも、最近、鄭元暢のドラマを観ていないので、以前に気になっていた事。
小綜(=鄭元暢)って、いつも泣くべきシーンで、眉を寄せ、すごく哀しそうな顔を作るのだけれど、
絶対に目から涙が出ていないのよね(笑)。最近は泣けるようになったでしょうか。

★ 大陸時代劇編

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室内なのに吐く息が白い

室内であるにも拘らず、台詞を喋る時に俳優たちの口から出る息が白い。
撮影に使われる宮殿などのセットがダダッ広く、暖房が効かないのではないだろうか。
実際、大昔には火鉢程度の暖房器具しか存在せず、冬は室内でも寒かったはずだから、リアルではあるが、
演じる人たちは平静を装っていても、実は大変なのでは。俳優って、一種の肉体労働者ですね。



頭突きで自害

自ら思いっ切り柱に突っ込み、頭を打ち付け、額から血を流して死ぬ者、多数。
痛そうではあるけれど、それくらいで簡単に死ねるものだろうか。



身体のどこを刺されても口の脇からひと筋の血を流し絶命

おなかでも背中でも、身体のどこかを滅多刺しにされると、患部は勿論のこと、
口の脇からもひと筋の血が流れ、間も無く息絶える。
私には、身体の仕組みがよく分からない。どこを刺されても、口から流血するものなのだろうか?



毒に即効性

食べ物や飲み物に盛られた毒を口にすると、ものの数秒で昏睡、もしくは口の脇から血が流れ絶命。
無味無臭で、そんなに即効性のある毒が存在するなら、現代でも欲しがる人が沢山いそう。



脈診の神医

脈にものの数秒触れただけで、病名は勿論のこと、
盛られた毒の種類、妊娠の有無、胎児の性別までもを言い当てるスーパードクターが多数存在。



桃の花がケバい

お庭に咲く桃の花が、自然界には存在しないキョーレツなピンク色。
まぁ、これは、桃の花に限ったことではなく、他のお花も人工的な極彩色。
無難に白い造花を使えば、人工的な印象を抑えられる気がするけれど、
どうしてもヴィヴィッドなお花で差し色しないと気が済まないのが、中華流なのかも知れない。



珍獣、猛獣が着ぐるみかCG(バレバレ)

動物は演技ができず、しかも時に危険であるため、着ぐるみやCGで表現されること多し。
そのクオリティは限りなく低く、ホンモノではないとバレバレだが、笑えるから“良し”とする。
着ぐるみ、CG以外にも、白狐をサモエド(犬)で代用という裏技も、しばしば見られる。



楽器を奏でる手と音にズレ

琵琶、お琴、笛など、楽器を演奏している手元が、耳から入って来る音とズレまくっている。



笛はオトコのたしなみ

日本の時代劇だと、笛を吹く男性なんて、牛若丸くらいしか思い浮かばないけれど、
これが大陸時代劇だと、風流な殿方の多くは笛を吹くのが得意。
しかも、その音色で心情を表現したり、女がコロッと参ってしまう事もある。
縦笛派、横笛派、また両刀(笛?)遣いというツワモノもいるが、
私個人的には、横笛をピロピロ吹いている方がイケメン度が増して見える気がする。
“モテたいからギター”なんて思っている若いボクたちも、もし過去の大陸にワープするなら、
ギターを笛に持ち替える事をお勧めいたします。

画像は、時代設定が古い順に、上段左から『クイーンズ長安 後宮の乱~母儀天下』、
『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』、『傾城の皇妃 乱世を駆ける愛と野望~傾城皇妃』、




舞いの披露で男が簡単にオチる

もし舞踊に自信がある女性ならば、狙った男性がいる場合、それが皇帝のような高貴な殿方でも、
舞っている姿を見せれば、大抵オチる。
“舞っている姿オチ”なんて、ドラマならではの白々しい演出と思う視聴者も居るだろうが、
いやいや、案外現実味があるかも知れません。
皇帝は、世の中の美女なんか選り取り見取りと思われがちだが、
幼い頃から、乳母だの世話係りだの、オバちゃんたちに囲まれ、狭い世界で育つから、きっと世間知らず。
“ちょっと若い”とか“ちょっと踊りが得意”といった“ちょっと”の違いが、皇帝の目には新鮮に映り、
コロッとオチてしまう可能性は大いにあり。
経験豊富で世間ズレした下流の男どもより、きっと皇帝はチョロいはず。



男性の生え際に不自然なシワ

時代劇のカツラは、相当強力なノリのような物で頭に固定していると推測。
そのため、表情を動かすと、皮膚がツレ、毛の生え際附近に不自然なシワが寄る。
女性の場合、顔周りは地毛を利用している場合が多いので、このシワ問題はあまり無い。
また、男性でも、清朝の場合は辮髪が定番ヘアで、顔周りはスキンヘッドのため、シワ問題なし。





他にももっと色々有ったはずだけれど、パッと思い浮かんだのは、これくらい。
皆さまが普段から感じている“中華ドラマあるある”は何ですか?


辮髪で思い出した。当ブログ過去のエントリから、(↓)こちらも併せてどうぞ。

泉寿庵:涼嗜2種(+日々の雑記)

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上海杜莎夫人蠟像館(上海マダムタッソー蝋人形館)に、
本日、私が愛してやまない張震(チャン・チェン)のクローンが登場♪
そう言えば、昨年11月、張震が蝋人形制作のための採寸をしたというニュースが有った。
うわっ、ホント、そっくりだわ。
張震ファンの皆さま、ホンモノの張震にはなかなかお触りできないので、
上海へ行った際には、この“なんちゃって張震”に蝋が溶けるほど抱きついてみてはいかがでしょうか。



それはそうと、先程、伊勢丹の修理コーナーに出しておいた靴を受け取りに行き、
ついでに本日から始まったセールを覗こうと、そのまま鞋売り場をブラブラしていたら、
映画かドラマの端役で見覚えのある(恐らく)大陸女優が、ヴァレンティノの靴をお試ししていた。
そして、セール初日にも拘らず、セール除外品のベージュの靴を購入されておられた。
一緒に居た3人のお仲間の内一人が、彼女がお試ししているところ等を写真に撮って、
その場でSNSに投稿していたので、帰宅してから、適当なワードで微博を検索してみたのだが、
あれが誰だったのか、結局分からずじまい。あ゛ーっ、ノドまで出掛かった記憶が引き出せないイライラ感…!
それにしても、端役であんなに美女って、どういうこと…?!
普通のTシャツ&ジーンズ姿で、隅っこの方でおとなしくしていても、
大混雑の店内で浮きまくり、彼女だけ目立っていた。
(15万円くらいの靴を購入していたので、私が思っているほど“脇役女優”ではないかも知れない。)
「私も今日新宿で目撃!」という彼女が誰だかご存知の方がいらしたら、是非名前を教えて下さい。
知って喉元スッキリさせたい…。

ちなみに、私はセールで何の収穫も無く、お菓子だけ購入して帰宅。
足が日本人女性の平均的サイズゆえ、セールで欲しい靴が残っていないのは、毎度の事。




そして遡ること2日、今週月曜、テレビをつけたら、NHK BSプレミアムで『TOKYOディープ』が放送中。
普段あまり観ない番組だし、特にその日は興味の薄い池袋西口の特集。

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それでもちょっと流していたら、お笑い芸人のゴリが、華人編集長の案内で、どなたかのお宅に。
で、そこで彼らを待っていたのが、宮崎滔天の孫で、柳原白蓮の娘だという女性であった。
そう、『花子とアン』で仲間由紀恵が演じたあの“蓮子サマ”のモデル・白蓮のお嬢さん。
孫文の話なども出て、面白そうだったのに、電話がかかってきてしまい、番組をちゃんと観られず…。
一瞬ガッカリしたが、7月15日(金曜)朝6時半に再放送あり。
今度こそ録画して、最初から最後までちゃんと観ます。




お菓子は、先ほど伊勢丹で購入した物ではなく、関西で購入した物。
時間が押し迫っている中、新幹線に乗る前に、ババーッと購入したお菓子で、
泉寿庵(公式サイト)“涼嗜”シリーズから、夏限定の味を2種。
“涼嗜”と書き、“りょうすずみ”と読むそう。
駅のお土産コーナーって、わざわざ買いたいようなお菓子が、ぜんぜん売っていないのだけれど、
これは以前買って、結構美味しかったので、再度購入。
本当は、京宇治茶を使った“風爐(ふうろ)”というのを加え、全3種類、一個ずつ全て購入したのだが、
弟のお嫁さんが、抹茶菓子好きという事を思い出し、上げてしまったので、私は食べていない。

★ 涼嗜~紫臙

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容器の大きさは、だいたい長さ20センチ×幅8センチ×高さ4センチ。
吉野葛に大納言小豆を加えた葛羹。




ひとつめは、“紫臙(しえん)”
泉寿庵によると、“紫臙”は、小豆そのものの色をさす言葉。
“紫”は分かるけれど、“臙”は?なんか難しい漢字。
広辞苑にも出ていなかったので、中日辞典で調べたら、黒みがかった赤色を意味する字であった。
紫+赤黒色で、小豆色なのですね。

これは、その名の通り、小豆を使った葛羹。
北海道十勝産の小豆をこし餡にして、葛と練り合わせた物。
吉野葛とは言っているけれど、実際には葛100%ではなく、他の澱粉や蕨粉も使われている。

全体的には、淡く上品な藤色だけれど、よく見ると2層になっており、それぞれ食感が微妙に違う。
透明の部分はよりツルン、藤色の部分はより柔らか。
羊羹のようなドッシリ重い味では当然なく、ほんのり小豆の味を感じる上品な甘さで、
水羊羹よりさらにサッパリした軽い味。

★ 涼嗜~黄橘

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容器の大きさは、だいたい長さ20センチ×幅8センチ×高さ4センチ。
吉野葛に天然柚子を加えた葛羹。




もうひとつは、“黄橘(きだち)”
こちらの漢字は難しくない、ずばり“イエロー・シトラス”。柑橘系の葛羹である。

使用しているのは、四国産の天然柚子果汁。
それを白餡、葛粉、澱粉、蕨粉などと共に練り合わせた葛羹。
こちらも前出の“紫臙”と同じように二層構造で、より白い方がよりツルン、より黄色い方がより柔らかと、
微妙に舌触りが異なる。

この画像では分かりにくいけれど、よーく目を凝らして見ると、所々柚子の果皮が入っている。
白餡のまろやかな甘さに、柚子の香が融合し、優しく爽やかなお味。



どちらも美味。普段の私の好みだと、“黄橘”の方に軍配をあげそうだが、
このお菓子の場合、小豆を使った“紫臙”も美味で、甲乙つけ難い。
問題は、プラスティック容器にお菓子がベッタリくっ付いてしまい、取り出しにくいこと。
同じシリーズの葛羹でも、使用している素材の特質の違いなのか、
特に“黄橘”の方が容器からなかなか離れてくれず、苦戦した。
もう少し取り出し易くなるよう、容器に工夫をしてくれると嬉しいのだけれど…。

祝・方大同御生誕33周年記念

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随分前に、方大同(カリル・フォン)のニューアルバム<JTW 西遊記>は
6月に発表という話があったはずだが、ふと気付くと、発表されないまま6月は終わり、すでに7月。
そして、本日7月14日は、方大同のお誕生日。
ハワイ出身の夏男というイメージからは程遠い大同クン、
相変わらず年齢不詳感がありますが、33歳におなりになりました。おめでとうございます!





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ニューアルバム発売日は未だ不明のままでも、その方向で準備は着々と進んでいるようで、
今からもうひと月以上前の6月初旬には、新曲<悟空 Wu Kong>を発表。
コンサートのオープニングで、方大同が好んで歌いそうな曲という印象。

タイトルからも分かるように、『西遊記』がテーマになっており、MVでは、方大同が悟空に扮し、
画像右から、沙悟浄に葉榮煌(ガスリー・イップ)、(方大同をはさみ)唐三藏僧に周國賢(エンディ・チョウ)
そして、豬八戒に白只(マイケル・ニン/バイジー)という香港のお友達が共演。

ちなみに、葉榮煌は、かの葉問(イップ・マン)の息子・葉準(イップ・チュン)に師事した詠春拳の師匠。
周國賢はミュージシャン。俳優として出演した映画『ミッドナイト・アフター』は日本でも公開。
その中ではガスマスクを装着した謎の日本人を演じている。
白只はギタリストで、俳優としては、郭富城(アーロン・クォック)主演映画『踏血尋梅~Port of Call』の演技で、
第52回金馬獎・最優秀助演男優賞を受賞。



まぁ、そんな事より、この<悟空>でファンの皆さまが気になったのは、曲調だの共演者だのより、
方大同からトレードマークとも言える眼鏡が消えている事ではないだろうか。
大きな声では言いにくいが、私は、「ぎゃーっ!夢なら醒めて!
頼むから方大同に眼鏡は標準装備にしてぇぇーーーっ!」と心の中で叫んでしまいましたヨ(すみません…)。
目と眉の間隔が、東洋人にしては狭いのも、眼鏡を外して初めて知った意外な事実。
デビュー当時の怪しげなソウルボーイから、のび太に変身し、すでに幾久しいので、
そろそろまたイメージチェンジを計り、今後当分の間は、“Without眼鏡”で行くのではないかと、心配に…。

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…が、その後の方大同を見ると、お仕事でイベントに出席する時でも、プライベートショットでも、
眼鏡装着率100%。(「ホッとした」と本音を吐露しても、よろしいでしょうか…?)
恐らく眼鏡を外したのは、新曲で悟空に成り切るためだったと推測。普通、おサルは眼鏡かけませんから。



続いて発表されたニューアルバムからのシングルカット第2弾は<無所謂 Que Sera>
大陸の人気女性シンガー張靚穎(ジェーン・チャン)とのデュエット曲。


実は14年も前に書き起こし、完成に至らなかったデモ曲の一つらしい。
女性シンガーとのデュエット曲に名曲が多いですね~。

相変わらず、MVに歌詞を付けてくれないので、以下に記しておく。
多少話也說不出
多少字都不能形容
你在我心中的地位
到底是什麼一回事

你把所有的沉默趕走
是你救了我 很感激
如果不是你
現在的日子怎麼過
打算陪你和你過這一輩
因為你我所有的問題巳

無所謂...... (真的無所謂)
無所謂...... (因為我真的無所謂)

有時想也想不通
為什麼你會愛上我
不介意我的缺點
你一點不放在眼裡

你讓所有的冷漠
演化成愛情的暖和
改變了氣候的預測
現在只有好過的天

打算陪著跟著過這一輩
有了你我所有的問題巳

無所謂.... (我無所謂)
無所謂.... (因為我真的無所謂)

這肯定是一種緣份
但願這一段感情
一直那麼深
永遠做我的愛人
別再擔心你我的未來
現在就讓我宣誓最美的決定
命運注定我們這一切
感謝你出現在我的世界
把壞事毀滅

無所謂.... (因為我真的無所謂)
無所謂.... (真的無所謂)
我真的Bae.. (無所謂)



張靚穎とは、彼女に<微笑以後>を提供するなど、かねてから交流があった方大同。
この新曲には張靚穎しかない!と思い、デュエット相手のお願いをしたところ、張靚穎も二つ返事で承諾。
方大同が北京へ飛び、一緒に録音するに至ったという。


まるで映画のようなMVも印象的。
これを撮った監督は、佐山重人(さやま・しげと)という日本ではほぼ無名の日本人。(↓)こんな人。

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画像で、腕に白ラインが入ったダウンを着たおヒゲの男性。
この佐山重人監督は、幼少期を東京、ロンドン、チューリッヒで過ごし、
世界最大級の広告賞、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルで銀賞を受賞した後、
活動拠点をアジアに定め、成龍(ジャッキー・チェン)、甄子丹(ドニー・イェン)、莫文蔚(カレン・モク)、
周杰倫(ジェイ・チョウ)、陶(デヴィッド・タオ)等々多くの有名人とコラボ。
方大同とは、彼がまだデビューする前、CM音楽をやっていた時に知り合い、
そんな御縁で、2004年、デビューアルバム<Soulboy>からの3曲のMVを全て撮っている。
その頃はまだ大きな予算が組めず、24時間で撮り上げたのだと。
(当時は、“佐山重人”ではなく、“Rage”の名でクレジット。)

今回の<無所謂>は、方大同との十数年ぶりのコラボ。
特に近年、アジアのエンタメ市場で、日本だけ疎外感があるので、
あの方大同クンが、日本人とお仕事してくれるのは、ちょっと嬉しい。
もっとも、この佐山重人監督は、“日本”という枠に囚われたくない国際人なのだろうけれど。
そういう国境を意識させない地球人感覚も、方大同と通じるのかも。


念の為記しておくと、上の画像に写っている、もう一人のおヒゲは、サバ・マズロウムというカメラマン。
カナダ生まれでカナダ国籍、台湾育ち、北京在住ペルシャ人という、彼もまた国境を超越した地球人。
英語や北京語は勿論のこと、台語まで喋るらしい、…ペルシャ人なのに。
これまでに、方大同のMVでは、<危險世界>、<白灰>、<巴黎>、
あと映画作品では、徐克(ツイ・ハーク)監督の『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』(2011年)、
張藝謀(チャン・イーモウ)監督の新作3D英語作品『長城~The Great Wall』などにも関わっている。



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ついでなので、もう一つ言っておくと、見ての通り、新曲<無所謂>のMVの中で、
方大同は子供の頃4年間学んだ武術の腕を披露しているが、
佐山重人監督の方は、カンフー歴25年のベテランなんですって。
(背後に写っているカンフーキッズだった頃の方大同が可愛い。)



本日の主役・方大同の事以上に、スタッフの話が多くなってしまいましたが、
最後に改めて、大同クン、33歳のお誕生日、おめでとうございます!
そして、叶うまで何度も言わせていただきます、「東京ライヴ、熱烈希望」!

大陸ドラマ『王の後宮~後宮』

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西暦1449年、明の第6代皇帝・英宗は、太監・王振にそそのかされ、
軍を率いて瓦剌(オイラト)に親征するも、捕虜になってしまう。
代わって、弟の朱祁が、明朝第7代皇帝・景泰帝に即位するが、間もなくして英宗が帰国。
景泰帝は、兄に表面上“上皇”の位を与え、南宮に幽閉。
英宗の復位を訴えた大臣の李為は、景泰帝の怒りに触れ、朝廷の敵として追われる身となってしまう。
粗末な家で息をひそめるように暮らしていたが、汪直という少年の密告で捕らえられ、
遂には、身重の妻を残し、失意の中、処刑される李為…。

9年後、父・李為を知らずに生まれた娘・紫雲は、
女手一つで苦労して自分を育ててくれた母まで亡くし、天涯孤独の身に。
貧しくても、心優しい少女に育った紫雲は、
ある日、いつものように野菜を売っていた時、空腹で万引きを働いた汪直という男を助ける。
しかし、そのせいで、自分が責められる羽目となるが、
たまたま通りがかった富商・邵仲に助けられ、そのまま邵家で暮らすようになる。

邵家の娘・春華と、まるで姉妹のように大切に育てられ、幸せな日々を過ごす紫雲。
ところが、数年後、春華を入宮させろという命令が朝廷から下る。悲観に暮れる春華と、その両親…。
紫雲は、自分を育ててくれた邵家の恩に報いるため、春華の身代わりで、自分が入宮しようと決意。
こうして、李紫雲は、本名を捨て、邵家の娘・邵春華に成り済まし、宮廷に上がるが…。


2016年6月上旬、チャンネル銀河の“中国悪女シリーズ”第2弾として始まった大陸ドラマ
『王の後宮~後宮』が7月半ば、全46話の放送を終了。
『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす』を観た後だと、安っぽさが気になり、
「さすがに、これはキツイわ」と、当初スルーするつもりでいたのだが、
時代背景に興味が有ったのと、以前に頭の数話を観たことがあるドラマだったので、ついつい…。
いざ観たら、それなりに楽しめたので、記録を残しておく。

★ 概要

黃建(ファン・ジェンシュン)、何莉萍(ホー・リーピン)共同監督による
拉風娛樂、2011年制作のドラマ。

拉風娛樂のドラマは、あまり日本に入って来ていない。
私が最後まで観たのも『謀り(たばかり)の後宮~唐宮燕』くらいだが、
それと本作品を比べると、多くのキャストがカブるし、テイストもやはり非常に似ている。
(そして、そのテイストが日本ウケすると考えにくい。
→だから拉風娛樂ドラマは日本にあまり入って来ないのかも。)

監督の一人・黃建は、香港のTVB無綫電視のベテランで、1979年の鄭少秋(アダム・チェン)版『楚留香』や
1988年の梁朝偉(トニー・レオン)版『絕代雙驕』といった香港ヒットドラマを手掛けた他、
近年は大陸で、『第九個寡婦~The Ninth Widow』、『天天有喜~A Happy Life』等をヒットさせている。
(広東語読みにすべき香港人の監督に“ファン・ジェンシュン”という北京語風の片仮名表記は違うと思うが、
当ブログでは日本の公式サイトに従った。)

もう一人の何莉萍の方は、2009年の監督作で、
台湾の潘儀君(ジョイ・パン)が主演した大陸ドラマ『紅の雫~難為女兒紅』を中盤まで観たことがある。
諸々の事情で、残念ながら最後まで観られなかったけれど、なかなか面白かった。


この『王の後宮』は、現地から遅れること約2年、2013年に日本でもDVDがリリース。
テレビでも、今回のチャンネル銀河が初めてではなく、すでに他局で幾度となく放送済み。

★ 万貴妃

チャンネル銀河の“中国悪女シリーズ”は、
シリーズ第3弾の武則天(624-705)を扱った日本初放送ドラマ『武則天 The Empress~武媚娘傳奇』
を盛り上げるための企画なのかも知れない。
プロローグ的な前2作品は、いずれも日本ですでに紹介済みの古い作品で、
第1弾は、清の“西太后”こと慈禧(1835-1908)を扱った『蒼穹の昴~蒼穹之昴』であった。
そして、この第2弾で焦点を当てているのは…

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日本では通常“万貴妃”と称される明の萬貞兒(1428-1487)。
明朝第9代皇帝、“成化帝”こと憲宗・朱見深(1447-1487)の皇貴妃。

生年を見ても分かる通り、万貴妃は成化帝より19歳も上(…!)の姉さん女房。
成化帝の生母・孝肅皇后周氏(?-1504)は、生年不明であるが、
7歳で宮廷に上がり、皇帝・英宗との最初の子を1446年で産んでいるので、それを17歳と仮定すると、
1429年前後の生まれだったと考えるのが妥当だろうか。
つまり、万貴妃は、お姑サマとほぼ同世代(←お姑サマより年上だった可能性も否定できない…)。

そもそも憲宗(成化帝)は、なぜそんなオバさんなんかに…?
後の憲宗、朱見深は明朝第6代皇帝・英宗と周氏の間に生まれた長男、
つまり皇帝の座がほぼ約束されたような人物であるにも拘らず、幼少期から波乱万丈。
1449年、土木の変(土木堡之變)で、父帝が捕虜となり、代わって叔父が明朝第7代皇帝に即位すると、
始めの内こそ太子の座を守れたものの、1452年、叔父は自分の息子・朱見濟を太子に立て、
甥っ子・朱見深は廃太子に。
1457年、奪門の変(奪門之變)で、父が明朝第8代皇帝に返り咲いたのに伴い、再び太子に封じられ、
1464年、父帝崩御で明朝第9代皇帝に即位している。

後の万貴妃、萬貞兒(←“マン・サダコ”と勝手に日本語風に呼ばせていただきます)は、
4歳で宮廷に上がり、明朝第5代皇帝の皇后・孫氏に宮女として仕え、
成長すると、東宮に配属され、朱見深のお世話係りに。
間も無くして起きた土木の変で、朱見深が従弟に太子の座を奪われ、肩身が狭くなっても、
彼に誠心誠意尽くすサダコ…。
ウブで世間知らずだった朱見深は、人生最悪の時に自分を守り、甲斐甲斐しく尽くしてくれた
一番身近にいたオバさん、サダコに惚れてしまったのですねぇ~。

パパは皇帝の座に復活後、息子がオバさんにヨロメいている事を知り、驚き、若いお嫁さんを宛がうが、
パパ崩御で新皇帝となった朱見深は、ただのベテラン宮婢だったサダコを後宮に入れて寵愛。
その結果、1466年、なんとアラフォーにしてサダコ、男児を出産というミラクルを起こす!
そのお手柄で、貴妃に冊封されるも、一年もしない内に息子夭逝…。
すでに高齢で、以後二度と妊娠しなかったサダコは、嫉妬に狂い、
他の嬪妃が産んだ子を片っ端から殺していったと言い伝えられているけれど、
現在では、その言い伝えの信憑性に疑問があるようだ。
(本ドラマでは、言い伝え通り、他の嬪妃を嵌めたり、赤子を手に掛けまくっている。)

このように濃いぃ人生を送ったサダコも、1477年、59歳で病死。
成化帝はサダコに恭肅端慎榮靖皇貴妃と諡し、天壽山に葬ると、
哀しさのあまり身体を壊し、数ヶ月後、最愛の人を追うように、41歳で崩御。

なお、成化帝の崩御で、明朝第10代皇帝、“弘治帝”こと孝宗に即位したのは、
紀氏(?-1475)が産んだ朱祐樘(1470-1505)。
紀氏にもまたサダコの魔の手が及んだが、生まれた朱祐樘は太監・張敏に助けられ、
かつてサダコによって廃された吳廃皇后(1448-1509)の元で密かに養育されている。


あと、この頃の明朝でもう一つ注目しておきたいのが、西廠(せいしょう)
キッカケは、1476年、道士の李子龍が、紫禁城裏の景山に登ったところを、錦衣衛に発見され、
皇帝に殺意ありと見做された事件。
この事で、身の危険を感じた成化帝が、太監・汪直(?-1487)を長に設置したのが、
警察権を行使する朝廷の特務機関・西廠である。
本ドラマでも、汪直と西廠は、重要。

★ 物語

成化帝が天下を治める明代、育ての親の恩に報いるため、身分を偽り、宮女として宮廷に入った春華が、
後宮で繰り広げられる女たちの争いに巻き込まれながらも、純粋な心を失わず、
過酷な運命に立ち向かっていく姿を描く歴史フィクション


要は、成化帝の時代、寵姫・万貴妃が猛威を振るう後宮を、
架空の女性・春華の目線で、史実とフィクションを交えながら描いた宮廷劇

“史実ベースの宮廷劇”と言っても、
成化帝は、見ているこちら側が心配になるほど政務をまったくこなしていない。
中文原題の『後宮』が示している通り、後宮での出来事を描いた女たちのドラマなのだ。

★ キャスト その①:大明ロイヤル馬鹿ップル

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楊怡(タビア・ヨン):萬貞兒(1428-1487)~息子ほど若い成化帝に愛され続けた寵姫

本ドラマは、香港TVB所属女優(←最近解約)・楊怡の大陸本格進出ドラマ。
私は香港ドラマを観ないし、楊怡は映画にほとんど出ていないから、まったく馴染みの無い女優さん。
辛うじて彼女を知っていたのは、今年、同郷の年下イケメン俳優・羅仲謙(ヒム・ロー)と結婚したから。
本ドラマで初めて演じているところを見た彼女は、いやぁ~、キョーレツですねぇー。
演技にクセがあるわけではなく、顔のインパクトが。一度見たら、絶対に忘れられない顔で…

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若い頃の前田美波里にそっくり。
日本人ウケする顔立ちではないと思うが、息子ほど若い皇帝の面倒を幼少期から見て、
物心ついた頃にはすっかり手懐けてしまう、ちょっとした調教師的な超姉さん寵姫にはぴったり。

ちなみに、ドラマの中で、このサダコが暮らしているのは、紫禁城内の“紫雲殿”という宮殿。
明代に建設された紫禁城は、清に王朝交代した際、多くの建物の名称が改名され、
現代我々は、その清代に付けられた最後の名称をそのまま使っている。
例えば、紫禁城の中心的建物として知られる“太和殿”も、明代の名称は“奉天殿”、“皇極殿”である。
このドラマの紫雲殿が、清代のどの宮殿に当たるのか、気になって調べたところ、
東西十二宮(紫禁城の後宮)に、明代そのように呼ばれていた宮殿は無かった。
どうやら“紫雲殿”は、このドラマのために付けられた架空の名称のようだ。
また、実際のサダコが暮らした宮殿も、歴史資料が残されていないようで不明。
皇后レベル、もしくは後の皇帝を産んだ嬪妃くらいじゃないと、
女性は記録を残してもらえないものなのです。



蔣毅(ジャン・イー):憲宗・朱見深(1447-1487)~明朝第9代皇帝 通称“成化帝”

本作品は、成化帝時代の後宮を舞台に、成化帝を巡る女性たちの争いを描いたドラマではあっても、
当の成化帝が魅力的な男性主人公というわけではない。
メインはあくまでも女性たちであって、成化帝は彼女たちが争う動機でありながら、添え物的な印象すらある。
そんな訳で、やや影が薄いのだけれど、それこそが本ドラマでの成化帝の持ち味。
成化帝が絶対的存在感のある、いかにも“君主!”というタイプでは、このドラマは恐らく成立しないし、
彼が萌えキャラである必要もない。
演じている蔣毅には、母親ほど年の離れたサダコに手懐けられ、簡単に丸め込まれてしまう
腑甲斐ない皇帝の雰囲気がある。
でも、この蔣毅、1980年生まれで、実はサダコ役の楊怡と、一歳しか違わない。
それを知ると益々正解のキャスティングだったように思えてくる。だって、19歳差に見えるもの。

★ キャスト その②:主人公とその親友(…?)

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安以軒(アン・アン):邵春華~本名は李紫雲 邵家への恩返しで、邵家の娘に成り済まし宮女に

大陸に拠点を移し幾久しい台湾女優・安以軒。
チャンネル銀河では、“中国悪女シリーズ”の一作として本ドラマを放送したけれど、
この物語の主人公は悪女・万貴妃ではなく、安以軒扮する架空の女性・春華。
普段のインタヴュなどを見ると、勝ち気で高飛車な印象さえある安以軒だが、
ドラマでは、けな気な女性がお手の物。本ドラマの春華も、その例外ではなく、ひたすら正直でひた向き。
春華が主人公なので、本人が望まなくとも、その内皇帝に見初められ、側室になるのかと思いきや、
親友二人が側室になっても、彼女だけ宮女のままだったのは予想外であった。
(努力家で人望もあるので、一応、ただの宮女から、樂工局の掌樂には昇格する。)
脚本が悪いと言ってしまえばそれまでだが、役がブレブレで、
最後の最後で汪直に対する不義理とも取れる行動を起こし、楊永の元へ飛び込んで行く彼女を見て、
軽蔑に近い失望を感じた。
元々凡庸で魅力に欠ける主人公だったけれど、あれは酷い。春華、オトコ見る目なさすぎ。



劉庭羽(リュウ・ティンユー):柏含香~春華の親友 浣衣局の宮婢から皇帝の宸妃に大出世

この柏含香は、成化帝の側室の一人、柏賢妃(?-1527)がモデルではないかと想像。
実際の柏賢妃は、成化帝の父・英宗に選ばれ、宮廷に上がり、賢妃に冊封され、
成化帝にとっては第二子となる朱祐極を産むも、その子は夭逝。サダコによる毒殺という説もある。
ドラマの柏含香は、お洗濯担当の宮婢でありながら、音楽の才能を生かし、樂工局の楽師に昇進。
同僚の楊永に想いを寄せるが、琵琶の演奏を成化帝に気に入られ、望みもしない宸妃に大出世。
たとえ成化帝を愛していなくても、懐妊を機に、母として生きると決意するも、サダコの陰謀で流産。
心に深い傷を負い、体調まで崩し、若くして亡くなる悲劇の宸妃。
実際の柏賢妃も、幸せではなかったかも知れないが、80歳前後まで生きた御長寿だったのが、異なる点。
ちなみに、宸妃に冊封された含香が暮らすのは、“同心殿”という宮殿。
サダコの紫雲殿と同じように、同心殿という名称も架空みたい。



呂一(リュイ・イー):邵清姿~本名は邵春華 清姿と名を変え、恩人・潘洪の養女として後宮入り

邵賢妃に冊封され、サダコの毒牙を恐れ、こっそり男児を出産するこの清姿は、
同じようにサダコを恐れ、安樂堂でひっそり後の皇帝・朱祐樘を出産した紀氏(?-1475)をベースに、
明朝第12代皇帝・世宗朱厚熜の祖母で、後に孝惠皇后と呼ばれる邵氏(?-1522)の要素を
足した人物ではないかと想像。
ドラマの中の清姿は、一度は宮仕いを逃れたものの、家庭の事情が変わり、結局宮廷に上がる羽目に。
養父の潘洪と、先帝の皇后である錢太后は、一族の地位を確固たるものとするため、
可憐な美女・清姿を、成化帝をオトす最終兵器として投入するのだ。
…が、その清姿に扮する呂一が役不足。決してブスではないけれど、下膨れの庶民的な顔立ちは、
“城下町で評判のマントウ屋の看板娘”程度がいいところ。
せめてもの救いだった善良な性格も、中盤に崩壊。
春華と含香への彼女の手の平を返したような態度は、
不運続きで、疑心暗鬼になっていたという致し方ない事情を考慮しても、同情の余地なし。
終盤、七巧に騙されていた事に気付き、心を入れ替え、春華・含香との友情も復活するけれど、
私だったら、あんなに簡単に態度をコロコロ替える人なんか信用できない。

美人女優なんか腐るほど居る大陸で、わざわざ呂一をキャスティングした理由はナンなのでしょう…?!
実際の成化帝は、邵氏の美しい容姿のみならず、彼女の詩才を愛したと言い伝えられている。
北京舞蹈學院卒の呂一扮する清姿の武器は、やはり舞踊。
普通の踊りではなかなかオチなかった皇帝も、
清姿が起死回生の策で舞ったセクシーでエキゾチックなベリーダンスでは、いとも簡単にコロッ!

ちなみに、この清姿のお住まい“倚霞殿”も、紫雲殿、同心殿と同じように架空の名称。
史実では、紀氏が朱祐樘を出産したあと、永壽宮を宛がわれた事、
邵氏が太極殿に暮らした事が分かっている。そのいずれも西宮である。

★ キャスト その③:その他の女性たち

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陳莎莉(サリー・チェン):錢太后(1426-1468)~明朝第6/8代皇帝・英宗の皇后

史実の錢太后は、明朝第6/8代皇帝・英宗の皇后でありながら、子供に恵まれなかったこともあり、
朱見深(後の成化帝)を産んだ周氏と対立。
ドラマでもそれは同じ。ドラマではさらに、サダコの後ろ盾という設定で、
ライバル周氏を制圧するため、サダコと成化帝の婚姻を後押しする。
錢太后に扮する台湾のベテラン・陳莎莉を見るのは『賢后 衛子夫~衛子夫/大漢賢后衛子夫』以来。
サダコ役の楊怡に負けず劣らずキョーレツな顔立ち。
このコッテリ毒々しいコンビで、終盤まで暴走するのかと想像したけれど、錢太后は案外あっさり崩御なされた。



何賽飛(ホー・サイフェイ):周太后(?-1504)~明朝第6/8代皇帝・英宗の貴妃 成化帝の生母

ライバル錢太后の死で、独走態勢に入ったのが、成化帝の生母であるこの周太后。
ドラマの中で、亡くなった錢太后が英宗と合葬されることに猛反対し、
「先帝と合葬されるのは、皇帝を産んだこの私!」と大騒ぎするのは、言い伝え通り。
扮する何賽飛は、“ちょっとキレイめな泉ピン子”という感じのふてぶてしさがよろしい。
ただ、この前に観た出演作『謀り(たばかり)の後宮』で演じた韋皇后が、あまりにもふてぶてしかったため、
今回の周太后は多少面倒でも、充分許容範囲の真人間に感じてしまった。
そもそも、可愛い息子が、自分と同世代のオバさんを娶り、しかも彼女の言いなりになっているのを見たら、
普通の母親なら不快でしょー?!私には息子はいないけれど、周太后に自分を重ね、
すっかりお姑サマ気分で、テレビの中のサダコを睨み付けてしまった。



劉娜萍(リュウ・ナーピン):凌七巧~司正である凌錦雲の姪 野心家で、春華に執拗なまでの敵対心

七巧は架空の人物。司正である叔母の権力を笠に着て、
同時期に宮廷に上がった大嫌いな春華を失脚させようと、次から次へと策を講じる、本ドラマの悪役。
ただ、その策がことごとく下策で、その都度その都度、七巧が馬鹿を見て一件落着するので、
見ている視聴者は、正義が勝ってスカッとするはず。
まぁ、七巧は、悪役といっても、所詮小賢しい小者なのだ。
あまりにも面倒を起こすので、頼りの綱の叔母・凌司正からも突き放され、遂には自業自得の惨死…。
演じている劉娜萍は、目鼻立ちの整った美人さんだが、額が広過ぎるのが難点。
この人、前髪を上げ、おでこを全開しちゃうと、どうしても間抜けな顔になっちゃうのよねぇ。

★ キャスト その④:その他の男性たち

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馮紹峰(ウィリアム・フォン):楊永~兄・楊洛の死の真相を探るため宮廷に上がった楽師

楊永は、科挙を受けるため都にやって来た青年。ところが兄・楊洛が無残に殺され、人生が一転。
悲観に暮れ、自分で作曲した兄を悼む曲を、得意の笛でピロピロ演奏していたところ、
その悲愴感漂うメロディが、ちょうど子を亡くしたばかりのサダコの心に響き、すっかり気に入られ、
楽師にスカウト。楽師に興味など無かった楊永だが、兄の死の真相を探る良いチャンスと捉え、宮廷入り。
そして、そこで出逢った同僚の春華や含香と、淡い恋心が芽生える。
男性陣の顔ぶれを見て、馮紹峰扮するこの楊永こそが、本ドラマ一の萌えキャラと単純に思った私。
ところが、ドラマ後半、ダークホースにその座を奪われ、楊永は魅力も存在感も一気にダウン。
兄の復讐に執着し、都に居座り、春華に面倒なお願い事をした際には、私の堪忍袋の緒も切れて、
テレビの中のあの馮紹峰サマに「いい加減にして。もうサッサと田舎に帰りなヨ」と吐き捨ててしまった…。



譚耀文(パトリック・タム):汪直(?-1487)~世渡り上手でズル賢く、西廠の長にまで上り詰める叩き上げ

サダコからも成化帝からも重用され、西廠が設置されるとその長の座につく太監・汪直は、実在の人物。
ドラマでは、実際には分からない子供時代から描かれる。そのプチ汪直を演じているのは…

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そう『琅琊榜(ろうやぼう)』の飛流、吳磊(ウー・レイ)。
飛流は、あんなに可愛かったのに、本ドラマのプチ汪直は、恩をサラッと仇で返す小悪魔。
これ見ると、性善説ではなく、性悪説の方を信じたくなる。
その後、小悪魔は、本当の悪魔のように残忍な男に成長。
小賢しいだけの七巧が可愛く思えるほど、汪直は危険な悪役。
…しかし、そんな汪直が、かつて自分を助けてくれた少女・春華と再会し、フォーリンラヴ。
そこからの汪直の見返りを求めない彼女への献身っぷりがスゴイ。
次第に春華が乗り移った私ってば、すっかり情にほだされ、
あの馮紹峰扮する楊永より、この譚耀文扮する汪直の方が素敵に見えてきてしまったから、不・思・議。



陸霖(ルー・ユーリン):袁放~楊永の友人で清姿に密かな想いを寄せる

陸霖は、本ドラマのイケメン枠で、馮紹峰に次ぐNo.2美男であろう。
…が、潘洪の家で出逢った清姿と心を通わせたり、その潘洪に才覚を見い出され、役人に推薦されたり、
鉄仮面つけて世直ししたり、ちょこちょこと物語に絡んでくる割りに、それ以上の見せ場の無い役。
この人、一体何をしたかったのだろう?袁放は、最終的に、私の中でほとんど印象に残っていない。

★ キャスト その⑤:安鈞璨

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決して大きな役ではないけれど、本ドラマには台湾の安鈞璨(ショーン・アン)
春華と仲良しの小安子役で出演。
そう、かつて王傳一(ワン・チュアンイー)、曾少宗(フィガロ・ツェン)らと共にアイドルユニット、
可米小子(コミックボーイズ)に所属し、
2015年6月、肝臓癌のため31歳の若さで亡くなった、あの安鈞璨。
この御長寿の時代に、可米小子のメンバーがアラサーで病死するのは、安鈞璨でなんと2人め。
命って、儚いですね…。

生前の安鈞璨は、本ドラマの主演女優・安以軒とは名字が同じであることから、
“安氏企業”という芸能界お友達グループを作り、非常に仲良く交流していたことで知られる。
また、安鈞璨の大陸進出が決まった際には、大陸進出台湾明星の先輩として、
安以軒が色々サポートしたと言われている。

このドラマで安鈞璨扮する小安子は、安以軒(春華)を助けるために、命を落とす。
その後、実際に安鈞璨が逝っちゃうことを知っているので、見ていて切ない。とにかく、御冥福を祈ります。

★ ここが変だよ『王の後宮』

色々ツッコミだしたらキリが無い粗削りな『王の後宮』。
ここには、どうしても気になってしまった部分を4ツだけ挙げておく。



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本ドラマのポスターを見た時、瞬間的に張藝謀(チャン・イーモウ)監督2006年の映画、
『王妃の紋章』のポスターが重なった。
多少アレンジはしているものの、ゴールド・フレーム使いから、
キャスト→タイトル(中文)→タイトル(英文)という文字のレイアウトまで、まんま『王妃の紋章』
私は、そもそも大陸時代劇のキンキラ化が進んだのは、『王妃の紋章』の影響だと踏んでいる。
あの映画を観て、多くのドラマ関係者が「こんなにキンキラにしてもいいんだぁ」と気付いちゃったわけよ、多分。
ビフォー『王妃の紋章』とアフター『王妃の紋章』では、大陸ドラマの衣装や美術のキンキラ度がぜんぜん違う。
でも、巨額を投じて創り上げた張藝謀監督の世界観を、表面的に真似ても、安っぽいだけ。
本ドラマでも、高貴な女性が身に付けている宝飾品の金色が、一見して軽そう。




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このドラマを観ていて最初にギョッとしたのは、楊永の兄・楊洛が景山で仲間と共に捕らえられた挙句、
免罪で処刑され、見せしめのため、その遺体が城壁に晒されたシーン。
その様子はまるで“紫禁城に吊るされたジャンボてるてる坊主”(←ジャンボな割りにショボく、しおれ気味)。
悲劇ではなく、喜劇。
あのてるてる坊主と向き合いながら、爆笑するどころか号泣する馮紹峰に、私は役者魂を見た。
(楊永の兄・楊洛が捕らえられてしまう紫禁城を一望できる山・景山に関しては、こちらを参照。)




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本ドラマでは、主人公・春華が樂工局に配属されることもあり、楽器や音楽が重要な要素。
作中、演奏のシーンはとても多い。
…にも拘らず、登場人物たちが楽器を奏でる手元が、耳から入って来る音とズレまくり!
演奏のレパートリーが3曲程度しかないのだから(←宮廷の楽師が、たったの3曲しか弾けないのも問題)、
音と手元を合わせる工夫が必要。
音楽を流しながら撮影すれば、それらしく合わせられるはずなのに、そうなっていないという事は、
使う音楽が決まらないまま無音で撮影しているのかも知れない。


紫禁城を舞台にした本ドラマは、
ホンモノの紫禁城とほぼ同スケールのセットがある店影視城で撮影されている。
横店では、セット内の調度品など細々した部分は、作品によってその都度替えているのだろうけれど、
本ドラマでは、扁額に替え忘れを一度発見。
紫禁城内の建物には、明代、漢字で書かれた扁額が掛けられていなければならないが、
一度、城内のあずまやに満州文が併記してある扁額が掛かっていたのだ。
成化帝の時代にすでに明朝滅亡、清との王朝交代を予感させる不吉な扁額(苦笑)。
また、清の乾隆帝が作らせた九龍壁も、ドラマの中に数回映し出されてしまっている。3百年早いわヨ…。
(乾隆帝が作らせた九龍壁については、こちらを参照。)

★ テーマ曲

音楽は、オープニング曲が、柏含香役の劉庭羽と袁放役の陸霖のデュエット<不悔>
エンディング曲が、一加一組合の<孤單的習慣>
一加一組合というのは、和匯慧(ショーン・ハー)と王梓同(ジュリアン・ワン)による男性ユニットで、
自分たちの曲は勿論の事、他のアーティストにも曲を提供している。
ドラマのエンディング曲<孤單的習慣>は、その一加一組合の代表的な曲でもあるので、ここにはそれを。






このドラマ、最終回で全てがブチ壊しじゃない…?!
危険を冒してまで春華を守り続け、最後に彼女のために痩せ我慢して男らしく身を引いた汪直に対し、
ちゃんと心から感謝し、淡い恋心も抱いているかのように見えた春華であったが、
その直後に楊永探しを始めるなんて、彼女の変わり身の早さに唖然…。
これといった魅力の無い平凡な彼女の取柄は、利他的で、どこまでも清らかな心くらいだったのに、
最終回、最後の最後のこの豹変で、一気にただの馬鹿オンナに格下げ。
春華の軽率な行為で、親友の小安子が犠牲になったのに、
川にプカプカ浮いた手作りイカダみたいな小舟の上で、
笛吹くことくらいしか能が無い甲斐性なしの楊永と肩寄せ合ってウットリしているラストシーンを見て、目が点。
“終わりよければ全て良し”と言うではないか。このドラマは、あのラストが、それまでの全てをパーにしている。

イケメン馮紹峰扮する楊永より、非イケメン譚耀文扮する汪直の方が次第に素敵に見えてきてしまうのは、
脚本にある種の力があるからと評価もするが、でも全体的には粗い脚本で、スキだらけ。
例えば、中盤に発覚する“汪直が宦官であるにも拘らず実は去勢していなかった”というマサカの事実。
汪直は、死んだ友人の性器を、さも“Myイチモツ”かのように持参し、入内していたのだ。
最終的に春華と結ばれるというラストが待っているならば、このエピソードも生きてくるけれど、
結局どうにもならないのなら不要。別に“汪直=去勢したホンモノの宦官”という設定で良かったはず。

そもそも、汪直と春華の最初の接点は、幼かったプチ汪直の密告により、春華の家族が崩壊した時なのに、
そのエピソードも、いつの間にかスーッと消えている。
春華が親を失った原因を知ったことで、汪直との関係に決定的な亀裂が入るという展開を想像していたのに…。
脚本がいい加減ゆえに、このドラマは、ある意味、驚きの連続であった。


映像も安っぽいし、出演者の顔ぶれも日本人視聴者好みではないし、文句を言ったらキリが無いけれど、
適度に史実が織り交ぜられているので、万貴妃と成化帝の時代の明朝を知るのには悪くないドラマで、
結構お勉強にもなった。

チャンネル銀河の“中国悪女シリーズ”の他の二人、西太后と武則天に比べ、
万貴妃の知名度や人気が今ひとつなのは、
猛女と化し、男性並みに(いや、それ以上に)政治的手腕を発揮し、中国史に足跡を遺した前二者に対し、
万貴妃の悪女っぷりは、“所詮オンナ”と言われてしまうような、皇帝の寵愛を巡る嫉妬に起因するもので、
後宮の中のチマチマした争いに留まっていたからなのかもね。

それでも、約20歳も下の男の子(…しかも若いだけじゃなく、天下人)をメロメロにしたという事実には、
感心させられる。
(その昔、ダイアナを捨て、カミラに走ったチャールズ皇太子に、「えっ、なんでこんなオバさん…」と絶句したが、
チャールズが選んだオバさんは、実は彼より一歳しか年上ではない。)
“十人十色”、“蓼食う虫も好き好き”を歴史が証明。熟女好きって、いつの時代もいるのですね。
熟女の私が言うのもナンですが、私が皇帝なら、色々選択肢がある中で、
わざわざ母親ほど年季の入ったオバさんを選ぶことなど無いと思うワ。
万貴妃の何がそんなに良かったのだか…。
まるでヒナ鳥が、初めて見た大人を親と思い込んでしまうかのように、動物的な“刷り込み”の本能が働き、
幼い頃から幽閉されていた成化帝も、身近に居た数少ない献身的な女性・万貴妃を
生涯“イイ女”と思い込み続けたのかも知れない。


参考までに、紫禁城(北京故宮)の後宮、東西十二宮について、(↑)こちらも併せてどうぞ。
間接的に“ロケ地”である北京の故宮を見学しておくと、
明代、清代を扱った宮廷ドラマを視聴する際、理解度がまったく違ってくるので、お薦め。



チャンネル銀河の“中国悪女シリーズ”、2016年7月18日(月曜)からは、いよいよこのシリーズの大本命、
范冰冰(ファン・ビンビン)主演『武則天 The Empress~武媚娘傳奇』が放送される。
今回から放送形態が変わり、月曜から金曜までの夜11時に毎日一話ずつの進行。
これまでの毎日2話進行は、追うのが本当にキツかったので、この変化は私には有り難いし、
毎日翌日午後1時に、前夜の再放送があるのも嬉しい。これ、録画し損ねた時などに便利。
まぁ、全82話という長さには怖気づいてしまうけれど、頑張って追うつもり。
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