テレビで旅番組を観ている時など、さり気なく耳に入って来る風景に合った
BGMで

知らず知らずの内に旅気分が上がるもの。
ここのところずーっとダラダラとブログに北京旅行備忘録を記している時も
文章のイメージに合った中国チックな曲をBGMに欲しくなってしまう。
そこで、
テレビで中華な映像が映る時、結構な頻度で流れる“お約束BGM”を列挙。

私がテレビを観ながら「あっ、この曲…」と瞬時に反応するのは、やはり映画で使われた曲が多いみたい。
作曲者や曲のタイトルを見てピンと来ない人でも
これらの曲は無意識の内に耳にしている可能性が高く、記憶の片隅に残っているのでは。
動画は、あまり数を増やすとブログが重くなってしまうので、一部だけ貼っておく。
★ 悠久の歴史系

『ラストエンペラー』(1987年)のサントラから。同作品の音楽と言えば坂本龍一と思いがちだが
一般人の耳によりこびり付いている曲は、デイヴィッド・バーン作曲のこちらの方ではないだろうか。
やはり故宮や、清朝皇帝ゆかりの地の風景に合わせて流れることが多い。

吳宇森(ジョン・ウー)監督作品『レッドクリフ』(2008年)の音楽を担当したのは、日本の作曲家・岩城太郎。
一度聴いたら忘れられず、脳内再生を繰り返す“パッパッパッパッパラッパ!”の勇壮なメロディは
やはり三国志ゆかりの地や、大陸ならではのスケールの大きな風景のBGMに。
同じく『レッドクリフ』のサントラから、壮大でありながらもっとゆったりした調べの<A Hero And A Boy>も
結構テレビで耳にする。

ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した台湾の侯孝賢(ホウ・シャオシエン)監督作品、
『悲情城市』(1989年)で音楽を担当したのは、日本のユニットS.E.N.S.。
映画は台湾における白色テロを描いているが、台湾を扱う旅番組より
大陸の“悠久の歴史系”番組で流れる機会が多いような気がする。
台湾を扱う旅番組の多くは、夜市でアイドルが食べ歩きするようなものなので
胸を締め付けられる、もの哀しく神秘的な旋律は、確かに合わない。
★ 雄大な自然系/長閑な風景系

日本を拠点に活動する二胡奏者・陳敏のこの曲は
特にBS朝日の『中国神秘紀行』や『アジア神秘紀行』での使用頻度が高かったような…。
二胡というと、哀愁漂う音色のゆったりした楽曲が好まれがちかも知れないけれど
この曲はたおやかでありながら力強く、聴くとスカーッと突き抜ける爽快感!
二胡演奏のみならず、作曲を手掛けているのも陳敏。なんて才能豊か。気分が上がる大好きな曲。
真っ青な空が広がる雄大な自然のBGMになることが多い気がするが、逆に大都会の風景にもマッチ。

張藝謀(チャン・イーモウ)監督作品『HERO』(2002年)で音楽を担当したのは
『グリーン・デスティニー』の曲でアカデミー賞を受賞している中国を代表する作曲家・譚盾。
哀調を帯びた美しい旋律が、山水画のような幻想的な風景にぴったり。

最近亡くなった李香蘭が歌い、その後も多くの歌手にカヴァーされ続けている服部良一が作曲したこの曲は
インストゥルメンタルでも使われることが多く
タイトル通り蘇州、または西湖など穏やかで雅な風景に合わせ流れるような気がする。

張藝謀(チャン・イーモウ)監督作品『初恋のきた道』(1999年)のテーマ曲。
聴くと、綿入れを着てプクプクになった章子怡(チャン・ツィイー)がけな気に走る姿が目に浮かぶ。
同じく張藝謀監督作品で前出の『HERO』の曲とはまったく異なり、田舎の風景にピッタリ。
ここには陳敏の<Ever Flight>の動画を貼りたかったが、見当たらないので、聴ける所をこちらにリンク。
この曲は、2003年にリリースされた陳敏のアルバム
<i love~我聞>に収録。

★ 都会系

アイルランドのグループThe Cranberriesの<Dreams>を王菲が広東語でカヴァー。
王家衛(ウォン・カーウァイ)監督作品『恋する惑星』(1994年)の中で効果的に使われたことで
日本でも広く知られ、香港や上海といった賑やかな都会の風景のバックに、未だにかなりの頻度で流れる。
私もこの曲を聴くと、反射的に“香港行きたいっ!病”に襲われる。

周星馳(チャウ・シンチー)監督主演作『少林サッカー』(2001年)のテーマ曲。
都会の雑踏のBGMの他、何かに挑むようなシーンには欠かせない曲。
出だしの“ズンズズンズズン”からもう闘争心が掻き立てられる感じ。

日本のテレビで流れる中華なBGMは、基本的にインストゥルメンタル。
そんな中、珍しく広東語の歌詞付きで流れるのが、成龍が歌うこの『ポリス・ストーリー』(1985年)の主題歌。
“都会”と言うか、ほぼ香港限定で流れる他、
成龍を真似たお笑い芸人が身体を張った一発芸などを披露する時にも。
この曲、私は別に好きではないのだけれど、聴くと確かにやる気がみなぎってくるから不思議。
あとは、女子十二楽坊や、かつてサントリー烏龍茶のCMで使われた日本の有名曲の中文カヴァー等を
よく耳にするような気がする。他にどんな曲が使われているでしょうか?
今どきのC-Popにも良い曲は沢山あるけれど、聴く日本人がとても限られていて、一般には馴染みが無く、
残念だけれど、日本のテレビでBGMに使われる事もほとんど無いように感じる。
上記のもので、私の気分を上げてくれる中華なBGM・TOP3を選ぶなら、
陳敏<Ever Flight>、



気分は上がらず、むしろ沈むけれど、S.E.N.S.<悲情城市>もとても好き。