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北京2016:潘家園旧貨市場

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週末に北京に滞在しているなら、
中国最大級の蚤の市、潘家园旧货市场(潘家園舊貨市場/潘家園旧貨市場)へ。
今回、お買い物の予定は無かったけれど、ブラブラするだけでも楽しいから、週末にやはり一度足を運ぶ。

★ 潘家園の歴史

潘家园(潘家園 Pānjiāyuán)という地域に、
こんなに立派な市場ができたのは、そんな昔のことではなく、1992年のこと。

元々この辺りは、潘家窑(潘家窯)と呼ばれる北京城外の小さな村落。
“潘”というのは、山東からやって来た窯元の姓。
この潘さんは、上京して、琉璃瓦を焼くつもりで、ここに窯を開いたものの、
何度か試作を繰り返した結果、この地の土質が琉璃瓦には不向きだと分かり、レンガ作りに転向。
競合が多く、当初苦戦するが、諦めずに、品質の向上と経営努力を続けたという。

例えば、当時、レンガには“丁”という単位が使われ、“小丁”はレンガ2百個、“大丁”は8百個であったが、
潘さんは、“小丁”を220個、“大丁”を850個にして、競合たちと変わらぬ価格で販売。
さらに、十里以内であれば、無料配送のサービスも。
質が良い上、量もいっぱい有って、しかもタダで配送までしてくれるものだから、顧客満足度が高く、
評判が評判を呼び、みるみる内に、潘家の窯元は大きくなり、従業員も増え、周囲に村落が形成され、
この地がまんま“潘ファミリーの窯=潘家窑(潘家窯)”と呼ばれるように。
トヨタのお膝元が“豊田市”になったのと似たような感じですね~。

このように一時は繁栄したものの、
民国も後期になると、原材料の土は枯渇し、窪地だけが残り、レンガ作りはもう不可能。
1960年代には、土地が均され、住宅地として整備。
その頃もまだこの一帯は“潘家窑”と呼ばれていたが、すぐに、人々は、その名を嫌がるようになる。
と言うのも、昔ながらの北京っ子たち・老北京は、妓楼のことを“窑子(窯子)”と呼ぶため、
妓楼を彷彿させる“潘家窑”という名は、あまりお上品ではないと感じたらしい。
そこで、“窑”の代わりに、家の庭園や郷里を意味する“家园(家園)”の“园(園)”の字を宛て、
“潘家园(潘家園)”と改名し、現在に至る。




その潘家園の地に、今や有名な潘家園旧貨市場ができたのは、前述のように1992年と、比較的最近。
が、その年に降って湧いたように巨大市場ができたのではなく…

イメージ 1

どうやら1985年前後に、この附近には自然発生的に“鬼市”が立ち、売買が行われていたようだ。

“鬼市”とは、直訳するなら“幽霊市場”、“ゴースト・マーケット”。平たく言えば、“夜市”のこと。
“夜市”と聞くと、夕方から店が出て、深夜まで営業される市場を想像するけれど、
“鬼市”は、まだ暗い午前4時頃に開き、朝になると店仕舞いしてしまう市場。

北京でそういう鬼市が最も盛んだったのは、清朝末期。
国が傾き、没落の一途を辿る高官や貴族などが、家の中のお宝を現金に換えるのに、
昼間では身分が丸分かりで沽券に関わるから、まだ真っ暗な明け方に、こそこそと売っていたらしい。
当時は当然煌々と光る電灯は無く、提灯の小さな灯りの中、売買をする様子が幽霊(鬼)のようだった、
もしくは、暗闇にポツンポツンと灯されたそれら提灯が鬼火のように見えたから
市場が“鬼市”と呼ばれるようになったと、諸説あり。


そういう本来の鬼市は民国末期には消滅し、復活したのは、もっとずーっと近年になってからのこと。
中国では歴史上、骨董のコレクター熱が盛り上がった時期が5回あり、
北宋、明朝末期、清朝・康熙年間/乾隆年間、清朝末期~民国初期、そして現代なんですって。
俗に“乱世には黄金、太平の世には骨董”の売買が盛んになるとも言うそうだし、
経済が上向きになってきた80年代に、潘家園の地に自然発生的にこの手の市ができたのも分かる。

その潘家園の市場に、1992年、フランスのシラク大統領夫人が訪れたとメディアが報じたことで、
国際的知名度が一気に上昇。
政府も、この潘家園の整備を進め、今では国内外から多くの人が押し寄せる北京の名物市場に。

イメージ 2

昨今大統領選で話題のヒラリー・クリントンも、1998年6月の訪中の際に、潘家園に足を運び、
ここで2時間半も過ごし、お買い物に興じたそうです。

★ 現在の潘家園旧貨市場

かつて潘家園の鬼市に漂っていたという“江湖感”は、今ではすっかり薄れ、
我々外国人観光客も気楽に楽しめる開放的な雰囲気になっているが、
かと言って、観光地化され過ぎてもおらず、現地の人々の姿も数多く見掛ける。
(“江湖感”が漂っていたという怪しげな潘家園鬼市にも行ってみたかったわぁ~。)

また、本来の鬼市の伝統は受け継がれており、なんとココ、週末は朝4時半にオープンするのです。
さすがに、その時間には行ったことが無いけれど、
朝早くから開いている場所が有ると、旅行中の貴重な時間を有意義に使えて、有り難い。

このように、北京伝統の鬼市の流れを汲む潘家園旧貨市場は、
敷地48500㎡に建つ中国最大級の蚤の市。
一応“旧貨市場(古道具市)”と呼ばれてはいても、古道具や骨董のみならず、
絵画、書籍、工芸品、宝飾品、装飾品、家具、陶磁器、茶器、日用品、少数民族グッズ等々、何でも有り。
バラ撒き土産に丁度いいお手頃価格の雑貨も沢山有るから、お土産探しに行くのも良いでしょう。



毎日オープンしている市場だけれど、敢えて週末を狙うのは、ワケが有る。
(↓)こちらが、潘家園旧貨市場の平面図。

イメージ 3

潘家園旧貨市場には、常設店と、曜日限定オープンのお店がある。
常設店は年中無休。
図面の中、“二区”と記された薄黄色のゾーンは、木曜から日曜までの営業。
それよりもう少し濃い黄色の部分、“一区”、“三区”、“四区”などは、土日のみの営業。
潘家園旧貨市場は、これら週末限定オープンの部分にとても特徴があり、見応えがあるのです。

★ アクセス

以前はバスを利用していたけれど、地下鉄駅ができてからは、行くのがとーーーっても楽になった。

イメージ 4

最寄りの駅は、地下鉄10号線の潘家园(潘家園)駅。
B出口(東北口)から地上に出たら、すぐ横を走る潘家园路(潘家園路)を西に直進するだけ。



3分も歩けば、はい、

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到着。左手に、潘家園旧貨市場の入り口が見えてくる。
方向音痴の人でも、間違えるのは困難。

★ 内部をブラブラ

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敷地内に入り、すぐ左手に見える、赤い屋根で覆われたスペース、
ここが、平面図で“一区”、“二区”、“三区”、“四区”と記されていた平日営業していない場所。
ここだけでも、小さな街に暮らす我々東京人が思い描く“蚤の市”のイメージを軽く超えるダダッ広さ。
平日に行くと、ここには本当に何も無く、ただのガラーンとした空き地。
だから、潘家園旧貨市場は、週末に行かないと、駄目なのです。




イメージ 7

2年前に潘家園を訪れた時には、“文玩核桃”と呼ばれるコレクター向けの胡桃を売るお店や、
“Myノギス”まで持参し、真剣に胡桃を物色する男性を沢山見たが(→参照)、
久し振りに行ったら、激減。胡桃バブルは、ハジケたのでしょうか。
他に“今のブームはこれ!”と思わせる特徴的な物は今回見当たらず、
以前から有る物がズラリと並ぶ毎度の潘家園旧貨市場であった。

★ 他にも色々

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市場の中をさらに、見ていきます。




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刺繍製品から銀製品まで、少数民族グッズの人気は常に高し。




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筆の種類も豊富。柄に水牛の角を使った物やカラフルな物、まるで箒のように巨大な物も。




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天然石コーナーでは、好きなパーツを選び、
その場でブレスレットやピアス等アクセサリーを作ってもらっている人もいる。




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木工製品。画像左は、月餅などのお菓子作りに使う古い型。
私が、より気になったのは、画像右の杖。特に、(↓)こちら。

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南極仙翁?憎めないわぁー。ジィ様、笑っているし(ちゃんと歯も生えている)。
まだ今は必要ないけれど、いつかこれを買って、近所のガキどもに
「あの家に変な杖をついた謎めいたババァがいる」と薄気味悪がられるのも悪くない。




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ブロンズは重いから、帰国する時のことを考えると、諦めてしまうが、(↑)こんな手爐(手あぶり)も有りました。
こういう手あぶりは、大陸時代劇の中で頻繁に目にする。

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現在BSジャパンで放送中の大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』の中でも、
病弱な主人公・梅長蘇が、よく使っていますよね~。

使い方は、(↓)こんな感じ。

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中に炭を入れる。熱の伝導で、銅が熱くなり過ぎ、手を火傷してしまわないのかと心配していたが、
この画像を見ると、どうやら手あぶりに布製のカバーを付けるようですね。それなら納得。

★ 結局

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当初、何も買うつもりは無かったのだけれど、常設のお店の軒先で、
旅行の時、下着などを収納するのに便利そうな白い布袋を見掛けたので、それを数枚まとめ買いすることに。
ところが、店主のおじさん、棚の中をさんざん探した挙句、「それ一枚しか無い」と言う。
他の商品もことごとく、「それ一枚だけ」。
えぇぇーっ、ガッカリ…。私のこれまでの経験を振り返ると、こういう市場内のお店の場合、
“ガツガツした商売っ気が無い、良心的なお店に限って、品揃えが悪い”という傾向あり。
でも、店内に入ってしまったし、もう面倒くさくなったので、
自分に不用でも、誰かにあげれば良いと思い、適当に何点か選んで購入。


購入した物の内、結局、自分の手元に残したのは、ちょうど必要だったお扇子入れだけ。
今、使っている物が、白っぽい色で、汚れ易いのが、気になっていたところ、
お店で汚れにくそうな色の物を見付けたので。

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つい先日、BSジャパンで『皇后的男人 紀元を越えた恋~相愛穿梭千年』を観ていたら、
陳翔(チェン・シャン)扮する王莽のお召し物の襟が、このお扇子入れとソックリだったので、
今までまったく興味の無かった彼に、いきなり親近感が湧いたワ。
(以後、陳翔にお扇子入れのイメージが直結。)

但し、このお扇子入れは、安っぽい赤いフサフサ付き。「これが無ければいいのに…」と呟いたら、
店主のおじさんが、大きなハサミを持ってきて、「切ってあげる」と言う。
おじさん、目が悪そうだし、あまり器用そうに見えないし、
こんな大きなハサミを使ったら、布まで切っちゃいそう!と焦り、
「大丈夫!このままでOK!」と、フサフサ付きのままで購入。

帰国後、小さなハサミを使い、自分でフサフサ取りを試みたところ…

イメージ 19

まるでそんな物は最初から無かったかのように、綺麗さっぱり取り除けた。
愛用の白檀扇を入れたら、大きさも色合いもピッタリ。あぁ~、良かった。





◆◇◆ 潘家园旧货市场 Panjiayuan Market ◆◇◆
北京市 朝阳区 华威里 18号

午前4時半~午後6時(土曜・日曜)

地下鉄10号線・潘家园(潘家園)駅 B出口(東北口)から徒歩3分

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