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幾米<星空>出版記念トークイベント&サイン会in新宿

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台湾の絵本作家・幾米(ジミー・リャオ)の作品、<星空>の日本版出版記念で、幾米が来日。
2017年3月17日(金曜)、虎ノ門の台湾文化センターで、
日本で初めてのトークショーとサイン会が開催されるというが、あら、行けない、残念!と諦めたら、
その翌日、3月18日(土曜)、新宿南口の紀伊國屋書店でも開催されると知り、そちらへ行くことに。

…とは言っても、着席して観覧できるのは、先着で予約した35名のみ。
予定が定まらず、ぐずぐずしている内に、定員…。

でも、大丈夫。
オープンスペースでの開催なので、立ち見なら、誰でも予約無しに観覧できるし、
本さえ購入すれば、サインももらえる。



ここで、念の為、幾米(ジミー・リャオ)とは…

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1958年生まれ、台湾の著名な絵本作家。
中華圏全土で広く知られ、絵本でありながら、4作品が映画化されている。

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<向左走·向右走>『ターンレフト・ターンライト』 金城武+梁詠(ジジ・リョン)主演
<地下鐵>『サウンド・オブ・カラー 地下鉄の恋』 梁朝偉(トニー・レオン)主演
<戀之風景>『恋の風景』 林嘉欣(カリーナ・ラム)主演
<星空>『星空』 林書宇(トム・リン)監督

さらに、<向左走·向右走>と<地下鐵>は、ドラマ化も。
映画化された4本の内、日本未公開なのは、『星空』だけ。これ、とても観たい映画。
私は、幾米の絵本を何冊か所有しているが、『星空』の原作絵本はまだ持っていなかったので、
今回の機会は丁度良かった。



この紀伊國屋書店のイベントでは、幾米のお話相手に、映画監督の永田琴も来場。
私、永田琴監督は、そんなによく知らず、映画『渋谷区円山町』、ドラマ『イタズラなKiss~Love in TOKYO』
あと、ネット上で視聴可能なネスレのショートフィルム2作、
『我愛你 in TOKYO』と『その一言がいえなくて~說不出的那句話』しか恐らく観たことがない。

『我愛你 in TOKYO』は、古川雄輝の相手役が程予希(ルゥルゥ・チェン)、
『その一言がいえなくて~說不出的那句話』は台湾で撮影されており、
重要な役で曾沛慈(ツォン・ペイツー)が出演している。
日本の人気コミックが原作のドラマ『イタズラなKiss』 だって、最初に映像化してヒットさせたのは台湾だし、
永田琴監督は、台湾と御縁のある監督ではあるようだ。

★ イベント参加準備

今回のイベントは、新宿南口の紀伊國屋書店のオープンスペースで、午後4時半開場、5時開演。
トーク40分、Q&A30分、その後、絵本購入者を対象にサイン会という流れ。


私は、午後ちょっと用があったので、まずお昼頃紀伊國屋書店へ行って、先に本を購入し、
整理番号の入ったサイン会参加券を入手。

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せっかくの<星空>日本版出版記念イベントなのだから、日本版を買うつもりでいたのだが、
お店で、日本版と輸入版の両方を見たら、輸入版の方が、使用している紙質が、私好みだったので、
結局、輸入版を買ってしまった。
(もう少し具体的に言うと、輸入版で使用している紙の方が、厚めで、若干ざっくり、
適度な光沢がありながらマットなテクスチャー。)


これで取り敢えず準備OK。

★ 絵本<星空>作者・幾米×永田琴監督トークショー

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用を済ませ、急いで紀伊國屋書店へ駆け付けたが、開演の午後5時に間に合わず…。
書店の中に設けられたイベントスペースは多くのお客さんで溢れ、すでにお話が始まっている。

進行を務めているのは永田琴監督。
監督は、<星空>をかなり読み込んでいるらしく、
自身で感じた印象を交えながら、湧いた様々な質問を幾米に投げ掛けている。
残念だったのは、その時点で、私がまだ<星空>を読んでいなかったこと。
読んでいたら、質問の意味をもっと深く理解できただろうに…。


そんな訳で、理解不足の私が、それでも印象に焼き付いたやり取りを、以下、一部挙げておく。

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永田琴監督
私が映画を作る時は、登場人物の名前は大切で、そこからその人物の背景などを具体的に考えますが、
幾米さんの絵本の登場人物には名前がありません。なぜ、名前をつけないのですか。

幾米
敢えてボカして、シンプルにするようにしています。



永田琴監督
赤い色が印象的に使われていますね。

幾米
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の『レッド・バルーン』(2007年)を観て、じゃぁ、私も赤を使おうと思いました。
物語の中では、あとに、赤い恐竜が出てくるので、そことも関連付けています。
最後の赤いベレー帽は、『ターンレフト・ターンライト』(2003年)の中で、
金城武とスレ違う女の子が、やはり赤い帽子を被っているので、
あの女の子に繋がるよう、赤いベレー帽を被せました。



永田琴監督
昼間でも、家の中に電気が点いていないのは?

幾米
彼女は双眼鏡でいつも外を見ています。家の中が明るかったら、外からそれがバレてしまいます。
また、彼女の心が暗いことの暗喩にもなっています。



永田琴監督
男の子と女の子が星空を見に行く時、二人とも運動服を着て、ポケットに手を入れているのは、なぜ?

幾米
手を描くのは、結構難しいんですよ。

永田琴監督
映画を撮る時、お芝居に慣れていない子は、ポケットに手を入れさせると、お芝居し易くなるんですよ。



永田琴監督
映画では、何度も何度も脚本を書き直し、使えず削る部分も出てきます。
絵を描いて、絵本に使わない物もあるのですか。

幾米
下描きは沢山描きます。そこから使わない物も沢山あります。
正式に描き始め、気に入って描き上げ、それでもどうしても物語に入れられない物も出てきます。
そういう場合は、この物語には合わなかったのだと、諦めます。



永田琴監督
一枚の絵はどれくらいの時間で描き上げるのですか。

幾米
一枚を仕上げる時間というのは、言いづらいですね。
どういう風にしようかと考える時間や、物語の流れを確認する時間もあるので。
ただ、描き始めると、私は筆が速く、彩色の作品で、だいたい1~2日以内に完成させます。
それ以上時間をかけると、飽きてきてしまいます。



永田琴監督
創作の気分転換は。

幾米
毎日規則正しく生活をしています。いつも朝8時から、午後5~6時くらいまで仕事をしています。
時間に余裕がある時は、映画を観に行ったり、飼っている3匹の年老いた猫の面倒を見ています。



永田琴監督
最後にメッセージを。

幾米
ありがとう。(日本語) 



日本では出版されたばかりの<星空>だが、すでに8年前の作品なので、
幾米御本人も、すでによく覚えていないようで、永田琴監督が投げ掛ける質問の多くに、
かなりの頻度で、はにかみながら「忘れた」と馬鹿正直に答える(笑)姿が、お茶目な幾米であった。
自身の作品が3本の映画になったと話しておられたが、それも4本の間違いよねぇ…?
幾米が忘れた一本の映画は、どれでしょう。(←恐らく、まったく話に出なかった『恋の風景』と思われる。)
永田琴監督が、<星空>をあまりにも細部まで読み込み、ご自分なりの見解をもっているので、
幾米も、「随分よく見ていてくれているなぁ~」と感心している様子も窺えた。

ここまでで、すでに時間オーバーの午後6時10分。
続いて、会場のお客さんからの質問に答えるコーナー。
こちらも、記憶に残った物だけ書き残しておく。


質問
映画化された物を観ましたが、どの作品も幾米さんに対するリスペクトが感じられました。
そういうのを、どうお感じですか。

幾米
監督に100%任せ、好きなように撮ってもらっています。
私もクリエーターだから分かりますが、クリエーターは、人から指図されたくないものです。



質問
幾米さんの青の色が好きです。インスピレーションはどのように湧いてくるのですか。

幾米
私の作品は、色が鮮やかです。描いていて、色が鮮明じゃないと、描き終わった気がしません。
それは、亜熱帯の台湾に暮らしていることも関係しているかも知れません。
私がもし北欧に住んでいたら、違っているかも。
インスピレーションは無いと、仕事になりません。
湧いてくるというより、クリエーターは、周りにあるインスピレーションを掻き集めているような感じです。
クリエーターじゃない人は、インスピレーションが有っても、見落としているかも知れません。



私は映画が好きなので、映画の話はもっと聞きたかった。
同じクリエーターとして、監督には口出しせず、好きなように撮らせるとは、なんとも寛大だが、
自分の大切な作品をいじらせるのだから、手掛ける“監督選び”は、それなりに慎重なのではないかと想像。
これまで、杜峯(ジョニー・トー)とか馬偉豪(ジョー・マ)とか林書宇(トム・リン)等々が、
幾米作品を実写映像化してきたわけだが、なぜこれら監督にその権利を与えたのだろうか。
過去の監督作品が好きだからとか、企画を聞いてピンと来たとか、人柄が良さそうとか、何かあるでしょー?!
永田琴監督も、もしかして、その内、幾米作品を映像化することになるかも…?
この度のイベントで、永田琴監督の“幾米作品愛”は、御本人にもキョーレツに伝わったと思うので、
「私に撮らせて!」とお願いすれば、OKのお返事をもらえそうな気がする。

★ サイン会

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トークショーの後はサイン会。
予定より20分ほど押し、午後6時半頃スタート。
サイン会参加券に記された整理番号順に並び、サインをもらい、大抵の人は幾米とツーショット写真を撮影。
先着百名には、最後、2種類のポストカードと、
微熱山丘 SunnyHillsより提供の鳳梨酥(パイナップルケーキ)がもらえる。


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私は自分の写真が嫌いなので、幾米お一人様写真を。
サインには、猫の絵が添えられている。やっぱり猫が好き、…なのですね。




<星空>出版記念幾米トークショーと、私にとっては台湾ウィークであった。

幾米は、一人一人にとても丁寧に対応。シャイで優しいお人柄が滲み出ていた。
イベント全体もとても楽しかった。
永田琴監督も、“なんとなく白羽の矢が立って、やって来たトークのお相手”という感じではなく、
幾米作品への深い愛情が感じられ、その愛あってこその突っ込んだ話を展開していたし、
クリエイター同士で通じる何かが、第三者である客席の我々にも伝わってきた。
台湾文化センターの方へいらした方々、そちらは如何でしたか。
このような機会が有れば、また行きたい。
1998年に絵本作家デビューした幾米は、来年節目の20周年。日本にもまた来ていただきたい。
それ以前に、今回来てくれて感謝!です。

あと、映画『星空』は、やはり観たい!
原作絵本の日本版も出版されたことだし、日本公開に繋がってくれたら、嬉しい。


そうそう、余談になるが、紀伊國屋書店の会場で、双子の倉あんなと倉れいなの姿を見掛けた。
我々がサイン会の列に並んでいた時は、トークショーを終えた永田琴監督と、片隅で雑談していた。
監督と一緒にお仕事をしたことがあるのでしょうか。
彼女たちは、それぞれ“安娜”、“芮娜”の名で、近年、拠点を台湾へ移し、活動している一卵性双生児。
確か、大陸ドラマ『ときめき♡旋風ガール~旋風少女』の続編、『旋風少女 第2季』にも出ているはず。
小柄だけれど、まったく同じ顔の美人さんが二人一緒に居ると、目を引きます。

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