2015年最後の日は、先月からずっと気になっていたネタをひとつ。
去る11月末から、“藤原紀香 ファンビンビン”という検索ワードで当ブログへお越しになり、
私が2014年末に書いた“紀香が范冰冰化しているし…”というエントリを覗かれる方が、どういう訳か
激増。

藤原紀香は、ほとんどの日本人が知る有名芸能人で、片岡愛之助との結婚秒読みも囁かれているので、
人々が検索したがる気持ちも分かる。でも、じゃぁ、范冰冰(ファン・ビンビン)は…?
范冰冰は、中華圏では広く知られた大陸人気女優で、日本でも中華作品を観ている人にはお馴染みの存在。
日本でサントリー烏龍茶のCMに出ていたこともある。(→参照)
でも、一般の日本人にネット検索されるほど知られているかと言うと、そうは思わない。
なのにナゼ急に検索が増えたのだろう?しかも藤原紀香とセットで…、と疑問に思っていたら、
な、な、なとんと、去年からさらに“紀香の范冰冰化”が進んでいたことが判明!あららぁー…。
★ 紀香の范冰冰化2014
2014年末私が当ブログに記した“紀香が范冰冰化しているし…”は、要約すると、
NHKで放送された『虹の架け橋まごころ募金コンサート』で徳光和夫と一緒に司会を務めた藤原紀香の衣装が、
2010年第63回カンヌ国際映画祭のレッドカーペットに登場した際の范冰冰が着用した
“東方祥雲”と呼ばれるガウンにカブる、と指摘した内容であった。
范冰冰のその“東方祥雲”は、清代の皇帝のお召し物・龍袍を現代女性用にアレンジしたもので、
手掛けたのは、パリコレでも作品を発表している中国人デザイナー勞倫斯許(ローレンス・シュー)。
一方、紀香の方は、
着物のリサイクルを提案する日本人デザイナー若槻せつ子が手掛ける

“ローブ・ド・キモノ”という和洋折衷コレクションの物。
“東方祥雲”はイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館に永久収蔵されたり、
バービー人形になった范冰冰もこれを着ているくらい、当時大変話題になった物。
そこまで知られた物を堂々とパクるほど馬鹿でもなければ図々しいわけもないだろうという思いもあり、
私はその時「よく見れば、ふたつは別物」と紀香を擁護した。
…が、私の擁護は無駄だったようだ。![]()

★ 紀香の范冰冰化2015
どうやら『虹の架け橋まごころ募金コンサート』は、もう何年も開催され続けている恒例イベントで、
私は観なかったけれど、2015年も、11月22日に90分版が、12月23日に120分版が
それぞれ
NHK BSプレミアムで放送されたらしい。

前年に引き続き、徳光和夫と司会進行を担当した藤原紀香がその時に着た衣装が、(↑)上の画像の物。
中華芸能マニアな方なら、すぐにピンと来ましたよね…?
ハイ、まずは、(↓)こちら。2011年、第64回カンヌ国際映画祭での范冰冰。
鶴のモチーフを丁寧に手刺繍した“仙鶴裝”と呼ばれる真っ赤なガウン。
綺麗!素敵!と褒められた半面、
フランスで“grue(鶴)”に娼婦の隠喩があるため、カンヌで着るのは相応しくないとか、
日本の皇族が使う菊の御紋が刺繍されているではないか!等々、物議を醸した。
まぁ、とにかく、↑このように、結婚写真で真似る人が出るほど、“仙鶴裝”もかなり話題になったのだ。
また…
主演ドラマ『武媚娘傳奇~The Empress of China』のヴィジュアルでも
“仙鶴裝”を思わす鶴柄の衣装を身に着けているし、范冰冰のお気に入りデザインなのかも知れない。
続いて、(↓)こちら。2012年、第65回カンヌ国際映画祭での范冰冰。
中国の磁器をイメージした“中國瓷”と呼ばれるお召し物。
裾部分には、正面に“貴妃醉酒”、後ろに“貂蟬拜月”、側面にはそれぞれ“西施浣紗”と“昭君出塞”という
中国四大美人図を配し、手刺繍に一年以上の歳月を費やし制作された贅沢なお品。
髪型に関しては…
「唐代の侍女みたいで変」と、これまたネット上で物議を醸した。
近年、范冰冰は、スポンサーなどの都合で、
ヨーロッパの一流メゾンのお品を身にまとって公に登場することが多くなってしまったけれど、
この頃までは、海外で積極的に中国人デザイナーの服を着ておられたのですよねぇ~。
中国伝統の刺繍など驚異の職人技が、洋装に巧く融合したお召し物は、もはや芸術品のレベルだし、
范冰冰自身が人に見せることを知っているエンターテイナーで、私も充分目を楽しませていただいた。
2015年度版『虹の架け橋』の紀香は、2011年に范冰冰が着た“仙鶴裝”と
2012年の范冰冰のヘアスタイルを合体したとみるのが自然。
紀香は、この日の髪型を「オリエンタルで、少しモードな本日の私です」と自身のブログに綴っているが…
「少し范冰冰な本日の私です」の方が的確な表現でしょ。
(しかも、“少し”ではなく、“ドップリ范冰冰”…。)
2014年の時点では、紀香を擁護した私だけれど、
2年連続となると、もう“偶然”は通用しない。パクリ疑惑は完全に“黒”に転じた。
よりによってなぜ超有名女優が超有名イベントに出席した時のスタイリングをパクってしまったのでしょう??
紀香が、范冰冰のようなゴージャスな女優に憧れるのは分かるけれど、
今の時代、ネットでちょっと検索されれば、すぐにバレちゃうのに…。
★ デザイナー
藤原紀香自身は、「私、中国の女優、范冰冰さんの大ファンなんです!
お衣装もいつも素敵なので、私も参考にさせていただいているんですよぉ~。」
などとアッケラカンと居直ってしまえば、案外許される気もする。
(逆に、自分のオリジナリティを主張したら、この場合、益々
イメージダウン。)

問題は、それぞれの服にちゃんとデザイナーが居るという事。
2015年度版『虹の架け橋』の紀香の衣装をデザインしたのは、前年に引き続き、
“ローブ・ド・キモノ”を提唱する日本の若槻せつ子。
“仙鶴裝”と“中國瓷”は、中国の卜柯文(クリストファー・ブゥ)による。
卜柯文は、長年范冰冰のスタイリングを手掛けている“范冰冰御用スタイリスト”。
范冰冰がMet Galaで着ていたお衣装“紫禁城”なども卜柯文のデザイン。(→参照)
若槻せつ子のローブ・ド・キモノは、元々ある着物をリサイクルしているので、
パクリと言い切るのは難しいかも知れない。
となると、問題はスタイリング。紀香のスタイリングは、スタイリストが担当したのだろうか?
それとも、紀香自身が出したアイディア?
ここまで范冰冰を真似たスタイリングをするなんて、それだけでも充分みっともないが、
クオリティ面で、紀香のスタイリング及びローブ・ド・キモノが、
范冰冰や、中国人デザイナー勞倫斯許、卜柯文の作品と比較するのも申し訳ないほど、
まったくイケていないというのも問題。
どうせパクるなら、せめてオリジナルを超越して欲しかったワ。
これではまるで粗悪なコピー商品ではないか…。
未だに中国を“パクリ国家”呼ばわりしたり、「中国はすぐ日本をパクる」などと言っている日本人も多いが、
残念だけれど、これが現実…。中華圏から、「日本こそパクリ国家」と反撃の声が上がるのも時間の問題。
紀香も、もうこれ以上、恥の上塗りはやめて欲しい。
最後に。
よくこちらにいらっしゃる皆さま、2015年も当ブログを御愛顧いただき、ありがとうございました。
良いお年をお迎えくださいませ!