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第18回東京フィルメックス開幕+『相愛相親』張艾嘉Q&A

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東京国際映画祭が終わると、次はこちら。
2017年11月18日(土曜)の昨日、第18回東京フィルメックが開幕。

ここ数年、開会式の日にフィルメックスに行くことは無かったのだけれど、
今年は、観たいと思っていた作品が、オープニング上映だったので、チケット購入。

アクセス数にもかなりの違いが有るだろうから、単純な比較はできないが、
フィルメックスは、東京国際映画祭と違い、チケット購入がスムーズなのが嬉しい。

★ 会場

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フィルメックスの会場といえば、有楽町朝日ホールであるが、
開会式だけは違い、TOHOシネマズ日劇のスクリーン1で開催。

チケットも、開会式だけは、TOHOシネマズのVitで買えるから、余計に楽ちんであった。
収容人数が都内最大級のこの日劇は2018年2月で閉館してしまうのだが、
東京・中国映画週間もそうだけれど、フィルメックスも、来年以降はどこでやるのでしょう…?
(フィルメックスの開会式は、以前、東京国際フォーラムで開催されていた記憶も…。)

当日、満席とはいかなくても、客の入りは上々で、会場は賑やか。
席に着いて、横に目をやったら、私と同じ列に西島秀俊氏がおられた。
にしじぃー、今回はお一人様ではなく、お連れの男性と。

あと、帰り際には、ワダエミを見掛けた。
とても小柄な女性なのだけれど、
真っ白な髪を真っ赤なおリボンでまとめているのが印象的で、目立っていた。

★ 開会式

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映画上映の前には、開会式。




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今年の審査委員長は、『ゆきゆきて、神軍』(1987年)など
鋭い切り込みのドキュメンタリー作品でお馴染みの原一男監督。

他、4人の審査員も開会式に出席。
画像左から、韓国の映画プロデューサー、エレン・キム、
日本の映画プロデューサー國實瑞惠、
審査委委員長・原一男監督を挟み、
ドイツのアルセナール芸術監督、ミレーナ・グレゴール、
そして、香港の映画評論家・徐匡慈(クラレンス・ツィ) 。


まずは、東京フィルメックス林加奈子ディレクターが、
新作公開にあたる日に、会場を貸してくれた日劇に感謝の言葉を述べると共に、映画祭の開会宣言。

そうでした、忘れていたけれど、
新作公開が集中する土曜日は、映画館にとっては、大切な書き入れ時のはずである。
私からも、有り難う、日劇。


続いて、今年の審査委員長・原一男監督からご挨拶。
「プレス向けの説明会で、林加奈子さんと市山尚三さんが熱心に話すのを聞き、
“あなたたちに映画を読み解けるのか”と挑発されているような気がした。
皆さん一人一人も、審査をするつもりで映画を観て下さい。
そして、我々と皆さん、どちらが深く読み解けているか競いませんか。」と。

相変わらず、自身の監督作品の雰囲気からはかけ離れた飄々としたキャラの原一男監督であった。
原一男監督は、昨年、第19回上海国際映画祭では、ドキュメンタリー部門の審査委員長をやっている。
今回、ドキュメンタリーと限定されないフィルメックスのコンペティション部門では、
どういう判断を下すのでしょうか。

★ 第18回東京フィルメックス オープニング作品『相愛相親』

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私が観たいと思っていた今年のオープニング作品は、
張艾嘉(シルヴィア・チャン)監督&主演作『相愛相親(そうあいそうしん)~相愛相親 Love Education』
上映終了後には、勿論、張艾嘉によるQ&Aあり。


張艾嘉は、2年前の第16回東京フィルメックスでは、審査員も務めている。
毎年この時期は、金馬獎が有るから、
中華圏の著名な映画人を来日させるのは難しいのではないかと懸念もするが、
今年、第54回金馬獎の授賞式は、11月25日(土曜)で、フィルメックスとちょっとだけズレているのだ。
…いや、正確には、フィルメックスの閉会式と丸カブリなのだけれど、
その前に上映すれば、来日のスケジュールに問題ナシ。

この『相愛相親』も、今年の金馬獎で、最佳劇情片(最優秀作品賞)、最佳導演(最優秀監督賞)、
最佳男主角(最優秀主演男優賞)、最佳女主角(最優秀主演女優賞)、最佳女配角(最優秀助演女優賞)、
最佳原著劇本(最優秀オリジナル脚本賞)、最佳原創電影歌曲(最優秀オリジナル歌曲賞)と、
なんと7項目もでノミネートされているので、
フィルメックスの開催が一週間先だったら、張艾嘉は来てくれなかったでしょうねぇ。

今年のフィルメックスは、意識的に金馬とかち合わないようにスケジュールを組んだのだろうか。
それとも、ただの偶然…?
(会期中に一日祝日が入るのは、例年通りなので、金馬とはたまたまズレた可能性が高い。)

★ 『相愛相親』張艾嘉 舞台挨拶+Q&A

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約15分の開会式の後、映画上映前に、張艾嘉監督がステージ上に登場し、簡単なご挨拶。
この日のお召し物は、ベロアのパーカーに、プリーツスカート。
フォーマルという程ではないけれど、カジュアル過ぎもせず、フィルメックスのオープニングに相応しい装い。
「招待して下さったフィルメックスに感謝いたします。
テレビでもiPadでもスマートフォンでもなく、この大きなスクリーンで作品を観ていただけて嬉しい」
と張艾嘉監督。


挨拶に続き上映された映画『相愛相親』の詳細は、また後日として、
ここには、上映終了後、再び登壇した本作品の監督兼主演・張艾嘉による約30分のQ&Aの内、
私がビビッと来た部分を以下に簡単に残しておく。

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質問
田壯壯(ティエン・チュアンチュアン)監督をなぜ起用?

張艾嘉監督
十年ほど前、田壯壯監督の『呉清源 極みの棋譜』(2006年)に
小さな役で出演させていただいた時に出会いました。
普段の田壯壯監督は、監督をしている時とは違い、とても暖かな人です。
私は、『相愛相親』の脚本を書いている時、田壯壯監督の事がどうしても脳裏に浮かんできてしまったので、
電話して、出演を依頼したら、かなり驚いた様子で、何の役か聞いてきたので、「私の夫」と答えました。
結局、その依頼を受けてはくれましたが、「演技ができない」と言うので、
いつもの彼のままでいてくれれば良いと言いました。



質問
一番テイクを重ねたシーンは?

張艾嘉監督
今回は、狭く、しかも真ん中に棚まで置かれたセットだったので、
カメラの李屏賓(リー・ピンビン)と相談し、動きながら撮ることに決めました。
さらに李屏賓は、ズームレンズを使って撮りたいと言いました。
ズームレンズを使い、自然光で撮ろうとすると、フォーカスが合いにくくなります。
特に、私が、娘の部屋をドアをノックするシーンは、
なぜだか分かりませんか、ピントがハズレまくり、何テイクも撮り直すことになりました。



質問
“ジャスティン・ビーバー”と書かれたバッグを持っていたのはなぜ?

張艾嘉監督
小道具の人が用意したのを見せられ、気に入りました。
娘の物を借りてきたという設定で、良い小道具だと思いました。



質問
おばあさんの家に掛けられた女書の意味は?

張艾嘉監督
あの女書は、あの姥姥(おばあさん)が、別の県から来た人であることも表しています。
この映画では、“人は移動する”ということも大きなテーマとして描いています。
その移動は、結婚のためかも知れないし、夢を追うためかも知れないし、様々な要因があります。



質問
おばあさんを演じているお二方は、元々女優さんなのですか?

張艾嘉監督
そうです、二人とも女優です。
私の生みの母親に扮してル女優さんは、村に暮らす姥姥役を選ぶオーディションに来てくれたのですが、
彼女は洗練され過ぎていました。
それでも、村で撮った写真など色々送ってきてくれたので、自分の母親役をやってもらうことにしました。
姥姥を選ぶのは、とても難航しました。
選んだ彼女は、元々舞台を中心にやっていて、
最近2本のコメディ映画に出演したことで、知られるようになった女優さんです。
実は、一度出演依頼をし、断られました。夫を亡くしたばかりで、この役は辛すぎると。
でも、脚本を気に入ってくれて、結局は受けてくれました。
彼女とは良い友達になり、今でも毎朝、微信WeChatで、挨拶を送り合う仲です。



質問
相手に譲る決意をした主人公とおばあさんは、あのままだとスレ違ってしまいそうですが、
ラストをどう考えていますか?

張艾嘉監督
私にとって、物事の終わりというのは、始まりでもあります。
あの二人も、新たな関係が始まり、もしかして一緒に東京に行くことだってあるかも知れません。
二人は、相手を想い合える仲になったのです。



質問
家族の物語を撮ろうと思った動機は?

張艾嘉監督
2012年、脚本家の女性から出された案に目を通し、感動しました。
彼女自身が抱える問題を元にしたお話なのですが、
それだけではなく、他にも色々なテーマを盛り込める余白が有ったことが、とても良いと思いました。




物語の比較的前の方で、張艾嘉扮する主人公が肩から下げている
「I ❤ Justin Bieber」とプリントされたトートバッグに、目が釘付けになってしまった私。
よりによって何故ジャスティン・ビーバー?!と気になって気になって仕方が無かったのだが、
まさかそこを質問してくれる人が居るとは思わなかった。
あの男性に、今回の“ベスト質問賞”を差し上げたい。私に代わり、聞いてくれて、ありがとう!

二人登場するおばあさんの内、冒頭で早々に亡くなってしまう主人公の母親を演じているのは、
もしかして映画ファンには馴染みが無いのかも知れないけれど、
大陸ドラマを観ている人なら、しばしば目にしているであろう王麗媛(ワン・リーユエン)である。
日本で、ほんの数日前に最終回を迎えたドラマ『王女未央-BIOU-~錦繡未央』にも、
主人公・未央の祖母にあたる尚書府の老夫人役で出ていたので、
映画『相愛相親』の冒頭で、病床に伏している彼女を見て、
「おぉ~、未央のおばあさんが、現代人の扮装で、張艾嘉の母親になって、今にも死にそうになっている!」
と何だか不思議な気持ちになった。

俳優として、張艾嘉の夫を演じている田壯壯監督にも注目で、これまた良い味を出しております。


それにしても、張艾嘉は、相変わらずハツラツとして、素敵な女性であった。
あまり年齢を言うべきではないかも知れないが、あの若々しさで64歳は、信じ難い。
あっ、ちなみに、張艾嘉の挨拶やQ&Aは、今回全て英語で行われました。

映画も、とても楽しめた。
もしかして、私にとって、張艾嘉監督全作品の中で、ベスト3に入るかも。
その映画『相愛相親(そうあいそうしん)~相愛相親 Love Education』の詳細は、また後日。
あと一度、2017年11月24日(金曜)午後3時20分に上映が有るから、
興味のある方は、是非、有楽町朝日ホールへ!

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