北京2017:頤和園①、北京2017:頤和園②に記した通り、数時間で頤和園をざっと見学した後は、
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地下鉄4号線・北宫门(北宮門)駅
そろそろ空腹で不機嫌になりだした母を連れ、お食事処へ。
選んだお店は、頤和安縵(アマン・アット・サマーパレス)内にあるレストラン。
2014年、東京丸の内に、“初の都市型アマン”の触れ込みで、アマン東京が開業したけれど、
それより6年も前に、“初の都市型リゾート”としてオープンしたのは、北京の頤和安縵である。
“頤和安縵”の名からも想像がつくように、あの頤和園に隣接。
…と言う以上に、頤和園の一部である。
北京2017:頤和園①で記したように、頤和園・和园(和園)エリアの東側が隔離され、
このホテルになっている。
北京には古い四合院などを活かした伝統的なチャイニーズスタイルのホテルが色々あるけれど、
頤和安縵はもう別格、最高峰です。
だって、広過ぎるロイヤルファミリーの別宅の一部が、そのままホテルにリノヴェーションされているのだから。
但し、都市型と言っても、北京中心部から少々離れているので、あちこち観光したい人の宿泊には不便。
北京観光を頤和園一点に絞る人とか、ホテル滞在を目的に北京へ行く人なら、とても良いと思う。
そんな訳で、私は、立地や交通の問題で、頤和安縵を北京の宿泊候補と考えたことはないのだけれど、
頤和園見学ついでのお食事にはもってこい。
頤和安縵の中には、中華レストランの安縵館 The Chinese Restaurant(←英語名はズバリで分かり易い)、
奥村直樹シェフのフレンチ風懐石料理レストランNaoki、
そして、お肉をメインにした洋食ダイニングThe Grillと、3ツのレストランの他、
アフタヌーンティー等が楽しめるラウンジもある。
北京で食べるなら、中華以外の選択肢は、私の頭の中に端から無いので、迷わず安縵館に決定。
ここへ行くのは、以前、友人Mとやはり頤和園見学のついでに寄って以来だから、かなり久し振りである。
★ 頤和安縵
頤和安縵の写真、ほとんど無し。
ちょっとなら有るけれど、母が写り込んでしまっているので、使えない…。
この画像では分かりにくいが、この正面の門だけでも、相当大きい。
手前の狛犬だって、現地で実物を見ると、野生の猛獣サイズ。
(門の脇に、比較のためのタバコをひと箱を置きたい…。)
門をくぐると、まず目隠しの影壁/照壁。
この影壁も、一般的な四合院の物とは比較にならないほど大きい。
影壁の向こうには、ドカーンとメイン建物。
扁額には、“玉露金風”の文字。
通常の四合院で、北側に建つ“正房”にあたるのが、これかも知れない。
頤和安縵では、ここがレセプションになっている。
敷地内に、建物は他にも色々あるし、お庭もあり。
ホテルのスタッフに頼めば、客室も見せてくれるようですよ。
(見せてあげると言われたが、私は面倒くさくなってパスした。)
清朝皇家の栄華をこれでもかー!ってほど見せ付けてくれる壮麗さは、こんな写真では分かりません。
皆さま、現地へ赴き、ご自分の目でお確かめ下さい。
★ 安縵館 The Chinese Restaurant
お目当てのレストラン、中華の安縵館は、正門をくぐり、左側(西側)。
小路を奥へ進んで行くと、ポツンと小さな建物が見えてくる。
竹に覆われた入り口も質素。
正面に飾られているのは、ラストエンペラー溥儀の皇后・婉容(1906-1946)を中心に、
左奥に、溥儀の家庭教師、レジナルド・ジョンストン(1874-1938)、
右隣りに、婉容の家庭教師、イザベル・イングラム(1902-1988)。
撮影場所は紫禁城で、恐らく1923~1924年の間に撮った写真と言われている。
レジナルド・ジョンストンは…
『ラストエンペラー』(1987年)でピーター・オトゥールが演じたこともあり、有名だが、
イザベル・イングラムの知名度は、ここ日本では今ひとつ。
北京生まれのアメリカ人。1988年まで生きていたなんて、つい最近ではないか。
彼女で一本映画が作れそう。
ドアを入ると、すぐにレストラン。
内部も決して広くはない。北京のレストランとしては小ぶりで、隠れ家的。
木の風合いを活かしたインテリアは、華美ではなく、落ち着いてシック。
(私が到着したのは、ラストオーダーぎりぎり。
入店時にはまだ多少他のお客さんが残っていたので遠慮したが、
その後、皆いなくなっちゃったので、店内の写真は撮り易かった。)
窓際のテーブルに着席。
窓の外は、小さなお庭。
“庭”と言っても、ちょっと木が植えられている程度のただの空間。
ホテルスタッフが、外国人を導き、この庭の奥の扉に入っていくのを、何度か見た。
頤和安縵宿泊客は、専用の出入り口から、フリーで頤和園に入れるので、ここがその出入り口なのかも。
安縵館のお料理は、主に広東料理で、さらに多少の北京料理、宮廷料理なども。
では、注文。
以下、このような物を食べました。
★ 各式時蔬~芥蘭
まずは、お野菜。
数種類ある季節のお野菜の内、選んだ物を、好みで調理してくれる“格式时蔬(各式時蔬)”。
私が選んだのは、香港ではお馴染みの芥蘭(芥藍)。
調理法はお任せにしたら、やはり香港で最もポピュラーなニンニクを加えた炒め物で提供された。
ひと皿、98元也。
芥蘭のシャキッとした歯応えを残して、味付けも良し。
たかが野菜炒めが、とても美味。
こういうのは、素人と玄人の腕の差が出ますよね。
コンロの火力も、レストランのプロ仕様と民家では、違うし。
★ 四喜烤麸
続いて、“四喜烤麩(四喜烤麸)”。
広東料理でも北京料理でもない、上海料理の定番をメニューに見付け、好物なので、嬉しくなって注文。
ひと皿、88元也。
“烤麸”というのは、グルテンで作られた食品。字からも想像が付くように、一種のお麩。
その烤麸をメインに、他の食材(基本的には、“四喜”というくらいだから4種類の食材)を足し、
五目煮にしたのが、上海料理の四喜烤麩。
合わせる食材は、家庭やお店によって、若干変わる。
安縵館のは、かなり基本に忠実で、木クラゲ、椎茸、ピーナッツが混ざっていた。
醤油と砂糖で、甘く煮しめた味は、日本人好み。
母は、初めてだったらしいが、やはり気に入っていた。
前菜のつもりで頼んだら、結構な量だったのだけれど、ペロリと完食。
★ 秘制紅焼肉
主菜は、“秘制紅焼肉(秘制红烧肉)”。
母と私、一人ひと皿ずつ注文。
一人前、98元也。
秘制紅焼肉は、安縵館のスペシャリティの一つ。
以前来た時は、やはりスペシャリティとして推奨されていた料理で、
これに似た“牛肝菌東坡肉”というのを食べた。
キノコを一緒に煮込んだ東坡肉(トンポーロー)である。
そちらは、メニューから外し、今は、秘制紅焼肉を提供している模様。
秘制紅焼肉は、キノコを取り除いた分、より伝統的な紅焼肉。
日本風にいうと、豚の角煮。
味は、しっかり濃いめ。
かなり煮込んでいるのだろう、歯が無くても歯茎で簡単に噛み切れそうな柔らかさで、
口の中でとろける。
味の濃い豚の三枚肉なんて、クドそうだけれど、全然そんなことない。
家庭の手作り風素朴な紅焼肉も良いが、
このデリケートな感じは、素人がなかなか真似できるものではない。
私、普段、お肉はほとんど食べないのだけれど、これはペロリ。
本当に美味しいと思った。
母も、「さすが“秘制”っていうだけあって、美味しいわぁ~」と満足。
★ 黄橋焼餅
ちょこっとつまめる点心も一つ注文。
こちら、“黃橋燒餅(黄桥烧饼)”で、ひと皿に3個入りで、38元也。
黄橋焼餅は、江蘇省黄橋発祥の点心。
お店によって少しずつ異なるので、どれがより伝統的なのか分からない。
安縵館の物は、小ぶりの丸型で、皮はパイ生地。
パイ生地と言っても、リーフパイのような洋菓子風のパイ生地ではなく、
軽く、口の中でホロホロと崩れていく食感。
中の餡は、玉ねぎとハム。
ほぼペースト状になった玉ねぎは甘く、そこに中華ハムの旨味と塩分がアクセント。
割ると、中がボヤッと白っぽいだけだから、地味で、あまり美味しそうに見えないのだけれど、
食べると良いお味。
★ デザート
すでにかなりおなかいっぱいだったけれど、次いつ来られるか分からないので、デザートも。
母が選んだのは“芒果布丁”。そう、マンゴープリン。
マンゴープリンなら今やどこでも食べられるから、他のにしろ!と強く言ったけれど、
「いいの、マンゴープリンで」と譲らず。
1ツ68元也。
私は食べていないので、味は分からず。
母は美味しいと言っていたが、多分普通のマンゴープリンだと思う。
私が注文したのは、“薑汁燉鮮奶(姜汁炖鲜奶)”。
こちらも1ツ68元也。
名前が微妙に違っているけれど、広東近辺で食べられている伝統の“薑汁撞奶”と同じ。
日本でも、香港の旅番組で“生姜牛乳プリン”などと呼ばれ、しばしば紹介されているホットデザート。
生姜汁を入れた容器に、温めた牛乳を注ぎ、生姜の酵素で固めて作る。
なので、安縵館でも、オーダーから20分を要する。
時間がない人は、早めに注文を入れておくこと。
“生温い”という感じではなく、かなり熱い状態でオファー。
自然で優しい甘さに中に、生姜の味が効いている。
母は暑がりなので、暑い日にホットデザートなど考えられず、マンゴープリンを注文したが、
明らかに「生姜牛乳プリンにしておけば良かった…」という後悔の表情が見て取れた。
母も私も、女性がよくやる「一口ちょうだ~い」とか「ちょっとずつシェアしましょ」が大嫌いなので、
今回もお互いのデザートの味は知らず仕舞い。
他にも、順発祥で、香港マカオ辺りでもよく食べられているミルクプリン、
“順雙皮奶(顺双皮奶)”もあって、
どちらにしようか、ちょっと迷ったけれど、生姜味が好きなので、今回の選択で私は満足。
このお店を気に入り、「ねぇ、mangoちゃん、明日から毎日、ここに食べに来ましょうか?」と母。
母は、北京の地理がまったく分かっていない…。
北京、広いのよ、移動が結構面倒なのヨ。
でも、頤和園を観光する時には、周辺に他にこのレベルのレストランが無いので、とても良いと思う。
時間に余裕がある人は、ホテル内を散策するのも楽しいであろう。
なにせ、ここは世界遺産・頤和園の一角ですから。
東京にアマンができた時は、かなり期待したのだけれど、北京のと比べてしまうと、ガッカリである。
東京だと充分な土地が無いし、
仮に素敵な世界遺産が有ったとしても、その一角を外資系ホテルに切り売りなんて、大批判必至だから、
まぁ、仕方が無いと言えば仕方が無いのだが…。
でも、ホテル内に和食のレストランを作らなかったのは、理解できない。
東京のアマンは、外国人富裕層をターゲットにしていないのだろうか。
プチ贅沢をしたい日本のOL(&下品な成り金美容整形医T)で賑わってくれれば良いの?
アマン東京の狙いが分からないので、何とも言えないが、
アマン一つとっても、中国と日本では、元々持っている歴史的遺産の規模や数が違うし、
外国人へのアピールの仕方に雲泥の差があると思い知らせる、…残念だけれど。
北京の頤和安縵にも不満が無いわけではない。
ラウンジで提供しているアフタヌーンティーが、一般的な英国式なのが残念。
お茶は、英国風紅茶以外に、中国茶をセレクトできるが、食べ物は完全に一般的な英国式なの。
その昔、香港の半島酒店(ペニンシュラ香港)内の中華レストラン・嘉麟樓(スプリングムーン)が、
中国茶と共に、甘い系しょっぱい系多種多様の中華点心をセットにした
“中式下午茶(チャイニーズ・アフタヌーンティー)”を提供していて、それが大好きだったので、
ああいうのを頤和安縵の雰囲気で楽しめたら最高なのになぁ~と夢見てしまう。
◆◇◆ 安縵館 The Chinese Restaurant ◆◇◆
頤和安縵 Aman at Summer Palace内
北京市 海淀区 颐和园 宫门前街 15号
頤和園の正門・东宫门(東宮門)のすぐ脇

但し、この地下鉄駅は、頤和園北宮門のすぐそば。東宮門の近くには駅が無い
北宮門から東宮門方面へは、徒歩だと恐らく15分くらい
ちなみに、頤和安縵 のラウンジで下午茶(アフタヌーンティー)が提供されるのは、午後1時半~5時半