马连道(馬連道)は、何軒ものお茶問屋が集まる、大陸北方地区最大のお茶屋街。
以前は交通の便が悪かったが、2014年末に地下鉄駅がオープンし、俄然行き易い場所になった。
地下鉄駅開業後、初めてとなる馬連道をブラブラし、
まずは貴州料理が食べられる遵義紅に立ち寄り、軽く腹ごしらえしたまでは、
こちらの“北京2016:馬連道①~遵義紅”に記した通り。
で、食後はというと、
お茶を買うという、馬連道にやって来た本来の目的を果たすべく、

马连道茶城(馬連茶城)へ向かう。
★ 馬連道茶城
馬連道には、数多くのお茶屋さんがひしめき合っているが、
手っ取り早く色んな物を見たかったら、
马连道茶城(馬連道茶城)。

馬連道茶城は、馬連道のランドマーク的存在の“お茶のデパート”。
先に寄った遵義紅からだと、南北に走るメインストリート马连道路(馬連道路)を5分程度南下するだけ。
新たに開業した最寄り駅、地下鉄7号線の湾子(灣子)駅からでも、15分も歩けば、到着。
真っ直ぐな道を、ただただ南下するだけだから、どんな方向音痴の人でも大丈夫。
駅を背に、南下していくと、右手に見えてくるのが馬連道茶城。
建物の前には、お茶に関する知識を網羅した書
<茶經>を記し、

“茶聖”と呼ばれる唐代の著名な茶学者、かの陸羽(733-804)の像。
補足しておくと、陸羽が生まれたのは、
“傾国の美女”楊貴妃に溺れたことで有名な玄宗(685-762)が皇帝の座についていた頃の唐。
そういう時代に、お茶の文化が確立していくなんて、華やかで豊かな唐を想像し、ワクワクしてしまう。
唐代に想いを馳せている場合ではありませんでした、建物の中に入ります。
建物は4フロアから成り、各階の売り場面積は、約7000平米。
お茶売り場は1~3階で、最上階はなぜか
撮影機器売り場。

お茶屋さんは、壁に囲まれた立派な店舗を構えているのも有れば、小さなスペースの所もあり、様々。
なんでも、中国全土から約300の茶商が集まり(…と言っても、お茶なので、福建省辺りが多いかも)、
約500種類の茶葉が取り引きされているのだとか。
しかも、この茶城では、茶葉のみならず、お茶に関する物なら大抵売られている。
中国茶樓を開きたい人は、ここへ来れば、開店に必要な物は取り敢えず全て揃うでしょう。
外国人がこういう小さな店舗のひしめき合う建物の中へ入ると、
しつこい呼び込みにあうのではないかと心配する日本人も居るかも知れないが、
私はここで、そういう目に遭ったことは一度も無く、いつも放置され、好きなように見放題。
★ 焯蘭茶葉
今回は、絶対に〇〇茶を買う!という明確な目的が無かったので、取り敢えず内部をブラブラ散策。
そして、3階のとある一角で、棚に積まれたコロコロ丸いお茶の数々に吸い寄せられ、

早速、気になったお茶の試飲スタート。
販売員の周さんという若い女性は親切で、こちらから頼んだわけでもないのに、
試飲するお茶全てについて、それぞれお茶の名前は勿論のこと、産地、生産年、値段を書いてくれた。
しかも、漢字には拼音まで付けて!
私の発音がよほど酷く、「この人、拼音付けてあげなきゃ、駄目だわ」と思ったのでしょうか。![]()

ちなみに、中国でお茶を買う場合、値段は重さ単位。その値段は大抵、一斤(500g)単位で記されている。
〇〇万円などと聞き、驚くこともあるかも知れないが、それはあくまでも一斤の値段なので、
高級茶でも、少量だったら、さほど懐を痛めずに手に入れられる。
今回、私が買おうとした丸く加工されたお茶も同様。
丸いボール状になってはいても、自然な物で、それぞれ少しずつ大きさが違うので、
“1個=〇〇元”という値段設定はされておらず、量り売り。
ただ、その一斤が一体何個くらいになるのかとか、逆に一個だったら値段はいくらなのかとか、
素人にはなかなか推測しにくい。
そのような場合でも、尋ねれば、すぐに秤で計って、
「例えば、この一個だったら10元」といった具合に教えてくれます。
以下、具体的に気に入ったお茶を挙げておく。
★ 陳皮普洱+陳皮白茶
店頭で目に飛び込み、気になったお茶は、“陈皮普洱(陳皮普洱)”と“陈皮白茶(陳皮白茶)”。
名前からも分かるように、
陳皮(みかんの皮)の中に茶葉を詰め込んだ物。

何種類か試させてもらい、陳皮普洱の方は、雲南省産2011年の普洱茶を詰めた物、
陳皮白茶は、福建省福鼎産2010年の白茶を詰めた物をセレクト。
値段は、前者が150元/1斤、後者が180元/1斤。
こういうお茶は、硬く乾燥した果皮を割り、少しずつ使う。
一般的な中国茶と同じで、お湯の温度は、
基本的に、茶葉の発酵の度合いが高くなればなるほど、お湯は高温。
なので、普洱茶の場合は、100度に沸騰させたお湯を注ぐ。
陳皮を使ったこの手のお茶は、以前、香港で、かなりの年代物を買ったら、結構な値段だったのだけれど、
ここのは、このクオリティでこの値段なら、お得感があると思えた。
★ 小青柑
“小青柑”は、前出の物と同じように、果皮に茶葉を詰めた物なのだが、ずっと小ぶり。
画像では想像しにくいけれど、直径3センチ程度の愛らしいプチサイズ。
使っているのは、陳皮ではなく、“小青柑 Xiǎoqīnggān”という柑橘系のフルーツ。
これが何なのかサッパリ分からない。英語では何て言うかと尋ねたが、周さんは、知らないという。
ネットで調べても分からず、日本へ帰国後、日本在住中国人に聞いたが、やはり分からなかった。
日本に同様の柑橘が存在するかさえ不明だが、私が思うに、カボスかライムの一種という気が…。
とにかく、その小青柑という小ぶりの柑橘フルーツを使っているのが、これ。
中に詰められているのは、こちらも普洱の老茶。
周さんの説明では、近年市場に出回りだした比較的新しい商品で、最近流行っているという。
前出の陳皮普洱との明確な違いは、柑橘特有の爽やかな良い香りが感じられること。
ちなみに、(↓)こちらが、中に茶葉を詰める前のフレッシュな小青柑。
このお茶、昨今本当に出回っているようなので、果実もお茶用にほぼ特化して栽培されている気がする。
そんなお茶、小青柑は、大きな陳皮普洱と違い、割る必要がなく、
一個を丸ごと蓋碗や茶壺にポンと入れ、お湯を注ぐだけだから、超お手軽。
一個で大体15~20杯は飲めるという。
値段は、450元/1斤也。
★ 糯米普洱
こちらの“糯米普洱”は、自分では当初ぜんぜん興味がなく、
周さんに勧められ、消極的に試飲したら、案外気に入ったお茶。
その名の通り、普洱茶に糯米(もち米)を混ぜ、
直径2.5センチ×厚さ1センチ程度の小さな丸い形に固めた物。
この形で、金色のアルミに包まれているから、チョコレートみたい。
主になっている普洱茶は、雲南省産2013年の物。
糯米は、所々に、ポツンポツンと白く入っているのが見てとれる程度。
別に、大量に混ぜ込まれているわけではない。
そんな半端に少量の糯米を混ぜたところで、何か意味あるの?!と疑っていた私だが、
飲んでみたら、糯米がちゃんと味に影響していた。
言うなれば、玄米茶の普洱茶ヴァージョンって感じ。
糯米の効果で、普洱茶の味が明らかにまろやかになっていて、これも美味。
勧められなければ、自分では選ばなかったであろうお茶。
もちろん、これも“買い”。こちらは、150元/1斤也。
★ お買い物終了
周さん、商売上手で、押し付けがましくない程度に、これも飲め、あれも試せと勧めてくるけれど、
おトイレの心配があるので、適当なところで終了。
私が選んで買った物以外に、福建省産の“兰贵人(蘭貴人)”をオマケに付けてくれた。
良いお買い物ができて、満足、満足。
時間が無い人や、お茶への思い入れがさほど強くない人は、わざわざ馬連道まで行く必要ないかも知れない。
老舗の有名なお茶屋さんが、北京中心部のあちらこちらに支店を出しているので、
そういう所を利用すれば充分かと。
お土産に良さそうな最初から綺麗にパッケージされたお茶などは、
むしろ、そういうお店の方が品揃えが良いかも。
でも、お茶が好きな人なら、馬連道は、行く価値のある場所。
この規模のお茶屋街は、他の国ではお目に掛かれないし、地下鉄駅ができ、行き易くなったので、
一度試しにいらしてみては如何でしょう。
◆◇◆ 北京马连道茶城 Maliandao Tea City ◆◇◆
北京市 宣武区 马连道路 11号

D出口から出て、馬連道路を南下 徒歩15分程度
今回私がお買い物をした焯兰茶叶(焯蘭茶葉)というお店は、馬連道茶城の3階、20号という場所。