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紀香の范冰冰化が止まらない…

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2015年最後の日は、先月からずっと気になっていたネタをひとつ。


去る11月末から、“藤原紀香 ファンビンビン”という検索ワードで当ブログへお越しになり、
私が2014年末に書いた“紀香が范冰冰化しているし…”というエントリを覗かれる方が、どういう訳か激増。

藤原紀香は、ほとんどの日本人が知る有名芸能人で、片岡愛之助との結婚秒読みも囁かれているので、
人々が検索したがる気持ちも分かる。でも、じゃぁ、范冰冰(ファン・ビンビン)は…?
范冰冰は、中華圏では広く知られた大陸人気女優で、日本でも中華作品を観ている人にはお馴染みの存在。
日本でサントリー烏龍茶のCMに出ていたこともある。(→参照
でも、一般の日本人にネット検索されるほど知られているかと言うと、そうは思わない。

なのにナゼ急に検索が増えたのだろう?しかも藤原紀香とセットで…、と疑問に思っていたら、
な、な、なとんと、去年からさらに“紀香の范冰冰化”が進んでいたことが判明!あららぁー…。

★ 紀香の范冰冰化2014

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2014年末私が当ブログに記した“紀香が范冰冰化しているし…”は、要約すると、
NHKで放送された『虹の架け橋まごころ募金コンサート』で徳光和夫と一緒に司会を務めた藤原紀香の衣装が、
2010年第63回カンヌ国際映画祭のレッドカーペットに登場した際の范冰冰が着用した
“東方祥雲”と呼ばれるガウンにカブる、と指摘した内容であった。
范冰冰のその“東方祥雲”は、清代の皇帝のお召し物・龍袍を現代女性用にアレンジしたもので、
手掛けたのは、パリコレでも作品を発表している中国人デザイナー勞倫斯許(ローレンス・シュー)。

一方、紀香の方は、着物のリサイクルを提案する日本人デザイナー若槻せつ子が手掛ける
“ローブ・ド・キモノ”という和洋折衷コレクションの物。

“東方祥雲”はイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館に永久収蔵されたり、
バービー人形になった范冰冰もこれを着ているくらい、当時大変話題になった物。
そこまで知られた物を堂々とパクるほど馬鹿でもなければ図々しいわけもないだろうという思いもあり、
私はその時「よく見れば、ふたつは別物」と紀香を擁護した。


…が、私の擁護は無駄だったようだ。

★ 紀香の范冰冰化2015

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どうやら『虹の架け橋まごころ募金コンサート』は、もう何年も開催され続けている恒例イベントで、
私は観なかったけれど、2015年も、11月22日に90分版が、12月23日に120分版が
それぞれNHK BSプレミアムで放送されたらしい。
前年に引き続き、徳光和夫と司会進行を担当した藤原紀香がその時に着た衣装が、(↑)上の画像の物。



中華芸能マニアな方なら、すぐにピンと来ましたよね…?

ハイ、まずは、(↓)こちら。2011年、第64回カンヌ国際映画祭での范冰冰。

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鶴のモチーフを丁寧に手刺繍した“仙鶴裝”と呼ばれる真っ赤なガウン。
綺麗!素敵!と褒められた半面、
フランスで“grue(鶴)”に娼婦の隠喩があるため、カンヌで着るのは相応しくないとか、
日本の皇族が使う菊の御紋が刺繍されているではないか!等々、物議を醸した。



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まぁ、とにかく、↑このように、結婚写真で真似る人が出るほど、“仙鶴裝”もかなり話題になったのだ。

また…

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主演ドラマ『武媚娘傳奇~The Empress of China』のヴィジュアルでも
“仙鶴裝”を思わす鶴柄の衣装を身に着けているし、范冰冰のお気に入りデザインなのかも知れない。




続いて、(↓)こちら。2012年、第65回カンヌ国際映画祭での范冰冰。

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中国の磁器をイメージした“中國瓷”と呼ばれるお召し物。
裾部分には、正面に“貴妃醉酒”、後ろに“貂蟬拜月”、側面にはそれぞれ“西施浣紗”と“昭君出塞”という
中国四大美人図を配し、手刺繍に一年以上の歳月を費やし制作された贅沢なお品。


髪型に関しては…

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「唐代の侍女みたいで変」と、これまたネット上で物議を醸した。


近年、范冰冰は、スポンサーなどの都合で、
ヨーロッパの一流メゾンのお品を身にまとって公に登場することが多くなってしまったけれど、
この頃までは、海外で積極的に中国人デザイナーの服を着ておられたのですよねぇ~。
中国伝統の刺繍など驚異の職人技が、洋装に巧く融合したお召し物は、もはや芸術品のレベルだし、
范冰冰自身が人に見せることを知っているエンターテイナーで、私も充分目を楽しませていただいた。




2015年度版『虹の架け橋』の紀香は、2011年に范冰冰が着た“仙鶴裝”と
2012年の范冰冰のヘアスタイルを合体したとみるのが自然。

紀香は、この日の髪型を「オリエンタルで、少しモードな本日の私です」と自身のブログに綴っているが…

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「少し范冰冰な本日の私です」の方が的確な表現でしょ。
(しかも、“少し”ではなく、“ドップリ范冰冰”…。)




2014年の時点では、紀香を擁護した私だけれど、
2年連続となると、もう“偶然”は通用しない。パクリ疑惑は完全に“黒”に転じた。
よりによってなぜ超有名女優が超有名イベントに出席した時のスタイリングをパクってしまったのでしょう??
紀香が、范冰冰のようなゴージャスな女優に憧れるのは分かるけれど、
今の時代、ネットでちょっと検索されれば、すぐにバレちゃうのに…。

★ デザイナー

藤原紀香自身は、「私、中国の女優、范冰冰さんの大ファンなんです!
お衣装もいつも素敵なので、私も参考にさせていただいているんですよぉ~。」
などとアッケラカンと居直ってしまえば、案外許される気もする。
(逆に、自分のオリジナリティを主張したら、この場合、益々イメージダウン。)
問題は、それぞれの服にちゃんとデザイナーが居るという事。

2015年度版『虹の架け橋』の紀香の衣装をデザインしたのは、前年に引き続き、
“ローブ・ド・キモノ”を提唱する日本の若槻せつ子。
“仙鶴裝”と“中國瓷”は、中国の卜柯文(クリストファー・ブゥ)による。



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卜柯文は、長年范冰冰のスタイリングを手掛けている“范冰冰御用スタイリスト”。
范冰冰がMet Galaで着ていたお衣装“紫禁城”なども卜柯文のデザイン。(→参照


若槻せつ子のローブ・ド・キモノは、元々ある着物をリサイクルしているので、
パクリと言い切るのは難しいかも知れない。
となると、問題はスタイリング。紀香のスタイリングは、スタイリストが担当したのだろうか?
それとも、紀香自身が出したアイディア?
ここまで范冰冰を真似たスタイリングをするなんて、それだけでも充分みっともないが、
クオリティ面で、紀香のスタイリング及びローブ・ド・キモノが、
范冰冰や、中国人デザイナー勞倫斯許、卜柯文の作品と比較するのも申し訳ないほど、
まったくイケていないというのも問題。
どうせパクるなら、せめてオリジナルを超越して欲しかったワ。
これではまるで粗悪なコピー商品ではないか…。

未だに中国を“パクリ国家”呼ばわりしたり、「中国はすぐ日本をパクる」などと言っている日本人も多いが、
残念だけれど、これが現実…。中華圏から、「日本こそパクリ国家」と反撃の声が上がるのも時間の問題。
紀香も、もうこれ以上、恥の上塗りはやめて欲しい。



最後に。
よくこちらにいらっしゃる皆さま、2015年も当ブログを御愛顧いただき、ありがとうございました。
良いお年をお迎えくださいませ!



2014年度の“紀香が范冰冰化しているし…”は、こちらから。

2016甘味お食い初め(+2015國劇盛典)

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2016年、新年あけましておめでとうございます。
お正月に対する思い入れが希薄な私でも、
新たな年の幕開けが、こうもカラッと晴天だと、なんだかとても気持ちが良い。
皆さまは、いかがお過ごしでしょう。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

今年は伊勢丹の初売りが1月3日とのことなので、開き次第、切れたチークを買いに行かなければならない。
目下、チーク無しで、血色が悪く見えるので、人に会うのもはばかれる。
家に居ても、テレビも面白くないし、1月1日の昨晩は、安徽衛視の中継で
大陸のテレビドラマ賞『2015國劇盛典~TV Drama Awardsを取り敢えず観ることにした。
これ、放送は昨晩でも、昨年12月19日に、北京の國家會議中心で執り行われたイベントなので、
すでに漏れ伝わっていた受賞結果も有ったし、多くの画像を目にしていたので、
当初は「今更観ても…」と特別乗り気では無かったのだが、
いざ観始めたら結構面白くて、ついつい最後まで観てしまった。


つい先日観た大陸版テレビドラマのビエンナーレ、第30回 飛天獎より、
会場の雰囲気も女優さんのお召し物も華やかなので、目に楽しい。 ここには女優さんを一部。

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范冰冰(ファン・ビンビン)

范冰冰サマが地味だったら、ガッカリですよね?
今回は、ウエディングドレスで有名なNYブランド、リーム・アクアで。
“ウエディング”と言えば、この晩、交際中の俳優・李晨(リー・チェン)と
同伴で國劇盛典に参加したのが、ひとつの話題。

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范冰冰に恋人ができたのは喜ばしいが、私の御贔屓・袁弘(ユアン・ホン)までが、
張歆藝(チャン・シンイー)と仲良く参加したのは、まったく喜べなかった。
(でも、張歆藝が着ていたランヴァンの黄色い小花柄ガウンは可愛かった。)



唐嫣(タン・イェン)

唐嫣は最初マックス・マーラのシンプルで大人っぽいジャンプスーツを着ていて、
その後、まったく雰囲気の異なるロマンティックなふんわりドレスにお着換え。
ブライダルブランドWe Coutureの物らしい。
董潔(ドン・ジエ)も似たようなフワフワを着ていたけれど、唐嫣の方がずっと良かった。
(それより董潔は歯を直したのでは?『傾城の雪~傾城雪』で気になった歯並びが、昨晩は変わっていた。)



趙麗穎(チャオ・リーイン)

趙麗穎は、目も覚めるような真っ黄色のヴェルサーチ。
趙麗穎は甘い雰囲気なので、これくらいアグレッシヴな物の方が少女っぽくなり過ぎなくて、良いのかも。
ただ、この画像だと、胴長に見えてしまい、気の毒。
実際に動いている姿だと、もっとスタイルが良く、お召し物も似合っていた。



王鷗(ワン・オウ)

美人の王鷗は、“アタシってスタイル抜群”と自分でも分かっているのでしょう。
デブや短足は絶対に避けたい、マックス・マーラの真っ赤なジャンプスーツで登場。
細いけれど、横から見たら、お尻がプリンッと上がっていて、カッコ良かった。
“赤”と言えば、王鷗は、ドラマ『琅琊榜』の中でも、赤いアイライナーを引いて、
譽王に仕える秦般若を演じております。



林心如(ルビー・リン)

台湾からは林心如。私は、苦手なタイプだけれど、大陸で大成功した台湾人女優の一人。
彼女もまたジャンプスーツで、こちらはエミリオ・プッチの物。
エミリオ・プッチというとプリント物を真っ先に思い浮かべるけれど、林心如はシンプルなブラックで。
林心如も細ーい!けれど、肩幅が狭過ぎるせいで、顔が大きく見えてしまい、損かも。



陳喬恩(ジョー・チェン)

陳喬恩も大陸で大成功した台湾人女優。私は陳喬恩の“庶民顔”にまったく惹かれないので、
なぜ彼女が大陸でこんなに支持されるようになったのか、イマイチ理解できない。
でも、この晩、スピーチしているところを見たら、サバサバしていて、
案外“大人のイイ女”という感じで、好感度が高かった。
お召し物は、マティスフスキー2016春夏コレクションの物。



肝心な賞もについても。

まず、2015年度の優秀なドラマ10作品贈られる年度十大影響力電視劇は…
『琅琊榜~Nirvana In Fire』、『偽裝者~The Disguiser』、『花千骨~The Journey of Flower』、
『你是我的姐妹~You Are My Sisters』、『大好時光~Good Time』、
『北上廣不相信眼淚~Swan Dive for Love』、『歲月如金~Years Such As Gold』、
『平凡的世界~Ordinary World』、『克拉恋人~Diamond Lover』、
『武媚娘傳奇~The Empress of China』
(順不同。ランキングではありません。)


個人賞は、おびただしい数が…
最佳男演員:胡歌(フー・ゴー)
最佳女演員:范冰冰(ファン・ビンビン)

最佳男配角:黃維(ヴィクター・ホアン)
最佳女配角:董潔(ドン・ジエ)

觀眾最喜愛的導演:孔笙(コン・シェン)+李雪(リー・シュエ)
觀眾最喜愛的編劇:王麗萍(ワン・リーピン)
年度行業貢獻人物:侯鴻亮(ホウ・ホンリャン)
年度金牌制作人:吳奇隆(ニッキー・ウー)

最佳新人男演員:馬可(マー・クー)
最佳新人女演員:迪麗熱巴(ディリラバ)
年度演技飛躍演員:王凱(ワン・カイ)
最具潛質演員:吳磊(ウー・レイ)

最具人氣演員(内地):王凱(ワン・カイ)
最具人氣演員(香港):劉威(ハウィック・ラウ)

年度媒體最關注演員:張丹峰(チャン・ダンフォン)+張曉龍(チャン・シャオロン)
年度媒體特別推薦演員:袁弘(ユアン・ホン)
年度全媒體召力演員:唐嫣(タン・イェン)
最具収視號召力演員:趙麗穎(チャオ・リーイン)

風雲人物:范冰冰(ファン・ビンビン)
最具影響力演員:馬伊琍(マー・イーリー)
年度榜樣人物:吳奇隆(ニッキー・ウー)
年度特別貢献人物(男):李晨(リー・チェン)
年度特別貢献人物(女):趙麗穎(チャオ・リーイン)

最具突破精神演員(男):陳龍(チェン・ロン)
最具突破精神演員(女):王曉晨(ワン・シャオチェン)
最具商業價值演員:陳喬恩(ジョー・チェン)
最具實力男演員(男):靳東(ジン・ドン)
最具實力男演員(女):林心如(ルビー・リン)
年度傑出演技演員:林永健(リン・ヨンジェン)

年度最受關注演員:楊洋(ヤン・ヤン)
最受歡迎演藝偶像演員(男):杜淳(ドゥ・チュン)
最受歡迎演藝偶像演員(女):馬蘇(マー・スー)
最受歡迎演員:霍建華(ウォレス・フォ)
最受歡迎全能藝人:李治廷(アーリフ・リー)
最受歡迎海外演員:池昌旭(チ・チャンウク)~韓国

終身成就獎:張少華(チャン・シャオホア)


何か抜けている、もしくは間違っていると思う、…確実に。
この賞の数、どう考えても多すぎるでしょー(笑)。
そもそもさぁ、例えば、演技力が傑出した俳優に贈る賞(年度傑出演技演員)も
実力派の俳優に贈る賞(最具實力男演員)も、私からしてみれば同じなのだけれど。
最も潜在能力を感じる俳優(最具潛質演員)と最優秀新人賞(最佳新人演員)も分けられているし、
さらに、その年演技が飛躍的に伸びた俳優に贈られる賞(年度演技飛躍演員)も有る。
“最具人氣演員”と“最受歡迎演員”も、日本語に訳したら、多分どちらも“人気俳優賞”になりそう。
國劇盛典は、賞の項目数を絞ったら、恐らく1/3くらいに減らせる気がする。
でも、人口の多い国で、より多くの人と喜びを分かち合おうとしたら、この数が必要なのでしょうか。
最も商業価値のある俳優に贈る“最具商業價值演員”なんて露骨な賞まで有るのは、
とてもぶっちゃけていて、中国らしいですね~。
中国らしいと言えば、受賞した俳優を壇上に待たせ、賞を授与するテレビ局などの幹部が、
のそのそとステージに向かってくる様子も、組織の上層部が神扱いの中国らしいと感じた。
普通、授与する人が先にステージに上がって、受賞者を待ちませんでしたっけ…?



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それはそうと、2015年度の最優秀俳優賞は、胡歌(フー・ゴー)范冰冰(ファン・ビンビン)であった。
妄想の中ですでに“胡歌の身内もほぼ同然の仲”の私は、
これまで母親と受賞の喜びを分かち合ってこなかったことを後悔しているという胡歌が、
「人生のドン底にいた2006年、“今まで皆あなたの外見ばかりを見ていたけれど、
これからは内面を見てくれるわ”と母が言ってくれた」と、改めて母親への感謝を述べた時、
胸が熱くなってしまったのでした。
2015年大活躍し、“胡歌イヤー”と言われた事については、
「もし本当にそうだったのなら、2016年は新たに種をまく年にしたいです」と胡歌。
あくまでも謙虚で、素敵でございました。



この胡歌と限らず、2015年度の國劇盛典は、多くの人々が予想していた通り、
同じキャスト&スタッフによる2本のドラマ、
『琅琊榜~Nirvana In Fire』と『偽裝者~The Disguiser』の圧勝であった。

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私の一押し『琅琊榜』は、十大影響力電視劇、主人公・梅長蘇役で胡歌が獲った最優秀男優賞の他、
靖王役の王凱(ワン・カイ)が最具人氣演員、年度演技飛躍演員、
猛将・蒙摯役の陳龍(チェン・ロン)が最具突破精神男演員、
梅長蘇の護衛・飛流役の吳磊(ウー・レイ)が最具潛質演員、
靖王の兄にしてライバル・譽王役の台湾人俳優・黃維(ヴィクター・ホアン)が最佳男配角、
瑯琊閣少閣主・藺晨役の靳東(ジン・ドン)が最具實力男演員、
孔笙(コン・シェン)&李雪(リー・シュエ)両監督が觀眾最喜愛的導演、
プロデューサー侯鴻亮(ホウ・ホンリャン)が年度行業貢獻人物と、なんと圧巻の10部門で受賞。
おめでとうござます。
なんか『琅琊榜』組は、プロデューサー侯鴻亮まで長身でカッコよかった。
(プレゼンターの吳奇隆がショボく見えて、少々気の毒に感じたくらい。)

あぁーあ、益々『琅琊榜』を日本語字幕で観たくなってしまった。


なお、その『琅琊榜』や、出演男前キャストについては、ザックリ記したこちらからどうぞ。




さて、2016年も、激甘党の私は、年始早々甘い物を食べております。以下、取り敢えず3種を。

★ 井上蒲鉾店:二色玉子

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ひとつめは、毎年お正月には欠かさず購入している井上蒲鉾店(公式サイト)“二色玉子”
おめでたい松の形が可愛らしい。
勿論美味しく、特に白身のホロホロ加減が良し。(蒲鉾のように練り過ぎた白身は、私にはNG。)

画像には無いが、玉子焼きは、今年は扇屋(03-3907-2567)で購入。
扇屋の厚焼き玉子は、東京一好きな味。別にお正月と限らず、普段でもよく買っているので、特別感はない。
他は、なだ万を中心にちょこちょこと。

★ 叶匠壽庵:花びら餅

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大きさは、幅約10センチ。
甘煮ごぼうと人参を、味噌餡と共に、近江羽二重餅で包んだ季節菓子。




ふたつめは、叶匠壽庵(公式サイト)“花びら餅”
販売期間は、1月8日まで。

近年、東京でも売る店が多くなった花びら餅。
私は、ここ数年、叶匠壽庵の物が続いている。

“宮廷雑煮”と呼ばれるように、お菓子なのに、ゴボウ(!)とニンジン(!!)が、味噌餡と共に入っている。
白いお餅の下にピンクのお餅を重ね、表面に薄っすら赤味が透けるのが、本来の形だが、
叶匠壽庵では、お餅を二重にする代わりに、中に薄紅色の味噌餡を包んでいる。

羽二重餅は、ふんわり柔らか!
ゴボウとニンジンは、適度な歯応えを残し、ほんのり甘く、上手く炊かれている。
上品な甘さの味噌餡とも調和し、美味。
あと、叶匠壽庵の花びら餅は、小さ過ぎず、程度に大きいのが嬉しい。

★ ジャン=ポール・エヴァン:ロンシャン・ショコラ・ノワール

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大きさは、直径約5センチ、高さ約5センチ。
中にメレンゲを隠したショコラ・ムースを、アーモンド入りビターチョコレートで覆ったケーキ。




最後は洋モノ。
毎年、一年の初めに食べるケーキは、なぜかジャン=ポール・エヴァン(公式サイト)
こちらは、好物の“ロンシャン・ショコラ・ノワール”

“ロンシャン・ショコラ”は、メレンゲとショコラ・ムースを合わせたチョコレートケーキで、
ミルクチョコレートを使った“レ”と、ビターチョコレートを使った“ノワール”の2種類が存在。
私のお気に入りは、ノワールの方。
でも、残念ながら、ノワールは12月末で販売終了。1月からはレの方が店頭に。
これも、実は、12月末日に購入し、元旦に食べた。

一見重そうだが、口にすると、サッと溶けてしまうムース、さっくり軽いメレンゲ、
そして、パリッと固まった表面のチョコレートと、味にも食感にも幅のある物をバランスよく融合。
甘みの中に、ほんのり苦みとコクを感じるビターチョコが、いい感じ。

あぁ~美味しい。今、ジャン=ポール・エヴァンへ行っても、もうノワールが売られていないのが残念。
2015年中に、もう一度くらい食べておきたかった。
以前は、レとノワール、常に2種類店頭に揃っていたのに…。
私が好きなだけで、一般的には不人気なのでしょうか。

映画『安陽の赤ちゃん』

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【2001年/中国/86min.】
2000年冬、河南省・安陽。
40過ぎの独身男・大崗は、勤め先からいきなり解雇され、僅かな持ち金も無く、途方に暮れる。
元同僚の情けで、食券を現金に替えてもらい、馴染みの屋台に麺を食べに行くと、
そこの店主が捨て子を拾い、困惑している。
店主に代わりその赤ん坊を抱いた大崗は、おくるみの中に
「この子を育ててくれる人に、毎月200元の養育費を払います」と書かれた一枚の紙切れを発見。
早速その赤ん坊を連れ帰り、紙に書かれていたポケベルの番号に連絡し、
子の母と思われる女性と約束を取り付けた大崗。
約束の場所に現れたのは若い娼婦。
大崗はしばしば彼女と会うようになり…。



こちら、2015年12月に開催の中国インディペンデント映画祭で観た王超(ワン・チャオ)監督作品。
ノロノロと少しずつ感想を書いていたら、年を越してしまった…。

その2015年の中国インディペンデント映画祭では、王超監督特集が組まれており、
同監督の作品を4本上映。
お蔭で、ずっと興味のあった本作品をようやく観ることができた。
こちら、いきなりカンヌ国際映画祭でプレミア上映された王超監督2001年のデビュー作。

上映終了後には、この映画祭のために初来日を果たした王超監督と、
王超監督の友人でもある日本の小栗康平監督による、約一時間のトークイベントも実施。(→参照




本作品は、毎月200元の養育費を受ける条件で捨て子を引き取った失業中の男・大崗を軸に、
その捨て子を産んだ娼婦・艷麗や、子の父親であるヤクザ者など、
赤ん坊を取り巻く人々の悲喜こもごもを描いた人間ドラマ

主人公・大崗は、40過ぎて独身、リストラされて食うにも困るほど懐ピーピーと、踏んだり蹴ったりの中年男。
毎月支払われる養育費200元目当てで捨て子を引き取り、
その支払い主である子の実母・艷麗としばしば会うようになる。

艷麗は、東北の実家に仕送りをするため、止むを得ず娼婦をして稼いでいる女性。
ヤクザ者の子を身籠り、出産したものの、認知もされず、仕方なしに子を手放すことになったのだ。

大崗は、自分と同じように世間から爪弾きにされた艷麗に情を抱き、彼女にとことん尽くすようになり、
彼女の方も徐々にそれを受け入れ、二人は一時悲惨なりに穏やかな日々を過ごすようになるが、
そこで、子の父であるヤクザ者の存在が急浮上。

このヤクザ者は、当初自分が子の父親である事を否定していたくせに、
白血病で余命幾ばくもないと知った途端、お世継ぎが欲しさに、強引に子供を引き取ろうと画策を開始。


…と、このように、本作品は、赤ちゃんがキッカケで動き始める物語なのだが、
よく有る“赤ちゃんを巡る大人たちの騒動を描いたお話”とは少々異なる。
「赤ちゃんという真っ新なものが目の前に落ちていた時、どう反応するかで、その人の人間性が見えてくる。
ドラマティックにも描けるが、私はそれより人間性を観察するように描きたかった」
と上映終了後に話した王超監督の言葉通り、
“赤ちゃんを通して見えてくる人の本質を描いた作品”という印象。

言い方は悪いかも知れないが、本作品における赤ちゃんは、愛情を注ぐ対象というより、
人の本質を知るための“手段”、“ツール”でしかないように感じる。
主人公・大崗にとってのこの赤ちゃんは、まず金ヅルであり、続いて艷麗を引き留めるための小道具、
そしてずっと欲しかった家族。
ヤクザ者にとっては、自分の死後、お家を断絶させないための大切なお世継ぎ。
望む結果が得られるのであれば、別にAという赤ちゃんでもBという赤ちゃんでも構わなかったのかも知れない。
だから、赤ちゃんがキーとなる物語にも拘わらず、
本作品には、その赤ちゃんの名前が最後まで一度も出てこないのかなぁ、…なんて思った。




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出演は、赤ちゃんを引き取るリストラされた独身中年男・于大崗に孫桂林(スン・グイリン)
赤ちゃんを産んだ娼婦・馮艷麗に祝捷(チュ・ジエ)
そして、赤ちゃんの遺伝子上の父であるヤクザの親分・岳森誼(ユエ・スンイ)など。

出演者に関する情報は、ほとんど不明。
唯一プロとして活動を続けているように見受けるのは、娼婦・艷麗役の祝捷だけ。
北京電影學院出身の女優で、メジャーとは言い難いが、ぼちぼちドラマ等に出演している模様。

主人公・大崗を演じている孫桂林は、王超監督2004年の作品『寝ても覚めても~日日夜夜』にも
クレジットされているようだけれど、プロの俳優ではないような気がする。
見た目は、“あまりアホじゃないアホの坂田”って感じ。
小柄で、毛髪にも力が無く、“40過ぎの独身失業者”の悲哀が漂いまくり。
このリアリティは、プロの俳優が訓練で醸せるものではないと感じる。
ぜんぜん関係ないが、この孫桂林って、出身地はやはり桂林なのでしょうか。




ロケ地は、上映終了後の王超監督のお話によると、『安陽の赤ちゃん』というタイトルなのに、
実際には、安陽ではなく、安陽と同じ河南省の開封で撮影されたとのこと。
だったら、『開封の赤ちゃん』で良かったのでは?と思わなくもない。
タイトルにわざわざ“安陽”という地名を残したのは、王超監督が安陽に特別な思い入れが有ったり、
もしくは、人民の皆さまが安陽に抱く特殊なイメージが有るからなのだろうか。
上映終了後のお話では、その説明までは無かった。





王超監督は、工場労働者の家の出で、自身も元工場労働者で、リストラの経験もあるらしいが、
だからといって、作品には経験をそのまま描くのではなく、幻想も織り交ぜたという。
王超監督曰く「リストラに遭うなど、人がどうしようもない状況に陥った時に見る幻想も、また現実」。
上映終了後に聞いたそんな言葉を念頭に置き、
逃げる艷麗から託された赤ちゃんを抱く大崗が映し出されるラストシーンを思い返すと、
後味がなんとも遣る瀬無い…。
よくよく考えると変なお話なのだけれど、妙に現実味があって、引き込まれた。

ところで、養育費ひと月200元(≒3800円)って、どうなのでしょう…?
約15年前の地方都市だったら、これで赤ちゃんをひと月育てるのに充分な額だったのだろうか。
現在の上海で、「毎月200元あげるから、赤ちゃん育てて」と頼まれたら、
メラミン入り粉ミルク代にもならん!と、ほとんどの人が拒絶するのでは。



中国インディペンデント映画祭2015、『安陽の赤ちゃん』上映終了後に行われた
王超監督と小栗康平監督のトークイベントについては、こちらから。

亀屋:2016年吉祥上生菓子4種(+胡歌とかテレビとか)

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琅琊閣から宗主・梅長蘇が戻って来た!
…って、何の事かと思ったら、ドラマ『琅琊榜~Nirvana In Fire』で主人公・梅長蘇を演じ、
2015年大ブレイクの胡歌(フー・ゴー)が、生まれ育った上海の観光大使に任命されたというニュース。
就任期間は2年。その間、胡歌が旅行会社社長を演じたドラマ『大好時光~Good Time』に引っ掛けた
『胡歌邀你領略上海的“大好時光”』というPR映像や、
<胡歌帶你遊上海(胡歌があなたを上海へ遊びにお連れします)>という小冊子が制作され、
国内外で観光客誘致の宣伝活動が展開されるらしい。
本当に胡歌が上海で私を案内してくれるなら、今すぐにでも航空券を手配したい。
…まぁそれは叶わぬ夢でも、日本でも旅行博などで、その小冊子くらいはもらえそうですね。
ちなみに、故郷の観光PRは名誉なお仕事なので、ノーギャラらしい。

日本で故郷をPRしている芸能人と言ったら、群馬の井森美幸くらいしか、パッと思い浮かばない。
(それほど井森美幸は故郷の宣伝に貢献しているという事かも知れない。
私、井森美幸が言うまで、“上毛かるた”なる物の存在すら知らなかったし。)



日本の芸能ネタでは、昨日、当ブログの検索ワードランキングで、
ついに“ディーンフジオカ タトゥ”がブッチ切りの第1位に!!
“ディーンフジオカ 刺青”も10位以内にランクイン。
昨日、NHK『スタジオパークからこんにちは』、2016年年明け初めての放送に、
ディーン・フジオカ(DEAN FUJIOKA/藤岡靛)がゲスト出演した影響と推測。
番組の中で、ディーン・フジオカが中国武術を披露する映像が流れるのだが(←キレがあって上手い!)、
Tシャツの袖口からタトゥがチラチラ覗いていたので、これは不都合なのでは?と思っていたら、
案の定、検索にかける人が続出。
皆さま、「今、私が見ちゃった物は何?まさか五代サマに限ってタトゥなんて有り得ないわよねぇ?!」
と信じたくない気持ちで、ついつい検索してしまったのでしょう。
所属事務所もそろそろ五代サマのタトゥ対策に本格的に乗り出した方が良いかも知れません。
それにしても、NHKの影響力はスゴイ。





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今後放送のテレビ番組で注目は、まず、本日、1月5日(火曜)、NHKで放送の『探検バクモン』
海外ロケ16年ぶりの爆笑問題が、シンガポールをレポするスペシャル企画。
東京23区ほどの国土に、人口550万、資源もほとんど無い国でありながら、
今や金融資産一億円以上の富裕層の割合が、6世帯に1世帯と世界一にまで成長したシンガポールを
(日本の富裕層の割り合いは僅か2.9%なのだと)、爆笑問題が現地で取材し、
日本人の生きるヒントを学ぼうという企画。





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翌1月6日(水曜)、NHK BS1『奮闘!日本人~エキサイト・アジア』は、
“渋谷発カワイイを売れ”という香港特集。
そう、そう、そう言えば、2015年12月上旬、渋谷109が、海外初店舗を
香港の海港城(ハーバーシティ)にオープンしたというニュースを見た。
109は日本国内に何店舗かあり、しかも、入っているテナントは、どこにでもあるチェーン店が多い。
それでも、多くの若い女の子にとって、渋谷の本店だけは“聖地化”していて、
一部の外国人観光客には観光地にもなっているように見受ける。
つまり、渋谷のあの場所にある、あのビルであることが重要なように思えるのだけれど、
それを家賃の高い香港で、中途半端な規模でオープンし、採算が合うのだろうか…?





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1月7日(木曜)、BS日テレ『世界水紀行』
“懐かしの島 台湾 美食の都 台北から坂の町 九份へ”と題した台湾特集。
なんか似たような物をすでに観た気もするのだが、この番組が以前特集したのは、高雄、日月潭周辺で、
今回のは新作みたい。





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1月8日(金曜)、BS朝日『ハラホリ』は新春スペシャル。
母親が台湾人の渡辺直美と、血は100%台湾人のモデル舞川あいくが、3週連続で台湾を紹介。
この二人が以前スタジオで台湾について語った回が案外好評だったので、海外ロケが実現したのでしょうか。
一週目の今週は“食って食って食いまくる満腹台湾ツアー”がテーマで、
小籠包、魯肉飯、スウィーツなど、渡辺直美おススメの台湾グルメを紹介。





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1月10日(日曜)、テレビ東京『モヤモヤさまぁ~ず2』もまた台湾で、
さまぁ~ずが、台湾のモヤモヤスポットをぶらぶらするらしい。
でも、紹介されるのは、胡椒餅、火鍋、占いエリアなどとのことなので、
“モヤモヤスポット”というより、ガイドブックに必ず出ている“超有名スポット”という予感もする。





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台湾を取り上げる番組がやたら多く、内容がカブリまくっていて、新鮮味ナシ…。
唯一切り口が異なるのが、週を跨いだ1月11日(月曜)、テレ東で放送の『未来世紀ジパング』
“池上彰SP 知っているようで知らない台湾”という台湾特集で、
日本統治時代の再評価から、中国との関係が争点になっている総統選までを取り上げる。
ちなみに、SHELLYは次回から産休とのこと。元気な赤ちゃんを産んで、復帰するその日をお待ちしております。



あと、再放送だけれど、1月10日(日曜)朝、NHK BSプレミアムの『桃源紀行』も録画。
この回で取り上げているのは、冬がと~っても寒そうな黒龍江省の哈爾浜(ハルピン)。
万が一、氷点下に耐えられる体質に変わったら、
スゴイ!と評判の哈爾浜の冰雪節(氷祭り)は一度見てみたい。





お菓子は、亀屋042-385-8181)の“吉祥上生菓子”というお正月用のおめでたい上生菓子。
父がいっぱい頂いたので、その内4個を食べてみた。
味も見た目も全部違って、どれもそれぞれに良し。

★ 干支 申

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大きさは、約4.5センチ。
中に胡麻餡を包み、猿の顔を模した煉り切り。




ひとつめは“干支 申”
今年の干支・お猿さんの顔をデザインした煉り切り。

普通の練り切りを想像して食べたら、中の餡が胡麻餡だった。
私が今までに食べた練り切りの多くは、小豆の黒い餡かいんげん豆の白餡で、胡麻餡は珍しい。
胡麻の香ばしい味が良い感じ。

お猿の顔が、“テレタビーズの遠縁”みたい。ちょっぴり不細工だけど、愛嬌があって憎めない。

★ 丹頂

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大きさは、約4センチ。
柚子餡を包み、小花をあしらった、鶴をイメージしたお餅。




こちらは“丹頂”
おめでたい鳥、丹頂鶴をイメージした餅菓子。

ポイントは、お餅。このお餅は、“雪平(せっぺい)”。
雪平は、泡立てた卵白、つまりメレンゲを混ぜて作るお餅のこと。
だから、普通のお餅と違い、ものすごーーーく柔らか!

その雪平生地の中に包まれているのは柚子餡。
さらに、表面には、シナモンが使われている。
食べると、まず口の中に広がるのは、柚子よりシナモンの香り。

柚子餡に期待していたので、柚子の香が弱めなのは、ちょっと残念だったけれど、これはこれで美味。

★ 水仙

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大きさは、約4センチ×3.5センチ。
羊羹と浮島を重ね、上部を水仙で飾ったお菓子。




続いて“水仙”
厳しい寒さの中でも咲き、いち早く春の訪れを知らせる水仙は、正月花の代表。
ただ、お正月に飾るお花としての水仙は、私にとっては、日本より中国のイメージがずっと強い。
中国から伝わった風習なのかもね。

このお菓子は、羊羹と浮島を重ねたシンプルな物。
羊羹は、普通の羊羹と水羊羹の中間くらい。水分が多く、瑞々しく、さっぱりしている。
“和風スポンジ”浮島は、しっとりした生地。

味にも作りにも無駄が無く、上品。
ちょこんと添えられた水仙のお花が、可憐。

★ 千両

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大きさは、約4センチ。
中に求肥を隠した大納言を煉り切りで巻いたお菓子。




最後は、“千両”
冬に、小さく赤い実をつける千両は、水仙と同じように、お正月の縁起物の植物。
この和菓子に2ツちょこんと乗った赤い実は、千両というより、いくらっぽい…?

ツヤツヤに光る大納言が、見るからに美味しいそう。
甘さ控えめに炊かれ、ひと粒ひと粒がしっかりしていて、見た目通り美味。
中に求肥が隠れていて、得した気分。

これ、要は、“鹿の子”なのだけれど、さらに煉り切りが加えられているのが、普通の鹿の子との違い。

私を無下にフッた胡歌が今日本…?!

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 ぎゃぁーーーっ!新年早々の悲報。
胡歌(フー・ゴー)に新恋人出現のニュースに心打ち砕かれているmangoでございます。



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2015年12月、杭州で撮影中、空港で事務所スタッフに出迎えられ、ホテルに送り届けられた女性が、
胡歌と2晩を過ごし、二人が時間差でホテルを後にしたことが、スッパ抜かれてしまった。



お相手は、林曉(リン・シャオ)という(↓)こちらの女性。

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この林曉は、北京舞蹈學院で学んだ劉詩詩(リウ・シーシー)の後輩で1988年生まれ。
省級醫院副教授の母と、レストラン、ホテル、不動産などを手掛ける企業家の父をもつ富豪の令嬢で、
かつて多少モデルなどをしていたものの、親に芸能活動を反対され、今ではすっかり一般人なのだと。

(私が言うとヒガんでいるみたいだけれど…)上にあげた写真は写りがかなり良い物で、
他で見ると、あまり美人とは言い難いかも。


胡歌には、これまでも絶えず女性の噂があったが、
彼に特別関心の無かった私は「どうぞ御自由に」という感じであった。
最近は浮いた噂が無かったのに、よりによって、私が胡歌の魅力に気付き、惚れ込んで間もなくして
「mangoさん、頼むから僕のことは諦めて下さい」と言わんばかりに、
新たな女の影をチラつかせるとは、胡歌よ、あなたって罪な男ね…。



本日、杭州での密会写真が出て、“胡歌新戀情”のニュースは瞬く間に拡散。
胡歌本人は、午後、自身の微博でメッセージを出し、対処。

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これって、どうなの…??
要は「そっとしておいて欲しい」という事。
「皆さんがご覧になったように、今林曉という女性と交際しています」とは認めていないのだが、
一般的には“胡歌が黙認した”と受け止められているようで、
微博にも「おめでとう!」、「お幸せに!」といった祝福のメッセージが多数寄せられている。
人民の皆さまは、心が広いのですね。
あとねぇ、「霍建華(ウォレス・フォ)はどうなるの?!」というコメントも結構多い(笑)。
まぁね、私も、他の女性に奪われるくらいなら、いっそゲイでいて欲しかったワ。





そんな胡歌、本日、この噂が拡散する前に、上海の空港でも隠し撮りされている。

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どうやら日本へ向かう便に搭乗したという話になっている。
すでに1~2日前から、「1月6日、胡歌が上海発日本行きの飛行機を取っている」という話が
実しやかに流れていたが、私は疑い半分に見ていた。
そうしたら、本当だった。こういうのって、航空会社の人が、個人の情報を漏らしてちゃっているの…?!
具体的な行先は、札幌説が多いようだけれど、どうなのでしょう。確かに、服装は北国仕様かも。

もし本当に日本に来ているなら、11月にお仕事で福岡に来て以来2ヶ月ぶり。
福岡のお仕事は、第10回アジアドラマカンファレンス(公式サイト)の授賞式。
(日本で行われたイベントでありながら、日本国内ではまったく報道されないので、
私は日課の中華芸能チェックで「えっ、今胡歌日本に居るの~?!」と知った。)

微博に漏洩されていた情報がもし本当なら、胡歌の帰国は1月10日。
皆さま、この数日間に、日本のどこかで胡歌似の男前を見掛けたら、それはホンモノの可能性高し、デス。
確かに胡歌は、今回の密会騒動で私のオトメ心をズタズタに踏みにじりましたが、それでも冷めない恋心。
ナマ胡歌に会えるものなら会ってみたーいっ…!


ちなみに、年末、恒例のスキーのため、妻・劉嘉玲(カリーナ・ラウ)と来日した梁朝偉(トニー・レオン)は、
目的地・北海道へ行く前に、銀座のマツキヨで激写されている。

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↑妻のショッピングを、文句も言わず店外でジッと待つ物分かりの良い夫の図。(これだから好き、梁朝偉。

胡歌も、仮に北海道へ行くんだとしても、東京にも寄ってくれたらいいのに。
目撃情報、お待ちしております。




なお、私を無下にフッた罪な男前・胡歌、
及び、私が胡歌オチしたドラマ『琅琊榜~Nirvana In Fire』については、こちらから。

祝・2016年『琅琊榜』日本上陸!

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ここ数ヶ月、私が、「来い、来い…」と何かに取り憑かれた祈祷師のように祈りを捧げ続けてきた
大陸ドラマ『琅琊榜~Nirvana In Fire』が、2016年の今年、ついに日本上陸する旨を、
当ブログを通しお世話になっている真由美さんからの御一報で知った。バンザイ。
私は雑誌を読まないし、ネットでも日本語の情報は、天気予報と電車の運行状況くらいしか率先して見ないから、
一番疎いのが案外地元・日本の情報だったりするのです。
改めまして、真由美様、喜ばしいお知らせを、ありがとうございました!

★ 疑問と要望

では、『琅琊榜』日本上陸にあたり、私が抱いている疑問や要望を勝手に列挙。


邦題は?

中華作品の場合、基本的には、漢字の原題をそのまま使い、日本語読みにした物が好み。
かつての映画『悲情城市(ひじょうじょうし)』、『恋恋風塵(れんれんふうじん)』のように、
簡潔で、なんとなく意味が伝わる上、語感にインパクトがあり、記憶に残るから。
しかし、『琅琊榜』は日本ではあまり使われない難しい漢字なので、
そのまま邦題にできるのかどうか、私には分からない。
最低限やめて欲しいのは、香港映画の邦題に有りがちな、“英語タイトルをそのまま片仮名表記”式邦題。
『ニルヴァーナ・イン・ファイア』は、まかり間違っても付けて欲しくない邦題。あまりにも情緒が無さ過ぎる…。
この字面から私が想像する物語は、闘魂みなぎるプロレスラーの復活劇。
(かつて「ファイヤー!」を絶叫していた大仁田厚が脳裏に焼き付いてしまっているせいかも知れない。)
『炎の~』も避けて欲しい。成龍(ジャッキー・チェン)の顔を思い浮かべてしまうし(→『炎の大捜査線』)、
そうじゃなくても、メラメラと燃え上がる炎は、『琅琊榜』のストイックな作風を壊す。



日本語吹き替え放送、断固反対!

せっかく日本に入ってきても、日本語吹き替え放送ではガッカリである。
数年前、『蘭陵王』を吹き替えで放送したフジには、失望を通り越して怒りが込み上げてきた。
ドラマの重要な部分を占める台詞を変えるということは、そのドラマの作風をも変えることになりかねない。
かつて私がイタリア語吹き替え版で観た張藝謀(チャン・イーモウ)監督作品『活きる』が一例。
イタリア語吹き替え版では超シリアスな大河ドラマだったのに、
数年後、オリジナル中文音声+日本語字幕で観たら、案外軽妙だったので、あまりの違いに驚いた。
『蘭陵王』も、大袈裟な吹き替えで、オリジナルには無いオヤジギャグまで盛り込まれ、まるで日本のアニメ。
敢えてそこを狙ったのかも知れないが、そんな物を望んでいない人にとっては、いい迷惑。
しかも、狙った割りには、視聴者の層が、アニメや声優のファンにまでドッと広がったわけでもない。
何人もの声優を雇うお金があるのなら、そのお金は他に使って、より良い字幕制作に力を注いでいただきたい。
特に『琅琊榜』では、重要な役・靖王を演じる王凱(ワン・カイ)が、“声オチ”してしまうほどの美声。
主人公・梅長蘇役の胡歌(フー・ゴー)も地声で演じているし、日本語に吹き替えたら、私、暴れます。



オープニング曲もそのままで!

『琅琊榜』のオープニングは、映画のテーマ曲のように壮大で美しい旋律のインストゥルメンタル曲。
今では、この曲のサワリを耳にしただけで、
反射的にグワァーーーッと感動モードにスイッチが入る体質になってしまった。
ところが、台湾での放送では、
オープニングが吳亦帆(ウー・イーファン)の<魔女>という歌にスリ替えられているようではないか。
試しに聴いてみたけれど、ぜんぜんイメージに合っていない…!
日本では、大陸版のインストゥルメンタル曲をそのまま使って欲しい。



BSでの放送を希望!

中華ドラマは、以前に比べ、随分入ってくるようになったけれど、その大半はCSで放送されるだけ。
『琅琊榜』はCSでひっそり放送するには勿体無いレベルのドラマ。是非ぜひBSで放送を!
かなり個人的な希望だが、万が一CSでも、アジアドラマチックTVだけはやめて欲しい。
うちに入らないし、今後も契約の意志ゼロなので。



日本版予告編って無いの…?

ここに予告編を貼ろうと思ったのだけれど、どれもやたら長い上、
私が思う“『琅琊榜』の魅力”がまったく伝わってこないので、やめた。
5分以内にまとめ、日本語字幕を付けた日本版予告編が有れば良いのに…。
映画でも、予告編制作は、中華圏の国々より日本の方が絶対に上手い。
(どんな駄作でも、日本で作られた予告編で観ると、名作に思えてくる。)

仕方がないので、ここには一応、霓凰郡主の役で出演している劉濤(リウ・タオ)が歌う挿入歌
<紅顏舊>のMVを貼っておく。ドラマの中の映像もぼちぼち観られるので。



このMV、王凱演じる靖王の登場シーンが極めて少ないのが、ドラマのプロモーション映像としての最大の欠点。
王凱は、『琅琊榜』が日本で放送されれば、ブレイク必至。要注目の俳優です。

★ 『琅琊榜』は、こんな方におススメ

好みは十人十色なので、中華圏でどんなにヒットした『琅琊榜』でも、日本で皆が皆夢中になるとは思わない。
でも、以下のような方々は、取り敢えず観ておいて損はないかも知れません。


幼稚な台湾偶像劇にウンザリしている人

前述のように、日本に入って来る中華ドラマの数は増えたけれど、多くは台湾の偶像劇。
台湾偶像劇は、それまで中国語のドラマを観るという習慣があまり無かった日本に
「中華圏にも面白いドラマがあるではないか」と認識させたし、
韓ドラとは異なるポップなテイストにも新鮮味があったが、近年はマンネリ化が否めない。
“ポップなテイスト”も、もはや新鮮ではなく、何本も観ている内に、ただの幼稚なドラマに思えてきたという
そこのアナタ様、そろそろ観応えのある大人のドラマを欲していませんか?
『琅琊榜』は、脚本が巧妙で、大人の鑑賞に堪え得るドラマです。



ひたすら台湾が好きで台湾偶像劇を観ているという人

無条件に台湾が大好きで、台湾へ身を捧げたかのように、
忠実に台湾偶像劇をせっせと鑑賞し続けている人も多いであろう。
しかし、現地・台湾でも、“台湾偶像劇はひと時代を終えた”と見る向きがあり、
ヒットしているのはむしろ『琅琊榜』のような大陸時代劇だったりする。
台湾偶像劇を頑なに観続けるのも勿論OKだが、多くの台湾人が夢中になっている『琅琊榜』を観た方が、
大好きな台湾で台湾人との会話も弾むかも知れません。
ちなみに、台湾人俳優では、黃維(ビクター・ホアン)が重要な譽王役で出演し、
國劇盛典で助演男優賞を受賞している。



“いかにも”な大陸時代劇は拒絶という人

大陸時代劇というと、『三国志』などに代表される歴史超大作や、
金庸(きんよう)などに代表される武俠モノのイメージが強い。なんか“男性向け”ってイメージ。
実際に観ると、それなりに面白いこともあるけれど、好みかどうかと聞かれれば、私好みではない。
近年もうひとつ目立っているのが、お騒がせプロデューサー于正(ユー・ジョン)の作品に代表される
チャラい大陸時代劇。上手い娯楽作になっているなぁ~と感心することも多いが、なにぶん陳腐(笑)。
この『琅琊榜』は、女性が敬遠しがちな歴史超大作や武俠モノとも、
チャラい于正ドラマとも、毛色の異なる大陸時代劇。
アクションシーンを売りにしていないし、
物語も、また衣装や映像といった視覚面でも、泥臭さがなく、むしろ非常に洗練されている。



『宮廷の諍い女』にハマったという人

大陸時代劇が遂に次のステージに上がったと顕著に感じさせてくれたのは、
大ヒットドラマ『宮廷の諍い女~後宮甄嬛傳』であった。
このレベルのドラマはもうなかなか出てくるものではないと思っていたら、出て来たんですよねぇ、『琅琊榜』が。
『宮廷の諍い女』女性中心の物語なら、『琅琊榜』は男性中心の物語。
どちらも内容は突き詰めると“政治”で、巧妙な脚本による知的な舌戦が見所なのも共通。



男前で目の保養をしたいという人

『宮廷の諍い女』との違いを一つ挙げるなら、男たちの物語『琅琊榜』は、恋愛要素が極めて薄い。
(私は、ラヴ完全皆無でも良かったと思っている。)
こう言ってしまうと、心にまだ乙女な部分を宿している女性視聴者はガッカリするかも知れないけれど、大丈夫。
『琅琊榜』出演者は、少年からシニアまで、まるで男前のデパートやぁ~(←彦摩呂の「宝石箱やぁ~」風に)。
タイプの異なる男前が多数出演し、趣味の異なるワガママ視聴者がそれぞれに
「私は○○」、「私は△△の方が好みヨ」と誰かしら御贔屓を見付けられる点は、
愛新覺羅家の御曹司が選り取り見取りな『宮廷女官 若曦(ジャクギ)~步步驚心』に近いかも知れない。
ドラマの質としては、『若曦』よりずっと上の『諍い女』レベルなので、
つまりは『諍い女』『若曦』のオイシイ部分を加えたようなドラマ、それが『琅琊榜』。



韓国時代劇に飽き気味という人

『琅琊榜』は、大陸時代劇にしては珍しく韓国でウケたドラマ。
(一般の放送ではなく、視聴者が限られたケーブルでの放送なので、
日本における『冬ソナ』レベルの大ヒットとまでは言わないが、かなり成功した例。)
なぜこの『琅琊榜』に限ってそんなに韓国の人々の心を捉えたのかは、よく分からない。
逆に、私が、映画でもドラマでも、一部を除き韓国モノを苦手とする理由は、
物語も登場人物のキャラ設定も、いちいち大袈裟で、観ているだけでおなかいっぱいになる程クドイから。
…で、思った。もしかしたら、これまで当たり前のようにギラギラにクドイ物を観続けてきた韓国の人々にとって、
『琅琊榜』のストイックさが、優雅で新鮮に感じられたのかも…、と。
日本でも、韓国時代劇はそろそろおなかいっぱいと感じている人は、
もしかして『琅琊榜』の抑えた作風で胃モタレが解消され、優雅な中華世界に惹き込まれていくかも知れない。



中華電影ファン

映画ファンというのは、とかくテレビドラマを格下に見がち。
私も本来ドラマより映画派なので、それも分かるのだけれど、
大陸ドラマに限って言えば、キャスト、美術、演出と様々な部分で、
もはや下手な映画を上回ってしまっていると感じる。
そんな“下手な映画を上回っちゃったドラマ”の一本が『琅琊榜』。
将来的に映画で活躍できそうな俳優も多数出演しているので、青田買いのつもりで観ておくのも悪くない。

★ 『琅琊榜』色々

最後に、当ブログに記した過去の『琅琊榜』関連のエントリをリンクしておく。

~大陸ドラマ『琅琊榜』、及び、mango厳選の4人の男前出演者について。

~2015年12月末に行われた大陸版テレビドラマのビエンナーレ飛天獎について。

~2016年元日に放送されたテレビドラマの祭典・國劇盛典について。『琅琊榜』は最多の10部門で受賞。

~『琅琊榜』で大ブレイクの俳優・胡歌が、新たな恋の噂で世間を騒がせている中、来日という内容。




日本のテレビで『琅琊榜』を観られるなんて、楽しみ!(アジアドラマチックTVじゃなければ、の話だけれど。)
…とは言うものの、日本国内の情報にとんと疎いので、
邦題が発表されたとか、放送開始日が決まった等々、何か新情報がございましたら、
皆さま、また御一報よろしくお願いいたします。

映画『リザとキツネと恋する死者たち』

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【2014年/ハンガリー/98min.】
1970年代のハンガリー・ブダペスト。
リザは、住み込みで元日本大使夫人・マルタ田中の面倒を見ている看護人。
日本の恋愛小説を読むことと、
彼女にしか見えない日本人歌手トミー谷の幽霊と交流することぐらいが、心の拠り所。
一人でひっそり30歳のお誕生日を迎えたその日、ようやく2時間の外出を許され、
憧れのメック・バーガーでハンガーがーを頬張り帰宅すると、
有ろうことか、何者かに殺害された未亡人・マルタの遺体が床に。
遺族たちは、金目当ての犯行と、リザに疑いの目を向け、
ゾルタン巡査のもと、捜査も徐々に進められていく。
落ち込むリザは、新たな人生を模索し始めるが、彼女が気に掛けた男性がどういう訳か次々と死亡。
リザに向けられた疑いの目は益々厳しくなってゆき…。



実はこれも2015年12月に観た作品。グズグズしている内に、年を跨いでしまった…。

こちら、2015年3月に開催された第10回大阪アジアン映画祭にて、
『牝狐リザ』の邦題で上映されたハンガリー映画。
『リザとキツネと恋する死者たち』と名を変え、9ヶ月後に一般劇場公開。

案外早く一般公開の運びとなった事を喜んだのも束の間、レイト・ショウのみと知り、ガッカリしていたら、
公開2週目で昼間の上映が追加された。バンザイ。
私のように、日中の上映を待ち望んでいた人が多いのか、派手な宣伝をしていない作品にも拘わらず、
映画館は満員御礼であった。(勿論、キャパ80席程度の小さなスクリーンで、昼間の上映は一回のみ、
しかも週末という条件が重なった事が大きいだろうが…。)

監督したウッイ・メーサーロシュ・カーロイは、ハンガリーの売れっ子CMディレクターで、
本作品で長編監督デビュー。
どこの国でもCM出身監督の長編映画は、画にコダワリ過ぎて内容が無く薄っぺらと、
酷評されがちだけれど、私は結構好き。



本作品の主人公は、元日本大使夫人マルタ田中を住み込みでケアする30歳の専属看護人・リザ。
日本の恋愛小説と日本人歌手トミー谷の幽霊くらいしか心の拠り所の無い内気な彼女の周辺で、
マルタ田中の死を機に、多くの男性が次々に命を落としていくという事件が勃発。
物語は、この不可解な死亡事件が狐の呪いに依るもので、
さらなる悲劇を断ち切るには、自分を無私に愛してくれる男性と出逢うしかないと知ったリザが、
迷い、悩みながらも真の愛を掴むまでを描くファンタジー。


本作品は、ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ監督が、
栃木県・那須を訪れた際に知った九尾の狐の伝説をモチーフにしているという。

九尾の狐の伝説発祥の地は中国で、その後、近隣国に伝わり、
ここ日本でも歌舞伎などの題材に取り上げられ、広く知られている。
…が、そんな日本の中でも、“九尾の狐と言えば那須”というのは、知らなかった。

九尾の狐が玉藻前(たまのもまえ)という美女に化け、鳥羽上皇から寵愛を受けるも、
鳥羽上皇が病に伏したことで、九尾の狐である彼女の仕業だと陰陽師・安倍泰成に正体を見破られてしまい、
宮廷から脱走し、那須野に逃げ込むが、朝廷が送ってきた軍に殺され、巨石に変化。
巨石に籠った怨念は毒気となって発せられ、近付く人や動物の命を奪うため、“殺生石”と呼ばれるようになり、
今なお栃木県那須町の那須湯本温泉に存在し、観光名所になっているらしい。
このように、日本で九尾の狐所縁の地と言えば那須なのだそう。へぇー、知らなかった。

まぁ、一般にある九尾の狐のイメージは、“美女に姿を変え、男たちをたぶらかす妖魔”でしょう。
本作品の主人公・リザは、ぜんぜん妖艶な美女ではなく、むしろ地味で内気でオクテなのだけれど、
どういう訳か、この狐の呪いにかかってしまったため、
彼女に見初められた男性が次々と死んでいくという不可解な事件が起きてしまうわけ。


本作品は、この九尾の狐伝説のみならず、作中あちらこちらに“日本”が盛り込まれているのが特徴的。
こんなに日本語(←タドタドしい日本語)満載のハンガリー映画を観るのは初めて。
作中描かれる日本は、日本人が見て違和感の無いリアルな日本ではなく、(↓)このように…

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昔の外国映画によく見られた“間違った日本”、“変テコなニッポン”なのだけれど、
それが上手いこと作用していて、70年代ヨーロピアン・レトロと調和し、この作品を面白い御伽噺にしている。





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出演は、主人公のリザにモーニカ・バルシャイ
リザにしか見えない日本人歌手トミー谷の幽霊にデヴィッド・サクライ
事件の捜査を担当する刑事ゾルタンにサボルチ・ベデ=ファゼカシュ
リザにちょっかいを出してくる女たらしのヘンリクにゾルターン・シュミエド
リザが看護する元日本大使夫人マルタ田中にピロシュカ・モルナール等々。


ハンガリー映画は過去に何本か観ていても、
馴染みのあるハンガリー俳優は、まったくと言ってよいほど居ない。
本作品の主演女優・モーニカ・バルシャイも、初めて見る顔。舞台出身の女優さんらしい。
正直なところ、1973年生まれ、もう40代の彼女が、30歳のリザを演じるには老け過ぎというのが第一印象。
が、しかし、その老け気味で地味な顔立ちと、少女のような痛々しいおさげ髪から、
ずっと他人の介護に明け暮れ、浮いた話の一つも無い女性の“行かず後家”感が滲み出ており、
リザの設定に合っていると思えてきた。
そのように、地味で男っ気も無いリザなのに…

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その後きちんとお洒落をしたら、案外綺麗に化けたので、一瞬目を疑った。
ちょっと『奥さまは魔女』のサマンサっぽい。


でもねぇ、日本の観衆ならどうしても気になってしまうのは、主演女優モーニカ・バルシャイ以上に…

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トニー谷ならぬトミー谷に扮する謎の男優、デヴィッド・サクライである。
日本人の父とデンマーク人の母の間に生まれ、現在はロスを拠点に活動する俳優らしい。
ハンガリーとは縁が無さそうなので、ハンガリー語はどうするのかと思ったら、
幽霊なので、基本的に台詞が無い。
徐々に邪悪な顔を覗かせ、終盤ついに喋る台詞は日本語。
(デヴィッド・サクライは日本で暮らした経験もあるらしいが、日本育ちではないので、明らかに訛りがある。)

それ以外の登場シーンでは大抵ノリノリで歌を歌っているのだけれど、それも日本語。
トミー谷のヒット曲<ダンスダンス☆ハバグッタイム~Dance Dance Have A Good Time>はこちら(↓)



私は当然デヴィッド・サクライが歌っているものと思い込んでいたのだが、どうやら口パクみたい。
サントラ情報を見ていたら、これの作曲と歌に、ハンガリーの音楽プロデューサー兼作曲家、
エリク・サモがクレジットされていた。
えぇぇーっ、日本語上手くない…?!特に“everybody”、“hava a good time”といった英語が
“エブリバディ”、“ハバグッタイム”とバリバリ日本人発音のイタイ英語に再現されていることに驚いた(笑)。

そもそも、“いかにも日本に本当にありそうな曲”を、ハンガリー人が作っちゃったというのがスゴイ。
この曲、日本ではよく“昭和歌謡”と説明されているのを見掛けるけれど、
それより、平尾昌晃、ミッキー・カーチスに代表されるような日劇ウエスタンカーニバル調というか、
グループサウンズ調って感じがする。
なんか初めて聴いたとは思えない懐かしさが湧く上、ノリノリで、記憶にこびり付く。
映画館を出てからも、「弾む~ビィ~ト~」というメロディが頭の中で何度も再生してしまった。





ハンガリー映画は、日本でメジャーとは言い難い。
ハンガリーの映画監督で、パッと名前が出るのは、う~ん、多分タル・ベーラ監督くらい。
私が過去に観た数少ない作品から受けたハンガリー映画の印象は、
娯楽作より文芸作や芸術作、明か暗なら“暗”。
過去の悲劇や政治を背景にした社会派作品のイメージも少なからずある。

本作品は、その存在を初めて知った時、『牝狐リザ』という邦題から、ヌーヴェルヴァーグっぽい物とか、
美輪明宏が出ている昔の日本映画っぽい物が(←それはキツネじゃなくてトカゲか …苦笑)
漠然と頭の中に思い浮かんだ。

…が、実際に観た本作品は、私が思い浮かべたそのような雰囲気とも、これまでに観たハンガリー映画とも
毛色の異なるポップなファンタジー。
ひとつひとつのカットがいちいちキュートで、
CM出身のウッイ・メーサーロシュ・カーロイ監督のセンスが光っている。
全編に盛り込まれた“日本”も、日本人の私にとっては食い付き所で、非常に楽しめた。

かと言って、オシャレなだけのお気楽映画とも片付けられない。
民主化が進み、ハンガリー共和国となる1989年以前、社会主義政権下にあった70年代のハンガリーには
本来無いはずのハンバーガーショップやファッション誌も、本作品にはキーとして登場し、
抑圧された当時の人々の儚い夢やささやかな希望が綴られていると考えると、
まさに“狐につままれた”ような、ちょっぴり物哀しいブラックなファンタジーで、
実のことこ、私がこれまでに観たハンガリー映画とも根っ子の部分では繋がっているようにも感じられた。

★黄金芒果奬2015!

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あ゛ーーっ、2016年1月も1/3が過ぎてしまった…!
お早い方は、2015年12月中旬から“2015年度ベスト映画”を挙げておられたようだが、
私は毎度のように、のそのそと今更になって昨年度の我が鑑賞記録を振り返り、
独断と偏見だけで、勝手に表彰せていただきます。


今回設定した賞は以下の通り。
最優秀作品賞に当たる黄金芒果奬(ゴールデン・マンゴ賞)、
テレビドラマを対象にした芒果電視劇奬(マンゴTVドラマ賞)、
逆に、映画、テレビドラマそれぞれの苦手作品には
当ブログ版“ラジー賞”、臭榴槤獎(くっさ~いドリアン賞)
また、色んな意味で注目に値した俳優には芒果演員獎(マンゴ俳優賞)を新たに設定。


【ノミネートの条件】
映画賞の対象は、2015年度、私mangoが 映画館、映画祭など、
劇場のスクリーンで観た初見の作品のみとする。
よって2015年度劇場公開された作品でも、私にとって初見でなければ、対象外の扱い。
また、テレビやDVD等で鑑賞した作品も、対象外とする。
芒果電視劇奬に関しては、2015年度内に観終えたドラマのみ対象で、鑑賞途中のものは含まない。

★ 臭榴槤獎~くっさ~いドリアン賞

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本当は、昨今日本に入ってくる台湾ドラマの9割に臭榴槤獎を捧げたい気分。
それ程、ことごとくハマれる物ナシ。でも、一本なら、この『ショコラ~流氓蛋糕店』を選択。
コレ、日本の長澤まさみ海外初主演ドラマ。
長澤まさみ自身は、慣れない環境に入り、中国語の台詞も一生懸命覚えて頑張ったと思うけれど、
出来上がった作品がこんなに低クオリティでは、彼女の努力も報われず、気の毒になる。
その後、吳宇森(ジョン・ウー)監督作品『太平綸~The Crossing』の出演に繋がったのが救い。

映画は、これっぽっちも迷うことなく『KANO-カノ-1931海の向こうの甲子園』
2015年も明けてまだ間もない1月末に観て、あららぁー…。
その時点ですでに、2015年の残り11ヶ月でこれを越える駄作には出会えないと予感した。
優れた俳優が優れた監督になるとは限らない。
馬志翔(マー・ジーシアン)はなぜ監督業に手を出し、キャリアを汚すような映画を撮ってしまったのだろうか。
ダラダラとまとまりの無い脚本、過度な演出、耳障りな音楽や効果音…、と全てが稚拙。永瀬正敏の無駄遣い。
お金のない学生だって、優秀な子は、もっとマシな自主製作映画を撮る。
このような陳腐な作品が、台湾映画としては珍しく日本でそこそこのヒットとなったのは、
「日本は素晴らしい!」、「植民地にしてくれてありがとう!」と“褒めてもらいたい病”に陥っている
昨今の日本人の弱った心をくすぐったからとしか思えない。

★ 芒果電視劇奬~マンゴTVドラマ賞

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テレビドラマは、日台中から一本ずつ、計3本を選出。

2015年日本で話題になったドラマと言えば、TBS『下町ロケット』のヒットが記憶に新しい。
ドラマ後半を、朝日新聞に掲載の池井戸潤書き下ろし新作小説<下町ロケット2>と同時進行させるなど、
新たな試みがあったので、少し期待していたのだけれど、
4年前に放送されたwowow版が好きな私は、TBS版にはまったく感情移入できなかった。

2015年も日本のドラマで抜きん出ていたのは、やはりwowow。
『夢を与える』、『ふたがしら』、『煙霧~Gold Rush』、『スケープゴート』、『死の臓器』、『誤断』等々どれも秀作。
中でも『5人のジュンコ』は、“5人のジュンコ”に扮する松雪泰子、ミムラ、西田尚美、麻生祐未、小池栄子
のみならず、渡辺真起子、茅島成美、杉田かおるといった脇に至るまで、女優たちの名演技に息を呑む。
スッピンでボケ気味の老母を演じる茅島成美に、意外な女優魂を感じたし、
寝たきり老人に胸をムンズと掴ませ、お金をせしめようとする杉田かおるのスレっぷりも忘れ難く、
「この人、だてに子役から芸能人やってないわ…」と感心。
日本の女優の実力を確認させてくれるドラマであった。

台湾ドラマは、日本に入ってくる物に限って言えば、もう壊滅的…。
私が芒果電視劇奬に選んだのも、日本未上陸のドラマで『春梅~HARU』
春梅という台湾人女性の人生を軸に、日本統治時代の台湾を描いたフィクション。
多くの日本人が興味をもつテーマだと思うが、映画『KANO』とは違い、
日本の軍国主義や、植民地支配の負の部分も描いているため、この先も日本に入って来ることは無いと推測。
台湾人俳優が危うい日本語で日本人を演じるなど、ツッコミ所も多々有れど、
視聴者を物語の世界へグイグイ引き込む、よく出来た脚本。

不調が続く台湾ドラマと反比例するかのように、大陸ドラマの勢いは増すばかり。
美術、衣装、映像のレベルの高さでは『紅楼夢~紅樓夢』、
そこにさらに人々を引き込む巧妙なストーリーテリング力が加わった物なら『琅琊榜~Nirvana In Fire』
を挙げたいところだけれど、前者は数話見逃しており、後者もザッと通しでしか観ていないため、
2015年度芒果電視劇奬の対象からは外した。

そこで、2015年度のBest Of 大陸ドラマは(正確には、中香合作)、
はっきり言って、『琅琊榜』などと比べてしまうと、かなり質は落ちるが、
それまであまり馴染みの無かった衛子夫(紀元前2世紀-紀元前91年)の生涯を
分かり易いエンターテインメント作品として紹介してくれた点と、
主演女優・王珞丹(ワン・ルオタン)の魅力が決め手となって受賞。
同じように、“歴史に埋もれていた女性を紹介するエンターテインメント”としては、
『後宮の涙~陸貞傳奇』も巧いと思った(…超軽いケド)。
また、2015年日本で一気に3作品放送された“武則天モノ”の中では、
『武則天 秘史~武則天秘史』が最も史実をなぞっていて、興味深く観ることができた。

★ 芒果演員獎~マンゴ俳優賞

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一人目は、私個人的には特別ファンというわけではないのだけれど、
2015年一気に飛躍した印象のあるDEAN FUJIOKA(ディーン・フジオカ/藤岡靛)
彼が台湾から日本へ拠点を戻し、NHK朝ドラ『あさが来た』で五代友厚を演じたことで、
普通のオバちゃんたちから「五代サマ~!」、「おディーン!」と呼ばれるほどブレイクするとは想定外。
以前から台湾偶像劇で彼に馴染みのあった日本人にとっては、
留学先で苦労していた息子が、故郷で大出世したような、意外性と安堵が入り混じった感覚に違いない。
私が彼に期待したいのは、むしろ“今後”。最近ディーン・フジオカのファンになった日本人は、
彼が“台湾では誰もが知る人気スタア”だったと信じている人も多いかも知れないけれど、
実際にはそこまで知名度は高くなく、彼が中華圏で活躍するのは、
むしろ“再輸出”現象が起きるかも知れない、これからと予想。
日本で大ブレイクしたことで→まず台湾あたりで注目が高まり、
→「藤岡靛って以前台湾に住んでいて、中国語も喋れるんだってよ」と噂が広まり、
→“中国語を喋る日本のスタア”として、中華圏の有名監督から出演オファー、なんて将来は充分有り得る。
2015年の活躍で、中華圏進出の成功率が最も高い日本人俳優の一人に急浮上したという印象。
近年、アジアで、日本人俳優は存在感が薄いので、ディーン・フジオカに期待いたします。


もう一人は、大陸の胡歌(フー・ゴー)
若い内からアイドル俳優として華々しく活躍をしていたものの、2006年大事故に遭い、やや低迷。
昨年主演ドラマ『琅琊榜~Nirvana In Fire』が大当たりし、
広く中華圏で「2015年は“胡歌イヤー”」と言われるほどの大復活を果たした。
私にとっての胡歌は、それまで、“客観的に見て二枚目だけれど、特別好みのタイプではない”という位置。
ところが、『琅琊榜』で主人公・梅長蘇を演じる彼を見て、いとも簡単に胡歌オチ…!
“中華圏で『琅琊榜』&胡歌大ブレイク”の理由を、自らの経験で、深く理解したのであった。
その『琅琊榜』が、今年日本にも上陸。
台湾偶像劇の衰退で、そろそろ大陸明星時代に突入する予感もするし、
このタイミングで胡歌は日本でも結構イイ線まで行くかも知れない。
また、私が胡歌を好むのは、“映画に向いている”と感じるからでもある。
とにかく、まだまだこの先の活躍が期待できる胡歌なのです。

『琅琊榜』及び、胡歌をはじめとするmango厳選『琅琊榜』男前キャスト4人については、こちらから。

★ 黄金芒果奬~ゴールデン・マンゴ賞

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黄金芒果奬2015は、迷いに迷って、婁(ロウ・イエ)監督の『二重生活』に決定。
実際には、上位5位くらいまでは、甲乙付け難く、別にどれが一位でも良かったのだけれど、
2015年のフィルメックスで観られるかなぁ~と期待していた新作『推拿~Blind Massage』が、
結局入ってこなかったので、2016年こそ日本で観られますように!という願いも込めて、
婁監督作品『二重生活』を首位に選んだ。
もちろん、妥協で選んだのではなく、『二重生活』は優れた作品。
正妻と愛人というふたつの家庭を持つ男の話をスリリングに描いており、
所々日本とは事情が異なる中国ならではのお国柄が感じられるのも興味深い。


以下、印象に残った作品を絞りに絞ってもう10本。
『薄氷の殺人』:主演男優・廖凡(リャオ・ファン)と映像にシビレる作品。
『黒衣の刺客』:武俠映画を撮っても揺るがない侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督テイスト!
『山河ノスタルジア』:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)が初めて未来を撮った作品。
『酔生夢死』:最近の台湾映画では珍しくなった作家性の強い作風にガツーンとやられる。
『私の少女』:シリアスな内容を一歩退いた目線で淡々と描く韓国映画。
『追憶と、踊りながら』:イギリスのカンボジア系華人監督による“溝を埋めようとする”人々のドラマ。
『あん』:河直美監督最新作は、ハンセン病の元患者を主人公にした人間ドラマ。
『いつか、また』:作家・韓寒(ハン・ハン)の初監督映画。軽妙なノリが、意外と私の好みに合った。
『野火』:塚本晋也監督が自主制作で撮った、今の時代だからこそ観ておきたい渾身の戦争映画。
『愛のカケヒキ』:香港の彭浩翔(パン・ホーチョン)監督が上海と台湾を舞台に撮ったラヴコメ。


毎度の事だけれど、中華圏の作品は観る本数が多い分、名作と感じる物も多い。
逆に、酷評したくなる作品も多く、香港系のアクション映画とか大陸の超大作は、「もう勘弁…」って感じ。
私から見たら“瀕死状態”の台湾映画界からは、
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、張作驥(チャン・ツォーチ)の両監督が
「テレビの2時間ドラマみたいなお気楽映画だけが台湾映画じゃない!」と言わんばかりに、
台湾トレンドに逆行した個性的な作品を発表してくれたのが嬉しい。

韓国映画は、一時期の勢いが感じられず、似たような娯楽作ばかりの日本上陸が目立つ。
もし東京国際映画祭でホン・サンス監督最新作『今は正しくあの時は間違い~지금은맞고그때는틀리다』を
観ていたら、このランキングにも入っていたかも。一般公開に期待。

印象の残っている作品があるけれど、ベスト10には特に社会的意義が感じられる作品2本を入れた。
『あん』はハンセン病について、『野火』は戦争について、色々と考えさせられる作品であった。
『野火』の方は、はっきり言って好みの作風とは言い難いが、
戦中の日本を美化しないと叩かれるような不気味な風潮の中、
敢えてこのような作品を撮った塚本晋也監督の勇気と信念に、心打たれた。





今年2016年は、まずドラマだと…

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とにもかくにも、『琅琊榜~Nirvana In Fire』の放送開始が待ち遠しい。
あと、『宮廷の諍い女~後宮甄嬛傳』の主演×監督コンビによる『羋月傳~Legend of MiYue』も
日本に上陸するのだとか…?こちらも大変な話題作なので、期待が高まる。
もう一本、意外な注目作が『太子妃升職記~Go Princess Go』。
ネット配信の低予算ドラマながら、高額製作費の超豪華ドラマ『羋月傳』以上の評価を得ているダークホース。
内容は、現代のチャラ男が古代にタイムワープし、男性の心のまま皇太子妃となり、
後宮の女たちにヨロメいたり、男性ともしっかりラヴラヴになってしまったりと、
なんかもー時代も性も超越してしまったお話のようだ。
主演女優・張天愛(チャン・ティエンアイ)は、この一本で時の人。今後メジャーな活躍が予想される。
手掛けたのは、俳優としても活動する30代半ばの監督・侶皓吉吉(リュハオジージー)で、
多くの著書が映像化されているあの人気作家・海岩(ハイイェン)の息子。
現地で『太子妃升職記』を支持しているのは若者中心みたいなので、私には軽過ぎるようにも想像するが、
B級ドラマ感覚で観たら、結構楽しめるかも…?
ただ、そもそもがウェブドラマなので、日本のテレビで放送されることは無いと考えた方が普通でしょうか。

台湾ドラマだと、『ニエズ~孽子』の原作者×監督コンビによる『一把青~A Touch of Green』は、
是非ぜひ観たいが、日本に入って来る台湾ドラマの傾向が変わらない限り、期待薄…。
日本でもいい加減“偶像劇以外の台湾ドラマ”が観られるようになって欲しい。



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映画では、前出の婁監督作品『推拿~Blind Massage』の他、
2015年、日本では映画祭のみで上映された2本の作品、
台湾の易智言(イー・ツーイェン)監督久々の新作『コードネームは孫中山~行動代號:孫中山』と、
香港の彭浩翔(パン・ホーチョン)監督作品『アバディーン~香港仔』、
これらの一般劇場公開を熱烈に希望…!!
あとねぇ、すっかり欠乏している“金城武成分”を、そろそろ私に補充させていただきたい。
出演作の配給、ヨロシクお願いいたします。

胡歌&霍建華in北海道(陳漫for<Harper's BAZAAR>)

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2016年1月6日、新恋人出現のスクープが出る直前に、上海の空港から日本へ脱出した胡歌(フー・ゴー)が、
同日午後、自身の微博で、噂に対処したのは、こちらに記した通り。

間も無くして、日本行きの目的は、
中国版<時尚芭莎(ハーパース バザー)>、ヴァレンタイン特集のグラビア撮影を
北海道で行うためだったと判明。



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一緒にモデルを務めるのは、胡歌と美男同士のベストカップルと揶揄されている霍建華(ウォレス・フォ)

私、同じ“大陸で成功したかつての台湾アイドル”でも、
吳奇隆(ニッキー・ウー)の良さは、どうしても分からないのだけれど、霍建華はフツーにカッコイイと思う。
胡歌も、山東省のお嬢様なんかやめて、いっそ霍建華に寝返っちゃえばいいのに…。
彼が旅先でつい霍建華と火遊びに走り、挙句オトコに目覚めてしまうことを、本気で願ってしまいましたワ。


残念ながら、火遊びの噂はこれっぽっちも漏れ伝わって来なかったのだが、
北海道での二人の様子は、<時尚芭莎>公式微博が随時アップ。
その公式微博で、今回の撮影を担当するのが、陳漫(チェン・マン)であることも知った。

★ 陳漫 Chen Man

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陳漫(チェン・マン)は、私も大好きな女性フォトグラファー。
日本でも、中国のアートや写真が好きな人にはそこそこ知られていると思う。
あちらでは、雑誌や広告に引っ張りだこの売れっ子。
チェ・ホンマン(崔洪万)ではありません、チェン・マン(陳漫)ですので、お間違えなく。



彼女は、范冰冰(ファン・ビンビン)のお気に入りフォトグラファーでもある。

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范冰冰の写真で素敵だなぁ~と思う物は、陳漫が撮っていることがとても多い。

(↓)この李小龍(ブルース・リー)も…

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実は、陳漫が撮った范冰冰。なんか楽しんで撮影している感じ。




范冰冰に限らず、陳漫が撮った明星は他にも数知れず。ここに一部挙げると…

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上段左から舒淇(スー・チー)、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)、周迅(ジョウ・シュン)、
下段左から王菲(フェイ・ウォン)、楊穎(アンジェラベイビー)、孫儷(スン・リー)



周迅や孫儷は…

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それぞれ夫の高聖遠(アーチー・カオ)、超(ダン・チャオ)とツーショット写真も。



もちろん被写体は男性も。

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1段目は高以翔(カオ・イーシャン)、
2段目左から張震(チャン・チェン)、陳坤(チェン・クン)、井柏然(ジン・ボーラン)、
3段目左から李易峰(リー・イーフォン)、黃曉明(ホアン・シャオミン)、鹿(ルー・ハン/ルハン)









被写体が美男美女なら、林家ペーが撮ってもそれなりに写るでしょう。
でも、陳漫は、こんな人も撮っております。














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司会をしていた台湾の人気番組『康熙來了』がついに最終回を迎えた
蔡康永(ツァイ・カンヨン)と“小S”こと徐熙娣(シュー・シーディー)。






さらにもっとオジちゃんたちも。




















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上段は吳宇森(ジョン・ウー)監督と徐克(ツイ・ハーク)監督、
下段は単独で吳宇森監督と張藝謀(チャン・イーモウ)監督。

陳漫が撮っても、吳宇森監督はやはり白い鳩とセット。
ドンブリを手にした張藝謀監督が、いつになく良い笑顔を見せているのも印象的。






(余談になるが、先日BS日テレ『久米書店』で、“中国の人気俳優は億万長者”という話の流れから、
久米宏が「中国では監督もお金持ちなのでしょうかね?中国で知人がやっている店に張藝謀監督が来て、
日本円で約百万円をチップで置いていったと聞きました」と話していた。巨匠、ゴーカイ…!)



陳漫の作品は、東洋趣味が感じられたり、遊びがあったり、個性的で魅力的。
北海道では、胡歌と霍建華をどのように撮ったのでしょう…?
























★ お仕事中の御両人in北海道

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前述のように、北海道滞在期間中、胡歌&霍建華、御両人の様子は、
<時尚芭莎>公式微博に、スナップ写真や動画と共にしばしば紹介されていた。

特に上段の写真など、二人の男の背中に“『ブロークバック・マウンテン』感”が漂っているが、
雑誌に掲載される写真は、最終的にどのような仕上がりになるのだろうか。

ちなみに、陳漫が男性を撮る場合は、
煙草、葉巻、パイプといった喫煙道具を小道具に使うことが多いように感じる。

★ ご宿泊ホテル

胡歌と霍建華が、北海道のどこに居たのか、ファンなら気になるところ。
私は、北海道にあまりにも土地勘が無いので、ただの雪野原や、どこにでもある自動販売機を見たところで、
それが具体的などこなのか、まったく見当がつかない。

ところが、中国にはツワモノが居たのです。
その人物は、胡歌が恋の噂に対処した例の微博に貼った画像から…

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そこがトマムであると突き止めていた…!
(どうやらその人は、北海道に行ったことがあるわけではなく、
画像検索でたまたま目にした写真が、胡歌の添付画像と酷似していた事で、場所を割り出した模様。
この人、探偵かスパイになれそう。)



私もそれでひとつピンと来た。
数ヶ月前、上海豫園商城が星野リゾート トマムを183億円で買収したというニュースがあったことを、
ふと思い出したのだ。


で、改めて陳漫が撮ったスナップなどを見てみると…

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ビンゴ!でしょ…?やはり星野リゾート トマムに泊まっていたに違いない。
霍建華が外の雪景色をぼんやり眺めながらくつろいだり、
陳漫がパソコンを持ち込みお仕事をしているこの場所は、
ホテル内にある“森のレストラン ニニヌプリ”というお食事処らしい。


この<時尚芭莎>が出たら、中華圏からの宿泊予約がまたドッと増えるかも知れませんね。

★ オフの胡歌

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北海道入りから3日目の1月9日(土曜)、
胡歌が「ようやく時間ができたので、映画館に『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を観に行った。
映画に中に出てくるストーム・トルーパーは『007』のダニエル・クレイグのカメオ出演なのだと聞いた。
もしかして、いつの日か僕もゲスト出演するかも。」と『スター・ウォーズ』出演への夢を呟いておられた。
男の子ですね~。もしかして、フィギュアも買ったのか…?


この微博を見て、ひょっとしてもう仕事が終わり、東京とか都市部に来ているの?とも想像したが…

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翌1月10日(日曜)、当初噂されていた通り、胡歌と霍建華は新千歳空港からそれぞれ出国。
お二方とも案の定ファンに見付かり、写真を撮られたりサインをおねだりされている。


って事は、胡歌、北海道の映画館へ行ったの…?
そもそも、あんな雪深いリゾート地に映画館が有るのだろうか…。

★ 番外編:彭浩翔監督in北海道

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美男二人がトマムで雑誌のシューティングをしていたちょうどその時期、
美男とは言い難い(でも私のお気に入り)香港の彭浩翔(パン・ホーチョン)監督もまた北海道のニセコに滞在。

右の画像のお店が、彭浩翔監督がニセコで一番好きな居酒屋なのだと。
「もう何年も、天井に貼り付けられているビキニが気になっている」と呟いておられる。
天井にビキニが貼り付けられていたら、確かにフツー気になりますよね(笑)。
天井ビキニ”のこのお店は、BangBangという名の人気店みたい。




胡歌&霍建華という美男子コンビが、日本で撮影というだけでも気になるが、
さらにその撮影を手掛けたのが陳漫だと知り、益々楽しみになってきた。どんな写真か早く見たい。

映画『ヘリオス 赤い諜報戦』

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【2015年/中国/香港/118min.】
謎の犯罪組織に強奪された小型核兵器DC-8が、香港で取り引きされるという情報を掴んだ警察は、
李彥明が指揮する危機対策本部に、物理学の専門家・肇志仁教授を顧問に迎え、早速動き出す。
DC-8を開発した韓国からも、国家情報院の崔民浩理事官と、優秀な諜報員・朴宇哲が香港に送り込まれ、
李彥明らの捜査に協力。
情報屋からのタレこみで、取り引き現場に乗り込んだ彼らは、銃撃戦の末、
犯人は取り逃したものの、DC-8の奪還には成功。
ちょうどその頃、中央政府の最高調査局で主管を務める宋鞍が香港入りし、
DC-8を韓国に返還せず、香港で保管するよう主張。
強力な破壊力をもつDC-8は、外交の重要なカードになると、中央政府は目論んでいたのだ。
一方、李彥明らの犯人追跡もまだまだ続くが、どういう訳か、上手いこと行かない。
李彥明は、内通者の存在を疑いだし…。



『コールド・ウォー 香港警察二つの正義』(2012年)でデビューを飾った
香港の陸劍青(サニー・ルク)&梁樂民(リョン・ロクマン)、両監督による最新作。

『コールド・ウォー』は、『インファナル・アフェア』と並び称する人も居るくらい絶賛された作品であったが、
私はそこまで良いとは感じられず、せいぜい“スーツ萌え映画”として評価したくらい。
よって、この新作への期待も低かったのだけれど、
時間的に好都合だったため、公開初日の初回に観てしまおうと予定していたら、
その日に限って小さなスクリーンでの上映で、
この手の香港映画にしては珍しく、早々に想定外の満席…。
韓国人キャストを前面に押し出した“韓流推し”プロモーションが功を奏したのだろうか。
『20歳よ、もう一度』(2015年)の上映館が意外にも盛況だったことを思い出した。
とにかく、仕方がないので、『ヘリオス』は後日に仕切り直し。
「また混み混みかしら?早く行って席を確保しなければ!」と身構えて映画館へ向かった割りに、
今度は拍子抜けするほど空いていた。



本作品は、韓国が開発した超小型核兵器DC-8が、謎の犯罪組織に奪われたことで
香港警察、大陸の中央政府、韓国政府が、三者三様それぞれの思惑を抱え、腹の探り合いをしながら
得体の知れない凶悪な敵を相手に、事件解決に向け奔走するクライム・サスペンス

最初の内は、事件が起きている香港の地元警察と、DC-8を開発した韓国政府という
事件に直接関係ある二者のみが、捜査にあたる。
中盤になって、ようやく中央政府高官が参入。
あとからのそのそと登場しても、そこはお山の大将・中央政府。
ジャイアンみたいに、強引に主導権を握り、当たり前のように子分たちを従えようとする。
子分たちの多くも、ジャイアンには逆らえないと分かっているから、腑に落ちなくても従ってしまう。
唯一ジャイアンに楯突くのが、香港警察危機対策本部で顧問をする物理学教授の肇志仁。

中央政府高官・宋鞍が登場してからの香港人との一連のやり取りや、
肇志仁教授が宋鞍に言う「君子和而不同(和して同ぜず)」という言葉などからは、
現実にある大陸と香港の矛盾した上下関係や、香港人の不満を表現しているように見て取れる。

私は、核兵器を巡り、大勢がドンパチを繰り広げるだけの単純なアクション映画なら、大して興味が無いので、
むしろこの“大陸vs香港”を主軸に描く社会派作品にしてくれた方が、より楽しめたかも。
もっとも、あまり中央政府批判が過ぎると、大陸で公開できなくなるから、
これ程度の控えめな風刺で丁度良かったのかも知れない。

まぁ大陸と香港の関係のみならず、他にもチラつくアメリカの影に韓国や大陸の思惑が絡むなど、
案外世界の現状を踏まえた“政治映画”になっている、という見方もできる。



このように、多国籍キャストが共演する国際犯罪の物語なので、
作中飛び交う言語も、広東語、北京語、英語、韓国語と様々。
近年増える一方のこの手の多言語作品の場合、
外国人との意思の疎通を、どう処理するのかは、気になるところ。
本作品の場合、なんとも好都合な翻訳機が大活躍。
韓国人は韓国語で、香港人は広東語でそれぞれ喋っても、高性能な翻訳機のお蔭で、きちんと通じ合える。
どんなシーンでも、韓国人と香港人が出くわすと、皆まずイヤホンを耳に装着する様子が、微笑ましい。
大陸の人間と香港人の場合は、翻訳機無しでそれぞれが北京語と広東語で喋っているが、
やはり通じ合っている。今時の香港人は大抵北京語を理解しているだろうが、
広東語を理解している北京語圏の人はそう多いとは思わないので、本当はここにも翻訳機が必要ですよね?


ロケ地は、香港をメインに、澳門(マカオ)、大陸、韓国、そして最後には日本の京都も。





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出演者は、香港警察危機対策本部で指揮を執る李彥明に張家輝(ニック・チョン)
危機対策本部に顧問として協力する物理学の教授・肇志仁に張學友(ジャッキー・チュン)
李彥明の部下、范家明に余文樂(ショーン・ユー)
韓国国家情報院の理事官・崔民浩に池珍熙(チ・ジニ)
崔民浩理事官を補佐する韓国の諜報員・朴宇哲に崔始源(チェ・シウォン)
中国の中央政府高官・宋鞍に王學圻(ワン・シュエチー)
DC-8を持ち去る犯罪組織のメンバー・金年に張震(チャン・チェン)
そして彼の女性アシスタント、“信差(使者)”こと張怡君に文詠珊(ジャニス・マン)など…。

“豪華キャスト”と言えば聞こえは良いが、主役級の俳優ばかりをあまり詰め込み過ぎると、
それぞれに見せ場を作ってあげなくてはならず、結局まとまりが無くなってしまうのではないかと懸念したが、
案外上手くまとまっているという印象。


私の一番のお目当ては、もちろん愛してやまない張震!
この映画は、張震が出ているから観に行ったようなもの。
その張震が今回演じているのは、犯罪組織側の人間。
事件解決に乗り出す中香韓の俳優に比べ、もしかして小さな役かもと想像していたら、意外と出番が多かった。
全登場人物の中で最も無国籍な雰囲気の男で、台詞は中国語と同じくらい英語が多い。
身元を明かせない犯罪者ゆえ、変装をすることもしばしば。

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香港に入国する時は、日本人を装い、「すみませ~ん」などと日本語も発しておられた。
後半の出入国では、ギターを抱えたロン毛のヒッピー崩れなミュージシャン風情だし、
この映画、張震の七変化を楽しむという意味では、悪くないかも。


香港キャストでは、名前を見る限り、大物の張學友と張家輝が、物語を支える二大柱と予想される。
ところが、いざ映画を観たら、張學友扮する肇志仁教授が、ちょっとおとなしい。
眼鏡と蝶ネクタイという香港映画の典型的な“教授スタイル”で、品の良さや知性は醸しているけれど、
物語の重要人物というオーラはさほど感じられない。
…が、終盤正体を明かすと、一気に増す存・在・感…!!
やっぱりねぇー、張學友が脇でおとなしくしている“ただの知的キャラ”で終わるワケがないと思っていた。


韓国人キャストは、本作品では違和感なく、物語の重要な一部になっていると感じる。
近年、積極的に中華圏進出を進めている韓流スタアは非常に多く、中国の“吹き替え文化”のお蔭もあり、
言葉の問題無しにドラマや映画で役を得ている。
しかし、声を中国語に吹き替えられ、中国人を演じている韓流スタアを見ていると、
中華圏進出に躍起になっている韓流スタアと、出資など何らかの利を得たい製作者の思惑が一致して、
強引にねじ込んだキャスティングではないかと感じてしまうことが。
本作品では、韓国人がちゃんと韓国人を演じているというだけでも、意味のあるキャスティングと感じられる。

特に印象に残ったのは、池珍熙扮する崔民浩理事官。
死んだと思ったら、生きていたから、ビックリ!すごい生命力!理事官不死身。
もし続編が有るのなら、また新たな若手アイドルとコンビを組んで、登場するのだろうか。

話はやや反れるけれど、李泰蘭(イ・テラン)扮する、その崔民浩理事官の妻が、
物語終盤に着けているQeelin(麒麟珠寶)の葫蘆(ヒョウタン)シリーズのネックレスに目が行ってしまった。

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Qeelinは、張曼玉(マギー・チャン)のEXボーイフレンドが、香港人と二人で2004年に創設したジュエラー。
張曼玉は、創設早々のその年、女優賞を受賞したカンヌ国際映画祭で常に葫蘆シリーズを付けていてたり、
広告モデルも務めていた(念の為補足しておくと、Qeelinのフランス人CEOとは、とっくの昔に別れている)。
私はヒョウタンのモチーフが好きなので、カンヌの映像で見て以来、
Qeelinの葫蘆がずっと気になってしまっている。
『ヘリオス』で使われているのは、チェーンがちょっと短い。あと20センチ位長いのが欲しいかも…。
ちなみに、日本では知名度の低いQeelinだけれど、私は、テレビで大地真央が着けているのを一度見た。
夫・森田恭通からのプレゼントとのことだが、それは葫蘆シリーズではなかった。


話を戻して『ヘリオス』のキャスト。大陸からは、私も好きなベテラン俳優・王學圻が。
王學圻が香港人監督の作品に出演するのは、『孫文の義士団』(2009年)あたりからか?
私が、今回の王學圻で一番コーフンしたのは、扮する宋鞍が京都に赴く終盤のシーン。
えぇ~、王學圻、日本に撮影に来ていたの?!私も、京都の風景に佇むナマ王學圻を見てみたかった…!





『コールド・ウォー』との比較だったら、私はこの『ヘリオス』の方が単純に楽しめた。
でも、どうなのでしょう…?
散々伏線らしき物を敷きまくり、物語がどんどん広がっていく過程で、
この先どうなるのかという期待が膨らむのに、結局どの伏線も放り投げっぱなしで、
最後の最後に「この戦いは始まったばかり」では、観衆は拍子抜けして当然かと…。
そのラストで、本作品は続編への橋渡しをするためのあまりにも長いプロローグ、
もしくは、続編の2時間にも及ぶ超長い予告編だったのか、…と思えてしまった。

昔は、何か映画がヒットすると、「じゃぁ、もうひと儲け!」と、お調子に乗って続編を制作し、
結局コケるというパターンが結構有った。
最近は、最初から“続編有りき”で撮られる映画が増えているように感じる。
一作目と続編をトータルで考え、制作すれば、
“取って付けた”ような無理矢理な感じがしない続編ができるかも知れないけれど、
一作目がただの“続編への長いプロローグ”で、観衆が消化不良に陥り、ヒットしなかったら、本末転倒。
最初の一作でもっとちゃんと完全燃焼させてよ!って気になる。

この『ヘリオス』も、(日本で公開されるかどうかは不明だが…)続編は必ず制作されることでしょう。
本作品を観る限り、続編では、香港の張學友と大陸の王學圻という大物対決に期待ができそう。
本作品の終盤で二人が再会する京都も、重要な舞台になっていくだろうか…?
そうなると、日本人俳優の出演にも期待したいところだけれど、それは現状では難しい気も…。
例えば、台湾の蔡岳勳(ツァイ・ユエシュン)監督が権利を取得した日本のドラマ『深夜食堂』も、
重要な役には日本人俳優をキャスティングしないという話が出ているし、
日中関係が改善しない限り、リスクを負ってまで日本人俳優を重要な役で起用する中華作品は
なかなか出てこないであろう。

ところで、邦題に込められた意味や如何に?
太陽神・ヘリオスからイメージする色だから“赤”なの…?
中国映画で『赤い諜報戦』と聞くと、私は共産党のスパイ映画を連想してしまうのだけれど…。
これって、そういう話?

邦題決定を祝し、『琅琊榜』にちなんだ(?)和菓子2種

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確かに雪と予報は出ていたが、量が想像を越えていた…。
交通は乱れるわ、靴は濡れるわ、転びそうになるわ、寒いわで、もう泣きそう…。
幸い午後には太陽が出たけれど、
溶けた雪で、明朝、道路がツルンツルンのアイスバーンになっていたら、それも怖い。

こういう雪は、この冬、まだ何度か降るのだろうか。
地球の温暖化が語られるようになり幾久しいので、
冬に冬らしい天候になると、ちょっと安心もするのだけれど、雪の東京はあまりにも不便…。





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ところで、また新たなお知らせをいただきました~。
私の一押し大陸ドラマ『琅琊榜~Nirvana In Fire』の邦題が…

琅琊榜(ろうやぼう)~麒麟の才子、風雲起こす

…に決定したとのこと。

追記:訂正】 通りすがりさんより、「邦題が微妙に間違っています」との御指摘あり。
『風雲“を”起こす』から『風雲起こす』に訂正いたしました。通りすがりさん、御指摘ありがとうございました。)

私が希望していた“まんま中文原題”を日本語読みにさせる邦題に決まり、満足。
以前、“琅琊王(ろうやおう)”や“琅琊山(ろうやさん)”がそのまま表記されているのを
見たように記憶していたので、もしかして使える字なのかしら?と、ちょっと期待もしていたのだけれど、
実際に『琅琊榜』のままになったと知り、嬉しい。

副題の方は、やや武田信玄ちっくなため(それは“風林火山”か )、
男臭い戦国時代劇を想像し、敬遠する女性も居るかも知れないけれど、
いやいや、女性にこそ観ていただきたいドラマ。
このドラマでは、顔が良いだけではなく、立ち居振る舞いまで美しい優雅な男前たちを愛でることができます。
(ムズ痒いラヴストーリーではなく、知略の物語なので、もちろん男性も楽しめると思う。
美男に目がない男性ならなおのことハマれます、きっと。)


そんな男前の中でも、mango選りすぐりの『琅琊榜』4人のキャストは、こちらの“大陸男前名鑑”を。

私が勝手に“こんな人にこそ観て欲しい”と思う『琅琊榜』向き視聴者は、こちらに列記。


『琅琊榜』関連のエントリでは、
いつも主人公・梅長蘇を演じている胡歌(フー・ゴー)の画像ばかりを貼っているので、
今回は靖王・蕭景琰役の王凱(ワン・カイ)にしてみた。
王凱も、『琅琊榜』が放送されれば、人気急騰することでしょう。


最近、『琅琊榜』は、当ブログの検索ワードランキングに常に入っているのだけれど、
昨日、“琅琊榜 日本”が、ついに検索ワード第1位になった。
『琅琊榜』の日本での放送を気にしている人が、ボチボチ増えだしたのでしょうか。
私も、どこの局が放送するのかとか、いつ放送開始なのかが、とても気になっている。
皆さま、また新情報を見付けられた際には、御一報よろしくお願いいたします!




『琅琊榜』邦題決定を祝し、和菓子を2種。
ひとつは、主人公・梅長蘇にちなみ、梅を使ったおめでたいお菓子。
もうひとつは、物語の中で復讐の動機となる絶滅した軍隊・赤焰軍にちなみ、“赤”米を使ったお菓子。
(…かなりコジ付け。)

★ 菓匠 清閑院:梅ほころぶ

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大きさは、直径約4.5センチ。
紅白の黄身しぐれで、梅餡を包んだお菓子。




では、主人公・梅長蘇にちなんだ“梅”関係のひとつめを。
こちら、菓匠 清閑院(公式サイト)の季節菓子、“梅ほころぶ”

外側は、口溶けの良い黄身しぐれ。
中の梅餡は、白餡に梅ピューレを混ぜ込んだ物。
見た目は普通の白餡。
梅の味は強く主張していないけれど、口の中に広がるすっきり爽やかな味わいは、梅ならでは。

上部には、羊羹で作られた梅が一輪飾られ、新春に相応しい華やかさ。
お味は、ちょっぴりシニカルな面もある知的な策士・梅長蘇と比べると
(そもそも、お菓子と人間を比べる必要なんて無いのだけれど )、まろやかで優しい印象。
12月中旬から1月上旬にかけ販売されている商品なので、もうそろそろ店頭から消えているかも。

★ たねや:赤米大福

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大きさは、直径約5センチ。
赤米を加えた羽二重餅で、つぶ餡を包んだ大福。




もうひとつ、赤焰軍にちなんだお菓子は、たねや(公式サイト)“赤米大福”
こちらは、1月初頭から2月中旬までの販売なので、まだ確実に買える商品。

外側のお餅には、滋賀県産羽二重糯米を使用。
そこに、古代米・赤米が混ぜ込まれている。
見た目の印象で、しっかり歯応えのあるお餅を想像したが、実際に口にしたら、とても柔らか。
それでいて、つき過ぎておらず、ツブツブした食感も少し残している。
中には、甘さ控えめつぶ餡がたっぷり。

素朴であっさりした味だから、あっという間にペロリ。
非業の死を遂げた赤焰軍の英霊にもお供えしてさしあげたい。

第27回ジュエリーベストドレッサー賞

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現在東京ビッグサイトで開催中のIJT東京国際宝飾展へ。
開催2日目の本日には、恒例のジュエリーベストドレッサー賞の授賞式。


27回目となる本年の受賞者は以下の通り。

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10代    :小松菜奈
20代    :井上真央
30代    :松下奈緒 
40代    :吉田羊
50代    :沢口靖子
60代以上 :和田アキ子

男性 :DAIGO

特別賞女性 :佐々木彩夏とももいろクローバーZ
特別賞男性 :市川海老蔵



今年の受賞者は、ナマで見たことが無い人がほとんど。
見たことがあるのは2人だけ。
一人は市川海老蔵。
但し、“見た”と言っても、プライベートでブラブラしているところを見たわけではなく、
歌舞伎の舞台で見たことがあるだけ。
もう一人は沢口靖子。
ずーーーっと前に、帝国ホテルの喫茶店で、すぐ近くの席に座っていた。
何十年遅れがでやって来た“ベイシティローラズ・ブーム”って感じの上下タータンチェックの服を着ておられた。
私は、垢抜けない美人より垢抜けたブスの方が好みなので、
その時見た沢口靖子には、素朴な人という印象しかなかった。


今回の受賞者の中で、取り分け興味があるのは、DAIGO…!
私、DOSヨ(DAIGO、面白いから好き)。
北川景子との結婚を発表したばかりの話題の人だから、観衆が押し寄せ、近くで見るのは難しそうな予感。

あと、吉田羊にも興味あり。
年齢非公開なのに40代部門で受賞(笑)。この事に関して、何かコメントするのでしょうか。

あまり若い子には興味無いけれど、小松菜奈は見てみたい。
出演作を見て、雰囲気のある子だなぁ~と思っていたので。まだ十代だったのですね。

★ 結果

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受賞者が会場内を“お練り”する直前、半端に顔見知りのお姐サマに捕まってしまうという惨事が発生。
親しい人になら、「ゴメンなさい!私、ナマDAIGOを見たいの!」と言って、ブッチギる事も出来たのだが、
そのお姐サマが半端な顔見知りだったため、邪険にもできず、お相手するしかなく、
そのせいで、芸能人ハントに出遅れた…。

結果、近くで見ることができたのは、小松菜奈、松下奈緒、吉田羊、市川海老蔵の4人だけ。
この中で一番興味の無い松下奈緒が、もしかして一番“見栄えがする人”だったかも。
実物を間近で見る場合は、細々とした顔のパーツの良し悪しより、瞬時に分かり易い身体つきが重要で、
スラリと長身な人は、とても見栄えがする。
歌舞伎の海老蔵もさすが姿勢がビシッと良く、立派に見える。
ここに小松菜奈のお写真は無いけれど、彼女も可愛かった。


一番のお目当てだったDAIGOを見逃したのは、本日一番のショック…!!!
でも、知り合いに聞いて回ったが、DAIGOは誰も見ていないとのこと。
あまりにも人が集まってしまったため、お練りが中止になったという噂も。
今回の顔ぶれの中で、最も注目の人は、やはりDAIGOだったのかも知れない。
こういう事態は、私が覚えている限りでは、アムラー・ブームが起きた頃の安室奈美恵以来。
DAIGOの注目度が、今や当時の安室ちゃんに匹敵ということか…?
まぁ、とにかく、次に見たかった吉田羊を見ることができたので、良しとします。
(…と自分に一生懸命言い聞かせている最中。やっぱりDAIGOは見たかった…!!!)

映画『神なるオオカミ』

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【2015年/中国・フランス/121min.】
文化大革命が始まり2年近く経つ1967年、北京の学生・陳陣は、友人・楊克と共に、
内蒙古の羊牧場に送られ、地元の子供たちに勉強を教えながら、仕事を手伝うことに。
陳陣にとって、ここでの生活は驚きの連続。
遊牧民たちとの交流を通じ、多くを学び、みるみる内にこの地に魅せられていく。
ある日、常々「入ってはいけない」と言われていた場所に足を踏み入れてしまった陳陣は、
獰猛な狼に襲われそうになるが、狼は金属音を嫌うという教えを思い出し、なんとか難を逃れる。
この体験で、陳陣は狼の恐ろしさを知ると同時に、この気高い動物に心を奪われてしまう。
草原に穏やかな春が訪れると、彼は楊克の助けを借り、巣穴から一匹の小さな狼を捕獲。
“小狼”と名付け、誰にも見付からぬよう、こっそりと飼育を始めるが…。



ヒューマントラストシネマ渋谷で開催の未体験ゾーンの映画たち2016で、
フランスのジャン=ジャック・アノー監督が、中国の小説を映画化した最新作を鑑賞。

ジャン=ジャック・アノー監督は『セブン・イヤーズ・イン・チベット』(1997年)を撮ったことで、
中国政府のお怒りに触れ、長らく入国禁止にされていたが、いつの間にかシレーッと和解し、
2012年には上海國際電影節に審査委員長として参加し、ついには本作品を撮るに至っている。
ヨーロッパ人や中国人は、往々にして日本人より臨機応変。
ちなみに、ジャン=ジャック・アノーは、漢字で“讓·雅克·阿諾”と表記。
これだと、“ラン=ヤーク・アノー”になっちゃうと思うけれど…。


本作品の原作は、中国の姜戎(ジャンロン)による同名小説<狼圖騰>。
日本でも<神なるオオカミ>のタイトルで出版されているが、私は未読。

姜戎は1946年生まれ。“姜戎”はペンネームで、本名は呂嘉民。
文化大革命期の1967年、知識青年として内蒙古(内モンゴル)に下放され、1978年北京に帰郷。
中國工運學院で副教授の職を得るも、六四天安門事件で逮捕され、1991年まで拘留。
その後、リタイアする最近まで、北京の大学で政治経済学の教鞭をとっていたという。
内蒙古での自身の経験をもとにした<狼圖騰>は、
“姜戎”のペンネームで書いた初めての小説で、2004年に出版。
海外でも20ヶ国以上で翻訳されるベストセラーとなり、
姜戎は、2006年に発表された“中國作家富豪榜(中国富豪作家番付)”では10位にランクインしている。
(ちなみに、この時の上位3名は、著名な学者で作家の余秋雨、
『雍正王朝』、『康煕王朝』などドラマ化も多い二月河、
そして『いつか、また』で映画監督デビューも果たした韓寒。)



原作者・姜戎が重なる物語の主人公は、
文化大革命期、内蒙古・額侖(オロン)大草原に下放された北京の知識青年・陳陣。
彼は、地元の遊牧民たちと交流し、彼らの伝統や文化に感銘を受けていうく内に、
人々から恐れられながらも崇拝もされている動物・狼に取り分け魅せられ、
捕らえた幼い狼に“小狼”と名付け、こっそり飼うようになる。
タンゴル(天)の掟を破った陳陣のこの行為が、それまで保たれてきた伝統や自然界の均等を
徐々に狂わせていく様を壮大なスケールで描いたドラマが、本作品。

都会の知識青年である主人公・陳陣が、
友人・楊克と二人、場違いな田舎に下放されてくる冒頭のシーンを観て、
『小さな中国のお針子』(2002年)を重ねた。

『小さな中国のお針子』では、閉ざされた田舎で育った少女が、
都会からやって来た知識青年によりもたらされた文学や音楽を通し、それまで知らなかった世界を知り、
やがて外へ飛び出していく物語だが、
『神なるオオカミ』の知識青年・陳陣は逆で、田舎の人を感化するより、田舎の人から感化される側。

中でも狼がなぜそこまで陳陣の心を捕らえたのかは、私には理解しかねる。
ただ、その後展開していくお話を見ていると、陳陣が捕まえ育てる小さな狼“小狼”が、
自然体系や、伝統文化、価値観までもを滅ぼしてしまう“引き金”の象徴的存在になっていると感じる。

陳陣自身は、それまで当たり前になっていた漢人の思想を覆されてしまうほど、
遊牧民の文化や精神に感銘し、敬い、ここが自分の求めていた土地だとさえ本心で思っているのだが、
そんな彼が内緒で始めた“狼を飼う”という行為で、自分が敬う自然や文化を崩壊させる引き金を引いてしまう。
分かり易い“悪”の象徴として、包主任のような余所者が登場するけれど、
陳陣もまた知らず知らずの内に蒙古の伝統文化を崩壊させる手助けをしてしまう、結局のところ、所詮余所者。
こういう事は、多かれ少なかれ、どの時代にもどこの国にも有る。

国土の広い多民族国家・中国なら、なおのこと。
「漢人はなぜ少数の蒙古人を防ぐために長城を築く必要があったのか?」
「肉を食べる彼らに、農耕民族の漢人がかなうわけがない。」
「遊牧民はずっと肉を食べて生きてきた。だから死んでも埋葬せずに、草原に還すのだ。」
「聖なる狼を自分に従う羊にしてしまう気か?」等々、所々に印象的な台詞も多々あり。
単語を置き換えれば、現代社会への批判や風刺とも捉えられる台詞も。




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出演は、北京から下放されてきた青年・陳陣に馮紹峰(ウィリアム・フォン)
陳陣と共に内蒙古にやって来る友人の楊克に竇驍(ショーン・ドウ)
陳陣らの世話をする遊牧民の長老・畢利格に巴森扎布(バーサンジャブ)
政府の役人で東部出身の包順貴主任に尹鑄勝(イン・ジョション)等々…。

近年、映画での活躍が目覚ましい馮紹峰。
『蘭陵王』に代表されるテレビドラマの二枚目俳優のイメージが強いけれど、
『黄金時代』の蕭軍役にしても、『いつか、また』の馬浩漢役にしても、
映画では、その二枚目のイメージを覆すような役に挑戦しており、頑張っているなぁ~と感じる。
今回演じているのも、文革中に下放される青年で、
オシャレ感ゼロの“これぞ中国!”な緑色のミリタリールックで登場。
この主人公・陳陣は、原作者・姜戎自身と思われるので、年齢設定は21歳くらいのはず。
すでに30代後半の馮紹峰には、無理があるのではないかと、案じながら観始めたけれど、
途中から気にならなくなった。優しく柔らかな声も、助けになっているかも知れない。
その声は、実年齢以上の若さのみならず、都会の(悪く言えば)ヤワな青年の雰囲気も醸している。
そんな都会のヤワな青年も、内蒙古で暮らし始めてからは、日焼けして、土地の雰囲気に馴染んでくる。
日サロで焼いたホスト風のこんがり肌ではなく、土方焼けっぽいムラ焼け。
やけにリアルだが、特殊メイク?それとも、もしかして、本当にあんな風に焼いちゃったのか?
ダメージを受けたお肌の回復が大変そう…。


竇驍扮する友人・楊克は、想像していたより出番が少ない。
楊克より重要な役と感じるのは、陳陣に多大な影響を与える遊牧民の長老・畢利格。
演じている巴森扎布は、実際に蒙古族の俳優。
日本の作品にも出演経験が有り、2001年、NHK大河ドラマ『北条時宗』で忽必烈(クビライ)を演じている。
私、もはや、それ、よく覚えていない…。でも、(↓)こちらはよく記憶している。

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『レッドクリフ』(2008年)の関羽。見た目が、関羽廟に祀られている関羽像そのものであった。
今回の『神なるオオカミ』でも、厳しくも、大らかで優しい雰囲気が、イメージする遊牧民の長老のまんま。


尹鑄勝が出演しているのは、知らなかった。
尹鑄勝がチラッと出演している作品は、『捜査官X』(2011年)や『ドラッグ・ウォー 毒戦』(2013年)など
日本にもちょこちょこと入ってきている。
でも、この『神なるオオカミ』で演じている包主任は、
苦虫を噛み潰したよう顔や、眼鏡の奥で光る目の胡散臭さが…

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吳奇隆(ニッキー・ウー)の叔父・殷成貴と、とても重なった。





“文革モノ”は私の大好物。
私がその中に求めてしまいがちなのは、恐らく波瀾の歴史や人間ドラマ。
たとえ文革期の物語であっても、狼や大自然を捉えた壮大なシーンなどには関心が薄いため、
本作品のそういう部分は少々退屈に感じてしまった。
ただ、好き嫌いは別にして、どうやって撮影したのだろう?!と不思議に思ったり、
驚かされるシーンは沢山有った。
動物を殺すシーンなども、昔と違い、今は動物愛護協会とか世間の目が厳しくなっているから、
撮るのが難しいのではないかと想像するが、やけにリアルに表現されている。

漢人と蒙古人の文化や精神性の差や、漢人的な思想への疑問、現代人や文明への批判などが
抽象的に沢山盛り込まれている点は、とても興味深く観ることができたけれど、
売りの一つでもある大自然のシーンを“中ダルミ”と感じてしまったため、
総合すると本作品は私にとっては“まぁまぁ”くらいの位置だろうか。
キャストは良かった。あと、狼の子供って可愛い。子犬のよう。
あんなに可愛かったら、私もタンゴルの掟を破って、こっそり飼ってしまい、天罰が下されそうで、怖い…。

チョコレートを使ったケーキ3種(+テレビ雑記)

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今年、日本でのリリースが決まり、邦題も発表された、私一押しの大陸ドラマ、
『琅琊榜(ろうやぼう) 麒麟の才子、風雲起こす~琅琊榜 Nirvana In Fire』


日本の中華ドラマニアからの注目も日々高まっているようで、
もはや『琅琊榜』は当ブログ検索ワード・ランキングの常連。
特に顕著だったのが、(↓)こちら、先週、2016年1月20日(水曜)のランキング。

 琅琊榜 日本放送
 麒麟の才子
 琅琊榜 日本
 麒麟の才子 風雲起こす
 琅琊榜 東京倶樂部
 琅琊榜(ろうやぼう) 麒麟の才子、風雲起こす
 麒麟の才子 風雲起こす
 麒麟の才子 風雲を起こす
 琅琊榜 声優
 2016年『琅琊榜』日本上陸


 なんとTOP10が全て『琅琊榜』尽くし。
20位までを見ても、“ホントの恋の見つけかた 藤岡”、
“クリスチャンルブタン レッドソール 修理”以外、ぜ~んぶ『琅琊榜』関連ワード。
20日に『琅琊榜』の日本での展開に関する何か重要な発表でも有ったのか…?
もしかして、私の知らぬ間にアジアドラマチックTVかどこかで、ひっそりと放送開始していたりして…、
と心配になってしまった(幸い、その事実は無いようだ)。

それにしても、たった一本のドラマが当ブログの検索ワード・ランキングを埋め尽くすのは初めて。
日本で『琅琊榜』は、『宮廷の諍い女~後宮甄嬛傳』以上にヒットする大陸時代劇になりそうな予感がしてきた。

(ちなみに、タイトルの『琅琊榜(ろうやぼう)』が意味不明という日本の皆さま、
『琅琊榜 Lángyábăng』の“榜 băng”は、中国語で“番付”とか“ランキング”の意。
琅琊閣という所が発表する番付だから“琅琊榜”。
つまり、このタイトルを無理矢理日本語に訳すなら、“琅琊番付(ろうや・ばんづけ)”って意味。
逆に、当ブログの“検索ワード・ランキング”を中文に訳すなら、
差し詰め“東京倶樂部熱門搜索詞排行榜”って感じでしょうか。)


皆さま、『琅琊榜』の日本での放送に関する新情報が有りましたら、
引き続きタレ込み宜しくお願いいたします!

また、『琅琊榜』について、まだよく御存じない方は、
mango厳選の男前キャストについて記した、こちらの“男前名鑑”でも御覧いただき、
女性ホルモンを活性化させながら、ドラマ鑑賞前の予習をどうぞ♪




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他、近々放送のテレビ番組では、1月27日(水曜)、
NHK BSプレミアムの『中国王朝 よみがえる伝説~乾隆帝と謎の美女・香妃』が、とても気になる。
康熙帝、雍正帝と共に、清朝最盛期の名君と称えられる乾隆帝(1711-1799)。
生母は、『宮廷の諍い女』の主人公・甄嬛のモデルになった熹貴妃。
私にとっての乾隆帝は、政治的手腕より、優れた審美眼で数々の芸術品を残した風流皇帝として印象深い。
番組では、その乾隆帝時代の繁栄の秘密を解く鍵として、
維吾爾(ウイグル)族の美女、“香妃”こと容妃(1734-1788)とのロマンスを取り上げ、
濱田岳がレポートする模様。

容妃が俗に“香妃”と呼ばれるのは、身体から芳しい香りを放っていたという言い伝えがあるため。
ドラマ『武則天 秘史~武則天秘史』では、悪名高き韋皇后が、
若かりし頃、道士から処方された“女兒丸”なる薬を服用したところ、身体から良い香りが漂うようになり、
中宗・李顯を落とすというエピソードが描かれているし、
“天香丸”という藥を服用させ、身体から芳香が漂うようになった美女を宮廷に送り込み、
武帝・劉徹をメロメロにして陥れようとするエピソードが描かれている。
実際に歴史上の権力者たちが匂いフェチだったのかは不明だが、
“香りで男を落とした”という伝説が語り継がれるほど、中国では美女に芳しい香りは付き物のようだ。
(確かに美女が悪臭を放っていたら、興醒めですね。)


番組サイトに挙げられた画像を見ると、濱田岳は、今や世界的観光地となった乾隆帝の御自宅、
紫禁城(故宮)も訪れているようなので、参考までに、過去の関連エントリを以下にリンク。

京2014・故宮①(上の画像で濱田岳が立っている午門など、いにしえの世界への入り口)
北京2014・故宮②(故宮で最も重要な中軸線上の建築群について)
北京2014・故宮③(乾隆帝のパパ、雍正帝でお馴染みの養心殿などについて)
北京2014・故宮④(乾隆帝の嬪妃たちも暮らした後宮・東西十二宮について)
北京2014・故宮⑤(晩年の乾隆帝が隠居の場として創り上げた乾隆帝の理想郷・寧寿宮区について)
北京2014・故宮⑥(寧寿宮区の乾隆花園について)
北京2014・故宮⑦(愛新覺羅家のお宝を展示する珍寶館について)
北京2014・故宮⑧(故宮の最北部、御花園、神武門について)
北京2014・景山公園(故宮を一望できる、かつての王朝の御苑・景山公園について)
北京2014・雍和宮(乾隆帝生誕の地・雍和宮について)

NHKの過去の中国関連の番組で、中井貴一や吉川晃司がレポーターを務めたのは分かるけれど、
今回はなぜ濱田岳が抜擢されたのでしょう…?
濱田岳が中国、…ましてや清朝や乾隆帝に造詣が深いとは思えない。
どのようなレポートをするのか分からないけれど、とにかく、ちょっと楽しみな番組。




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NHK BSプレミアムでは、もう一本。
1月30日(日曜)放送の『嵩山少林寺×武井壮』も録画を予約。
あの百獣の王・武井壮が、嵩山少林寺に特別入門し、現役修行僧から直接指導を受ける様子を追う番組。
40過ぎても衰え知らずのあの身体能力は、一体どうなっているんだ…?!
もしかして武井壮は本当に百獣の王の座に近付きつつあるのではないかと思い込み始めている今日この頃。
少林寺での武井壮の本気の猛者っぷりに期待。

少林寺と言えば、日テレ日曜の『東野・岡村の旅猿』が、
2週間前から、2009年に放送した中国旅の再放送を流しており、
前回ちょうど、杭州からナイナイ岡村憧れの地・嵩山少林寺に入り、
さらに三皇寨の絶景を楽しむところまで紹介した。
1月31日(日曜)の放送は完結編なので、そこからゴール地点の北京に移動するのかも。




今回、お菓子は、ヴァレンタインが近いからという訳ではないけれど、
チョコレートを使ったケーキばかりを3種類。

★ ヴィタメール:ベルジック・エクレール

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大きさは、長さ約15センチ。
中にキャラメル・ショコラ・クリームを詰め、上からミルクチョコレートをかけたエクレア。




ひとつめは、ベルギー発のパティスリー、ヴィタメール(公式サイト)“ベルジック・エクレール”

近年、小ジャレた高級エクレアを売るお店がドッと増えたが、
ヴィタメールの物は飾り気の無い昔ながらのエクレア。
チョコレートが主力商品なので、エクレアも基本的にはチョコがベースではあるけれど、
味はたまに変えているみたい。
最近店頭に並んでいるのは、このキャラメル・ショコラ・クリームを詰めた物。
キャラメルでほんのり風味付けしたチョコレートのクリームが、軽い生地にたっぷり詰まっている。

昔ながらのエクレアなら、どちらかと言うと、チョコよりモカの方が好物だけれど、これも美味。
価格もお手頃で、確か3百円を切っていたはず(250円くらいでしたっけ?)。
昔、エクレアとシュークリームは、ケーキ屋さんで一番安い商品だったのに、
近年、エクレアのクセに700円越えする物なども結構あり、
余程美味しいのかと思って食べると、小細工ばかりで、味は値段に見合っていないと失望させられる事が多い。
ヴィタメールのエクレアは伝統的な物なので、「えっ、こんなエクレアが有るの?!」という驚きはないが、
基本に忠実な味という安心感と、値段以上の満足感があるかも。

★ ヴィタメール:シュートリュフ

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大きさは、直径約5センチ。
生地の中にチョコレート・クリームを詰め、全体をチョコレートで覆ったプチ・シュークリーム。




2ツめもヴィタメールで、“シュートリュフ”
こちらは、食べるの初めて。

名前の通り、小さくてゴツゴツした、森のトリュフを彷彿させる形のプチ・シュークリーム。
中に詰まっているのは、ミルクチョコレートのクリーム。
それだけだったら、よく有るプチシューと変わらないのだけれど、
ここのは表面をチョコで覆って、チョコのダブル使いをしている。
中のクリームは軽くてまろやか、表面のチョコはパリッと固まっていて、甘さもちゃんとある。
この表面のチョコが無かったら、多分軽すぎる。
表面がチョコがけされていることで、濃厚なコクが加わり、全体的な味が良いバランスになっている。

この大きさだと、激甘党の私には、若干物足りない。
でも、ほんのひと口甘い物が欲しい時などには、良さそう。

★ パティスリー・エチエンヌ:オベリスク

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大きさは、直径約6センチ、高さ約6センチ。
中にヴァニラ・ムースを隠したチョコレート・ムースを、ビスキュイ生地の上にのせ、
全体にクランブルをまぶし、トップをショコラ・シャンティとマカロン生地で飾ったケーキ。




最後は、新百合ヶ丘のケーキ屋さん、パティスリー・エチエンヌ(公式サイト)“オベリスク”
もしかして、上に立てられた赤いマカロン生地で、オベリスクをイメージしているのだろうか。
オベリスクと言うよりは、松明っぽいかも。

これは、色んな味、色んな食感のチョコレートが楽しめるケーキ。
中のムースはビターで、食感はふわっ。
表面のチョコは、結構厚みがあって、パリッと固まっており、
さらにクランブルがまぶされているから食感が良い。
トップのショコラ・シャンティは、軽く滑らかな舌触り。
絞り出された生クリームって、見るからに美味しそうで、食欲をソソる。

中に隠れているまろやかなヴァニラのムースが、チョコレートを上手く中和しているというか、
タイプの異なる数種のチョコを上手くまとめている感じ。
さらに、キルシュ漬けのチェリーも隠れていた。説明には無かったので、得した気分。
チョコとチェリーの相性は、言うまでもなく抜群。

期待以上のお味で、満足、満足。

映画『サウルの息子』

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【2015年/ハンガリー/107min.】
1944年10月、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所。
サウルは、ここで、特殊部隊・ゾンダーコマンドの一員に選出され、
死体処理の仕事などに従事させらているハンガリー系ユダヤ人の男。
ある日、遺体の山の中に、死に損ない、辛うじて命を繫ぎとめている息子の姿を見付けるが、
その息子は、サウルの目の前で、医師の手により息の根を止められてしまう。
このままでは、死んだ息子は解剖され、挙句火葬されてしまう…。
せめて息子をきちんと埋葬し、弔ってやりたいと考えたサウルは、収容所内で必死にラビを捜し始める。
一方、ゾンダーコマンドの仲間たちの間では、
収容所を爆破し、脱走しようという蜂起の計画が着々と進められ…。



2015年、第68回カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞、
2016年2月末に開催の第88回アカデミー賞でも、外国語映画賞にノミネートされ、
受賞の最有力候補と目されているハンガリー映画。

そんな話題作にもかかわらず、手掛けたネメシュ・ラースロー監督の名は、聞いた覚えが無い。
ネメシュ・ラースロー監督は、1977年ハンガリーのブダペストに生まれ、フランス・パリで育ったユダヤ系。
父親がイェレシュ・アンドラーシュ監督ということもあり、子供の頃から映画製作に興味をもち、
2003年ハンガリーに戻り、タル・ベーラ監督のもと助監督を経験し、その後発表した本作品が、
なんと長編監督デビュー作なのだと。




本作品の主人公は、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所で、特殊部隊・ゾンダーコマンドの一員として、
同胞ユダヤ人の死体処理などを行っているハンガリー系ユダヤ人の中年男性・サウル。
物語は、ある日、息子らしき少年の遺体を発見し、なんとか手厚く弔ってやりたいと突き動かされたサウルが、
極限状態の中、人間の尊厳を守るため、奔走する2日間を描いた壮絶なヒューマン・ドラマ


本作品のキーワードは“ゾンダーコマンド Sonderkommando”。
“特殊部隊”を意味するドイツ語で、戦時下のナチスには様々なゾンダーコマンドが存在したようだが、
本作品で焦点を当てているのは、ユダヤ人強制収容所で選抜されたユダヤ人によるゾンダーコマンド。
この一員に選ばれると、同胞であるユダヤ人をガス室に送ったり、
死体を処理するといった仕事に従事させられる。
“ナチスのユダヤ人大量虐殺”と聞くと、
ユダヤ人を無慈悲にガンガン殺しているドイツ人を漠然と想像してしまいがちだけれど、
実際には、ナチスは、そういうヨゴレ仕事には直接手を染めず、
ユダヤ人に同胞であるユダヤ人を始末させていた、というわけ。
 …!敵に殺されるよりムゴイかも。殺しに関わる側も、一生罪の意識に苛まれそう…。

このゾンダーコマンドに選ばれたユダヤ人には、収容所内で多少の自由も許されていたようだが、
なにぶん彼らは“歴史の生き証人”。
数ヶ月間働いた後は、他のユダヤ人同様、やはり抹消されるという末路が待っている。

中には、悲惨な事実をちょっとでも残そうと、日記などに書き記し、こっそり隠していた人も居て、
後にそれらを一冊にまとめた<The Scrolls of Auschwitz>という本も出版されている。
30代後半の完全な戦後世代であるネメシュ・ラースロー監督自身もまた、
この本に触発され、この本をベースに本作品を撮ったらしい。

つまり、本作品は、ゾンダーコマンドのメンバーだったユダヤ人の証言が元になっているという事。
1944年10月7日と8日、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所で
密かに入手した火薬を使い、ゾンダーコマンドのメンバーたちが蜂起したのも、歴史上の事実。

そこに至る“1944年”という年も鍵。
その年の3月、ナチスに占領された(…と言うか、むしろ歓迎して受け入れた)ハンガリーは、
積極的に自国のユダヤ人狩りを開始。
短期間にあまりにも大量のユダヤ人をアウシュヴィッツへ送り込んだため、
ガス室をフル稼働させても追いつかないほど、収容所はユダヤ人で溢れ、パンク状態だったという。



内容が内容なので、この映画は、目を覆いたくなるような地獄絵図の連続かと思いきや、
実際には、収容所の様子はほとんど映し出されていない。
カメラが貼り付くように主人公サウルを捉え、その奥はピンボケ、というのが本作品の特徴。
映画が幕を上げて早々、「まずはシャワーを浴びましょう」、「その後、それぞれに仕事を割り当てます」と騙して
大勢のユダヤ人をガス室に誘導するシーンが有る。
ガス室の扉が閉まり、数秒の静寂の後、我々観衆の耳に入って来るのは、悲痛な叫び声や壁を叩く音…。
映像はボケボケで、惨状を目にすることはできないが、だからこそ音が想像を掻き立て、
余計に背筋がゾッとする。
この映画、最近しばしば有る“爆音上映”で観たら、恐怖心が増幅すること間違い無し。

また、カメラが主人公・サウルを近距離で捉え続ける映像は、
まるで我々観衆をゲームの中に取り込み、サウルの目線を通し、
彼の体験を追体験させるヴァーチャル・リアリティ効果も生み出しているように感じる。




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出演者にもちょっと触れておくと、主人公のサウルに扮しているのはルーリグ・ゲーザ
1967年ハンガリー・ブダペスト生まれ、ポーランドの大学に在学中アウシュヴィッツを訪れ、
ブルックリンでハシディズムを学ぼうと決意し、ほどなくしてホロコーストをテーマにした詩集を発表、
2000年からはニューヨークに暮らす詩人なのだと。
俳優としては、この『サウルの息子』の主人公を演じ、有名になったけれど、
過去にも多少の演技経験は有ったらしい。
詩人や画家といった芸術家には、独特な雰囲気と存在感があり、演技経験が有ろうと無かろうと、
スクリーンの中で絵になる。
さらに、このルーリグ・ゲーザ自身が厳格なハシディック系ユダヤ教徒であることが関係しているかは不明だが、
作り物とは思えない悲壮感を醸していて、見ていて息苦しくなった。






主な舞台は強制収容所だけなのに、その強制収容所の細部をほとんど映し出すことなく、
ホロコーストの物語を成立させている珍しい作品。
斬新でありながら奇を衒った印象は無く、むしろ古いヨーロッパ映画のような落ち着いた印象。
ドラマティックな展開でハラハラどきどきの連続という感じではなく、
背後から重く恐ろしい物がゆっくりズシンズシンと迫ってくるような息苦しい感覚に囚われた。

そして、“サウルの息子”は一体何者だったのか…?
人間の最低限の尊厳を守りたいと願うサウルを突き動かすために必要な“動機”の具現化、
もしくは、極限状態で見た“自分が生存するための希望”のようにも思えた。
この作品を御覧になった他の皆さまは、どう捉えたのでしょう。
もしかして、サウルが言ったように、本当に“妻との間の子ではないけれど、サウルの息子”だったの?

あと、本作品を観ながらやはり考えてしまったのは、
ナチスとユダヤに限らず、日本とアジア諸国にも当て嵌まる戦後の問題。
自身は戦争を知らない世代でも、祖父母を強制収容所で亡くしているネメシュ・ラースロー監督は、
初めて発表する長編作品にこのテーマを選び、「負の遺産を忘れてはならない」、
「歴史を学び見つめ直すことで未来に向かって行ける」と語っている。
近年、日本人が過剰に反応する言葉と同じである。
毎度の事だけれど、もしアジア系の監督が、過去に日本から受けた被害をテーマに映画を撮り、
同じような発言をした場合、『サウルの息子』で魂を揺さぶられた日本人の観衆は、
一体どう反応するのだろう?と考えてしまう。
他人事か当事者かで、人は寛容にも狭量にもなってしまう。
当然ドイツにもホロコーストを否定する人が居るし、
ヨーロッパ全体でも近年右傾化が進んでいるようには見受けるが、
ハンガリーと同じように、ナチスに加担した負の過去が
多かれ少なかれトラウマになっているであろうフランスの映画祭が、本作品にグランプリを与えたのには、
ちょっとした良心と寛容が感じられる。

ちなみに、カンヌ国際映画祭の最高賞はグランプリではなく、パルム・ドール。
グランプリは、審査員特別賞のような賞。
本作品がグランプリを受賞した第68回カンヌ国際映画祭では、
ジャック・オディアール監督作品『ディーパンの闘い』がパルム・ドールを獲得。
こちらは、2016年2月12日、日本公開。


ハンガリー映画は、私にとってあまり馴染みが無いけれど、
『リザとキツネと恋する死者たち』に続き本作品と、たまたまこのひと月ほどの間に2本観ることとなった。
2本でテイストは異なれど、私の中で確実に映画界でのハンガリーの存在感は増した。

祝・『琅琊榜』2016年4月日本初放送開始!

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2016年が明けて早々、日本上陸が発表された大ヒット大陸時代劇、
『琅琊榜(ろうやぼう) 麒麟の才子、風雲起こす~琅琊榜 Nirvana In Fire』

私にとっては、待ちに待った日本上陸であったが、
日本に入ってきたところで、テレビで放送されずソフト化されるだけだったり、
テレビで放送されても、うちに入らないチャンネルだったら、“日本未上陸”も同然でガッカリ。

日本上陸のニュースに一瞬舞い上がったものの、その喜びが“ヌカ喜び”になってしまうのではないかと、
詳細を知るまでは油断できず、ちょっとハラハラ。
そんな時、またまた真由美さんから、“2月1日放送情報解禁”という御一報をいただく。


そして、本日がついにその2月1日。情報をまとめると以下の通り。

放送局: チャンネル銀河
放送開始日: 2016年4月11日(月曜)
放送スケジュール: 月曜~金曜の午後1時から毎日2話ずつ
言語: 中国語オリジナル音声+日本語字幕


日本上陸にあたり、以前私が列挙した疑問や要望は、こちらに記した通り。

BSでの放送は叶わなかったけれど、CSでもアジアドラマチックTVやDATVではなかったのが、私には救い。
仮にBSでも、『蘭陵王』のように、日本語吹き替え版の放送では、ぜんぜん嬉しくないし。
とにかく、うちで観られることは確定。中文音声+日本語字幕も超嬉しい。バンザイ…!

チャンネル銀河の午後1時といったら、今『水滸伝 All Men Are Brothers~水滸傳』を放送している枠か。
毎日2話ずつ、週10話進行のドラマを追うのは、かなりハードなので、4月からひと月半ほどは引き籠り確定。



私個人的にはホッとひと安心でも、逆にチャンネル銀河と知り、肩を落としている方もいらっしゃることでしょう。
人様の話を聞いていると、チャンネル銀河が入らない家って、結構あるようだ。
でも、もし中華圏で名作と称えられるドラマに興味が有ったり、観応えのある中華ドラマに飢えているならば、
そんな方々には、2ヶ月だけでもチャンネル銀河を契約して、
この『琅琊榜』を御覧になることを、激しくお薦めしたい。

だって考えてもみて下さい。
その内DVDも出るとは思うけれど、一般的に中華ドラマのDVDは一枚にたったの2話入り。
『琅琊榜』は(もし日本版がオリジナルと同じなら)全54話なので、DVDなら27枚にもなる。
新作でレンタルしようとすると、一枚5百円は当たり前で、全部観終わるまでに、約13500円の支出。
TSUTAYAなんか、新作、準新作の期間がやたら長く、旧作になった途端店頭から消えるなんてザラだし…。

だったら、いっそ、2ヶ月だけチャンネル銀河を契約した方がマシ。
例えばスカパーの場合、チャンネル銀河の単チャンネル契約は月額648円なので、2ヶ月で1296円也。
DVDのレンタル代より、かなりお財布に優しいし、
DVD屋に行った時、他の人にすでに借りられていてイラッ!などというストレスからも解放される。

あっ、私は別にチャンネル銀河の回し者でもなければ、
チャンネル銀河の株を持っている訳でもありませんので。
ただ単に、『琅琊榜』がなかなか出てこないレベルの名作ドラマだと確信するあまり、
ついつい“『琅琊榜』推し”に力が入ってしまうだけの事。
私個人的には、今年はこれ一本さえ観れば、他は要らないとさえ思っている。
百本の駄作より、一本の珠玉の名作。(路傍の小石が百個集っても、ダイアモンドには化けませんから!)




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ちなみに、こちらがチャンネル銀河の日本初放送に関するアナウンス。

『宮廷の諍い女』+『三国志』+『水滸伝』という表現だけは、宣伝として如何でしょうか。
確かに、主人公・梅長蘇による諸葛亮孔明並みの知略は、本ドラマ一番の見所だし、
男たちの篤い仁義にも泣かされるのだが、
『三国志』や『水滸伝』の名を出されると、シラーっと冷めちゃう日本人女性って結構多い。
そういう女性たちも、「どうせ『三国志』っぽいんでしょ」などと見くびらずに、『琅琊榜』を観ていただきたい。
イメージしがちな“武俠”ドラマなどではなく、非常にエレガントな世界観なので。
私自身、“いかにも”な武俠やアクション作品には、まったく興味が無い。
もちろん元々『三国志』や『水滸伝』が大好物という方々も、
『琅琊榜』は洗練されたニュータイプの武俠として楽しめるはず。

★ 『琅琊榜』色々

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最後に、当ブログ『琅琊榜』関連の過去のエントリを以下にリンク。
ドラマ鑑賞前の予習にどうぞ。


~大陸ドラマ『琅琊榜』、及び、mango厳選4人の男前出演者について。

~日本上陸が発表された『琅琊榜』への疑問・要望、また“こんな人にお薦め”を列記。

~2015年12月末に行われた大陸版テレビドラマのビエンナーレ飛天獎について。

~2016年元日に放送されたテレビドラマの祭典・國劇盛典について。『琅琊榜』は最多の10部門で受賞。

~『琅琊榜』で大ブレイクの俳優・胡歌が、新たな恋の噂で世間を騒がせている中、来日という内容。

~胡歌が2016年1月6日~10日まで霍建華と共に北海道で行った雑誌のシューティングについて。




あと、そうそう、以前にも書いたが、日本版プロモーション映像は無いのだろうか。
有ったら、ブログに貼りたかったのに…。
もっとも、ちゃんと検索していないので、もしかして有るのかも知れないが。
時間に余裕が有る時に、改めてちゃんと調べます(…多分)

ここには、取り敢えず、主演の胡歌(フー・ゴー)が歌うエンディング曲<風起時>を。
ドラマの映像も観られます。




あぁ~、早く麗しき男前たちの世界に溺れたーい…!あの中で溺死なら本望。4月が待ち遠しいですワ。
この年になると、どうせ2ヶ月なんて秒速で過ぎて行くのよね(笑)。

お気に入り定番ケーキ2種(+方大同とかテレビとか)

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2016年の春節は、2月8日(月曜)。
新たな年の幕開けを間近に控え、久々に方大同(カリル・フォン)関連のちょっとしたニュースが。
ピュアな大同クンが、お色気全開の妙な女についに引っ掛かってしまった…!などという悲報ではなく、
Apple Musicの“春節特別企劃(春節特別企画)”として撮った映像が公開されたというニュース。


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その映像は、ハワイに生まれ、5~6歳で上海に移り、その後もう十数年大同クンが暮らし、
活動の拠点になっている香港で撮影。
建物の階段でギターを弾いたり、自身のスタジオ・Lightroomで名曲<Love Song>を歌う他、
毛筆で春聯(おめでたい文句を書いた赤い紙)を書くチャレンジをしたり、
お正月用品を売る市、お正月料理で人々が囲む食卓、紅包の交換など、
所々に中華圏のお正月という文化が織り込まれた内容になっている。

また、その映像の中で、現在制作中のニューアルバムの重要なコンセプトが
中華と西洋の融合“中西合併”であるとも明かしている。
そのニューアルバムは、どうやら今年5月に発表予定らしい。楽しみ~。


(↓)こちら、そのApple Musicの方大同『Chinese New Year』。親切な英語字幕付きです。




(↓)こちらには、Lightroomで<Love Song>を歌う部分だけで、もう一本。


シンプルにピアノの伴奏でしっとり歌い込むこのヴァージョン、素敵。聴き惚れます。





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さて、続いて、気になるテレビ。
一本目は、2016年2月6日(土曜)、夜7時、NHK Eテレで放送の『地球ドラマチック』
海外の選りすぐりのドキュメンタリーを紹介するこの番組が、今回取り上げるのは、
イギリスで制作された『玉(ぎょく)の衣をまとった王 古代中国の栄枯盛衰』。
昨秋、チャンネル4で放送された『China: Treasures of the Jade Empire』の事と思われる。

この番組が焦点を当てているのは、2千年前、ローマ帝国と肩を並べていた巨大国家・漢。
歴代皇帝の墓からは、当時の繁栄を想像させる豪華な副葬品が数多く出土。
そんな物のひとつが、上の画像にもある埋葬のための衣装。
“金縷玉衣(きんるぎょくい)”と呼ばれる物ですねぇ~。
タイル状の玉(ぎょく)を、金の針金で繫げた、遺体を覆う贅沢な衣。
…のハズが、後漢(東漢)時代に地方を治めていた“Chou”という王(…って誰?英語はこういう場合不便)
の金縷玉衣を調べた結果、なんと使われていたのが純粋な金ではなく、メッキだったというのだ(…!)。
番組では、そこから伺える案外厳しかった権力者たちの台所事情などにも触れている模様。
へぇー、金メッキの技術は、すでに漢代にあったのか。
純金が使えないという致し方ない事情があったからこそ生まれた新技術…?必要は発明の母なり。





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同日、その後の夜9時は、NHK BSプレミアムの『井浦新・アジアハイウェイを行く』を録画予約。
総延長13万キロに及ぶアジアハイウェイを旅する井浦新を追う番組。
井浦新が結構好きという理由だけで観続けていたが、
シーズン1は、私の興味が薄い西の方を取材していたため、
正直言って、心底「面白い!」と思えるほど入り込めなかった。
シーズン2になると、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムと、舞台が東南アジアに移り、
どんどん面白くなってきて(もちろん、それは私の興味を基準とした“面白さ”)、
次回の放送ではついに中国、韓国に突入。
私が最も興味ある中国では、一人っ子政策の中で何不自由なく育ち、
インターネットを使いこなし、思った事を率直に口にする改革開放後の若い世代を追い、
韓国では、フェリー転覆事故で子供を失った遺族などを取材しているようだ。





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NHK BSプレミアムでは、2月10日(水曜)に放送の
『2度目のベトナム~おこづかい3万円で充実旅!』も、ちょっと気になる。
2度目だからこそ、有名観光地を避け、ちょっとディープな旅を、
…しかもたった3万円のお小遣いで楽しんでしまおう!と提案する番組。
ホーチミンの絶品麺、最新ベトナム雑貨スポット、在住日本人マダム御用達オーダーメイド、
また“ベトナムの軽井沢”まで足をのばし、幻の高級コーヒーなどを、旅人・呂敏(ロビン)が紹介。
この呂敏は、日本人の母とハワイ出身の日系アメリカ人の父をもつ25歳の日本人モデルで、
私はよく知らないけれど、以前“こじるり”こと小島瑠璃子と恋の噂が出たこともあるらしい。
大学生の時にベトナムへ行って、今回が2度目だったのだと。ちなみに、“呂敏”は本名。





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その翌日2月11日(木曜)もNHK BSプレミアム。次回の『世界入りにくい居酒屋』は忘れずに録画。
この番組が紹介するのは、基本的にヨーロッパの飲み屋が多く、
アジアでは台湾とベトナムが複数回取り上げられている。今回は、満を持して中国・上海に…!
近年、中国を忌み嫌う風潮から、楽しい内容で中国を扱う番組が激減し(悪いニュースならガンガン放送)、
代わって台湾を取り上げる番組が激増したけれど、そのせいでどの番組も内容がカブリまくっており、
新鮮味がまったく感じられない。
この『世界入りにくい居酒屋』が、よーーーやく中国・上海を取り上げるので、観るのが楽しみ。
紹介するのは、最先端ビジネス街、超高層ビルの谷間の長屋住宅の一室で、
国営一流ホテル出身のシェフが腕を振るう、強い酒をとことん飲んで酔えるお店とのこと。




お菓子は、数日後に迎える春節とは何の関係も無く、
また、おめでたい感じも特別な感じも無く、むしろ私にとっては“定番”のお気に入りケーキを2ツ。

★ アンジェリーナ:モンブラン(デミ)

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大きさは、直径約5.5センチ、高さ約6センチ。
メレンゲの上に生クリームをのせ、絞り出したマロンクリームで覆ったケーキ。




ひとつめは、アンジェリーナ(公式サイト)から、お馴染みの定番人気ケーキ、“モンブラン”
サイズは、2サイズある内、小ぶりの“デミ”サイズの方。
小ぶりと言っても、日本の一般的なケーキ一個分は充分ある。

ここのモンブランを私が好む理由は、
“メレンゲ+生クリーム+マロンクリーム”という3要素だけで構成されたクラシックなモンブランだから。
メレンゲは、軽くてサックリした食感。
中にたっぷり隠れている生クリームは、甘さ控えめでも濃厚な味わい。
コクのあるマロンクリームと相俟って、絶妙。

久し振りに食べたけれど、やはり美味。
このアンジェリーナの伝統的モンブランは、余分な物が一切排除され、
シンプルに素材の良い生クリームとマロンクリームをしっかり楽しめるのが良い。
日本のケーキ屋さんは、とかくスポンジ生地を使いたがるので、
こういう伝統的で本格的なモンブランを売るお店が、未だに有りそうであまり無いのが残念。

★ 雪乃下:タルト・カフェ

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大きさは、直径約6センチ、高さ約5センチ。
中に胡桃入りキャラメル・サレを流したタルト台の上に、エスプレッソ・ムースをのせたケーキ。




雪乃下(公式サイト)“タルト・カフェ”も大好きなケーキ。

メインのエスプレッソ・ムースは空気をたっぷり含み、泡のように、口の中でサッと消える軽さ。
下の台になっているタルトは、バターの風味が良く、食感サックリ。
その中には、トロリと濃厚なキャラメル。
甘いだけではなく、適度に塩分が効いたキャラメル・サレ(塩キャラメル)であることもポイント。
キャラメルに混ざっている胡桃は香ばしく、タルト生地と同じように、食感のアクセントにもなっている。

コーヒー+キャラメル+ナッツが絶妙な三位一体。
やはりこれは雪乃下の最高傑作。

北京2014:大柵欄

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有り得ない…。2014年の旅の記録を記し終わるのに、私は一体何度年を跨げばよいのか…。
そんなわけで、またまた随分間が空いてしまったけれど、前门(前門)からの続き。
今回は前門大街から横道へ反れ、大栅栏(大柵欄)へ。行き方は簡単。
前門を背に、北京の中軸線上を走るメインストリート前門大街を南下していくと右手に見えてくる。

★ 大柵欄

この地区も歴史は古く、明代すでに商人が集まる繁華街だったが、
張爵が記した当時の北京の地名集<京師五城坊巷胡同集>の中には、まだ“大柵欄”という地名は存在せず、
その辺りには“廊房頭條”、“廊房二條”、“廊房三條”、“廊房四條”といった通りがあり、
内、“廊房四條”が現在の大柵欄にあたる場所。

“大柵欄”という字面からだけでも何となく想像がつくが、この地名には以下のような由来がある。
遡ること明朝第10代皇帝・孝宗(在位1487-1505)の頃。
北京では、治安維持のために、各地域の住民がお金を出し合い、
通りの入り口に、盗賊の侵入を防ぐ木製の柵を設置するようになる。
清朝末期までには、そのような柵が北京のあちこちに1700以上を数えるまでに。
中でも、地元の商人たちの出資で建てられた廊房四條の柵は大きく立派だったため
“大柵欄(大きな柵)”と呼ばれ、それがそのまま廊房四條の正式な地名になったという。

1899年(清・光緒25年)、その地で火災が発生し、地名の由来となった木製の大きな柵も消失。
それからはずっと“柵の現物ナシ”で地名だけの“大柵欄”という時期が長らく続くが、
2000年、北京市政府が通りの入り口に鉄製の柵を設置。
こうして、ついに名実を伴う“大柵欄”が復活。


(↓)こちら、復活した大柵欄の鉄製“大柵欄”。

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夕刻、前門大街側から撮った写真は、西日ですっかり逆光となってしまい、よく見えないので…

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大柵欄の中に入り、内側からもパチリ。



大柵欄は、この鉄製“大柵欄”が建つ東側の入り口から西に275メートルのびる通り。
東京の下町、浅草の仲見世商店街が約250メートルというから、あれよりちょっと長い程度。
そこに現在11業種36の商店が軒を並べ、来訪者数は平日15~16万人、休日20万人くらいだという。
仲見世の統計が無いので比べられないけれど、
ここより広く、店舗数もずっと多い六本木ヒルズの来訪者数が、平日10万人、休日13万人くらいらしいから、
まぁ小さな横丁といっても、立派な観光地。

“ひと坪ショップ”といった感じの小さなお店がひしめき合っている仲見世と比べ、店舗数が少な目なのは、
ここには、安価な商品を売る小規模なお店ばかりではなく、
創業百年を超える北京の老舗が多く集まっているからであろう。
薬の同仁堂、お茶の张一元(張一元)、靴の内联升(內聯升)、同じく靴の步瀛斋(步瀛齋)、
生地の瑞蚨祥(瑞蚨祥)、刃物の张小泉(張小泉)、包子の狗不理、
映画館の大观楼(大觀樓)という8軒の老字号(老舗)の面積が、通りの1/4以上を占めており、
経済面で見ても、大柵欄全体の売り上げの75%は、これら老舗がたたき出しているらしい。



それら老字号も、現代では誰もが気負わずに入れる雰囲気だが、他はさらに気さくな感じ。

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種々雑多に物が溢れている商店が多い。そういうお店の商品は、基本的に低価格なので、
よーく探せば、バラ撒き土産に丁度よい品も見付かるかも知れない。
でも、ホント、よーく探さないと駄目で、「いくら安くても、これはないだろ…」という物も多い。
例えば、(↑)上の画像、下段左のお人形・吉祥娃娃(ラッキー・ドール)とやら、どうなの??!
(↓)こちらに改めてアップ。

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ハンドメイドで、元々38元の物を19元(≒350円)で!とのことだけれど、「・・・・・。」
呪いのワラ人形より怖い吉祥娃娃。私、タダでも要らないかも。


では、以下、大柵欄にあるいくつかの老字号をピックアップ。

★ 大観楼

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大观楼(大観楼)は、映画『西洋鏡~映画の夜明け』(2000年)と深い係わりがある映画館。
『西洋鏡』は、中国初の映画『定軍山』を撮影した任慶泰(=任景豐)の実話をベースにした映画。
この大観楼は、その任慶泰が、清朝末期の1902年、この建物を買い取り、
まず“大亨軒茶樓”という茶楼をオープンし、1905年“大観樓”に改名。
その年、任慶泰が京劇の一場面をフィルムに収めた中国初の映画『定軍山』を、
ここでプレミア上映したことから“中国電影誕生地”と呼ばれる由緒正しき映画館なのだ。
所縁の映画『西洋鏡』も、2000年ここでプレミア上映され、主人公を演じた夏雨(シア・ユ)もやって来たそう。

2005年には、政府が建物の大改築にのりだし、清朝末期~民国初期の雰囲気を復元。
上の画像ではよく見えないけれど、建物入り口左脇に
“中国電影之父”として任慶泰の胸像も置かれている。
現在も映画館として現役で、外部はレトロでも、椅子など内部の設備は新しく、案外心地良いらしい。




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ついでに任慶泰(=任景豐 1850-1932)について、もう少し記しておくと、
彼は奉天(現・瀋陽)の名門一族の出身で、1874年(清・同治13年/明治7年)、自費で日本へ留学し、
明治維新からまだ間もないその地で撮影技術を学び、
帰国後、1892年(清・光緒18年)、北京の琉璃厂(琉璃廠)に
中国初の中国人経営による写真館豐泰照相館をオープンした人物でもある。
この写真館は大いに繁盛し、恭親王奕訂などの皇族も利用していたため、
撮った写真は西太后(慈禧太后)の目にも触れ、任慶泰は宮中に召されるようになる。
それまで西太后は西洋人に写真を撮らせていたが、宮中の規則を知らない西洋人の無作法には怒り心頭。
その点、名家の出の任慶泰は礼儀をわきまえているし、写真の腕も良かったので、
彼は西太后にたいそう気に入られ、二品の頂戴花翎(清朝の羽飾り付きのお帽子)を賜ったという。



北京で時間が空いたら、清朝末期にオープンした中国初の映画館で映画鑑賞をしてみては?

ちなみに、ここ日本では、新潟県上越市の高田世界館が、大観楼より少し若い1911年開業で、
日本最古の現役映画館だったけれど、2009年に廃業してしまったため、
長野県長野市権堂町にある1919年開業の長野松竹相生座が
“日本最古の現役映画館”に繰り上げされている。

★ 內聯陞鞋店

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内联升鞋店(內聯昇鞋店)は、1853年(清・咸豊3年)、天津出身の趙廷が、
朝廷に仕える文官武官が履く“朝靴”を扱う店が北京に少ないことに目を付け、
“丁”という姓の将軍の資金援助で、“朝靴”の専門店として、
北京の東江米巷(現・東交民巷)に開業した老舗。
店名の“内”は“宮廷”、“聯昇”は“この店の朝靴を履けば、仕官への運が開け、3級昇進さえできる”
という意味が込められている。

当時、三品以上の高官が朝靴をオーダーする場合は、来店せず、店の者を呼びつけるのが普通だったため、
機転の利く趙廷は、何年にも渡り、顧客である高官や王侯貴族の足のサイズや個人の好みなどを
詳細に記した<履中備載>(↓)にまとめ、オーダーが入ると、改めて採寸する手間を省き、
すぐに朝靴を仕上げ、お届けに上がったという。

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現代で言う“顧客管理台帳”のような物をあの時代に作り、キメ細やかなサービスに徹し、
清代セレブの心をガッチリ掴み、朝廷御用達の一流靴店にまで成長したというわけ。

清のラストエンペラー宣統帝・溥儀が即位した時に履いた龍靴も內聯昇製だし、
もっと近代になってからも、毛沢東、周恩来、小平といった指導者たちが內聯昇を愛用。
また、エンタメ界では、成龍(ジャッキー・チェン)も多くの出演作の中で、內聯昇の布靴を着用。
そんな事情もあってか、內聯昇が作っているような伝統的な布靴は“カンフーシューズ”と呼ばれることも。

黒い布のカンフーシューズは、中華街で千円程度から買える安物靴のイメージがあるけれど、
あれは內聯昇で作っているような伝統的な靴とは似て非なる物。
內聯昇が作る伝統的な布靴の一番の特徴は、“千層底”と呼ばれる靴底。

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“千層底”、おフランス風に言うと“ミルフィーユ底”。
ゴム底の安いカンフーシューズとは違い、布を何層にも重ね、そこに麻糸で刺し子を施し、靴底を形成。
針目は、一平方寸(≒10センチ四方)で約81目。
刺し子にも、“一”の字のように刺す“一字底”と、“十”の字に刺す“十字底”の2種類があり…

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“一字底”の場合、一足の針目は約2100目、
クロスに縫い目を入れる“十字底”だと、当然針目は倍で、約4200目にもなる。

こういう靴は、40種類の道具を使い分け、90もの工程を経て作られる、大変手間のかかるもので、
一足仕上げるのに熟練の職人で3日間を要するという。
この“千層底”の技術は、2008年、中国で無形文化遺産に登録。


今では、ニーズに合わせ、フツーの革靴も作っている他、
伝統技法を活かしつつも、遊び心のあるデザインで現代風にアレンジした物も多く、例えば…

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西瓜千層底。愛嬌たっぷり。


レディースでは、実用性には欠けるが、(↓)このようなお靴はおかがでしょう。

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清宮ドラマの中のお姫様たちが履いている“花盆鞋”が“格格鞋”の名で売られている。
680元(≒13000円)也。これ、お部屋に飾るインテリア小物などではない(←勿論飾っても良し)。
一般的な靴と同じようにサイズが色々揃っており、ちゃんと履くことも出来るのだ。
これを履けば、かなり本格的な“『宮廷の諍い女』ごっこ”ができること間違いナシ。


もう少し実用性を重視したい方には、室内履きとしても使える(↓)こちら。

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左の2足は千層底、右は革底のスリッパ。
価格は左から346元(≒7千円)、528元(≒1万円)、315元(≒6千円)と、格格鞋よりお手頃。


お子ちゃま用も有り。出産祝いなどにお薦め。

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小さいというだけで可愛く見えてしまいますねぇ~。
ベイビー用のプチサイズでも、ちゃんと布をちくちく刺し子した靴底になっている。
私も、姪っ子が生まれた時に購入。



自分用に、刺繍が綺麗で、ちょっとヒールの付いたミュールが有ったら、室内履きとして欲しいので、
いつも取り敢えず店内を覗くのだが、今回も希望の品が見付からず、何も買わず仕舞い。
內聯昇サマ、早くそういうのを作って売り出して下さいませ。

店内で実演をやっていることもあるので、興味のある方はどうぞ。

★ 同仁堂

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同仁堂は、誰でも名前くらい耳にしたことがあるであろう、漢方薬局の老舗。

その歴史は古く、清朝の“太医吏目”に任命され、太医院にも仕えていたことのある樂顕揚(1630-1688)が
1669年(清・康熙8年)、“同仁堂藥室”の名で北京の西打磨廠に創業。
1688年(清・康熙27年)、樂顕揚が亡くなると、第三子の樂鳳鳴が家業を継ぎ、
1702年(清・康熙41年)、大柵欄に移転して、初めて店頭での営業を開始し、
宮廷秘伝の処方や先祖伝来の処方をまとめた<樂氏世代祖傳丸散膏丹下料配方>を編纂する他、
<同仁堂虔修諸門應症丸散膏丹藥目(同仁堂藥目)>という漢方の目録も制作。
1723年(清・雍正元年)には、雍正帝から宮廷の御藥房に薬を納めるお役目を賜り、
それは以降清朝が滅亡するまでの188年続いた。
いわば、その間の歴代8皇帝のお薬を請け負った“清朝御用達薬局”というわけ。

現在の同仁堂は、海外にも進出している大企業。
北京市内にも何店もの支店をもつが、一番有名なのは、やはり大柵欄にあるこの本店。


昨2015年、中国の女性薬学者・屠呦呦(トゥ・ヨウヨウ)女史がノーベル生理学・医学賞を受賞し、
改めて注目を浴びている漢方薬を、本場の老舗で買うのも悪くはないが、
あまりカサがある物とか薬草は、持ち帰りに不便だし、税関でも面倒くさそう…。
でも、同仁堂には、いわゆる“漢方薬”のみならず、漢方を活かしたサプリやコスメもあるのです。

私のお気に入りは、同仁堂オリジナルのフェイシャルマスク。
今回、フェイシャルマスク目的で、このお店を訪ねたのは2年ぶりだったのだが、
何種類もある上、パッケージのデザインが変わっており、どれを買おうか迷っていたら、
お店のおばさんが、「あなた、2年くらい前にも来たでしょう?以前買ったのはコレですよ」と教えてくれた。
(後で調べたら、パッケージこそ変わっていたが、私が2年前に買ったのは、本当にソレだった。)
2年前に数分会話を交わしただけの私と、私が購入した品を覚えているなんて、おばさん、驚異の記憶力!
これも清朝秘伝の漢方効果か…?!


ちなみに、私が買ったのは(↓)こちらの面贴膜(フェイシャルマスク)。

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ホワイトニング効果がある“美白润肤面贴膜(美白潤膚面貼膜)”と
肌にハリをだす“紧致活肤面贴膜(緊致活膚面貼膜)”。

私が「このフェイシャルマスク、いいかも…」と思ったのは、
このマスクを使った翌朝、洗顔した時、毛穴から微かに漂う漢方薬の臭いを嗅ぎ取ったのが一因。
こんなに時間が経過しても、漢方の成分がまだ毛穴に残留していたのか!と感激。
それだけで、なんだかとても効果があったような気になったワケ。
ちなみに、私はかなり肌が弱いが、ここのマスクでカブレなどの炎症を起こしたことはない。

他にも色々な種類があるので、皆さまも自分のお好みに合う物を探してみては。

★ 吉龍動態民俗文化城

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ここからは老舗ではありません。
人の出入りが多い吉龙动态民俗文化城(吉龍動態民俗文化城)に、私もツラレて入ってみる。
ウナギの寝床のように、間口は狭いが奥行きがある。しかも、奥へ行くと、横にも通路が広がっている。
入り口脇では、涮羊肉(羊肉しゃぶしゃぶ)の老舗で、
北京中に何軒もの支店をもつ东来顺(東來順)・大柵欄支店のブロンズ像が、しゃぶしゃぶ鍋を手にお出迎え。
つまり、この中のどこかに東來順が入店しているのだろう。
ゴチャゴチャしていて、どういう構造になっているのか、いまいち分らない。


取り敢えず奥に入ってみた。

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ちょっとした迷路のよう。売られている商品に統一感はなく、もう何でも有り!って感じ。
はっきり言って、特別ソソられる物は見当たらなかったのだけれど、
せっかくなので、小さな姪っ子に心ばかりのお土産を購入。

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中国感ゼロのカチューシャ(笑)。
“これぞ中国!”という物を上げても、姪っ子が喜ばないので仕方がない。
このカチューシャは大いに喜ばれた。




北京2014・旅の備忘録は、まだもう少し続く予定。
次は一体いつ更新するのやら…。



◆◇◆ 大柵欄 Dashilanr ◆◇◆
地下鉄2号線・前门(前門)駅下車

村上隆の五百羅漢図展

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2015年10月末に始まった<村上隆の五百羅漢図展>が、
会期終了まで残り一ヶ月を切ったことに気付き、ようやく森美術館へ足を運ぶ。

★ 村上隆

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村上隆(1962-)は、日本を代表する現代美術のアーティスト。
本展は、日本では、2001年に東京都現代美術館で行われた
<召喚するかドアを開けるか回復するか全滅するか>展以来、実に14年ぶりの大規模個展となる。

村上隆といえば、アニメなど日本のヲタク文化を題材にした作品で注目され、
ルイ・ヴィトンなどとコラボも果たした“海外ウケのよいアーティスト”という印象。
日本のサブカルをアートに昇華させたアイディアは確かに凄い。
もし私が外国人なら、素直に村上隆を面白い!と評価したと思うけれど、
同じ日本人ゆえか、どうも斜めから見てしまう。
これは、昔から欧米で評価されるアーティストに共通して言える事だけれど、
あちらでは、作品そのものより、自分を高く売り込むプロデュース力が物を言うと感じることがしばしば。
私は、日本独自のヲタク文化を芸術として欧米に持ち込んだ村上隆には、
どうしても“狙った感”を嗅ぎ取ってしまい、純粋な芸術家というより、計算高いビジネスマンに見えてしまうのだ。
そういう所は、アンディ・ウォーホール等にも通じる。
アイディア勝負のウォーホールが、“Factory”と呼んだスタジオで作品を大量生産していたように、
村上隆が埼玉県に構えるスタジオを“工場”と呼んでいる点にも、アートに対する共通の姿勢が感じられる。

だからといって、別に批判しているわけではない。
ただ単に、私自身が日本のアニメや漫画という文化に夢中になることなく成長したため、
それを題材にした村上作品にも、さほど心を揺さぶられることが無かっただけなのかも知れない。

ところが、近年、村上隆の作風に変化が出てきて、興味が湧いてきた。
自身の背景にある日本、広くはアジアの芸術や文化を再構築している点は、これまでと根底で同じだが、
昭和期のサブカルから、もっと古い物へと、作品の題材が移行している印象で、
ようやく私の好みに近付いてきた。(←村上サン、思いっきり上から目線でスミマセン。)

★ 森美術館

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そんな訳で、村上隆の作風が私の好みと近付いてきたこのタイミングで、
久々に大規模個展が開催されたので、だったら行かねば!と。

会場は、六本木の森美術館。六本木ヒルズにはたまーに行っても、森美術館に入るのは久し振り。
空いていそうな平日の朝一を狙って行ったら、案の定特別混んでおらず、ゆったり美術鑑賞できた。



まずは入り口で、本展の主・村上隆が直々に我々ゲストをお出迎え。

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すっごいリアル…!しかも、これ、…いや彼、目が動くの。

まるで生きているかのような村上羅漢におののきながらエントランスをくぐり、いよいよ鑑賞スタート。


なお、この展覧会では、非営利かつ私的使用の目的でのみ撮影可能。

★ 五百羅漢

まず、取り敢えず、本展覧会のタイトルにもなっている“五百羅漢”について。
“五百羅漢”は、(所説あるようだが…)釈迦の5百人の弟子、
もしくは釈迦の入滅後“結集”と呼ばれる仏典編集に集まった5百人の弟子を指す場合が多い。

(↓)こちらが、その五百名のリスト。

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物好きな方は、クリックで拡大し、五百人全員の名を暗記してみてはいかがでしょう。


そんな五百名の羅漢を描いた五百羅漢図は、案外目にしていることが多く、
例えば、李連杰(ジェット・リー)主演映画『少林寺』(1982年)の中で…

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「僧侶が長年修行した結果、床がデコボコに変形」と紹介され有名になった
あの嵩山・少林寺の千佛殿の壁に描かれているのも<五百羅漢>。



羅漢信仰は、ここ日本には平安時代、宋から伝わり、
こと江戸時代以降、五百羅漢図や羅漢像が盛んに作られるようになったという。

本展では、そんな日本の先人たちによる<五百羅漢図>も展示。

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大きい方は狩野一信(1816-1863)の<五百羅漢図>
小さい方は長澤芦雪(1754-1799)の<方寸五百羅漢図>
“小さい方”は本当に小さい。お題の通り、一寸角(3.1cm×3.1cm)の中に、
羅漢や動物が細かくギッシリと描かれている。
細々とした作業が得意で、米粒の中にお経を書いたりする人も居る日本ならではの<五百羅漢図>。

★ 村上隆の五百羅漢図

このように、昔から日本でも多くの絵師に描かれ続けてきた<五百羅漢図>を、
村上隆はどのように表現したのか…?

村上隆版<五百羅漢図>は4ツのパートから構成され、
それぞれに、古代中国の思想で東西南北を司る霊獣“四象(四神)”の名が冠せられている。

“四象”とは具体的に…
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北の玄武(黒)、南の朱雀(赤)、東の青龍(青)、西の白虎(白)を指す。
これ、結構身近で、例えば、風水に基づいて成り立っている横浜中華街などでも、
北には玄武門、南には朱雀門といった具合に、ちゃんと四象に守られた牌楼が建てられている。



村上隆版<五百羅漢図>は、高さ約3メートル、全長100メートルという大型作品なので、
スペースに限りがある森美術館で、それぞれをちゃんと東西南北に展示することは不可能。
<青龍>と<白虎>、<朱雀>と<玄武>に分け、2ツのホールで展示されている。


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上から順に<青龍>、<白虎>、<玄武>、<朱雀>
作品の地の色がそれぞれの四象に呼応していると勝手に思い込んでいたので、
例えば、広告にも使われている赤い地の作品が<朱雀>だと思っていたら、あれは<白虎>であった。
(事実、作品右寄りに白い虎が描かれている。)




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第一印象は、ただただダイナミック。
大きな作品なので、最初は迫力に圧倒されるばかりだが、次に部分部分を少しずつ見ていくと、
うわっ、おかしなポーズの羅漢が居る!とか、袈裟の柄が凝っている!とか、ディティールに沢山の発見があり、
<ウォーリーをさがせ!>に食い入ってしまうような楽しみが湧いてくる。




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別室では、<五百羅漢図>の制作工程も紹介している。

★ 東洋趣味

<五百羅漢図>以外の展示も色々。
私は特に近年のオリエンタル色濃い作品に惹かれる。ここには、印象に残った3作品をピックアップ。


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上から順に、<宇宙の深層部の森に蠢く生命の図>の中のガネーシャ、自然の摂理、シシ神、
<達磨大師>、そして<見返り、来迎図>
一番上のは、“村上隆解釈の伊藤若冲”って感じが面白い。
3作品全て良いけれど、特に大胆な構図の<達磨大師>が好き。

★ 金銀

金箔、プラチナ箔を使い、金色ベースと銀色ベースを対にした作品からも、和の雅が感じられて、好み。



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左側、銀色ベースの<死の淵を覗き込む獅子>と右側金色ベースの<この世の無常を喰ろうて候>


こちらも良し。

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<円相:アトランティス><円相:シャングリラ>
2015年の作品。作品の中で東洋思想を突き詰めて行くと、どんどんシンプルになっていくのかも。
この2作品が、その前兆のような気も。
まぁシンプルなのだが、近付いてよく見ると、地がドクロ柄(笑)。

★ その他

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もちろん、<DOB>シリーズなど、これまでの流れを汲んだ“これぞ村上隆!”な作品も沢山展示されている。

★ ミュージアムショップ

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最後はミュージアムショップに寄り道。
ショーケースの中に飾られた、高さ30センチほどの4体の羅漢フィギュアに目を奪われる。
可愛い!欲しい!でも、説明も値段も何も記されていないので、売り物かどうか分からない。
仮に売り物でも、ビックリするような値段を提示されそうで、恐ろしくて聞けないわ…。
カプセル入りの海洋堂製フィギュアなら、一個5百円で買えます(全10種類あり)。



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私は、会場限定販売の豆本のみ購入。


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手のひらにスッポリのる10センチ角程度の小さな絵本。
左右どちらからも開け、中は蛇腹状。
パラパラと開くと、片側には<五百羅漢図>、もう片側には主要キャラの説明が書かれている。

★ 余談

この日、私が会場に入った約15分後に、安倍晋三の妻・昭恵夫人がやって来た。
日本の芸能人を街中で見掛けると、「えっ、この人、実はこんなに小さかったの?!」と驚くことが多いけれど、
昭恵夫人は逆で、テレビの中で見る“小柄でコロコロした人”というイメージと違い、意外にもスラリ。
身長165センチは絶対に越えている。170近くあるのでは。
しかも、日本人にありがちな“シシャモ足”ではなく、細くて真っ直ぐなふくらはぎ。
あの世代の日本人女性としては、かなりスタイルが良い方だと思う。
ただ、全体から発するオーラが地味なせいか、
その時会場に居た人のほとんどは、昭恵夫人に気付いていなかったみたい。

ちなみに、村上隆は、数年前、慶応病院の外来でお見掛けいたしました。




今回は大型作品の展示が多いので、是非ナマで鑑賞したかった。
大きな物がこちらにドカーンと向かって来るような迫力の体感は、やはり美術館で本物に触れる醍醐味。
それに、村上隆の作品の場合、印刷された物だと、ただのイラストと大差無いように見えてしまうが、
実物を間近で見ると、何層にも重ねられた版の複雑な色や柄、キャンパス上の凹凸など
案外凝っているディティールに感動する。

来場者は外国人からファーストレディまで(笑)。
若い子が多いのかと思ったら、案外高齢者も多く、年齢層は幅広い。
皆パチパチと写真を撮り、美術館がなんだか一種のアミューズメントパークのようで、楽しそうだった。


◆◇◆ 村上隆の五百羅漢図展 Takashi Murakami : The 500 Arhats ◆◇◆
森美術館
東京都港区六本木6ー10ー1 六本木ヒルズ 森タワー53階

会期:2015年10月31日(土)~2016年3月6日(日曜)

10:00~22:00 (火曜 ~17:00)

一般:1600円/高校・大学生:1100円/4歳-中学生:600円
(展望台・東京スカイビュー、屋上スカイデッキは別料金)





追記:2016年2月12日
真由美さん宛てコメント欄に補足。

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台湾の人気女性シンガー蔡依林(ジョリン・ツァイ)が、
自身の歌<大藝術家>の歌詞にも登場させた村上隆とツーショット。

ケーブルTV無料放送でお試し視聴(+オマケの胡歌&霍建華)

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2016年1月上旬、中華圏きっての男前俳優、大陸の胡歌(フー・ゴー)と台湾の霍建華(ウォレス・フォ)が
北海道で落ち合い、人気フォトグラファー陳漫(チェン・マン)が手掛ける
中国版<時尚芭莎(ハーパース バザー)>のシューティングを行ったのは、こちらに記した通り。
その時、私、“ヴァレンタイン特集号”と記してしまったが、
2月下旬に出る3月号“白色情人節(ホワイトデー)特集号”だったのですね。
“交際期間が長く、すでに関係が安定しているカップル”といった感じの(?)
お二方の仲睦まじく自然な笑顔にホッコリさせられる写真in雪国北海道…。
まだ表紙しか公開されていないので、近々出てくるであろう他の写真も見るのが楽しみ。


ついでに記しておくと、一昨日、2月12日は、その胡歌の父上のお誕生日だったらしい。

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胡歌は父親似と判明。
お父上、長身の息子と並んでも、特別小さく見えないということは、
あの世代の男性としては、かなり恵まれたボディの持ち主なのかも知れない。
何はともあれ、お義父様、お誕生日おめでとうございます。
…胡歌が、交際をスッパ抜かれた令嬢と別れたという噂があり、私にもついにチャンスが到来したので(?)、
ここは敢えて“お義父様”と呼ばせていただきます。



さて、本題はここから。
2月に入り、ちょっとしてから、普段追加料金を払わなければ観られないチャンネルが、
今月いっぱい無料お試し期間になっていた事に気付いた私。

気付いたのが6日(土曜)だったため、春節前夜7日(日曜)にCCTV大富で放送の
中国年越し長寿番組『春晚』を観ることができた。

★ 中央電視台春節聯歡晚會

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『中央電視台春節聯歡晚會』、通称“『春晚』”は、毎年旧暦の大晦日に放送されている中国の長寿番組。
日本ではよく“中国の『紅白歌合戦』”と紹介されているけれど、
別に2チームに分かれて歌を披露し、勝敗を競うものではなく、
何か芸事に秀でている集団や人気スタアが数多く登場し、
歌、雑技、コント、芝居など様々な演目を披露する番組。
大晦日に放送される国民的長寿番組という点以外、『紅白』との共通点はこれといって無い。
(『紅白』は一年の最後を飾る番組だが、
『春晩』は大晦日の晩に始まり、年を跨いで新年になってもまだ続く“年越し番組”なので、
この点でも『紅白』とは微妙に異なる。)
あと、そうそう、年々視聴者離れが進んでいるという点は、『紅白』と似ているかも。
ただ、ここのところ『春晩』は海外での放送にも力を入れているようで、
今年はここ日本でも初めてニコニコでの同時配信が行われた。
つまり、CCTV大富のお試し無料放送が無くても、観ることができたわけだ。

私が観たCCTV大富では、日本語の同時通訳が入る。恐らくニコニコの方にも同通はあったはず。
他愛のない会話は問題無いけれど、掛け合い漫才などは同通で聞いても、正直なところ、面白くない。

そのように、多少問題はあるものの、日本語対応しているので、
日本在住華人以外にも、中国や中華エンタメに興味がある日本人が、例年以上に視聴した模様。



(↓)こちらが、『2016春晩』のプログラム。

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日本の中華電影マニアのお目当ては、やはり銀幕スタアの演目だろうから、
恐らく甄子丹(ドニー・イェン)による演武が断トツ、次いで趙薇(ヴィッキー・チャオ)の歌でしょうか。
あと梁詠(ジジ・リョン)+林心如(ルビー・リン)+劉濤(リウ・タオ)という両岸三地美女による歌も
久々の梁詠見たさに楽しみにしていた人が多かったのではないかと想像する。
若い大陸男子好きだったら、楊洋(ヤン・ヤン)、馬天宇(マー・ティエンユ)、TFBOYS辺りがお目当てか?

日本の『紅白』も観ない私は、『春晩』も例年積極的に観ようとは思わないのだけれど、
今年は、4月に『琅琊榜(ろうやぼう) 麒麟の才子、風雲起こす』の日本初放送を控えている(→参照
胡歌(フー・ゴー)見たさに、最初からテレビの前でスタンバイ。
あとはやはり甄子丹の演武は、私も気になる。



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結果、どちらも満足。
胡歌はエトロのブロンズ・カラーのスーツ姿で、
台湾の許茹芸(ヴァレン・スー)と<相親相愛一家人>をデュエット。
“宇宙最強”と称えられる甄子丹は、さすがキレッキレ!修練を重ねた人がみせる伝統武術は、
ただ派手さだけを狙ったドタバタとは違い、動作のひとつひとつが優雅で美しい。
共演した山東省萊州中華武校の生徒が、これまた凄く、ひとつの舞台として完成されている。
京劇や雑技だけではなく、こういう演武も日本で公演があったら、絶対に観に行くのに。



…が、実は、それら以上に私が感動したのは、期待も注目もまったくしていなかったパフォーマンス。

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女性シンガー譚維維(タン・ウェイウェイ)が、
陝西に伝わる民間戯曲“華陰老腔”の演者・張喜民(チャン・シーミン)率いるじぃ様バンドを従え、
もっのスゴイ声量で歌う<華陰老腔一聲喊>であった。


シビレるぅーーーっ…!!ナンなの、このソウルフルな民謡ロック!?アドレナリンどっくどく。
ジプシー音楽や北島三郎の<まつり>を聴いた時と同じような興奮をおぼえる。
おじいちゃま方のお顔が、なんとも楽しげなのも良いですねぇ~。
これぞ世界に通用する音楽。欧米にもっていってもウケそう。
日本の祭りにも来て欲しいワ。野外フェスなどでも、盛り上がりそう。
ちなみに、譚維維のお召し物はジヴァンシー。


お召し物について、ついでに記しておくと…

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楊洋の2着のお衣装も、馬天宇のスーツも、全てグッチです。



『2016春晩』を最初から全部観たいという方は、Youtubeのこちらでどうぞ。
(全部観るのに5時間近くを要しますが…。

★ 金蘭良縁~金玉良緣

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あと、この無料放送では、アジアドラマチックTVも視聴可。
大陸ドラマ『金蘭良縁~金玉良緣』の再放送が都合よく1話から有ったので、お試し視聴してみた。

これは、霍建華(ウォレス・フォ)&唐嫣(ティファニー・タン)主演の、明代を舞台にした時代劇。
邦題を『金蘭良縁(きんらん・りょうえん)』としたのは、
原題のままだと『き○たま・りょうえん(金玉良縁)』と読む人がいて、滑稽だから…?
そっちの方が、絶対に脳裏には焼き付くけれどね。

で、さて、このドラマ、うーン、どうなのでしょう。最後まで御覧になった方、如何だったでしょうか。
そもそもが軽い作風なのだが、私は『琅琊榜(ろうやぼう)』を観た後なので、益々軽く、チープに感じてしまい、
どうも冷めた目でしか観ることができない。
『琅琊榜』のせいで目が肥えてしまい、これと限らず、他のドラマが楽しめない体質になってしまった…。


このように、まったくハマれない『金蘭良縁』ではあるが、それでも食い付きポイントは有った。
このドラマのスットンキョなシーンでよく流れるBGMが、
なんと、あの橋幸夫の<恋をするなら>のインストゥルメンタル・ヴァージョンなのだ。
(↓)こちらが、そのオリジナル橋幸夫版。


ノリノリですね~。

この歌は、60年代台湾で、<墓仔埔也敢去>というタイトルで、
葉啟田(イエ・チーティエン)が台語で歌いヒット。
その後も、伍佰(ウーバイ)、蔡依林(ジョリン・ツァイ)など数多くのアーティストがカヴァー。
(↓)こちらが、その蔡依林版<墓仔埔也敢去>。


オリジナル版の橋幸夫とは、もはや別物。

台語の<墓仔埔也敢去>は、映画『熱帯魚』など、台湾映画の中で流れているのをしばしば耳にするが、
そのインストゥルメンタル版を、まさか明代を舞台にした大陸時代劇の中で聴くとは思いもしなかった…!
大陸の視聴者の中にも、このBGMが伍佰や蔡依林の曲だと気付く人なら居るかも知れない。
でも、それをさらに遡ったオリジナル版が、
日本の橋幸夫という“永遠の高校3年生”が歌った歌だとは知る由も無いであろう。
中国人でありながら、私のように「あっ、橋幸夫」とピンと来た人は、相当な昭和マニアなハズだ。




無料放送期間はまだあと2週間以上残っているけれど、『金蘭良縁』を観続けるかはビミョー…。
どうせ無料放送中に全話完走できないし、その後DVDをレンタルしてまで観たいとも思わないし…。
他のどんなドラマより、4月の『琅琊榜』放送開始が待ち遠しい…!

ドラマ『琅琊榜』や、胡歌をはじめとするmango厳選男前キャストについては、こちらからどうぞ。
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