楊貴妃が愛したスウィーツ杏仁豆腐をテーマにした
2018年8月20日(月曜)、NHK Eテレで放送の『グレーテルのかまど』。
楊貴妃が杏仁豆腐を食べていたなどという話は初耳だったため、ちょっと楽しみにしていたのだが、
番組に登場した國學院の教授の説明では
「滋養豊かな杏仁を使用した杏仁豆腐らしき物はかなりの大昔にすでに存在していたので、
美に敏感だった楊貴妃が食べていたとしてもおかしくない」とのこと。
ナンなのよ、“楊貴妃、杏仁豆腐好物”説に確証は無く、やはり番組のコジ付けだったのですね。
その大学教授は、実際に楊貴妃の好物だったと言い伝えられている荔枝(ライチ)についても言及。
「楊貴妃は暑さに弱かったので、荔枝を食べて涼をとった」と。
へっ…??
荔枝は、半透明のプルプルの果肉で、確かに一見涼し気だが、中医学では、熱性の果物に分類されるハズ。
「荔枝は、夏に食べ過ぎない方がいい」とか
「敏感な人は、荔枝を食べ過ぎると身体が火照る」等と華人から何度か言われたことがある。
そういう事を言う華人が多いということは、
“荔枝=熱性果実”は、中華圏ではかなり浸透した中医学の知識なのだと察する。
あの大学教授も、番組スタッフから求められるがままに、テーマに合った発言をしたのだろうけれど、
専門外の事を、想像だけでテレビで口にしてしまうのは、控えた方が良かったかも知れません。
まぁ、今回の事は、大して重要ではないけれど、
“その筋のエキスパート”とされる人が、メディアで発言すると、
例え間違いでも、それが真実として広まり定着していくことがあるから、要注意。
ちなみに、寒性の果物の代表格は西瓜。中医学的には、夏に身体の熱を冷ますなら、荔枝ではなく西瓜。
ところで、おうちのテレビに衛星劇場を入れている皆さま、
大陸ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)<弐> 風雲来る長林軍~琅琊榜之風起長林』、
これまでのお話をきちんと押さえていらっしゃいますか。
2018年8月最終月曜27日の明日は、第45話と第46話を放送。
これ、全50話とのことなので、えっ、明日を含め、あとたったの3回×2話=残り6話ポッキリなの…?!
今一番気に入って追っているドラマなので、
去り行く夏と共に、『琅琊榜<弐>』が終焉を迎えるのは、もの淋しい…。
(日本のドラマが全10話程度であることを考えれば、6話は決して少なくはないのだが…。)
『琅琊榜<弐>』、ゴールが見えて来たこの時期でも、ダレることなく怒涛の展開。
…そして、相変わらず、主要登場人物が容赦なくあの世逝き。
前回第44話の“今週の逝去”は、(↓)この方であった。
梁の現皇帝・蕭元時の伯父で、荀皇太后の実兄、
畢彥君(ピー・イエンチュン)扮する內閣首輔の荀白水。
荀白水が過去を懐かしむ言葉を口にするようになったので、私は、「そろそろ危ないかも…」と恐れていた。
長林王・蕭庭生の時もそうだったように、老人が過去を懐かしみだすと、お迎えのサインである。
そうしたら、案の定…。病死の長林王と違い、暗殺という、より残酷な最期。
荀白水は、国や甥である皇帝を守りたい一心だっただけで、根っからの悪人ではなかったのよねぇ。
ただ、想いが強いゆえ、幾度となく判断を誤り、危険分子を助長させてしまった。
死期近くには、自分の過ちにも気付いていたみたいだし、ブレーキをかけられるこの荀白水が消え、
荀皇太后の暴走が止まらなくならないか心配。
だが、去る者があれば、来る者もあり。
物語を左右するキーパーソンになりそうな新キャラもすでに登場している。
芡州の将軍・岳銀川。
ドラマも終盤だというのに、男前投入してきましたね。
演じているのは金澤灝(ジン・ザーハオ)。
最近立て続けに東陽正午陽光の作品に出演している1988年南京生まれ、回族の俳優。
男前には敏感な私、すぐに漢字変換できるよう、“カナザワ・コウ”で辞書登録済み。
そのカナザワさん扮する岳銀川、最初の登場シーンでは、イイ人なのか悪い奴なのか、判断できず。
ほら、美男子だと、もしかして冷酷なイヤな奴…?と警戒してしまうではないか。
しかも、岳銀川は、それまで田舎将軍だったのが信じ難いほど頭もキレるので、益々悪人疑惑。
…が、いつもツルんでいる部下の譚恆を見て、その疑いはすぐに払拭。
譚恆は絶対にイイ人でしょー。
見た目は、フジモン(藤本敏史)からヤンキー臭を抜いた感じ。
前作『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』に登場する禁軍統領・蒙摯にも通じる
天然ボケの素直なキャラで、辛い出来事の多い物語に癒しの瞬間を与えてくれております。
『琅琊榜<弐>』、今後の展開は、恐らくこの岳銀川が、
「林奚と一緒に野草採集に行く♪」などと呑気な事を言っている蕭平旌と接触し、
蕭平旌VS萊陽王蕭元啟の闘いに流れていくと想像しているのだが、実際のとこ、どうなのでしょう。
終盤の数話が楽しみ。
“あの世逝き”と言えば、チャンネル銀河で放送中の『月に咲く花の如く~那年花開月正圓』でも、
この一週間の間に、何潤東(ピーター・ホー)扮する吳家東院の御曹司・吳聘がお亡くなりになられた。
吳聘が早々に死ぬことは知っていたので驚きは無いが、死に方は想定外であった。
吳聘は、沈家の御曹司・星移とその配下に襲われ、回復した後も、
時折、頭を押さえたり目眩を訴えていたので、
回復したように見え→実は頭部に血栓ができ→放置していたがために死亡、という流れを想像していた。
ところが、実際には、御曹司人生初の木登りをして、その木からの転落死ヨ。
しかも、ただの転落死にしては不自然な流血…。
顔中の穴という穴から出血という死に顔を見て、
『武則天-The Empress-~武媚娘傳奇』の(↑)この殺害を思い出した。
吳聘も絶対に毒殺よね。その内下手人が判明することでしょう。
こうして早くも未亡人になった孫儷(スン・リー)扮する主人公・周瑩、彼女の幸せの時は束の間であった…。
そうそう、ドラマ鑑賞前からよく目にしていた(↓)こちらのシーンも、第13話で出てきた。
夜空の月を見上げ、「欠けていて、あの晩の月ほど綺麗じゃない」と周瑩が言うと、
部屋から、割れた陶器(?)だか切り取った紙(?)だかを持って来た吳聘が、
それを空にかざして月に当て、周瑩が見たいまん丸のお月様を作ってあげるシーンであった。
あくまでも、私の推測だが、これ、ドラマのキーなのでは。
このシーンを見て、中文原題『那年花開月正圓』の意味が分かった気がした。
そのシーンで周瑩は“那天晚上的月亮(あの日の晩の月)”と言い、
吳聘からそれがいつの晩かと聞かれても、“あの晩”の一点張りで、それ以上は答えないの。
で、原題の『那年花開月正圓(あの年、花は咲き、月はまん丸だった)』である。
恐らく、後年、周瑩が過去を振り返り、自分の人生で一番幸せだった時に見たお月様こそが、
“あの年、あの晩”のまん丸なお月様だったのであろう。
そして、それは、初めて自分を人として認めてくれた吳聘と出逢った頃を指している気がしてならない。
私のこの推測、間違っています?自分で勝手に想像して、ジーンと来ちゃったワ。
吳聘が消えた今、実はより重要な人物である沈星移が、この先どう変化していくのかが楽しみ。
会話によく出てくる“貝勒”が、光緒帝 愛新覺羅·載湉(1871-1908)の従兄、
愛新覺羅·載漪(1856-1922)であることも判明したので、
この先、時代はやはり清末の動乱に巻き込まれていくものと想像。
ちなみに、日テレで再放送中の『蒼穹の昴~蒼穹之昴』の方は、
『月に咲く花の如く』より、今10年くらい先を行っており、
そちらには、同じ光緒帝の従兄でも、愛新覺羅·載澤(1868-1929)がチラリと出ているはずである。
ついでに、近々放送の要録画番組を一本だけ。
もう次の週末は9月です!
2018年9月1日(土曜)、NHK BSプレミアム『桃源紀行』は、
中国編久々の新作で、吉林省長白山を取り上げる。
長白山は、北朝鮮との国境にあり、朝鮮半島側では、“白頭(ペクトゥ)”と呼ばれる聖なる山のこと。
7月、一年で最も美しく短い夏が訪れると、高原の花々が咲き、山々は新緑に包まれ、
また、この地の名産品・高麗人参の収穫が始まるという。
そのような長白山を、地元のリゾートホテルで働く女性が紹介するのが、今回の『桃源紀行』。
お菓子は、洋モノ。
昔は“ダサい玉”などと言われた埼玉だけれど、
意外な事に、最近は、優秀なパティシエがオープンしたお店が多く、新たなスウィーツ激戦区になっているそう。
…という訳で、ここにも、埼玉のパティシエのケーキを2ツ。
★ シャンドワゾー:ミゼラブル
大きさは、だいたい長さ9センチ×幅2センチ×高さ5センチ。
ダクワーズで、バタークリームとラムレーズンをはさんだお菓子。
一つめは、埼玉県の中の川口にあるお店、シャンドワゾー(公式サイト)の“ミゼラブル”。
私、ここのケーキは初めてなので、手始めに、お店の看板商品であるこれをセレクト。
シャンドワゾーのパティシエは、ベルギーで修業したとのことで、
これも、ベルギーの伝統菓子を、シャンドワゾー風にアレンジした物。
構成は実にシンプルで、アーモンド生地で、バタークリームをはさんだだけ。
なぜ、ケーキらしからぬ、“粗末”や“哀れ”を意味する“Misérable”などと命名されているかというと、
その昔、高価な牛乳の代わりに水を用いてクリームを作ったからというのが定説になっているようだが、
他にも、生地とクリームだけで作られたお粗末なケーキだからなどという説もあるらしく、
結局のところ、私はよく分らない。
生地はアーモンドの風味が良く、軽くても、もっちり弾力がある。
そこにはさまれたクリームが、“バタークリーム”と聞きイメージする通常のバタークリームとは違うのだ。
“バタークリーム”というより、もっとずっと“バターそのもの”に近い感じ。
滑らかな舌触りなのだけれど、脂っこさは全然なく、口の中でスッと溶けていく。
ちなみに、バターは、イズニーの物を使用とのこと。
レーズンを入れるのは、恐らくお店のアレンジであろう。
そのレーズンと、塩分が、良いアクセントになっている。
シンプルな物ほど素材の差が出るし、
日本では、バターもアーモンドももはや高級品になりつつあるので、
“ミゼラブル”などと呼んでは申し訳ないほど、リッチで贅沢なケーキですねー。
バター好きにお勧め。
★ アカシエ:シャルム・マント
大きさは、直径約7センチ、高さ約3センチ。
チョコレートクッキーとミント風味のガナッシュを重ねた台の上に、
チョコレートチップ入りミントクリームを盛り、全体をミントのグラサージュで覆い、
トップにチョコレート、周囲にチョコレートクランブルを添えたケーキ。
こちらは、同じ埼玉でも、浦和のケーキ屋さんで、アカシエ(公式サイト)の“シャルム・マント”。
アカシエのお菓子は初めてではない。でも、このケーキは初めて。
水玉模様の可愛さに惹かれ、購入。
名前の“シャルム・マント”って、何でしょう。“Charme Menthe”…?ミントの魅力、みたいな事か?
名前や見た目からも想像がつくように、これ、チョコミントを、ケーキに仕立てた物である。
昨今、巷で、チョコミントがブームなのだとか。
そう聞いて、意識するようになったら、確かに、チョコミントのお菓子をよく目にする。
チョコミントは昔から好きなので、選択の幅が広がるのは嬉しいのだけれど、
昨今のブームに乗って登場したチョコミント菓子の多くは、安っぽい上、身体に悪そうな大量生産品。
選択肢が増えたように見え、その実、その大半が私にとっては要らぬ物であった。
そうしたら、ようやくソソるチョコミント菓子に遭遇。それが、このシャルム・マント。
このケーキは、メインの部分がミントクリーム。
当初、店員さんから、“ミントクリーム”と聞いても、どういうクリームなのかイメージが湧かなかった。
基本的には、マイルドな甘さのミルキーなクリームである。
ダイレクトにミント味が来るわけではなく、後味にミントの清涼感。
中にたっぷり混ぜ込まれたチョコチップはプツプツ食感。
下に敷かれているのは、濃厚なガナッシュだが、やはり後味にミントの爽やかさが来る。
このガナッシュは、味が濃厚なだけでなく、質感も密でドッシリしているため、
上のふんわりしたクリームと、食感の対比にもなっている。
可愛いだけじゃなくて、美味。
私は、ミントティーをミルクで煮出したミントミルクティーなども好物なので、
このミルキー系のチョコミントケーキも、大変気に入った。
但し、ミントを使ったお菓子は、「歯磨き粉を食べているみたいで駄目…」と言う人も多いので、
万人ウケするケーキではないかも知れない。
昨今チョコミント・ブームとのことなので、このケーキも、当面は定番商品として売られるのかと思いきや、
残念ながら、夏限定で、販売予定は2018年9月16日までとのこと。
チョコミント好きな方は、お早めに。