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映画『マクダルのカンフーようちえん』

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【2009年/中国・香港・日本/80min.】
香港・大角咀にママ麥太とふたりで暮らす子ぶたの幼稚園児・麥兜。
出来の悪い麥兜を心配した麥太は、自分の人生再スタートも兼ね、彼を連れて武漢へ。
そこからさらに武當山にまで連れて行かれた麥兜は
山奥にひっそり佇む“太乙春花門”に預けられてしまう。
ママと離れ、新しい仲間たちと寝起きを共にしながら、カンフー修行に励む日々が始まる…。
 
 
香港発人気アニメが久し振りに日本のスクリーンに登場。
前回渋谷の映画館で『マクダル パイナップルパン王子』を観たのが2006年。 もう6年も前だったのか…。
現在も日本では、映画公開記念で、テレビアニメシリーズ『春田花花幼稚園~マクダルとマクマグ』
CSカートゥーンネットワークで放送中。
私には、このアニメの魅力がイマイチ理解できないけれど
今年は久々に香港へ行き、観光名所・星光大道でこのブタのブロンズ像も拝んできたことだし(→参照
旅の余韻に浸るためにも鑑賞。
但し、この度は、日本語吹き替え版のみの上映。
耳から入ってくる台詞が日本語では、香港旅行の余韻など浸れたものではない。 残念…。
 
 
作品の生みの親は、公私共にパートナーである謝立文(ブライアン・ツェー)
イラストレーター麥家碧(アリス・マク)のコンビ。
映画では、謝立文が監督・脚本、麥家碧が美術監督を担当。
 
主人公の麥兜 McDullは、香港の母子家庭に育った子ぶた。
この手のアニメにしては、ちょっと悲しげな父親不在という設定について、絵を担当する麥家碧は以前
「毎回ブタを3匹も描きたくなかったから、こうなった」とジョークだか本気だか判断しにくい説明をしている。
 
本作品で麥兜は、地元・香港を離れ、“武當拳”発祥の地、中国大陸は武當山へ。
そこでママと離れ、同世代の新しい仲間たちとカンフー修行を積み
世界一強い幼稚園児を決める大会“國際幼兒園武術大賽”を目指すが
麥兜はやっぱり麥兜のままだった、…というユルい物語。
 
アニメの命はキャラクター
アニメの好き嫌いの基準は、もしキャラクターグッズが売られていたとして
それが欲しいか欲しくないかで単純に計れる気がする。 それ位キャラクターは私にとって重要。
私がこのアニメに惹かれない最大の理由は、キャラクターのデザインが好みに合わないから。
好みに合うのは、ここ数年だと、(パペットアニメではあるが…)『ファンタスティックMr.FOX』かしら。
麥兜グッズは、売られていても、欲しくない。 どうしても可愛いとは思えない。
 
しかし、キャラクターにソソられないこのアニメにも、いつも私を魅了する部分がひとつ。
それは、香港の街並みを細密に描き込んだ背景画
シンプルに描かれた登場キャラクターたちとはまったく異なるタッチで描かれ
香港らしい混沌とした空気がムンムン。 古びた唐樓がイイ感じ。
ただ、このような背景は、いつも作品のほんの一部にしか出てこないので、それが残念でならない。
麥家碧は、イギリスのレイモンド・ブリッグズが好きらしく、
彼女の画風にも、確かにレイモンド・ブリッグズの影響がたまに感じられるのだけれど、うーん…、何かが違う。
 
本作品では、麥兜が香港を飛び出すため、ちょっとだけ武漢の街並みも楽しめる。
さらに愉快なのが、麥兜の18代前の御先祖様、麥仲肥が登場するこのシーン。
 
 
なんと、あの<清明上河圖>の中に麥仲肥が…! これ好き。
 
 
声の出演は、テレビシリーズとは声優陣を大幅に入れ替え
主人公・麥兜に鈴木福、ママ麥太に前田美波里、麥兜のガールフレンド・牛の阿Mayに剛力彩芽
メジャーどころをキャスティング。
皆、声の感じがキャラクターに合っている。 でもねぇ、やっぱり原音で観たかった…。
日本公開版で、原音が残されているのは、歌の部分のみ。
オリジナル版では、例えば吳君如(サンドラ・ン)がママ麥太の声を当てるなど
香港の有名俳優たちがキャスティングされているし
広東語の響きが耳から入ってくるだけで、香港気分が盛り上がる。
 
 
 
夏休みに日本語吹き替え版だけで公開するということは、ターゲットを香港映画ファンではなく
日本の普通のお子たちに絞っているのであろう。
確かに、鈴木福クン効果も有ってか、観客の半数は、小さな子供を連れた親たちであった。
私の前に居た3~4歳と思しき女児は
カンフーパンダ♪カンフーパンダ♪」と上映開始を今や遅しと待ち焦がれていた。
すでに上映終了しているカンフーパンダを、娘からせがまれたママが
苦肉の策で「これがカンフーパンダよ」と急場しのぎに映画館に連れてきたのだろうか。
あの女の子、一体何歳くらいで、自分が観た映画がカンフーパンダではなく
香港のブタの話だったと気付くのかしら。 ママも罪よねぇ。
勘違いだろうと何だろうと、結果的に気に入れば良いが
この物語は、そういうお子たちを喜ばせるほど単純明快ではないし、ヒットするとは考えにくい。
だったらいっそオリジナル言語の字幕版を上映しても良かったのでは?
私は、人々が言う程、麥兜のお話を深いとも哲学的とも思わないし、今回も今ひとつ入り込めなかったが
オリジナル言語だったら、最低限“香港映画気分”には浸れたと思う。

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