子供の頃、両親が離婚した查美樂は、自分を引き取ってくれた母に捨てられないよう一生懸命努力し
数々の資格も取得して、何でもこなす万能な女性に成長。
その万能ぶりが縁で出逢った優しい韓以風とは、順調に交際を続け、いつ結婚してもおかしくない仲。
美術教師として働く以風の夢が、自分のパン屋を持つことだと知ると、美樂はまたまた万能ぶりを発揮。
勤めていた会社をスッパリ辞め、パン職人の修行を積み、パン屋の営業許可証を取得し
有り金をはたいて店舗を押さえ、あれよあれよという間に開店準備を進め、以風を驚かす。
そんなある日、海外に暮らす以風の弟・以烈が台湾に帰国することに。
世話焼きの美樂は、忙しい以風に代わり、空港に以烈を迎えに行くが、以風は心配でならない。
なぜなら“J-King”の名で世界的に知られるミュージシャンの以烈は、気難しい芸術家肌。
案の定、初対面の以烈に傍若無人に振り舞われ、さすがの美樂もキレそうになるが…。
2012年4月末、
ホームドラマチャンネルで開始した台湾ドラマ『晴れのち女神が微笑んで~美樂加油』が

9月末、全22話の放送を終了。 録画しておいた最終話をようやく観る。
★ 概要

最近は、それとはまたまったくタイプの異なる『君には絶対恋してない~就想著妳』をヒットさせた
柯翰辰(コー・ハンチェン)。
今回手掛けた本作品は、
單飛雪(ダン・フェイシュエ*)の小説<王的戀歌>のドラマ化。

オリジナル物かと思いきや、原作が有ったのか。 しかも台湾偶像劇に有りがちな日本のコミックではなく
台湾の人気女性恋愛小説家の作品をドラマ化しているというのが、ちょっと新しいかも。
(*<平凡社中国語音節表記ガイドライン>に従い名前を片仮名に表記)
★ 物語
主人公は、「ママに捨てられないため、役に立つ人間になる!」という子供の頃の思いが高じ努力して何でもソツ無く熟し、人々に尽くす“お仕え体質”がしっかり染み込んでしまった女の子・查美樂。
身に付けていた技術のお蔭で、優しい教師・韓以風と知り合い、順調に愛を育み
ふたりの夢のパン屋さん
“樂風麵包店”までオープンするが、元来のお人好しが裏目に出て

パン屋の従業員として雇ったしたたかな小悪魔・瑄瑄に、以風を取られてしまう。
そんな美樂が、何かと関わることになるのが、以風の実の弟で、有名ミュージシャンの“J-king”こと韓以烈。
芸術家肌で気難しい以烈とは、出会った当初から犬猿の仲であったが、徐々に関係に変化。
“お仕え体質”であった美樂に自信を持たせる以烈と、一見冷酷な以烈の真の優しさに気付く美樂が
互いに惹かれ合い、幾多の困難を乗り越え、幸せを掴むかまでを描いた
ラヴストーリー。

最終的な美樂の恋のお相手がミュージシャン以烈であることは、最初から視聴者の知るところ。
でも、ドラマの前半で、美樂がお付き合いしているのは、以烈の実兄・以風。
美樂と以風は共にいわゆる“イイ人”同志のお似合いカップルなので、何がキッカケになって
美樂が、以風から以烈に乗り換える事になるのか、先が読みにくい。 そこら辺は、見どころかも。
一番度肝を抜かれたのは第17話。 あと5話も残っているのに、メインキャスト以烈がまさかの
御臨終…!

事故に遭い、運ばれた病院で、手当の甲斐も虚しく、無情にも医師から身内に心肺停止が告げられる。
それでも以烈の死を受け入れられない美樂が
周囲の制止を振り切り、涙ながらに必死の蘇生処置を施したところ
なんと以烈が、三途の川から引き返して来たのだから、
二度びっくり!

もし実際に、ド素人の処置で死人が蘇生するような事態が起きたら
あそこまでハッキリ死亡を断定した医師は、社会で吊し上げられ、医師免許剥奪でしょー。
以烈、危うく火葬場行きだったのだから。 この展開があまりにもキョーレツだったため
それまでの紆余曲折がすっかり吹っ飛んでしまった。 期待を裏切りませんわ、台湾ドラマ。
★ キャスト① ~メイン

ドラマは『桃花タイフーン~桃花小妹』以来の王小凌。 私生活では最近
隋棠(ソニア・スイ)から姚元浩(ヤオ・ユエンハオ)を略奪したと
小悪魔の烙印を押されたが

本ドラマでは、小悪魔に婚約者を略奪される側を演じる。
“Before略奪”では、婚約者とお揃いの黒縁メガネをかけた真面目女子、
“After略奪”では、婚約者を見返そうとイケてる女に大変身、また人助けで、ボブのウィグを装着し
自分に瓜二つだったという亡き何言沁に化けるなど、本ドラマでは王心凌3変化が楽しめる。
台湾芸能で1、2を争うと思われる、毛穴皆無の真っ白な美肌も相変わらずで、目が釘付け。

またまた出ました、私が苦手とする、が、が、が、賀軍翔(が・ぐんしょう)…!
演じているのは、浜崎あゆみからの作曲依頼も断った大物という設定の世界的ミュージシャン“J-King”。
基本的には、作曲を生業にしているようだが、劇中、賀さん自身が歌う
<心中的花園>も

挿入歌としてしばし流れる。 これが結構キツイ。 前から思っていた事だが、賀さん、歌は「・・・・。」よねぇ…?
まぁ、相変わらずどうも苦手な賀さんではあるが、本ドラマで一番感情移入したのは、彼が扮する以烈であった。
そろそろ兵役につくことが噂される賀軍翔は、退役後が正念場。 兵役を悲しむファンも多いだろうが
茶髪と歌を封印し、アイドルからオトナの実力派へステップアップするなら、これが良い転換期と思われる。

おぉぉ~、懐かしのアイドル施易男! 通称“ヤスオ(易男)”。
最近出演作をまったく観ていなかった私にとっての施易男と言えば、大好きな映画『ラブ ゴーゴー』。
『ラブ ゴーゴー』では、飛び込み営業をしても、なかなか防犯グッズが売れない
気弱なセールスマン阿松を演じていたが、15年近い歳月が流れても、ヘタレっぷりは相変わらず。
本ドラマで演じる、優しいけれど優柔不断な以風は、“その後の阿松”と思えなくもない。
★ キャスト② ~ ちょっとイラッとさせてくれる女たち

“鄭元暢(ジョセフ・チェン)&張孝全(ジョセフ・チャン)現象”と同じで、片仮名表記にすると
『あの頃君を追いかけた』の陳妍希(ミシェル・チェン)と名前が紛らわしいので
要注意。

ポスト安以軒(アン・アン)とも呼ばれる彼女は
私生活では、不動産業を営むお金持ちのパパを持つお嬢様なのだとか。
お嬢が恥じらいを捨て、ポールダンスとは、頑張った。
本作品では、男をたぶらかす計算高い小悪魔を演じたため、女性視聴者を敵に回したかも知れないが
人懐っこい大きな瞳とムッチリ体型は、ちょっとヲタ気味の男性にウケそうな気がする。

このドラマで見ても、いまいち良さが分からなかったが、彼女一応Girlの人気アイドルなのよねぇ…?
一番の問題は、1989年生まれ、まだ23歳と若い小扮する韓以霏が
上のふたりの兄より老けて見えるという事ではないだろうか。

日本では普通、娘に“岩(いわ)”なんて名付けない気が…。 中国語のそういう感覚が分からない。
その大陸セクシー司会者・柳岩は、巨乳を封印し、お色気控え目に知的な敏腕マネージャー役で出演。
顔立ちが独特なのか、台湾キャストの中に入ると、ひとりだけ異なる“
The 大陸”な雰囲気を醸す。

衣装に問題が有ったのか、セクシータレントの割りに、足が太くスタイル今一に見えたのは残念。
映画『画皮~あやかしの恋』にも、確か化粧品店の客の役で、チラッとだけ出ていたが
そちらの古装の方が、しっとり艶やかで綺麗であった。
★ ロケ地
ドラマの重要な舞台となる美樂と以風のパン屋さん
“樂風麵包店”の看板に、明らかに別の店名が。

そう、ここは、台北に数店舗展開する実存のパン屋さん多柏思 Dobosの大安店。
低予算でセットが組めない事情は分かるが、それにしても、もう少しマシな誤魔化し方は無かったのか。
上から模造紙貼っただけ?学園祭並みの手作り感に「台湾偶像劇よ、期待を裏切らないでくれて有り難う」。

台北市 大安路 二段 68號
J-Kingこと韓以烈が、音楽の才能だけで築いた
ミュージック御殿は、パン屋よりさらに露骨。

壁面に思いっ切り海田行館というお宿の名前が出ており、それを隠そうという努力さえしていない。

宜蘭縣 五結鄉 公園二路 27巷 36號
お宿と言えば、第13話、騒ぎを避け、
大陸は杭州へ飛んだ美樂と以烈がお泊りするホテルは忘れ難い。

近年杭州には高級リゾートホテルがどんどん増えているが、ここはあのバンヤンツリー。
趣きのある江南様式の街並みを髣髴させる環境に建ち並ぶヴィラタイプの部屋を
以烈は音楽界の成功者らしく、自分と美樂それぞれのために、向かい合わせに2棟予約。 贅沢。

浙江省 杭州市 西湖区 紫金港路 21号
★ テーマ曲
シンガーでもある主演女優・王心凌は、オープニング曲もエンディング曲も担当。ここにはエンディングの<黏黏黏黏>の方を。
(
飴のように)ベタベタベッタリ~、という“甜蜜教主”王心凌らしいタイトルの甘ぁ~いラヴソング。

日本人にも口ずさみ易い「愛、愛、愛~(あい、あい、あ~い)」というザビがキャッチー。
MVのお相手役は、本ドラマにも本人役でゲスト出演しているLollipop-Fの敖犬(アオチュエン)。
台湾のドラマを観ていて、たまに思うのだけれど、台湾の人々って、
食パンが好きよねぇ…?!

焼かずにそのままムシャムシャ食べるシーンを、しばしば見掛ける。
わざわざパンをテーマにしたドラマを撮るなら、クロワッサンとかバゲットとか、もっと絵になって
視聴者に「美味しそう♪」と思わせるパンが他に有りそうだが、それでもやっぱり地味に食パンなわけね。
他にドラマの中で気になった食べ物はキウイ。
日本人が“台湾”と聞き、真っ先に思い浮かべるフルーツは、恐らくマンゴーかバナナだろうが
このドラマは、日本でもお馴染み、ニュージーランドのZespriが提供しているらしく
キウイを台湾偶像劇史上最多登場させ(?)、スポンサー様への誠意を表している。
ツッコミ所満載で、実は結構面白いお話なのに、キャスティングがあまり私好みではなかったのが残念。
このドラマを、別のキャストで作り替えたら、もっと魅力的なものに変わりそう。
逆に、パッとしないキャストで、ここまで見せてくれたのだから、それなりに評価して良いのかも。
登場人物の名前が、漢字+片仮名ルビだったのも
高評価。

邦題はねぇ、「・・・・・。」 『晴れのち女神が微笑んで』、『晴れのちボクらは恋をする~幸福最晴天』、
『最後はキミを好きになる!~醉後決定愛上你』、『僕らはふたたび恋をする~真心請按兩次鈴』…。
最近の台湾ドラマの邦題に混乱し、ひとつも記憶していないのは、私だけ?
この手の邦題をつける配給会社の担当者って、ホイチョイ・プロダクション世代でしょ?
『私をスキーに連れてって』とか『彼女が水着に着がえたら』みたいな(笑)。
ホームドラマチャンネル、木曜深夜のこの枠は、今週から『マジに君に恋してる~粉愛粉愛你』を放送。