大企業の御曹司・薛海は、過保護な姉・薛波から離れ
自由に自立して生きようと杭州の大学へ留学を決意。
薛波も薛海の決意を渋々受け入れたものの、心配でたまらない。
周囲に大富豪とバレたら、狙われやしないか?!
そこで、薛海は姉の提案で“林達浪”という偽名を使い、身分を隠し、貧乏学生として新生活をスタート。
早速、達浪と同じように台湾からの留学生で、大学一恐れられている凶暴な女学生・陳寶珠と出逢う…。
2012年2月末、
ホームドラマチャンネルで開始した台湾ドラマ『僕のSweet Devil~海派甜心』が

2012年8月8日、全23話の放送を終了。
★ 概要

近年、日本で放送されたものだと、『スターな彼~呼叫大明星』も『愛∞無限~Endless Love』も
私の趣味にはカスリもしなかった。
この『僕のSweet Devil』は、『愛∞無限』より前の2009年度の作品。
ドラマの重要なキャラクターとして登場するピンクパンサーの権利問題で
日本での放送が遅れたとも言われている (真相は不明)。
ちなみにピンクパンサーは中国語で“粉紅頑皮豹 fĕn hóng pí bào”。
簡単に“頑皮豹 wán pí bào”とも“粉紅豹 fĕn hóng bào”とも。 本ドラマでは確か“頑皮豹”が使われていた。
作中、他にも、
日本のコミック<ワンピース>のポスター等もボカシ無しで堂々と出ているので

権利問題はクリアしようと思えば、クリア出来るようだ。 ボカシだらけのドラマなんてイヤだものね。
★ 物語
過保護に育てられた大富豪の御曹司・薛海が、身を守るため“林達浪”という偽名で貧乏学生を装い
凶暴で、大学一の不良・寶珠に、振り回される達浪だが
孤独なふたりは、次第にお互い良き理解者となり、惹かれ合い、交際に発展。
楽しい大学生活はあっという間に終了。 達浪は、卒業を機に、寶珠に自分の正体を明かし

貧乏だから捨てられたと傷付いた達浪は、台湾・高雄に戻り、本名の“薛海”で人生を再スタート。
偶然、
ラジオの人気DJ“甜心小姐”が寶珠だと知り、ラジオ局を買収し、彼女に急接近。

自分がかつての“林達浪”である事を隠している薛海には
イケている御曹司として寶珠を振り向かせたところで、彼女を捨てるという復讐計画が有ったのだ。
こうして3年の時を経て、奇妙な再会を果たした“達浪”こと薛海と寶珠が、複雑な感情を抱きながら
誤解を解き、幾多の障害を越え、強い運命の絆を取り戻す
ラヴストーリー。

いくら名前が違い、見た目が垢抜けたからといって
誰も“薛海=達浪”と気付かないとは、みんな鈍過ぎ、有り得なぁーい!とも思うが
それを突っ込むと物語が成立しない。 細かい事には目を瞑るのが、台湾ドラマ鑑賞の鉄則。
正体がバレそうになっても、自分の心に踏ん切りがつかなかったり、事件や事故に巻き込まれたり
記憶を失ったりと、前半に比べややシリアスな後半は、主人公ふたりの復縁まで引っ張る引っ張る。
そして、どんな不幸に見舞われても、何事も無かったかのように迎えるハッピーエンディングもお約束。
★ キャスト その① : 男主人公・林達浪/薛海

このドラマ一番の見所は、“林達浪”こと薛海に扮した羅志翔の
アイドルである自分をかなぐり捨てたダサ男への激変ぶり、これに尽きる。
お椀をかぶったような“
香頭(きのこ頭=つまりはマッシュルームカット)”に
眼鏡、


そして半ズボンというコーディネイトは、台湾の人気シンガー盧廣仲(クラウド・ルー)がモデルと推測。
小道具以外にも羅志翔は、受け口にして役作り。 薛海は後にイケメンへの大変身を遂げると
下アゴも奥にスーッと引くが、たまに気が緩むと受け口になってしまうという凝りよう。
私も試しに受け口を真似てみたが、アゴが痛くなり、キープするのは至難の業。
ダサ男に扮している間中あのアゴをキープし続け、台詞まで喋る羅志翔を、改めて尊敬してしまった。
大学を卒業した3年後を描く第8話からは、モテモテの大富豪に見た目一新。
茶髪+ピンクのジャケット+パープルのパンツ+愛車フェラーリはやり過ぎでむしろドン引き。
地味男好きな私にとっては、チャラいモテ男より、ダサダサな頃の達浪の方がずっと好感度高し。
ダサい頃の達浪の衣装で、特に記憶に残っている物がある。
初めて見たはずなのに、ずっと昔から知っているような懐かしさを感じるこのポロシャツ(↓)。
そう、まるで三越の紙袋。 昔から知っている訳だわ。 三越の制服以上に三越テイスト。
★ キャスト その② : その他の主要登場人物
このドラマは、羅志翔の林達浪を見ているだけで、もうおなかいっぱいになるが
他の主要キャストにも一応簡単に触れておく。

本作品もうひとりの主人公・楊丞琳は“可愛教主”のイメージを払拭し、目元にはブラックのシャドーを入れ
服もブラックが基調の
ロッカーテイスト。チンピラもブン殴る不良娘役を見事演じているが

羅志翔の激変っぷりが、あまりにもキョーレツなため、楊丞琳の変身の衝撃が薄らいでしまった。
台湾高雄に舞台を移すドラマ後半は、見た目も中身も、不良から落ち着いた普通の女性に変身。
達浪への想いがスレ違い、
泣きのシーンも増える。 楊丞琳は、本気で泣くと

首に赤い斑点のような物が浮いてくる。 それが熱演のバロメーターのように感じる事がしばしば。

鈕承澤(ニウ・チェンザー)監督とは、基本的に♂男の趣味(?)が合うと勝手に共感している私。
しかし、彼が目を掛ける“四大弟子”と呼ばれる阮經天(イーサン・ルアン)、彭于晏(エディ・ポン)、
唐治平(タン・ジーピン)、李威の内、これまでどうしても理解できなかったのが、この李威。
久し振りに見たら、相変わらず見た目が“台湾に暮らすキムタクの遠縁”みたいで、演技もまるでキムタク風。
だが、今回扮する言風先輩が仏様並みに心の広い良い人だったため、初めて李威に
ホレてしまった。


モデル出身の吳亞馨は、スラリと長身でさすがに綺麗。
この前に観た出演作『泡沫の夏~泡沫之夏』では、意地の悪い女優に扮していたが、今度は結構イイ人。
恋の多角関係にどっぷり絡むほど重要な役とは言えないし、作中ビミョーな踊りを踊っているが
吳亞馨自身は、朱孝天(ケン・チュウ)との度重なる交際別離復縁報道で騒がれたり
日本でも出演作の放送が続くので、注目株として出しておく。

オープニングは羅志翔の<愛瘋頭> 、エンディングは楊丞琳の<雨愛>。
<愛瘋頭>は以前このブログに貼っているので、<雨愛>の方を。
バスタブの中に座って
傘をささなくても、シャワーの蛇口さえ締めれば、必要なくなると思うわヨ、多分。

MVの中のお相手役は、『九月に降る風』の王柏傑(ワン・ポーチエ)くん。
あと、瓶のラベルを書くのに使っているペンが、サクラの“マイネーム”。 これまだ売られているの…?
どう見ても薛海のおばあさんにしか思えない方芳(ファン・ファン)扮する薛波を
薛海の母はおろか、姉だと言い切る強引な設定からして笑え、開始早々からドラマに引き込まれた。
一度は別れた達浪と寶茱が再会し、幾多の困難が待ち受ける息苦しい後半の展開より
私は、こういうお馬鹿でお気楽な前半部分の方がずっと楽しめた。
最後は寶茱の方から「林達浪、你願意娶我嗎?(林達浪、私を娶りますか?)」と逆プロポーズ。
最後まで男前な寶茱姐であった。
普通の偶像劇と言ってしまえば、それまでだが、最近観た林合隆監督作品の中では一番面白かったし
(他がツマラな過ぎたとも言える)、小豬(=羅志翔)の壊れっぷりは見もの。
視聴者を喜ばせるために、ありとあらゆる事をする徹底したエンターテイナーは
台湾男性アイドルの中で、小豬が断トツ。 もの凄いプロ根性を感じる。
あと、本作品の日本語字幕では、登場人物の名前が漢字+ルビで表記されていたけれど
もしかして、最近少しずつそういうドラマが増えてきている? だとしたら良い傾向。

J-COM HDで第1話先行放送を観たが、その1話に限って言えば、特別惹かれる所が無かった。
但し、
松山でもロケが行われていたり、周采詩(チョウ・ツァイシー)の日本語が聞けるなど

食い付きどころは有るので、第2話以降に期待。