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和菓子3種(+『琅琊榜』スウィーツとかテレビ雑記とか)

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本日放送の『徹子の部屋』はゲストが渡辺美佐子だと知り、わざわざ録画し、今しがた視聴。
「そこはもう首の領域だろ?!」って所まで、下方にビヨーンと引っ張られてる渡辺サンのお耳に目が釘付け。
生前の山田五十鈴を越えたわね…。
元々美人女優で売っていた訳でもないのに、なぜこんなにいじってしまったのだか…。
リフティングはほどほどに。
(私が『徹子の部屋』を録画したのは、渡辺美佐子のお顔の変化を見たかったためだけ。)



それより、BSジャパンで放送中の大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』
一話一話の内容が濃く、一分たりとも観逃せない程ガンガン物語が動いておりますが、
皆さま、ちゃんと追えていらっしゃいますでしょうか。

本日の放送は29話。
太子を負かしてイイ気になっていたものの、自分の立場もどうも芳しくないと薄々感じていた譽王、
ついに秦般若から、「殿下、お気付きになりましたか?!麒麟の才子を得たのは靖王ですっ!」と断言され、
ヤケ酒食らっていましたね。


そして“気付いた”と言えば、もう一人、靜妃。靜妃は、梅長蘇の正体が林殊だと察した模様。

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当の梅長蘇は、靜妃から差し入れされたお菓子のお重に榛子酥が入っていなかったため、
靜妃に自分の正体がバレたと気付く。
榛子酥は、ママンお手製ホーム・メイド、…もといパレス(芷蘿宮)メイド菓子に目が無い
“スウィーツ殿下”靖王の大好物。
でも、梅長蘇には、どうやら榛子(ヘーゼルナッツ)アレルギーが有るらしく、食べられないので、
靜妃が気遣って、敢えてお重に入れなかったんですねぇ~。

この靜妃は、元々が医女で地位が低かったこともあり、かなりマメにお菓子作りをしている。
今回キーとなった“榛子酥”は、情緒の無い言い方をしてしまえば、ヘーゼルナッツ・クッキー。
作る際に加える油分は、時代、国、お店によってバター、オリーヴオイル、ラードと多少変わるが、
砕いたヘーゼルナッツを主原料にしたいわゆる“ヘーゼルナッツクッキー”を想像して間違いないであろう。
私もちょうど数日前、イタリア人から「イタリアのクッキーが有るから食べな」と言われ、もらった物が、
見た目からしてまさに“イタリア版・榛子酥”とも呼びたくなるヘーゼルナッツのクッキーであった。
ちなみに、イタリア語では“biscottini alle nocciole(ビスコッティー二・アッレ・ノッチョーレ)”と言う。
この名前だと、とってもイタリアンな感じだが、味も見た目も靖王の大好物・榛子酥とほぼ同じはず。
ヘーゼルナッツさえ用意すれば、お菓子作りが得意な人は、榛子酥らしき物を簡単に再現できると思います。

作る気が無ければ買えば良い。
試しに、中国最大手のショッピングサイト、お馴染み淘宝Taobaoを覗いたら…

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案の定ありました、御丁寧に“靖王妃親啓(靖王妃親展)”、“靜妃手制(靜妃お手製)”などと
あからさまな嘘の添え書きで、『琅琊榜』人気に便乗した榛子酥が(笑)。


あと、本日の放送では、榛子酥以外にもう一つ、“太師餅”というお菓子の名前が出てくる。

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こちらは、千年以上前から食べられている湖北省荊門発祥の伝統菓子らしい。
パッと見た感じは、パイ生地を使ったシンプルな円形の焼き菓子。
割ると、中には餡がたっぷりで、月餅の元祖という説もあるそう。
餡は見るレシピによって差があるので、どれが正式なのか、私には分かりかねる。
特によく目にしたのは、豚肉や茶花(ツバキ)を使ったレシピ。
確かにドラマの中でも、靜妃が沢山のお花をちぎっていましたよねぇ…?
ポーク&カメリアねぇ。うーン、味の想像がしにくい…。甘じょっぱい餡らしい。
どなたか、ホンモノを食べたことある方、いらっしゃいます?


ちなみに、靜妃お手製お菓子をいつも梅長蘇に代わり平らげている飛流に扮する吳磊(ウー・レイ)は、
昨晩、スティーヴン・スピルバーグ監督を迎え、北京で行われた
映画『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』のプレミア・イベントに出席し、
范冰冰(ファン・ビンビン)とも再会。
吳磊クンは、2006年の范冰冰主演ドラマ『封神演義~封神榜之鳳鳴岐山』に、
子供時代の哪吒役で出演しているため、范冰冰とも旧知の仲なのです。
さすがは人気子役出身。16歳のクセに顔が広い。

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范冰冰は、自身の微博で、久々のツーショット写真を、十年前の懐かしい写真と並べ、
「小哪吒は、背が大きくなっただけで、まったく変わらない。
あの時のセーターはチョッキになったのね。」とコメント。
そう、范冰冰お姐サマとのツーショット撮影時には、吳磊クン、なぜかいつも黄色いニットを着用。
吳磊も、「十年に一着を着つぶしている。次の十年も期待して」とユーモラスにお返事しております。
(もちろん「冰冰姐はどんどん綺麗になるね」とお姐サマを誉めることも忘れていない。よくできた子です。)




さて、『琅琊榜』以外にも、録画予約必須の番組が何本か。

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一本目は、10月13日(木曜)、NHKで放送の『ファミリーヒストリー』
今回、家族の歴史を紐解かれるのは女優・財前直見。
財前直見が気になっているのは、祖父が亡くなる前に中国旅行をしていたこと。
戦争と関わりがあることは分かっていたが、祖父が経験した事は、具体的には聞かされていなかったという。
今回、多くの記録を見付かったことで、彼女の祖父の足跡を明らかになる。

勝手な想像だけれど、財前直見って、ご先祖様に大泥棒や大資産家がいるような
特殊な家系の出ではない気がする。
つまり、今回の『ファミリーヒストリー』は、奇想天外なドラマは期待できなくても、
“一般的な日本人が経験した日中戦争”が紹介されるかも知れないという点で、少々興味あり。





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同日、13日(木曜)、『ファミリーヒストリー』の後は、
チャンネルをNHK BSプレミアムに替え、『ザ・プロファイラー~夢と野望の人生』を。
今回は、“大国を衰退へと導いた美女~楊貴妃”と題した楊貴妃特集。
楊貴妃(719-756)は、その美貌ゆえ、唐を衰退させたとされる“傾城の美女”。
番組では、彼女の人生を左右した3人の男性、息子から楊貴妃を奪い寵愛した玄宗皇帝(685-762)、
楊貴妃の縁戚というお蔭で宰相にまで登り詰めた楊國忠(?-756)、
楊貴妃の養子になった安禄山(705-757)を取り上げ、彼らが楊貴妃の運命をどう変えたのか、
なぜ悲劇的な最期を迎えたのかを検証。

陳凱歌(チェン・カイコー)監督が現在撮影中の日中合作映画『妖猫伝~妖貓傳』(→参照)の予習で購入した
夢枕獏による原作小説<沙門空海唐の国にて鬼と宴す>が、ちょうど唐代のお話で、楊貴妃も出て来るので、
今回の『ザ・プロファイラー』は絶対に録画を仕損じないように気を付けたい。





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翌10月14日(金曜)は、毎度の日テレ『アナザースカイ』
今田耕司の新アシスタントに中条あやみが登場してからの第2弾では、
ゲストの水原希子が、彼女の“アナザースカイ”香港を訪れる。
行きつけのお粥屋さんへ行ったり、南丫島(ラマ島)で海鮮を食べたり、
番組司会者二人のお土産探しで、ショッピングに熱中したり、大好きな映画の撮影場所を訪れたり…。
また、カメラは、彼女の香港でのお仕事にも密着するという。
香港編は、オリラジ藤森の時が意外にも良かったのだが(→参照
あれくらいのものを期待しちゃって良いですか(BGMを含め)…?

今回密着されている“香港でのお仕事”がどういうものかは知らないが、
当ブログでも以前チラッとこちらに記したように、
水原希子はb+abという香港のアパレルブランドのイメージモデルを務めています。

私が一番気になるのは、水原希子の好きな映画が何かという事かしら。
以前、何かのインタヴュで、確か、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督のファンで、
中でも『恋する惑星』(1994年)が好きだと言っていた記憶がおぼろげに有る。
『恋する惑星』のロケ地って、もう無くなってしまっている場所が多い気がする。
無難に重慶大厦(チョンキンマンション)とか…?それとも、ぜんぜん違う映画のロケ地…?
それにしても、好きな映画でヒロインを演じた王菲(フェイ・ウォン)の娘・竇靖童(リア・ドウ)と
今お友達になっているなんて、不思議な御縁ですね。



余談になるが、竇靖童と同じく水原希子のお友達と言われている楊穎(アンジェラベイビー)が、
伏せていた妊娠の事実をようやく公表。
ふっくらしてきたおなかを抱え、つい最近もまた、夫・黃曉明(ホァン・シャオミン)と東京に遊びにきております。

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私はラーメンを食べないので知らないが、銀座朧月って有名なの?
黃曉明がこんな画像を微博にのせたら、中華圏からのお客さんが殺到しそう。


ついでなので、もう一組。べいべー&黃曉明と同時期に…

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陳偉霆(ウィリアム・チャン)と李易峰(リー・イーフォン)も東京に。
このレベルの男子が二人一緒に東京の街をブラブラしていたら、目立つでしょー…?!

で、このお二方もやっぱり…

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ラーメン食べている。
「天天拉麵(毎日ラーメン)」だって。 あちらの方は本当に好きですよね、ラーメン。


日中関係が相変わらず良好とは言い難いため、
中華明星が大っぴらに「日本へ遊びに行っちゃった~!」と公言することは、もうここ数年無くなっているけれど、
最近徐々に訪日を完全に隠しまくることもしなくなってきている。
言える風潮ができつつあるのは、関係改善の良い兆しと、私は前向きに捉えております。



最後はお菓子。
残念ながら、“イタリア版・榛子酥”は、ここに無し。写真を撮っておけば良かった。
『琅琊榜』スウィーツは用意できなかったけれど、
今回、私のおやつも伝統的な感じがする素朴な和スウィーツでまとめてみた。

★ 竹芳:黒もち

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プラスティック容器の大きさは、だいたい5センチ角。
刻んだ大徳寺納豆と和糖と共に煉り込んだ生地をきな粉でまぶした餅菓子。




ひとつめは、盛岡のお店、竹芳(公式サイト)“黒もち”
包み紙に書かれた“黒もち”という名を見て、
餡子や黒ゴマに覆われたポテッと丸いおはぎのようなお菓子を想像したが、ぜんぜん違った。

通常、上生菓子などを一個入れるのに使われるプラスティック容器に、小さな餅菓子が5個入り。
お餅のベースになっているのは上南粉と葛粉だし、割ってみると、黒い宝石のような透明感もあるので、
柔らかな物を想像して口にすると、意外にもシッカリした食感で、弾力がある。

特徴的なのは、食感以上に味。
京都大徳寺で作られる貴重な寺納豆・大徳寺納豆が細かく刻まれ、練り込まれているのだ。
確かに、お餅の断面をよく見ると、黒い点々がある。
私は、その大徳寺納豆とやらを食べたことが無いので、この餅菓子で初体験。

強烈なクセは無いけれど、軽い酸味あり。
見た目と味のギャップという点では、エチオピアのクレープ、インジェラを初めて食べた時にも、
似たような感覚を覚えた。
この黒もちにしても、インジェラにしても、発する酸味は、発酵食品特有の物なのかも知れない。

インジェラを引き合いに出してしまうと、ドン引きする人も多いだろうが、
黒もちはそこまでクセのあるお菓子ではない。
有りそうで、実はあまり食べたことのない味のお菓子であることは確か。

★ くるみ餅

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大きさは、幅3センチ×長さ5センチ×厚さ2センチくらい。
胡桃を混ぜ込んだ餅菓子。




続いても、同じ竹芳のお菓子で、“くるみ餅”

こちらも、上記の“黒もち”と主原料は同じ上南粉と葛粉だが、仕上がったお菓子の印象は随分異なる。
これ、要は胡桃ゆべし。
餅生地は胡桃の“繋ぎ”という程度で、香ばしく旨味のある胡桃がたっぷりゴロゴロ。
大きめにカットされた物も所々にあり、サックリした歯応えが楽しめる。

珍しさでは、黒もちだろうが、味での比較なら、私はこちらのくるみ餅の方が断然好み。
良質な胡桃を使っていると感じるし、それが結構な量入っているのも嬉しい。

★ 小島屋:けし餅

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大きさは、直径約4センチ。
こし餡を包み、たっぷりのケシの実をまぶした餅菓子。





最後は、江戸時代創業の大阪は堺市の老舗・小島屋(公式サイト)“けし餅”
江戸時代初期・延宝年間の創業時から作り続けている小島屋の看板商品らしい。

見ての通り、お餅の生地がこれっぽっちも覗かないほど表面にケシの実をたっぷりまぶした餅菓子。
ケシの実の香ばしさと、ちゃんと適度に甘いこし餡が相俟って、良いお味。
プツプツとしたケシの実は、食感も楽しませてくれる。

シンプルな作りで、なんとなく味の想像ができたため、あまり期待せずに食べ、
案の定、想像に近い味であったが、それでも美味しかった。
小ぶりなので、パクパク食べられてしまい、あっと言う間に箱が空っぽ。

(一日遅れの…)祝・金城武御生誕43周年記念!

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昨日、10月11日は、私が愛してやまない金城武の御生誕記念日。
1973年生まれの金城クン、43歳になりました。おめでとうございます!

今朝、ほぼ日課の中華芸能ニュースを見るまで、すっかり忘れており、
お祝いの言葉が一日遅れになってしまい、申し訳ない。
色々と言い訳させていただくと、
金城クンのお誕生日が11日だということはしっかり記憶していたのだけれど、
“今がいつ”なのかを忘れていたのよねぇ。曜日は覚えていたのだけれど、“何日か”がどうも曖昧でして…。
まぁ、彼とはもう長い付き合いなので(?)、「mangoも最近ついにボケ始めたな」と軽く流してくださることでしょう。




そんなMyダーリン金城クン、出演作がとんと日本に入って来ないため、
生存さえ確認できず、ヤキモキしている日本のファンも多いことでしょう。
大丈夫、生きております。しかも、働いております。
お誕生日を実家のある台北で派手に祝うこともなく、現在は大陸で新作映画の撮影中。

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ちゃんと撮影しているところを一般の人に目撃されている。
場所は、上海新北街市にある市場らしい。



この新作映画は、陳可辛(ピーター・チャン)プロデュースによる『男人手冊』改め『你看上去很好吃』
監督しているのは、香港の許宏宇(デレク・ホイ)。
80年代生まれのこの許宏宇は、映画の編集では有名な人で、
『ウォーロード/投名状』(2007年)、『捜査官X』(2011年)、『最愛の子』(2014年)といった陳可辛監督作品の他、
陳凱歌(チェン・カイコー)監督作品『運命の子』(2010年)等、多くのヒット作を手掛けており、
この度、お師匠さん・陳可辛のプロデュースで、初監督を飾る。

原作は、大陸の人気女性作家・藍白色(ラン・バイスー)の<男人使用手冊>。
藍白色の作品は、これまでにも映像化されており、日本に入ってきているものだと、例えば、
言承旭(ジェリー・イェン)主演のドラマ『星に誓う恋~戀戀不忘』の原作が、藍白色の<無愛承歡>。
(ドラマ『星に誓う恋』の日本公式サイト、原作小説のタイトルが
<無>じゃなくて<無>とビミョーに間違って表記されていますヨ。)

<男人使用手冊>を映画化する『你看上去很好吃』は、
恋にも仕事にも敗れた29歳の女性シェフ・顧勝男が、レストランを買収した男性を出逢い、
性格の違いから、激しくぶつかり合うが、次第に恋に発展していくという物語らしい。ラヴコメでしょうか。
金城クンが演じているのは、勿論そのレストランを買収し、シェフと火花を散らすという男性。
今回、隠し撮りされた画像では、白いシャツ+紺のセーター+グレーのパンツ、そしてトドメの眼鏡!と
私好みのスタイリング。やっぱり素敵だわ、金城クン。



あっ、お相手を演じる女優さんを紹介し忘れておりました。
この度、『你看上去很好吃』の中で金城クンと恋に落ちるラッキーな女性は、(↓)こちら。

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周冬雨(チョウ・ドンユィ)ちゃん。
張藝謀(チャン・イーモウ)監督作品『サンザシの樹の下で』(2010年)でデビューし、
新たな“謀女郎(イーモウ・ガール)”と注目され、早6年。
24歳になった周冬雨は、台湾の桂綸鎂(グイ・ルンメイ)にも通じる透明感があって、良いですね。
日本には出演作がまったく入って来ないけれど、お仕事は相変わらず絶好調。
映画は勿論のこと、最近は、芸能人同士を仮想結婚させる韓国の人気バラエティ番組、
『私たち結婚しました』の中国版『我們相愛吧』で、
香港明星・余文樂’ショーン・ユー)と仮想カップルとなって出演し、話題に。
11歳年上の余文樂の次は19歳差の金城武と、どんなラヴ・ストーリーを見せてくれるのでしょう。
日本でも、大きなスクリーンで観た~い…!
誰か買って、買って、買ってぇぇーーーっ…!!
ついでに、『太平輪~The Crossing』と『擺渡人~The Ferryman』も。
(『太平輪』は、もう日本公開が決まっているんでしたっけ…?)

でも、もはや“金城不足”が慢性化している身体で、
金城クンをいきなり大スクリーンで見たら、刺激が強過ぎて、
私、多分、映画館の椅子の上で萌え死にするわ。まぁ、それも本望ヨ。



では最後に改めて、金城武さま、一日遅れのお誕生日おめでとうございます。
素敵な一年が過ごせますように!

すでにグダグダ第29回東京国際映画祭(怒)

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映画祭の秋到来。本日は、第29回東京国際映画祭のチケット発売日。
皆さま、お目当ての作品のチケットは確保できましたか。

私は、最悪…。
チケット発売開始の10分前には、きちんとパソコンの前にスタンバイ。
昼12時を回ったと同時に頑張ったものの、アクセス集中で、思うように購入ページに辿り着けず…。
毎度のことではあるけれど、今年は取り分け繋がりにくい。
販売がチケットぴあ→チケットボードと変わり、
今年からまた新たに導入されたオンラインチケットのシステムが、やはり弱いのではないかと思いながら、
もう機械的にクリックを繰り返し、30分以上経った頃、ようやく一本目の作品のチケット購入に成功。

この調子で!と、2本目に挑戦。
ようやく空いてきたのか、一本目の時よりは、先へ進み易い。
ところが、支払いの段階になり、クレジットカード情報を入力し、最後のクリックをすると、画面真っ白。
以前、東京国際映画祭のチケットがチケットボードで販売された際にも、同様の状況に陥った。
決済されているのか/いないのか、入力したクレジットカード情報がどうなっているのか、
色々心配で問い合わせたところ、
「そういう場合は、決済されていないし、席も確保できていない。もう一度最初からやり直し」との回答。
過去にそんな事があったし、実際、決済完了画面に行き着いていないし、
購入完了のお知らせメールも届かないので、
今回は支払い段階の何とも不透明な状態を何度も何度も繰り返し、
気が付けば、あれよあれよと言う間に、一時間以上が経過…。

そうこうしている内に、ついにサーバーがメンテナンスに入ったらしい。
調子悪かったのは、私一人ではなく、そもそもサーバーに問題が有ったわけだ。
復旧は、午後2時45分を予定しているとのこと。

決済がどうなっているか多少不安があったので、
メンテナンスで身動きとれない間に、念の為、クレジットカード会社に電話。
あくまでも“念の為”の電話であったが、
な、な、なんと、チケット一枚1800円の同じ映画に、12回の仮請求が来ているという。
 はい…?!悪い冗談…??
積極的に観たかったわけでもない映画を一回観るのに、
私、1800円×12=21600円払わされちゃうの…??

クレジットカード会社の担当者に、東京国際映画祭のオンラインチケットシステムの問題で、
私以外にも同様の被害が出ているらしいと状況を説明したが、
とにかく、主催者側が仮請求を取り消さない限り、私は支払う義務があるので、
あとは、私個人が東京国際映画祭に連絡を取り、請求取り下げを頼むしかないらしい。

その後、2時間後くらいであっただろうか、忘れた頃に、“購入完了のお知らせ”というメールを2通受信。
一席で充分だったのに、御丁寧に私のために2席も確保して下さったようだ。
あと10席分も、その内、購入完了お知らせメールが来るのかしら~。もう笑っちゃうしかないワ。
それとも、2席押し付けられ、12席分強制支払い…?

まぁ、私一人が被害者なら、泣き寝入りさせられることもあるかも知れないけれど、
ここまで問題が拡大していると、東京国際映画祭側も、クレジットカード請求の取り消しとか、
重複購入されたチケットの払い戻しとか、何らかの対処をしないわけにいかないであろう。

で、重複購入で戻された席は、来週、10月22日(土曜)の2次販売で放出か。
となると、すでに完売の上映にも、浮いた多くの席が再販売されるだろうし、
かなりの良席も出てきそう。

ただね、この問題の問い合わせに、東京国際映画祭が対応している電話番号は
050-3786-8066の一つのみ。
つい今しがた、ようやく繋がったので、私の状況を説明したところ、
様々な事が現在協議中で、何か決まり次第、折り返し電話してくるとのこと。
それが明日なのか明後日なのかも不明。
2次販売が行われる一週間以内に、全ての問題が解決し、被害者全員が納得する状況が整うとは考えにくい。




“国際映画祭”を名乗るのが小っ恥ずかしいほどドメスティックでグダグダ、
これまでにも問題が多々あった東京国際映画祭だけれど、
チケット販売に関して、ここまで酷いのは、お初。
大きなイベントを運営するのは本当に大変なことだろうし、完璧なシステムなんて無いのは分かるが、
こうも対応が悪いと、「失敗は誰にでもあるから、気にせず復旧頑張って♪」などと理解を示す気も失せる。
今日の予定が狂わされた、時間を返せ!とは言わないから、
せめてクレジットカード決済の件と、重複チケットの件は、責任をもって早急に対処して欲しい。
私、クレジットカード会社の人に「カード番号をすぐに変えましょうか?」とも言われたのよねぇ。
確かに、こんなズサンなシステムでは、
カード情報や個人情報がダダ漏れになるのではないかと心配になってくる…。



最後に、私の現状をおさらい。

映画一本目
購入完了メール受信。クレジットカード決済に重複ナシ。

映画二本目
購入完了メールを2通受信。2席の重複確保確定。クレジットカード会社に12回分(…!)の仮請求。


サーバーメンテナンス完了予定の午後2時45分を大幅に5時間上回った現在も復旧の兆し無し。
(「しばらくお待ちください」と購入希望者を待たせっ放しで、現状説明が無いのも不親切。)
私、今日中に他のチケットを買えるのかしら…??
あぁー、疲労困憊…。明日は出掛けたい。

大陸男前名鑑:黃軒

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BSジャパンで放送中のドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす』関連の検索で
当ブログにお越しになる方が激増している今日この頃なので、期待外れで申し訳ございませんが、
本日は『琅琊榜』とは無縁の俳優で“男前名鑑”を更新させていただきます。

久々に更新する“男前名鑑”で取り上げるのは、大陸の黃軒(ホアン・シュエン)
私が観たい!と思う作品にかなりの確率で出演しているのに、
そういう出演作がなかなか日本に入って来ない俳優さん。

そんな黃軒、数ヶ月前に、こちらに記した通り、日中合作映画『妖猫伝~妖貓傳/妖猫传』で、
日本の染谷将太と共演することが判明。
これは、夢枕獏の小説<沙門空海唐の国にて鬼と宴す>を
陳凱歌(チェン・カイコー)監督の手で映画化するというもの。
この作品なら、完成すれば、日本で上映されること間違い無し!
これを機に、黃軒出演作が、日本でもっと観られるようになるといいなぁ~という願いも込め、
今回、男前名鑑で取り上げた次第。




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では、早速、簡単なプロフィールを。

氏名             :黃軒 (拼音:Huáng Xuān)
日本での通称:ホアン・シュエン/ホアン・シュアン

生年月日:1985年3月3日
出身地     :甘肅省蘭州市
身長        :177センチ
学歴        :廣東舞蹈學校→北京舞蹈學院音樂劇系(ミュージカル学科)卒


2007年、22歳の時、張弛(チャン・チー)監督の映画『地下的天空~The Shaft』でデビューした黃軒は、
すでにキャリアが10年近い、30歳を過ぎた俳優だが、
中華圏でも、名が知られるようになったのは、ここ数年のこと。やや遅咲きの俳優である。

実際、インタヴュなどを通し知る黃軒は、近年有名になるまでの人生前半戦が、
決して順調ではなかったことが窺える。

小学3年生の時、出身地の蘭州から広州にお引越し。
言葉も分からず、友達もできず、加えて両親まで離婚と、踏んだり蹴ったりで孤独な少年時代。
当時は学校の成績も振るわず、好きだったのはマイケル・ジャクソンとダンス。
舞踏家の母と相談し、高校は舞踏を学ぶため芸術学校に入学。
しかし、卒業を前に負傷。身動き取れず悶々としていた半年の間に、舞踏より演技への興味がふつふつ。

…が、プロフィールからも分かるように、それでも進学した大学は、北京舞蹈學院。
舞踏を諦めた青年が、なぜ舞蹈學院に進学したのかという疑問が湧く。
実は、黃軒、中央戲劇學院にも北京電影學院にも受からなかったため、北京舞蹈學院に入学。
それでも、北京舞蹈學院もまた中国の有名な芸術院であることには変わりなく、
映画監督が出演者を探しに来るお決まりの場所の一つだという。
事実、在学中の黃軒にもチャンス到来。

…のハズが、チャンスが訪れてはポシャる黃軒の不遇時代が、ここから始まる。
以下、黃軒が“逃した大きな魚”をいくつか列挙。

2005年、まだ学生だった黃軒に舞い込んだビッグチャンス。
張藝謀(チャン・イーモウ)監督の新作で、
大スタア・鞏俐(コン・リー)や周潤發(チョウ・ユンファ)と共演できると興奮するが、
ある時、スタッフからの連絡がプツリと途絶え、新聞紙面で『王妃の紋章』がクランクインした事を知り、愕然。
その後、助監督から「ゴメン、周杰倫(ジェイ・チョウ)が撮影に加わった。君に合う役は無い」と説明。


人気作家・海岩(ハイイェン)の小説が原作のこのドラマでは、準主役が約束されていたが、
『王妃の紋章』に出演するため放棄。→結果的に無駄な放棄に。


2009年、第62回カンヌ国際映画祭に出品され、脚本賞を受賞した、
この婁(ロウ・イエ)監督作品の撮影にも実は参加していた黃軒。
自分のシーンが全てカットされ、最後に名前だけクレジットされた事を、
主演男優の一人・陳思成(チェン・スーチェン)のマネージャーからの話で初めて知る。


自閉症の青年・大福役に抜擢。
この役は、泳げる事が必須条件だったため、ひと夏水泳の練習に没頭。
同時に、養護施設にも入り、そこの生徒たちと、寝食を共に。
そんなある日、監督から「軒兒、明日はもうスイミングに行かなくていいから」と電話。
最後の最後で、他の俳優がキャスティングされた事を知らされ、
電話を切った後、自分がどうしていたかさえ覚えていないという。
黃軒に代わり、その役を得た俳優は、言うまでもなく文章(ウェン・ジャン)である。


この作品では、監督の王小帥(ワン・シャオシュアイ)が、ずっと黃軒を使いたいと主張し続けたが、
投資会社からの要請で選手交代。
丁度この頃、父、祖父、祖母が立て続けに他界。仕事でも私生活でも、精神的打撃を受ける。



不遇続きではあるが、この間出演作がまったく無かったわけではなく、
例えば、小さな役ではあっても、李少紅(リー・シャオホン)監督の『紅楼夢 愛の宴~紅樓夢』のような
話題の大作ドラマにも出演。

オムニバス映画『成都,我爱你~Chengdu, I Love You』では、第66回ヴェネツィア国際映画祭にも参加。

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映画人が一堂に会するこんな大規模な映画祭に身を置いたのは初めてのこと。
この初体験に奮い立たされた反面、帰国後の変わらぬ生活を考えると失望も大きく、
トランジットのパリで、クレジットカードと2百ユーロそこそこの現金を手に、「取り敢えずここに残ろう」と決意。
消息を絶った黃軒を探し当て、「まだ生きているか?!スタア総出演の映画のオーディションがある。
取り敢えず帰って来い!」と事務所から連絡が入るまで、一泊20ユーロのユースホステルで寝起きしながら、
美術館巡りをしたり、ボーッと街を散策する十日間を過ごしたという。
帰国すると、すでに萎えていた黃軒は、何の期待もせずに、張楊(チャン・ヤン)監督と軽い雑談をし、
なぜかそのまますんなり映画『無人駕駛~Driverless』への出演が決定。
この頃から、ものごとは成るようにしか成らないと学び、
自分でコントロールし切れない事には過度な期待を抱かなくなり、気持ちも軽くなったという。



その後も小さな役をボチボチこなしながら、読書や書道をし、“潜伏期”を過ごし、運命の2012年末、
かつて『スプリング・フィーバー』で黃軒のシーンをばっさりカットしたあの婁(ロウ・イエ)監督の新作、
『推拿~Blind Massage』の撮影に参加。演じたのは、盲人のマッサージ師・小馬という重要な役。

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この作品は、2014年、第64回ベルリン国際映画祭に出品され、芸術貢献賞を受賞。
同年、第51回金馬獎でも、最優秀作品賞、改編脚本賞、新人賞、撮影賞、編集賞、音響効果賞と
6部門もで受賞の快挙。



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2014年は、黃軒の名を世に知らしめた記念すべき年で、
婁監督作品『推拿』以外にも、許鞍華(アン・ホイ)監督作品『黄金時代』)、
周迅(ジョウ・シュン)主演のドラマ版『紅いコーリャン~紅高粱』といった具合に、
秀作、話題作と呼ばれる出演作が立て続けに公開。知名度も人気も一気に急上昇。
あっ、黃軒と『琅琊榜』が辛うじて繋がった~。『黄金時代』には『琅琊榜』の靖王・王凱も出ています。)



その辺りから、黃軒の活躍っぷりは、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。
2015年には、中国版<GQ 智族>の“年度人物 Men of the Year”の一人にも選出。
これは、雑誌<GQ>が一年に一度、各界で最も輝いた男性に贈る賞。

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画像左から、黃軒、映画監督の侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、俳優で監督の徐峥(シュー・ジェン)、
建築家の劉昊威(リウ・ハオウェイ)、作家の張嘉佳(チャン・ジャージャー)、
中国博奇CEOの白雲峰(バイ・ユンフォン)、俳優の李易峰(リー・イーフォン)、
700bike創業者の張向東(チャン・シャンドン)、シンガーソングライターの李榮浩(リー・ロンハオ)。

黃軒は、“年度突破藝人”という部門での選出。
同じ俳優でも、華のあるイケメン俳優(笑)李易峰の方は、“年度流行藝人”として受賞。
ちなみに、イケメンではないけれど、実力派のミュージシャン李榮浩は、
現在、年上の楊丞琳(レイニー・ヤン)と交際中。
男は顔が多少マズくても、実力さえあれば、カワイ子ちゃんとも付き合えることを、身をもって証明。



人気爆発の昨今の黃軒は、映画の文芸作のみならず、メジャーなテレビドラマからも出演オファーが絶えない。

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孫儷(スン・リー)主演の『羋月傳~Legend of MiiYue』や
楊冪(ヤン・ミー)主演の『親愛的翻譯官~Les Interprètes』といった話題のドラマに次々出演。
日本には、劉詩詩(リウ・シーシー)主演の『女医明妃伝~女醫·明妃傳』がすでに入って来ている。
また、主演を務めた超大作ドラマ『九州·海上牧雲記~Tribes and Empires-Storm of Prophecy』は、
すでにクランクアップし、放送待機中。


映画では、張藝謀(チャン・イーモウ)監督初の3D英語作品『長城~The Great Wall』が、
2016年12月16日に中国で公開予定。
マット・デイモンが出演する張藝謀監督作品なので、日本公開も有り得るかも…?




このように、今やすっかり売れっ子の黃軒。実は日本ともちょっとした御縁が。

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(↑)こちら、黃軒の曽祖父・黃文中(1890-1945)。
孫文が提唱した“三民主義”を支持し、“民主闘士”と呼ばれた甘肅出身の黃文中は、
師範学校卒業後、日本に私費留学し、中華革命党の活動に参加しながら、
明治大学で政治経済の学位を取得した人物。

日本から帰国するギリギリ前の1920年には、上原悦二郎の<日本民権発達史>を翻訳。
黃文中が手掛けたこの翻訳書には、かの孫中山/孫文(1866-1925)から…

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「世界潮流浩浩蕩蕩順之則昌逆之則亡」という有名な題辞を贈られ、
1926年、上海商務印書館から、初版が出版されている。


また、この黃文中は、大変多才な人で、特に詩や楹聯(えいれん/対で掲げる句)、書に長けていたという。
取り分け、当局から睨まれ、甘肅から逃げるように移り住んだ杭州・西湖では、その才能を遺憾なく発揮。
その頃の作品は<黃文中西湖楹帖集>に収録され、出版されている。


そんな杭州・西湖時代の黃文中の作品で、最も有名なのが、こちら(↓)

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孤山の西湖天下景亭に掲げられた「西湖天下景」の扁額と、
亭の両柱に記された「水水山山處處明明秀秀 晴晴雨雨時時好好奇奇」の楹聯。


黃軒は、お身内に随分立派な方がいらしたのですね~。
ただ、その黃文中はあんな昔に私費留学しているくらいだから、
あちら風の言い方をすれば“出身が悪い”のだろうし、政治的混乱にも巻き込まれ、
中国で生きる子孫は、ある時期、辛酸を嘗めさせられたのではないかと想像する。

実際、西湖天下景亭の扁額や楹聯は、
文化大革命真っ只中の1972年、“黃文中”の文字が消され、破壊されたらしい。
文革が終わった80年代には、黃文中の娘・黃國梅が、当局に元の写真を持ち込み、修復を訴えるも、
相当な時間を要し、ようやく修復されたそれに記されていた“黃文中”の文字は、やたら小さく(苦笑)、
原型からは程遠い代物だったいう。
「あの娘、うるさいから、取り敢えず申し訳程度にパパの名前を入れといてやるか」って感じだったのだろうか。

で、もっともっとその後、娘・黃國梅は、その昔、黃文中が杭州でしたためた楹聯の筆跡を探し出し、
それを今度は、当時浙江省委書記だった習近平に渡し、改めて修復を訴え、
2004年、よーーやくオリジナルと同じ複製が完成し、西湖天下景亭に掲げられたんですって~。
身内にしてみれば、破壊された1972年から、実に32年もの歳月を費やした執念の名誉回復ですワ。



黃軒から知性や文芸の香りが感じられるのは、
脈々と受け継がれたこのひぃおじい様のDNAなのかも知れない。

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俳優自体が芸術的なお仕事だけれど、趣味の書道もかなり本格的で、腕前は相当なもの。


お馴染み日本の化粧品メーカー、シュウウエムラも、
2016年春、“東京美藝”をテーマにしたキャンペーンで、黃軒をビューティアンバサダーに御指名。
(↓)こちら、書道にインスパイアされて生まれた商品、カリグラフィック・アイライナーの広告。

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この“美”の字も、黃軒の筆によるものだと。達筆…!
私、自分の悪筆が小っ恥ずかしくて、間違っても黃軒の前で字を書くことなんてできない…。

動画も有ります。






腫れぼったい目といい、地味ぃーな感じといい、かなり私好みの黃軒。
アイドル的な華やかさにはやや欠けるので、
日本の中華ドラマニアの女性に、どれ程度受け入れられるかは不明だが、
中華電影ファンには絶対にウケるタイプの俳優だと思う。
黃軒も出演している陳凱歌監督の新作『妖猫伝』は、日本でいつ公開されるだろうか。
彼のバックグラウンドを考えると、『妖猫伝』で演じる白居易は、適役と感じる。
染谷将太との共演を見るのも、楽しみ。

他の出演作ももちろん観たい。
取り敢えず、私がずーーーっと観たい!と言い続けている婁監督の『推拿』を、
もうそろそろ日本で上映して欲しい。すでにどこか買ってくれていると良いのだけれど…。
関係者の皆さま、そこのところ、どうなのでしょう。日本公開宜しくお願いいたします。
軽いテイストの物にはあまり惹かれないので、
ドラマ作品の場合、すでに日本に入って来ている『女医明妃伝』には、実は大して興味が無い。
『紅いコーリャン』は、たとえ原作がノーベル賞作家・莫言(ばく・げん/モウ・イェン)で、
映画版がベルリン金熊賞受賞作でも、日本の軍服が映るだけでピリピリする昨今の状況を考えると、
残念ながら、入って来るとは考えにくい。
なので、せめて『羋月傳』と『九州·海上牧雲記』が、日本語字幕付きで観られれば嬉しい。



追記:2016年10月16日夜
たった今、映画『妖猫伝』の最新スチール公開。
張雨綺(キティ・チャン)の出演は予想していた通りとして、他にも秦昊(チン・ハオ)が出ていたのですね。
黃軒が染谷くんと共演しているのを実際に目にして、軽く感動。この映画、益々観たくなった…!

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追記:2016年10月17日
黃軒&染谷将太主演、陳凱歌(チェン・カイコー)監督最新日中合作映画『妖猫伝~妖貓傳』の邦題が
どうやら『空海 KU-KAI』に決まった模様。日本公開は2018年を予定しているらしい。
来年2017年中はお預けになってしまいますね。ふぅ…。早く観たい。

第29 回東京国際映画祭のチケット詐欺(しかもby主催者)に怒りしか湧いてこない…。

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2016年10月16日(土曜)、チケット発売初日早々に、
チケット販売のオンラインシステムに支障をきたし、大混乱を巻き起こした第29 回東京国際映画祭
やたら重くて、なかなかアクセスできない…、くらいならまだしも、
私なんか、ようやくアクセスできた一回の上映に対し、
クレジットカード会社にチケット12枚分もの仮請求を送り付けられた…。
コンビニで代金を払い込んだにもかかわらず、取れていると確信していた席が確保されていなかった人も多数。

その日は、結局2時間程度で販売中断となり、システムメンテナンスに。
その後、大分経ってから、質問を受け付ける無料ダイヤルの設置、
重複して取れてしまったチケットのキャンセル受け付け、
20日(木曜)の販売再開に先駆け、
前日の19日(水曜)に、前回の被害者を対象に先行販売が行われる事などが発表され、一件落着。


…のハズが、悪夢再び。
なんとなくイヤな予感はしていたが、案の定、システムは復旧していない。
むしろ悪化しており、ログイン画面に辿り着くことすらままならない。
私と同じような状況にイラだつ人が大半でも、
ごくごく稀にチケットを購入できてしまっている人が存在するのを良い事に、
主催者側はだんまりを決め込み、今日一日が過ぎるのをじっと待つことにしたようだ。
先週の土曜で、あちらにもかなりの損失が出ただろうから、
これ以上の負担を避けるため、「アクセス集中で繋がりにくいだけ」、「何も問題は起きていない」と
開き直ることにしたのかも知れない。
賠償責任を避けるためには、“絶対に自分の過ちを認めてはならない!”は鉄則ですから。

ちなみに、本日は、土曜の被害者救済措置の日なので、アクセス数は事前におおよその予想ができたはず。
スケジュール画面を見れば分かるが、“サーバーが落ちる程アクセス殺到の大人気映画祭”の割りに、
多くの作品に、座席に余裕があることを意味する“”が付いている。
システム障害で、そもそも買いたくても買えないのだから、当たり前。
開幕までもう一週間を切っているのに、このままだと上映当日、会場に空席が目立つことが考えられる。
世界の映画人からは、ただでさえ二流の映画祭と軽んじられているのに、
こんな事があったら、益々信用を落とし、“東京国際映画祭離れ”が加速する。



本日の問題は、脆弱なサイトが能力を超え、アクセスしづらいというだけではなく、
実は、相も変わらず、購入に成功したか/しないかの確認を自分では行えないし、
支払いのシステムもまったく回復していない。

“MYページ”のような物が存在せず、自分で購入記録が確認できないって、どうなのヨ?!
正確な情報を知りたかったら、繋がらない電話にひたすら掛け続け、確認するしか方法が無い。

私も、せっせと電話を掛け続け、ようやく繋がり安堵したのも束の間、
土曜の悪夢再びで、またまた重複して席が取れてしまっていることを知らされた上、
決済が停止されていない余分なクレジットカード請求が派生していることまで判明。
「当然キャンセルできますよね?」と尋ねたら、
「土曜日の分はキャンセルできますが、今日はシステム上問題が起きていないので、私には分かりません」
と予想だにしなかった珍回答。
はい…??この状況で問題起きていないって、本気で言っているの…?!
私が話した事は、「お客様の御意見として上の者に伝えておきます」とのこと。

そうなのよ、電話応対している子たちには何の非も無いのよ。
非があるのは、雲隠れしている、その“上の者”。
このまま知らぬ存ぜぬを続けたら、益々非難が高まるという事を理解していないのか…?
これで責任逃れをしたら、システム上の“事故”ではなく、“事件”になりますから!
この先老人になってもオレオレ詐欺なんかには絶対に引っ掛からないと自信満々だった私が、
こんな形で、要らぬチケットを押し売りされたり、クレジットカードからお金を抜き取られてしまうとは…。
これってもう立派な詐欺行為でしょーヨ。

お金絡みで、ここまで被害が拡大しているのに、テレビのニュースなどでまったく報道されないのも不思議。
以前から、利権問題や、不透明なお金の流れを噂されていた東京国際映画祭だけに、
報道させないよう、どこからか圧力が働いているのではないかとさえ疑い始めている。
築地やオリンピックだけではなく、東京国際映画祭も、膿を出し切って欲しいワ。



今晩これからチケットをお取りになろうとお考えの皆さま、以下の事を気に掛けましょう。
予約完了メールやQRコードが送られて来なくても、座席が確保されている可能性がある。

“残り枚数”の表示に変化が無かったり、“NaN”のままでも、
チケットの購入が完了している可能性がある。

支払いでエラーが出たり、画面が白くなっても、決済されてしまっている可能性がある。

私の場合は、以上全てに当て嵌まっております。
電話で座席確保を確認済みでも、メールは未だに一通も受けておりません。

ついでに言っておくと、土曜日に「お客様には個別に折り返し担当者から電話いたします」と言われた電話も
まったく掛かって来ない。
今日改めて、「本当に個別に折り返し電話をしているんですか?」と聞いたら、「している」と。
本当…?!どなたか、そのような電話を受けた方、いらっしゃいますか??
私、クレジットカードの仮請求の件を確認したいのだけれど…。



本日、見切り発車して、この有り様。
アクセスする人数が限定されている救済措置の今日でこんなだったら、
明日の一般向けのチケット販売再開、22日(土曜)の2次販売は、一体どうなるのでしょう…。




追記:2016年10月20日
深夜の内に、7枚分ものチケット購入完了メールが届いた…。
昨日19日(水曜)の被害者救済措置のチケット販売では、
一人が購入できる枚数の上限が4枚だったはずなのに、ナゼに7枚…?!
これでもまだ「システムに問題は無かった」と言い張り、返金を拒否するつもりなのだろうか…。
開幕がもう数日後に迫っているのに、未だマトモにチケットを販売できた日がたったの一日も無いなんて、
前代未聞の恥さらし。
最低限、起きてしまった事に対しては、誠実に対応していただきたい。
だいたい、オンライン販売・決算なのに、“最終的な確認が電話”って、どんだけショボいシステムなのヨ…?!
(しかも、その電話が、今朝5時という早朝でも混んでいて繋がらないという悲劇…。)

映画『永い言い訳』

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【2016年/日本/124min.】
自宅のリビングで、美容師の妻・夏子の一言一言に噛み付きながら、髪を切ってもらう作家の衣笠幸夫。
この日、高校時代からの大親友・ゆきと、スキーツアーで山形へ行く約束をしている夏子は、
幸夫からの毎度の嫌味もさらっとかわし、新宿のバスターミナルへと急ぐ。
夏子が家を出て早々、幸夫が家に呼んだのは、自分の編集者である愛人の福永智尋。
妻のベッドで悪びれずに愛人を抱いて迎えた朝、
幸夫は山形県警からの電話で、夏子がバス事故に遭い、死んだことを知らされる。
これといった哀しみに襲われることもないまま、そつなく葬儀を執り行い、
詰め掛けた報道陣のカメラの前でインタヴュに応える幸夫。
そこに「幸夫君!」と飛び込んできた見知らぬ男。
夏子と共に亡くなったゆきの夫で、トラック運転手の大宮陽一であった。
この出会いで、陽一の長男・真平が、受験を諦めなければならない状況に陥っていることを知った幸夫は、
仕事で留守がちな陽一に代わり、週に2回、彼の子供たちの面倒をみると申し出る…。



西川美和監督、『夢売るふたり』(2012年)以来の新作映画を鑑賞。

第153回直木賞候補にも挙がった同名の原作小説<長い言い訳>は、
西川美和監督自身の著作で、文藝春秋から出ているが、私は未読。
その小説を映画の脚本にしたのもまた西川美和監督自身。
西川美和監督は、人気コミックやベストセラー小説の映画化で溢れる昨今に
ずっとオリジナル脚本にコダワり続ける稀有な監督という点でも、応援したくなってしまう。



西川美和監督のそのような新作は、
すでに愛情が薄れていた妻・夏子を交通事故で突然亡くすも、特別な感情に襲われることも無く、
表向き“悲劇の夫”を演じる人気作家“津村啓”こと衣笠幸夫が、
夏子と一緒に命を落としたゆきの夫・大宮陽一と出会い、
成り行きから仕事で留守がちの陽一に代わり、彼の二人の子供、真平と灯の面倒を見る内に、
少しずつ自分自身や人生を見つめ直していくヒューマンドラマ


原作未読で、内容をあまり知らなかった私は、チラッと本作品が紹介された情報番組を見ながら、
ちょうど一年前に観た台湾映画、林書宇(トム・リン)監督作品『百日草』を重ねた。
“同じ交通事故でそれぞれに連れ合いを亡くした二人の遺族が出てくる物語”という点が、
『百日草』と通じるのだ。
まぁ、いざ観たら、2作品は随分違うのだけれど。

『百日草』は、突然大切な人を失った主人公が、
少しずつ受け入れがたい現実と向き合い、故人を送るまでを、仏教の百日の法要に重ねて描いた物語。
取り乱していた主人公が徐々に平静を取り戻していく姿を見ながら、あぁ昔からある法要というものは、
故人を弔うという以上に、遺された人が自分自身の心を整理するためにあるんだぁ~、などと思った。

一方、この『永い言い訳』の主人公・幸男は、そもそも妻・夏子との関係がすでに冷え切っており、
夏子が事故死したその時も、家に連れ込んだ若い愛人と浮気中。
警察から事故の連絡を受けても、悲しみや罪悪感に苛まれることはないのだが、
テレビにも出ている有名作家という立場上、悲劇の夫を演じてみせる。

実際、連れ合いが死んでも、特別悲しくないという人は、世の中に結構居るのではないだろうか。
一緒に居るのがイヤでも、自分の手で殺すわけにもいかないから、事故で体よく死んでくれてラッキー♪
くらいのことがチラッと脳裏をよぎってしまう人は居ると思う。
そういう事は口にすると人間性を疑われてしまうから言わないだけ。
本作品では、そんなある意味正直でゲスな男を主人公にしてしまっているのが、人間臭くて面白い。

で、そのゲスな主人公・幸夫が、夏子と共に命を落としたゆきの遺族と疑似家族になっていく過程で、
褪せていた妻への愛や優しい気持ちを取り戻す、心温まる“イイ話”なのかと想像していたら、
実際にはそこまでの善に満ちた物語ではなかった点に、人間のリアルを感じた。




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主な出演は、妻・夏子を交通事故で亡くす人気作家“津村啓”こと衣笠幸夫に本木雅弘
夏子と共に事故で亡くなったゆきの夫で、トラック運転手の大宮陽一に竹原ピストル
陽一の二人の子供、兄・真平に藤田健心、妹・灯に白鳥玉季などなど。

今では、ジャニーズアイドルだった頃を知らない日本人も増え、
中堅の実力派と認められている有名俳優・モックンだけれど、
主演で映画にでるのは、なんと『おくりびと』(2008年)以来7年ぶりなのだと。

本作品でモックンが演じている衣笠幸夫を、一言で表すなら“面倒くさい男”。
テレビにも出る有名作家で、いわゆる“文化人”と称されるような人。
自己愛が強く、他者を見下す傾向あり。
しかも、職業柄非常に弁が立つから、益々タチが悪く、鬱陶しい。
自分に陶酔しているただの自信家ならまだマシで、幸男の傲慢は、自信の無さの裏返し。
卑屈で器のちっちゃい男なのです。卑屈ゆえ、妻・夏子の思いやりある言葉も、
全て悪意ある嫌味と受け止めてしまい、夫婦関係がギクシャク。
幸男と夏子を見ていると、人間関係は、必ずしも相手を攻撃することで壊れるのではなく、
相手の心のコンディション如何では、その相手を思い遣ることでも崩壊するのだと感じる。

そんな思い遣りのあった妻・夏子も亡くなり、元々子供のいなかった幸夫は、晴れて独身貴族に戻る。
これからは思う存分独り身の自由を謳歌すれば良いものの、どういう訳か幸夫は、
夏子と共に死んだゆきの夫・大宮陽一に、彼の子供の世話をすると、自ら面倒を買って出る。
私は、創作に行き詰っっている幸夫が、小説のネタ探しをするため、陽一を食い物にしたと疑ったが、
どうやら必ずしもそうではない様子。この時の幸夫の心情を、映画を観た皆さまはどう理解したのでしょう?
幸夫本人もその時点では気付いていない心の内の“何か”に突き動かされたとか…?

どういう魂胆にせよ、幸夫は陽一の家に通い、子守をするようになる。
でも、子供や動物って、自分に優しい大人を本能的に見分けられるもので、
陽一の下の娘・灯は、幸男にまったく懐かない。
うちの姪っ子の私に対する態度が、ある時期、まるで灯と同じだったので、私は幸夫に自分を重ね、苦笑い。

そして、灯に無視され戸惑っても、キレることなく、なぜか子守を続行する幸夫に、次第に変化が見えてくる。
よく言うように、“子育ては、子供を育てるだけではなく、大人も子供に育てられる”というあの感じ。
本作品は、中年男ヤモメ・幸夫の、今更ながらの成長記でもあるのです。
幸夫の表情に以前には無かった柔らかさが出てきて、子供たちのために奮闘する姿を、
つい微笑ましく見守ってしまう。

この幸夫は、特に最初の内、かなりイヤな奴に感じるけれど、
実は誰にでも多かれ少なかれある人間のヨゴレた部分を誇張したようなキャラクターなのだと思う。
だから、誰しもが幸夫の中に自分に似た要素を見付け、気恥ずかしくなったり、不快になったりさせられる。
そんな幸夫なのに、ただの“イヤな奴”に終わらず、…かと言って、ワザとらしく善人に激変させるわけでもなく、
どこか憎めない人物に仕立て上げているモックンは、やはり巧い役者なのかも知れない。



まぁモックンは元々演技に定評があったので、
私により新鮮な驚きを与えてくれたのは、ミュージシャンの竹原ピストルの方かも。
扮する大宮陽一は、幸夫とは正反対の情に篤いトラック運転手。
作為の無いあんな笑顔ができるだけでも、竹原ピストルのキャスティングは正解!と思わせる。


作為が無いと言えば、子供も。
私は基本的に“アンチ子役”で、計算づくの熟練子役を見ると、ゲンナリしてしまうのだが、
本作品の子役たちは、演技していないかのように自然な、子供らしい子供。
この作品は、想像していた以上に子供が役割りが大きいので、
もしこの子たちが小賢しい熟練子役だったら、作品が台無しになっていたであろう。
天真爛漫に振る舞う妹・灯も、自分の気持ちをグッと抑えてしまうお兄ちゃん・真平も、どちらも愛おしい。



他、幸夫の妻・夏子に深津絵里、夏子の親友で陽一の妻・大宮ゆきに堀内敬子
津村啓担当編集者で愛人の福永智尋に黒木華、津村啓のマネージャー・岸本信介に池松壮亮
こども科学館の学芸員・鏑木優子に山田真歩など。

出番は決して多くはないが、池松壮亮扮するマネージャーの岸本信介が、
作品のアクセントになっているように感じた。
冷めていて、ある部分、幸夫以上に付き合いにくい男なのではないかと思わせる。
いや、冷めていると言うより、幸夫よりずっと若いのに達観した雰囲気があると言った方が正解だろうか。
岸本信介がボソッと言う「子供って、免罪符じゃないですかー」の台詞にも、納得。





最終的に幸夫は、自分を大事に想ってくれていた妻・夏子を邪険に扱ってきたことに気付くが、
だからと言って、“失って初めて彼女を深く愛していた自分に気付いた”という感じではなさそう。
人は成長するけれど、性質がガラリと激変することはあまり無い。
一皮むけても、本質的に幸男は幸男であり、綺麗事ばかりで物語をまとめていない所に
現実味があり、好感度も高い。
ドロドロではないが、ちょっぴり毒があるのは、西川美和監督作品らしい。

どんどんデジタル化する今の時代に、敢えて16mmフィルムで撮った映像も印象的。
柔らかいと言うか、ニュアンスがあるとい言うか、
なんとも言えない“これぞ映画!”と思わせてくれる味わいがある映像。

子供が登場するシーンも好き。
ぜんぜん演技をしている感じではなく、あるがままの子供をカメラに収めた感じ。
そういう点は、是枝裕和監督作品を彷彿させる。

あと、主人公・幸夫に扮するモックンは、登場シーンが多いだけに、見せ場も多い。
幸夫が、お花見の席で、ベロンベロンに酔って、
フィンガー5の<恋のダイヤル6700>を熱唱するシーンが、やたら記憶に残っている。
(本当は他にもっと語るべき名シーンがいっぱい有るはずなのだけれど…。)
モックンがノリノリで歌っている姿を見たのは、<スシ食いねェ!>を歌っていたシブがき隊時代以来かも。

この主人公は、純粋な芸能人ではないけれど、メディアに取り上げられ顔が知られた“文化人”という点で、
西川美和監督自身の要素や経験も少し入っているのかなぁ~等とも想像した。
例えば、幸夫が陽一から「芸能人で一番仲がいいのは誰?」と興味津々で聞かれるシーンとか、
自分の名前のあとに、“才能”、“妻”、“かわいそう”、“不倫”、“愛人”などという言葉を付けて検索し、
世間の自分に対する反応をついついチェックしてしまうシーンとか。

それから、それから、モックンの髪の毛は地毛よねぇ…?
幸夫は、美容師兼美容院経営者であった妻・夏子にいつも髪を切ってもらっていたため、
夏子の死後はほったらかしで、伸び放題。
モックンは、長い髪でクランクインし、徐々に髮を切りながら、
映画の中の時間を遡る形で撮影していったのだろうか?
まぁまぁイイひとから、どんどんネチッこい男に遡って演じるのは、難しそう。

タイトルの『永い言い訳』は、自分を大事にしてくれた妻・夏子と、突然後味の悪い別れをした幸夫が、
生前の彼女に誠意ある態度で接していなかったことに気付き、遅ればせながら言いたくなった
彼女へ、そして自分自身への懺悔の気持ちを込めた“言い訳”と理解した。
皆さまの解釈はいかがでしょう。


“浮気中に妻が事故死した性格の悪い作家の話”と説明してしまうと、他人事に感じるけれど、
実は現実に居そうな人、有りそうな事、耳にしそうな言葉等々、
小さな“あるある”が沢山散りばめられているから、やけに説得力があって、楽しめた。
この映画を観て以来、「ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ、ちゃぷちゃぷロ~リ~」という
本作品オリジナル劇中アニメ『ちゃぷちゃぷローリー』のテーマ曲が、頭にこびり付いて離れない…。

秋の可愛らしい和のお菓子2種(+映画・テレビ雑記)

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かなり大きな地震がまた起きたというではないか。
鳥取にお住いの方、御無事でしょうか。被害が広がらないことを祈ります。

さて、東京国際映画祭のチケット取りに、身も心も消耗しきったこの一週間。
実はまだ買いたいチケットが有るのだけれど、WEBで予約をする度に、
映画祭事務局とクレジットカード会社に確認の電話をしなければならない面倒臭さに、
もう気分がすっかり萎えている…。どんだけアナログなのよ、東京国際映画祭…。
いっそ昔ながらの紙のチケットにした方が、早いし確実なのでは。
未だに日本が世界NO1テクノロジー先進国だと信じ込んでいる幸せな日本人がいたら、
東京国際映画祭のチケット取りを経験させて差し上げたいワ…。


映画と言えば、
日本の染谷将太と共演している陳凱歌(チェン・カイコー)監督最新作『空海 KU-KAI~妖貓傳』
ついに主要キャストのスチール写真が公開され、
以後、現場での彼らの様子も微博などを通しボチボチ紹介されるようになった。

(↓)こちら、陳凱歌監督のお話を聞く主要キャスト。

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左から、染谷将太、秦昊(チェン・ハオ)、黃軒、そして陳雨綺(キティ・チャン)。
黃軒が微笑み、秦昊が楽しそうに身を乗り出して聞いているお話って、どのような内容なのだろう。
染谷クンは、通訳を介すから、笑いのタイミングに時間差が。
(陳雨綺は通訳が必要無いのに、明らかに“気もそぞろ”って感じで、笑っていない。“らしい”わ。


そして(↓)こちらは、真剣に脚本に目を通す黃軒と染谷将太。

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近頃、染谷クンは、通訳無しでも、周りの皆と自分の言葉でコミュニケーションを取っている様子。
染谷クンが黃軒に、“黃軒”の日本語読みを一生懸命教えていたのを近くで耳にした陳凱歌監督が、
その後、試しに黃軒を日本語の発音で呼んでみたところ、黃軒は自分の事とは思わず、まったく無反応だった、
…なんてエピソードも紹介されていた。
中華電影好きな日本人は、染谷クンと黃軒のこのような交流を微笑ましく感じますよね。
それにしても、“黃軒”の日本語読みって?“こう・けん”かしら。



映画の話題がもう一つ。
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今週、擺渡人~The Ferrymanが、2016年12月23日に中国で公開されると発表された。
作家・張嘉佳(チェン・ジャージャー)が自身の著書を、
王家衛(ウォン・カーウァイ)プロデュースで、自ら初監督する映画。
出演は、梁朝偉(トニー・レオン)、金城武、楊穎(アンジェラベイビー)等々。
日本からは、アクション担当で谷垣健二が。


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うわぁ~、金城クンの頭に伸縮ネット包帯。
こんなにコミカルでハジケた金城クンは、かつてのライフカードのCM以来じゃない…?

予告動画もあり。

馬鹿っぽいコメディをやっている梁朝偉を見るのも久し振り(笑)。
いかにも中国の賀歲片(お正月映画)という感じで、何も考えずに楽しめそう。
噂されていた通り、元EXOの鹿(ルー・ハン/ルハン)もチラッと映っている。
ゲスト出演程度とはいえ、熱心なファンが多い鹿も出ていることだし、日本でも公開してくれないかしら。
(でも、前売り特典に付けるポストカードなどのオマケは、私には、鹿ではなく、金城クンでお願い。)

ちなみに、今回初めて映画を監督した張嘉佳は、1980年江蘇省南通の生まれ。
“琅琊榜(ろうやぼう)”ならぬ“中國作家榜(中国作家ぼう/ランキング)”で首位に選ばれたり、
こちらにもチラッと記したように、昨年は中国版<GQ 智族>の“年度人物 Men of the Year”にも
黃軒らと共に選ばれた人気作家。




続いてドラマの話題では、そう、BSジャパンで放送中のその『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす』
皆さま、今週も楽しまれましたか?
“全編クライマックス”って感じのドラマだが、
今週分では、18日(火曜)放送の第33話<雪中の訴え>が取り分け印象に残る。

頭にカッと血が上り、梅長蘇への信頼をすっかり失った靖王は…

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「アナタとはお仕舞いヨ!もううちには来ないでっ!」と言わんばかりに、
二人を繋ぐ秘密の地下道の呼び鈴をばっさりカットの仕打ち。
さすがの梅長蘇も、ヨロッと床に倒れ込み、すがるような眼で一点を見つめ、ショックを隠せない様子。
あ゛あ゛あ゛ーーーっ、靖王の馬鹿、馬鹿、馬鹿ぁぁぁーーーーーーっ…!
蘇先生はカラダが弱いのだから、余計な負担を掛けないで欲しいわー。

こんな事があっても、事態は刻々と動いているので、梅長蘇もいつまでもショゲていられない。
靖王に復縁を迫るため、…いや、靖王の誤解を解くため、病弱な身体にムチ打って靖王府へ向かい、
「会ってくれるまで、アタシ、いつまでもここで待つから。」
…と、深々と降る雪の中、ひたすら靖王を待ち続ける梅長蘇。
で、靖王、一応表に出ては来るのだが、梅長蘇に対する不信感と攻撃的な態度は変わらない。

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(↑)画像のこのシーンは、記憶に残る名シーンですねぇ~。

結局、聞く耳を持たず、立ち去ろうとする靖王に梅長蘇が思わず放つ一言が、これまた的を射ている。
「蕭景琰!你有情有義、可你為什麼就沒腦子!(蕭景琰!情義がありながら、なぜ能がないのだ!)」

“情義はあっても能がない”→ハイ、視聴者の多くもずっとそう思っておりました。
それに、主従関係を忘れた「蕭景琰!」の呼び声に、ハッとさせられながらも、
梅長蘇が大親友・林殊だとまだ気付かない靖王の鈍感力も大したものでございます。

結局、二人はギコチないながらも旧の鞘に収まるのだが、
靖王の早とちり&短気から起きた痴話喧嘩にハラハラさせられた今週前半であった。



あと、今週の“バカ野郎”で、もう一人挙げておきたいのが、靜妃に仕える小新。
実は、譽王身の謀士・秦般弱らと同じ滑族で、
靜妃を失脚させる工作活動を影をセコセコと行う、なんとも小賢しい宮女。私、彼女を見ると…

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いつもどうしても松居直美を重ねてしまう。
小新って滑族じゃなくて、本当は茨城県民で、
祖父母のことを“ジッちゃん”、“バッちゃん”って呼んでいるでしょー?!違う…??!
小新を演じている孫夢佳(スン・モンジア)は、
『琅琊榜』と多くのスタッフ&キャストがカブる『偽裝者~The Disguiser』にも出ているのだが、
そちらで、おさげ髮にして、現代風の衣装を着ていると(…と言っても戦中だが)、
松居直美化が益々進んでいる。



ついでに、可愛い飛流も見ておくと…

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今週も相変わらずモグモグ食べております。
飛流は“茶花餅”だと思って食べているが、梅長蘇に「それは“茶花餅”じゃなくて“太師糯”」と訂正される。
十日ほど前、当ブログのこちらに記した“『琅琊榜』スウィーツ”の一つ“太師餅”とは微妙に名前が違う。
どんな物か知りたくて、ちょっと調べてみたけれど、情報見当たらず。
“餅”ではなく、“糯”ということは、米粉などを使ったモッチリ感のある物なのかも知れない。



そして、今週最後の放送では、梅長蘇が懸鏡司首尊・夏江からお呼び出しを食らってしまいましたねー。

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こうしてついに火蓋が切られた梅長蘇と夏江の直接対決!
(ドラマ初見の方へのささやかな配慮で、画像では夏江の手のひらを隠しました。)
本日10月21日(金曜)放送の第37話だと、
梅長蘇は、衛崢を救出した黒幕が靖王であることも、その策を講したのが自分であることも、
拍子抜けするほどアッサリ白状し、それでもなぜか余裕綽々。
今のところ、どう見ても梅長蘇優位にしか思えないのだが、いやいや、夏江だって伊達に長生きしていない。
この先この古だぬきが、謝玉など比較にならない腹黒さで、梅長蘇を崖っぷちに追い詰めていく…。
時として、血気盛んな青年より、暴走老人の方がアブナイのは、今も昔も同じなのですよ。
ギャーッ、夏江、怖っ…。皆さま、来週は心して鑑賞いたしましょう。


オマケとして、最近の宗主・胡歌(フー・ゴー)を。
雑誌<ELLE MEN 睿士>の11月号で、年齢差のある一人二役に扮しております。

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「大叔or少年、あなたはどちらを選びます?」だって。
大叔の方は、“昔相当遊んだチョイ悪おやじ”って感じね。
もうどっちでもいいワ、胡歌が付き合ってくれるなら(笑)!




これから放送の他の気になるテレビ番組は…

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まず、10月24日(月曜)、テレビ東京で放送の『未来世紀ジパング』
シリーズ中国異変の新作で、題して“日本人が知らない・・・中国の大転換!”。
番組は、中国の数年後を映すと言われている広東省の深圳経済特区を中心に、
日本人が知らない中国経済の大転換を取材。
35年前の改革開放で海外に経済を開き、大発展を遂げた“深圳モデル”は、その後全土に波及し、
中国を世界第2位の経済大国へ。
そして今また新たに、中国の未来が見える“新深圳モデル”が世界の注目を集めているという。
中国大手自動車メーカーが開催した社員100組の合同結婚式や無人自動車計画、
中国政府が掲げる“メイド・イン・チャイナ2025”で狙う製造業のハイテク化、
開発と技術で先行していた日本を抜き、今や世界シェア7割になったドローン生産、
中国が買収した世界第2位のドイツ・ロボット企業などを紹介しながら、
日本人がまだ知らない“メイド・イン・チャイナ”の未知の実力と野望を解き明かす。




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10月27日(木曜)は、NHK BSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』
この番組は、呑まない私が観ても楽しくて、好き。
3rdシーズンに入ってからの第3弾は、澳門(マカオ)。
海鮮をたっぷり使ったマカオ料理などが紹介されるみたい。
お隣・香港を取り上げた回が面白かったし、今回も楽しみ。




再放送でも録画予約必須の番組が、10月23日(日曜)に2本アリ。

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一本目は、NHK Eテレで放送の『香川照之の昆虫すごいぜ!』
昆虫好きで知られる俳優・香川照之が全身着ぐるみのカマキリ先生に扮し、
体を張って昆虫のスゴさと面白さを紹介する番組。
香川照之の昆虫に対する深い愛は、『アナザースカイ』を見た時にもヒシヒシと感じ、
虫にまったく興味の無い私まで、彼の話に引き込まれてしまった。
香川照之の本気っぷりがスゴイ!と噂のこのNHK『昆虫すごいぜ!』は初回放送で見逃してしまったので、
待ちに待った再放送。今度こそちゃんと録画を!




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その後のもう一本は、BSジャパンで放送の『たった一度の約束~時代に封印された日本人』
日本の映画産業の礎を築いた大実業家・梅屋庄吉の人生と、
彼が運命的に出逢い、支え続けた革命家・孫文との交流を描く実話ベースのドラマ。
コレ、私は多分最低でもすでに2度は観ている。
梅屋庄吉役に柳葉敏郎は絶対に違う!と期待せずに観たら、これが案外合っており、感動させられた。
久し振りだから、また新鮮な気持ちで鑑賞できそう。




やたらめったら長い毎度のプロローグ(笑)を締め、お菓子へ行きます。
秋ならではの可愛らしい和菓子を2ツ。
どちらも好きで、夏が終わると、「そろそろかしら…」と期待しながら、お店のショウケースを覗き、
見付けると同時に購入しております。

★ 仙太郎:生渋栗

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大きさは、幅約4センチ。
渋皮付きの栗を丸々一個、こし餡で包み、ケシをまぶし、栗に見立てたお菓子。




ひとつめは、仙太郎(公式サイト)“生渋栗”

中に丸々一個の栗を入れているから、ちょうど大ぶりサイズの栗そのもの。
栗を包んでいるこし餡は、コッテリ系ではなく、水羊羹にも近い、瑞々しくサッパリした餡。
主役の栗は、渋皮付きで、ホクホク。

素朴な田舎風の物が多い仙太郎のお菓子の中で、可愛らしいこれはちょっと異質にも感じる。
見た目が良くて、味も良し。これ、好き。販売されている間に、まだ何回も買ってしまいそう。

★ 鈴懸:照柿

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大きさは、直径約4センチ。
干し柿を混ぜ込んだ煉り切りで餡玉を包み、柿に見立てた上生菓子。




こちらは、鈴懸(公式サイト)“照柿”
販売期間は、だいたい10月下旬くらいまでらしい。

オレンジ色のグラデーションや、所々の黒っぽいシミを巧く再現している上、
さらに、本当のヘタをのせることで、ホンモノそっくりのミニチュア柿に…!

それに、コレ、見た目を柿に似せているだけではない。
煉り切りに細かく刻んだ干し柿が混ぜ込まれているので、味にもほんのり柿が感じられる。
干し柿だから、細かく刻まれても、適度に歯応えがあり、噛めば噛むほど旨味が。

これも可愛らしくて好き。見た目も味も上品で繊細。
販売期間があまり長くないので、何度も食べられないのが残念。
でも、まぁ、それで季節を感じられるわけだし、「また来年のお楽しみ♪」と思えるのだけれど。

北京2016:川辦餐廳(貢院蜀樓)

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食欲がまったく湧かない胃を刺激しようと、
辛い四川料理を提供するお馴染みのお店、川办餐厅(川辦餐廳)へ。


北京には、中国各省の政府駐在事務所がある。
こちらは、四川省の在北京事務所、四川驻京办事处(四川駐京辦事處)に併設されたレストラン。
そんな所は関係者以外立ち入り禁止なのでは?とも思ってしまうけれど、
多くの省が併設のレストランを、一般に開放している。
東京にある地方自治体のアンテナショップのような役割りも果たしているのだろうか。
よく分からないけれど、本場のお役人お墨付きの本格的な地方料理が食べられるとあり、人気なのでしょう。

取り分け、四川省のレストランは有名。
どうやら、このレストランの元々の正式名称は、贡院蜀楼(貢院蜀樓)。
ところが、その名があまり根付いておらず、
四川省人民政府驻北京办事处招待餐厅(四川省人民政府駐北京辦事處招待餐廳)として有名になり、
それがあまりにも長いので川办餐厅(川辦餐廳)と略され、
今では、大陸のレストラン情報サイトなどで、もはやその名が正式名称かのように使われている。
地元の人々は、それをさらに略し、簡単に“川办(川辦 Chuānbàn)”と呼ぶことが多いようだ。
また、外国人向けの英語グルメサイトでも、“The Sichuan Provincial Government Restaurant”より、
“Chuan Ban”で紹介されているのをよく目にする。

★ 場所

場所は北京の中心部、とても便利な建国门(建國門)。
…なんだけれどぉ、大通りから反れている上、
おおよそレストランがあるとは思えない建物のゲートをくぐらなければならないので、
初めて行く人は迷うであろう。


(↓)これが、その分かりにくい建物正面。

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壁に貼られた金のプレートには“四川省人民政府驻北京办事处 北京驻京办招待所”の文字。
“人民政府”だの“招待所”だのと記されていると、普通の日本人はちょっとビビッちゃいますよねぇ~。
しかも、守衛さんみたいな人が常駐しているので、
日本人観光客が何も知らずに行ったら、一般人立ち入り禁止区域だと思ってしまいそうな雰囲気。

人民の皆さまにも分かりにくいようで、
この場所まで来て、まだレストランに気付かず、キョロキョロしている女の子に、
「川辦餐廳はどこですか?」と尋ねられた。

実際には、この建物さえ見過ごさなければ、もう到着したも同然。
このゲートをくぐるのに、守衛さんに呼び止められたり、手荷物検査をされることは無い。


ゲートをくぐると、もうすぐ目の前に…

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門額に“貢院蜀樓”と掲げられた、お目当てのレストランが。

★ 着席して注文

私は、場所は分かっていて問題無かったのだけれど、行った時間に問題あり。
ちょうど混んでいる時間に到着してしまったら、店内は満席。
しかも、次から次へとお客さんがやって来る。

しかし、お一人様だったのが幸い。小さなテーブルならひとつ空いていることが判明。
他のお客さんたちは、皆最低でも3人のグループだったため、
私だけ、ほとんど待たずに、先に中へ通してもらえた。



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2方向が壁に接している角地で、ホールを背にして座る小さなテーブル。
大勢でワイワイ賑やかにするのが好きな中国人は、こういう隅っこの小さなテーブルで、
壁に向かって黙々とお食事するなんて、疎外感に苛まれ、嫌がるかも知れないが、
元来お一人様が大好きな日本人には打って付け。
自分だけの閉ざされた小さな空間に、やけに落ち着きを感じることウケ合い。


お一人様シートでホッとひと息ついたら、さぁ注文。
メニューには写真がいっぱいなので、お料理をイメージし易い。

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(↓)以下、私が食べた物。
私は、いつも四川の定番中の定番を無難にセレクトしちゃうけれど、
もっとコテコテの本場料理を!という人にもちゃんと対応できる豊富なメニューですヨ。

★ 時蔬拌毛豆

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野菜を食べなきゃ!と思い、まずは“时蔬拌毛豆(時蔬拌毛豆)”という冷菜を注文。
“毛豆”は中国語で枝豆の意。なので、“時蔬(季節の野菜)”と枝豆の和え物ということ。
どんぶりにいっぱい盛られ、18元也。

季節の野菜が具体的に何なのかは、分からない。一種の菜っ葉で、恐らく茹でて刻んで、混ぜている。
この冷菜は、まったく辛くないし、日本人がビールのおつまみに食べる茹でた枝豆より、塩分も少ない。
自然な枝豆そのものに、ほんのり香る胡麻油がアクセント。
辛い四川料理の箸休め的に食べ、ホッとできるお味。

★ 麻婆豆腐

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好物の“麻婆豆腐”もオーダー。枝豆の冷菜よりさらに安い15元也。
日本円にして250円程度。
中国では、結構な高級店でも、麻婆豆腐は安い。
主となる材料がお豆腐なので、安くて当然なのだろうけれど、
日本では、中華料理店のメインを選べるランチセットなどで、エビチリや酢豚と大抵同等の扱いになっており、
麻婆豆腐が格別安いお料理という印象はない。

オーダーし終え、ちょっとしてから、辛さの調整を頼まなかったことに気付く。
本場四川仕込みの麻婆豆腐は、日本人の想像を絶する激辛なのではないだろうか…?!
あぁーーっ、辛さを少し抑えてと頼めば良かったぁー…!と後悔。
気付いたのが遅かったので、もう諦めることにした。

そして、出来上がった麻婆豆腐を、恐る恐る口にしたところ、…ンん、耐えられる辛さ。
これ位の辛さの麻婆豆腐なら、今どき日本でも出しているお店はある。
辛さだけではなく、旨味も感じられるし、山椒の風味がイイ感じ。
お豆腐は、固過ぎず、柔らか過ぎず。

★ 蜀樓水餃

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最後はこちら、“蜀楼水饺(蜀樓水餃)”。ひと椀、6元也。
このお店では“蜀樓水餃”と呼んでいるけれど、要は“钟水饺(鐘水餃)”のこと。

鐘水餃は、四川省成都発祥の定番小吃。
清朝・光緒年間に、鐘少白という人が考案したから“鐘水餃”。“鐘さんの水餃子”ってこと。
小さなお椀に入った肉の餡の水餃子で、辣油のようなタレをかけた状態で提供される。

皮は、一般的な水餃子より薄目で、ツルンとしたノド越し。
麻婆豆腐と同じで、蜀樓水餃のタレも、ここのは辛過ぎず、ちゃんと旨味が感じられる。
小ぶりなお椀に4~5個の水餃子が入っているだけだし、適度な辛さが良い刺激になるので、
食欲旺盛な男子高校生だったら、わんこ蕎麦感覚で何杯も食べられてしまうのでは。





肉や魚介をドカーンとメインにしたお料理を頼んでいないということもあるけれど、
それにしても日本では考えられない安さ。
本場の味をレストランのテーブルについて堪能しても、お値段ファストフード店並み。
肉や魚介の豪華料理を頼んだところで、質の割りに安く、お得感のある良心的なお店だと思う。
混雑する時間帯に、これっぽっちしか頼まないで居座っては気が引けるし、
他に行きたい所があったので、サッサと退散いたしました。



◆◇◆ 川办餐厅 Chuan Ban ◆◇◆
北京市 东城区 建国门内大街 贡院西街头条 5号

LUNCH 10:30~14:00 / DINNER 16:30~21:00

地下鉄1号線/2号線 建国门(建國門)駅から徒歩15分程度

地下鉄駅から大通り・建国门内大街(建國門内大街)を西に進み、
場・长安大戏院(長安大戲院)手前の道・贡院西街(貢院西街)に右折し、北上。
やがて見えて来る贡院西街头条(貢院西街頭条)という細い道を右折すると、
間も無くして左手に四川省人民政府驻北京办事处(四川省人民政府駐北京辦事處)の建物があるので、
そこのゲートをくぐると、お目当てのレストラン。

『大唐玄奘』霍建起監督Q&A

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チケットWEB販売のシステムトラブルで大騒動を起こした第29回東京国際映画祭が、
2016年10月25日(火曜)、いよいよ開幕。
開幕のその日、私の元にも、重複チケットのキャンセル手続きの知らせが、ようーーーやく届き、
晴れてキャンセルが受理されました!あぁ~、長かった…!
(もっとも、まだ返金されていないので、安心はできないが…。)




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気持ちがちょっと軽くなった私は、開催2日目にあたる本日26日(水曜)から映画祭に参戦。
本当はこの日、東京・中国映画週間で、セレモニー付きの『ロクさん』を鑑賞したかったのだけれど、
出演者の一人、吳亦凡(クリス/ウー・イーファン)が登壇するとあり、チケットが珍しくあっと言う間に完売。
闘いに敗れた私は、スケジュール変更を余儀なくされ、
同日、東京国際映画祭で『大唐玄奘~Monk Xuanzang』を観ることにした。

『大唐玄奘』は、『ロクさん』にフラレたがゆえの妥協案で、積極的に観たかった作品ではないが、
東京国際映画祭開催中、一度しか上映がないし、
上映終了後には、来日した霍建起(フォ・ジェンチイ)監督のQ&Aもあるから、貴重な機会ではある。

本当は、主演男優の黃曉明(ホァン・シャオミン)にも来てもらいたかった。
こちらにも記した通り、実は黃曉明、約3週間前に妻の楊穎(アンジェラベイビー)と東京へ遊びに来ている。
プライベートだけではなく、お仕事でも来てくれると嬉しいのだが、
中華圏の明星が数年前からパタッと東京国際映画祭に姿を現さなくなったのには、
諸々事情があると想像しているので、致し方ない。

まぁ黃曉明にはお目に掛かれなかったけれど、本日、六本木に到着早々西島秀俊とスレ違った。
目覚めの“モーニング秀俊”(笑)。幸先良いです。



映画『大唐玄奘』に関しての詳細は、また後日として、
ここには上映終了後に行われた霍建起監督のQ&Aから、印象に残った部分のみを書き残しておく。

★ 『大唐玄奘』 霍建起監督Q&A

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日本では、『山の郵便配達』(1999年)で知られるようになった霍建起監督は、
東京国際映画祭の参加は、今回で4度目なんですって。
そんなに来ていました?
『故郷の香り』(2003年)で来た事は、香川照之が主演男優賞を受賞したので覚えている。
その作品で共演した女優さん・李佳(リー・ジア)は、以前、こちらにもチラリと記したように、
琅琊閣の少閣主・藺晨に扮している靳東(ジン・ドン)の奥方です(…余談になりますが)。

私がナマ霍建起監督を見るのがどれくらいぶりかは思い出せないが、まったくお変わり無い。
そこはかとなく漂う“和泉雅子感”も以前のまま。
台湾の二枚目俳優・霍建華(ウォレス・フォ)と、“起”と“華”、たったの一文字違いなのだけれど、
随分雰囲気違います。



質問
中国では儒教の方が一般的な宗教だと思いますが、なぜ仏教を取り上げたのですか?

霍建起監督
儒教も確かに根付いていますが、仏教は他の宗教を遥かに超えて支持され、
人々の生活にも入り込んでいます。
北京には、雍和宮という春節に賑わう有名な仏教寺院もあり、
そこには、特別仏教徒というわけではない人々もお参りに行きます。



質問
主人公の俳優は、どのように選んだのですか?

霍建起監督
主演の黃曉明(ホァン・シャオミン)は、中国でとても有名な俳優です。
彼を選んだ理由は二つあります。まず、黃曉明の母親はとても敬虔な仏教徒なのです。
彼が6歳の時に、法衣を着て、西安で撮った写真もあります。
次に、史書に、実際の玄奘がとても立派な体形だったとあります。そういう点でも、黃曉明は合っています。



質問
過酷な撮影だったのでは?

霍建起監督
新疆での撮影は過酷になると最初から分かっていましたが、黃曉明ならやってくれると確信していました。
まず、俳優にはヘアスタイルを気にする人もいますが、彼は剃ってくれました。
撮影が始まった6月はすでに暑いのですが、彼の衣装は3層にもなっています。
ただ、俳優をこのような過酷な環境に置くことで、当時の玄奘に迫れるとも思っていました。



質問
いつ頃、玄奘を取り上げて映画を撮ろうと考えたのですか?

霍建起監督
玄奘は<西遊記>の小説で有名ですが、
玄奘の本当の姿や、彼の功績はこれまで紹介されていなかったので、ずっと撮りたいと思っていました。
玄奘の作品を手掛けるにあたっては、
<大唐西域記>と<大唐大慈恩寺三藏法師傳>という二冊の史書を参考にしました。



質問
この映画は、日本でも劇場公開されますか?

霍建起監督
中影集團が交渉中です。恐らく、そんなに遠くない将来、観ていただけることになると思います。



質問
玄奘の行いは、結果的に中国にどのような影響をもたらしたのですか?

霍建起監督
当時、中国にはいい加減な仏教経典が流布しており、玄奘はそれを不満に感じていました。
彼が本物を持ち帰り、漢語に翻訳したことで、本当の仏教が伝わっていきました。
日本にも遣唐使により伝えられたり、唐招提寺などという寺院があるように、
中国と限らず、アジアでの影響は大きいです。



霍建起監督が、北京の有名な仏教寺院として名前を挙げた雍和宮に関しては、こちらを参考に。
正確には、北京最大のチベット仏教寺院で、
寺院になる前は、清朝第5代皇帝・雍正帝が皇帝になる前に暮らしていた場所。
清朝第6代皇帝・乾隆帝が生まれたのも、ここ。
霍建起監督監督がお話していたように、ぜんぜん仏教徒っぽくない若者の姿もよく見掛ける。
私も、雍和宮は好き。

今回聞いた中で、一番の「へぇー」は、黃曉明の体形が玄奘に合っているというお話かしら。
玄奘って、あんなにマッチョだったの…?!水みたいに薄いお粥を食べているのに…。
それくらい体格が良いから、過酷な旅にも耐えられたのかもね。

あと、『大唐玄奘』は、日本公開に向け、どうも話が進んでいるようですね。
興味のある方は、期待して良さそう。

★ サイン会

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約30分のQ&Aが終わると、会場のTOHOシネマズ六本木ヒルズ入り口附近で、
即席のサイン会を実施。私も、サインを頂きました~。
霍建起監督は、気難しい芸術家という感じではなく、見た目通り、おっとり穏やかな優しい人であった。




映画『大唐玄奘~Monk Xuanzang』については、また後日。

『メコン大作戦』林超賢監督Q&A

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第29回東京国際映画祭、ワールド・フォーカス部門に出品された
『メコン大作戦~湄公河行動 Operation Mekong』を鑑賞。

大陸の張涵予(チャン・ハンユー)×台湾の彭于晏(エディ・ポン)主演、
香港の林超賢(ダンテ・ラム)監督最新作。

上映は、10月26日(水曜)、27日(木曜)、28日(金曜)と3日連続。
3日間とも、来日した林超賢監督が、上映終了後にQ&Aを実施。

林超賢監督は、自転車レースを描いた作品『破風~To The Fore』で、昨年もこの映画祭に参加。
私は、自転車に興味が無いので、無理してまで予定にネジ込むこともないとパスしたが、
その時の作品は『疾風スプリンター』と邦題を変え、2017年1月7日に日本公開が予定されている。

今年はスケジュールの都合が合ったので、3回ある上映の内、一回目のチケットを私も入手。
会場のEXシアター六本木は、初めて行く場所。
椅子があまり良くなかったけれど、スクリーンが大きいので、
ど派手なアクション満載の『メコン大作戦』を観るには、悪くない会場だったと言えるかも。


林超賢監督が今年もって来たその『メコン大作戦』は、
2011年、メコン河で中国船が拿捕され、乗組員13人が殺害された事件を描いた物語。
主演男優の一人・張涵予は、
吳宇森(ジョン・ウー)監督が高倉健主演映画『君よ憤怒の河を渉れ』(1976年)をリメイクする
『追捕~MANHUNT』の撮影で、今現在、日本に潜伏している可能性大いにあり。
(「張涵予もその場に居た」と明言はされていないけれど、先日、鳥取で大きな地震があった際、
岡山で『追捕』の撮影が行われていたのは確かな情報。)
もし、どうせ日本に居るのであれば、張涵予にも来ていただきたかったわぁ~。

★ 『メコン大作戦~湄公河行動 Operation Mekong』 林超賢監督Q&A

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ライティングのせいか、カメラに収まったステージ上の林超賢監督は、なんだか人形っぽい。

映画の詳細は後日として、ここには、上映終了後に行われた林超賢監督による約30分のQ&Aから、
私個人の記憶に残った部分をピックアップして、書き残しておく。



質問
実際に起きた事件をベースに脚色していますが、関係者への取材は行いましたか?

林超賢監督
この映画はノンフィクションです。私は、脚本を書くにあたり、雲南省で事件を担当した人に取材をしたり、
“黄金の三角地帯”へも行きました。
そこでは、通常入れないはずの製毒工場(ドラッグ製造工場)にも、
警察に裏から手をまわしてもらい、入ることができました。



質問
監督は、中国内地では、『閃閃的紅星之紅星小勇士~Sparkling Red Star』のような
共産党アニメも作っていますが、他とどういうバランスで作品を撮っているのですか?

林超賢監督
私は香港の監督ですが、どこを中心にするとは考えておらず、あるのは“映画を撮る”ということだけです。
まずテーマがあり、そこにどういうドラマがあるのかを考えて撮る、ということです。
中国には、広電総局による厳しいルールがあり、特に中国の警察に関する物には、大変厳格です。
ただ、そのような検閲も、年々ユルくなりつつあります。



質問
2011年に起きたメコン川中国船襲撃事件は、当初、現地武装勢力の仕業と言われていましたが、
その後、タイの軍事勢力も絡んでいたと報道されました。
映画も、それら両方が事件に関わっているという描き方と感じましたが、
今、中国では、そのように理解されているのですか?

林超賢監督
この事件には複雑な背景があります。
確実に分かっている事実は、13人の中国人が殺されたという事だけ。
確かにタイの軍人が関わっていたとも言われていますが、確固たる証拠はありません。
私は、不確かな事は、映画では描きたくないので、そうしました。



質問
銃撃戦が行われるショッピングモールは、実際に存在するモールですか?
撮影にはどれくらいかかりましたか?

林超賢監督
あのモールは、実際に存在するモールです。
脚本を書いた時点で、撮影が大変になることは分かっていました。
セットを作るのは予算上無理だったのですが、幸運にも、丁度いいモールが見付かりました。
あのモールでは、真ん中にあるレストランだけが、セットです。そのセットも、一日では組めません。
その間、モール内の周囲のお店に騒音などの迷惑をかけてしまうため、賠償金を払いました。
また、撮影時には、モール内のお店に車が突っ込んでしまったり、床にダメージを与えてしまったので、
結構な額の賠償金を払うことになりました。
幸い、スタッフが頑張ってくれたので、あのシーンの撮影にかかったのは、7日間でした。



質問
映像と音楽は切り離せないものだと思いますが、監督は何を基準に音楽を選んでいるのですか?

林超賢監督
私は脚本を書く時、「今回は、どんなテンポでいこうか」と考え、
イメージにあった音楽を流しながら、書いています。
例えば、『激戦 ハート・オブ・ファイト』(2013年)の時は、<サウンド・オブ・サイレンス>でした。
その音楽を、撮影の現場でも流すのです。
そうすることで、現場のスタッフたちも「今回はこういうテンポなのか」と分かり、皆で意識を共有できます。





この日の林超賢監督は、
まるで『メコン大作戦』の中から抜け出てきたかのようなカーキ色の軍人ルック(?)だったのが、まず印象的。
Q&Aの内容は、満足のレベル。
こういう映画祭では、「えっ、わざわざ尋ねるのって、そこ…?!」と首をかしげたくなる素っ頓狂な質問や、
質問にもなっていない的外れな事を取り留めなく語る人が、最低でも必ず一人はいるものだが
(それもその人にとっては重要な部分で、質問は自由なのだから、本当は別に良いのだけれどね)、
林超賢監督には熱心な固定ファンも多いせいか、皆さまテキパキ的確に質問をされる。
言語は広東語で始まったが、大陸からの質問者お二方に対しては北京語で返答。
最近こういうパターンが多いから、広東語を専門にやってきた通訳さんは、
北京語にも対応できないといけなくなり、大変ですね。

今回ここに挙げたのは、私自身の記憶に残ったお話だけれど、その中でも取り分け印象的だったのが、
「警察に裏から手をまわしてもらい、通常入れない製毒工場に入った」という部分。
 うわぁ~、香港映画を地で行っているワ、…と軽く興奮。
新作を手掛ける度に、イメージに合った曲を決め、脚本を書く時や現場でそれを流すというお話も、良かった。
『激戦』のみならず、今までの監督作全てについて、
一作一作ずつ、この作品の時イメージした曲は?と知りたくなってしまう。
あと、共産党アニメ『閃閃的紅星』を引き合いに出し、質問したのは、中国人留学生。
このアニメのタイトルは、日本の香港電影ファンの口からは、なかなか出ないだろうから、これも興味深かった。
広電総局の縛りがユルくなってきているというのは、どうなのでしょうねぇ…?
確かに、全体的には甘くなってきているのかも知れないけれど、
今でも、日本人の私には“どうでもいい事”にしか思えない部分に、いきなり噛み付いている気が…。
あと、特に独立電影への縛りは、益々厳しくなっているように見受ける。

★ サイン会

会場がTOHOシネマズ六本木ヒルズの時は、
イベント終了後、観客が自然に映画館入り口附近に集まり、即席サイン会がなんとなく始まるけれど、
このEXシアターには、“なんとなく人が集まれそうな場所”が無い。
そうしたら、Q&Aの最後に、司会者が「この後、2階で、監督がサイン会をやって下さいます」とアナウンス。
私も行ってみました。

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2階は、ちょっとした屋上庭園がある階。
その隅にある、恐らく普段は喫茶スペースとして使われているであろう部屋が、
サイン会会場として準備されていた。
屋内だし、テーブルが有って、ペンも用意されているので、そういう点ではTOHOシネマズより良い。
スタッフの女の子が一人待機していて、監督とツーショットを撮りたい人のために、シャッターを押してくれる。
林超賢監督は、一人一人にとても丁寧に応対。
その割には、案外早く自分の番が回って来た。

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今日のお召し物、映画の中の人みたいですね、と言ったら、「そう、スペシャル」と林超賢監督。
そして、お召し物以上に、私の目を釘付けにしたのが、“湯上りたまご肌”。
とても50を過ぎた男性とは思えないツヤッツヤの玉の肌。
“年がら年中スチームサウナ”みたいな香港の蒸し暑さが、
体内の老廃物を汗と一緒に排出して、お肌に良いのかしら。
お召し物やお肌ばかりにすっかり気を取られ、観た映画について何一つコメントしなかった事を、
私、悔やんでおります…。




この日観た映画『メコン大作戦~湄公河行動』の感想は、また後日。

素朴な和菓子3種(+『琅琊榜』続編キャスト新情報)

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ケーブルテレビの番組表11月号に目を通していたところ、現在BSジャパンで放送中の大陸ドラマ、
『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』が、11月15日(火曜)で最終回を迎えると知る。
終わりの無いドラマなど無いから、そろそろだとは思っていたけれど、
改めて最終回の日を知ると、「あぁ~本当に終わっちゃうのねぇ…」と淋しい。


皆さま、本日10月28日(金曜)放送の第42話をもう御覧になったでしょうか。
譽王は自分が実は“滑族とのハーフ”だったというショッキングな出生の秘密を知り、
宗主・梅長蘇はついに靜貴妃と御対面…!

「ママ、靖クンがいつもお世話になっているお友達に会いたいわ」と靖王を通し、宿営地のMyテントに
梅長蘇をお呼び出しした靜貴妃。
「先生は冷え性だから、緑茶じゃくて紫薑茶じゃなきゃダメ」とお心遣いでわざわざ持って来させた紫薑茶を…

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「あらイヤだ、手が滑っちゃった!」と言わんばかりに故意にこぼし、
梅長蘇のお召し物の袖をおもむろにまくり上げ、じっくり痣チェックを始める靜貴妃。
明らかに不審な行動に出た友人のママ・靜貴妃を前に、
身動きとれず、なす術もない梅長蘇の「居た堪れませんわ…」って感じの表情が印象的。

今日のところはここまでで済んだけれど、
来週はいよいよスーパードクター靜貴妃による神懸かり的な脈診が…!
そして、ハーフ殿下・譽王の最後の悪足掻きも始まります。
あ~、楽しみ。…でも、一話進むと、また一話最終回に近付いてしまうんですよね。シンミリ…。



ところで、前から続編の制作が明らかにされていた『琅琊榜』だが、
本日、微博を覗いたら、その続編『琅琊榜之風起長林』の主要キャストが公開されていた。
即席で作ったのか、まだキャストの皆さん、服も髪型も現代人。…顔をアップにして、分かりにくくはしているが。
(公開されたそのNewヴィジュアルに記された毛筆の名前が達筆すぎて読みづらいので、
私が見易い活字を書き添えてみました。)

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孔笙(コン・シェン)、李雪(リー・シュエ)両監督に、プロデューサー侯鴻亮(ホウ・ホンリャン)という
大ヒットドラマ『琅琊榜』を生み出した“鐵三角”はそのまま。
原作小説の作家・海宴(ハイイェン)が脚本を手掛けるのも同じ。
物語は、『琅琊榜』のずっと後年を描くため、キャストは総入れ替え。
主人公・蕭平旌を演じるのが劉昊然(リウ・ハオラン)であることはすでに発表済みであったが、
他は新情報。以下、改めてキャストをチェック。

蕭平章:黃曉明(ホァン・シャオミン)

いきなり大物が来ました、黃曉明。でも、特別出演という扱いなので、どれくらい出るのか不明。
扮する蕭平章は長林王府の嫡子。


蒙淺雪:佟麗婭(トン・リーヤー)

錫伯(シベ)族の女優・佟麗婭も特別出演。
扮する蒙淺雪は、蕭平章の妃で、あの蒙摯の姪っ子。


蕭平旌:劉昊然(リウ・ハオラン)

主人公・蕭平旌は、梅長蘇に助けられた祁王の私生児・庭生の次男坊。
主演に大抜擢の劉昊然は、1997年生まれのまだ19歳!
佟麗婭の夫で俳優の陳思誠(チェン・スーチェン)が初監督した映画
『北京愛情故事~beijing Love Story』でデビューし、
その陳思誠の監督作第2弾『僕はチャイナタウンの名探偵~唐人街探案』にも主演し、大ヒット。
これ、私も、中国映画週間で、最近観たばかり。
陳凱歌(チェン・カイコー)監督最新日中合作映画『空海 KU-KAI~妖貓傳』にも出るようだし、
将来をかなり有望視され、後ろ盾もある若手なのでしょう。


荀安如:喬欣(チャオ・シン)

“キャスト総入れ替え”と前述したが、この喬欣は、一作目の『琅琊榜』にも出ている。
突然現れ、蕭景睿を「お兄様!」と呼び、お迎えに来た蕭景睿の異母妹で、南楚晟王の娘・宇文念の役で。
でも、今回演じるのは宇文念ではなく、荀安如という荀皇后の姪っ子役。


濮陽纓:郭京飛(グオ・ジンフェイ)

濮陽纓は、敵討ちで大梁に潜伏する凄腕で、荀皇后と組んで何やらしでかすのか?
悪役?よく分からない。不確かな情報。
演じる郭京飛は、30代後半の中堅俳優。映画でも、脇で出ているのをたまに見る。


荀飛盞:張博(チャン・ボー)

荀飛盞は、禁軍の統領らしい。蒙摯のように、正義感溢れる熱血漢?
演じるのは、田中裕子が西太后に扮したドラマ『蒼穹の昴~蒼穹之昴』で光緒帝をやった張博。
あの時の張博は、なんか弱々しい印象だったけれど、その後男臭くなったから、禁軍統領は合っているかも。


荀皇后:梅婷(メイ・ティン)
荀皇后は、大梁後宮で権力を掌握する皇后。
梅婷は、あの章子怡(チャン・ツィイー)や劉(リウ・イエ)と、中央戲劇學院で同級生だったアラフォー女優。


蕭庭生:孫淳(スン・チュン)

梅長蘇に助けられた祁王の私生児・庭生が、こんなにオッサンになりました…!
飛流にも子分扱いされていた、あの庭生ですヨ。光陰矢の如し。
って事は、この続編『琅琊榜之風起長林』は、『琅琊榜』の何年後ということなの?40~50年後ってとこ?
ちなみに、演じる孫淳は還暦。私は、ごくごく最近も、林超賢(ダンテ・ラム)監督作品
『メコン大作戦~湄公河行動』で警察の局長を演じる孫淳を見たばかり。


蕭元啟:吳昊宸(ウー・ハオチェン)

蕭元啟は皇族だが、謎めいた役みたい。靖王直系の子孫という話も…。
吳昊宸は1994年生まれの新星。ドラマ『偽裝者~The Disguiser』にまずチラッ、
さらに『歡樂頌~Ode to Joy』、『歡樂頌 第2季』、そしてこの『琅琊榜之風起長林』と、
侯鴻亮Pのドラマに立て続けに起用されている。
今や人気俳優の黃軒(ホアン・シュエン/ホアン・シュアン)に顔が似ているとも言われております。
黃軒については、こちらの“大陸男前名鑑:黃軒”を御参考に。


大ヒット作の続編やリメイクで成功する例は、かなり稀だと思うが、
どうなのでしょう、この『琅琊榜之風起長林』。
観るのが怖いけれど、怖いもの見たさも。
まったくの別物だと割り切れば、スタッフが優秀なので、案外面白いかも…?
例えば、『宮廷の諍い女~後宮甄嬛傳』の続編、姉妹編と言われている
周迅(ジョウ・シュン)&霍建華(ウォレス・フォ)主演ドラマ『如懿傳~Ruyi's Royal Love in the Palace』も、
『諍い女』とはまったくの別物として、とても興味あるし(元々清朝乾隆年間に興味があるのも大きいが)。
続編に、胡歌(フー・ゴー)がもう出ないのは、正解だと思う。
なんでも“後ろ髪を引かれる”、“腹八分目”くらいが良いのよ。
そもそも胡歌自身が、俳優として、一つの成功にしがみ付きたくないだろうし。

なお、この続編『琅琊榜之風起長林』は、2016年12月中旬にクランクインし、
撮影期間は約120日を予定しているという。

皆さまは、この『琅琊榜之風起長林』、御覧になりたいですか、それとも御覧になりたくないですか…?




ついでに、近々放送の気になるテレビ番組を一本。

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2016年10月30日(日曜)、NHKで放送の『巨龍中国 1億大移動 流転する農民工』
かつて安価な労働力として“世界の工場”を支えてきたのは、農村から大都市に流入した3億人の農民工。
しかし、経済成長に陰りが見えてきた昨今、農村地帯が広がる内陸部に人工を吸収させるという
壮大な国家プロジェクトが始動。
内陸部の中小都市への人口移動により、大陸全体の均衡ある発展と、新たな消費経済の構築を目指す
“新型都市化計画”という習近平政権が打ち出した、いわば“大陸改造計画”。
その一環として、大都市では、一億人の農民工が暮らす移住区が、次々と取り壊されている。
大移動を迫られる農民工を通し、変貌する中国の行方に迫るのが、この番組。
一億人といったら、ほぼ日本の総人口だから、まさに“大移動”。
中国というのは、どんな事でも、どんな場合でも、
日本の尺度では測れないこと、日本人の想像を遥かに超えてしまっていることが多い。
一筋縄では行かない国だなぁとつくづく思う。




お菓子は、『琅琊榜』の優雅な世界観からは程遠い地味ぃーな和菓子を3ツ。

★ 茂助だんご:茂助だんご

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大きさは、一個が直径2センチほど。
こし餡で包んだ上新粉の餅3個を串に刺したお団子。




一つ目は、創業明治31年(1898年)、築地・茂助だんご(公式サイト)“茂助だんご”
そのまま店名にまでなっているお馴染みのこの商品は、初代・福田茂助の考案。
こし餡、つぶ餡、醤油燒きの3種類が売れれているけれど、私好みのこし餡のみを購入。

シンプルなお菓子は材料が大切。
国産のコシヒカリを挽いて作った自家製上新粉を使用したお団子は、
適度に弾力があり、お米の旨味が感じられる。
餡子は、北海道・十勝の契約農家の小豆を使用。
飾り気が無いという印象の茂助だんごだが、
薄っすら紫がかったこし餡は滑らかで、“素朴”というより、むしろ上品。

団子三兄弟♪3ツのお団子が串刺しになった“正しい串団子”。
串が長いと、ノドに突き刺さりそうで、どうやって食べたら良いのか迷ってしまうけれど、
これは小ぶりだから食べ易いし、ちょっと甘い物が欲しい時に丁度よい。

★ 満月:阿闍梨餅

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大きさは、直径約6センチ、厚さ約2センチ。
丹波大納言小豆のつぶ餡を生地で包んで焼いた半生菓子。




お江戸の茂助だんごよりさらに古い江戸末期、安政3年(1856年)創業の京都の老舗、
満月(公式サイト)“阿闍梨餅”
あまりにも有名なので不必要とは思うが、一応読み方を記しておく。発音は“あじゃり・もち”。

阿闍梨が、比叡山での厳しい千日回峰修行の合い間に
餅を食べて飢えをしのいだことにちなみ考案されたお菓子で、阿闍梨がかぶる網代笠を模している。
私の画像だと、てっぺんがぺシャッと潰れてしまっていて、笠に見えないのが、残念。

薄いのにモッチリした食感が特徴的な生地は、餅粉に卵を混ぜた物。
中には餡子がたっぷり。適度に甘いのが嬉しい。

この春、仙台のお店・井ヶ田が販売している阿闍梨餅にソックリで、
中にずんだ餡を包んだ“千日餅”とやらを食べたのだが(→参照)、餡にどうも納得ができなかった。
今回、久し振りに阿闍梨餅を食べたら、やはり御本家のこちらの方が、美味しく感じた。
(しかも、御本家・阿闍梨餅の方が、井ヶ田の千日餅より安い。)

★ ちもと・湯もち

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大きさは、だいたい5センチ×4センチ。
白玉を練り上げた餅に、小さくカットした羊羹を混ぜ、柚子で香り付けした餅菓子。




最後は、箱根名物、ちもと(公式サイト)“湯もち”

箱根を流れる早川の岩石を細かく刻んだ羊羹で、蜜柑の里を柚子の香で表現。
メインになっている部分は、国産米を使用した白玉粉を練り上げたお餅。
このお餅が、ふんわり柔らか!
しかも瑞々しくて、お粉の付いていない内側部分のお餅は、ツルンとした滑らかな舌触り。
羊羹の適度な甘さと、柚子の爽やかな香も、上手く融合。

お餅の概念を超えた餅菓子は、まるで“和風ギモーブ”。
この手の餅菓子では、富山不破福寿堂の“鹿の子餅”と同じくらい好き。

『ゴッドスピード』鍾孟宏監督+納豆Q&A

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六本木ヒルズがハロウィンの仮装をしたお子ちゃまたちで賑わう本日、
また第29回東京国際映画祭へ行って参りました。
今日は“当たり日”で、観た2本どちらも気に入った。


まずは、ワールド・フォーカス部門で上映された台湾映画、『ゴッドスピード~一路順風 Godspeed』を。
大好きな鍾孟宏(チョン・モンホン)監督の新作で、
来月発表される第53回金馬獎では、8部門もでノミネートされている評判の話題作。
今年の東京国際映画祭で、私が最も観たかった作品の一本がこれであった。

東京国際映画祭での上映は、10月27日(木曜)と29日(土曜)の2回。
私がチケットを入手したのは、2度目の方。
当初発表されていた予定では、
1度目の上映には鍾孟宏監督と共に出演している納豆(ナードウ)もQ&Aに参加するが、
2度目の上映は鍾孟宏監督のみとなっていた。
ところが、いつの間にか、私が行く2度目の方にも、納豆が来てくれることに変わっていた。
予定されていた登壇者がキャンセルされてしまうのは悲しいけれど、増えるのは嬉しい。
欲を言えば、主演の許冠文(マイケル・ホイ)も見たかった~…!
『Mr.BOO!』シリーズの、あの香港喜劇王・許冠文ですヨ。

★ 『ゴッドスピード~一路順風 Godspeed』 鍾孟宏監督+納豆Q&A

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鍾孟宏監督のお話を直に聞くのは初めてではないが、ナマ納豆はお初。
最初の御挨拶では、中国語の発音で“ナードウ”ではなく、
日本語読みで「“なっとう”です」と自己紹介されておられた。
来日は何度もしているけれど、日本でこういう映画祭に参加するのは初めてとのこと。

以下、『ゴッドスピード~一路順風 Godspeed』の鍾孟宏監督と出演者・納豆によるQ&Aから、
私個人の記憶に残った部分を抜粋して書き残しておく。



質問
作品に納豆を起用するのは初めてではありませんよね?

鍾孟宏監督
2007年に最初の作品を撮る時にも出てもらいました。
納豆は、台湾では有名なコメディアンであり司会者です。
私にとっては、そういう面だけではなく、聡明な人という印象です。



質問
納豆は好きですか?

納豆
ぜんぜんダメ(日本語)。体には良い食品だとは知っていますが、頑張っても食べられませんでした。



質問
英語のタイトル『Godspeed』は古い言葉らしいですね。

鍾孟宏監督
当初、フランス語の『Bon Voyage(ボン・ヴォヤージュ)』を使おうと思っていたのですが、
友人から、それでは平凡だから『Godspeed』にしろと助言されました。
中文タイトル『一路順風』と意味は同じですが、今ではほとんど使われない古典英語です。



質問
なぜ香港の許冠文(マイケル・ホイ)を起用したのですか?

鍾孟宏監督
許冠文は、子供の頃から見ていて、好きでした。
脚本を書いている時点では“香港からやって来てタクシー運転手をしている人”という設定だけで、
具体的に俳優は決まっていませんでした。
設定にも合うし、結局許冠文にやってもらうことになったら、素晴らしい人物像を作り上げてくれました。

納豆
許冠文はとても有名で、ずっと見ていたので、
まるで伝説と一緒に映画に出演させてもらうようで、嬉しかったです。
現場では、可愛いアニキという感じで、凄さがよく分からなかったのですが、
出来た映画を初めてスクリーンで観たら、「さすがは許冠文」と思いました。



質問
<昴>は中国語でカヴァーされている物もあるのに、なぜ日本語ヴァージョンを使ったのですか?

鍾孟宏監督
去年、中国へ旅行にいった時、麗君(テレサ・テン)が歌う<昴>をたまたま聴きました。
その後、それが日本の歌だと知り、聴いたら、麗君が歌っているのより、良かった。
さらに歌詞を見たら、映画の内容にもとても合っていました。
人生でつまずいた時、立ち直る勇気を与えてくれるような歌詞です。



質問
全体的に照明が暗めに感じましたが、照明にはどのようなコダワリが?

鍾孟宏監督
自然光で撮るのが好きなので、照明の作り込みはあまりしません。
例えば、許冠文とタクシーが一緒にタクシーに乗っている部分も、“肉眼でどう見えるか”を気にしています。
ボーリング場のシーンも照明はごく簡単です。
元々自然に存在する光と影を巧く捉えるような照明にしています。



質問
お葬式のシーンには監督が細かい指示をだしたのですか?それとも俳優二人のアドリブですか?

鍾孟宏監督
私は、美味しい食べ物を見付けるのが好きなんです。
プロデューサーとバイクで走っていた時、行列ができているのが目に入り、
何か美味しい食べ物屋さんなのかと思い、近付いたら、プロデューサーが「違う、葬式をやっているんだ」と。
あのシーンは、私自身の経験なのです。
もっとも私は中へは入りませんでしたが、「もし中へ入っていたら、どうなるか」を考え、あれを撮りました。





鍾孟宏監督一人の時より、納豆みたいな人が一緒の方が、場が和みますね~。
鍾孟宏監督がその納豆を初めて起用した作品は、
張震(チャン・チェン)&桂綸鎂(グイ・ルンメイ)主演の『停車~Parking』のことであろう。
よくよく思い返してみたら、その長編監督第一作から今に至るまで、
鍾孟宏監督作品って、もしかして、たったの一本も日本で一般劇場公開されていない…?
この新作『ゴッドスピード』はどうなるでしょう?私はかなり気に入ったけれど。
今年、金馬獎で賞の行方を注目されている話題の一本だし、
谷村新司の<昴>も流れるから、日本で公開してくれないでしょうか。

なお、その第53回金馬獎では、本作品でタクシー運転手を演じた香港の許冠文が、
最佳男主角(主演男優賞)にノミネートされているだけではなく、
今回日本に来てくれた納豆も、最佳男配角(最優秀助演男優賞)にノミネートされている。
彼が賞を競うことになるのは、台湾の新鋭・林柏宏(リン・ボーホン)の他、
曾志偉(エリック・ツァン)、林雪(ラム・シュ)、秦沛(チョン・プイ)という香港ベテラン勢。
どうなるでしょうね…?!

★ サイン会

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約30分のQ&Aも終わると、TOHOシネマズ六本木入り口附近で、即席サイン会を実施。
至近距離で見た納豆はプチサイズでキュート。身長160は絶対に無いと思う。
なんかフィギュアとかゆるキャラみたい。
鍾孟宏監督のサインは“平安”の文字と共に。
右側の、お顔付きが納豆のサイン。

そうそう、ちゃんと納豆のお写真もございます。

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シャッターを押すタイミングがズレてしまい、“中村アン風、髪の毛バサッ”の瞬間を撮ってしまったら、
納豆が納得しなかったので、撮り直した。
私は、中村アン化した納豆、好きだけれどね。




台湾映画『ゴッドスピード~一路順風 Godspeed』については、また後日。

『ミスター・ノー・プロブレム』梅峰監督+王梓桐他Q&A

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第29回東京国際映画祭、コンペティション部門に選出され、ワールド・プレミアとして上映された中国映画
『ミスター・ノー・プロブレム~不成問題的問題 Mr. No Problem』を鑑賞。

脚本家として有名で、婁(ロウ・イエ)監督作品『スプリング・フィーバー』(2009年)では、
第62回カンヌ国際映画祭・脚本賞を受賞している梅峰(メイ・フォン)が、初監督した作品。

ワールド・プレミアなので、作品に関して、それ以上の詳細は分からないし、世間で評論もされていないが、
それでも私は漠然と「どうしても観たい!」と思っていた。
その思いが強過ぎたのか(?)、この作品は、チケットWEB販売システムにトラブルが生じた際、
4席も重複して取れてしまった…(現在は、キャンセル処理が済み、返金を待つのみ)。

上映は、10月29日(土曜)と11月2日(水曜)の2回。
私が席を押さえたのは、六本木EXシアターで上映される土曜日の方。

コンペティション部門への出品なので、
すでに上映スケジュール発表時、どちらにも必ず梅峰監督のQ&Aは有ると想像していた。
その想像通り、私が行った29日のQ&Aには梅峰監督が参加した他、
映画の中で佟逸芳を演じた女優・王梓桐(ワン・ズートン)、
プロデューサーで北京電影學院理事会理事長の侯光明(ホウ・グアンミン)、
プロデューサーで北京電影學院管理系主任・吳曼芳(ウー・マンファン)、
そして、プロデューサーで好樣傳媒(Hiyoung Media)總裁・丁一(ディン・イー)の計5名が登壇。

主人公・丁務源を演じている范偉は、11月2日の方にのみ出席予定。
主演男優のお話はもちろん聞きたいけれど、范偉は2007年『胡同(フートン)愛歌』の公開で来日した際、
ポレポレ東中野で見ているので、諦めがついた。

諦めきれなかったのが、こちら(↓)

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作中、秦妙齋に扮している張超(チャン・チャオ)。
当初、29日に登壇予定だったのに、ある日、東京国際映画祭のサイトを覗いたら、10月22日付けで
「チャン・チャオさん(俳優)の登壇はキャンセルになりました。何卒、ご了承下さい」という悲報。ガーン…!!
最初から来ないものと思っていれば、ショックも無いけれど、
来ると信じ、ウキウキしていたところで、キャンセルを知らされると、
山の頂上から一気に地面に叩き落されたかのような衝撃が…。

オーディション番組『加油好男兒(頑張れイイ男)』で注目された歌手出身の張超は、
この顔で、身長188センチ。最強じゃん。
あ゛ー、ナマ張超、見たかったぁぁーーーっ…!
私はね、森や滝でマイナスイオンを浴びて癒されるより、
二枚目俳優が発する美オーラを浴びて、細胞を活性化させたいの。残念…!!!

★ 『ミスター・ノー・プロブレム~不成問題的問題 Mr. No Problem』 梅峰監督+王梓桐他Q&A

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上映終了後に行われた約30分のQ&Aに登壇した5名を改めてチェックしておこう。
画像左から、佟逸芳を演じた女優・王梓桐(ワン・ズートン)、プロデューサー侯光明(ホウ・グアンミン)、
監督の梅峰(メイ・フォン)、そしてプロデューサーの吳曼芳(ウー・マンファン)と丁一(ディン・イー)。

会場の観衆が一番「誰、これ?」と疑問に感じたのは、恐らく右端の丁一氏であろう。
だって、“プロデューサー”とか“総裁”という肩書に違和感さえ覚える若さだもん。
吳曼芳女史と並ぶと、ママと息子みたい。
私、上映前に、彼を会場で見掛けた時、日本在住の留学生かと思った。
この丁一率いる好樣傳媒は、ちょっと調べてみたところ、2012年創業の新型メディア企業で、
『ミスター・ノー・プロブレム』とはまったく趣きの異なる映画、
趙麗穎(チャオ・リーイン)と、最近亡くなったばかりの喬任梁(キミー・チャオ)が主演する
『我們的十年~Days Of Our Own 』もプロデュースを手掛けたようだ。

監督の梅峰は、気難しい芸術家というより、大学教授、文学者といった雰囲気。
物腰が柔らかく、丁寧な物言いで、なおかつ知的な印象。

女優さんの王梓桐は、日本が初めてで、国際レベルの映画祭に参加するのも初めてなんですって。
切れ長の涼し気な瞳が印象的で、とても初々しい。


このような面々で行われたQ&Aだが、
カンヌ脚本賞受賞者の初監督作品がワールドプレミアということで、会場には珍しく西洋人の姿を多数見掛け、
使われる言語が中国語、日本語、英語の3ヶ国語になるため、“伝言ゲーム”のように時間を喰う。
ハッキリ言って、Q&Aの内容をあまり覚えていないのだけれど、
ささやかな記憶の中から、取り分け印象に残った部分を書き残しておく。



質問
元々脚本家でありながら、初監督作品をオリジナルストーリーにせず、
老舎(1899-1966)が40年代に書いた小説を選んだ理由は?

梅峰監督
いくつかの理由があります。
まず、この映画は、北京電影學院・青年電影製片廠(青年映画制作所)の
人材育成プロジェクトの一環として企画された作品です。
また、老舎は1966年に亡くなっているので、今年はその死からちょうど50周年に当たります。
あと、40年代から題材を取りたいという希望もありました。



質問
なぜ白黒の映像にしたのですか?

梅峰監督
本作品を撮るにあたり、残されている40年代の映像資料を沢山見ました。
そんな作業をする中で、人々が民国という時代に抱いているイメージが白黒であると気付き、
あの時代を表現するなら、やはりモノクロだと決めました。



質問
“引き”の映像が多い意図は?

梅峰監督
私は、北京電影學院の文学系で、世界の映画史を教えていることもあり、
外国映画を観る時、カメラワークを気にして観るのがクセになっています。
撮影に入る前、皆と議論を重ねる中で、この作品には現代風のカメラワークは合わないと思いました。





異業種から監督業に乗り出す人は、結構いる。
脚本家として活動してきた梅峰も、文字だけだった自分の世界を、映像を使い、
自分の手でより明確に表現したいという野望があったのかなぁ~、なんて想像していたのだけれど、
今回のQ&Aを聞いていたら、野望以上の“新たな試み”であったことを感じた。
ワールド・プレミアであるため、作品についての情報が入っていなかったわけだが、
これ、北京電影學院・青年電影製片廠が主導で進めたプロジェクトで、
人材育成という側面がかなり大きかったのですね。
出演者も裏方さんも、北京電影學院卒業生や関係者が多いらしい。
(ちなみに、今回来日した女優・王梓桐は、北京のもう一つの名門、中央戲劇學院卒。)

そんな話を聞いてしまうと、素人レベルの学生映画を想像してしまう人もいるかも知れないが、
そんな事はぜんぜんない…!
流れがゆったりしているので、起伏のある香港映画などを好きな人には退屈かも知れないが、
私の好みにはドンピシャであった。
年末までの残り2月でロクな映画を観なかったら、これ、本年度の私のベスト3に絶対に入る。

★ サイン会

六本木EXシアターを訪れたのは、先日の『メコン大作戦~湄公河行動』鑑賞に続き、2度目。
『メコン大作戦』の時は、Q&A終了後、
司会者から「2階で、監督がサイン会をやって下さいます」とアナウンスされ、
言われた通り建物2階に行ってみると、カフェ・スペースがサイン会会場として準備されていた。(→参照
今回は何も情報が無かったし、2階に上がる人も見掛けなかったので、帰路につこうと表に出たら、
建物入り口附近にちょっとした人の群れ。覗いてみたら、囲まれているのは梅峰監督。
サイン会をするなら、『メコン大作戦』の時のように、2階に会場を作ってくれれば良いのに、
何かの都合で場所を使用できなかったのだろうか。
自然派性的に始まったサイン会という様子だったので、
もしかして梅峰監督自身“サインを求められる”という考えが思いつかなかったのかも知れない。

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で、はい、私もサインを頂きました。
梅峰監督にサインを頂き、今度こそ帰ろうと思ったら、
道路際に立っている王梓桐を見掛けたので、彼女からもサインを頂いた。
右下の細い字が、王梓桐のサイン。王梓桐、おっとりしていて、感じ良かったですヨ。
益々の飛躍を期待しております!




『ミスター・ノー・プロブレム~不成問題的問題』は、好き嫌いが分かれ易く、
こういうのを苦手な人が観たら、15分で寝落ちしてしまう作品かも知れないけれど、
好きな人は絶対に好きだから!(←当たり前ですね。)
上映はあともう一度。次は、主演男優の范偉も登壇するので、
興味のある人は、11月2日(水曜)に六本木ヒルズへ!
映画の感想は、また後日。

『空海 KU-KAI~妖貓傳』黃軒×染谷将太×陳凱歌監督メッセージ

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現在開催中の第29回東京国際映画祭で、10月28日(金曜)、
中国の湖北省襄陽に作られた唐城で撮影中の日中合作映画、
『空海 KU-KAI~妖貓傳』の制作報告会見が行われたという。


この映画については、この夏、こちらに記した通り、
夢枕獏の小説<沙門空海唐の国にて鬼と宴す>を、陳凱歌(チェン・カイコー)監督が映画化するというもので、
ダブル主演で日中から一人ずつ、空海役に染谷将太、白樂天役に黃軒(ホアン・シュエン/ホアン・シュアン)が
起用されている。

その後、秦昊(チン・ハオ)や陳雨綺(キティー・チャン)の出演が発表されたが、
今回の報告会では、さらに日本から松坂慶子と阿部寛が出演すると発表。
松坂慶子が演じるのは、日本から唐へ渡った白玲という女性。
楊貴妃の謎を解く秘密を知る重要な役だという。
私、原作小説の<沙門空海唐の国にて鬼と宴す>をまだ全部読んでいないので、なんとも言えないけれど、
小説に日本人女性なんて出てきます?映画のために新たに設けた役だろうか。
松坂慶子は、9月にすでに中国へ飛び、撮影してきたようだ。

阿部ちゃんが演じる役は不明。
小説の中で、空海とコンビを組んでいる橘逸勢を演じるには、年齢が上すぎるし、
うーン、安倍仲麻呂(晁衡)か…?
先日、ドラマ『スニッファー 嗅覚捜査官』の番宣で、
阿部ちゃんと香川照之がNHKに出ているのをたまたま見たら、
阿部ちゃんが香川照之の中国撮影体験をやたら一生懸命に話していたのだけれど、
今思うと、あれはきっと自分も中国へ撮影しに行くので、興味があったのですね。
でも、多分、陳凱歌監督は、姜文(チアン・ウェン)監督のような無茶ブリはしないだろうから、
香川照之ほどの壮絶体験は無いと思うわ。
(香川照之がその体験を自ら綴った著書<中国魅録~「鬼が来た!」撮影日記>を御参考に。)



28日の報告会見の会場では、
撮影中で中国を離れられない黃軒、染谷将太、陳凱歌監督からのビデオメッセージも流れたという。
それと同じ動画が、微博にも上がっていたので私も観た。
で、それを、ここに貼りたかったのだけれど、上手く出来なーーーい…!
どなたか、秒拍をYahoo!ブログに貼る方法を御存知の方、いらっしゃいます??教えて欲しい。
余計な物まで写り込んでしまって見づらいけれど、それでも取り敢えず(↓)以下に貼っておく。
(正しい貼り方が判明したら、やり直しますので。)



黃軒と陳凱歌監督が言っている事は、ザッと以下の通り。

黃軒
「皆さん、こんにちは。黃軒です。映画『空海』で白樂天を演じています。
彼は、漢詩の名作<長恨歌>を記した白居易でもあります。
この役を演じる機会を与えてもらい、また日本の優秀な俳優さんと共演させてもらえ、
陳凱歌監督には、感謝するばかりです。そして、日本の俳優さんたちの仕事への誠実さも感じています。
この映画を撮るにあたり、撮影スタッフは6年もの歳月を費やし、この唐の街を創り上げました。
我々はすでに3ヶ月撮影をしています。人、物語、そして巨大で精巧なセットから撮影に至るまで
全てから撮影チームの入念な心配りを感じています。
大唐の類い稀な魅力を我々に教えてくれた陳凱歌監督には、本当に感謝です。
皆さん、この映画『空海』をよろしくおねがいいたします。」

陳凱歌監督
「皆さん、こんにちは。陳凱歌です。
十年ほど前、角川会長と、夢枕獏の小説<沙門空海唐の国にて鬼と宴す>を元に、
唐代の映画を撮ろうと約束しました。今その夢が実現しようとしています。
まず我々は6年の時を費やし、蓮の花の咲く沼地の上に、この巨大な唐城を創り上げました。
夢枕獏さんは、初めてこの唐城にやって来た時、
30年前、バックパッカーとして単身訪れた西安の情景を思い起こして、思わず涙し、
私に中国の文化が大好きだと言って下さいました。
幸運なことに、染谷将太、阿部寛といった素晴らしい俳優も迎え、映画を撮ることができました。
中国と日本の俳優の共演はとても上手くいっています。
我々はすでに3ヶ月以上撮影に取り組んでいます。
我々のカメラを通し、皆さんを夢の唐朝へお連れしたいと思います。」


私をスキー、…じゃなくて、唐城に連れてって(←昭和ネタ)。
以前、浅田次郎が、ドラマ『蒼穹の昴~蒼穹之昴』の撮影現場、紫禁城を丸々再現した横店を訪れ、
「スゴイ物ができた。これが無ければ、<蒼穹の昴>の映像化は絶対に無理だった」
とテレビで感慨深げに語っていたけれど、襄陽にできた唐城もスゴそう。
我々日本人が考える“セット”とはぜんぜんスケールが違う、まるで“街”。
夢枕獏が思わず涙したのも分かるし、
染谷クンが「毎日ここで撮影しているだけで、もうワクワクしています」というのも本心だと思う。
坊主頭で、あの中に佇んでいるのも、もはやすっかり自然ですね。



染谷クンは、現地で本当に皆と仲良くやっているようで、
9月3日のお誕生日には、(↓)こんなサプライズもあったようです。

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このケーキの画像が微博に出た9月3日は、まだキャストが発表されていなかったので、
誰をお祝いしているのか分からなかった。
後になってから、あぁ、あれ染谷クンのためのケーキだったんだぁ、と。
右下の書は、白居易の<詠草>を陳凱歌監督自らしたため、贈ったバースデープレゼント。
宝物ですね~。早く表装に出さないとね。



一つ気になっているのは、この映画を制作、配給する角川が、
黃軒(Huáng Xuān)のことを、ずっと“ホアン・シュアン”の名で宣伝し続けていること。
確かに、これまで黃軒には、“ホアン・シュアン”と“ホアン・シュエン”という2ツの表記が存在していたが、
彼自身がここ日本であまり有名ではないため、どちらも定着していなかった。
この『空海』は、黃軒を日本で広く知らしめる初めての大作になるだろうから、
角川が“ホアン・シュアン”を使い続けたら、それが定着してしまう。
「“uan”を日本語のローマ字読みのようにそのまま“ユアン”と発音しては駄目ですよ、“ユエン”ですよ」
というのは、中国語初学者が最初に先生に言われることのような気がする。
染谷クンだって、ビデオメッセージの中で“ホアン・シュエン”と呼んでいるではないか。
角川は、日中合作映画を作るのに、これ程度の中国語が判る人も社内に居ないのか…?
黃軒は私のお気に入りだけに、この名前表記問題は、許し難い。
(そもそも、片仮名8文字も使わずに、漢字2文字で記せヨ!と言いたい。)




この映画『空海 KU-KAI~妖貓傳』は、2017年完成、2018年公開予定とのこと。
一般公開の前に、2017年か2018年の東京国際映画祭でのプレミア上映を目論んでいるのだろうか。
東京国際映画祭は、チケット販売のシステム・トラブルがもはやトラウマになっているため、
またまた同じ被害に遭って、ナマ黃軒を見逃すという悪夢を想像してしまい、今からブルー。


そんな俳優・黃軒については、こちらの“大陸男前名鑑”を御参考に。

映画『僕はチャイナタウンの名探偵』

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【2015年/中国/135min.】
頭脳明晰でありながら、舌っ足らずな青年・秦風は、警察学校の受験に失敗。
そこで、おばあちゃんから勧められ、7日間の予定で、タイに行くことに。
おばあちゃん曰く、タイに暮らす秦風の叔父・唐仁は、“チャイナタウン一”と誉れ高い名探偵。
しかし、バンコクの空港に到着早々、迎えに来たショボい叔父・唐仁を見て、秦風の脳裏に疑念が湧く。
これが本当にチャイナタウン一の名探偵なのだろうか…、と。
案の定、唐仁が引き受けているのは雑用ばかりで、舌先三寸で小銭稼ぎ。
しかも、下品で、街の美女・阿香の入浴を覗く始末。
すっかり失望した秦風は、予定をキャンセルして帰国しようとするが、
そんな矢先、唐仁がいきなり警察に捕まりそうに!
すかさず逃げ、取り敢えず難を逃れたものの、
どうやら唐仁は殺人事件の容疑者に仕立て上げられてしまったらしい。
巻き込まれた秦風も、止むを得ず、唐仁と共に追っ手を避けながら、事件の真相を探ることになるが…。



2016東京・中国映画週間で鑑賞。

監督は、俳優として知られる陳思誠(チェン・スーチェン)
婁(ロウ・イエ)監督作品『スプリング・フィーバー』(2008年)で、
秦昊(チン・ハオ)とイチャイチャしていたあの陳思誠でございます。
元々、自分で脚本を書いて映画を監督する夢を抱いていたそうで、
2012年『北京愛情故事~Beijing Love Story』で監督デビューし、本作品は2本目。



主人公は、タイの中華街で、何でも引き受けるセコイ三流探偵をやっている唐仁と、
唐仁を“名探偵”と信じ、タイにやって来た彼の甥っ子・秦風。
物語は、秦風がタイに到着早々、叔父の唐仁が如何様師紛いの駄目男と知り、失望して、帰国しようとするも、
その唐仁がなぜか事件の犯人に仕立て上げられ、追われる身となってしまったため、
二人で協力して事件の真相を解こうと奔走する7日間をコミカルに描く探偵ミステリー

唐仁は、確かに胡散臭い男だが、重い犯罪に手を染めるよな悪人ではない。
なのに、彼にかけられた容疑は、黄金の窃盗と殺人!
唐仁が何も知らずに運んだ荷物の中身が実は黄金で、
しかも、その荷物が運び出された工房で、彫刻家の遺体が発見!
防犯カメラに、荷物を運ぶ唐仁の姿が映っていたため、殺人犯と見做されてしまったわけ。
唐仁は、殺人容疑で警察から追われるばかりか、消えた黄金を探す地元ヤクザからまで追われる始末。
あっちにもこっちにも敵だらけ!





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主人公コンビを演じるのは、自称“チャイナタウン一の名探偵”唐仁に王寶強(ワン・バオチアン)
警察学校の受験に失敗し、タイにやって来た唐仁の甥っ子・秦風に劉昊然(リウ・ハオラン)

本作品は、叔父と甥っ子がコンビで事件解決に挑む“バディもの”。
一般的に“バディもの”に、“似た者同士”は無い。
大抵は、生真面目と不良という、相反する二つの個性がぶつかり合いながらも、難事件に挑み、
その過程で相手を認めるようになったり、友情が芽生えてくるものだ。

本作品でも、そのような“バディもの”のお約束は守られている。
唐仁はしょうもないチンピラ崩れ、秦風は真面目で頭の切れる男の子。
叔父と甥であるから、年齢も親子ほど違う。
見た目も、チビの不細工と、長身のイケメンと、正反対。
165センチの王寶強と184センチの劉昊然が並ぶと、文字通りの“凸凹コンビ”で、
ヴィジュアル的にも分かり易くて、楽しい。


一人ずつ見ておこう。まずは王寶強。
私が王寶強を知ったのは、『イノセントワールド-天下無賊-』(2004年)。
この作品では、子供の頃から少林寺で修業を積んだ武術の腕を完全に封印し、ドン臭い青年を演じている。
王寶強って、もしかしてスゴイ俳優なんじゃない?!と驚かされたのは、
それから随分経ってから観た『ミスター・ツリー~Hello!樹先生』(2011年)でのエキセントリックな演技。
さらに、『罪の手ざわり』(2013年)で演じた殺人犯にも、ゾッとさせられた。
地元中国ではコメディのイメージが強いのかも知れないけれど、
このように、私にとっての王寶強は、難しい役を個性的に演じる実力派のイメージが強い。

なので、本作品でコテッコテのコメディをやっている王寶強を見たのは、ちょっと新鮮。

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扮する唐仁は、土方焼けした肌にパンチパーマ、ニッと笑うと前歯に一本の金歯と、一見して下流。
(あの金歯、どうなっているのでしょうか?貼っているの?被せているの…?)

声もかなり作り込んでおり、甲高い声を出し、独特のアクセントで捲し立てている。
あまりにも普段の声と違うので、もしかして吹き替えかと思い、調べてみたら、ちゃんと御本人の声。
実際に世界中に暮らす華僑には広東系が多いことから、この唐仁も広東人と設定されているため、
王寶強は役作りで広東訛りをかなり練習したんですって~。
道理で喋り方が、香港の曾志偉(エリック・ツァン)に似ている訳です。

そもそも広東人の唐仁が、なぜタイに住んでいるのかも気になるところ。
所詮お気楽コメディなので、設定については深く考えてはいけないのかと思いきや、
作中、移住の理由が説明される。

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それによると、唐仁は故郷で結婚したものの、女房を寝取られ、その噂があっと言う間に広まり、
居た堪れなくなり、止むを得ず、小さな田舎町を逃げるように出て、タイに移り住んだという。
この話でイヤでも重ねてしまうのが、この夏、中華芸能界を騒がせた王寶強の泥沼離婚報道。
実際の王寶強も、妻の馬蓉(マー・ロン)を、自分のマネージャーに寝取られ、離婚を発表したばかり。
まるで主演作『僕はチャイナタウンの名探偵』が、王寶強の未来を予言していたかのようで、笑えない。
(それにしても、その妻・馬蓉、“有名俳優の妻の座”に収まっていれば、人生安泰だったものの、
よくマネージャーなんかに走ったわよねぇ。お金より肉欲が勝つなんて、ある意味尊敬するワ。)


続いて劉昊然。
1997年生まれの19歳、中央戲劇學院在学中のまだ学生!
陳思誠の監督デビュー作『北京愛情故事』で、彼もまたデビューしてからは、もうトントン拍子。
巨匠・陳凱歌(チェン・カイコー)監督が手掛ける日中合作映画『空海 KU-KAI~妖貓傳』に
白龍役で出演することが決まっているし、最近こちらに記したように、
大ヒットドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす』の続編『琅琊榜之風起長林』では、
主人公に大抜擢!この恵まれた状況からも、何かしら大きな後ろ盾があることが想像でき、
よほどの不祥事を起こさない限り、トップスタアの座はほぼ約束されているようなもの。

私は、劉昊然の演じている姿を、本作品で初めて見たのだが、
人懐っこい感じがして、確かに彼は広い層から好かれるタイプと感じた。
超美形ではない。例えば、(↓)こちら、先日発表されたドラマ『琅琊榜之風起長林』のヴィジュアル。

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この画像だと、ジャニーズの風間俊介っぽい。
動いている映像を見ると、風間俊介には似ていないのだけれど、
子犬のようなつぶらな瞳はちょっと腫れぼったくて、“シャープ”というより“ヌボッ”とした顔立ち。
若い頃のイノッチや筒井道隆などと系統が似ているかも。
そのヌボッとした素朴なお顔が、スラッと長身のナイスバディに乗っているというギャップ。
“童顔巨乳”に惹かれる男性がいるように、劉昊然の顔とボディの差にもギャップ萌えする人が居ると思うワ。
不良っぽい危険な雰囲気ではなく、母親世代に支持されそうという点では、
松坂桃李や、若い頃の妻夫木聡に通じるかも知れない。

この度演じている秦風は、とても頭の良い男の子なのだけれど、やはりキレッキレの冷たい感じではない。
特徴は、吃音があること。素朴な雰囲気で、可愛げがある。




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他の出演者もザッと見ておこう。
唐仁のアニキ的存在の刑事・坤泰に肖央(シャオ・ヤン)
坤泰とライバル関係にある刑事・黃蘭登に陳赫(チェン・フー)
消えた金を求め、唐仁を執拗に追う地元のヤクザ者・北哥に小瀋陽(シャオシェンヤン)
唐仁が恋い焦がれるチャイナタウン一の美女・阿香に佟麗婭(トン・リーヤー)
チャイナタウンの顔役的存在の閆先生に金士傑(チン・シーチエ)
そして、カフェで働くオカマちゃんに張大大(チャン・ダーダー)等々…。

黃蘭登刑事役の陳赫は、劉昊然も出演する日中合作映画『空海 KU-KAI~妖貓傳』を
現在撮影中の陳凱歌監督の甥っ子。
母親は、主に舞台で活躍の国家一級演員・胡小玲(フー・シャオリン)だし、芸能一家の出なのです。
この映画だと、リーゼントにした髪型や、ウエスタン風のファッションのせいかも知れないが、
香港明星っぽい暑苦しさがあって、印象に残る。

錫伯(シベ)族の女優・佟麗婭は、陳思誠監督の奥方。
チャイナタウンで評判のセクシー美女に扮し、夫の映画作りをサポート。
秦風役の劉昊然が主人公に大抜擢された話題のドラマ『琅琊榜之風起長林』へも、特別出演が決まっている。

台湾からは、ベテラン金士傑が、チャイナタウンを牛耳る閆先生の役で出演。
ノリノリでカラオケをやっている初登場シーンには、
台湾のローカル臭がプンプン漂っていて(映画の舞台はタイだが)、好き。
こういう力の抜けた金士傑は、とても良い。

ほんのチョイ役なのだけれど、
いちいち「コーヒー百バーツ」と請求してくる張大大扮するオカマちゃんも、好きなキャラ。
中国人っぽくない。見た目といい、声の感じといい、私がイメージするタイのオカマちゃんのまんま!

他にも、知った顔が多数出演。
陳思誠監督には、こういう時に助けてくれる芸能界のお友達がいっぱい居るのかも知れない。



ラストは、賀歲片(お正月映画)らしく、大陸の3人組ユニット・南征北戰 NZBZの薩瓦迪卡>に合わせ、
キャストが総出演でタイの街で愉快に歌って踊って、幕を下ろす。
タイ語の“サワディカー(こんにちは)”は、“薩瓦迪卡”という漢字をあてるのですね。







陳思誠には悪いが、「俳優が監督をやっても上手く行くわけがない」という偏見がどこかに有ったのか、
ぜんぜん期待しないで観たら、意外に楽しめた。
ただのドタバタコメディと言ってしまえばそれまでだが、かつての香港映画を彷彿させるノリで、懐かしく感じた。
1978年生まれ、30代後半の陳思誠は、
ちょうど周星馳(チャウ・シンチー)映画に夢中になった世代だろうから、
受けたであろう香港映画の影響は、少なからず、監督作に現れているのではないだろうか。
むしろ香港には、今もうこういうベタなコメディ映画はあまり無いような気がする。

また、陳思誠は、主人公・秦風のように、ミステリー小説も本当に好きなのかも知れない。
作中、引用されている小説の中には、青崎有吾や歌野晶午といった日本の作家の物も出てくる。


本作品のラストでも暗示されているように、続編では唐仁と秦風がニューヨークで活躍。
チャイナタウンは世界中あちらこちらに有るので、シリーズ化できそう。
陳思誠監督、3作目は横浜中華街でいかがですか?

栗を使った一口和菓子3種(+テレビ雑記)

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皆さま、今週金曜放送の第47話まで御覧になりましたか?

はや終盤戦に突入しているこのドラマ、今週も怒涛の展開で、あれやこれや盛り沢山。
取り分け印象的な出来事は、神医・靜妃が驚異の脈診で梅長蘇の正体を瞬時に見破ったこと、
譽王が最後の悪足掻きに撃沈し、捕らえられて自害したこと、珍獣がついに捕獲されたこと、
その珍獣を洗ってみたら、意外にも毛が美しい純白だったこと(←そこ、あまり重要じゃない?)、
珍獣が腕にはめていたバングルに刻印されたネームから、珍獣が実は聶鋒だったと判明したこと、
聶鋒がボーボーに毛の生えた珍獣になった要因は梅長蘇と同じ火寒の毒にあったこと、
靖王がついに太子に封じられ、次期皇帝の座に王手をかけたこと…等だろうか。

悪役ながら視聴者を魅了してきた、滑族の血を引くハーフ殿下・譽王。
天牢で人知れずひっそり命を絶つという、あまりにも呆気ない最期は、
生前華やかだっただけに、余計に哀しいではないの。


そんな哀しみに暮れる暇も無く、今週後半には、以前からチラチラ話が出ていた珍獣騒動が急浮上。
あまりにも奇抜な珍事ゆえ、週前半の記憶が吹っ飛び、今週は結局、珍獣に全てをもっていかれた印象。

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控えめでシックな『琅琊榜』ワールドの中で、ひときわ異彩を放つ珍獣・聶鋒。
『琅琊榜』随一のエキセントリックなキャラクターですよねぇー。
通常、B級ホラーかコメディにしかならないであろうこのようなキャラを登場させ、
夏冬との感動のメオト愛に昇華させた脚本と演出力、俳優たちの演技力には、お見事!の一言。


それから、あの男も、ロン毛をサラサラなびかせながら、ついに金陵の都にやって来ました!

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靳東(ジン・ドン)扮する琅琊閣少閣主・藺晨。飛流の宿敵(笑)。
飛流はお利口さんなので、やられっ放しで終わらない。この先、反撃いたします(水攻めとか)。
藺晨と梅長蘇のメオト漫才のようなやり取りも楽しい。
好きだわぁ~、藺晨。口は悪いけれど、根っ子はイイ人。
今、「ナンなのこのキモいロン毛?!」などとイブカしい顔をしているそこのアナタ様、
後々、彼のちょっとした言葉にグッと感動させられちゃいますから…!
藺晨のことを一瞬でも“キモいロン毛”と思ったことを後悔するわヨ(笑)。


あと気になったのが、譽王妃・藍瑾が身籠ったおなかの子の行く末。
これまではあまり気にしていなかったのだが、こちらに記した通り、続編の制作がハッキリと公表されたので、
もしかして、その続編に譽王の子孫が絡むことはあるのだろうか…?と。
謀反が失敗に終わり、捕らえられ、父親である梁帝に向かって
「斬草除根 永絕後患(根絶やしにしてこそ将来の災いを葬り去れる)」と言ってのけた譽王自身が、
自分の根っ子をこの世に残したわけだから…。
譽王のお子の一件はこれでお仕舞いなのか、それとも続編に持ち越されるのか?
そこんとこ、どうなのでしょう?!気になるわぁ…。

最終回まで残り10話を切った『琅琊榜』。
もう一つの“人生最悪のアンハッピー・バースデー・パーティー”まで刻一刻と迫る。
靖王がいつ梅長蘇の正体に気付くのかとか、気になる事がいっぱい有るし、益々ドキドキですねー!
(でも、終わっちゃうのは、淋しすぎる…。やたら短く感じる全54話…。)




他のテレビ番組もチェック。

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一本目は、11月6日(日曜)、NHK BSプレミアムで放送の『桃源紀行』
最近は再放送ばかりだと思っていたら、先週、今週と新作を流しているではないか。
今回は、中国南部、雲南省にある少数民族・白(ペー)族が多く暮らす街・喜州を取材。




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同日の夜は、NHK BS1『BS1スペシャル』の“チャイナ・ブルー~あの企業化の記録”を。
20歳の時、四川省・成都で、妻と二人、トラック2台で始めた引っ越し会社が急成長し、
掃いて捨てるほどの金を得たものの、心は満たされず、
妻と愛人の間で揺れる二重生活も破綻の危機にある起業家・李浪を、
中国人ディレクター馬占冬が5年間密着取材。
成功した富裕層の実像を、かつて見たことのない赤裸々な映像で描き、
現代中国社会の深層に迫るドキュメンタリー。

…だって。ふ~ん、妻と愛人との間で二重生活を送る中国人経営者の話と聞き、
秦昊(チン・ハオ)主演の婁(ロウ・イエ)監督作品『二重生活』(2012年)を思い出した。
NHK BS1のこちらは、“リアル『二重生活』”か。その泥沼、覗かせていただきます。




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11月8日(火曜)は、TBSで放送の『世界の日本人妻は見た!』
今回は2時間スペシャルだそうで(←なんか、最近、放送する時は常に“2時間スペシャル”なような…)、
暮らしてみたからこそ分かったビックリをタイで尋ねたり、
現地でなかなか手に入らない日本の便利グッズをオーストラリアに届けたり、
食の問題に直面した日本人妻を助けるため台湾へ行ったりするそう。

その“台湾の食の問題”とは、日本人妻が作った水餃子に、家族がなかなか箸をつけてくれないというお悩み。
そこで、料理が得意なタレント・金子貴俊が助っ人となり、日本人妻を伴い、達人を訪ね、
生地から具材まで水餃子の極意を教わるらしい。
お料理好きな人は、今回の放送で、水餃子作りのコツも学べるかも知れませんね。




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11月10日(木曜)、NHK BSプレミアムの『英雄たちの選択は』は、
“平安京を護るのは空海 千年の都 誕生の裏側”と題し、空海を取り上げる。
留学期間20年と課せられていたにもかかわらず、たったの2年で最新の仏教“密教”を持ち帰った空海。
死罪にもなる契約違反を冒してまで、なぜ帰国を急いだのかという謎に迫る。

私は元々空海に特別興味があったわけではないのだけれど、こちらに記したように、
夢枕獏の小説<沙門空海唐の国にて鬼と宴す>が、『空海 KU-KAI~妖貓傳』というタイトルで、
監督・陳凱歌(チェン・カイコー)×主演・黃軒(ホアン・シェン)/染谷将太で映画化されることになったため、
俄然興味が湧いてきた。
映画は、空海の人生を描いた伝記映画ではないファンタジーだと想像しているけれど、
予備知識として空海について学んでおくのも悪くはないはず。
ちょっと残念なのは、この日のコメンテイターに夢枕獏が入っていないこと。まぁ、しょうがないですね。




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あとねぇ、チャンネル銀河で放送中の范冰冰(ファン・ビンビン)主演ドラマ
『武則天 The Empress~武媚娘傳奇』が全82話を終える11月8日(火曜)、
入れ替わるようにBS12トゥエルビで同ドラマが放送を開始する。
BSトゥエルビでは、火曜から金曜まで、夕方6時に連日放送。
今までチャンネル銀河で見られなかった皆さまには、有り難いBS放送ですね~。
私は、溜まってしまっているチャンネル銀河の録画を消化しなければならない…。




お菓子は、栗を使った小ぶりの和菓子ばかりを3ツ。

★ 松葉:栗きんとん

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大きさは、幅約4センチ。
濾した栗に砂糖を和え、茶巾に絞った季節菓子。




一つ目は、岐阜県中津川の和菓子屋さん、松葉(公式サイト)“栗きんとん”
今では、どこの和菓子屋さんでも見かける栗きんとんだが、
発祥の地は岐阜県中津川と言われているのだそう。
中津川のお店の物を食べ比べする栗きんとんマニアも結構居るようだ。

原材料は、栗と砂糖のみ。
きっちり絞られており、水分は少な目。
かなりキメ細やかで、口の中でホロッと崩れる食感。

とても上品で、自然な栗の味を楽しめる。

★ たねや:栗子みち

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大きさは、直径約4センチ。
栗餡を滑らかな小豆餡で包み、茶巾絞りに仕上げたお菓子。




続いて、たねや(公式サイト)の“栗子みち”
販売期間は、9月から2月上旬まで。

前出のような栗きんとんにも似た餡を、さらに小豆の餡子で包んだお菓子。
中の栗餡は滑らかだが、細かく刻まれた栗も混ぜ込まれている。
その栗餡を包んでいる小豆餡の方が、甘みがやや強い。

本当に栗そのものの味を楽しむなら、栗きんとんだろうが、
栗きんとんは、激甘党の私には、甘さが足りず、物足りなく感じてしまうこともしばしば。
これは、小豆餡の甘さも加わるので、より「食べた!」という満足感が得られる。

★ 落雁 諸江屋:金の霊澤

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大きさは、直径約4.5センチ。
本煉り抹茶羊羹で、やわ煮栗を包んだお菓子。




最後は、江戸時代・嘉永2年(1849年)創業の金沢の老舗、落雁 諸江屋(公式サイト)から。
店名にも“落雁”と付いているくらいだから、落雁で有名なお店なのだが、
私がこの度食べたのは、“金の霊澤”という落雁とは違うお菓子。

お菓子にしては、なんだか大層な名前である。
その昔、芋掘り藤五郎という無欲な男が芋を洗ったら砂金が出てきたと言い伝えられている湧き水で、
金沢という地名の由来にもなったとされる“金城霊澤(きんじょうれいたく)”を
イメージして作られたお菓子だから、このような名前。

中に入った甘露栗で黄金を表現し、形も“砂金包み形”にしているそう。
栗は一個が丸ごとゴロンと入っているのではなく、大ぶりにカットされた状態で、不規則に混ぜ込まれている。
羊羹が、普通の小豆の羊羹ではなく、緑色の抹茶煉り羊羹なのは、もしかして湧き水をイメージ?
光に透き通るグリーンは、翡翠のようでもある。

抹茶特有の苦みは弱めだが、さっぱりした味なので、ほんのり甘い栗との相性よし。
歴史ある金沢のお菓子というだけで、なにやら有り難味を感じます。

映画『親友の結婚式』

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【2016年/中国/97min.】
顧佳は、有名ファッション誌の編集長に就任したばかりで、忙しいけれど充実した日々。
テレビをつけると、学生時代からの大親友・林然が、有名サッカー選手にインタヴュ。
彼もまたイギリスで夢を叶え、スポーツジャーナリストとして大活躍。
お互い仕事で成功した今、もしかしてそろそろ一緒になる頃かも…などと、浮き立つ心を抑え、
ミラノコレクションを取材するため、イタリアへ飛んだ顧佳。
そこにロンドンの林然から一本の電話が入る。
「結婚することになったんだ!自分でも信じられないんだけれど、素直なすごくイイ子なんだよ。
式はこの週末。もちろん出席してくれるよね?」
えっ、結婚って誰と…?!林然からの寝耳に水の結婚報告に、ただただ動揺する顧佳は、
仕事をアシスタントの馬麗に投げつけ、早速ロンドン行きのチケットを手配。
飛行機の中では、ついつい悪酔いし、隣りの外国人男性に絡む始末。
ロンドンの空港に到着すると、乱れた心を抑え、迎えに来てくれた林然と久々の再会。
しかし、林然は一人ではなかった。
「顧佳、紹介するよ。彼女が僕の婚約者、萱萱だよ」
林然の背後から現れたのは、顧佳よりずっと若く可愛らしい女性であった…。



東京・中国映画週間2016で鑑賞。

中文原題は、『親友の結婚式』と同じ意味の『我最好朋友的婚禮』。
このタイトルからも、なんとなく想像がつくように、これ、監督P.J.ホーガン×主演ジュリア・ロバーツによる
1997年のハリウッドヒット映画『ベスト・フレンズ・ウエディング』の中華版リメイク。

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念の為、ハリウッドオリジナル版の中文タイトルをチェックしてみたところ、
大陸ではそのまま『我最好朋友的婚礼(親友の結婚式)』だが、
台湾では『新娘不是我(花嫁は私じゃない)』、香港では『真的想嫁你(ホントにあなたに嫁ぎたい)』であった。
私、香港版の切羽詰まった感じ、嫌いじゃないわ(笑)。


で、この度、ヒット作のリメイクを手掛けたのは、陳飛宏(チェン・フェイホン)監督。
1983年生まれ、中学を卒業した1998年にアメリカへ渡り、大学を卒業した後、2002年に帰国、
2011年『盛夏~Blossom』で長編監督デビューした新進気鋭の監督さんみたい。
自身の監督作品は、今のところ、それと『親友の結婚式』だけと、まだ少ないが、
他に何もしていないかというと、そうではなく、『北京ヴァイオリン』(2002年)、『PROMISE 無極』(2005年)、
『運命の子』(2010年)、『搜索~Caught in the Web』(2011年)、『道士下山』(2015年)
といった映画の制作にも携わっている。
お気付きの方も多いと思うが、これらは全て陳凱歌(チェン・カイコー)監督作品。
それもそのはずで、この陳飛宏監督は、陳凱歌監督の甥っ子なのだと。
(具体的には、外甥=陳凱歌監督の姉妹の息子。)

ついでなので記しておくと、陳凱歌監督のお身内は、陳飛宏監督と限らず、結構中華芸能界にいる。
3度目の妻・陳紅(チェン・ホン)が、陳凱歌監督作品にもよく登場する女優であることは有名だけれど、
他にも、俳優の陳赫(チェン・フー)が甥っ子(男兄弟の息子)だし、
2000年生まれの実の息子・陳飛宇(チェン・フェイユー)も、
陳凱歌監督の新作『空海 KU-KAI』で、そろそろ本格的に芸能活動しそうな予感。

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(↑)こちら、実子・陳飛宇。父親に似れば長身だろうし、この子は、本当に美男子に成長しております。
親のコネ無しでも売れそう。



さて、本題。
『親友の結婚式』は、学生時代から一番仲の良い男友達・林然から、突然結婚すると告げられたことで、
彼への特別な想いに気付いたファッション誌編集長・顧佳が、
林然と彼の婚約者・萱萱が暮らすロンドンへ飛び、
なんとか結婚式を阻止し、林然を自分に振り向かせようと奮闘するロマンティック・ラヴ・コメディ

細かいアレンジは色々有るけれど、基本的にはオリジナル版と同じ。

オリジナル版が制作されてからすでに20年近くが経っているので、
必然的によりモダンでお洒落っぽい雰囲気にはなっている。

撮影は、主に北京、ミラノ、ロンドンの3ヶ所。中国のシーンは極めて少なく、90%がヨーロッパ。
主人公の顧佳は、有名ファッション誌の編集長らしく、
ミラノではブルガリ・ホテル、ロンドンではローズウッドとお洒落なホテルに宿泊するし、
両都市の観光名所も網羅されている。

また、中国版<VOGUE>の編集長を務め、
“中国版アナ・ウィンター”と呼ばれる著名なファッション・ジャーナリスト、宇(アンジェリカ・チャン)や、
シューズデザイナー、クリスチャン・ルブタンが、本人役で出演。
もうねぇ、中国の若い女の子がワクワクしちゃうような要素が満載なワケよ。

★ キャスト

主要出演者を、オリジナル版と比較しながらザッとチェック。


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舒淇(スー・チー):顧佳~ファッション誌編集長
オリジナル版:ジュリア・ロバーツ

オリジナル版の主人公は料理評論家。中華版リメイクでは、ファッション誌編集長と設定を変え、よりお洒落に。
舒淇には元々ファッショナブルなイメージがあるし、
大きな口や、キュートな雰囲気は、ジュリア・ロバーツに通じるかも?

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ジュリア・ロバーツが持っているのは電話?それともトランシーバー…?
もし電話なら、約20年で随分進化して小型化したのですねー。昔のは、まるで筆箱(笑)。
『ベスト・フレンズ・ウエディング』がそんなに昔の映画だとは思ったこともなかったけれど、
こういう画像を見ると、時代の流れを感じる…。

なお、演じている舒淇自身は、この映画の顧佳と異なり、
ずっと“良い親友”と言い続けてきた馮倫(スティーヴン・フォン)に、2016年9月、40歳でお嫁入り。



馮紹峰(ウィリアム・フォン):林然~顧佳の長年の大親友、スポーツジャーナリスト
オリジナル版:ダーモット・マルロニー

近年、映画にも積極的に出演している馮紹峰。
ドラマで、声優に吹き替えられた声を聞き馴れてしまっているが、映画で聞く本人の地声は、とても甘く柔らか。
扮する林然は、その柔らかな声に合った、優しく人当たりの良い青年。
仮に結婚できなくても、こんな男友達欲しい!と思う女性は多いでしょう。
オリジナル版のダーモット・マルロニーは印象が薄かったため(←ただ単に、私好みではなかったとも言える)、
この役は、馮紹峰に軍配を上げる。



宋茜(ビクトリア/ソン・チェン):孟薏萱~林然の婚約者 資産家令嬢 通称“萱萱”
オリジナル版:キャメロン・ディアス

K-Popアイドルユニットf(x)の中国人メンバー“ビクトリア”と言った方が、日本では知る人が多いのでしょうか。
歌やダンスだけではなく、最近は演技のお仕事も増えている。
馮紹峰とは、ドラマ『幻城~Ice Fantasy』でも共演。
私は、演じている宋茜を、今回初めて見たのだけれど、うーン、微妙かしら。
演技が下手と言っているのではない。萱萱を演じるには、宋茜は大人っぽく見え過ぎる。
恋敵を演じる舒淇とは、実際には11歳も違うわけだが、舒淇が40歳にしては若く見えてしまうため、
二人に年齢差が感じられない。
この役、もっとガーリーな張檬(チャン・モン)や趙麗穎(チャオ・リーイン)が演じて、
甘ったれた声で舒淇に「顧佳姐~」なんて言ったら、もっとイラッとさせてもらえたハズ。
オリジナル版でこの役を演じていたのは、キャメロン・ディアス。
今やすっかり中堅女優という風格なのに、昔はこういう役をやっていたのですね。



鳳小岳(リディアン・ヴォーン):Nick~ひょんな出会いから顧佳と交流するようになる青年 実はゲイ
オリジナル版:ルパート・エヴェレット

オリジナル版でダーモット・マルロニーの影が薄いのは、ルパート・エヴェレットの存在が大きいからだと思う。
『アナザー・カントリー』(1983年)でスタアの仲間入りをしたルパート・エヴェレットは、
演じたガイ・ベネットと同じように、自身もイギリス上流階級出身のアリスト俳優。
その後、ゲイであることをカムアウトし、「えっ、そこまで『アナザーカントリー』と同じだったの?!」と
世間を驚かせ、一時期スクリーンであまり見なくなってしまった。
吹っ切れたのか、『ベスト・フレンズ・ウエディング』では、バリバリのゲイを演じ、見事に再起。
中華版でその印象的な役を演じているのは、英台ハーフの台湾明星・鳳小岳。
西洋の血が濃く出た顔立ちなので、役が限られてしまうように感じていたけれど、
今回は心置きなくイギリス人を演じ、流暢な英語も披露。
私はずっと「鳳小岳は絶対にゲイ役が合う!ゲイを演じて欲しい!」と思っていたので、
本作品ではその希望を満たしてくれた。
さらに、歌声まで披露。劇中、彼が歌う60年代の名曲<小さな願い~I Say A Little Prayer>は、
オリジナル版でも使われている歌。


この頃のルパート・エヴェレットって、胡歌(フー・ゴー)にソックリね。
余談になるが、私、その昔、ロンドンでルパート・エヴェレットにサインをもらったことがある。
ナマ胡歌にも会いたーーーい…!


小籠包みたいに巨大蒸籠で蒸し殺される宮女・玉檀を演じた葉青(イエ・チン)が、
主人公・顧佳のアシスタント・馬麗の役で出演している。





いかにも今時の大陸女子たちが好みそうな題材にも拘らず、酷評されているのを結構目にしたため、
余程の駄作なのかと、恐る恐る観たら、フツーに面白かった。
映画史に残る名作だとは、決して思わない。
顧佳なんか、編集長になったばかりなのに、仕事をすっぽかしてトンズラしちゃうし、
林然も、かのBBCでプロデューサーとして成功しているだけでも驚きなのに、仕事にぜんぜん行かないし、
皆が皆、最新ファッションに身を包み、お洒落でゴージャスな生活を楽しんでいるなんて、
まったく現実味が無いトレンディ・ドラマという感じだけれど、そういう物と割り切れば、楽しく観られるラヴコメ。

顧佳とゲイのニックに新たな恋を予感させるラストだけは、いただけない。オリジナル版でも、こんなでしたっけ?
ニックは、性別の枠に囚われず、何でも話せるゲイの親友だから良いのです!
いくら顧佳が林然にフラレたばかりの行かず後家だからって、ゲイのニックを彼女に無理矢理宛がう必要ナシ!
これ、ドラマ『続・宮廷女官 若曦(ジャクギ) 輪廻の恋~步步驚情』を観た時にも、同じ事を思った。
あのドラマでも、ゲイのジャック(NickならぬJack …笑)が、最後に女性の部下と相思相愛になる。
別に同性愛は病気ではないのだから、最後に女性に目覚めさせるなんて、余計なお世話でしかない。
なぜ大陸作品だと、こういうラストにするのだろうか。ゲイは一途にゲイでいてくれて良い。

あと、この映画では、ちょっとだけ“今どき中国語”のお勉強になった。
ロンドンの空港に到着直後、林然から婚約者の萱萱をどう思うかと尋ねられた顧佳が、
「年經噠~、美美噠~、可愛噠~(若くてぇ~、美人でぇ~、可愛くてぇ~)」と
いちいち語尾に“噠 dā”を付けて喋ったところ、
林然が「何が“噠”だ。まったく90年代生まれみたいな喋り方するなよ」と返すシーンに、「へぇー」。
中国の今どきの子は、そういう喋り方をするのですね。
私も今度、90年代生まれを気取り、語尾に“噠”を付けて喋ってみるワ。

ドナルド・トランプが次期大統領って…。

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ドナルド・トランプ、第45代アメリカ合衆国大統領に当確って、「・・・・・。」
相変わらず笑うに笑えないアメリカン・ジョークかと思ったら、冗談ではないらしい。
久し振りに、心底驚いた。
大富豪なのだから、何もわざわざ面倒な政治の世界なんかに足を踏み入れず、
悠々自適に余生を楽しめば良いものを…(←分かっていたわ、絶対にそういうタイプではないと)。
何を言っても、もう後の祭りだが。
せめて、“地位が人を作る”という言葉を信じたい。
5年後、10年後に今日この日を振り返り、
「悲劇はすでにあの日に始まっていた…」なんて事が起こらないよう祈ります。

映画『ロクさん』

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【2015年/中国/137min.】
六爺(ロクさん)は、北京の胡同で、小さな商店を営み、静かに暮らしている還暦間近の元チンピラ。
昔気質で情に篤く、街の皆から頼りにされてはいるけれど、
一人息子の曉波は、家庭を顧みず、母親が死んだ時さえ家に居なかった父を恨み続け、
親子の関係はずっとぎくしゃく。
ついに曉波は家を出て、それっきり。
あまりにも音信不通が続いたので調べてみると、ある晩、曉波は、小飛という青年の女を寝取った上、
彼の愛車・フェラーリを傷付け、監禁されていることが判明。
湖南からやって来て北京で遊んでいるボンボンだという小飛のアジトに乗り込むと、
そこには小飛と彼の仲間たち、そして拘束されている曉波の姿。
六爺は、フェラーリの修理代10万元と引き換えに曉波を返してくれと話をつけ、金の工面に奔走。
約束の3日でなんとか10万元を用意し、親友の悶三兒らを引き連れ、再びアジトへ行くが、
そこでまた小飛の仲間たちと小競り合いが勃発してしまい…。



管虎(グアン・フゥ)監督作品を、2016東京・中国映画週間で鑑賞。

第72回ヴェネチア国際映画祭のアウト・オヴ・コンペティションのクロージング作品に選ばれ、
第52回金馬獎で最佳男主角獎(主演男優賞)を受賞した話題作。
とても気になっていた作品が、中国映画週間で上映され、とても嬉しい。
今年の中国映画週間全上映作品の中で、私にとっては、これが断トツの目玉。
本当は、監督&キャストが登壇するセレモニーと一緒になった上映で観たかったのだけれど、
予想以上にチケットがあっと言う間に完売になってしまったので断念し、通常の上映で鑑賞。

管虎監督は、1968年生まれの中堅の監督さんで、
国内外で高く評価された2009年の黃渤(ホアン・ボー)主演作『鬥牛~Cow』がそこそこ知られているが、
日本で彼の作品が紹介されるのは、もしかして今回が初めてなのでは?
私自身も、管虎監督作品を観るのは、今回がお初。
(余談になるが、この管虎監督、写真で見て“柱”っぽいと思ったら、身長が190センチも有るのだと。)




主人公は、北京の胡同で一人ひっそり暮らす元チンピラ、還暦目前の六爺(ロクさん)。
物語は、関係が悪く、家を出たきりの一人息子・曉波が、
高官の息子・小飛の女を寝取った上、フェラーリを傷つけ、監禁されていると知り、
仲間の助けを借り、曉波を救出しようとした事に端を発した闘いに挑む六爺を描いたヒューマンドラマ

六爺は昔気質の元チンピラなので、人情に篤く、曲がった事は大嫌い。あくまでも、筋を通す。
自分も金欠のくせに、仲間が困ってれば、金を工面するし、
目上との口のききかたを知らない若者には注意もする。
胡同の顔的存在で、頼れる“世直しジジィ”という感じ。
曉波が、小飛のフェラーリを傷付け監禁されていると知っても、
ただ単に「息子を返せ!」と怒鳴り込んでいくのではなく、きちんと修理代を払おうと誠意を見せる。

この小飛らとの小競り合いは、六爺の息子・曉波が監禁場所からの逃走に成功したことで、
取り敢えず収束したかのように見えたのだが、
逃走の際に曉波が何も知らずに持ち出した物が、実は大した代物で、
結果、六爺は、小飛など比にならない大きな相手を敵に回し、正義のために立ち向かう羽目となる。
つまり、本作品は、到底勝ち目なんか無いと思える大きな敵を相手に、
それでも一庶民の六爺が、世のあるべき筋を通そうと闘う任侠映画なのです。

中国で“勝ち目のない大きな敵”と言えば、そう、高官など政府関係。
作中には、政府高官が海外の銀行口座に隠し持つ巨万の財産や汚職が描かれ、
ちょっとした社会派映画としての側面をもつ。
(そもそも人民政府を真正面から大批判したら、通常検閲を通しにくいのではないかと想像する。
中国国内で、すでに失脚した政治家や叩かれた事件をモチーフにしているから、OKなの?)

また、なかなか分かり合えない六爺と息子・曉波の関係は、普遍的な父子の物語として、
我々日本人でも共感できたり、心が温まったりする。




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出演は、元チンピラの“六爺”こと張學軍に馮小剛(フォン・シャオガン)
六爺の親友・悶三兒に張涵予(チャン・ハンユー)
六爺の息子・張曉波に李易峰(リー・イーフォン)
フェラーリを傷付けられ、曉波を監禁する政府高官の息子・譚小飛に吳亦凡(ウー・イーファン)
六爺と腐れ縁でつながる女性・話匣子に許晴(シュイ・チン)等々。

本作品の主演俳優は、『狙った恋の落とし方。』(2008年)、『唐山大地震』(2009年)等で知られるヒットメイカー、
“賀歲片(お正月映画)の巨匠”馮小剛監督。
実は、これまでにも俳優として、ちょこちょこと何本もの作品に出演しており、
私は取り分け彭浩翔(パン・ホーチョン)監督が手掛けたオムニバス映画『些細なこと~破事兒』(2007年)での
爆笑モノの演技が記憶に焼き付いている。
今回は今までとは違い、ガッツリと主演を張り、しかも、2015年、第52回金馬獎では、
郭富城(アーロン・クォック)や超(ダン・チャオ)といった強敵を押しのけ、主演男優賞を受賞してしまった。
そんな事もあり、一体馮小剛の演技はどんなモンよ?!と、ずっと気になっていた。

私は今回、中国映画週間で機会を得て、ついに本作品を観たわけだが、確かに良いです、俳優・馮小剛。
お財布を盗んだスリを見付け、暗闇からヌーッと出てきて、
「お金は抜いても、身分証は本人に送り返してやりな」と声を掛け、
「か、か、関係ないだろ」とビビりながらも言い返してきたスリに、
「このままこの胡同から出られると思うか」と言い放ち、鳥籠を持って、家にスーッと戻る初登場シーンから
馮小剛扮するこの六爺の“静かなド迫力”に引き付けられた。
(ここから始まる最初の十分だけで、六爺の人となりがザッと分かる演出も良し。)

ちなみに、このスリ役を演じているのは、現在放送中のドラマ『武則天 The Empress~武媚娘傳奇』に
李義府役で出演している余皚磊(ユー・アイレイ)で、
私生活で付き合っているのは大陸を拠点に活動する日本人女優・鈴木美妃だそうです。
今年3月、二人揃ってNHKの『世界で花咲け!なでしこたち』に出ていた(…かなり余計な豆知識だが)。

話戻って馮小剛。話題作りで映画監督を俳優として起用したという感じではまったくなく、
馮小剛ナシでは成立しない映画と思わせる演技と存在感。
名シーンは数あれど、終盤、バリカンで頭を刈り、日本刀を背負って、自転車で決戦の場に向かう六爺は、
取り分け記憶に残る。
最初の方で、宅配業者を装い、小飛の仲間・侯小傑の車に乗り込み、押さえ付け、
小傑が通りすがりの人に助けを求めても焦らず、彼の父親のフリをするシーンも、好き。
あそこ、世知辛い世の中を皮肉に反映していて面白かった。


予想していたより重要な役だったのが、張涵予扮する六爺の古い仲間・悶三兒。
悶三兒は、六爺と比べると子分気質で熱くなり易い。
彼もまた義理人情に厚く、六爺のために闘う気マンマンで…

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 ドッヒャーッ…!!脱いだらスゴかったぁぁーーーっ…!
25歳のイケメン俳優が入浴シーンで鍛えられた肉体を披露しても、別に驚かないが、
枯れたオッサンとムキムキの筋肉というギャップには、目が釘付け。



本作品は、還暦目前の中年男を主人公にした“オヤジ映画”ではあるけれど、
オヤジを毛嫌いする女性たちへの配慮もあり、
ヤング枠に李易峰&吳亦凡という人気爆発の二人をキャスティング。
李易峰は実際には30歳間近だが、曉波の青くさい感じが自然に醸されている。
難を言うなら、六爺の息子にしては容姿が良過ぎるかしら。…母方のDNAと理解。


吳亦凡は、今回、来日し、東京・中国映画週間のセレモニーに登壇。
私が、チケットを買えなかったのは、間違いなく彼のせい。
登壇者がもし馮小剛だったら、あんなに瞬殺じゃなかったわよね、きっと(笑)。
私好みではない吳亦凡だが、とても華があると感じる。
扮する譚小飛は、政府高官・譚軍耀のドラ息子。
“三環十二少”と呼ばれていることからも、2012年に北京の環状道路・四環路をフェラーリで飲酒運転中に
事故を起こして即死した胡錦涛の側近・令計劃の息子、令谷をモデルにしているものと思われる。
汚名を残して死んだ実際の令谷とは違い、
映画の中の小飛は、ただのドラ息子から、人の道が分かる青年に変化するので、完全な悪役ではない。
髪色も、ドラ息子ヴァージョンと、好青年ヴァージョンの2パターン。

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一作品で、吳亦凡を2度楽しめるよう、ファンサービスだろうか。


他、李易峰と吳亦凡以外にも…

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TF BOYSまでチラッと登場。ボランティアで病院を訪ねて歌う少年グループの役。
登場シーンはものの数秒だが、それでも熱心なファンは映画を観に行きますよね。

普段この手の作品を敬遠しがちな、アイドルたちのファンをも劇場に足を運ばせ、
逆に、こういうタイプの作品を純粋に楽しみたい映画ファンが、
「何これ、アイドル映画じゃないのヨ…!」とイラッとしない程度に、作中アイドルたちをサラッと配した
“巧いアイドル使い”と感じる。


数少ない女性の中では、やはり許晴。
扮する話匣子(お喋り)は、頼れる姐御タイプ。普段は六爺にぶっきら棒な言葉しか掛けないが、
実は誰よりも六爺を理解し、黙ってお金まで工面してくれるイイ女。
しかも美乳(←全部ポロンはない。ブラジャーをしているけれど、プリンッとしていて女の私の目にも綺麗)。

そんな話匣子が切り盛りしているのが、“震顫酒吧”というバー。

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ちょっと調べたところ、実際には存在しないことが判明。
どうもバーが多く集まる后海にある天與地 Heaven and Earthというお店が撮影に使われたらしい。
(住所:北京市 西城區 前海北沿 2號)



撮影場所は、このバーと限らず、后海近辺の胡同、鼓樓附近、什剎海など、
外国人観光客でも行き易い北京の中心地が多い。
六爺が、息子・曉波や親友・悶三兒らと、殺された九官鳥(?)の波兒を埋めに行く場所なんか…

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観光地中の観光地、故宮が見下ろせる景山公園である。(景山公園については、こちらを参照)
どこも人が多いのに、よく下町情緒溢れる魅力的な北京が撮れたなぁ~と感心。

なお、最後に六爺が決闘のために行った場所は、物語の中では“頤和園の裏”ということになっているけれど、
実際は、北京北西部の延慶県にある媯水公園なのだと。





今年の中国映画週間で最も期待していた作品で、結果的にも最も気に入った作品。
中国映画週間上映作品に限定しなくても、今年私が観た中華電影の中で、ベスト5に入る。
近年、どんどん大作化していく一方の大陸作品は、巨額を投じたド派手な映像に驚かされはするけれど、
本当に内容勝負の物は激減してしまった。
この『ロクさん』は、観る人を選ぶ芸術作品というよりは、やはりあくまでも娯楽映画であり、任侠映画。
誰にでも分かり易い内容を、薄っぺらな超大作とは一線を画した
ヒネリのある演出、味わいのある映像で表現したバランスのとれた作品。

キャストも魅力的で、枯れたオヤジたちを堪能する“オヤジ映画”として優秀。
かと言って、メジャーな若手も出演。彼らが客寄せパンダ的に投入されたのだとしても、
ファン以外はシラケるただの“アイドル映画”にはならず、ちゃんと作品の一部として役割りを果たしている。
キャスティングもバランスが良いわけ。

“北京鑑賞映画”としても、好き。
北京を舞台にした近年の作品は、北京の最先端な部分ばかりを強調するか、
もしくは、ベタベタな懐古趣味に走るかの両極端で、見ていてムズ痒く感じることがあるけれど、
本作品に収められている北京は、
子供時代を北京で過ごした管虎監督の“記憶の中にある懐かしい北京”ではあっても、
不自然にノスタルジーを煽らず、“人が暮らしている街”としての北京を感じられる。

あっ、あとねぇ、これ、かなりの“喫煙映画”。
中国映画は道徳に厳しいので、昨今ここまでスパスパ吸っている映画は、あまり観た記憶が無い。

『ロクさん』という邦題も、シンプルで良し。
“ロクさん”はもちろん“六爺”、“六哥”と呼ばれている主人公・張學軍のこと。
便宜上即席でつけた映画祭用の邦題という感じではなく、一般劇場公開されても、このまま使えそう。
ちなみに、中文原題は『老炮兒』。
“老炮兒”とは、若い頃ヤンチャだった老人を指す“老泡兒”から派生した語で、
“鳥籠を提げ、これといって何もせず、ふらふらと生きているチンピラ”、
つまり、情のあるチンピラを意味する北京特有の表現らしい。

ついでに言っておくと、登場人物の名を漢字で表記している日本語字幕も、高く評価。
中国映画週間の日本語字幕は、基本的に漢字表記を採用していたハズだが、
今年私が観た作品は、これ以外全て片仮名表記にされていた。
イカツイ男の台詞がオネェ言葉で訳されていた頃に比べ、
劇的に改善された中国映画週間の日本語字幕だけれど、
名前の片仮名表記という日本の悪習なんかは取り入れなくて良いですから…!

★ オマケ その①:映画の旅展

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2016年10月下旬から11月上旬にかけ、虎ノ門にある中国文化センターでは、“映画の旅展”を開催。
主に、東京・中国映画週間で上映された映画のロケ地を紹介したり、衣装、小道具を展示する催し。

『ロクさん』からは、映画の関連グッズと小飛に扮した吳亦凡が実際に着用したコートが展示されていた。

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コートの写真がボケボケでガッカリ…。
会場には、吳亦凡ファンからの花輪も飾られていた。

★ オマケ その②:中華なセレブリティ、取り分け吳亦凡in東京

もう一つのオマケは、第29階東京国際映画祭開幕式で、
レッドカーペットに現れた『ロクさん』チーム(&その他の中華セレブ面々)の画像。

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画像左から、梁靜(リャン・ジン)、管虎監督、吳亦凡、蔣勤勤(ジャン・チンチン)、
そして嘉博文化会長・宋憲強と日中映画祭実行委員会理事・耿忠。

梁靜は管虎監督の奥方で、『ロクさん』にも六爺の親友・燈罩兒の妻役でチラッと出演。
すっかり下町のオバちゃんに化け切っているので、知らずに映画を観たら、梁靜とは気付かないであろう。
蔣勤勤は、『宮廷の諍い女~後宮甄嬛傳』の雍正帝でお馴染み陳建斌(チェン・ジェンビン)の奥方。
陳建斌が監督した『疫病神~一个勺子』にも出演している女優さん。

いや、それより目を引くのは、やはり管虎監督でしょー。
身長187センチの25歳イケメン明星・吳亦凡が霞むほどスタイル抜群の50近いオッサン監督ってどーヨ?!
俳優泣かせ!こういうイベントの時、横に並ぶのをイヤがる管虎監督出演俳優も居ると思うワ。
ちなみに、吳亦凡のお召し物は、昭和生まれには懐かしいヤンキースタイルに見えてしまうが、
実は全身バーバリーです。


吳亦凡ファンのために、もう一つ。
『すれちがう青春~夏有喬木雅望天堂』の演技が認められ、東京・中国映画週間2016のステージで、
今年新たに開設された金鶴獎(ゴールド・クレイン賞)・最優秀俳優賞を受賞した時の吳亦凡。

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プレゼンターは常盤貴子。
羨ましいわ、常盤ちゃん。お仕事とはいえ、イケメンに接触。
吳亦凡クン、この日のお召し物は、ジヴァンシーです。
バーバリーのヤンキースタイルは、この授賞式で着た方が、常盤ちゃんと雰囲気が合ったかも。



映画館へ確実に足を運んでくれる熱心な吳亦凡ファンも居ることだし、
日本でも『ロクさん』を一般劇場公開してくれないかしら…。もう一度観たい。
あと、監督・馮小剛としての作品、范冰冰(ファン・ビンビン)主演で撮った最新作、
『我不是潘金蓮~I Am Not Madame Bovary』にも非常に興味あり。

映画『大唐玄奘』

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【2016年/中国・インド/120min.】
唐朝・貞觀年間の中国大陸。
仏教を真に追及するには原典が不可欠。
…そう考えた若き僧侶・玄奘は、本物の経典を得るため、遠い天竺を目指す決意を固め、
627年8月長安の都を発とうとするも、いとも簡単に捕らえられてしまう。
度重なる朝廷への申請も聞き入れてもらえず、
結局、出国の許可が得られぬまま、国禁を犯して旅立つことを余儀なくされた玄奘は、
人々の協力もあり、瓜州、涼州と少しずつ前進していくが、
それはこの先続く長い長い苦難の道のりのほんの序章でしかなかった…。



第29回東京国際映画祭で特別招待作品として上映された霍建起(フォ・ジェンチィ)監督作品を鑑賞。
上映終了後に行われた霍建起監督によるQ&Aについては、こちらから。

霍建起監督の代表作というと、真っ先に挙げられるのが『山の郵便配達』(1998年)。
しかし、私にはこの映画の良さがこれっぽっちも分からず、以降、霍建起監督作品には苦手意識が付きまとう。
香川照之も出演する『故郷の香り』(2003年)や、日本との合作『台北に舞う雪』(2009年)といった作品も手掛け、
我々の国との所縁も深い監督ではある。

この新作『大唐玄奘』は、何がナンでも観たかった作品ではなかったのだけれど、
東京・中国映画週間で上映の『ロクさん』のチケット取りに失敗したため、
同日に東京国際映画祭の方で上映されるこちらのチケットを妥協で押さえた次第。

中国国内では、疑問の声も上がっているようだが、
これ、一応、来年2月に行われる第89回米アカデミー賞・外国語映画賞部門の中国代表に選ばれた作品。
脚本を担当したのは、『グランド・マスター』(2013年)や
『妻への家路』(2014年)といった作品で知られる鄒靜之(ゾウ・ジンジー)
また、芸術顧問には、香港の王家衛(ウォン・カーウァイ)が当たるなど、
私にとっての食い付き所が無いわけでもない。



本作品は、ズバリ、玄奘の半生記

玄奘(602-664)は、日本でも<西遊記>に登場する三蔵法師として広く知られるが、
物語の中の架空の人物などではなく、唐代にちゃんと実在した僧侶。
“玄奘”は戒名であり、俗名は“陳褘(ちん・い)”。
なんだ“陳(ちん)サン”だったの?!なんて知ると、急に普通の中国人という現実味が湧いてくる。

<西遊記>の影響で、お猿さんだの豚だの河童だのを引き連れて
旅しているイメージばかり強い玄奘だけれど、実際のところ、どういう人物だったのかは、あまり知られていない。
映画祭のQ&Aを聞くと、霍建起監督がこの映画を撮った理由は、まさにそこだったという。
曰く、「<西遊記>の小説で有名な人物ですが、
実際の玄奘の業績や彼の本当の姿は紹介される機会がなかなか無いので、
ずっと玄奘についての映画を撮りたいと思っていました」と。

本作品が取り上げている玄奘が成し遂げた最も偉大な功績は、
陸路で天竺(インド)へ渡り、657部の経典を唐の国へ持ち帰ったこと。
それまではいい加減な経典が流布していたため、玄奘が天竺から経典を持ち帰り、翻訳したことで、
中国、ひいては日本を含むアジア全土に、ホンモノの仏教経典が広まったという。

交通が整備されていない時代に、全行程ほぼ徒歩で(…!)インド旅行なんて、
大変だったことは容易に想像がつく。
しかし、本作品を観ることで、その大変さが、想像をさらにずっと超えた“大変”であったことを知る。
玄奘が長安に戻って来たのは645年で、出発からなんと20年近い歳月が過ぎていたのだとー。

あの時代は、そもそも出国するだけでも一苦労。
現代だと、密入国者というのが居るけれど、玄奘は“密出国”を余儀なくされる。
正式な出国の許可証を持っていないので、出国しようとする度に見付かって捕らえられてしまうわけ。
最終的には“密出国”に成功するのだが、そのためだけに、もう随分の月日を費やしているし、
国禁を犯しての出国なので、命懸け。

その後も苦難の連続。取り分け厳しいのが自然との闘い。
莫賀延磧の大砂漠なんて、生きて出られるのが奇跡。
果てしなく続く灼熱の砂漠を一人で行脚するのは精神的、肉体的にさぞキツかったであろう。
なけなしのお水もこぼしちゃうしね…。

ただ、大層キツそうでも、新疆・吐魯番(トルファン)、甘肅・敦煌、哈薩克斯坦(カザフスタン)、インド等々、
当時、玄奘が実際に辿った場所で撮影された映像は圧巻。
『地球絶景紀行』みたいな番組と、玄奘プロモーションビデオを合わせたような映像が延々と続く。
そういうのが好きな人には、タマラないものが有るだろうし、
まるで自分が玄奘になって旅しているかのような気分に浸る人も居るかも知れない。
私の場合、ひたすら続く『地球絶景紀行』+玄奘プロモーションビデオに、何度が寝落ちの危機が…。
玄奘は、道中、人に会うことがほとんど無く、当然台詞も無いので、どうしても物語が単調になってしまうのヨ。

玄奘が天竺に到着したと同時に、
「もしかして帰路にもう一度あの長い『地球絶景紀行』が繰り返されるのか…?」と軽い恐怖心が湧いたけれど、
実際には、帰路はかなり端折られていた。ホッ…!




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主人公・玄奘を演じているのは黃曉明(ホァン・シャオミン)
身体を鍛えた肉体派の印象がある黃曉明が、苦行に耐える僧侶?と思ったけれど、
霍建起監督の話では、玄奘は立派な体格をしていたと史書に書き残されているのだと。
そういう点でも、黃曉明は相応しいキャスティングらしい。


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日本だと、ドラマ『西遊記』で夏目雅子が演じ話題になって以降、宮沢りえ、牧瀬里穂、深津絵里と
三蔵法師は女優が演じるのがお約束になっているため、“玄奘=マッチョ”のイメージは無い。
でもね、この映画を観たら、確かに頑強なボディの持ち主でないと、
あの過酷な行脚に耐え、生きて故郷に帰るのは不可能だったと感じる。
パリパリに乾燥し、皮がめくれ上がった黃曉明の唇も、きっとメイクではなく、本当にああなっちゃったのよねぇ?
作り込んで演じるまでもなく、あの場に放り出されたら、自然と当時の玄奘に近付いていくのだと思う。




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他の出演者もちょっとだけ見ておくと、
職務上、玄奘を捕らえながらも、内心彼に理解を示す涼州總督・李大亮に徐崢(シュー・ジェン)
龜茲(きじ)國の木叉法師に湯鎮業(ケン・トン)
玄奘に付いて来る西域の若い僧侶・石磐陀に蒲巴甲(プー・バージャ)
玄奘を迎い入れ歓待する高昌國の王・麴文泰に連凱(アンドリュー・リン)等々。

この映画はあくまでも玄奘・黃曉明の物語で、他の出演者は基本的にカメオ出演程度にしか登場しない。

徐崢が出ていることは事前に知っていたけれど、髪の毛が生えていると、誰だか分からなーーーい…!
涼州の總督に扮しているのが徐崢だと気付くのに、結構な時間を要した。

近年、大陸ドラマですっかりお馴染みの香港俳優・湯鎮業は、坊主頭にするとKen Watanabeっぽい。

そして、西域の若い僧侶・石磐陀に扮する蒲巴甲。
オーディション番組『加油!好男兒(頑張れイイ男)』出身の藏(チベット)族の俳優・蒲巴甲を
私が初めて見たのは、彼の銀幕デビュー作『ヒマラヤ王子』(2006年)。
映画祭での上映に合わせ来日した生身の蒲巴甲も、新宿の映画館へ見に行った。
あれから十年、ヒマラヤ王子は中国大陸の西の果てで僧侶になっておられた。
濃いめの顔立ちだし、やはり“西域担当”で重宝されているようです。
最近、似た系統の顔立ちで、李治廷(アーリフ・リー)が台頭してきているから、
大陸作品の“西域枠”を巡り、競争が激化していくかもね。

高昌國でのシーンは退屈ではなく、なかなか面白かった。
玄奘を迎い入れ、丁寧にもてなしていた高昌國王・麴文泰だが、次第に独占欲が湧き、
「アタシ?天竺?どっちなの?!アタシを置いて、ここを去るなら殺すわヨ!」みたいな脅迫までして
玄奘を自分の元に留めておこうとする。
それに対し玄奘は慌てず騒がず、ハンガーストライキを起こし、結局麴文泰が折れる。
この麴文泰と限らず、玄奘に会った人々は、大抵最後には彼に折れたり、敬服する。
1300年以上もの後の世に名前を残している人物だから、余程の“人たらし”だったのかも知れません。


他にも、趙文瑄(ウィンストン・チャオ)が唐の太宗・李世民の役で出ているという情報が有ったのだが、
作中見付けられず。出ていました…?もしかして、出演シーンはカットされたのだろうか。



余談になるが、この映画が上映された頃…

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虎ノ門にある中国文化センターでは、“映画の旅展”という展覧会が催され、
東京・中国映画週間で上映された映画を中心にそれぞれの作品のロケ地紹介や、
衣装、小道具の展示が行われた。

『大唐玄奘』からは、(↓)こんな展示品が。

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こういう唐代版バックパックを何て呼んで良いのか分からなかったが、
“背簍(背負子/背負い籠)”と説明されていた。
夜道も歩けるよう、蝋燭をのせる燭台もブラ下がっており、機能的。
これ、撮影で黃曉明が本当に使ったものとのこと。
バックパックというより“ポータブル箪笥”なので、竹製でもそれなりに重いと思う。
これ背負ってずっと歩くのはキツそう…。

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玄奘は、『西遊記』の影響で、白い馬に優雅に乗っているイメージがどうしても強いのだが、
我が国の重要文化財<玄奘三蔵像>に描かれている玄奘も(画像左)、
黃曉明とお揃いの燭台&日傘付き多機能バックパックを背負っていたのですねぇ。
今まで、あまり気にして見ていなかった。


他にも、(↓)このような展示。

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劇中、戒日王(ハルシャヴァルダナ王)が身に着けている王冠やその他諸々の装飾品。
触れることができないので、実際の重量までは分からないけれど、とても精密に作られている。





好きなタイプの作品とは言い難いが、これを観ることで、存在に現実味の無かった玄奘が、
我々日本人もよく知る唐の時代に生きた人物であると実感できたのが、大きな収穫。
作中見付けられなかったものの、あの太宗・李世民の時代の実話なのだ。
映画の中には、他にも、本来、長孫無忌や辯機が登場していたみたい(私が見付けられなかっただけかも)。
本作品を観た頃、ちょうどチャンネル銀河で放送されていた范冰冰(ファン・ビンビン)主演ドラマ
『武則天 The Empress~武媚娘傳奇』と、時代や登場人物が重なる。
陳凱歌(チェン・カイコー)監督が現在撮影中の日中合作映画『空海 KU-KAI~妖貓傳』も、
これよりもうちょっと後の唐の物語だし、唐を舞台にした様々な作品を観ることで、
パズルを少しずつ嵌めていくように、あの時代が私の頭の中で形作られていくのが楽しい。

あとねぇ、想像していたより、ずっとインド映画であった。
これ、中国のメディアを統括する廣電總局と在中インド大使館が催した中印電影合作交流新聞通氣會が
発表した中印合作映画3本の内の一本で、中印両国の文化交流促進の意味もある作品。

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(↑)こちら、今年5月に訪中したインドのプラナブ・ムカルジー大統領に謁見した『大唐玄奘』チーム、
主演俳優・黃曉明、監督・霍建起、そして中國電影集團トップの喇培康。

映画産業に勢いがある中国とインドが手を組むなんて、パワー凄そう。
ちなみに、もう二本の中印合作作品は、
成龍(ジャッキー・チェン)、李治廷(アーリフ・リー)らが出演する『功夫瑜伽~Kung Fu Yoga』と、
王寶強(ワン・バオチアン)が主演し初監督もする『大鬧天竺~Buddies in India 』。
分かり易いまでに中国とインドの融合が表現されたカンフーとヨガのコンビネーション!
馬鹿っぽくて、観てみたいかも…。


『大唐玄奘』は、『功夫瑜伽』と比べたら、広く一般にウケる作品だとは思わない。
でも、Q&Aの時の霍建起監督の説明だと、日本公開に向け、話が進められているみたい。
興味のある方は、もうちょっと待てば、日本の映画館で観られるかも知れませんね。


第29回東京国際映画祭『大唐玄奘』上映終了後に霍建起監督が行ったQ&Aについては、こちらから。
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