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台湾ドラマ『アリスへの奇跡~給愛麗絲的奇蹟』

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賀霆宇は、凱達格蘭樂團の首席ヴァイオリニスト。 
カリスマ的人気を誇るが、気難しい性格で、周りは手を焼いている。
そんな霆宇に憧れ、姉のツテで樂團の仕事を手伝うようになった藍蝶菲に、早速災難が降りかかる。
なんと霆宇が大切にするヴァイオリンが失くなり、蝶菲に疑いの目が向けられたのだ…。
一方、演奏のアルバイトで日銭を稼ぐアマチュアのヴァイオリニスト陳海傑は
ある日、観光で台湾を訪れていた“アリス”と名乗る日本人女性と出逢い
ふたりは短い時間でみるみる惹かれ合っていくが…。
 
 
2012年8月、ホームドラマチャンネルでスタートした台湾ドラマ『アリスへの奇跡~給愛麗絲的奇蹟』
2013年1月末、ついぞ盛り上がることの無いまま全24話の放送を終了。
よく最後まで観たと感心する。 これこそ奇蹟。 スゴイわ、自分。 今回は感想スルーしようかと思ったが
いやいや、こんなに頑張って観たのだから、その証拠をザッとでも記録しておこう。 

★ 概要

監督したのは、王麗文(ワン・リーウェン)。 
日本のサイトに“ワン・リーウェン”と片仮名で書かれた名前だけを見て
映画『父の初七日』の主演女優・王莉雯(ワン・リーウェン)かと思った。
その王莉雯も、偶像劇の脚本を手掛けているので、今度は監督したのかナ、と。
実際に監督した王麗文の方は、日本では北京語の発音で紹介されているが
これまでに『美麗分貝』、『愛上單眼皮男生』といった大陸ドラマを手掛けた香港の監督、
Lemmon Wong(レモン・ウォン)と同一人物思われる。 
恐らく私は監督作品を観たことが無いので、手腕は未知数。
 
一日本人としては、本ドラマが台湾のみならず、愛媛県松山で撮影されていることに注目。 

★ 物語

凱達格蘭樂團でカリスマ的人気を誇る孤高のヴァイオリニスト賀霆宇、
後に賀霆宇のオーケストラに入団することになる同じくヴァイオリニストの陳海傑、
賀霆宇に憧れ、オーケストラの裏方になるが、優しい陳海傑に密かに片想いする藍蝶菲、
陳海傑がずっと想い続けている音信不通の日本人女性Aliceにそっくりな伊藤聖子。
そんな4人の男女のすれ違う想いをクラシック音楽の調べにのせて綴るミステリアスなラヴストーリー
 
 
うーン…。 幻想的なお話と表現すれば聞こえは良いが、ハッキリ言って不可解でモヤモヤする。 
オーケストラを舞台に、夢と挫折を繰り返す若い男女の四角関係の物語に収めておけば良いものの
『不思議の国のアリス』を髣髴させる少女とウサギの神秘的な出逢い、
紛失した名器の行方、母の愛に飢え心に深い傷を負う天才芸術家、オーケストラの怪しい運営、
3ツの名前を持つ素性不明の日本人女性、彼女を追う謎の集団、
歌の才能を見い出された平凡な女の子、スター誕生を演出する芸能界のキタナイ裏事情、
主人公の姉の不倫などなど、「これでもかーっ!」てほど詰め込み過ぎで、フォーカスぼけぼけ、
どこの部分を取っても消化不良。
 
名器“海鷗(シーガル)”が消え、新たに別の名器“海妖(セイレーン)”を求め、日本へ旅立った時は
映画『レッド・バイオリン』のように、“所有する者を数奇な運命に巻き込む”ヴァイオリンを巡る
ミステリーに進展するのかと予想したが、その後、いつの間にかヴァイオリンは
どうでもいい存在に格下げされていた…。
 
一番割愛して欲しかった部分は、神秘的な日本人女性と、どういう事情でか彼女を追う謎の集団のくだり。
今どき、あそこまで現実離れした話は、観ていてゲンナリさせられる。

★ キャスト① ~ メイン

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                                                        (クリックで拡大)
 
炎亞綸(アーロン) : 賀霆宇役~心を閉ざした凱達格蘭樂團首席ヴァイオリニスト
 
「アイラインは入れていない!」と本人も言っているが
確かにアップで見ても、目元がナチュラルで、女子も羨む長いまつ毛がバッサバサ。
その代わり、今回は、「アイブローペンシル何本使い切ったの?」と尋ねたくなるくらい
眉毛をコッテリ描き込み、ゴルゴ13化していたけれど…。
美男子であるため、影の有る青年役ばかりオファーされるのか
どのドラマで見ても目新しさを感じられないのが残念。 亞綸クン、素材は良いのに、役になかなか恵まれない。
ただ今回は見所もあり、3歳から習っているピアノの演奏を披露。 ピアノを弾ける男子って素敵。
吹き替えているヴァイオリンも、かつての台湾偶像劇と違い、型はそれらしく様になっている。
 
 
梁心頤(ララ・リャン) : 藍蝶菲役~海傑に片想いする不器用な女の子 実は美声の持ち主
 
周杰倫(ジェイ・チョウ)プロデュースのユニット、
南拳媽媽ヴォーカリストとして頭角を現した梁心頤が、珍しく偶像劇に出演。
すでにシンガーとして人気を博している地元台湾では「あの梁心頤がドラマに!」と話題になるだろうが
彼女の知名度が低い日本だと、「なんでこの子が私の亞綸の相手役?!」と納得できない人も多いのでは。
ロシア系アメリカ人の父を持つ混血の割りに、脇役女優より背が低いし、大顔(取り分けアゴが目立つ)。
透明感のある声は相変わらず綺麗なのだけれど、みすみす日本での放送を視野に入れていたドラマなら
もっと分かり易い美人を主役にした方が、日本ウケは良かったかも。
 
 
修杰楷(シュウ・ジエカイ) : 陳海傑役~突然消息をたったAliceを待ち続ける純粋なヴァイオリニスト
 
修杰楷、結構好き。 なんか純朴で、めっちゃくちゃハンサムじゃないのが良い。
相変わらず安定した演技だし、イイ人役はお手の物。  特に言う事ナシ。
 
 
周采詩(チョウ・ツァイシー) : 伊藤聖子/Alice/飛鳥文役~謎の日本人女性3人は同一人物?!
 
大学で日本語文学を専攻し、プロフィールにも日本語を喋れると書いていた周采詩なので
彼女の日本語能力はずっと気になっており、日本人に扮する本ドラマは楽しみにしていた。
実際のとこ、日本育ちの日本人を演じるには相当無理が有るが、長台詞もよく頑張って覚えたと感心する。
日本語のあの訛りは、東京育ちの私には分からない愛媛訛りなのだろうと解釈しておきマス。
それより、可愛かったAliceが、どギツいメークのグレた伊藤聖子になって再登場したのには、意表を突かれた。
悪役女子プロレスラーのリング用を思わせるメークの“やり過ぎちゃった感”に絶句。
周采詩は、『ホット・ショット~籃球火』でも滑稽な出で立ちで登場していたし
美人ゆえ、ただの“お飾り”で終わらないために、故意に不思議キャラを演じるよう心掛けているとか??
 
 
 
この4人のキャスティング、悪くない。 
と言うのも、台湾だと、「うわっ、大好きな梁心頤が、ドラマで炎亞綸の相手役♪」と喜ばれるだろうが
梁心頤人気が特別高くない日本だと、「まさか梁心頤がオイシイ所を持っていく訳が無いわよねぇ? 
美男の相手役は、やっぱり美女の周采詩よねぇ…?!」と勘繰ってしまい
4人がシャッフルされ、最終的に誰と誰がくっ付くのか、先が読みにくくなるから。 

★ キャスト② ~ その他

脇で気になる出演者も3人だけ挙げておく。
 
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楊貴媚(ヤン・グイメイ) : 金莉莎役~かつて日本に暮らし 今はAlice Caféを経営する世話好きな女性
 
映画の印象、特に蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督作品での印象が強いベテラン女優・楊貴媚。
実際には、ぼちぼちドラマもやっているようだが、日本で放送される台湾偶像劇にはあまり出ていないので
変わったキャスティングだと思った。
ただ、アート系の映画で見ると個性的な女優と感じるが、こういうチープな偶像劇で見るとピンと来ない。
化粧が古臭いのかしら。 特に口紅の塗り方とか。 なんか青江三奈っぽいのよ。
<伊勢佐木町ブルース>が十八番の場末の酒場のママみたい。
 
 
林立洋(リン・リーヤン) : 唐晉滄役~凱達格蘭樂團の総監督 蝶菲の姉と不倫中
 
香港では林利(ラム・レイ)の名で活動する林立洋。
今回演じている唐晉滄は、いい年してお洒落に力が入っている中年の色男で、娘ほどの若い女性と不倫して、
それでも他の部分で誠実ならまだマシだが、仕事でも裏で何やらキタナイ手を使っているようで
言うなれば、“腹黒くなった石田純一”って感じ。
 
 
加賀美智久 : SJ 佐々木役~製薬会社の二代目で伊藤聖子の婚約者
 
久し振りに見た、台湾を拠点に活動する日本人のモデルで俳優の加賀美智久。
たどたどしい中国語で、素に近い“イイ人”を演じていたこれまでのドラマと違い、今回は悪役に挑戦。
異国で頑張っている日本人を応援したい気持ちは山々だけれど
外国語の台詞を喋らなければならないハンデを考慮しても、あの言い回し、あの演技はマズイ…。
芝居好きな素人が自主製作映画で演じる悪代官様のような、絵に描いた悪役を作り込み過ぎ。 

★ 主題歌

最後に主題歌。 梁心頤が歌うオープニング曲<夢織花園>ではなく
ここには、炎亞綸が歌うエンディング曲<原來>を。 亞綸クンお得意の泣かせるバラード。
 
 
 
 
 
音楽と言えば、登場人物たちがクラシックを演奏する際、曲名と作曲者名がテロップで出るのが良い。
映画やドラマでBGMが流れ、知っているはずなのに、曲名がなかなか出てこないことが結構有るので
イライラ防止になる。
ちなみに、本ドラマの原題(の一部)『給愛麗絲』は、ベートーヴェンのピアノ曲<エリーゼのために>
の中文タイトルでもある (他にも<献給愛麗絲>、<致愛麗絲>といった表現あり)。
日本語だと、Elise(エリーゼ)とAlice(アリス)は区別されるけれど、中文だとどちらも“愛麗絲”でいいみたい。
したがって、『不思議の国のアリス』の要素を取り入れた本ドラマの最終回、
海傑が病院の外で、手術中のAliceのために<エリーゼのために>をヴァイオリン演奏したのであろう。
(…って事は、本ドラマの真の主人公は、海傑とAlice?)
 
それにしても、あぁ~ぁ、せっかく日本が関わっているのだから、願わくば面白いドラマであって欲しかった…。 
炎亞綸ファンは、“炎亞綸プロモーション映像”だと割り切れば、楽しめるだろうが
それ以外の人で、純粋にこのドラマにハマれた人って、どれくらい居るのだろう。
こういう事を書くと、また飛輪海(フェイルンハイ)ファンから怒りのコメントが入りそうだが
“飛輪海関連ドラマに良作少なし”は、私の中で、もはや定説ヨ。
どんな駄作でも「面白い!」、「○○カッコイイ!」と盲目に支持してくれるアイドルのファンに頼っていたら
作品の質は落ちるばかり。 日本の業者も、そういうファンをアテにして、作品を買い、来日イベントをエサに
高いDVDを売り付ければ、それなりに元は取れるのかも知れないけれど、台湾ドラマ全体の評価は下がるだけ。
 
さて、ホームドラマチャンネル、今晩からこの枠は『私たち恋しませんか?~原來愛・就是甜蜜』を放送。
裸でもTシャツ着ているみたいに見える極道もノケ反る王陽明(サニー・ワン)の刺青に
今のところドン引きしている私だが、ドラマを追う内に、「王陽明ステキ♪」となるのだろうか…?

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