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張震ドラマ出演に一抹の不安…。(+オマケに楊冪&劉威離婚報道)

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本日、中華芸能を賑わせているのは、楊冪(ヤン・ミー)&劉威(ハウィック・ラウ)夫妻離婚のニュース。

二人は、2011年、ドラマ『如意~Ruyi』での共演をキッカケに交際を始め、
2013年11月に入籍、間も無くの2014年1月にはバリ島で華やかな披露宴を開催し、
同年6月には、“小糯米”と呼ばれる女児にも恵まれたものの、
楊冪は李易峰(リー・イーフォン)と、劉威は王鷗(ワン・オウ)との浮気疑惑が報じられる等、
随分前から、不仲説や離婚の噂が絶えなかった。

そして、2018年も終わろうとしている昨日12月22日、両人が所属する事務所・嘉行傳媒が、
今年二人はすでに離婚協議に署名していたことを公表。
あくまでも平和的な離婚であり、夫婦という形ではなくなっても、共に子供を養育し、
同時に友人として互いの将来を祝福するという。


火の無い所に立つ煙も有るとは思うけれど、
この二人に立っていた噂は、現実味があったので、離婚発表にもあまり驚きが無い。
2018年中にサッパリし、2019年は心機一転という感じでしょうか。
もっとも、華人にとっては、西暦1月1日が“新年”という感覚は薄いのかも知れないが。
ちなみに、2019年の春節は、2月5日とのことです。

★ 張震、ついにドラマ界進出

いやいや、それより私が気になっているのは、もっと小さなニュースで、本題はこちら。
これまで映画中心に活動してきた張震(チャン・チェン)が、
遂にドラマ出演に踏み切ったことは、ご存知の方も多いと察する。
今から約一週間前の12月17日、張震は久し振りに微博を更新し、百二十数日の撮影を終えた事を報告。


かつては、映画と比べ、格下と捉えられがちだったドラマだけれど、
昨今の大陸ドラマは、クオリティも存在感も上がる一方で、
映画にこだわり続けていた大物俳優たちもが続々とドラマ出演を始めている。
『紅いコーリャン~紅高粱』で久し振りにドラマに復帰し、
続けて『如懿傳~Ruyi's Royal Love in the Palace』にも出演し、成功している周迅(ジョウ・シュン)然り。
さらには、湯唯(タン・ウェイ)や、あの章子怡(チャン・ツィイー)までもがドラマに!

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ちなみに、湯唯主演ドラマは『大皇明妃孫若微』、
章子怡主演ドラマは『帝鳳業(帝王業/江山故人)』。


この流れで、張震もドラマ出演に踏み切ったのは、理解できる。
理解しにくいのは、出演作品の選択である。
張震初が主演するドラマは『宸汐緣~Love and Destiny』。
ダブル主演のお相手は…

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これまた映画的な女優さんで、私も大好きな倪妮(ニー・ニー)。
張震&倪妮なんて、mango的豪華キャスト!

キャスティングだけ見ると、期待いっぱいワクワクのドラマなのだけれど、
私がこれまでこのドラマについて触れなかったのは、作風に期待が持てないから。
えぇーっ、張震、なんでよりによって、こんなドラマに出ちゃうのぉ~…?!と不安と不満を感じながらも、
忘れようと努めてきたのに、この度クランクアップのニュースで、ドラマの存在を思い出してしまい、
あまりにもイヤなので、遂に当ブログで取り上げてしまった…。



期待できない一番の理由、それは、これが林玉芬(リン・ユーフェン)監督作品だから。
いや、世間的には、林玉芬監督作品であることこそが、『宸汐緣』一番の売りであろう。

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林玉芬監督は、『永遠の桃花 三生三世~三生三世十里桃花』の大ヒットが記憶に新しい
香港出身の女性監督。
(ちなみに、『三生三世』の主演女優は、この度離婚を公表した楊冪。)

他にも、『花千骨 舞い散る運命、永遠の誓い~花千骨』や
『酔麗花 エターナル・ラブ~醉玲瓏』等を手掛けたヒットメイカー。
世間では面白いと讃えられたそれら過去作品も、私にとっては退屈なドラマでしかなく、
林玉芬監督には、苦手意識しかない。
(強いて言えば、現代劇『シンデレラはオンライン中~微微一笑很傾城』は、まだマシであった。)



張震は多数の名作に出演している優秀な俳優であるが、これまでにもハズレが無かった訳では無い。
正直なところ、一ファンとしては、フィルモグラフィから消したい出演作も有り。
あ゛ーあ、よりによって初めて主演するドラマに、なんで林玉芬監督作品を選んでしまったのだか…。
まぁ、所属事務所・澤東(ジェットトーン)としては、
ヒットメイカー林玉芬監督作品だからこそ手堅いと踏んだのかも知れないけれど。
澤東は、王家衛(ウォン・カーウァイ)との関係が永遠にも思えた梁朝偉(トニー・レオン)が契約を更新せず、
今や大黒柱になった張震に稼いでもらわないといけないのでしょうか。
勿論それだけではなく、林玉芬監督の才能を認めているから、出演を決めたのだろうけれど。
事実、澤東との所縁が深いかの張叔平(ウィリアム・チョン)も、
『永遠の桃花 三生三世』と『酔麗花』で衣装を担当。
どうやら新作『宸汐緣』でも、続投しているみたい。
すでに出来上がっていた林玉芬監督とのそのような繋がりがあって、
張震も『宸汐緣』に出演する運びになったのでしょうね~。
あちらの人たちは、日本以上に横の繋がりを大切にするし。



張震がどうせドラマに出演するなら、
自分の実力を示せ、なおかつ映画クオリティで渋い作風の『少林問道』のようなドラマに出て欲しかった…。
その『少林問道』の主演男優・周一圍(ジョウ・イーウェイ)は、
章子怡主演ドラマ『帝鳳業』で章子怡の相手役。
周一圍の方が仕事選びが上手い…。

愚痴ったところで、どうにもならない。
もう出演してしまったからには、
『宸汐緣』が私の予想を良い意味で裏切り、良作に仕上がっていることを願います。
張叔平が衣装を担当しているのなら、少なくとも衣装は美しいことでしょう。
(でも、やはり、ハッキリ言って、章子怡の『帝鳳業』や湯唯の『大皇明妃孫若微』の方が面白そ…。)

クリスマスにカラフルケーキ2種(+来春『芳華-Youth-』日本公開♪)

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2018年3月、中国映画祭“電影2018”でオープニング作品として上映された
馮小剛(フォン・シャオガン)監督作品芳華-Youth-』(2017年)が、
もう随分前に配給会社アット・エンタテインメントに買われた事は、当ブログでも何度か記した。

買われたは良いが、一体いつ公開されるのヨ?!と気になっていたのだけれど、
はい、遂に日本公開情報と日本版ポスターが解禁に。
嬉しいクリスマスプレゼントになりました~♪

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恐らく多くの映画ファンが、このポスターを見て、私と同じように
「うわぁ~、妙な邦題にされなくて良かった~」と、胸を撫で下ろしたことでしょう。
この映画、原題は『芳華~Youth』。
映画祭上映時の邦題は『芳華(ファンホァ)-Youth-』であった。
そして、今回公表された正式な邦題は、
“芳華”を日本語の音読みに変えただけで、基本的には変わらない『芳華(ほうか)-Youth-』である。
中国語としてもビミョーな“ファンホァ”より、“ほうか”と読ませる方が、むしろ良いと納得。

ポスターも、日本でオリジナルに制作したダッサい物ではなく、
現地で使われた趣味の良い物をそのまま使っているのが良い。
(勿論、日本で独自にセンスの良いポスターを作れるのなら、それを採用するべき。
しかし、昨今はヴィジュアルデザインの分野でも、日本と中国は立場が逆転してしまい、
明らかに中国版ポスターの方が趣味が良く、日本版は哀しくなる程ダサい…、という場合が多く、ガッカリ。)




そして、私が、何よりも配給会社を褒めたいのは…

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私が贔屓にしている主演男優・黃軒(ホアン・シュエン/ホアン・シュアン)を、
ちゃんと“ホアン・シュエン(黄軒)”と正しく表記して、映画情報を宣伝している事である。

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この件については、当ブログで繰り返し怒りをブチまけているが、
簡単な中国語も分からないドラマの配給会社、
『ミーユエ 王朝を照らす月~羋月傳』を入れた会社が、“ホアン・シュアン”の誤表記でドラマを宣伝し、
その後、映画『ブラインド・マッサージ』を入れたアップリンクが、
せっかく“ホアン・シュエン”に軌道修正したにもかかわらず、
角川・東宝が『空海 KU-KAI』公開時に、何の意図があったのか(…いや、何も考えていない)、
またまた“ホアン・シュアン”に軌道修“悪”したという経緯があった。

『空海』のような大規模公開の作品で、誤った名前で宣伝されたら、それが定着してしまうのに、
角川と東宝には、大企業の自覚が無く、ただただ無責任。
唯一“救い”と感じたのは、その角川と東宝が、
何を血迷ったのか、『空海』を日本語吹き替え版のみで上映するという暴挙に出て、撃沈したため、
主演男優・黃軒の知名度が、幸か不幸か大して上がらなかったのだ。

そこで私は、アット・エンタテインメントが『芳華』を買ったと知った時、
これまでどの会社がどういう経緯で黃軒の誤表記を広めたかを証拠画像を添えて説明し、
日本で彼が誤った名前で知られていくのは、一ファンとして残念でならないので、
せめて『芳華』を買った会社には、正確な名前で表記するよう指示して!と、
黃軒の所属事務所に歎願メッセージを送信。
どうも黃軒の事務所は、日本での黃軒の表記などチェックしたことさえ無かったようであった。
(そりゃあそうですよね、大した儲けにならない小さな日本市場のために、
日本語を解するスタッフを雇っている訳ないですものね。)

そうしたら、この度、『芳華』の日本公開情報解禁で、ちゃんと“ホアン・シュエン”になっていたので、
アット・エンタテインメントの誠意を感じたワ。
だって、例え誤表記でも、角川・東宝のような大手が使った名前を使い、
大作『空海』に便乗した宣伝を展開したいというのが本音だろうに、
それより、正しく表記することを選んだのだから。


このアット・エンタテインメントの配給作品では、他に、
第30回東京国際映画祭で、最優秀芸術貢献賞と主演男優賞のダブル受賞作『迫り来る嵐』も、
年明け早々、2019年1月5日に日本公開を控えている。
中華圏の作品に特化した配給会社ではなく、むしろ、その分野には決して強くないと見受けるが、
セレクトした少数の中華作品は、私好み(…勿論100%とは言いません)。
それに、乏しい知識を確認もせず、誤った情報をタレ流しにしている
あーんな配給会社とか、こ~んな配給会社などとは異なり、
知らない物は調べるなど、買った作品に対する誠実さが感じられ、好感度は高い。
ここまで褒めたのだから、アット・エンタテインメント様、この先も映画ファンの期待を裏切らないでね。



そうそう、肝心な『芳華(ほうか)-Youth-』日本公開時期!
2019年4月、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他にて公開。
中国の近代史を背景に、時代に翻弄された文工団員たちを描く群像劇で、
この作品を機に、有名になった若手女優なども複数出ているから、興味のある方は是非どうぞ。
黃軒は、これぞ黃軒!と真骨頂を発揮した当たり役。
私も、絶対にもう一度観るつもり。


映画『芳華(ほうか)-Youth-』についての詳細は、こちらから。

“ホアン・シュアン”の誤表記が、本作品で再び軌道修正され、めでたく“ホアン・シュエン”に戻った
私のお気に入り俳優・黃軒については、こちらの“大陸男前名鑑:黃軒”を参照。




あと、そうそう、昨日12月23日は、現天皇の在位中最後のお誕生日というだけでなく…

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東京タワーも60歳になられたそうで。
おめでとうございます!
東京スカイツリーができても、昭和育ちの東京人には、やはり東京タワーの方が愛着があるかも。




お菓子は、クリスマスらしく、カラフルで楽し気なケーキを2ツ。
今年は、クリスマス限定販売のケーキを買っていないので、取り合えず、この2ツで。

★ パティスリー・ヨシノリアサミ:ロシアンテール

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大きさは、直径6.5センチ、高さ約6.5センチ。
ミックスベリーのコンポートとヴァニラ・ムースを、スパークリングワインのムースで包み込み、
大粒ラズベリーを添えたケーキ。




一つめは、こちら。
パティスリー・ヨシノリアサミ(公式facebook)は、
仏ストラスブールのキュブレーでシェフパティシエを務めた浅見欣則が、
2015年、巣鴨にオープンしたお店。
ヨシノリアサミのケーキを食べるのは初めての私が選んだのは、“ロシアンテール”

“ロシアンテール”の名の通り、ロシアの教会建築によく見られる玉ねぎ屋根の形をした真っ赤なケーキは、
形も鮮やかな色も、目を引く。
そのケーキをお皿にのせ、ちょっと動かすと、プルプルと揺れることからも、
中は柔らかなムースだと想像がつく。
割ってみると、実際、メインとなる部分はムースで、ほんのりとロゼのスパークリングワイン味。
中に隠れているベリー類は、コンポート仕立てで、酸味は角が取れている。
さらに、少量のヴァニラムースも加わり、これが全体をマイルドにまとめている。


口にした瞬間、食べた記憶のある味だと感じた。
何だろうと考えたら、ベリー類とヴァニラ合わせたアイスクリームの味である。
そう、これ、ベリー系のアイスクリームをそのままケーキに仕立てた感じ。
パティシエの浅見欣則は、伊勢丹のサロン・デュ・ショコラにいつも出品されていたため、
ショコラティエのイメージがあったけれど、
実は、2011年、フランスM.O.F.(国家最優秀職人章)のグラシエ(氷菓)部門で
ファイナリストまで残った人とのことなので、
ケーキの味作りにも、アイスクリーム的な発想が影響しているのかも知れない。
フランスで経験を積んだパティシエらしく、甘さもしっかり出しているのは良いのだが、
欲を言えば、何か歯応えのアクセントになる素材を加え、食感にもっと幅を持たせて欲しかった。

★ パティスリー・ラブリコチエ:シシリー

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ピスタチオ・ビスキュイの台の上に、
中にライチ・ムースとフランボワーズ・ソースを隠したピスタチオ・バタームースをのせ、
表面をチョコレートで覆い、上にピスタチオ・クリームとフランボワーズで飾ったケーキ。




もう一つは、パティスリー・ラブリコチエ(公式サイト)“シシリー”

グリーンの色からも想像がつくように、ピスタチオを主役にしたケーキ。
メインの部分は、ピスタチオ・バタームースと言うだけあり、
口の中でサッと溶けるふんわりムースでありながら、バターのコクもあり、
しかも、ピスタチオの風味が濃厚。
そこに、爽やかなライチと、フランボワーズの酸味が効いている。
ピスタチオをフランボワーズを合わせるのは、特別珍しくないけれど、
ライチまで加えるのは珍しい。
ライチには、フランボワーズのようなハッキリとした酸味は無いが、瑞々しく爽やかで、
ピスタチオとフランボワーズを結ぶ中間の役割りを上手く果たしている。


ムースを主にしたケーキは、味も歯応えも、私には軽過ぎると感じることが多いけれど、
これは、ピスタチオとバターが濃厚で、物足りなさなんて、まったく感じず、美味しかった~。
グリーンと赤の色合わせもキュート。
見た目よし、味よしで、満足度高し。

オーボンヴュータンのお一人様ブッシュドノエル(+キムタクの微博)

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G-SHOCKのイベントで上海を訪れた木村拓哉が、
現地滞在中の12月22日、中国版twitter微博を開設し、ひと晩で20万を超えるフォロワーを得たことが、
日本のメディアで結構大きく取り上げられた。

正直言って、キムタクは中華圏でもすでに旬を過ぎた芸能人と見られている印象で、
日本的感覚だと驚きのフォロワー数も、
莫大な人口を抱える中華圏では、実のところ特別多いとは言い難い。

例えば、同じ日本人で比べた場合、当ブログでも何度か取り上げている(↓)こちら

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中国在住の日本のヲタク、山下智久と一字違いの“ヲタク界の山P”山下智博でさえ、
キムタクより一桁多い人々にフォローされている。
“ヲタク>キムタク”なわけ。(ましてや、中華圏の人気スタアとでは、比較することさえ憚られる…。)


微博を開設したことで、キムタクが微博にトレンド入りしたのも事実だが、
それも、キムタク単独ではなく、あくまでも羅志祥(ショウ・ルオ)とのセット。
と言うのも、すでに御存知の方も多いでしょうが、
台湾の羅志祥が、開設され間も無いキムタクの微博をすぐさまフォローし、なおかつ…

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キムタク本人に向け、メッセージを発信したから。


羅志祥は昔から自他共に認めるキムタクのファン。
今月初旬、キムタクが仕事で台湾を訪れた時には、アメリカに滞在中で、
「なんで木村拓哉は僕の不在中に台湾へ来るんだ?!」と悲痛のコメントを出し、さらに…

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キムタクを真似た画像までアップ。
ソックリ(笑)。
私、羅志祥のモノマネでは、劉華(アンディ・ラウ)が最高だと思っているのだけれど、
キムタクの顔マネもかなりクオリティが高い。


それはともかく、このような羅志祥が、彼のアイドルであるキムタクにメッセージを発したことで、
「キムタクはそれに答えるのか?」と多くの人々がキムタクの反応を見守り(私もその一人)、
結果、羅志祥とのセットでキムタクがトレンド入りしたというのが、事実。
(羅志祥のフォロワー数は、キムタクよりふた桁多い。)


この状況下で羅志祥を無視したら、キムタクには“感じの悪い男”という印象が付いてしまう。
私、全然キムタクのファンではないけれど、
頼むから、羅志祥に何かお返事してさし上げて…、と心の中で祈ってしまいましたヨ。
そうしたら、遅ればせながら、クリスマス・イヴの昨晩…

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キムタクから羅志祥に向け、「Thanks & merry x'mas!」のメッセージ。

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羅志祥もすぐに反応し、喜びの雄叫び。
良かった、良かった。私もホッといたしました。
こういう気持ちは、イモトアヤコが安室奈美恵に会う回の『イッテQ』以来かも。
憧れのスタアと接触できた時のファン心理は、なんとなく分かるから、応援したくなるものだ。



それにしても、ジャニーズでは、“山P”山下智久に続き、キムタクも微博開設。
ずっと所属タレントの画像使用やSNSを禁じ続けている手前、日本ではいきなり解禁できないが、
さすがに時代に取り残されたと悟り、中国でシレーッとやらせる方向に動いてきたのでしょうか。

今回のキムタク微博開設だって、日本での報じ方は、こう(↓)

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キムタクがシルエットに。
誰でもネット上で見られるのに、こんな処理をして何の意味が…。


まぁ、私にとって、ジャニーズはどうでもいいけれど、
映画の舞台挨拶といったイベントでの撮影許可解禁になら、興味がある。
撮影を禁じておきながら、司会者が「皆さん、SNSでどんどん宣伝して下さいね~」と言うのを聞く度に、
「はっ…??」である。
世界的ハリウッドスタアでさえ、日本以外の世界中で、イベント時の撮影を許可しているのに、
日本でだけ肖像権の侵害を理由に、撮影を拒んでいる訳がないし
実際に海外の一般人によって撮られた画像は、ネット上に拡散している。
もしかして、日本は、取材に来てくれるメディアを優遇する暗黙の了解があるがために、
一般客の撮影を禁じているのかしらぁ~とも想像しているのだけれど、実際のとこ、どうなのでしょうか。
もはや既存のメディアの影響力の方が低下しているので、宣伝や拡散といった目的がある場合、
慣習的に一般客の撮影禁止を続けても、メリットよりデメリットの方が大きいと感じる。
ジャニーズも微博を始めたことだし、
世界より軽く十年は遅れてる日本も、そろそろ変わってくるのかも知れませんね。


ちなみに、同じく、日本では一切SNSをやらないにも拘らず、
中国映画出演を機に、微博を開設した綾野剛は(→参照)、結構マメに更新。
最初に挙げた自己紹介動画で、初めて綾野剛の中国語を聞いた時は、
これで大丈夫なのかと心配になったけれど、最近、少し上達しましたヨ~。
毎日中国人と一緒に過ごしているし、良い先生にも付いているだろうから、まだまだ進歩することでしょう。
頑張ってね、剛子。





ところで、昨日、当ブログに、「今年はクリスマス限定販売のケーキを食さず」と記したばかりなのだが、
その後、母からのお裾分けで、駆け込みで、クリスマスケーキに有り付けた。
(でも、うーン、満足度は低し…。)

★ オーボンヴュータン:プチ・ブッシュ・ド・ノエル・フランボワーズ

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大きさは、長さ約6センチ、幅約4センチ。
フランボワーズ・クリームを巻き込んだロールケーキを、フランボワーズ・バタークリームで覆い、
切り株に見立てたクリスマスの季節菓子。





今年食べたクリスマス期間限定のケーキはこちら、
オーボンヴュータン(公式サイト)“プチ・ブッシュ・ド・ノエル”
クリスマスの定番ケーキ、切り株に見立てたブッシュ・ド・ノエルを、お一人様用に小さく作った物。
チョコレート、マロン、フランボワーズの3種類を販売。
母が全種類購入してきたので、内、私はフランボワーズをセレクト。

上にのっているサンタクロースの飾りは、最初から付いていたわけではなく、母が勝手に付けた物らしい。
「あまりにもセコかったから、サンタクロースを付けておいたわ」と母。

確かにね、私がこのケーキを見た第一印象は、「うわっ、ショボっ…!」。
非常に小さい。私なら、ふた口で食べ切れてしまうサイズである。

小さくても、通常サイズの大きなブッシュ・ド・ノエルと、作りは基本的には変わりナシ。
バタークリームを用い、キノコ型メレンゲ等でデコレーションした伝統的なブッシュ・ド・ノエル。
フランボワーズの酸味が効いていて、バターのコクや甘さとのバランス良し。

アルコール分は、一切感じられない。
子供と一緒に食べられるクリスマスケーキの需要が有るのかも知れないけれど、
そういう物なら、日本風のケーキ屋さんが、いくらでも売っている。
フランスで学んだオーナーシェフによる本格的フランス菓子の店として有名なオーボンヴュータンなら、
日本の味覚に媚びないホンモノを堂々と提供して欲しい。

さらに言うなら、価格にも疑問。
袋の中に入っていたレシートを見たら、一個702円。
確かに、お味は良いです。でも、702円のケーキだとは、想像すらしなかった。
なぜなら、あまりもショボいから。
私が普段買うケーキで7百円越えの物は、材料が凝っているし、手ももっと込んでいる。
アルコール不使用のこのショボいただのお子様向け超プチサイズ・ロールケーキが702円とは、
店名に驕った上、クリスマス需要に甘えた、御祝儀価格としか思えない。
商品の質と価格のバランスに納得できないので、自腹なら、私は買わない。
念のため補足しておくと、オーボンヴュータンは基本的には良いケーキ屋さんだと思っております。
但し、この商品に関しては、今ひとつの満足度…。



お一人様ブッシュ・ド・ノエルなら、
フランス人パティシエ、アンドレ・ルコント存命の頃ルコントが出していた商品が最高であった。
おフランスの伝統を踏まえたシンプルな物で、
ケーキから染み出るほどアルコールが含まれており、甘さも充分で、サイズもたっぷり。
非常に満足度の高いお一人様ブッシュ・ド・ノエルであった。
氏が亡くなり、ルコントもすっかり変わってしまったし、
ああいうお一人様ブッシュ・ド・ノエルは、もう食べられないのでしょうか…。
あゝ残念…。シンミリ…。

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』

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【2018年/インド/137min.】
2001年、北インドの小さな村。
友人と共同で修理工場を営むラクシュミは、ガヤトリを妻に迎える。
夫婦仲は良好で、二人は幸せいっぱい。
ところが、ある日、突如表情を曇らせたガヤトリは、集いの席を外し、家の外で寝起きを始めてしまう。
当初、何が起きたのか把握できなかったラクシュミだが、ガヤトリが生理中であること、
そして、雑巾のような不衛生な布で対処していることを知り、愕然。
慌てて薬局へ駆け込み、生理用ナプキンを買おうとしたら、請求された額はなんと55ルピー。
愛妻の健康には変えられないと、友人に金を借りて、そのナプキンを購入し、帰宅。
ガヤトリも、夫からのプレゼントを喜んで受け取るが、値段を見て、びっくり。
「こんな贅沢品を使ったと知ったら、お義母様に怒られてしまう。お願い、返品してきて!」
とせっかくのナプキンを突き返すガヤトリ。
しかし、あの布を使用し続けることは、明らかに危険。
ガヤトリから突き返されたものの、薬局で返品も拒否されたナプキンを解体してみたラクシュミは、
それが布と綿だけの単純な構造であると知る。
たったこれだけの物が55ルピー…?
そうだ、自分で作ってしまおう!そう思い立ち、早速、材料の調達に奔走するが…。



インドのR・バールキ監督最新作!
…と言っても、私は、過去のR・バールキ監督作品を観たことが無く、馴染みが無い。
R・バールキの妻ガウリ・シンデー監督が撮った『マダム・イン・ニューヨーク』(2012年)なら観た。
R・バールキは、その『マダム・イン・ニューヨーク』のプロデューサーでもあるらしい。


そんな訳で、私がこの『パッドマン』を観たかったのは、監督名に惹かれたからではない。
扱っているテーマが興味深かったから。
タイトルからは、かの『バッドマン』をパクッたインド発B級コメディを想像するが、違います。
本作品は…

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実在のインド人男性、アルナーチャラム・ムルガナンダムの実話がベース。

日本ではほとんど知られていない人物だが、
私は、映画のあらすじに目を通し、すぐにピンと来た。
NHK『発掘アジアドキュメンタリー』で、彼を取り上げたドキュメンタリー作品を観たことがあったのだ。
改めて調べたところ、番組が紹介したのは、
『生理用ナプキン製造機を作った男~The Pad Piper』という作品で、
初放送の2013年以降、数回再放送もされている。
私が観たのは、恐らく2013年で、それからもう随分経つので、記憶はすでにおぼろげ…。
だからこそ、映画を楽しみにしていた。


アルナーチャラム・ムルガナンダムは、1962年、タミル・ナードゥ州コインバトールの生まれ。
幼い内に、父が交通事故で亡くなったため、母が女手一つで育てるも、家は貧しく、
14歳で学業を諦め、働くようになり、1998年、シャーンティという女性と結婚。
この結婚で、初めてインド女性の生理事情を知ったアルナーチャラム・ムルガナンダムは、
ドキュメンタリー作品のタイトルからも察しがつくように、
生理用ナプキン製造機の開発に乗り出すことになるのだ。


映画『パッドマン』の主人公は、“ラクシュミ”ことラクシュミカント・チャウハンに名前が変えられているが、
勿論、実在のアルナーチャラム・ムルガナンダムがモデルで、
彼の運命を変える2001年の結婚式で幕を開ける。
ラクシュミは、妻ガヤトリと暮らし始めたことで、女性が不衛生な布で生理に対処していることを知り、
これは危険!と、愛妻のために薬局へ駆け込み、
生理用ナプキンの値段が55ルピーと高額であることを知り、さらにビックリ。

2001年の時点で、インド人女性の生理用ナプキン使用率は、12%ポッキリなのだとか。
高額で買えなければ、不衛生な布で代用するのも致し方ないが、
それが原因で、感染症になったり、命を落とす女性も少なくないという。

そこでラクシュミは、買えぬなら、作ってしまおう生理用ナプキン!と一念発起。
(「鳴かぬなら、鳴かせてみせようホトトギス」の豊臣秀吉タイプ?)
修理の仕事をしているラクシュミは、アイディアが豊富で、手先も器用。
ところが、布と綿と糊で作ったシンプルな生理用ナプキンは役立たずで、
以降、試行錯誤の繰り返し。

開発の壁は、インドの田舎町の保守性も。
男性でありながら、生理用品作りに没頭するラクシュミは、奇人変人扱い。
妻ガヤトリも、当初は、夫のために役立ちたい一心で、ラクシュミに協力するも、
ご近所さんや親族からのバッシングに耐え切れなくなり、仕舞いには実家に連れ戻されてしまう。

村に居づらくなったラクシュミは、それでも生理用ナプキン作りを諦めず、インドール市に移り住み、
ちょっとでも知識を得ようと、大学の教員宿舎で住み込みの雑用係りとなり、
吸水力の高い素材セルロースやナプキン製造機の存在を知る。
大手企業が開発したナプキン製造機は、当然非常に高価な機械だが、
修理工のラクシュミは、突き詰めると、“粉砕”、“圧縮”、“包装”、“殺菌”の4工程で用は足りると判断し、
なんと、DIYで、9万ルピーのお手頃ナプキン製造機の制作に成功!

この機械は、大学主催の発明品コンクールで賞を獲り、メディアにも大きく取り上げられ、
ラクシュミも苦労が報われ、めでたし、めでたしのThe End♪
…かと思いきや、映画はここで終わらない。

安価な機械を使い、2ルピーで作れるようになった生理用ナプキンを、
インド全土の田舎町に普及させるという第2章が始まるのだ。
ラクシュミが賞を獲ったことで、手のひらを返したように彼を称賛し始めた地元の人々は、
受賞作が生理用ナプキン製造機だと知った途端、「おぞましい…」と改めてドン引き。
当の女性たちも、これまで高価だった品が、安価で手に入るというのに、寄り付きもしない。
開発に成功したところで、販路拡大にまたまた大きな山が待っていたのです…。


“販路”などと記してしまったが、正確には“普及”。
発明した安価な機械で特許を取得すれば、大富豪にだってなれるはずなのに、
ラクシュミに、そんな野望は無い。
彼が機械を作ったのは、ただただ愛妻を守りたかったがため。
その願いは、妻に留まらず、インド全土の女性を救いたいという気持ちに広がっていたのだ。
特許を取ってしまったら、結局ナプキンの価格は高くなり、本末転倒。
だから、村々を廻り、女性たちに生理用ナプキンを使用することの重要性を説くと同時に、
それを女性たち自らが製造、販売し、経済的に自立できるシステムまでもを構築。
オノレの懐を温めるより社会貢献。
言うが易し、行うは難しですよねぇ~。

実際、皆が皆、ラクシュミのような聖人にはなれない。
金持ちは悪、貧しい人は善といったステレオタイプの表現は、私は基本的に嫌いなのだけれど、
この映画には、ちょっぴりズルい女性もチラリと登場。
2ルピーの生理用品を、3ルピーで売ろうとしているところを見付かり、注意されるの(笑)。
ごくごく小さなシーンとはいえ、こういうシタタカに生きる人に、インドのリアルを垣間見る。




主な出演は…

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生理用ナプキン作りに没頭する“ラクシュミ”ことラクシュミカント・チャウハンにアクシャイ・クマール
ラクシュミの妻ガヤトリ・チャウハンにラーディカー・アープテー
ラクシュミの仕事を支援する女性パリー・ワリアにソーナム・カプール等々…。


最近インド映画は滅多に観ないため、私、インド人俳優には詳しくありません。
映画の公式サイトによると、主演のアクシャイ・クマールは、“インドのジョージ・クルーニー”なわけ?
私にとってのアクシャイ・クマールと言えば…

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2009年の主演作『チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ』。
あの変テコ映画のイメージが強烈だったため、この新作のラクシュミが、ギャップで余計に良い人に見えた。
ひたすら生真面目で、大きな身体にピンクの女性用パンツを着用し、
自ら試作品の使い心地を試したりもするのよ、このラクシュミは。
素朴で実直、女心など読めず、
ラクシュミに対する周囲からの批判で、心労が溜まっている妻に、
追い打ちをかけるように、自作の生理用品を差し出す時の屈託のない笑顔がよろしい。
笑った時の口元は、ちょっと甄子丹(ドニー・イェン)に似ている。
終盤、ニューヨークのユニセフに呼ばれ、たどたどしい英語でスピーチするシーンは、
“純朴なイイ人”オーラ全開で、ジーン…。


ちなみに、本作品の原作者は…

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主演男優アクシャイ・クマールの妻で女優で作家のトゥインクル・カンナー。
アクシャイ・クマール&トゥインクル・カンナー夫妻から、R・バールキ監督に映画化の話を持ち掛けたらしい。


物語の中では、ラクシュミに大きく影響する女性が二人登場する。
一人は、言うまでもなく、妻のガヤトリ。
ラクシュミには男尊女卑などという考えは毛頭無く、
彼を生理用品開発に駆り立てる原動力は、ガヤトリへの深い愛情なのだけれど、
当のガヤトリはとても伝統的な女性ゆえ、困惑。
生理を当たり前のように“穢れ”と捉え、
ラクシュミに止められても、毎月生理になると、自ら家の外で寝起きしたり、
生理用品に大金を払うことには抵抗が有っても、お布施になら財布の紐を緩める伝統的な女性。

もう一人は、ラクシュミの機械開発や生理用品普及活動を支えることになる、
いわばビジネスパートナーのパリー。
妻のガヤトリとは対照的で、高等教育を受けた進歩的な女性である。
しかも、絶世の美女!ソーナム・カプールが扮している。
このパリーは、架空の人物とのこと。
なので、映画に描かれるパリーとラクシュミのほのかな恋も、フィクション。
但し、実際のアルナーチャラム・ムルガナンダムにも、仕事をサポートしてくれた女性は、確かに居たらしい。
生理用品は女性が使う物なので、普及に女性の手伝いが必要だったのは、よく判る。





NHKのドキュメンタリーの印象がぼんやり有ったので、冒頭の陽気な結婚式のシーンを観て、
「インド映画って、実在の人物を扱っても、歌って踊っちゃうのか…」と、若干戸惑ったが、
その後は、自然に物語の世界に引き込まれていった。
決して小難しい社会派映画ではなく(←誰もそんな風には想像していないでしょうが)、
あくまでもエンタテインメント作品である。

実際にあった出来事を扱った社会派エンタメ作品という意味では、
数ヶ月前に観た中国の『ニセ薬じゃない!』(2018年)と共通。
実際に起きた出来事には説得力が有るし、それぞれのお国事情が垣間見えるのが、非常に興味深い。
日本では、生理用品が当たり前に普及しているので、
まさか2001年のインドで、使用率がたったの12%だなんて、考えたことも無かった。

映画の中の発明品コンクール授賞式のシーンで、
本人役で登場するボリウッドスタア、アミターブ・バッチャンが
「インドが抱える10億の人口は、すなわち十億の頭脳(Minds)だ」と語ったり、
終盤、ラクシュミがユニセフでスピーチした
「インドには問題がいっぱい!でも、問題はチャンス!」という言葉には、深く共感。
多くの人口を有するインドや中国のような国は、超大国ならではの頭の痛い問題も数多く有れど、
同時に、優秀な人材の宝庫であり、問題をも覆す凄まじいパワーを感じる。
小さな島国根性で、自分たちの物差しでしか他国を測れず、
自画自賛に溺れ、中国をパクリ国家呼ばわりしている内に、その中国に簡単に追い越されてしまった日本が、
インドにも追い越される日は、もうそこまで迫っていると感じたワ…。

ドキュメンタリー『生理用ナプキン製造機を作った男』も、やはりもう一度観直したいので、
映画が公開されたこの機会に、NHK様、是非ぜひ再放送を!
あと、中国の『ニセ薬じゃない!』も、正式公開希望。

映画『宵闇真珠』

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【2017年/香港・マレーシア/日本/97min.】
香港に残る最後の漁村・珠明村。
亡き母と同じように、太陽光に当たると痩せ衰え、仕舞いには死んでしまう病に侵されているため、
父親からの長年の注意に従い、帽子やサングラスで肌を守り、日中は出歩くこともほとんどしない少女。
周囲からは気味悪がられたり、からかわれたり。
16歳の今も、気心の知れた友達さえいない。
ある日、家の中で、古びたトランクを発見。
中には、母の服や、カセットテープレコーダーが。
早速そのカセットを聞いてみると、ミス香港コンテストに出場する19歳の母の声。
その日から、部屋でこっそり母の服を着たり、カセットで母の歌声を聴くのが楽しみになった少女は、
いつしか母の死に疑問を抱くようになるが…。



2018年度、締めの一本はこちら。
“杜可風”ことクリストファー・ドイルと、白海(ジェニー・シュン)の共同監督作品。

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あまりにも有名なクリストファー・ドイルはともかく、“白海(はっかい)”さんって誰ヨ?!と疑問。
“白海”でググっても、本当に白海(ロシア)情報ばかり出て来るし(笑)、
広東語が解らない私でも、“白”を“シュン”と発音しないことぐらいは想像がつくし…。
そうしたら、この“白海(はっかい)”さんの本来の名前は“孫明莉(シュン・ミンレイ)”。
クリストファー・ドイル、2015年の監督作品、
『香港三部曲~Hong Kong Trilogy:Preschooled Preoccupied Preposterous』でプロデューサーを務めた
香港出身の女性で、その後“白海”に改名。
自身で長編作品を監督するのは、本作品がお初。
クリストファー・ドイルは、勿論撮影監督も兼任してる。

原題は『白色女孩~The White Girl』。
原題から掛け離れた邦題は、批判されがちだが、“白い女の子”じゃぁ、イマイチだから、仕方が無いと思う。
(そう言えば、小泉今日子の持ち歌で<まっ赤な女の子>というのは、有りましたね。)
『宵闇真珠』と聞いて、私は、なぜか美輪明宏の<ヨイトマケの唄>と
高橋真梨子の<桃色吐息>がゴッチャになった状態で、頭の中を駆け巡った。




本作品は、太陽を浴びることのできない16歳の女の子を中心に、
彼女が出逢う異邦人や村人たちを追いながら、消えゆく小さな漁村を描いたダークな寓話

舞台は、香港最後の漁村・珠明村。
これは架空の漁村で、実際に撮影が行われたのは大澳(タイオー)。
最初こそ、“活気溢れる大都会・香港とは別世界の長閑な漁村”程度の印象で、この珠明村を見ていたのだが、
徐々にこの漁村が“香港”そのものの縮図であることに気付く。

白海監督自身、香港郊外の大潭(タイタム)の出身で、
成長後はフィラデルフィア、ニューヨーク、ロサンゼルスに暮らし、8年香港を空け、戻ってみたら、
自分が知っている漁村の風景は、跡形も無く消えていたという。
そもそも250年前は、香港自体が漁港だったわけだが、
それがあのような大都会に変貌し、大澳のような漁村はもはや珍しくなり、
そして今その僅かな残骸さえも消えようとしている。

どこの国でも、何十年、何百年と同じ形のまま凍結している都市などほぼ無く、変化するものである。
かつての風景を思い浮かべ、「昔は良かった」と郷愁に耽る人が多いのは、万国共通。
但し、本作品に描かれている喪失感には、香港特有の事情も。
非常に分かり易い描写なのだが、
村を訪れた北京語を喋る男性グループが、ただの観光客にも拘らず、なぜか村役場に招かれる。
それもそのはずで、実は村長の朱有財が、村人には内緒で、
村を大陸の業者に売り渡し、開発して、ボロ儲けしようと企んでいたのだ。

さらに、広東省・珠海市と、香港・澳門(マカオ)を繋ぐ巨大な海上橋、
港珠澳大橋が映し出され(現在はすでに開通しているが、映画ではまだ建設中)、
「あんな物を作って、一体どこへ繋がっているのだか」、「イルカが消えた」などという台詞もある。

つまり、本作品は、中国返還後顕著になった香港独自の文化の消失や、環境破壊といった
香港人が抱える喪失感や不安を込めたブラックな寓話と言えそう。

深読みしようと思えば、いくらでも深読みでき、登場する様々な人や物が、何かのメタファーにも感じられる。
私が一番気になったのは、主人公の瞼の母・玲玲。
主人公の少女は、幼い自分を置いて、姿をくらました母・玲玲の面影をずっと追い続けるのだが、
最終的には、「玲玲は、私のお母さんではなく、お城を失くしたお姫様。
私は、山の上に自分のお城を見付けたわ」と、その母・玲玲と決別する。
自分を置いて去って行ってしまった母、
でも、母だと思い込んでいたら、実は母ではなかったこの玲玲という存在を、
私は、香港という城市(街)を失ったイギリスに重ねた。
また、山の上に自分の皇宮(お城)を見付けたつもりが、最終的にそれを失ってしまう主人公の少女は、
広く一般香港人の象徴にも感じられる。
実際、香港の地価は高騰し過ぎ、一般香港人が自分の“お城”など持てない場所になっているし。
勿論これらは私の勝手な深読みで、両監督の意図とはズレまくっているかも知れない。





出演は…

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珠明村で父と暮らす16歳の少女に袁澧林(アンジェラ・ユン)
珠明村にやって来た異邦人・阪元にオダギリジョー
蚊取り線香を売り歩く少年・豪仔に姚學智(ジェフ・ヨウ)
村長・朱有財に白只(マイケル・ニン)等々…。


主人公の少女に名前は無い。
幼少期からずっと太陽に当たると、痩せ衰えるという奇病に侵されているため、
いつもサングラスや帽子で日光を避け、真っ白な肌をしている女の子。
でも、彼女自身、病気の事をよく分かっていない。
一緒に暮らしている父親から、「病気だから気を付けろ」と言い聞かされ続け、
その言葉をずーーーっと真に受けて成長してきたのだが、やがて、病気は父がついた嘘だと気付く。
そう、この女の子、実は健康なの。
健康な娘に、わざわざ病気だと嘘をつく親なんて居るわけないでしょーヨ?!と私はズッコケたのだが、
どうもこれは、父が娘をずっと傍に置いておきたいがための嘘という解釈。

さらに、白海監督のインタヴュ記事を読み、この白い女の子が、監督自身の分身なのだと感じた。
過保護なくらいに両親から大切に育てられた白海監督は、
香港を離れ、ようやく自我が芽生え、自分自身の世界を築くことができたという。
監督の肩書と共に孫明莉から“白海”に脱皮したのも、自分に対する親の期待への反発だったり、
勇気をもって自分の声を上げるという意味合いがあったようだ。

そのような事からも、この映画は、
自分自身が何者かも分らぬまま小さな漁村に閉じ込められている主人公が、
外部から来た人間と接触することで、少しずつ世界を広げ、変わっていく少女の成長記でもあるのだと感じる。

その主人公のキャスティングは非常に難航。
色白が多い中国北方で女の子役を探すという案も制作者側から出たが、
広東語を流暢に話す生粋の香港人であることが、白海監督の曲げられない条件。
ようやく袁澧林に出逢った白海監督は、5分で彼女が主人公の少女だと分かったという。

役は16歳の設定だけれど、演じている袁澧林は、1993年で、もう二十代も半ば。
普通それくらいの年になると、色々な垢が付いて、良くも悪くも成熟しているものだけれど、
映画の中の袁澧林は、“白い女の子”の名の通り、これからどうにでも染まれそうな透明感あり。
白海監督は、本作品で出逢った袁澧林を本当に気に入っているようで、次回作も彼女で撮る予定なのだとか。



そして、日本人の私が、より注目していたのは、オダギリジョー。
作中、名前で呼ばれることは無いが、クロージングクレジットには役名が“阪元”と記されている。
阪元は、珠明村にやって来て、山の上の廃墟に住み着く異邦人。
白い女の子が白海監督の分身なら、阪元はクリストファー・ドイルの分身にも思える。
白い女の子と阪元は、相手の中に自分に欠けている物を見出し、互いに影響し合っていく。
(ここら辺の描写は、台詞で理解した。
映像の表現では不充分だったのが、本作品が名作に成り切れない要因の一つにも感じられ、残念。)


作中の阪元は、他作品で見るオダジョーより、容姿の雰囲気が普段のオダジョーに近い感じ。

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着ている服も、まるでオダジョーの私服のよう。
…と思ったら、阪元の衣装はやはりオダジョーのセレクトみたい。
本来阪元はミュージシャンの設定だったため、
そのイメージでオダジョー自身が日本でセレクトした服を香港にお持ち込み。
そうしたら、役の設定がミュージシャンから芸術家に変わってしまったのだが、どちらも同じ感じで良いと判断。
しかし、変更はそこで留まらず、最終的には、阪元の職業的背景は一切無くなくなったという。
説明過多にせず、目にしたままの阪元から、彼の背景を観衆に想像させたかったのかもね。
阪元の刈り上げヘアや服装は、日本の普通の銀行員という感じではないので、
確かに、一体この人は普段何をしている人なのか?と想像を駆り立てられる。
なお、服のブランドは明かされていない。
リック・オウエンスっぽい感じだと思った。
もしくは、オダジョー御用達の日本のメンズウエアブランドJULIUS(ユリウス)とか。


オダギリジョーとの絡みが、少女よりむしろ多いようにも感じるのが、豪仔という少年。
“豪仔”は、彼自身の名前ではなく、彼が売り歩いている蚊取り線香のブランド名。
禁鳥の蚊取り線香を売っていたら、いつの間にかニックネームが“キンチョー”になっちゃった、…みたいな。
扮する姚學智は、映画『S風暴~S Storm』d(2016年)で、
周渝民(ヴィック・チョウ)の子供時代を演じた子役らしい。


白只は、『九龍猟奇殺人事件(原題・踏血尋梅』(2015年)の演技により、
第52回金馬獎にて、最佳男配角(最優秀助演男優賞)を受賞し、俄然注目を集めるようになった俳優。
この『宵闇真珠』で演じているのは、非常に分かり易い悪役。
利益を得るために、村人に偽って珠明村を売り渡そうとする金の亡者で、名前もまんま“有財(財が有る)”。

ちなみに、白只こそ“白い少年”。
本名は凌智豪で、白只は芸名。
香港演藝學院で学び始めた頃、周りの新入生と比べ、
自分の演技に対する知識は、まるで白紙のように何も無かったので、芸名を“白紙”にしたものの、
その後、“紙”は画数が多過ぎるという理由で、“紙”と同音の“只”に変更したのだとか。
本当に画数の少ないシンプルな名前ですよね。全10画ヨ。







この映画、世間での評判は、あまり良くないみたいですね。
“監督が自己陶酔で撮った芸術気取りの退屈な作品”と受け止められ易いタイプの物なのだろうと、
観る前になんとなく予感した。
そのように警戒し、大した期待もせずに観たせいか、思いの外ライトで分かり易い作品に感じた。
傑作とは言わないけれど、駄作でもなく、まぁまぁ。

監督に解説してもらい、改めて鑑賞したら、もっと違う解釈を楽しめる作品にも思えた。
気になったものを一つ例に挙げるなら、作中幾度となく使われる広東語版の<但願人長久>。
これをキー曲に選んだのには、何か理由があるのだろうか。
あっ、あと、オダジョーの役名をなぜ“阪元”にしたのかも、気になる。
だって、日本で最も一般的な“サカモト”さんなら、“坂本”であり、“阪元”は珍しいから。
監督には、阪元さんという日本人の知り合いがいるのだろうか。

クリストファー・ドイルが撮影監督も兼ねているという事で、映像美への期待も高まるが、
映像の美しさで印象に残っているカットは、正直言って、…無い。
映像が良くなかったと言っているのではなく、
これぞ『宵闇真珠』!と強烈なインパクトを残す決定的カットは、私には見付けられなかったという意味。

配給会社にも言いたい事が。
中華圏の作品を扱う場合、公式サイトなどで監督名、俳優名を出す際、絶対に漢字の名前を併記して!
特に知名度の低い人物だと、片仮名表記だけでは、誰のことだかまったく見当が付かない。


オダジョーが出演する中華圏の監督の作品だったら、
私は、婁(ロウ・イエ)監督が手掛ける日中独合作映画『蘭心大劇院~Saturday Fiction』が超楽しみ!
婁は大好きな監督だし、共演は鞏俐(コン・リー)。これは、わくわく。
(→『蘭心大劇院』については、こちらを参照)


最後に、本作品の上映館、シアター・イメージフォーラムについても。
イメージフォーラムは御無沙汰だったため、
2018年9月から週一のサービスデーを設けていたたことを、遅ればせながら知った。
シネスイッチ銀座も、2019年元日から、TCGに加盟よねぇ?
このタイミングで割り引きを開始するのは、2019年秋の消費増税による客離れ対策かも知れないと想像。
つまり、来秋、映画料金もまた上がるという事…?
消費増税に関しては、食品や外食産業、コンビニ、スーパーの話ばかりが議論になっているので、
映画料金の事をすっかり忘れていた…。
この国では、税金もどうぜ悪人の懐に入るのに、各映画館、集客の努力が涙ぐましい…。

2018年パフェ食べ納め!(+映画・テレビ雑記等々…)

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つい数日前の12月28日(金曜)、
NHKの『もう1人の私に会いたい』という番組を見ていて、些細な事が気になった。
“世界には自分に似た人が3人はいる”を検証すべく、
有名人が海外へ行き、自分のソックリさんと対面する番組。
本田翼のソックリさんは上海に。
SNH48のメンバー、袁雨(えん・うてい)、通称“エン(袁)ちゃん”が、その人。

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本田翼より5~6歳若く、二人は姉妹のように仲良くなり、微笑ましい。

この袁ちゃん、普段からお仕事の一環で、ファンに向け、スマホを使ったライブ中継をやっているらしく、
その日は、“姉”本田翼もそこに参加。
番組では、スマホ画面に続々と入って来るファンからのコメントも少し紹介するのだが、
「姐姐好」のコメントの横に、「お姉さん好き」という日本語訳のテロップ。
さらにダメ押しで、ナレーションでまで「お姉さん好き」と声で解説。

あのさぁー、この“好”は、“你好(ニーハオ)”の“好”と同じで、
“你(あなた)”の代わりに“姐姐(お姉さん)”としただけで、
つまり、「姐姐好」は、「お姉さん好き」という本田翼に対する愛情アピールではなく、
「お姉さんこんにちは」という単なるご挨拶ヨ。
これ程度の中国語だったら、先週習い始めたばかりの初学者でも知っていると思うけれど。
日本で一番有名なテレビ局NHKでも、このレベルなわけ…?
番組関係者が初歩的な中国語を知らない事に驚いているのではなく、
知らないのに、調べずに、ゴールデンタイムに堂々と間違いを流してしまう体たらくに、ちょっと驚き…。



それはそうと…
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年の瀬に、張藝謀(チャン・イーモウ)監督最新作『影~Shadow』2019年日本公開の嬉しいニュース。
張藝謀監督作品なら、日本公開は手堅いと踏んでいたけれど、確定のお約束を頂き、ホッ…!

この前の英語作品『グレートウォール』(2016年)には困惑した人が多いようなので(笑)、
新作で、張藝謀監督の真骨頂に触れましょう。
いわゆる<三国志>とは違っても、三国時代を背景にしているので、
そこら辺も日本人には取っ付き易いかも。

見どころの一つは、主演の超(ダン・チャオ)の一人二役。
演じているのは沛國の都督・子虞と、彼の影武者である境州。
タイトル『影』の意味は、どうもそれに繋がっているようだ。

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その超が私生活での妻・孫儷(スン・リー)とメオト共演してるのも、また見どころ。


他のキャストも豪華。
中年の実力派を取り揃えているので、私と同じように、オヤジ好きな皆さま、期待いたしましょう。

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左から、胡軍(フー・ジュン)、王千源(ワン・チエンユン)、王景春(ワン・ジンチュン)。


“オヤジ固め”はキツイ…、という方、ご安心を。
若人も出ております。

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左から、鄭(チェン・カイ)、吳磊(ウー・レイ)、そして女性では關曉彤(グアン・シャオトン)。

日本に入って来ている吳磊出演映画は、
今のところ、多分、『スマート・チェイス』(2017年)くらいのはずだから、
大きなスクリーンで彼を見られるのは嬉しいですね。
ちなみに、吳磊は、つい先日の12月26日、お誕生日を迎え、19歳に。
あんなに働いていて、まだ十代ですヨ。

女性の關曉彤も子役出身。
スーパーアイドル鹿(ルー・ハン/ルハン)との交際を公けにしているが、
最近別れたという噂も出て、どうなのでしょうか。

なお、『影~Shadow』は原題であり、邦題は現時点で不明。
妙な邦題を授からないことを祈ります。





年始に放送の要録画番組もいくつか。

1月1日(火曜) 夕方4時~ BS日テレ
『宮本亜門の中国新発見~知られざる成都の魅力』

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宮本亜門が、パンダと四川料理の都、四川省の省都・成都を訪れ、
同地で見付けた感動や発見をレポ。
お正月の特番なのかと思いきや(…実際、お正月特番ではあるのだけれど)、
実は今回放送する物は、3本シリーズの内の第1弾。
第2弾は2019年3月放送の上海、第3弾は2019年秋放送の北京と続く。
私は大都会が大好きなので、これら3都市は間違いの無いセレクトで、楽しみ。



1月1日(火曜) 夜7時~ BSトゥエルビ
『China Hour~あなたの知らない中国』

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中国で制作放送された優れたドキュメンタリーを紹介する枠。
2018年中に終了した5回シリーズの『功夫少林~The Kung Fu Shaolin』、面白かったー。
元旦に放送するのは、『功夫少林』の前に紹介した食に関する人気ドキュメンタリーシリーズ、
『舌尖上的中國~A Bite of China』の特別編で、
『舌尖上的新年~A Bite Of China: Celebrating The Chinese New Year』。
『舌尖上的中國』の映画版で、現地では2016年1月に公開。
新年の食文化の伝統と発展にフォーカスし、
“新年の味”、“家庭の味”、“地方の味”の3ツの角度から中華料理の世界を紹介しているようだ。



1月3日(木曜) 夜7時~ BSトゥエルビ
『China Hour~あなたの知らない中国』

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えっ、新年特番の2日後にまた『China Hour』?!と思ったら、
この日から『茶~The Tea』という新シリーズが始まるの。
恐らく、CCTV中央電視台で2013年に放送された
『茶,一片樹葉的故事~Tea: Story of the Leaf』を指しているものと思われる。
タイトルからも察しがつくように、お茶に関する6回シリーズのドキュメンタリー。
中国茶は歴史が長く、種類も豊富で、これまた深い世界。

話は反れるけれど、
風吹ジュンが中国茶を熱く語る12月半ばの『マツコの知らない世界』をご覧になった方、いらっしゃいます?
中国茶好きが高じて、風吹ジュンが中国通いしている事は、以前から知っていたが、
その熱は冷めることなく、彼女が訪れた茶畑は、今ではもう中国の21ヶ所にも上るのだとか。
私は大都会好きなので、茶畑まで訪れようと思ったことは無いけれど、
確かに、知れば知る程に極めたくなる世界ですよね。
中国茶は大好きで、長年愛飲しているし、今回の『China Hour』も楽しみ。
シリーズ1回目は、“土と指先の芸術~土地和手掌的溫度”と題し、
茶の神に礼拝する祭りを毎年開催している布朗続、北京の茶店の龍井(ロンジン)茶、
成都の茶屋の茶道、雲南の古い茶園で愉しむ普洱(プーアル)茶等を紹介。
風吹ジュンにも、観るようにお勧めしたい。

BSトゥエルビのこの『China Hour』で、気を付けないといけない事が一つ。
これまで木曜の放送だったのが、1月9日から、水曜にお引越し。
よって、『茶~The Tea』の第2回目は、1月9日(水曜)に放送。お間違いなく。

ついでに一つ言わせていただくと、『China Hour』枠で残念なのは、日本語字幕がイマイチな事。
片仮名表記にされた人名は非常に分かりにくいし、
『功夫少林』では、“江湖”を“世間”とするなど、趣きの感じられない訳が気になった。



1月6日(日曜) 夕方6時半~ BS日テレ
『中国語で満喫!日本HOLIDAY~享受日本假日之旅』

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日本人も知らない今のクールな日本の観光情報を、
中国人観光客向けに中国語+日本語を交えて紹介するという番組。
かつての東京MX『明日どこ行くの!?~明天去哪儿!?』みたいな感じか?
『明日どこ行くの!?』は、やはり『中国語で満喫!日本HOLIDAY』と似たようなコンセプトで始まり、
中国語字幕が付くため、中国語学習に良いと思って観ていたのに、
いつの間にか、中国語字幕は消え、日本の凡庸なバラエティー番組に変わってしまい、失望。
なので代わりに、『中国語で満喫!日本HOLIDAY』をお試し視聴。
出演は、以前NHKの『テレビで中国語』に出ていた段文凝など。




ところで、2018年を締めるラスト・パフェを、タカノ・フルーツ・パーラー(公式サイト)で食べてきた。
すでに帰省している人が多いのか、普段に比べ、少ない待ち時間で入店。

★ タカノ・フルーツ・パーラー:岡山県産紫苑ぶどうのパフェ

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冬はフルーツが豊富な季節とは言い難い。
メニューをめくると、苺を扱った商品が多数。
苺も確かに美味しいけれど、あまりにも定番なので、何か他の物を試したいと思っていたら、
目に入ってきたのが、これ、“岡山県産紫苑ぶどうのパフェ”

葡萄は秋の果物のイメージ。
まさか年末のこの時期に、葡萄を使ったパフェを提供しているとは思わなかった。

“紫苑(しえん)”という名は、初耳。
勿論、食べたことなど無い。
なんでも、10月下旬から収穫が始まる、珍しい冬の葡萄品種なのだとか。

パフェには、その紫苑葡萄が、上にたっぷり。
一緒に合わせているのは、葡萄シャーベット&ヴァニラアイス、葡萄のグラニテ、フロマージュムース、
そして、グラスの一番底に赤ワインソース。

この葡萄、果皮は紫色なのだけれど、果肉はグリーン。
粒は大きく、種無し。
グリーンの果肉を見ると、マスカット系の味を想像するが、
実際には、巨峰などの赤紫色の葡萄の味により近いかも。
甘さがとても強く、ジューシーで、非常に美味。




終わり良ければ総て良し。
2018年のトリを飾るパフェが美味しくて良かった。

そして、今年、当ブログに来訪された皆さま、交流させていただいた皆さま、お世話になりました。
良いお年を!

2019甘味お食い初め

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明けましておめでとうございます。
皆さま、今年も宜しくお願いいたします。

年が明けてここ3日、東京は毎日快晴で気持ちが良い。
部屋の香合は、お犬様を片付け、12年ぶりに猪を出しました。



ちょっと古い話になるけれど、
12月下旬、香港の曾志偉(エリック・ツァン)が、北海道で交通事故に遭ったというニュースは、
多くの人が知っていると思う。
車同士の衝突という事故で、もう一方の車に乗っていたのは、香港警務處の刑事とその家族。
北海道で事故ったのが、よりによって香港人同士という偶然に、ちょっと驚き。

同じ頃、梁朝偉(トニー・レオン)&劉嘉玲(カリーナ・ラウ)夫妻も北海道に潜伏していることが判明。
梁劉夫妻のこの時期の北海道スキー旅行は、ほぼ恒例行事である。

そうしたら、今度は…

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妻と14歳の娘を連れた陳奕迅(イーソン・チャン)までもが目撃され、さらにその後…

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陳奕迅ファミリーは、梁朝偉&劉嘉玲夫妻と合流。

今年に限った事ではないけれど、この時期の北海道って、本当に香港明星密度が高いですよねぇー。
北海道のスキー場で張っていたら、かなりの大物に出くわせそう。
まぁ、私は超冷え性なので、寒い時期にわざわざ寒い場所に行くのは、キビシイけれど…。




さて、2019年も激甘党。
新年早々甘味食べまくりで、すでに砂糖漬けになっている私mangoでございます。
以下、この数日に食べた甘味をざっと残す。
ほとんどが、私にとっての“新年のお約束”的甘味なので、目新しさはあまりない。

★ 井上蒲鉾店:二色玉子

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一つめは、“お菓子”ではないけれど、毎年、私のお正月の食卓には欠かせない甘い玉子、
井上蒲鉾店(公式サイト)“二色玉子”

お正月の限定商品ではなく、鎌倉のお店では通年の定番商品。
東京のデパート等では、年末のみの販売となる。
なかなか鎌倉まで行かないので、私がこの二色玉子を口にするのは、結局お正月だけ。

おめでたい松の形が、お気に入りポイントの一つ。
見た目だけではなく、勿論お味も良し。
適度に残した粒々が、お箸を入れるとホロホロと崩れる質感が、また良い。


ちなみに、画像には写っていないけれど、普通の玉子焼きも例年通りで、王子の扇屋の物を購入。
私が思う“正統派の東京の玉子焼き”の味で、東京一好き。

★ 叶匠壽庵:花びら餅

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大きさは、幅約9センチ。
ごぼうの甘露煮と人参の甘露煮を一本ずつ、味噌餡と共に、近江羽二重餅で包んだ正月の祝い菓子。




ここから、いよいよお菓子です。
こちら、叶匠壽庵(公式サイト)“花びら餅”
ひと箱に5個入り。
お店で、私の前にいた女性は、10箱も大人買いしておられた。
人に配るのでしょうかねぇ?
生菓子ではあるけれど、しっかり個別包装され、一週間以上お日保ちするので、
人にも比較的差し上げやすいお正月菓子かも。


花びら餅は、平安時代にルーツをもつ祝いのお菓子。
“宮廷雑煮”とも呼ばれるように、まるでお菓子で再現したお雑煮で、ゴボウや人参、味噌餡を使う。

但し、お店によって、様々なアレンジあり。
一般的な花びら餅は、白いお餅の下にピンクのお餅を重ね、表面に薄っすら赤味を透けさせるけれど、
叶匠壽庵では、お餅を二重にする代わりに、中に薄紅色に染めた味噌餡を包んでいる。

羽二重餅は、充分な水分を含み、瑞々しく、粘りがあって、トロケるような柔らかさ。
このお餅自体にも、ほんのり甘みを感じる。
中の味噌餡は、甘さも塩加減も上品。
ゴボウと人参は、柔らかでも、適度に歯応えを残し、ホクホクに炊けている。


近年、毎年購入しているので、すでに慣れた味。
私はいつも箱で買っているけれど、1個からでも買えるらしい。(税抜き4百円)
1月8日(火曜)まで販売しているので、試したい方はどうぞ。

★ 右京:花びら餅

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大きさは、幅約9センチ。
桃色の薄餅を重ねた羽二重餅で、味噌餡とゴボウの甘露煮一本をはさんだ正月の祝い菓子。




“花びら餅”をもう一つ。
こちらは、右京(公式サイト)の物。
そもそも右京は小田原のお料理屋さんで、
“最後のお菓子まで楽しんで欲しい”という思いで始めたのが、和菓子屋の右京らしい。
私は、右京のお菓子を食べたことが無く、この花びら餅も、勿論初めて。

右京の花びら餅には、人参ナシ。
ゴボウの甘露煮だけが、一本入っている。

お餅は、伝統に従い、下に桃色の薄餅を敷く二種重ね。
白いお餅に、ふわぁ~っと透けた桃色が、女の子の頬っぺみたい。
主になっている白い羽二重餅には、もしかして卵白を混ぜ込んでいるのではないだろうか。
空気を含み、シットリしており、淡雪のような、マシュマロのような柔らかさ!
例えるなら、富山銘菓・鹿の子餅の生地を、質感そのままに、薄く伸ばした感じ。

中の味噌餡は、叶匠壽庵の物に比べ、塩分強め。
しょっぱくて駄目!と言っているのではなく、味に適度なパンチが有って、良い。
まさに“いい塩梅”の塩加減。


右京の花びら餅は初めて食べたが、とても気に入った。美味なり。

★ 右京:城下の松

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大きさは、幅約5センチ。
中に黄身餡を包んだ餅の表面に氷餅をまぶし、松に見立てた季節の上生菓子。




右京のお菓子をもう一つ。
こちらは、“城下の松”という上生菓子。

形はコロッとしており、勾玉のようにも見える。
主になっている生地は、“お餅”というより“すあま”に近い。
しっとりしていて、適度に弾力もあり、微かに甘く、お米の素朴な旨みもあり。
割ると、中から覗く薄黄色の餡が、緑色のお餅に映え、綺麗。
その餡は、優しい甘さの黄身餡。


構成も味もシンプル。
おめでたい松の形が、お正月に相応しい上生菓子。

★ ジャン=ポール・エヴァン:ロンシャン・フイユテ

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大きさは、直径約5.5センチ、高さ約4センチ。
下にフィユティーヌを敷き、中にアーモンド風味のメレンゲを隠したビターチョコレート・ムースを、
チョコレートですっぽり覆ったケーキ。




もちろん洋菓子も食べてる。
深い意味は無いけれど、新年の初ケーキは、近年ずっとジャン=ポール・エヴァン(公式サイト)
但し、今年選んだ“新年初ケーキ”は、これまで一度も食べたことの無い“ロンシャン・フイユテ”という物。

私のお気に入り、ロンシャン・ショコラが、ショウケースの中に見付からず、ちょっとショック。
どうやら、ロンシャン・ショコラの代わりに登場したのが、このロンシャン・フイユテのようだ。
正確には、ロンシャン・ショコラと、プラリネ・フィユテをミックスして出来た進化系が、コレ。

メインのムースはビターチョコレートで、重くないけれど、濃厚な味わい。
中に隠れているメレンゲは、軽く、ナッツの風味。
下のフィユティーヌは、サクサクの食感が効いている。


ロンシャン・ショコラとプラリネ・フィユテのミックスと言っても、
実際に食べると、プラリネ・フィユテにより近い。
…と言う以上に、“形を多少変えたプラリネ・フィユテ”と称しても良いくらい、プラリネ・フィユテに近い。
充分美味しいけれど、ロンシャン・ショコラと比べてしまうと、
私の好みは、もう断然ロンシャン・ショコラ。
あれはもうあのまんまで完成形だったので、アレンジなどせず、復活させて欲しい。

★黄金芒果獎2018!

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2019年に入り、第一週が終わろうとしている。
遅ればせながら、昨年度の我が映画&ドラマ鑑賞を振り返り、
例年通り、独断と偏見だけで、勝手に表彰させていただきます。


今回設定した賞は以下の通り。
最優秀作品賞に当たる黄金芒果奬(ゴールデン・マンゴ賞)、
テレビドラマを対象にした芒果電視劇奬(マンゴTVドラマ賞)、
逆に、映画、テレビドラマそれぞれの苦手作品には
当ブログ版“ラジー賞”、臭榴槤獎(くっさ~いドリアン賞)
さらに、黄金芒果獎には収まり切れない思い入れのある作品に芒果特別獎(マンゴ特別賞)を。


【ノミネートの条件】
映画賞の対象は、2018年度、
私mangoが 映画館、映画祭など、劇場のスクリーンで観た初見の作品のみとする。
よって2018年度劇場公開された作品でも、私にとって初見でなければ、対象外の扱い。
また、テレビやネット、DVD等で鑑賞した作品も、対象外とする。
芒果電視劇奬に関しては、2018年度内に観終えたドラマのみ対象で、鑑賞途中のものは含まない。

★ 臭榴槤獎~くっさ~いドリアン賞

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ドラマ部門はパス。
観たドラマ全てが面白かったわけでは決してなく、
2018年は、“ツマラナいと感じたら、途中で捨てる!”という事を学んだから。
それまでは、「この先面白くなるかも…」と万が一の可能性にすがり、完走するようにしていたけれど、
そんな風に頑張ったところで、“退屈…”と察したドラマが、最終的に“傑作!”に転じた例は一つも無かった。
だったら、途中で潔く捨てないと、時間がいくら有っても足りないという結論に(遅ればせながら)達した。

但し、ホームドラマチャンネルで放送される台湾ドラマは、
週一話進行のユルいペースなので、惰性で最後まで追うことが多い。
…が、結果、案の定、どれも壊滅的に面白くなかった。
内容ペラッペラの現代劇を、20話、30話と長尺で作ることの難しさを感じる。
どうせすぐに終わると踏んで捨てずにいたら、
年を跨いでもまだ終わらない『華麗なるスパイス~極品絕配』がいい例。
10話程度で終わる日本のドラマは、内容に合った適正な尺なのかも知れない。

大陸ドラマでは、『麗王別姫~大唐榮耀』を20話で、
『永遠の桃花 三生三世~三生三世十里桃花』を10話で捨てたが、後悔は微塵もナシ。
完走していたら、『麗王別姫』が2018年度の臭榴槤獎ドラマ部門受賞作になっていた気がする。
ダラダラの脚本、チャチィ映像、さらに主演女優・景甜(ジン・ティエン)にも魅力なし。
『三生三世』は現地で大ヒットを記録した超話題作だけれど、こちらは単純に好みの問題。
ファンタジー時代劇には、やはり食指が動かない。



映画部門で、栄えある賞に輝いたのは、
そのドラマ『三生三世』の映画版『ワンス・アポン・ア・タイム 闘神』。
実は、2018年、映画は、「途中で席を立ちたくなった…」という程の駄作には、幸い出逢っていない。
この『ワンス・アポン・ア・タイム』も、現地で大コケしたことを知った上での鑑賞だったので、
期待が無い分、実際には大した失望も無かった。

前者は、最悪ではないけれど、凡庸で、何の印象も残らなかったから。
“チャン・ジンチュー(張靜初)”主演作なのに、チラシに彼女の名は無く、
代わりにカメオ出演さえしていない“シュウ・ジンレイ(徐靜蕾)”の名を載せた
日本の配給会社・H社への戒めも込めての臭榴槤獎次点。H社は、荒い仕事が目に付き過ぎる…。
華人の名前の片仮名表記は紛らわしく、記憶にも残らず、、間違いの要因になるから、やめましょう。

後者は、第90回米アカデミー賞で6部門もにノミネートされ、日本でも概ね好評だった作品。
が、私にとっては、ゲイリー・オールドマンの成り切りチャーチル以外、評価しにくい作品であった。
バリバリの帝国主義者チャーチルが、庶民の足・地下鉄に乗って、
黒人を含む下々の者たちと交流するなどという現実離れした“心温まるエピソード”や、
「我々は屈しない!家族や命を失っても、戦おう!」などと唱和するシーンに、むしろドン引き。
こういう愛国ヒーロー物は、アメリカの得意分野。イギリス映画なら、もっと毒づいてくれて結構。

★ 芒果電視劇奬~マンゴTVドラマ賞

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日本『おっさんずラブ』



日本のドラマは、無難な選択で、話題になった『おっさんずラブ』。
吉田剛太郎の恋するオッサンっぷりが微笑ましく、『花子とアン』での嘉納伝助以来のインパクトある当たり役。
…が、いくらヒットしたからと言って、映画版まで制作するのは、お調子に乗り過ぎかと。
こういうのは、深夜に家のテレビで地味ぃーに観るからこそ楽しめるのであって
わざわざ劇場の大スクリーンで観たい類の物ではない。

いわゆる“ドラマ”のジャンルにして良いのか分からず、外してしまったけれど、
実は、wowowの『遠藤憲一と宮藤官九郎の勉強させていただきます』と、
年の瀬にNHKで放送した単発ドラマ『満島ひかり×江戸川乱歩』も良かった。
前者は、役には演じる役者の生き様や個性が出る、では、同じ役を違う役者が演じたら?をテーマにした
ワンシチュエーションのコメディ刑事ドラマ。
これは、説明されても、実際に観ないことには、どんな物なのか分からないと思う。
クドカンは小劇場出身者特有の“内輪ノリ”的作風が鼻につき、私はあまり好きではないのだが、
これは、私が不得手なその部分が、上手く生かされており、意外にも面白かった。
後者は、江戸川乱歩の短編3本<お勢登場>、<算盤が恋を語る話>、<人でなしの恋>のドラマ化で、
3本全てで、ヒロインを満島ひかりが演じる試み。衣装や美術も斬新。
これを観ると、明智小五郎や怪人二十面相だけじゃない江戸川乱歩の魅力に気付く。


台湾からは、『恋の始まり、夢の終わり~荼蘼』。
新人育成プロジェクトの一環でもある、8編のドラマから成る『植劇場』シリーズの内の一本。
人生の岐路に立たされたアラサー女性が、Aという選択肢とBという選択肢、
どちらを選んだら、どういう“その後”が待っているかを、2パターン見せるドラマ。
小難しい社会派ドラマではなく、あくまでも娯楽作だが、台湾の現状を捉えた現実味のある内容。
台湾の幼稚な偶像劇にほとほとゲンナリしている人でも、これは楽しめる可能性あり。
全12話というコンパクトさも、観易い。
こういうドラマを観ると、衰退する一方の台湾ドラマ界にも、
現状を改善しようと模索しているクリエイターが居ることが分かる。
(流行らない偶像劇ばかりを入れ続け、台湾ドラマのイメージを益々低下させている日本側の問題が
むしろ重症という気も…。)


中国からは、『琅琊榜(ろうやぼう)<弐> 風雲来る長林軍~琅琊榜之風起長林』。
低迷する台湾を横目に、大陸ドラマの勢いは増すばかり。
2018年も豊作で、面白い物は色々あったのだけれど、一本だけに絞るなら、『琅琊榜<弐>』。
これは、もう“好みの問題”としか言えない。
タイトルからも判るように、かの『琅琊榜(ろうやぼう) 麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』の続編。
基本的には、“続編に名作ナシ”だと思っているが、
時代背景を約50年ズラし、登場人物を一新し、一見前作とは別モノでありながら、
ビミョーに前作を匂わすという巧妙さ。こういう作りの続編もあるのか!と感心させられた。
単純に、渋い作風も好みで、制作した東陽正午陽光(Daylight Entertainment)への信頼度が改めてアップ。

もっとライトな作風で、朝ドラ的ドラマなら、『月に咲く花の如く~那年花開月正圓』
北京でチラ見し、面白そう!続きが観たい!と願っていたら、約一年後に日本上陸。
清代に実在した女性実業家・周瑩を描く女一代記で、チラ見した北京で予感した通り、
清末の波乱の歴史を背景に、テンポよく展開し、視聴者の興味を逸らさない、よく出来たドラマであった。

『月に咲く花の如く』が朝ドラ風なら、大河ドラマ的な『ミーユエ 王朝を照らす月~羋月傳』も。
こちらは、秦の始皇帝の高祖母(祖父母の祖母)、一般的に“宣太后”と呼ばれる羋氏の伝記ドラマ。
『月に咲く花の如く』と同じように、孫儷(スン・リー)主演作。
実在の羋(び)氏を“ミー”にしてしまった日本の配給会社の愚かさには飽きれるが、ドラマ自体は良く、
紀元前という途方も無い大昔の歴史を、エンタメ仕立てで楽しく学べる点を、特に評価。

★ 芒果特別獎~マンゴ特別賞

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色んな意味で、記憶に残った作品と言えば、もうこれしかない。
陳凱歌(チェン・カイコー)が手掛ける日中合作映画『空海 KU-KAI~美しき王妃の謎』である。
主演は大好きな俳優、黃軒(ホアン・シュエン)。
夢枕獏の原作小説<沙門空海唐の国にて鬼と宴す>を事前に読み、
2017年10月には、東京国際映画祭で行われたフッテージ上映にも足を運び、
正式な公開を楽しみにしていたのに、
角川&東宝が、誰も予想すらしていなかった日本語吹き替え版のみでの公開に踏み切ったから、ビックリ。

イヤな予感が皆無だったわけではない。
その前から、キャストの黃軒(ホアン・シュエン)を“ホアン・シュアン”、
田雨(ティエン・ユー)を“ティアン・ユー”と表記したり、
王妃など出てこない映画に、“美しき王妃の謎”なるサブタイトルまで付けたのだから。
これは、初学者レベルの中国語も解っていない人たち、
楊貴妃が“王妃”ではなく“貴妃”だという事すら理解していない歴史オンチが、作品担当者である証拠。

だからと言って、陳凱歌のような有名監督が手掛けた、唐を舞台にした歴史超大作を、
日本語吹き替え版だけで公開するなんて、誰が想像するだろうか。
新聞見開き4面をも使用した巨大広告の片隅に、
「日本では日本語吹替版にて公開される」の小さな文字を目にしたは、驚きと怒りで、ワナワナしてきた…。

話はここで終わらない。
前代未聞の“ONLY日本語吹き替え版上映”が、大コケ。
まるで空海の伝記映画かのように“空海推し”で展開した宣伝も裏目に出て、作品の評価もガタガタ。
現実を目の当たりにし、角川&東宝にも、ようやく危機感が湧いたのか、
一ヶ月後、オリジナル中国語音声+日本語字幕版を急遽公開。
勿論、二社は、失敗を認めてはいない。
「なおも快進撃を続ける『空海』、皆さまのリクエストに応える形で」と恩着せがましく言い訳して、
“インターナショナル版”などという名目を付けての、字幕版公開である。


この一件では、SNS等を通じ、
「吹き替え版だけなんて信じられない!」、「中国語版で観たい!」と声を上げて下さった皆々様に、
私mangoは、ひたすら感謝、感謝でございます。字幕版上映は、皆さまのお陰で実現したと言える。
映画ファンには最悪の出来事だったけれど、
後々の事を考えると、こういう騒動が起きて、結果的には良かったとも感じる。
だって、吹き替え版のみで上映の『空海』が、もし成功を収めていたら、それが“前例”になり、
この先日本に入って来る中国語作品の多くは、吹き替え版のみで公開される羽目になっていたかも知れない。
『空海』という超大作を一本無駄にはしたけれど、
角川&東宝の暴挙のお陰で、この先、こういう形態での映画公開はしにくくなったハズ。
(それにしても、このレベルの超大作一本を無駄にすることは、大き過ぎる犠牲ですね…。)

★ 黄金芒果奬~ゴールデン・マンゴ賞

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東京フィルメックスで鑑賞した賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督最新作。
ヤクザな稼業で生きる男・郭斌と、彼を愛した女・巧巧の17年に及ぶ腐れ縁を描いたラヴ・ストーリー
主演・廖凡(リャオ・ファン)×監督・賈樟柯という組み合わせだけでも、シビレる。
所々に、過去の賈樟柯監督作品を連想させる仕掛けが散りばめられており、正に“賈樟柯の集大成”!
賈樟柯監督作品のファンである私にとっては、作中“ツボ”だらけ。
廖凡と趙濤(チャオ・タオ)が、<YMCA>に合わせ、ノリノリで踊るダンスシーン等印象的なシーン、
あとユーモラスなシーンも結構あって、とても楽しめた。
そうそう、脱税問題で、范冰冰(ファン・ビンビン)と共に渦中の人となってしまったため、
中国ではカットされた馮小剛(フォン・シャオガン)のシーンも、私が観たフィルメックス上映版には残っていた。

なお、本作品は、2019年夏に、すでに日本での正式公開が決まっている。
邦題は現時点で未定。
原題の『江湖兒女』を上手く活かした、魅力的な邦題をつけて欲しい。



以下、2018年度気に入った作品を、10位まで。
万引き家族:カンヌでパルムドールを受賞した是枝裕和監督作品
芳華(ほうか) -Youth-:中国の近代史を背景に、時代に翻弄された文工団員たちを描く群像劇
轢き殺された羊:チベットを舞台に、夢と現実を交差させながら展開するロードムーヴィ
ニセ薬じゃない!:白血病の未許可薬品を巡る実話をベースにした社会派エンターテインメント作品
夜の浜辺をひとり:ホン・サンス監督×キム・ミニによる人生再生物語
犬ヶ島:ウェス・アンダーソン監督による、近未来の日本を舞台にしたストップモーションアニメ作品
ザ・スクエア 思いやりの聖域:格差、偏見、偽善といった現代社会に潜む問題に提起する人間悲喜劇
台北暮色:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)プロデュースの黃熙(ホアン・シー)監督長編デビュー作
トレイシー:トランスジェンダーの中年男性を描く香港映画 姜皓文(フィリップ・キョン)史上最高演技!


いつもと同じで、順位はいい加減、有っても無いような物。
昨今中国の映画は、インディペンデント系から大ヒット娯楽作まで、ジャンルが多岐に渡り、実に豊富。
しかし、日本に正式に入って来るのは、
どうしても未だに香港系のアクション作品や、大陸のド派手な超大作に偏っているので、
多種多様な作品を紹介する映画祭で観た物の方が、結果的に印象に残るし、自分の好みに合っている。

勿論、そのような作品からも、日本での正式公開に結び付く物はあり、
例えば『台北暮色』は、2017年のフィルメックスで観逃し、
2018年の一般劇場公開でようやく鑑賞でき、気に入った作品である。
なお、3位に挙げた『芳華(ほうか)-Youth-』も、2018年に映画祭で鑑賞した作品であるが、
こちらに記した通り、2019年4月の日本公開を控えている。
この作品の日本上陸で、私のお気に入り黃軒は、正しい表記“ホアン・シュエン”に復帰!


日本映画で、2018年を代表する作品には、
21年ぶりに日本にパルム・ドールをもたらした是枝裕和監督作品『万引き家族』と、
口コミで動員数を伸ばしていった低予算映画『カメラを止めるな』を挙げる人が多いのではないかと想像する。
でも、私にとっては、断然『万引き家族』!
是枝裕和監督は、元々大好きな日本人監督の一人で、過去のどの作品もそれぞれに好きだけれど、
“これぞ是枝裕和!”という鮮烈な印象をガツーンと受けたのは、
『万引き家族』が『誰も知らない』(2004年)以来。
本作品は、6月上旬、舞台挨拶の付く公開記念上映で観たのだが、その際登壇した出演者の樹木希林が、
その後3ヶ月も経たない内に、亡くなってしまったことでも、記憶に残っている。
最後まで飄々とし、独自のスタイルを貫いた、稀有な存在でしたね。
『カメラを止めるな』の方は、退屈はしなかったが、
鑑賞前から予感していた通りの作風で、私好みではなかった。


欧米の物では、アニメと実写それぞれ一本ずつ。
ウェス・アンダーソン監督の作風は元々好みなので、
『犬ヶ島』も気に入ると予感して鑑賞したら、やはり気に入った。そういう意味では、驚きは無い。
意外性で印象に残ったのは、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』の方。
<ザ・スクエア>というアート作品の四角い枠の中に立った人々の人間性が
徐々に暴かれていく様子を描く物語」というチンプンカンプンな前情報だけで鑑賞したこともあり、
次にどうなるか読めない展開で、みるみる作品の世界に入り込んだ。


トップ10には漏れたけれど、他、『無言の激昂』『長江 愛の詩』『詩人』等も、
それぞれに独特な世界をもった作品で、印象に残っている。
あと、『ブレイド・マスター』(2014年)の続編『修羅 黒衣の反逆』が、予想外に楽しめた。
前作がイマイチだったため、期待せずに観たのも、良かったのかも知れないけれど、
明朝の史実を背景に、推理ミステリーの要素を強くした脚本が良い。

娯楽要素の強い作品だったら、中国の『閃光少女』『乗風波浪 あの頃のあなたを今想う』
全てアジア系キャストによるハリウッド映画『クレイジー・リッチ』
そしてインド映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』等々。

アニメ『西遊記』は、まったく期待していなかったので、
日本語版でしか上映されない事にも、当初は別に文句を言っていなかったのだが、
いざ観たら意外にも良かったため、「なんでちゃんと中国語版で上映してくれなかったのよ…」と欲が湧いた。

★ 結び:回顧2018、そして2019年へ

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2018年、映画関連で印象的だったニュースは、
晩夏、第75回ヴェネツィア国際映画祭で、Netflix系の映画『ROMA/ローマ』が金獅子賞を受賞したこと。
つまり、前年、コンペティションから、Netflixの作品2本を外し、
“劇場公開を前提としない物は除外”という新たなルールを設けたカンヌと、
ヴェネツィアはまったく異なる姿勢を見せたのだ。

それぞれの映画祭が、それぞれの方針で運営されていくのは、別に良いと思う。
Netflixに関しては、配給が付かず、劇場公開される見込みの無い小品などにとっては救世主的な存在で、
埋もれかけた作品が、多くの人々の目に触れるチャンスの場でもあると、存在に意味も感じる。
…が、Netflixでの配信が決まると、その作品は、劇場公開の期待が絶たれる…、という現実もある。
ヴェネツィアで金獅子賞を獲った『ROMA/ローマ』ほどの作品ならともかく、
私が観たいと思っていたその他多くの作品に限って言えば、
Netflixで配信された後、劇場公開に至った例は、今のところ無い。
つまり、“Netflixで配信決定!”は、
すなわち、“この作品を劇場の大スクリーンで観るチャンスはもう有りませんヨ”を意味している。
スクリーン至上主義の私にとっては、“Netflixで配信決定!”のニュースは、絶望の宣告なわけヨ。

あと、Netflixに関し、周囲の人々からよく耳にするのは、「日本語字幕がビミョー…」という不満。
スピードが命で、取り扱い作品も多いから、字幕を二重チェックし切れないのだろうけれど、
だからと言って、お金を払っている契約者に、いい加減な物を提供して良いとは思わない。
しかも、そのいい加減な日本語字幕が、作品の評価にも影響しかねない。
今は過渡期で、この先、改善されていくのだろうけれど(希望的観測)、
私は、映画は映画館、ドラマはテレビの録画を消化するだけで現状アップアップなので、
2019年も、Netflixは“様子見”かしら。



あと、もう一つ、東京の映画ファンにとって、2018年にあった印象的な映画関連ニュースは、
オフィス北野がスポンサーを降りたことで、存続の危機に立たされた東京フィルメックスが、
救世主の出現で無事開催できたことであろう。
いざ蓋を開けたら、一時は存続さえ危ぶまれた映画祭とは思えぬほど、ラインナップが充実。
皮肉にも、充実し過ぎていて、日時が合わず、多くを観逃してしまった…(苦笑)。

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特に、畢贛(ビー・ガン)監督の
『ロングデイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト~地球最后的夜晚 Long Day's Journey into Night』と、
胡波(フー・ボー)監督の遺作『象は静かに座っている~大象席地而坐 An Elephant Sitting Still』は、
逃した事が悔やまれてならない。
まぁ、『ロングデイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト』は日本での公開が決まっているけれど、
ちゃんと3Dで上映されるのでしょうか。それが心配。


台湾映画では…

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2017年制作の2本、『大仏+~大佛普拉斯 The Great Buddha+』と
『血觀音~The Bold, the Corrupt, and the Beautiful 』が昨年入って来なかったので、
引き続き日本公開を希望すると共に、今年はそこにもう一本、『誰先愛上他的~Dear EX』を追加。
誰先愛上他的』は、『イタズラな恋愛白書~我可能不會愛你』といった大ヒットドラマの脚本家、
徐譽庭(シュー・ユーティン)が監督、アイドル出身の邱澤(ロイ・チウ)が主演と、
普段映画に馴染みの無い層にも取っ付き易い要素が有るので、
3本の中では、最も日本に入って来る可能性の高い作品という気がしている。



ドラマでは、2018年、中華圏全土で大ヒットした『延禧攻略~Story of Yanxi Palace』が、
『瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃』の邦題で、
早速2019年2月に放送開始(…但し、衛星劇場)。
これは、絶対に入って来ると踏んでいたので、想定内。多分面白いだろうし、日本でもウケる気がする。

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でも、同じ清朝乾隆年間を描くドラマだったら、私個人の大本命は、
周迅(ジョウ・シュン)主演の『如懿傳~Ruyi's Royal Love in the Palace』の方。
あと、もう一本挙げるなら、『大江大河~Like a Flowing River』にとーーっても興味あり!
『琅琊榜』と同じ東陽正午陽光が制作を手掛け、
出演は、王凱(ワン・カイ)、楊爍(ヤン・シュオ)、董子健(ドン・ズージェン)ら。
2018年も押し迫った12月に放送を開始し、豆瓣Dubanでは、その年一番の評価を得ている。
時代劇と呼ぶには現代的で、現代劇と呼ぶには郷愁漂う
1978年から1992年の改革開放期が背景のドラマなのが、
日本だとドラマ好きな一般女性層のウケが悪そうで、上陸のネックになってしまうかも…?
中国は、“つい最近”でも、怒涛の変化があって、近代史も面白いし、
宮廷闘争でも武俠でもファンタジー時代劇でもない大陸ドラマが入って来ても良いと思いますが、私は。



2018年、皆さまにとっての良作、もしくは駄作は何でしたか。
映画でもドラマでも、2019年も素敵な作品に出逢えると良いですね。

2018年度豆瓣映画/ドラマ評価番付け

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益々発展する中国映画産業。
2018年、中国の映画興行収入ランキングで、栄えある第1位に輝いたのは『オペレーション:レッド・シー』で、
36億5千万元もを稼ぎ出したことは、日本でも多くの映画ファンがすでに御存知のことでしょう。
『オペレーション:レッド・シー』は、日本でも公開されたので、観た人も多いと思うが、
うーン、どうなのでしょう…?!
“中国での大ヒット作品が、日本ウケするとは限らない”を実証する作品という印象。
香港人監督にやたら甘い香港電影ファンや、ミリタリーマニアといった、ニッチな層には支持されても、
広く一般にウケるタイプではないと感じた。

また、現地中国でも、興行成績上位の作品が、必ずしも高評価を得ているとは限らない。
大勢の人が観れば、その中には、気に入る人も、気に入らない人も居て当たり前で、
興行成績と評価には、ズレが生じるものである。

そこで、興行成績以上に注目したいのが、有名なコミュニティサイト豆瓣Dubanの評価。
映画でもドラマでも、豆瓣の評価は、私の好みと合うことが多いので、今後の参考のために、
2018年度の評価ランキングを一部挙げておく。

★ 華語電影

2018年、豆瓣で、高評価を獲得した中国語映画のTOP10は、以下の通り。
順位は、ランキングが発表された時点の物。
ポイントは日々変化し続けているので、現時点の物。なので、順位と矛盾している部分あり。)

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ニセ薬じゃない!~我不是藥神 Dying to Survive :9.0
大仏+~大佛普拉斯 The Great Buddha+ :8.7
オペレーション:レッド・シー~紅海行動 Operation Red Sea :8.3
狗十三~Einstein & Einstein :8.3
プロジェクト・グーテンベルク~無雙 Project Gutenberg :8.1
無名之輩~A Cool Fish :8.2
無言の激昂~暴裂無聲 Wrath of Silence :8.2
血観音~血觀音 The Bold, the Corrupt, and the Beautiful :8.3
象は静かに座っている~大象席地而坐 An Elephant Sitting Still :8.0
無問西東~Forever Young :7.6

邦題を記した物は、何らかの形で、日本で上映された作品。

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1位の『ニセ薬じゃない!』は、2018年10月に東京・中国映画週間で一回だけ上映。
この作品は、興行成績ランキングでも、
中国で実際に起きた輸入ジェネリック薬品の問題を扱った社会性のあるお話でありながら、
娯楽性も兼ね備えているので、良好な興行成績と高評価が、両立しているのは、なんとなく納得。
イケメンアイドル等は出ていないが、日本でも充分に受け入れられる作品だと思う。
…と言う以上に、むしろアクション映画等より、広い層に受け入れられるはず。


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『象は静かに座っている』は、約4時間にも及ぶ超大作で、決して一般向けではないと察するが、
高い評価を得ているのは、そもそも一般の人は観ないで、コアな映画ファンが観て、評価しているからかも?


これら『ニセ薬じゃない!』と『象は静かに座っている』の両方に出演している俳優がいる。

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章宇(ジャン・ユー)。
豆瓣のTOP10の中では、他にも6位の『無名之輩』にまで出演。
つまり、2018年高評価の映画を観ると、3/10もの確率で、章宇を目にするという活躍っぷり。
章宇は1982年生まれですでに30代半ばだが、昨年一気に注目が集まった、やや遅咲きの実力派。
雑誌<智族GQ>が毎年発表している“年度人物 Men Of The Year”でも、
2018年度の“新銳演員”に選出されている。
決して長身のイケメンではないけれど、映画ファン好みする俳優。
日本でも、好んで映画を観る方々は、この実力派俳優・章宇の名は覚えておいて損ナシ。


実は、その<智族GQ>の2018年度“新銳演員”には、もう一人選ばれた俳優がおり、それはこちら(↓)

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『象は静かに座っている』の主演男優で、その演技が評価され、
第55回金馬獎でも、最佳男主角(最優秀主演男優賞)にノミネートされ(→参照
大先輩たちと競った若手の俳優・彭暢(ポン・ユーチャン)。
日本に入って来ている出演作は、ドラマ『太子妃狂想曲<ラプソディ>~太子妃升職記』と映画『閃光少女』
彼もまたいわゆる“二枚目俳優”でも“イケメンアイドル”でもない。
中国では珍しいごくごくフツーの少年で、むしろ日本の芸能界に居そうなタイプ。
でも、日本のアイドルとは違い、彭暢クンは、実力派だったのですね。
『太子妃狂騒曲』の脇キャラ強公公役で出ているのを見た頃は、今の彼の立ち位置を想像できなかった。
まだまだ伸びしろが有るし、彭暢もまた注目に値する俳優。



話戻って、豆瓣のTOP10。

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5位の『プロジェクト・グーテンベルク』は、偽札製造組織を巡るクライム・サスペンス。
監督・莊文強(フェリックス・チョン)×主演・周潤發(チョウ・ユンファ)+郭富城(アーロン・クォック)という
最強の香港トリオによる話題作のため、日本公開は確実と踏み、
東京国際映画祭での上映時には、安心し切ってスルー。
どうやら、実際、日本での公開はすでに決まっているみたいではないですか…?


台湾モノだと…

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『大仏+』と『血観音』の2本がめでたくTOP10入り。
どちらも私が非常に観たいと欲している作品。
近年、台湾ブームに沸く日本には、そこそこ台湾映画が入って来ているが、
“私が観たい物”に限ると、あまり入って来ない状況なので、この2本もどうでしょうかねぇ…?
監督・楊雅(ヤン・ヤーチェ)×主演・惠英紅(カラ・ワイ)の『血観音』の方がまだ可能性が高いかも?
『大仏+』の黃信堯(ホアン・シンヤオ)はドキュメンタリー出身で、これが初の長編劇映画なので、
日本での知名度はほぼゼロの監督さんだし、
プロデュースを手掛けた鍾孟宏(チョン・モンホン)も、
自身の監督作品が、日本ではことごとく公開されない“映画祭限定監督”になってしまっている…。




TOP10に入っている作品の大半は、私も観たことが無いわけで、
あくまでも好みの映画を嗅ぎ分ける“勘”に頼った推測に過ぎないけれど、
いわゆる秀作・良作が、比較的きちんと評価されている気がしている。
まぁ、そんな気がしているからこそ、参考にしたくなるのだけれど。
これの内、何本が、2019年以降、日本で観られるようになるでしょうか。

★ 大陸劇集

2018年、高く評価された大陸ドラマ(連続ドラマ)のTOP10も挙げておく。

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大江大河~Like a Flowing River :8.9
鳳凰の飛翔~天盛長歌 The Rise of Phoenixes :8.2
忽而今夏~Suddenly This Summer :8.3
和平飯店~Peace Hotel :7.9
香蜜沉沉燼如霜~Ashes of Love :7.8
天坑鷹獵~Eagles And Youngster :7.7
瘋人院~The Classification of Spirit :7.7
東方華爾街~The Trading Floor :7.6
夜天子~The Dark Lord :7.7
如懿傳~Ruyi's Royal Love in the Palace :7.4


私の思い違いでなければ、現時点で、日本に入って来ているのは、2位の『鳳凰の飛翔~天盛長歌』のみ。

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とても評判の良いドラマで、主演は陳坤(チェン・クン)&倪妮(ニー・ニー)という映画界のスタア俳優。
私にとって残念なのは、日本で観られる環境がNetflixである事。
Netflixで配信されたドラマが、果たしてその後テレビで放送されることはあるのだろうか…?
Netflixは、日本語字幕の悪い評判をよく耳にするし、私個人の時間的問題もあるため、
当分手を出さないつもり。だから、「Netflixで配信決定!」と聞くと、ガッカリ。


映画界の大物俳優出演ドラマだったら『如懿傳』も。

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こちらは、周迅(ジョウ・シュン)が主演。お相手を務めるのは、霍建華(ウォレス・フォ)。
同じ清朝乾隆年間を扱った宮廷ドラマでは、
昨年、先に『瓔珞<エイラク> 紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~延禧攻略』が大ヒットしたけれど、
私の本命は、より本格的時代劇であろうこちらの『如懿傳』の方。


大陸ドラマと言うと、時代劇のイメージが強いかも知れないが、
こうして高評価のTOP10に目を通すと、ジャンルは多岐に渡る。

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例えば、3位の『忽而今夏』は、『最上のボクら~最好的我們』の監督チームの内の一人、
呂赢(リュィ・イン)がメガホンをとった青春ラヴ・ストーリーだし、
8位の『東方華爾街』は、劉華(アンディ・ラウ)プロデュースによる香港金融街を舞台にしたドラマ。
主演は、日本だと映画以外ではなかなかお目に掛れない香港明星・吳鎮宇(フランシス・ン)。
他、大陸の余男(ユー・ナン)、台湾の張孝全(チャン・シャオチュアン)ら、両岸三地の俳優が競演。
中国のドラマはやたら長いという印象があるけれど、これはたった5話で完結するミニドラマである。


4位の『和平飯店』も、相当面白そう。

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30年代の中国東北部を舞台にしたサスペンスで、つまりは、日本の軍人も沢山出てくるので、
昨今の日本では大騒ぎになるだろうから、ほぼ確実にアウトですね。
なんでもザックリ“抗日ドラマ”と分類して、大騒ぎする輩のせいで、
どれだけの秀作がお蔵入りになっていることか…。
とにかく、『和平飯店』の前に、まず『偽裝者~The Disguiser』入って来て欲しいかも。


まぁ、色々有るけれど、1位の『大江大河』は、やはり外せない。
2018年も終わろうとしていた12月にスタートし、結局その年一番の評価を獲得。
制作を手掛けたのは、かの『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』と同じ東陽正午陽光。
出演は、王凱(ワン・カイ)、楊爍(ヤン・シュオ)、董子健(ドン・ズージェン)ら、私好みの顔ぶれ。
1978年からの改革開放期、中国大変革の時代を背景に、主人公たちの生き様を描く人間ドラマ。
改革開放期のお話だから…

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殿下(王凱)もこんなに野暮ったい。
ドラマのスチール写真を色々見ると、衣装の大半が、ジャージ、人民服、木綿のシャツ、そして作業着。
なんか良いわぁ~。ダサ男、サイコー。

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楊爍(左)、董子健(右)も、こんな。
楊爍は、私、遅ればせながら『歡樂頌 第一季~Ode to Joy1』からのファン。
一方、董子健が、東陽正午陽光のドラマに出演するのは初めて。
…と言う以前に、大陸芸能界の天才軍師を母に持ち、若くても映画一筋で来た彼は、
そもそもこれまでドラマには出ていない。
そんな彼が、初出演ドラマに選んだのが、この大江大河』。
(“天才軍師のお眼鏡にかなったドラマ”とも言えるかも知れない。)

東陽正午陽光のドラマなので、同社制作の過去作品でお馴染みの面々もボチボチ出演しており…

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趙達(ジャオ・ダー)なんて、
陽気なヒッピーに変身しておられるではないか…!


日本だと平和な70年代、80年代でも、中国ではまだまだ激動の時代。
中国は近代史も非常に面白いので、秦だの唐だの明だのと大昔に限定せず、
こういう時代を背景にしたドラマだって、日本に入って来て良いと思う。
自分がすでに生きて知っている時代だからこそ面白いと感じる日本人視聴者だって居るはず。
東陽正午陽光が制作しているので、クオリティも期待できるし、キャストも良いし、
レトロな街並みや国営工場といった郷愁漂うヴィジュアル面も興味深いし、
これが日本に入って来たら、嬉しいのだけれど、どうでしょうかねぇ…。
あっ、ちなみに、全47話のこのドラマは、“第一季”とのことで、まだ“第二季”に続いていくらしい。

★ 日本の作品

ついでなので、日本の作品は、2018年、中国でどういう物が高く評価されたのかも、簡単にチェック。
高評価された日本映画TOP5は、以下の通り。
(邦題の後に記してあるのは、あちらでのタイトル。)

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万引き家族~小偷家族 :8.7
カメラを止めるな!~摄影机不要停!(大陸)/屍殺片場(香港)/一屍到底(台湾) :8.4
モリのいる場所~有熊谷守一在的地方(大陸)/仙人畫家:熊谷守一(台湾) :8.4
祈りの幕が下りる時~祈禱落幕時 :8.1
ちはやふる-結び-~花牌情緣:結 :7.9

えっ、なんで『ちはやふる-結-』がそんなに高評価?!と目を疑ってしまったが、
人気コミックが原作だと、日本の映画の場合、やはりそれなりに強いのでしょうか。
『祈りの幕が下りる時』も、中国でも人気の東野圭吾の小説が原作というのが、強味なんでしょうね~。
東野圭吾の小説が映像化される場合、中華圏の人々は、中華圏の映像化作品には批判的だけれど、
日本で映像化された作品には、評価が甘くなる傾向があるように見受ける。

『万引き家族』『カメラを止めるな!』が1位2位に君臨は、日本の状況と同じ。
『万引き家族』は、カンヌでパルム・ドール受賞間も無い6月半ば、
まずは第21回上海國際電影節(上海国際映画祭)で上映。
中華圏で最速の上映とあり、チケットはものの数十秒で完売。
当日は、譚卓(タン・ジュオ)等有名人も鑑賞し、作品を絶賛していた。
『万引き家族』は、豆瓣で、日本に限定しない“外語電影(外国語映画)”部門でも、3位に食い込む大健闘。
是枝裕和監督自身も、中国やハリウッドの監督を押しのけ、
“2018最受關注導演(2018最注目監督)”に選ばれている。

『カメラを止めるな!』の方は、確か一般劇場公開はされていないはずで、
中国大都市で開催された日中平和友好条約締結40周年記念の日本映画上映会と、あとはネットであろう。
あのB級感は、中国でも、ネットで映画を楽しむ若い世代にウケそう。



“日本電影(日本映画)”のカテゴリーには入っていないけれど、
実は、上記の作品以上に高い評価を得ている日本映画があるの。それが、こちら(↓)

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東海テレビドキュメンタリー劇場第10弾作品で、伏原健之監督による『人生フルーツ~人生果實』。
1925年生まれの老建築家・津端修一と3歳年下の妻・英子夫妻を追ったドキュメンタリー。
ナレーションを担当しているのは樹木希林。
これ、“日本電影(日本映画)”とは別に、“紀錄片(ドキュメンタリー)”部門に分類されているのだが、
豆瓣での評価は…

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なんと驚異の9.6…!!
観て評価している人の大半が、この作品に最高点を入れているの。
実は、この高得点は、ジャンルの枠を外した全作品の中でも、堂々の第1位で、
高得点TOP100を集め、観逃せない良作!と推奨する“2018你可能錯過的好片”で首位。
奇を衒わず、老夫婦のこれまでの歩みと日常を淡々と追い、
それでいて、観る者に深い感動を与えるドキュメンタリーの秀作だと私も思う。
こういう日本の作品が、中国でも高く評価されているのは、嬉しいですね。



私自身は、日本のテレビドラマにあまり興味が無いのだが、
もうついでなので、和製ドラマTOP5も一応挙げておく。

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アンナチュラル~非自然死亡 :9.3
今日から俺は!~我是大哥大 :9.1
dele ディーリー~人生刪除事務處 :8.5
99.9 -刑事専門弁護士 SEASONⅡ~99.9-刑事專業律師 第2季 :8.4
おっさんずラブ~大叔之愛 :8.2

日本ではいつも安定した人気を得られるNHKの朝ドラや大河ドラマは、海外ウケがよくないので、
ランクインしないのは、想像していた通り。
もはや『おしん』が世界で持て囃された時代ではない。
豆瓣でランクインされているタイトルに目を通すと、
NHKドラマが無いだけで、あとは日本での人気とあまり変わらない感じ。
1位の『アンナチュラル』はともかく、
2位の『今日から俺は!』は、ヤンキーの話でギャグ満載という
日本人以外には分かりにくい世界観なのかと思いきや、
だからこそ、日本カルチャー好きな層にはたまらないドラマなようだ。

ちなみに、日本がライバル視する韓流ドラマで、2018年最も高い評価を得たのは…

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イ・ソンギュン&IU主演の『私のおじさん~나의 아저씨 我的大叔』なのですって。



中国で評価される日本の映画やドラマのリストに目を通し、改めて感じるのは、
中国人は、日本に“超大作”など求めていないという事。
市井の人々の日常や、リアルな社会考察、細やかな感情描写、
もしくは、B級ならではのハチャメチャ感などを見て、
日本の作品は繊細だなぁとか、本当に漫画みたい、と感動したり、面白がったりしているという事。
だからこそ、2019年4月公開予定の映画版『キングダム』が、中国人に鼻で笑われないかと心配…。
制作サイドが「中国の皆さんにも新鮮に観ていただけるはず」と発言するなど、
最初から中国市場を意識して制作に乗り出した映画なのだろうけれど、
“日本映画最大規模の制作費!”も、中国では小遣い程度の約10億円とのことだし、
何より、オール日本人キャストが、中国を舞台に中国人を演じる中国史劇を作るって、どうなのでしょう…。
中国史がネタの宝庫であることを分かっている中国では、
オール中国人キャストで、日本を舞台に日本人を演じる“中国製日本の時代劇”を制作しようだなんて、
まず考えないでしょう。
日本は、海外市場を狙うなら、悪足掻きより、自分たちの強みを活かす道を考えた方が、賢明かと。
“お金が無い”、“チマチマしている”、“平凡で地味”といった負の特徴も、ある意味、日本の強みです。
心配したのが無駄だったと思える程『キングダム』が素晴らしい映画に仕上がっていれば、
それに越したことないけれど。


さて、皆さまが、2019年に日本上陸を期待する作品は何ですか?
大江大河』、観たくありません…?大陸ドラマは、宮廷劇やファンタジーじゃないと駄目…??
高評価TOP10内の映画では、『プロジェクト・グーテンベルク』が99.9%、
『ニセ薬じゃない!』が90%、『象は静かに座っている』と『血観音』がそれぞれ60%、
あと、豪華キャストの『無問西東』が30%くらいの確率で日本上陸と予想している(期待している)のですが、
如何でしょうか。

亀屋:2019年吉祥上生菓子4種(+さよなら兼高かおる様)

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すでに多くの皆さまが御存知のように、旅行ジャーナリストの兼高かおる女史が、
2019年1月5日、心不全のため、都内で亡くなったことが、公表された。享年90歳。

つい最近も、元気にテレビに出ているのを見た気がしていたのだけれど、
“つい最近”というのは、気にせいだったのだろうか。

インド人の父をもつエキゾチックな美人で、聡明、そして上品な女性であった。
持ち前の行動力に加え、あの世代の日本人女性では珍しい英語を喋るという語学力も生かし、海外を取材。

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う~ん、懐かしのPAN ANパンナム…!
今の若い子たち、知らないでしょう、パンナム。

そんな女史の名前を冠した超有名な長寿紀行番組といえば、『兼高かおる 世界の旅』。
(この度の訃報で知ったのだが…)
前身番組に当たる『兼高かおる 世界飛び歩き』が放送開始したのは、1959年なのだと。
“夢のハワイ”などと言って、一般日本人にとって、海外旅行が夢のまた夢だった時代、
『兼高かおる 世界の旅』は、私が想像している以上に、当時の人々を引き付けたに違いない。

私は、その後、例えば『徹子の部屋』のようなトーク番組に出演する女史のお話で、
へぇーと興味を引かれる事も沢山あった。

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ジョン・F・ケネディ(1917-1963)を取材したとか…

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スペインの自宅にサルバドール・ダリ(1904-1989)を訪ねたとか。
私も、ダリのおうちに、お宅訪問してみたかったわぁ~(もはや、叶わぬ夢…)。

日本人に海の向こうの未知の国々を紹介し、夢を与えた兼高かおる様のご冥福を祈ります。
天国で安らかに。



海外と言えば、以前こちらに記したように、
綾野剛が中国で中国映画『破陣子(はじんし)~The Ugly Town』を撮影。
中国で大切なのは春節なので、我々日本人にとってのいわゆる“お正月”も、撮影を続けていたようで、
本日、他のお仕事のために、ようやく帰国の途についたらしい。

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「已经在怀念中国,很寂寞。(すでに中国を懐かしく想っている、寂しい)」と微博で呟いておられる。
共演の女優・宋佳(ソン・ジア)とも親しい関係が築けているように見受けるし、
きっと良いチームに恵まれたのでしょうね。
現地のフォロワーさんたちからも、「私も寂しい」、「早くまた来て」、「日本に帰っても微博更新して」等々
多くのコメントをもらっている。
私も剛子(=綾野剛)の微博、結構好き。そして、映画『破陣子』、とても楽しみ。
恐らく日本では先にオダギリジョーが出演する婁(ロウ・イエ)監督最新作、
『蘭心大劇院~Saturday Fiction』が入って来るのではないかと想像してる。
これもまた超楽しみ。
(映画『蘭心大劇院~Saturday Fiction』については、こちらを参照。)




さて、すでにお正月ムードは抜け、皆さま通常の生活に戻っていることと思いますが、
遅ればせながら、ここに新年を祝う和菓子を。
近年、年が明けると、毎年、うちの親が同じ方から頂いているお菓子。
亀屋042-385-8181)の“吉祥上生菓子”という詰め合わせ。
箱に沢山入っている内、毎年、私もいくつかお裾分けしてもらっている。
同じお題で作られているお菓子でも、年ごとにデザインが変えられているから、楽しみ。
私が食べた2019年度の吉祥上生菓子は、以下の4ツ。

★ 亥

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大きさは、直径約4.5センチ。
中に小豆ミルク餡を包んだ桃山。




一つめは、ズバリ今年2019年の干支“亥”と題したお菓子。

分かり易く、上部に“亥”も文字。
表は、口の中でホロホロと溶け、ほんのり玉子の風味を感じる桃山生地。
中の餡は、ただの小豆餡ではなく、“小豆ミルク餡”!
まさに小豆+ミルクの味で、桃山との相性も良い。
子供が好きそうな味を、大人向けにアレンジした和菓子という印象。

★ 梅一輪

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大きさは、直径約4.5センチ。
上用生地で梅餡を包み、一輪の梅花と金箔で飾ったお饅頭。




続いて“梅一輪”

簡単に説明してしまうと、プチサイズのお饅頭。
でも、山芋を使った上用(薯蕷)生地だから、シットリした質感で、
表面に型押しされた花の模様も上品。
中に包まれているのは、白餡がベースの梅餡。
画像では見えにくいが、細かく刻んだ梅の果肉も混ぜ込まれており、爽やか。

★ 御来光

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大きさは、大体4センチ×3センチ角。
白、紅、藍三色の味甚羹を流し合わせ、金箔で飾ったお菓子。




3ツめは、“御来光”

もち米でできた味甚粉と錦玉羹を合わせて作る、味甚羹(みじんかん)である。
味甚羹特有のスリ硝子のような質感が、柔らかく光を通し、確かに御来光のイメージ。
淡いトーンの白、紅、藍の3色に分かれているけれど、味はどこも同じ。
和風ゼリーといった感じで、懐かしい甘さ。

★水仙

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大きさは、大体4センチ×3.5センチ。
求肥を中央に配し、上に水仙の花で飾った小豆の鹿の子。




最後は、“水仙”

変形鹿の子である。
通常中に隠す求肥を、表に出し、周囲をお豆で固めている。
使っているお豆は、普通の小豆と白小豆の2種類。
繋ぎに使われているのは、柚子餡。
この柚子の味が爽やかで、アクセントになっている。
上に飾られた水仙のお花が、可憐で可愛らしい。

映画『22年目の記憶』

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【2014年/韓国/128min.】
1972年。
いつも雑用ばかりさせられている売れない俳優キム・ソングンが、『リア王』の舞台で、遂に役を得る。
愛息テシクは、父の晴れ姿を見ようと、心躍らせ、劇場にやって来るが、
ステージに立った途端、キム・ソングンの頭の中は真っ白。
台詞を言えず、舞台を台無しにしてしまう。
落ち込むキム・ソングンに、見知らぬ男性が近付いてきて、
「君のような俳優を探していた」と、オーディションの話を持ち掛ける。
これをチャンスと捉え、イチかバチか、オーディションに臨んだキム・ソングンは、
なぜか目隠しで、どこかへ連れて行かれ、暴行まで受けるが、最終的に、合格を告げられる。
彼に与えられた極秘の“役”は、南北首脳会議リハーサルで、北の最高指導者・金日成を演じること。
演劇科の教授ホ・サムウンと、思想犯で捕らわれているソウル大学国文科の学生イによる指導のもと、
その日から、昼夜を通しての厳しい特訓が始まる。

1994年。
借金取りに追われるテシクは、たまたま目にした新聞記事で、
実家のある盆唐が、ニュータウンの開発予定地になっていることを知る。
立ち退き料で借金が返済できる…、そう思い立ったものの、手続きに必要な実印の在りかが分からない。
そこで、仕方なく、長年絶縁状態になっている父を訪ね、病院へ。
病室で目にしたのは、まるで自分が金日成かのように振る舞う、すっかり老いた父の姿であった…。



2019年初韓国映画は、李海準(イ・ヘジュン)監督作品。
イ・ヘジュン監督は、過去に『ヨコヅナ・マドンナ』(2008年)と
『彼とわたしの漂流日記』(2010年)の2作品を観ているが、
特別好みではなく、新作を何がナンでもチェックしたい監督さんではない。
ただ、この新作は、北朝鮮絡みだったので、試しに観てみた。




本作品は、1972年、初の南北首脳会議を控えた韓国で、秘密裏に行われるリハーサルのために、
北の最高指導者・金日成役に抜擢された売れない俳優キム・ソングンと、
その父に翻弄され続けた息子キム・テシクの22年に及ぶ複雑な父子関係を描く人間ドラマ


1972年は、激しい対立が続いていた韓国と北朝鮮が、
統一に向けた南北対話に関する声明、いわゆる“南北共同声明”を同時に発表した年。

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当時の韓国の大統領は朴正煕(パク・チョンヒ/ぼく・せいき)。
後に、韓国第18代大統領となるも、罷免された事が記憶に新しい朴槿恵(パク・クネ)の父。
もう一方、北の最高指導者は金日成(キム・イルソン/きん・にっせい)。
こちらは、その後、金正日(キム・ジョンイル)、金正恩(キム・ジョンウン)と今なお権力の世襲が続いている
お馴染み北朝鮮初代の最高権力者。

この両者により共同声明が発せられたことで、朝鮮半島の緊張は緩和。
初の南北首脳会議開催の運びに。
失敗の許されない歴史的な会議だから、ぶっつけ本番という訳にはいかない。
そこで、韓国は、極秘で会議のリハーサルを行うことにする。

…と、ここまでは史実。
イ・ヘジュン監督は、「南北首脳会議に備え、リハーサルが行われた」という報道記事から着想を得、
国家に翻弄される俳優と、その俳優に翻弄される息子の複雑な親子の物語をフィクションで描いている。

“首脳会議のリハーサル”と聞くと、この場所で握手、部屋に誘導、着席の位置等々、
段取りを考えながら、当日と同じように一通り進行する様子を思い浮かべる。
でも、指導者たちの役は、その場に居る政府のお役人とかが、テキトーにやるものだと思っていた。
ところが、この映画の中では、
韓国政府の情報部が、リハーサルで金日成の代役を務める俳優を、わざわざオーディションで選び、
その俳優が金日成に成り切れるよう、演技指導のみならず、北の思想まで叩き込む徹底ぶり…!

幸か不幸か、その金日成役に選ばれてしまったのが、売れない舞台俳優のキム・ソングン。
キム・ソングンが選ばれたのは、彼が金日成に似ていたからでも、演技力を買われたからでもない。
無名で、口が堅い、ただそれだけ。
でも、徹底指導のお陰で、徐々にそれらしくなっていくし、経済的にも潤い、マイホームまで手に入れる。
しかし、あくまでも極秘のミッションなので、家族にさえ、自分が何をしているのか打ち明けられず、
そうこうしている内に、南北首脳会議開催は無期延期となり、キム・ソングンはお役目御免となってしまう。


それから、あれよあれよと言う間に22年。
自分は金日成だと思い込む老人キム・ソングンは、病院暮らし。
北の思想に毒された父親のせいで、入試にも失敗した息子テシクは、
絵に描いたようにヤサグレ街道まっしぐら。
今や、怪しいマルチ商法で稼ぎながらも借金まみれの正しい外道。
が、実家のある盆唐が、ニュータウンの開発で、立ち退き料をもらえると知り、
それを借金返済に充てようと思い立ち、
手続きに必要な実印を得るため、とっくの昔に決別した父を病院に訪問。
父を退院させ、かつて一緒に暮らした盆唐の家で、ギコチない父子二人暮らしを久々に始めることになる。

“共に暮らすことで、父子は徐々に22年の空白を埋めていく”という展開を想像するが、
この作品では、もうひとヒネリ有り、終盤、もっと大きなイベントが用意されている。
なんと、今度こそ南北首脳会議が開催されることになり、またまたリハーサルで金日成の代役が必要となり、
キム・ソングンは22年ぶりに召集されることになるのだ…!
このリハーサルこそ、パパが22年越しで息子にイイ所を見せる一世一代の晴れ舞台になるの。
奇しくも、1994年7月8日のその日は、実際に金日成が亡くなった日。
そもそも、二十年以上音信が途絶えていた老人に、政府が接触してくるなんて、現実味が無いのだけれど、
だからこそ、この父子愛の物語は、寓話のようにも感じられる。





父子を演じるのは、こちら(↓)

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金日成の代役に抜擢される売れない俳優・金成根(キム・ソングン)に薛耿求(ソル・ギョング)
その息子・金泰植(キム・テシク)に朴海日(パク・ヘイル)


本作品の大きな見所は、ずばり、ソル・ギョング!
これまでも、体重を増減するなど、役に成り切ってきたソル・ギョング。

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今回は、一作品の中でも、前半と後半で、かなり違う顔を見せてくれる。
前半は、鳴かず飛ばずの舞台役者。
“実力はあるのに、売れない俳優”とも違い、演技力にも大いに問題があり、情けなさが漂う。
ようやくチャンスを得ても、舞台慣れしていないから、緊張し過ぎて、台詞が言えず、
パパの晴れ舞台を楽しみにしていた息子テシクを失望させてしまう。
これが、(例え無意識下だったとしても)22年もキム・ソングンが引きずるトラウマとなる。

22年後のキム・ソングンはすでに老人で、自分を金日成だと思い込んでいる。
ソル・ギョングは、1968年生まれなので、撮影をした頃は、40代半ばであろう。
その年齢でおじいさんを演じるのだから、
撮影の度に5時間かけて施した特殊メイクにも、勿論助けられているように感じる。
圧巻なのは、終盤の会議リハーサルのシーン。
ホンモノの金日成にソックリだとは思わない。
でも、それまでの老いぼれキム・ソングンとはガラリと別人になり、
まるで演技の神様が下りてきたかのように、会議室という舞台で、北の指導者に成り切る彼に、息を飲む。


私自身の知識不足のせいで、残念だったのは、
シェークスピアのリア王>がどんなお話だったかをよく覚えていないまま、この映画を観てしまった事。
映画序盤、売れない俳優キム・ソングンが、ようやく掴んだのは、舞台劇『リア王』の道化の役。
確か、道化は、落ちぶれたリア王の分身的な存在であり、
案外知的で、リア王にへりくだるどころか、皮肉めいた事をチクリと言ったりする役回りだったような…。

年を取り、自分を金日成だと思い込むキム・ソングンは、
もはや<リア王>の道化ではなく、正気を失くした老王リアにも思える。
だが、自分の見る目が無く、善良な末娘コーディリアを絶縁し、悲劇を招いたリア王とは違い、
キム・ソングンは、半ば強制的に政治に巻き込まれ、
結果、正気を失くし、善良な息子テシクとも絶縁になってしまったのよねぇ…。
イ・ヘジュン監督は、どのような意図で、作品にリア王を取り入れたのでしょう。気になる。



まぁ、そんなキム・ソングンを演じるソル・ギョングには、
元々実力派のイメージが有ったので、圧巻の演技も想定内。
むしろ、息子テシクを演じたパク・ヘイルの方が、期待していなかった分、新鮮に見られたかも。
マルチ商法で稼いでいるテシクは、見るからに胡散臭い&チャラいの。

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時代を感じる白いダブルのスーツが眩しい。
このスーツを目にして、かつての中山秀征がフラッシュバック。
『静かなるドン』でしたっけ…?



他、尹帝文(ユン・ジェムン)扮する情報部の吳(オ)長官も、
登場シーンが際立って多いわけではないのに、印象に残った。
なぜ印象に残ったかって…

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ユン・ジェムンって、髪を七三にして、スーツを着ると、
晩年の石原裕次郎、もしくは石原裕次郎を真似るモノマネ芸人・ゆうたろうに似ているのだもの。
オ長官に、ブランデーグラスを持たせたい。





充分面白い作品だと思うし、普段から韓国映画を好んで観る日本人の大半は、これを気に入ると想像する。
…が、観る前から何となく予想していた通り、
とても正しい“韓国娯楽映画”であり、私が好むタイプの韓国映画ではなかった。
私があまり得意ではない“正しい韓国娯楽映画”とは、
起承転結がきちんとあり、笑いと泣き、そしてハッと驚かせるツボをキッチリ押さえたよく出来た娯楽作品。
本作品が、親子愛の泣かせるフィクションではなく、
北朝鮮と韓国の闇に迫るもっと史実に近いサスペンスとか、救いの無いダークな人間ドラマだったら、
私はきっとずっとのめり込めたハズ。
この映画は、悪くはないけれど、私には軽過ぎた。
あと、<リア王>のくだりを、上手く解釈し切れなかった自分が残念。

大陸ドラマ『花と将軍 Oh My General~將軍在上』

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第4代皇帝・仁宗が天下を治める北宋。
16歳で責務を担い、8年間国境を守ってきた葉昭率いる葉家軍が、遼の猛将・耶律達丹を遂に討つ。
この吉報に沸く朝廷。
仁宗は、大手柄を立てた葉昭を、宣武侯及び天下兵馬大將軍に封じると決め、帰還を命じる。
間も無くして、仁宗の元に、当の葉昭から文が届く。
そこに綴られていた告白に、驚きを隠せない仁宗。
なんと、恐れを知らないあの武人・葉昭は女子だというのだ…!
女子であることを隠していたのは主君を欺く重罪との奏上もでる中、劉太后は仁宗に言う、
「国を盤石にするには喜ばしいこと。もし良縁を授けてやれば、妻としての本分を守るであろう」と。
しかし、葉昭ほどの女子を娶る勇気のある男が、一体どこにいるのか…?!
困り顔の仁宗に劉太后は続ける、「葉昭を娶れば、その者の品行も正されるであろう」。

都で一番の青樓、杏花樓。
賑わう店内では、純白の衣を身にまとった美男の登場で、客の歓声が上がる。
優雅に舞い始めたその美しい男は、趙玉瑾であった…。



大陸ドラマ『花と将軍 Oh My General~將軍在上』、全60話視聴完了。

2018年10月初旬にスタートしたアジアドラマチックTVでまず手を付け、週3話ペースで追っていたが、
その約20日後、今度はBS12トゥエルビでも始まり、こちらは平日毎日の週5話ペース。
ゆったり進行のアジアドラマチックTVに追い付き、追い越した時に、私はBS12に乗り換え、早めにゴールイン。
週に5話も追うのは、本当はキツイのだけれど、
“サッサと観終えて自由になりたい”という課せられていもいない束縛からの解放を願い、
やっつけ仕事的に視聴→完走。
でも、やはりアジアドラマチックTVで、ゆっくり観るべきだっただろうか。
アジアドラマチックTVだと、CMが入らないし、多分ノーカットよねぇ…?
一方、BS12だと、もしかして、カットされている部分が結構有るのかも知れない。
しっかり丁寧に視聴したい人には、アジアドラマチックTV放送版の方が、多分お勧めかも。

★ 概要

橘花散里の小説<將軍在上我在下>のドラマ化。

低予算のハチャメチャwebドラマ『太子妃 狂想曲<ラプソディ>~太子妃升職記』がマサカの大ヒットとなり、
一躍スタア監督の仲間入りした侶皓吉吉(ルー・ハオジジ)が、
次に手掛ける作品として、制作発表当初から注目されていたドラマである。

いざ企画が進んで行くと、監督さんは文杰(ウェンジエ)と霍耀良(フォ・ヤオリャン)の両人が担当、
侶皓吉吉は、芸術監督という立場で、作品に参加。


裏方さんには、多くの日本人も参加している。

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衣装はワダエミ、音楽は岩代太郎、そして美術指導は小澤秀高が担当。
国際的に活躍するワダエミはあまりにも有名。
岩代太郎も、『レッドクリフ』(2008年)の“パ・パ・パ・パッパラッパ♪”により、中華圏でも注目が高まり、
以降、吳宇森(ジョン・ウー)監督作品にボチボチ参加。
小澤秀高は、日本映画を支えてきた美術さんという印象でしょうか。

★ 物語

第4代皇帝仁宗が天下を治める宋の時代、劉太后の提言で、夫婦となった二人、
女性でありながら著しい軍功を立てた男装の猛将・葉昭と、仁宗のひ弱な甥っ子・趙玉瑾が、
ギクシャクしながらも、次第に絆を深めていく様子を描く、猛女と美男、凸凹夫婦のラヴ・ストーリー


並みの男性より逞しい女性・葉昭と、並みの女性より美しい男性・趙玉瑾。
“似たもの夫婦”というのも有るが、この二人の場合は、見た目も性格も正反対。
“割れ鍋に綴じ蓋”で、互いが補い合い、案外いい夫婦になっていくのです。

この夫婦愛以外に、もう一つ作品に軸になっているのが、
時の皇帝・仁宗と、その異母兄である祈王・趙睿との確執。
表向きは、仁宗の優しい兄、そして信頼できる臣下として振る舞いながら、
その実、兄を差し置き、皇位についた仁宗に深い恨みを抱いている祈王が、
敵国・西夏と通じ、謀反の機会を窺う逆恨みの復讐劇と、
また並行して、その西夏の内紛が描かれる。
作風は基本的に軽いタッチでコミカルだが、要所要所には史実も盛り込まれている。

★ 背景

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ドラマの背景は、第4代皇帝・仁宗趙禎(1010-1063/在位1022-1063)が天下を治める北宋。
私が、このドラマを観ようと思った理由の一つは、そこである。
昨年観た『開封府 北宋を包む青い天~開封府傳奇』と、時代が重なるのです。

『開封府』で仁宗を演じていたのは、こちら(↓)

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幼少期を買正心(マイ・ジェンシン)、そして成長してからは姜潮(ジャン・チャオ)。
『開封府』での仁宗は、嫡母・劉氏による垂簾聴政で、全てを取り仕切られ、おとなしくしているしかない青年。
『花と将軍』だと、劉太后(968-1033)はもう高齢で、政務を仁宗に委ねることもあり、母子関係はまぁ良好。



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当時の北宋はどんなだったか。
仁宗の父である第3代皇帝・真宗は、
景元年(1004年)、侵攻を続ける北方の遼と“澶淵の盟”と呼ばれる盟約を結び、
遼に金品を支払うことで、その後百年以上戦争の無い名目上の友好関係を続ける。
その関係が破綻するのは、1120年、北宋と金が、遼を挟撃するために“海上の盟”を締結した時。
つまり、北宋第8代皇帝・徽宗の在位中に、関係が破綻。
ドラマ『花と将軍』は、そのずっと前の第4代皇帝・仁宗の時代を描いているにもかかわらず、
北宋と遼の戦いで第1話の幕を開けるので、これは史実に反する。

北宋にとって、遼以外でもう一国、頭の痛い外敵は、西夏。
当時、西夏は、李元昊(1003-1048)が国のトップ。
北宋は、西夏と結んだ和議で、西夏を臣従させる代わりに、
膨大な歳幣を贈り続けることを余儀なくなれていた。

ドラマでは、弟・仁宗に恨みを抱いている北宋の祈王が、密かに西夏と結託するが、そういう史実は無い。
それ以前に、実際の北宋には、仁宗と敵対した祈王なる兄は存在しない。
仁宗は、第3代皇帝・真宗の第6子であるが、上の5人の兄たちは、どの子も片っ端から夭逝。
本来存在したはずの仁宗のお兄ちゃんたちは、皆子供の内に死んでしまっているから、
生き残った仁宗が皇位を継承したわけ。


が、祈王なる北宋の皇族が西夏と結託した事実は残されていなくても、
ドラマの後半に描かれる西夏の内紛は、史実がベースになってる。

ドラマで描かれているのは、西夏を興した李元昊(1003-1048)の晩年。
名君と名高い李元昊だが、晩年は酒に溺れ、国を混乱させたと言い伝えられている。

西夏に起きた内部のゴタゴタは、ザッと以下の通り。
国に貢献した忠臣で、李元昊の皇后・野利皇后の兄である野利旺榮(?-1042)と野利遇乞(?-1043)が、
北宋の名将・種世衡(985-1045)の反間計(間者が偽情報などで敵の内部を攪乱させる策)にかかり、
死に追いやられ、野利氏一族が衰退。野利氏も皇后を廃され、庶人に。
西夏の権臣・沒藏訛龐(?-1061)の妹で、
元々は野利遇乞の妻でありながら、李元昊の情婦だった沒藏氏(?-1056)が、李諒祚(1047-1068)を出産。
息子である太子李寧林格の美しい妻・沒移氏に李元昊パパが惚れ込み、自分の新たな皇后に。
太子を廃され、さらに妻まで奪われ、恨みを募らせる李寧林格が、父・李元昊を殺害するも、
李寧林格自身、沒藏訛龐に捕らえられ、父親殺害の罪という名目で処刑。
李元昊の崩御で、沒藏氏が産んだまだ1歳の李諒祚が即位し、
沒藏訛龐&沒藏氏兄妹が、西夏の権力を掌握。

…とこんな感じ。
ドラマを観ると、一応この史実に則した流れで話が展開していることが分かる。

★ キャスト その①:花と将軍 凸凹夫婦

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盛一倫(ション・イールン):趙玉瑾~22歳  皇帝仁宗の甥っ子

趙玉瑾は、子供の頃から虚弱体質ということもあり、母・趙太妃に溺愛され、
結果、しょーもない放蕩息子に育ってしまった北宋の皇族。
でも、育ちが良いから、素直。
子供の頃から良い物に囲まれて生活しているから、目利きでもあり、しかも実は聡明でもある。
“活閻王(生き閻魔)”と噂されていた葉昭を、最初こそ恐れ、毛嫌いしていたが、
徐々に彼女の善良な性格に気付き、惹かれてゆく。

演じているのは、『太子妃 狂想曲』の太子・齊晟役で一気にブレイクの盛一倫!
盛一倫は、硬派でストイックな齊晟で人気を博したのだから、当分あの路線で行くのかと思いきや、
『花と将軍』ではガラリと一転、趙玉瑾は、ひ弱で女々しいクセに軟派という役どころ。

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ドラマ最初の登場シーンでは、お化粧して妓楼で舞っているし。
盛一倫は整った顔立ちの美男ではあるが、お化粧はあまり似合わないかも…。
梁國榮(レスリー・チャン)よりは京本政樹って感じ。
さらに…

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『太子妃狂騒曲』では有り得なかったこんな表情も見せております。

最初は、どーしちゃったの盛一倫?!と戸惑ったが、
見ている内に、素直な趙玉瑾がどんどんお茶目で可愛く思えてきた。
私にとっては、恋人や夫にしたい男性と言うよりは、舎弟にしたい男の子。
『太子妃 狂想曲』の齊晟とはまったく違う雰囲気で、コメディ対応も可能な事を証明し、結果正解。



馬思純(マー・スーチュン):葉昭~24歳 男装の猛将

葉昭は、女性でありながら、幼い頃から武芸に長け、
男装して戦場でバッサバッサと敵をなぎ倒してきた事から、
“活閻王(生き閻魔)”と恐れられる北宋随一の猛将。
そんな男勝りの葉昭だが、子供の時に出逢った美しい趙玉瑾を、一途にずーっと好き。
だから、皇帝から、思い掛けず趙玉瑾との結婚を賜り、ウッキウキ。
当の趙玉瑾が、自分との結婚に乗り気じゃないのも分かっているが、
好かれる努力と、あの手この手の策で、次第に彼の心を掴んでいく。

演じているのは馬思純。
どういう訳か、当ブログには、“馬思純”検索で、やって来る訪問者が、常にコンスタントに居る。
馬思純が気になっている人が、結構いるの?それなら、ちょっとおさらい。
馬思純は、1988年、安徽省生まれ、回族の女優。母方の叔母も女優で、蔣雯麗(ジアン・ウェンリー)。

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蔣雯麗は、山崎豊子原作の有名なドラマ『大地の子』で、上川隆也の妻を演じた女優さん。

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叔母と姪なのに、母と娘みたいに似ていますよね。
また、この蔣雯麗の夫は、映画監督兼撮影監督の顧長衛(グー・チャンウェイ)。
つまり、馬思純は、元々芸能の世界が身近にあった人で、初めて映画に出たのは、7歳の時。
メインキャストとして出演した作品が、日本で初めて紹介されたのは、
その時は、なんかパッとしない若手女優だと思ったが、その後、人気も実力も伸びてきて、
映画『七月と安生~七月與安生』(2016年)では、
共演の周冬雨(チョウ・ドンユィ)と共に、金馬獎の最佳女主角(最優秀主演女優賞)を受賞。(→参照

美女というよりは、愛嬌のあるカワイイ系で、女の子っぽいふんわりしたイメージのある馬思純。
だから、この『花と将軍』での“活閻王”役は、意外性があり、ちょっと新鮮。
童顔ということもあり、小柄な女性を想像するが、
実際には身長が170センチで、スラリとしているので、甲冑もお似合い。
馬思純にイラっときた視聴者も、『花と将軍』の男勝りの葉昭なら、受け入れられるのでは?

ちなみに、私がナマ馬思純を見たのは…

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2015年、出演した映画『左耳』を携え、東京・中国映画週間のために来日した時。(→参照
私生活では、この映画で共演した歐豪(オウ・ハオ)と恋仲に発展するも、結局お別れとなり、
最近では、『左耳』を監督した蘇有朋(アレック・スー)と噂が出たけれど、どうなのでしょうかねぇ…??

★ キャスト その②:北宋ロイヤル兄弟

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蘆芳生(ルー・ファンション):仁宗趙禎(1010-1063)~北宋第4代皇帝

父帝の崩御で、幼くして皇帝に即位したため、嫡母・劉太后による垂簾聴政が長年続き、
なかなか実権を握れなかった仁宗であるが、
このドラマでは、劉太后の尻に敷かれて弱々しいとか、劉太后への鬱憤を募らせているという印象は無い。
性格は温厚、でも、リーダーシップも善悪を見極める目も持っているマトモな皇帝。
劉太后との仲は良好。祈王のことも、唯一残された血縁の兄だからこそ、信頼し、また大切にしている。
そのせいで、祈王の企みを見抜けなかったのだけれど…。

仁宗に扮する蘆芳生は、日本に所縁のある俳優さん。
日中大学間の交流のため、日本に派遣された大学教授の父親に伴い、小学校卒業後、日本へ渡り、
以降、千葉大学経済学部を卒業するまで11年も日本で暮らした帰国子女。
大学での成績は優秀で、三菱に就職する話もあったのだけれど
(三菱銀行なのだか三菱電機なのだか詳細は不明)、演技への興味が抑えきれず、
安定した大企業への就職を捨て、親の猛反対も押し切り、北京電影學院へ進学。
日本での生活が長かったためか、あちらでは、醸す雰囲気が日本人男性っぽいと思われるようだ。
子供の頃から11年も日本で暮らしていたのなら、日本語もきっとネイティヴ並みなのでしょうね~。
俳優業を始めてから当分の間は、軍人など日本人役のオファーが多かったが、今では役の幅も広がり、
こうして『花と将軍』の仁宗なども演じているわけです。



朱泳騰(チュウ・ヨントン):祈王趙睿~第3代皇帝・真宗の皇子 第4代皇帝・仁宗の異母兄

祈王の生母は、皇帝・真宗にお手付にされた侍女。
生母の身分が低いため皇帝になれなかった、本来皇帝になるべき人物は自分だったという思いが強く、
皇位を継承した異母弟・仁宗に、深い恨みを募らせているが、
表面的には良き兄を演じ、密かに敵国・西夏と結託し、謀反の機会を窺っている。
前述のように、史実では、北宋第3代皇帝・真宗の子は、ことごとく夭逝してしまい、生き残ったのは仁宗だけ。
なので、この祈王は架空の人物であり、当然、謀反の話もフィクション。

もしこの祈王にモデルが居るならば、よく<楊家將>といった小説や戯曲に
“八王爺/八賢王”の呼び名で登場する人物ではないかと推測されているみたい。
北宋の“八王爺/八賢王”には、二人候補がいて、
一人は、真宗の8番目の弟で、仁宗の叔父に当たる趙元儼(986-1044)。
もう一人は、北宋初代皇帝・太祖趙匡胤の第3子で、真宗の従兄に当たる趙芳(927-976)。
ちなみに、ドラマ『開封府』にも、物語前半の悪役として、八賢王は登場。

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王仁君(ワン・レンジュン)扮する八賢王は、趙文瑄(ウィンストン・チャオ)扮する真宗の弟という設定だが、
モデルは趙芳と言われている。

★ キャスト その③:LOVE葉昭な人たち

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丁川(ディン・チュアン):胡青~26歳 葉家軍の軍師 またの名は“狐狸”

胡青は、戦場で葉昭と生死を共にしてきた知的で頼れる軍師。
葉昭が実は女性だと知ってからは、彼女に恋心を抱くが、
その気持ちを封印して、葉昭とは義兄弟の立場を貫き、彼女の幸せを影ながら願う。
この胡青、架空の人物と捉えがちだが、祈王の臣下と偽り、西夏に乗り込むドラマ後半部を観ると、
反間計で西夏を混乱させ、野利旺榮と野利遇乞を死に追いやった北宋の名将・種世衡(985-1045)を
モデルにしていると推測できる。
ストイック系の超イイ人で、私好みなのだが、
演じている丁川は、出演作が少なく、彼自身に関しての情報も極めて少ない。
分かっているのは、1992年北京出身、中央戲劇學院で学んだ俳優さんという事くらい。
『花と将軍』で丁川を知り、もっと他の作品でも見たい!と思っている人は、私以外にも結構多いのでは。



王楚然(ワン・チューラン):柳惜音~葉昭の美しい従妹

惜音は、子供の頃から葉昭のことが大好きな美人の従妹。
葉昭のお嫁さんになることを夢見てきたのに、当の葉昭がボンクラの玉瑾なんかに嫁いでしまったから失望。
玉瑾に逆恨みし、卑劣な策で葉昭を取り戻そうとする惜音は、見ていて、イラッ…!
この惜音も、胡青と同じように、架空の人物かと思いきや、
ワケ有って西夏に流れ着くドラマ後半部を観ると、
西夏の太子・李寧林格の妻でありながら、その美しさで義父・李元昊に見初められ、
李元昊の新皇后に即位する沒移氏/沒移皇后(?-?)がモデルであると判る。
ドラマでは、北宋からやって来た異民族の美女が、自国のために命懸けで、敵国・西夏の男たちをメロメロにし、
西夏を滅亡に導いていくという設定にアレンジされているわけ。

モテモテの美女だから、それなりに色香が漂い、オトナっぽいのだけれど、
演じている王楚然は、なんと1999年生まれのまだティーンエイジャー!
最近の子は、早熟ですわねぇ。
初出演ドラマであるこの『花と将軍』で見ると、たまに日本の武井咲に似ていると感じることがあったが、
王楚然は身長172センチでスタイルも抜群だから、実物は武井咲よりかなり美女度が高そう。
本ドラマのキャストの中で、最も知名度を上げたのも、彼女だと見受ける。
侶皓吉吉が監督し、侶皓吉吉の父・海岩(ハイ・イェン)が脚本を担当する話題の新ドラマ
『崑崙歸』にもメインキャストで出演するし、これからまだまだ人気が出そうな王楚然。

★ キャスト その④:北宋その他の人々

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于波(ユー・ボー):范仲淹(989-1052)~北宋の名臣

『開封府』など様々な映像作品にも出て来る北宋に実在した名臣・范仲淹も登場。
本ドラマでは、『開封府』より、范仲淹の存在感が大きく、
劉太后の甥である劉太傅や宰相・呂夷簡ら、力のある者たちと対立し、
やはりしばしば左遷の憂き目に遭っている。
演じている于波は、日本だと、映画『楊家将 烈士七人兄弟の伝説』(2013年)の楊二郎や、
ドラマ『孤高の花~孤芳不自賞』の司馬弘の印象が強いだろうか。
マイルドな雰囲気の美中年ですよね。
『花と将軍』の范仲淹は、映像作品史上最も美男の范仲淹かも。



潘時七(パン・シーチー):秋水~葉昭の配下

秋水は架空の人物。
葉昭と同じように、女性でありながら軍服に身を包み、妹の秋華といつもコンビで、葉昭を支える親兵。
実は密かに胡青に片想いしているが、胡青の葉昭への気持ちを分かっているから、一歩を踏み出せない。
物語上、無くてはならない役とまでは思わないけれど、
頬骨の辺りの骨格が、日本の松嶋菜々子にソックリ(…&鼻が不自然)なので、画面に映る度に見入った。
お顔が手付かずかお直しかはさて置き、
その後は、嘉嬪役で出演したドラマ『瓔珞<エイラク> 紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~延禧攻略』も大ヒットし、
ノリに乗っている潘時七なのであります。



張瑤(チャン・ヤオ):趙太妃~趙玉瑾の母 葉昭の姑

趙太妃は、趙玉瑾が虚弱体質だったこともあり、溺愛しまくり、結果、放蕩息子にしてしまった盲目な母。
前出の秋水以上に、出番の少ない役ではあるが、
このドラマを視聴中の2018年10月、東京国際映画祭で観た映画『詩人』の中に
たまたま趙玉瑾ママを見付けたことで、演じている張瑤が気になった。
そもそも『詩人』は、『花と将軍』とは毛色の異なる文芸作品で、演じているのは、主人公の同僚の女工さん。
趙玉瑾ママとはまったく別の顔の張瑤を見て、演技の幅の広さに感心。
その東京国際映画祭で、私がナマ張瑤を見ることは無かったけれど…

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来日して、レッドカーペットも歩いたんですよ~。洋装だと若く見える。
まぁ、実際、張瑤は1980年生まれで、
『花と将軍』で息子を演じた盛一倫とは、ひと回りしか違わないのだけれど。
ちなみに、その『詩人』で張瑤の友人を演じる主演女優は、
綾野剛初の中国映画『破陣子(はじんし)~The Ugly Town』で相手役を務める宋佳(ソン・ジア)。(→参照

★ キャスト その⑤:西夏のロイヤルファミリー

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王策(ワン・ツォ):西夏王李元昊(1003-1048)

この西夏王は、明らかに李元昊がモデル。
私、李元昊が出てくる映像作品なんて、過去に観たことが無いと思い込んでいたのだけれど…

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佐藤純彌監督が手掛けた日本映画『敦煌』(1989年)で、
渡瀬恒彦が演じていたのが、李元昊だったのですねぇ~。
日本人俳優・渡瀬恒彦がどんな李元昊を演じていたか、まったく記憶に無い。
『花と将軍』で漢族の俳優・王策が演じる李元昊は、ワイルド&エロ!
下まぶたにもアイラインを入れ、西域のエキゾチックな雰囲気を醸したエロおやじでございます。



趙磊(ジャオ・レイ):哈爾敦(1032-1048)~西夏王と野利王后の間に生まれた太子

美しい妻を父親に奪われてしまった西夏の太子・哈爾敦は、もちろん寧令哥がモデル。
西夏は、北宋にとって敵国であるが、哈爾敦は誠実な太子として描かれる。
愛した惜音に対しても、とことん誠実で優しい。
なのに、哈爾敦のその優しさも、葉昭と自国・北宋のために惜音が利用していると思うと、遣る瀬無かったが、
最後の最後で、惜音が毒酒をあおり、哈爾敦と共にあの世に旅立ったので、
これで少しは哈爾敦も報われたでしょうか。
哈爾敦は、胡青と同じくらい、私mangoが「お付き合いして上げてもいいわよぉ~」と思える(上から目線)
素敵な男性キャラ。
扮する趙磊の個性的な顔立ちがまた良し。
正統派美男ではないから、余計に純粋で誠実な男性に見える。

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坊主頭の上で、細い三つ編みを螺旋状に巻いた、シナモンロール系(?)の不思議な髪型もインパクト大。



王維琳(ワン・ウェイリン):沒藏雲(?-1056)~野利遇乞の妻から西夏王の寵妃に

沒藏雲は、西夏の第2代皇帝・李諒祚(1047-1068)の生母、沒藏氏/沒藏太后がモデル。
演じているのは、まさに“西域美女”といった感じの彫りの深い顔立ちの女優さん。
中国では、迪麗熱巴(ディリラバ)や古力娜扎(グリナザ)といった
維吾爾(ウィグル)族の美人女優がかなり活躍しているので、
沒藏雲役もそんな女優の一人なのだと想像していた。
そうしたら、名前からして漢族っぽいこの王維琳は、実際、台湾出身のバリバリの漢族。
まぁ、漢族と言っても、1/4オランダ血統。だから、彫りが深いんですねー。
武漢大學在学中から、キャンパスの女神として、注目されていたみたい。
日本だと、東西混血の女優は、時代劇に起用されにくいけれど、
中国の時代劇だと、“西域”枠が必要だから、混血女優も活躍し易い。
映画『空海 KU-KAI』(2017年)で楊貴妃役に抜擢された張榕容(チャン・ロンロン)然り。

★ 衣装

本ドラマに関わった日本人スタッフの中でも、取り分け注目度が高いのは、衣装のワダエミ。
黒澤明監督の『乱』(1985年)で、日本人女性で初めて米アカデミー・衣装デザイン賞を獲得したワダエミは、
中国の大物監督とのコラボも多く、
中でも、張藝謀(チャン・イーモウ)監督の『HERO』(2003年)や『LOVERS』(2004年)の衣装は有名。
でも、お仕事はあくまでも映画が中心で、ドラマはやらない。
しかも、1937年生まれのワダエミは、すでに高齢で、近年は仕事をセーヴしているという。

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そんなワダエミを“一生的偶像”、“唯一的女神”と讃える侶皓吉吉が、
三顧の礼をもって、参加してくれるよう口説き落としたとのこと。



では、そこまで熱烈に迎えられたワダエミが手掛けた『花と将軍』の衣装や如何に。
近年の大陸史劇は、どんどん本物志向になっており、独創性より、史実に即したデザインが増えてきている。
予算がある場合は、ファブリックや刺繍など細部にこだわり、それはそれは、豪華で美しい。
一方、『花と将軍』は、独創性勝負。
低予算の中でアイディア勝負した侶皓吉吉監督の前作『太子妃狂騒曲』の衣装を、
コンセプトをそのままに、増えた制作費で、豪華に進化させた、…という印象。

つまり、ズバリ“色”勝負。
宋代には存在しなかったであろうヴィヴィッドな色、色、色の洪水で見せる衣装。
その特徴が顕著なのが、(↓)こういう軍服。

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これを見て、連想した他作品がある。

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張藝謀監督初の英語作品『グレートウォール』(2016年)。
この映画は、時代背景をハッキリとは特定していないけれど、
実は『花と将軍』と同じ、北宋・仁宗の時代を描いていると捉えられている。
部隊ごとに色分けし、それぞれ単色で表現された衣装の軍服は、『花と将軍』に非常に近い。
ちなみに、『グレートウォール』の衣装担当は、メキシコ出身の女性衣装デザイナー、マイェス・C・ルベオ。

あと、(↓)このように

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布の色と動きで見せるという点では…

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同じく張藝謀監督作品で、ワダエミが担当した『HERO』の衣装が重なる。


全ての衣装が時代から逸脱したオリジナリティ勝負なのかと言うと、そんな事もなく…

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例えば、この仁宗の衣装などは、残されている肖像画に近いですよね。


衣装の話からは反れるが、
ヴィジュアル面で、もう一つ気になったのが、風を送って黄色く色付いた銀杏の葉を舞わすシーン。

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銀杏のシーンと言えば、やはり張藝謀監督の『HERO』の印象が強い。
侶皓吉吉の頭の中には『HERO』の色彩のイメージが有って、
それを『花と将軍』に取り入れたかったのではないだろうか。
だからこそ、『HERO』で衣装を担当したワダエミに参加して欲しかったのでは…?


正直言って、『花と将軍』の衣装は、私好みではなかった。
私個人が好む史劇の衣装は、色味がもっとシックで、刺繍など手が込んだ物。でもね…

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こういう衣装は、色からもデザインからもポストモダンな雰囲気を醸しており、
ポスター等に使うと、インパクトがあって、素敵ですね。

★ テーマ曲

テーマ曲、オープニングは、崔子格(ツイ・ズーグー)と主演男優・盛一倫のデュエット曲<愛在上>
エンディングは、盛一倫が単独で歌う<忠貞>
『太子妃狂騒曲』のテーマ曲を聴いた時にも思ったのだけれど、盛一倫は歌も上手い。
声質が、切ないバラード向きなのかも。
本当はエンディング曲の方が好きなのだけれど、公式MVがYoutube上に見当たらないので、
ここには問題の無いオープニング曲<愛在上>の方を貼っておく。





制作費が激増したことで、『太子妃狂騒曲』のB級感は薄れ、
かと言って、本格史劇と比べるとチャラく、なんとも中途半端、…というのが第一印象。
が、作風がライトなので、テキトーに流すには丁度良く、ダラダラ視聴を続けていたら、
意外にも物語に史実が上手いこと絡んでいると気付き、
結果的には、“ハマった”という程ではないにしても、案外楽しめてしまった。
『開封府』と時代が重なっているので、“もう一つの『開封府』(コメディ版)”として観るのも、良いかと。
史劇は観る本数が増えると、頭の中で、色んな作品の時代や人物がパズルのように組み合わさっていき、
知らず知らずの間にお勉強になっている。

あと、主人公の二人、趙玉瑾と葉昭の掛け合いは、見ていて和んだ~。
趙玉瑾のことが大好きで、趙玉瑾をやたら褒めちぎる葉昭の可愛らしいこと…!
よく“夫は褒めて育てる”などと言うけれど、葉昭には、そんな計算は無いの。
趙玉瑾は最高!と心底思っているからこそ、何も考えずに思ったままを口にしている。
単純明快な葉昭は、チャーミング。
『武則天-The Empress-』『ミーユエ 王朝を照らす月』では、女に嫌われる女を演じていた馬思純も、
『花と将軍』では、同性に支持されそう。
褒められて満更でもない様子の趙玉瑾を演じる盛一倫もまたお茶目でありました。

映画『夜明け』

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【2019年/日本/113min.】
ある朝、涌井哲郎は、川辺で気を失い倒れている青年を見付け、自宅に連れ帰り、介抱する。
間も無くして、見知らぬ家の布団の中で目覚めた青年は、
戸惑いながらも、元は渋谷に居た事と、名前が“ヨシダシンイチ”である事をポツリと告げる。
多くを語りたがらないシンイチに、哲郎も多くを尋ねることなく、  
そのまま家に住まわせ、自分が経営する小さな木工所で働かせるように。
シンイチは、木工所の従業員たちからも温かく迎え入れられ、徐々に言葉を交わすようになり、
哲郎が、8年前に妻と息子を交通事故で亡くしている事、
木工所の事務員・成田宏美との再婚を控えている事、
そして、哲郎の亡き息子の名が“涌井真一”であった事を知る。
そう、偶然にもシンイチは、哲郎の息子と同じ名を名乗っていたのだ…。



是枝裕和監督、西川美和監督が中心となって、2014年に設立された制作者集団・分福が送り出す新人、
広瀬奈々子監督による長編デビュー作。

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広瀬奈々子監督は、1987年生まれ、武蔵野美術大学映像学科で学び、
前出の是枝・西川両監督のもとで、助手を務めた人らしい。
オリジナル脚本を重視する師匠たちと同じように、
広瀬奈々子監督もまた、このデビュー作を自身のオリジナル脚本で撮っている。

私が、この『夜明け』という映画を気にするようになったのは、
第19回東京フィルメックスのコンペティション部門に選出された時。
すでに配給が付いていたので、その時は、観なかったけれど、
結果、スペシャル・メンションを受賞。(→フィルメックス授賞式については、こちらを参照)
正式な公開が、余計に楽しみになった。




本作品は、秘密を抱え、素性を隠した青年・シンイチが、息子を亡くした孤独な男・哲郎と暮らすようになり、
徐々に絆を強めていくも、現実と向き合い、新たな一歩を踏み出そうとするまでを描く人間ドラマ


疑似家族のユニット結成から解散までを描いた物語という点では、
広瀬奈々子監督の師匠、是枝裕和監督のパルム・ドール受賞作『万引き家族』(2018年)と共通。
但し、この『夜明け』は、
お金で繋がった赤の他人同士が、血縁者以上の絆で結ばれている疑似家族を描いた『万引き家族』とは、
またちょっと異なる。

主人公のシンイチ、本名・芦沢光は、
毎週日曜は全員揃って食事をするという理想的な家族の中で育った青年。
でも、彼は、そんな理想を演じる家族を“茶番”だと言う。
彼自身は、大学を出たものの、就職先が見付からず、ファミレスのキッチンで働き、
結局、後々引きずることになる、ある事件に関わってしまう。

川辺で倒れていたところ、救出し、何も詮索せず、住む家から仕事まで与えてくれた哲郎の優しさは、
芦沢光の閉ざした心にも徐々に響き、芦沢光もまた哲郎の優しさに応えようとし、
二人は、本当の父/息子とは築けなかった穏やかな疑似親子関係を築くようになる。

最初に、芦沢光が、哲郎の亡き息子と同じ“シンイチ”と名乗ったのは、偶然でしかないけれど、
その後、髪を哲郎の息子・真一と同じ金髪に染めたり、真一が着ていたジャケットを着るようになったのは、
芦沢光自らが、真一代わりになって、哲郎の優しさに応えようとした、意識的な行為と見受ける。


では、涌井哲郎側の心情や如何に。
この人、川辺で救出した青年の名が“ヨシダシンイチ”なんかじゃない事を、実は最初から知っていたのだ。
何も詮索せず、芦沢光を温かく迎え入れた哲郎は、慈悲の心に満ちた善良な大人に思えるけれど、
実のところ、哲郎もまた、芦沢光と接する事で、、息子・真一の死で空いた心の穴を埋めている。

血縁なんか無くても、互いが互いを必要とし、支え合えるのなら、疑似親子も悪くない。
…が、ある時から、芦沢光は、哲郎が、自分に真一を完全に重ねて見ていることに気付いたのであろう。
このままでは誰も幸せになれない、そう悟ったからこそ、再び自分の意思で髮を元の黒に戻したのよねぇ?
現実が見えなくなっている孤独なおっさんを目覚めさせる決意の染髪…!




心に重しのある老若二人を演じているのは…

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素性を隠し、“ヨシダシンイチ”の偽名を名乗る26歳の青年・芦沢光に柳楽優弥
シンイチに救いの手を差し伸べる、妻子を亡くしな孤独な男・涌井哲郎に小林薫


フィルメックス授賞式で、スペシャル・メンションを受賞し、登壇した広瀬奈々子監督が、
「受賞は柳楽さんの繊細な演技のお陰」、「この喜びを柳楽さんと分かち合いたい」と
盛んに柳楽優弥の名前を連発していたので、彼がどんな演技をしているのか興味津々だったのだけれど、
実際に作品を観たら、その興味も期待も裏切らない演技であった。

私が柳楽優弥を知ったのは、勿論、是枝裕和監督の『誰も知らない』(2004年)である。
この作品で、柳楽クンは、若干14歳にして、第54回カンヌ国際映画祭の主演男優賞を受賞。
ただの噂なのか本当なのかは知らないけれど、
『2046』が同じくカンヌでノミネートされていた梁朝偉(トニー・レオン)が、
「まだ演技も分かっていないこんな子供に受賞させるとは…」と批判したという話も漏れ聞こえた。

私自身、あの主演男優賞は、疑問であった。
『誰も知らない』は大好きな作品だし、柳楽優弥もとても魅力的で印象深かったけれど、
あくまでも是枝裕和監督の演出力の賜物であり、主演男優賞とは違うと感じた。

その後、案の定と言わんばかりに長く続いた低迷期から見事抜け出し、
近年は若手の実力派と称される柳楽クン。
私も、良い俳優になったと思っているが、
『誰も知らない』以降で、“代表作”と呼べる作品となると、もうこの『夜明け』なのでは…?
それくらい『夜明け』での柳楽優弥は良いし、『夜明け』がほぼ“柳楽優弥の演技鑑賞作品”にも感じた。


まぁ、そんな風に言ってしまうと、『夜明け』がまるで“柳楽優弥独壇場作品”のようですね。
実際には、小林薫の存在感も非常に大きい。
私にとって、『夜明け』は、柳楽優弥&小林薫のダブル主演作という認識。
双方の想いに共通点と、その後見えてくる相違点が有って、成り立っている作品。

小林薫が演じている涌井哲郎は、
恐らく無意識の内に、妻子を亡くした心の穴を、成田宏美という女性で埋めようとしていたのに、
まるで神様からの贈り物かのように、芦沢光が目の前に現れ、彼が成田宏美以上の安定剤となっていく。
人との出逢いで希望が湧いたり、人に尽くすことで自分も生き甲斐が感じられるなら、それも悪くない。
そんな哲郎に、明らかな異変を感じられたのは、彼が芦沢光の免許証を燃やすシーン。
「お前は悪くない、そんな過去は忘れてしまえ」
と芦沢光を肯定し、励ます哲郎は、一見頼れる大人の男性であるが、
あの瞬間、哲郎が、芦沢光というアイデンティティを焼却し、
彼を完全に自分の息子・涌井真一にしてしまったようにも思え、ゾッとした。

あと、もう一つ。
こっそり出ていこうとする芦沢光に、「行くなっ!お前が必要なんだ!」と叫ぶ哲郎に、
『おっさんずラブ』を重ねてしまったなんて白状したら、
『夜明け』に感動した皆さまから、ヒンシュクを買いますよね、やっぱり…。





タイトルの『夜明け』は何を意味しているのか。
自分の名前は“シンイチ”ではない、本当は“芦沢光”だと堂々と言い放ち、木工所を出ていった青年には、
長いトンネルから抜け出たような清々しさも感じた。
全てがクリアになった訳ではないけれど、次の新たな一歩を踏み出した彼にとっては、“夜明け”であり、
あの幕締めはハッピーエンディング。
でも、じゃぁ、木工所で置いてけ堀りになった哲郎は…?と考えると、ちょっと切ないワ。
まだ26歳の芦沢光とは違い、もう初老のおっさんである哲郎が、立ち直れるのか、心配。

人が抱える心の空白部分とか、簡単には割り切れない人間関係とか、色々考えさせられると同時に、
青年の過去や正体が徐々に紐解かれていくミステリー的な要素にも観入ったし、
柳楽優弥の演技も良くて、楽しめた。

ケーキ3種(+噂をすれば曹操)

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中国語を多少解する人なら、“噂をすれば影”を、
中国語では“說曹操、曹操到(曹操の話をすると、曹操が来る)”と表現することは御存知ですよね。
当たり前だけれど、曹操(155-220)が存在する以前には、このような言い方は無かったハズで、
後世の人々がいつの頃からか使いだしたのであろう。
中国の歴史ドラマを観ていても、三国志以前を背景にした物だと、
“說曹操、曹操到”などという台詞は出てこない。
では、いつ頃から使われるようになったのかと、以前からなんとなく気になっていたら、
wowowで放送中の『三国志 司馬懿 軍師連盟~大軍師司馬懿:軍師聯盟/虎嘯龍吟』の中に、答えが。

それは、前回、2019年1月19日(土曜)放送の第52話の中。

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チクリチクリと嫌味を言う妻・張春華(189-247)が、この言葉を使ったことに、夫・司馬懿(179-251)が反応。
曰く、“說曹操、曹操到”は、東漢/後漢のラストエンペラーである劉協(181-234)が、
武帝(=曹操 155-220)のことを“耳ざとい”と評するのに使った言葉。
だから、我らが魏でそんな言葉を使うのは、禁忌であるぞ、と勝ち気な女房・張春華を戒めるのです。

へぇー。
もちろん、由来には、諸説あるのだろうけれど、この説も充分有り得そう。
ちょっと意外だったのは、想像していた以上にこの表現が大昔から存在していたこと。
但し、ちょっと調べたところ、民間人の間で広く使われだしたのは、やはりかなり後年になってからで、
清の時代と見られているらしい。
なぜ清代かと言うと、清朝初期に毛宗崗が改修した<三國志演義>とか、
清末の長編小説<孽海花>の中で使われたからなのだとか。
お勉強になりました。



あっ、全然関係無いけれど、(↓)こちらも。綾野剛with主演中国映画『破陣子』ケーキ。

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中国の撮影現場では、出演者にこのようなデコレーションケーキを贈る光景をよく目にする。
これも、よく出来ていて、素敵。
上にのっているのが、恐らく、綾野剛扮する壇ノ浦の戦いで身投げした日本の貴族なのでしょう。
綾野剛は、現在すでに日本に帰国しており、新たな作品の撮影に入っているようだけれど、
微博はボチボチ更新されており、共演者たちとの交流も続いていることが窺える。
なお、主演中国映画『破陣子(はじんし)~The Ugly Town』については、こちらから。



私もケーキ♪
今回は一気に3ツ。
綾野剛の『破陣子』ケーキと比べると、色は地味な茶色の“非インスタ映え”だけれど、お味は良し。

★ ジャン=ポール・エヴァン:ベルガモット

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大きさは、大体長さ8センチ×幅2.5センチ×高さ4.5センチ。
ベルガモット風味のガナッシュ、オレンジ風味のクレーム、ミルクチョコレート・ムースを層に重ねたケーキ。





一つ目は、ジャン=ポール・エヴァン(公式サイト)“ベルガモット”
2019年初のジャン=ポール・エヴァンとして食べたロンシャン・フイユテに満足し切れなかったので、
どうしても納得したくて、別のケーキで再挑戦。

ベルガモットを使ったケーキは、“ベルガモ”の名で以前から定番で有り、私も当然食べたことがあった。
いつの間にか名前もデザインも変えた、改訂版を売るようになっていたのですね。

パッと見て、かつての“ベルガモ”と一番異なる点は、上に板状のジュレがのっていること。
表面には砂糖がジャリッとまぶされており、
板状にのばしたパート・ド・フリュイといった感じ。

外からは分かりにくいが、底部には、フィユティーヌが敷かれており、こちらはサクサクの食感。
ガナッシュ部分は、濃厚な味わいで、マダガスカル産のカカオを使用。
同じチョコレートでも、ミルクチョコレート・ムースの部分はマイルドで、また違う味わい。
そこにさらに柑橘の味と香りが加わり、爽やか。


ジャン=ポール・エヴァンは、最近なぜケーキをリニューアルしたのだろうか。
パティシエが変わったの?
お気に入りのロンシャン・ショコラが無くなり、
代わりに登場したロンシャン・フイユテには納得できなかったけれど、
ベルガモット使用のケーキは、見た目も味も、変更後のこちらの方が好き。

★ ブロンディール:レザン・ノワール・カフェ

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大きさは、直径約7センチ、高さ約2.5センチ。
コーヒーシロップをしみこませたスポンジ生地と、コーヒー・バタークリームを層に重ね、
上にラムレーズンを散らしたケーキ。




続いて、ブロンディール(公式サイト)“レザン・ノワール・カフェ”
焼き菓子ばかりで、ナマのケーキはなかなか食べる機会に有り付けないブロンディール。
しかも、たまの機会に買ってしまうのは、大抵ムラング・シャンティ。
今度こそ、違うケーキを選んでみた。

なぜこれを選んだかというと、トップにたっぷり散らされたレーズンに心惹かれたから。
見るからに美味しそう…。
もったいぶらず、充分な量がのっているし、ひと粒ひと粒がプルンとした、良質なレーズン。
メインの部分は、おフランスの定番ケーキ“オペラ”に似た感じ。
濃厚だが、変な重さの無いバタークリームで、食感はオペラより、やや軽め。


ラムレーズンにバタークリーム、そしてコーヒーの風味と、間違いの無い組み合わせ。
第一印象で予感した通り、美味であった。

★ ル・フレザリア・パティスリー:シュー・フロランタン

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大きさは、直径約6センチ、高さ約5センチ。
中にキャラメル・カスタードとヘーゼルナッツ・カカオクリームを詰めたシュー生地を
フロランタンで覆ったお菓子。




最後は、ル・フレザリア・パティスリー(公式サイト)“シュー・フロランタン”
今現在、同店で一番好きなケーキ。

簡単に言ってしまうと“リッチにアレンジしたシュークリーム”。
通常のシュークリームだと、中に生クリームかカスタードクリーム、もしくはその両方が入っている。
これの場合、主となるクリームはキャラメル・カスタードクリームで、
その中央にさらにヘーゼルナッツ・カカオクリームを詰めた、クリームの2種使い。
キャラメル・カスタードクリームは、まったり滑らかで、ナッツの風味が効いている。
ヘーゼルナッツ・カカオクリームは、“高級版ヌテッラ”という感じ。

で、一番の特徴は、全体をフロランタンで覆っていること。
フロランタンは、キャラメルを絡ませたスライス・アーモンドをたっぷり使った伝統菓子。
これも、表面がキャラメルとアーモンドで覆われているの。
食感はサックリ。
香ばしいアーモンドの風味と、キャラメル特有の甘苦さが、中のクリームとの相性抜群。


ル・フレザリア・パティスリーは、
いわゆる“インスタ映え”する可愛いケーキを数多く提供しているケーキ屋さん。
だが、いざ食べると、見た目が良い分、「あら、案外フツー…」とガッカリしてしまうことも、しばしば。
このシュー・フロランタンは、茶色い塊で、見た目は地味だけど、味は最高!
シュークリームは、普段好んで食べるお菓子ではないし、
伝統菓子に奇を衒ったアレンジを施すのも、好きではないが、
これは上手いアイディアだと感心する。
これは、ル・フレザリア・パティスリーの傑作に認定。

キムタク×竇靖童Levi's新CM

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木村拓哉と竇靖童(リア・ドゥ)が共演したジーンズメーカーLevi'sの新CMが公開。


(↓)こちらが、その新CM。


60秒のショートムーヴィ仕立て。
二人の個性がそれぞれに出ていますね。
日本語と中国語がクロスするのもいい感じ。


竇靖童って、誰ヨ?!って方、
彼女は、あの王菲(フェイ・ウォン)と、
王菲の最初の夫でミュージシャンの竇唯(ドゥ・ウェイ)の間にできた1997年生まれの長女。
両親のDNAを受け継ぎ、早い内から音楽で才能発揮。
日本では、これまで他にも、水原希子が、竇靖童と親しく交流している様子が漏れ伝わってきている。


キムタクはかつて、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督作品『2046』(2004年)で…

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竇靖童のママン、その王菲と共演。

そんな訳で、昨日1月21日(火曜)、キムタクは自身の微博で…

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古い知人の娘とのこんなツーショット写真を公開。
キムタクも王菲も、すでに大きな子がいて、こうして世代を超えた繋がりもあることに、時の流れを感じます。
(もしかして、王菲とKokiを共演させる別ヴァージョンの用意も有ったりして…。)



今現在、このCMについてはよく分かっていないのだれど、どうも王家衛監督絡みみたいじゃなぁい…?
バックに流れている曲も、王家衛監督作品でお馴染みの曲だし。
(実際、王家衛はキムタクが踊る別の映像を同時期に発表しているし。)
詳細が知りたい。

第30回ジュエリーベストドレッサー賞

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現在東京では、IJT東京国際宝飾展が開催中。
そして、会期2日目の本日1月24日(木曜)には、例年通り、ジュエリーベストドレッサー賞の授賞式。


キリの良い30回目の今年、賞を受賞したのは以下の人たち。

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10代      :浜辺美波
20代      :吉岡里帆
30代      :橋本マナミ
40代      :常盤貴子
50代      :紫吹淳
60代以上   :森昌子

男性       :舘ひろし

特別賞女性  :コシノジュンコ
特別賞男性  :加山雄三



近年ずーーーーーっとボヤいているけれど、
このイベント、受賞者の選定に、すっかり行き詰っているわよねぇ…?!

そもそも、質素を良しとする傾向にある日本で、“宝石の似合う有名人”などほぼ皆無。
このようなイベントを開催すること自体に無理がある。
(もっとも、日本人にとってジュエリーが身近ではないからこそ、
関係団体が、普及の目的で開催し続けているのだろうけれど。)

それにしても、まさか森昌子が選ばれるとは予想外。
森昌子は、離婚して、芸能界に復帰したら、面白いおばちゃんに変身していて、私も好きだけれど、
でも、ジュエリーのイメージからは、限りなく遠い。
若い頃は“花の中三トリオ”でしこたま稼いだだろうに、純朴さは消えず、
今でも、ショボい手作りビーズアクセサリーを身に付けていそうな印象がある。

舘ひろしは、“ジュエリー”ではなく、“ハズキルーペ”のイメージ(笑)。
あっ、でも、この顔ぶれの中で、私が今年一番ナマで見たいのは、舘ひろし。
70に手が届きそうなおっさんのフェロモンを浴びてみたい。

女性で一番の大物は常盤貴子という気がするけれど、過去にすでに目撃済み。
となると、狙うべきは、旬の吉岡里帆や橋本マナミ。
“怖いもの見たさ”なら、コシノジュンコか。
うーん、あと、やはり森昌子は見ておきたい。

★ 結果

見逃したのは、紫吹淳、森昌子、加山雄三。
あとは見ることができた。
私の友人知人も、誰も森昌子を見ていない。
皆、「まぁ、森昌子は別にいいわ」とアッサリしたものだが、私はマサコも見たかった。

見ることができた残りの6人の中では、浜辺美波だけ写真を撮っていない。
(撮れなかったのではなく、撮る気さえ起きなかった。)


撮ったのは、(↓)こんな人々。

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常盤ちゃんの周りは、人だかりができていて、撮影困難。
小柄で、腰の位置が低く、スタイルはお世辞にも良いとは言えないが、お肌の質感はThe女優!



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橋本マナミは、全然“愛人”感など無く、拍子抜けするほど普通の人。
朝の通勤電車に乗っているOLたちとと、何ら変わりなし。



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むしろ、普通っぽさで売れた吉岡里帆の方が可愛くて、キラキラしていた。



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ジュンココシノは期待を裏切らないイメージ通りのジュンココシノ!
ロバート秋山クリエイターズ・ファイルのファッションアドバイザーYoko Fuchigamiみたいで、感激。


でもね、実は、今回一番印象に残ったのは、舘ひろしなのです…!

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舘ひろしに抱いていたギラギラした脂っこさは皆無。
こんなに品のいいダンディだったとは…!
ヨーロピアンと並んでも大顔に見えないだけでも、奇跡の68歳…!
見た目の良さだけではなく、態度も洗練されていて、日本人男性っぽくない。
ぎゃーっ!超ステキ!mango、メロメロ。
これは、私の周囲の人たちもみんな同意見。
皆、口々に、「えっ、こんなカッコよかったの?!」、
「もっとマフィアみたいだと思っていたら、全然違う紳士だった!」と絶賛。


他、日本の女性芸能人は、ことごとく小柄とか、
橋本マナミがあまりにも平凡で、吉岡里帆の方がむしろ芸能人っぽかった、…なんていうのが、共通の感想。




ちなみに、このイベント、昨年から急に、撮影にお咎めナシ。
日本もようやく海外に近付いてきたようです。

映画『カイジ 動物世界』

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【2018年/中国/132min.】
やる気無く、ただ一日一日を過ごしている鄭開司の元に、親友の李軍が訪ねて来て、
家を担保に大きく稼げるチャンスが有ると、儲け話を持ち掛ける。
あの家は、亡くなった父が遺した唯一の財産。
それをリスクに晒すわけにはいかないと、一度は話を蹴った開司であったが、
意識が戻らない母の入院代もろくに支払えず、
幼馴染の劉青に甘えるばかりの自分の不甲斐なさに嫌気がさし、考えを一転、李軍に家の権利書を託す。
ところが、その後、李軍は音信不通に。
途方に暮れる開司に、謎の人物が接近してきて、耳を疑う話を告げる。
なんと李軍は、開司を騙していたのだ。
彼は、開司から託された権利書を失うばかりか、カジノでさらに借金を増やし、トンズラ。
李軍が残した多額の借金は、いつの間にか保証人にされていた開司が背負う羽目に。
日々の生活もままならない開司に、多額の借金など返済できるわけがない。
そこで、アンダーソンと名乗る負債者が、開司に一つの提案をする。
間も無く港を出るディスティニー号に乗船し、そこで行われるゲームに参加しろというのだ。
上手く行けば、多額の借金も一括で返済可能だという。
心を決めた開司は、「一週間で戻る。もし戻らなければ、母さんの面倒を頼む」と劉青に言い残し、
一か八かのチャンスに賭け、ディスティニー号に乗り込むが…。



日本の福本伸行によるコミック<賭博黙示録カイジ>を、
中国の韓延(ハン・イエン)監督が映画化。

この原作コミックは、余程人気があるのだろうか。
中国で映画化される以前にも、日本国内で、アニメ、ゲーム、実写映画等になっている。
日本で実写映画を手掛けたのは、佐藤東弥監督で、
『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009年)と『カイジ 人生奪還ゲーム』(2011年)の2本が制作されている。

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私は原作未読。日本の映画版は、一本目の『カイジ 人生逆転ゲーム』のみ観ている。

原作コミックを知らないくらいだから、中国版映画も、題材に惹かれて観に行ったわけではない。
興味が湧いたのは、良い評判を耳にするから。
日本では、Netflixでの配信以外にも、
現地中国で公開され数ヶ月後の2018年10月に、東京・中国映画週間で上映。
スクリーンで鑑賞できるまたと無いチャンスだったのに、日程が合わず、断念。
そうしたら、“未体験ゾーンの映画たち2018”のラインナップに入っていたので、今度こそ鑑賞。




本作品は、寝た切りの母を抱え、困窮する青年・鄭開司が、
いつの間にか保証人として、背負わされた6百万元もの大借金を一括返済するため、
負債者から提案で、謎の大型船舶・デスティニー号に乗り込み、
船内で行われる命懸けのカードゲームに参戦する様子をスリリングに描く人生再生人間ドラマ


原作コミックを知らない私は、
無意識の内に日本版の映画『カイジ 人生逆転ゲーム』と比較しながら鑑賞。

日本版とこの中国版では、異なる点が数多く有るけれど、ここでは、大きな違いを2ツだけ挙げておく。
一つ目は、主人公の性格設定。
日本版では、主人公の伊藤開司はクズだったけれど、中国版の主人公・鄭開司は、それ程のクズではない。
日本の伊藤開司が謎の船に乗船するのは、勿論借金返済が目的だけれど、
それだけではなく、グダグダの自分の人生を変えたい、最低な自分自身を変えたいという気持ちも大きい。
一方、中国の鄭開司は、彼自身がクズと言うより、今が人生の低迷期。
寝た切りの母親を抱えるが、入院費用も賄えない自分の不甲斐なさに自信喪失状態。
そこで、親友・李軍から持ち掛けられた儲け話に乗り、
唯一の財産である亡き父が残した家の権利書を託すが、李軍はそれを持ってトンズラ。
家を失ったばかりか、いつの間にか保証人として、李軍が残した大借金まで背負わされ、
止むを得ず、デスティニー号に乗船することになる。

もう一つの違いは、作中描かれるゲーム。
日本版の伊藤開司が作中行うのは、
カードゲーム限定ジャンケンと、上空に設置された電流の走る細い鉄骨を渡り切る電流鉄骨渡り、
そして、皇帝、市民、奴隷のカードで競うEカードという3種類のゲーム。
一方、中国版は、限定ジャンケンだけに絞って描いている。

限定ジャンケンとは。
各参加者は、配布された星のバッジ3個と、グー、チョキ、パーそれぞれ4枚、計12枚のカードを持って、
他の参加者と一対一でジャンケンを行い、勝ったら対戦者から星をもらい、負けたら相手に星を差し出し、
アイコならそのままというルールの中で勝負を繰り返し、
制限時間内にカードを使い切り、星を最低3個得ていなければ負けで、別室に送られるというゲーム。
ジャンケンなんて運任せだなんて思ったら、大間違いで、
心理戦であり、また緻密な計算で勝ちも有り得る頭脳派ゲームなの。

日本版だと、限定ジャンケンは、3ツのゲームの内の一つでしかないので、描き方はシンプル。
中国版だと、この限定ジャンケンが作品のメインになるので、当然詳細に描かれている。
日中どちらにも、長所も短所も有り。
日本版は、描き方が浅いので、“頭脳ゲーム”の印象は薄いが、ゲームの進行状況や勝敗が分かり易い。
中国版の方は、完全に“頭脳ゲーム”のプロセスを見せる描き方である。
丁寧に説明されるし、ハラハラ感も有るけれど、
原作コミックを知らない上、計算も苦手な私は、イマイチ進行状況が掴めず。
家のテレビで観ていたら、説明の度に一時停止し、理解してから、また先に進むことも出来るけれど、
映画館じゃぁ、そんな事出来ないから、
スクリーンの中でなんか凄い計算と駆け引きが行われているんだろうなぁと傍観しつつ、
チンプンカンプンなままゲーム終了、…って感じ。




出演者をザッと日本版と比較。

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借金を背負わされ、デスティニー号に乗船する鄭開司に李易峰(リー・イーフォン)
鄭開司に借金返済を迫り、デスティニー号への乗船を勧めるアンダーソンにマイケル・ダグラス
鄭開司と曖昧な関係を続ける看護師・劉青に周冬雨(チョウ・ドンユィ)等々…。


日本版で主人公・伊藤開司を演じているのは、藤原竜也。
藤原竜也を見る度に、ガタガタな歯並びが気になってしまう私。
あの歯並びのせいで、セレブな二枚目社長の役などには説得力がない藤原竜也だが、
逆に、ビンボー臭い役や、貧相な役はとても合う。
日本版『カイジ』でも、藤原竜也扮する伊藤開司からは、
いかにも開店前からパチンコ店で列を作ってそうなニートな雰囲気がプンプン漂って来て、適役なのだ。

藤原竜也=開司というイメージが、私の中ですっかり定着してしまったため、
中国版でその主人公を李易峰が演じると知った当初は、藤原竜也と比較して、ちょっと懸念。
李易峰ではイケメン過ぎて、ビンボー臭さやクズ感に欠ける!と感じたのだ。

いざ映画を観たら、前述のように、中国版ではそもそも開司の設定が多少違う。
寝た切りの母親を抱えているのに、お金も無く、若干自暴自棄にはなっているけれど、クズとは言い難い。
さらに、乗船してゲームを開始すると、亡き父が数学者だっただけあり、息子の開司もかなり頭がキレるし、
決断力やリーダーシップもある。

そう、そう、もう一つ、日本版には無い設定が。
中国版の鄭開司は、子供の頃に観たアニメ『無敵小醜怪(無敵のピエロ)』で、
ピエロが怪物たちを倒していくシーンを、なぜか克明に記憶しており、
今でも事あるごとに、自分がそのピエロになる妄想に襲われる。

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だから、李易峰が、度々このような扮装で登場。
この厚化粧では、中身が李易峰かどうかなんて、見分けが付きませんよねぇー。
こういうピエロのシーンが、かなり挿入されていることもあり、
現実味のある日本版より、中国版はハリウッド娯楽超大作のような雰囲気がある。


ハリウッドと言えば、日本版で香川照之が演じている利根川幸雄に当たるアンダーソンの役を、
なんと中国版では、ハリウッドスタア、マイケル・ダグラスが演じている。
日本版の香川照之と比べると、出番はやや少ない“特別出演”といった感じだけれど、存在感は抜群。
ちなみに、台詞は中国語ではなく英語。
このアンダーソンに限らず、中国版は、日本版より乗船者の顔ぶれが国際色豊かで、
皆それぞれに母国語を喋っている。
(みんな最先端の翻訳機を装着しているから、各々が母国語で喋っても、通じ合えるという設定。)


周冬雨が演じている劉青は、日本版で天海祐希が演じている遠藤凛子に当たる役ではない。
まったく関係ナシ。日中それぞれの作品で、唯一の女性重要人物なので、一緒に並べて出しただけ。
劉青は、鄭開司とは幼馴染みの看護師。
鄭開司は、本当は劉青のことが好きなのだけれど、
自分の惨めな現状を考えると、積極的になれず、曖昧な関係を続けている。
本作品では、周冬雨ちゃんのナース姿が見られますヨ。



他には、こんな面々が出演。

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鄭開司から家の権利書を奪って消えた諸悪の根源である親友・李軍に曹炳琨(ツァオ・ビンクン)
限定ジャンケンで、最初に鄭開司を騙す張景坤に蘇可(スー・コー)
鄭開司&李軍とチームを組むことになるおデブの孟國祥に王戈(ワン・ゴー)
敗者が集められた小部屋で、鄭開司に息子と連絡を取ることを頼む初老の男に姚安濂(ヤオ・アンリエン)

卑劣な手段で鄭開司を最初に裏切る蘇可扮する張景坤は、
日本版で演じていた山本太郎も、非常に印象深かった。
作品終盤に登場する姚安濂扮する男性は、日本版で光石研が演じていた役。





私の頭では、限定ジャンケンの解説について行けなかったのが、残念。
あそこをよく理解できれば、この映画をもっと知略の作品として、より深く楽しめた気がする。
主人公の鄭開司が、ピエロの幻想に囚われる設定は、
原作コミックのファンだと、もしかして受け入れ難いかも知れないけれど、私は、これはこれで“アリ”。
しかも、このピエロの幻想や、謎の男アンダーソンは、鄭開司の父の死にどうも関係している事を匂わす。

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2020年に現地公開予定の続編は、どうやらその数学者の父親にもっとフォーカスしていくみたい。
で、韓延監督の手で、中国版『カイジ』は3部作まで制作されるようです。

なお、この『カイジ 動物世界』、
未体験ゾーンの映画たち2019、東京での上映は、もう全て終了してしまったけれど、
大阪だと、まだこれから。
日本版より豪華でスタイリッシュな映像を、劇場のスクリーンで堪能したい方は、この機会にどうぞ。

雪乃下のケーキ2種(+Apple春節微電影by賈樟柯やテレビ雑記)

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2019年の春節は、2月5日(火曜)。
その春節までカウントダウンに入った1月25日、中国では、アップルストア北京王府井店にて、
iPhone XSで撮影した春節ショートフィルムのプレミア上映会を実施。
昨年は、陳可辛(ピーター・チャン)監督が、iPhone Xで撮影した<三分鐘~Three Minutes>を発表。
今年は、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督による<一個桶~The Bucket>という作品。


バケツいっぱいの砂なんて、重くて仕方が無いけれど、卵が割れないようにという母親の心遣いだろうか。
都会で何不自由なく暮らしている子供に、
不要とも思える故郷の味を、あれやこれや持たせたがる母心は、万国共通ですね。
「The taste of home will always bring us back」は、これを観たアップルCEOティム・クックの評なのだとか。
去年の陳可辛監督作品<三分鐘>も良かったが、今年の賈樟柯監督のも、ジーンと心が温まりましたヨ。


ちなみに、賈樟柯監督は、最近また来日していたようで、
山田洋次監督や野上照代女史に再会している他…

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浅野忠信にも会っているの。
賈樟柯監督×浅野忠信コラボ作品が実現するなら、観てみたい。

ちなみに、ちなみに、同じく“信”の字を名に持つ安藤政信は、
2018年6月、上海國際電影節のために訪中した際、一緒に仕事をしてみたい中国の映画監督を聞かれ、
「ずっと賈樟柯監督のファン」、「『長江哀歌』(2006年)がすごく好き」と回答。
それを中国の安藤政信ファンが、賈樟柯監督に伝えつつ、
「安藤政信はあなたのファンなんです!彼にチャンスを与えて上げて!」と微博を通し、直訴したところ、
賈樟柯監督は「必须的(是非そうしなきゃね)」と返答。
その事を、安藤政信本人は、知っているのでしょうか…?夢が叶うと良いですよねぇ~。

なお、賈樟柯監督の最新作『アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト(仮)~江湖兒女』は、日本でも今夏公開。
賈樟柯監督の集大成的作品なので、監督のファンは必見です!




近々放送予定の要録画番組も挙げておく。
2019年2月は初日から連日面白そうな番組が目白押し。

一本目は、2月1日(金曜)、お馴染み日テレ『アナザースカイ』

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今週のゲストはブルゾンちえみで、彼女のアナザースカイはフィリピン。
進路に迷っていた大学生の頃、
自分探しの旅で訪れた離島・カオハガン島を10年振りに再訪し、恩人に再会する他、
現地人が集う市場でファッションチェックをしたり、マニラのソウルフードに挑戦したり、
はたまた奇祭ブラックナザレにも潜入するとのこと。



2月2日(土曜)は、1986年のスタートから、1500回の放送を超えた
TBSの御長寿番組『世界ふしぎ発見!』

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1500回記念シリーズで、小島瑠璃子がミステリーハンターを担当した
漫画<キングダム>と秦の始皇帝特集は、面白かった!
今回は、“観光業成長率アジアNo.1 ジモティが推す究極のベトナム旅”と題したベトナム特集。
外国人観光客目線ではなく、
現地で行った街頭インタヴュで挙がった場所を取材する“現地人目線”であることが、今回の売り。
テーマパークのスイティエン公園、ボートレース、“陸のハロン湾”と称される景勝地・チャンアン渓谷、
また、少数民族のロロ族が暮らす村などを紹介する模様。




2月3日(日曜)、BSフジの『台湾発夢追い物語~歌手デビューを目指す日本人に密着』

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こちらは、単発の番組。
閉塞感漂い、内向き志向と言われる日本の若者の中にも、
夢を求めて、海外に飛び出す者が居ないわけではない!と、
番組では、デビューを目指し、台湾へ渡った29歳の青年・稲村壌治(稻村壤治)に密着。
高校時代にギターと出会い、ミュージシャンを志すも、芽が出ないまま28歳を迎えてしまい、
周囲から海外で勝負したらどうだと助言され、中国語も分からないのに、台湾へ渡り、
レコード会社、芸能事務所への営業活動をしながら、
路上ライヴや、インターネットのライヴ配信で日銭を稼ぐも、
先が見えないままワーキングホリデービザの失効まで一ヶ月という崖っぷち状態のカレ。

俳優業だと、日本では芽が出なくても、台湾で『海角七号』(2008年)というヒット作に出逢えた田中千絵とか、
逆輸入的に日本でブレイクしたディーンフジオカといった例も有るけれど、ミュージシャンはどうでしょう。
もしかして、作品に応じ役を演じなければならない俳優よりは、言葉の壁は低いかも…?
今回の番組の主人公・稲村壌治は、(↓)こんな人。

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実際、有名になるため、様々な努力をしているようで…

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梁家輝(レオン・カーフェイ)のモノマネにも挑戦し、SNS上で公開。
これは結構評判で、沢山の“讚(いいね)”をもらったみたいです。

番組では、他に、台湾を拠点に活動するYoutuber三原慧悟や、千田愛紗のインタヴュも取っているみたい。

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稲村壌治は、「MVの撮影があるから、来てみない?」と誘われ、この冬、初めて千田愛紗と知り合ったらしい。
台湾在住日本人コミュニティの中で広がる繋がりも、色々と助けになっているのかも知れませんね。
そもそもこのような番組が制作されるということは、
この稲村壌治にデビューのメドが立っていて、プロモーションの意味もある放送なのかも知れない。



2月4日(月曜)は、BSテレ東の『中国大紀行 “京杭大運河”~王宮に繋がる水の路1794キロを行く』

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日本の本州より長い、世界最長の運河にして、世界遺産にも登録されている京杭大運河を、
田辺誠一が旅をしながら取材する日中共同制作の番組。
旅の行程は、以下の通り。

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杭州(浙江省)→蘇州(江蘇省)→揚州(江蘇省 )→聊城(山東省)、そして最後は、北京で紫禁城(故宮)。
特別に撮影が許可されたエリアにも潜入。

田辺誠一は2018年9月…

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11日間中国を旅したと言って、各地で撮った写真を立て続けに微博で紹介。
それらを見て、きっと何か番組が有るのだろうと予想していたのだけれど、これだったのですね~。

この番組では、壮大な中国史の一端を覗けると同時に、
各地のグルメや文化も紹介しているらしいので、紀行番組として気軽に楽しめそう。
田辺誠一が特に気に入った食は、揚州の炒飯と、上海ガニですって。

ちなみに、この番組は、4Kで撮影されているのも、大きな売り。
もっとも、4Kテレビを持っていない私には関係ないのだが…。
せっかくだから、親のテレビで録画させてもらって観よう!と意気込んだら、
現在、BS日テレ4Kは、まだ録画に対応していないことが判明。
これは、4Kの鮮明な映像で観るに値する番組という気がしているので、うーん、残念…!



あと、2月5日(火曜)、NHK BSプレミアムで放送の『世界ふれあい街歩き』
“魅惑の路地裏 マカオ/中国”と題した澳門(マカオ)特集なのだけれど、これ、新作?それとも再放送?
同番組は、これまでにも何度か澳門を取り上げており、路地裏も沢山紹介しているので、
新作の確信が持てない。
でも、どこにも“再”の字が見当たらないので、ほぼ確実に新作であろう。

それと、BSトゥエルビ『China Hour~あなたの知らない中国』枠の『茶~一片樹葉的故事』
ずっとバスケで休止になっていたけれど、2月6日(水曜)、久々に放送あり。
今回は、“ティーポットの中の秘密~燒水煮茶的事”と題された第3話。





お菓子は、雪乃下(公式サイト)のケーキを2ツ。
一つは、私にとっては定番のお気に入りケーキ、もう一つは、初めて食べる物。
(…と言っても、そのお菓子自体は、日本でももはや定番のデザートだが。)

★ タルト・カフェ

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大きさは、直径約6センチ、高さ約5センチ。
胡桃とキャラメル・サレを流しいれたタルト台の上に、エスプレッソ・ムースを盛ったケーキ。




一つめは、“タルト・カフェ”
私にとっては、雪乃下と言ったら、もうずっとコレ!
…とは言っても、そうしょっちゅう食べる機会は無いので、今回は久し振り。

下はタルトは、サックリ。
中には、香ばしい胡桃と、トロリと流れ出る濃厚なキャラメル・サレ。
上に盛られたムースは、瞬時に口の中で消える軽さ。


コーヒーのほんのりした苦味、キャラメル・サレの甘さと、適度な塩分。
味も食感も多種多様で、しかもバランスよく調和。
やはりこれは、雪乃下の傑作ケーキ。

★ ティラミス

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器の大きさは、幅約10センチ、高さ約5センチ。
陶器の器に入れ、上部をプレートチョコと、カカオニブで飾ったティラミス。




もう一つは、“ティラミス”
いつもタルト・カフェばかり選んでしまうので、ティラミスは初めて。
ま、それ以前に、他店の商品を含め、ティラミス自体を食べるのは、超久し振り。

雪乃下には、2種類のティラミス有り、
特に人気なのは、“盆栽”と名付けられた、抹茶を使った和風ティラミスらしいけれど、
私が食べたのは、昔ながらの正しいティラミスの方。

上に、カカオニブを散らしていること以外は、これといったアレンジの無い伝統的なレシピ。
主となるマスカルポーネのクリーム部分は、まるで泡のように軽く、ふわっ!
甘さも、アクセントとなるエスプレッソの苦味も程よい。


イタリアのごく一般的なティラミスに比べると、上品で繊細な印象。
だからと言って、“上品で繊細=物足りない”なんてことはなく、食べ応えもあり。
久し振りに食べたティラミスは、美味であった。
次にもう一度食べる機会があっても、
和風の“盆栽”ではなく、私はまたこちらの伝統的ティラミスを選ぶ気がする。

追記:テレビ雑記~悠久の漢字変遷

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東京も、今晩は雪が降るのだとか。
最近の晴天続きで、喉にも乾燥を感じているので、お湿りは有り難いけれど、寒い…。
そして、雪が積もった場合、明朝が怖い…。

さて、つい2日前、近々放送予定の要録画を数本、備忘録的に書き残したが(→こちら)、
必見番組を一本漏らしておりました。
それは、NHK BSプレミアムで放送の『美の壺』。

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毎回一つのテーマを取り上げ、それの鑑賞法などをいくつかのツボ(ポイント)に絞って解説する、
一種の教養番組。
テーマによっては、非常に興味深いし、飄々とした草刈正雄の進行ぶりも心地よく、
かなりの頻度で見ているお気に入り番組の一つ。
30分番組という気軽さも、ちょこっと観るのに丁度よし。


でもね、明日2019年2月1日(金曜)の回は番外編で、放送時間も普段の倍に拡張した一時間。
“漢字と書 三千年の迷宮”と題した特番である。

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古代文明が生んだ象形文字の中で、姿を変えながら現代まで広く使われ続けている唯一の文字、それが漢字。
3千年も昔に生まれた文字が、なぜ今も使われ続けているのか?
番組では、漢字に変革をもたらした3人の人物に着目。

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左から、秦の始皇帝・嬴政(紀元前259-紀元前210)、
中国統一を成し遂げると同時に、バラバラだった文字も統一した中国史上初の皇帝。
続いて、毛沢東(1893-1976)、
文字改革で、漢字を万人のものにした中華人民共和国の最高指導者。
最後は、再び時代を遡り、顏真卿(709-785)、
政治家にして、数々の名筆を残した唐代屈指の書家。


漢字は、確かに優れた文字ですヨ。
中国語を勉強するようになってから、益々そう感心するようになった。
大昔の遺跡に刻まれた文字が、現代でも解読できちゃうなんて、どれだけ良く出来た文字なのだか。
欧米人が使うアルファベットや、日本の平仮名、片仮名といった表音文字とは違い、
目にしただけで、反射的に意味が判ってしまう表意文字であるのも、当たり前なようでいてスゴイ事。
今回の『美の壺』特別編は、文字の統一、芸術としての漢字、そして、近代の漢字改革と、
一時間の中で紹介するには上手いポイントを押さえている気がする。

私個人的には、日本人が“旧漢字”と呼ぶ、画数の多い古い漢字の方がより好きだけれど、
簡体字の出現にも、大きな意味を感じる。
日本とは比較にならないほど多くの人口を抱える巨大な中国大陸で、文盲を減らすには、
当時としては、大胆かつ画期的な処置だったと思える。
難しい漢字もパソコンで一発変換できるようになった現代では、繁体字復活論も出ているようだし、
まぁ、このように、時代時代のニーズに合わせ、脈々と受け継がれていくのでしょうねぇ。




今回のこの『美の壺』特別編は、もしかして…

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現在、東京国立博物館で開催中の特別展、
<顔真卿~王義之を超えた名筆>に合わせた放送なのだろうか。


この展覧会、書が好きな人々には、非常に好評なようですね。
マニアにはたまらない書が多数展示されているようだが、中でも目玉中の目玉は…

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顏真卿がアラフィフでしたためた<祭姪文稿(さいてつぶんこう)>。
安史の乱で非業の死を遂げた甥っ子・顏季明を追悼する弔文の原稿で、
王羲之の<蘭亭集序>、蘇東坡の<寒食帖>と共に、“天下三大行書字帖”の一つに挙げられる名書。
所蔵している台北國立故宮博物院でも、普段なかなか展示されることはなく、
ましてや海外へ貸し出されることなど、ほとんど無いお宝であるため、
今回、東博への貸し出しは、中国、台湾の両岸で少々物議も醸したようだが、
それ故、書好きな皆さまの気持ちは益々高ぶり、大混雑しているみたいじゃない…?

絵画などの美術品の方が好きで、書には暗い私には、どうせ“豚に真珠”だろうけれど、
「そんなに良いのなら、取り敢えず見ておこうかしら」などと軽く考えていたが、
NHKの『美の壺』なんかで取り上げたら、今でもすでに混雑している東博に、さらなる人が押し寄せること必至。
人気の展覧会をちょっとでもゆったりと見学したかったら、やはり会期の序盤に行くのがお利口なのでしょうか。
今更悔やんでも手遅れだが…。
ちなみに、東博のその<顔真卿>展は、2019年2月24日(日曜)まで。




そう、テレビと言えば、ちょっと前から、当ブログでは…

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大陸ドラマ『武則天 秘史~武則天秘史』について綴った記事にアクセスが急増。
なぜ今更?と不思議に思っていたら、
『寵姫の秘密 私の中の二人の妃~雙世寵妃』終了後の2019年2月4日(月曜)、
LaLaTVでまた再放送されるのですね。
近年、大陸ドラマ界は著しく進化してるため、
2011年度のドラマだと、視覚的にすでに野暮ったさを感じてしまうことは否めない。
でも、内容は、何本か観た“武則天モノ”の中で、言い伝えられている武則天の史実に最も忠実で、
一番楽しめた。
だから余計に、ほとんどがフィクションで進行する范冰冰(ファン・ビンビン)出演ドラマ
『武則天-The Empress-~武媚娘傳奇』は、少女漫画のような乙女ちっくなチャラさが鼻に付き、
期待が大きかっただけに、失望も大きかった…。


『武則天秘史』の方では、武則天を年齢に応じ、3人の女優が演じている。

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3人とも実力派と呼ばれるベテランで、
具体的には、殷桃(イン・タオ)、劉曉慶(リュウ・シャオチン)、そして斯琴高娃(スーチン・ガオワー)
二人目の劉曉慶は、范冰冰の脱税事件が日本で盛んに報じられた時、
「范冰冰の前にも、脱税で御用となった大物女優が」と幾度となく引き合いに出されたので、
それで知った日本人も居るのでは。

歴史に興味があるとか、もっと史実に則した史劇が観たい!という人には、
この『武則天秘史』は、案外お勧めです。

2019『春晩』プログラム

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一日早いですが、(旧正月)明けましておめでとうございます。
皆さま、本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

実際には、今年の春節は、2019年2月5日(火曜)。
本日2月4日(月曜)は大晦日。
…というわけで、今年も例年通り、
CCTV中央電視台で、“中国の『紅白』”こと、『春節聯歡晚會』、通称『春晚』を放送。
特に若い子や都会人の間で『春晚』離れが進む現地より、
中華エンタメに触れる機会に飢えている日本の中華エンタメ好きの方が、
近年はむしろ有り難く視聴しているかも?

日本で視聴する場合、メリットがあるのか不明だが、
今年の春晚』は、4K高画質、5G通信、AIステージ等、益々進化したテクノロジーを駆使し、
北京のメイン会場と、江西省・井岡山、吉林省・長春、そして廣東省・深圳を結んで中継とのこと。



昨晩、央視が発表した今年の正式なプログラムを以下に貼っておく。

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出演者、豪華です。
中華な映画やドラマを観ている日本人ならよく知る顔がズラリ。
簡単に名前を挙げておくと、大陸の大物では、葛優(グオ・ヨウ)、劉(リウ・イエ)、
黃曉明(ホァン・シャオミン)、その妻・楊穎(アンジェラベイビー)、孫楠(スン・ナン)、劉濤(リウ・タオ)、
閆妮(イェン・ニー)、佟大為(トン・ダーウェイ)、李易峰(リー・イーフォン)、朱一龍(チョウ・イーロン)、
周一圍(ジョウ・イーウェイ)、翟天臨(ジャイ・ティエンリン)、江疏影(ジャン・シューイン)、景甜(ジン・ティエン)、
『月に咲く花の如く~那年花開月正圓』で久し振りに日本で注目された劉佩(リウ・ペイチー)、
『瓔珞<エイラク> 紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~延禧攻略』の富察皇后役で再注目の秦嵐(チン・ラン)等々。

えぇー、年齢層高め~?!とお嘆きの方々、大丈夫です、
迪麗熱巴(ディリラバ)、周冬雨(チョウ・ドンユィ)、關曉彤(グァン・シャオトン)、
張藝興(レイ/チャン・イーシン)、吳磊(ウー・レイ)、TFBOYSといった若い人気者たちも出演。

本格的芸術家で、なおかつメジャー人気を誇るピアニストの郎朗(ラン・ラン)は、
香港枠での出演であった。
郎朗って誰ヨ?!って人でも、NHK大河ドラマ『女城主直虎』テーマ曲のピアノ演奏なら、
知らず知らずの内に、耳にしているかも…?



郎朗以外の香台枠もかなり豪華で、
まずは香港、成龍(ジャッキー・チェン)を筆頭に、周華健(エミール・チョウ)、任賢齊(リッチー・レン)、
鐘漢良(ウォレス・チョン)、陳偉霆(ウィリアム・チャン)、陳慧琳(ケリー・チャン)、容祖兒(ジョイ・ヨン)等。
台湾からは、費玉清(フェイ・ユーチン)、楊宗緯(アスカ・ヤン)、劉謙(リュー・チェン)、
そして林志玲(リン・チーリン)等々。

任賢齊は台湾人でしょ?!と突っ込んでくる人が居るかも知れないので、補足しておくと、
任賢齊は、生活でも仕事でも長年拠点にしていて、居留権も持っている香港枠の扱いなの。
(任賢齊が、香港永久性居民身份證を取得した時、台湾版ネトウヨによるちょっとした騒ぎがあった。
他人様の選択で余計なお世話…。どこの国にも面倒な人は必ず居る。)


日本での知名度は今一つだが、台湾では絶大な人気を誇る大物歌手・費玉清(フェイ・ユーチン)は、
本年度の引退を表明しているので、春晚』での歌の披露は貴重。

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陳慧琳とのデュエットで、<今夜無眠>を歌うそう。
日本では、陳慧琳がまた超お久し振りの印象ですよねぇ…?!

もう一人、日本での知名度イマイチの劉謙は人気マジシャンで、6年ぶりの『春晚』。
一方、日本でも知名度の高い林志玲は、8年ぶりの『春晚』。
彼女が披露する<綻放>という演目は、なんでも水上バレエなのだとか。



現地では、どの出演者、どういう演目に注目が集まっているかと言うと…

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迪麗熱巴、張藝興、周冬雨、鐘漢良らで歌う<中國喜事>、
李易峰&朱一龍による歌とバスケを融合させたパフォーマンス(?)<青春躍起來>、
秦嵐、江疏影、景甜、TFBOYS、吳磊の歌とダンスパフォーマンス<我們都是追夢人>等が、
微博で期待の声を多く見受ける。
(人気アイドルの若いファンは、積極的にSNSで発信するので、
結果的に、こういう演目の注目度が高いように見受けることになるのだとは思うけれど。)



私個人の楽しみは、例年通り、雑技と演武!
今年の雑技は、河南省雜技集團、濟南雜技團など複数団体による<爭奇斗技>。
武術コーナーは、河南少林塔溝武校の<少林魂>!

少林塔溝武校は、以前、こちらにも記したように、『世界の果てまでイッテQ!』でも紹介された
“萬人武術操表演(万人武術体操)”で有名な、河南省登封にある武術学校。

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恐らく、今回の『春晚』でも、人海戦術を活かした圧巻のパフォーマンスを披露してくれるものと期待。


あと、私が、今年のダークホースと睨んでいるのが、
中央芭蕾舞團と北京舞蹈學院芭蕾舞系による<敦煌飛天>。
敦煌の壁画に描かれる<飛天>をモチーフにした創作バレエ(…多分)。
リハーサルの時、現場の反応がえらく良かったらしい。




ちなみに、俗に『春晚』と呼ばれる年越し番組は、何もCCTV中央電視台に限った物ではない。
色んな放送局が、類似の番組を放送しており、毎年豪華な出演者集めを競っている。
他局の年越し番組で、キャスティングで私の目を引いたのは、
台湾のテレビ局・台視が放送する<2019春節超級巨星紅白藝能大賞>。
なんと、出演者リストの中に“飛鳥涼”の文字。
そう、チャゲ&飛鳥のあのASKA。
日本ではすっかりお見掛けしなくなったけれど、台湾で紅白出場を果たすのですね。





なお、『春節聯歡晚會』は、現地時間2019年2月4日(月曜)夜8時、つまり日本時間の今晩9時放送開始。
どうも今年もYoutube及びニコ生で観られる模様。
(ニコ生だと、同時通訳付き。)

興味のある方は、どうぞ。
私はお疲れ気味ですでに眠い…。後日、録画で観ることになるかも…。
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