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アート・オブ・ブルガリ~130年にわたるイタリアの美の至宝

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<アート・オブ・ブルガリ~130年にわたるイタリアの美の至宝>
2015年9月から、東京国立博物館・表慶館で開催中の展覧会。

母が今になって「随分前に友達からもらった入場券が有るけれど、行かないわよねぇ?」と言って、
無料招待券を出してきた。どうやら捨てるつもりだったらしい。
捨てるくらいなら私が行く!と、そのチケットをもらい、会期終了間近の東博へ。
チケットが有るなら、もっと早く教えてくれれば良かったのに…。
つい先日、<始皇帝と大兵馬俑>を観に行ったばかりだったので、
短期間に2度も東博へ足を運ぶ羽目になってしまった。
(そして、せかっく上野まで来たのだからと、ブルガリ展の後にまたまた兵馬俑展を見学してしまった…。)

★ ブルガリ

BVLGARI(ブルガリ)は、ギリシャのエピルスで銀細工を生業にしていた
ソティリオ・ブルガリ(Sotirios Voulgaris/Σωτήριος Βούλγαρης 1857-1932 )が
1884年、ローマに創業した老舗宝飾メーカー。

企業名ブルガリは、創業者の名字から。
通常のイタリア語なら“BULGARI”と綴るはずだが、ロゴを“BVLGARI”と表記しているのは、
古いラテン語の表記では“U”が“V”にとって替わるため。

そんなブルガリ、日本で特に人気なのは、ジュエリーと腕時計だろうか。
他にも、香水や、バッグなどのレザーグッズが有ったり、ホテル経営にも乗り出し、
現在では世界中で幅広い事業を展開している。

★ 東京国立博物館・表慶館

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本日、出先から上野へ直行し、東京国立博物館に到着したのは正午頃。
近年、東博は平成館ばかり行っているので、表慶館は久し振り。
こちら、1900年(明治33年)、当時皇太子だった後の大正天皇の御成婚紀念に計画され、
1909年(明治42年)に開館した美術館。
ドーム屋根をもつネオ・バロック式のこの建物を設計したのは、
旧・東宮御所(現・迎賓館)などを手掛けた宮廷建築家の片山東熊(1854-1917)で、
1978年には重要文化財に指定されている。
平成の上野に居ることを忘れさせてくれる、明治末期の香り漂う建物は、ジュエリーの展覧会にぴったり。

★ アート・オブ・ブルガリ~130年にわたるイタリアの美の至宝

本展は、130年の歴史の中でブルガリが手掛けてきた貴重な名品を約250点集めて紹介する回顧展で、
2009年にローマでスタートし、パリ、北京、上海、サンフランシスコ、ヒューストンに続き、
東京は7番目の開催都市。

会場では、古い物から展示されているので、順路に沿って見学していくと、
ブルガリの歴史や、ジュエリーのトレンドが分るようになっている。




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Room0
エントランスをくぐるとまず迎えてくれるのは、ブルガリ家の故郷、ギリシャはエピルスの民族衣装と
メーカーのルーツである銀細工の数々で、全て1870年代から1890年代に制作されたもの。
エスニック感ムンムンで、現代のブルガリとは大層異なる。




イメージ 3

Room1
1920年代から1960年代初頭のコレクション。
20年代、30年代は、プラチナとダイアモンドを使用したアールデコ調で、
これらもまた現代のブルガリとは似ても似つかないデザイン。
40年代は戦争の影響もあり、宝石は控えめで、地金を多用。
画像は小さなイヴニングバッグ(1955年)。宝石キラキラな物に比べたら、質素かも知れないが、
ダイアモンドをあしらったゴールドのバッグなんて、今では考えられない贅沢な代物。
このバッグを溶かしたら、一体金歯が何本作れるんだ…?!




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Room2
1960年代のコレクション。
この頃からイタリアらしいカラーストーンを多用。色の合わせ方がインド風にも見える物も多い。
まかり間違って、この展示室からどれかひとつタダでくれると言われたら、
私はトルコ石のシリーズからチョイスするつもり。




イメージ 5

Room3
1960年代末から1970年代のコレクション。
蛇を意味する“Serpenti セルペンティ”シリーズがいっぱい。
この夏、東博・平成館で開催された<クレオパトラとエジプトの王妃展>でもローマ時代の蛇型ブレスを見た。
蛇は、あの時代から、イタリアに脈々と受け継がれているデザインなのだ。
現在、“ブルガリのセルペンティ”と聞き、真っ先に思い浮かべるのは、地金のシンプルな物だけれど、
昔はゴージャスで、宝石やエナメルで彩られている物が多い。
ゴージャス蛇がパカッと口を開けると、中が時計の文字盤になっているのも面白い。




イメージ 6

Room4
この展示室で一番気になったのは、日本や東洋を意識した品々。
珊瑚、オニキス、翡翠、白蝶貝などを使うことで、オリエンタルな雰囲気を出している。
富士山と松の木をデザインしたブローチなんて、日本で作ったら、民芸品になってしまいそう…。
(富士山がダイアのパヴェ、松の葉がエメラルドという豪華仕様。)
右の画像は、古い物ではなく、今年、東京のこの展覧会のためにデザインされたロングネックレス。
日本らしい銀杏の葉をモチーフにし、そこに東洋的な翡翠や珊瑚の他、
クリソプレーズ、スピネル、ダイアモンド等をあしらっている。予価38610000円也。




イメージ 7

Room5
時計のコレクション。
驚いたのは、“ブルガリ・ローマ”と命名された1975年に発表されたレザー&麻のストラップを付けた腕時計。
これ、なんとデジタル時計!あの時代、高級宝飾商ブルガリまでがデジタル時計を作っていたとは驚き。



Room6
1980年代から1990年代のコレクション。
なんか見覚えのある“これぞブルガリ!”なコレクション。

★ エリザベス・テイラー ルーム

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最後は、ブルガリを愛用した女優、エリザベス・テイラー(1932-2011)のコレクションを集めた展示。
本展覧会のポスターにもなっているサファイアのネックレスもここに。
横から見ると、山のように盛り上がっており、想像していたよりかなり大きい。



イメージ 9

あと、ここには、ジュエリーだけでなく、映画『クレオパトラ』(1963年)で身に付けた衣装や、
1964年、リチャード・バートンとの結婚式で着た服も展示。
エリザベス・テイラーには豊満なイメージを抱いていたが、
服を見ると、ウエストの辺りとか、かなりホッソリしている。
(正直に言って、“豊満”という以上に、“ズングリムックリ”という印象さえ抱いていたのは、
私の中で、おばあさんになってからのエリザベス・テイラーばかりが記憶されていたからかも知れない。)

映画の衣装は、所詮衣装だからかも知れないが、刺繍などは案外雑(笑)。
中国人に依頼したら、もっと緻密に刺繍するのに、…と思ってしまった。

★ その他

この展覧会では、要所要所に設置されたモニターで、ブランドや時代、ジュエリー等の解説がされており、
同時にそこに、代わる代わるブルガリのジュエリーを身に付けた王侯貴族や女優などが映し出されている。
近年の写真だと、映画祭のようなイベントで撮られたハリウッド女優が多い。
アジア人はほぼ華人で、私が気付いたものだと、大陸の江一燕(ジャン・イーイェン)、王麗坤(ワン・リークン)、
董璇(ドン・シュアン)、周韵(チョウ・ユン)、あと台湾の林心如(ルビー・リン)など。



イメージ 10

(↑)こちらの画像は、夫・姜文(チアン・ウェン)の監督作『陽もまた昇る』をひっさげ、
2007年カンヌ国際映画祭へ参加した時の周韵。
このダイアモンドとエメラルドの豪華なチョーカー(1989年製)も展示されていた(…ような気がする、不確か)。

ブルガリと限らず高級ジュエラーが、映画祭などで女優に商品を提供するのは、
広告の意味が大きいだろうから、新作を中心に貸し出しているのかと思っていたが、
今回の展覧会を見ていたら、過去のコレクションからかなり重要なアイテムが貸し出されている事が判った。


日本人で写真が出ていたのは、私が見た限り、宮沢りえと夏帆くらい。

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今年、出演作『海街diary』でカンヌに初参加した夏帆が(→参照
イヴ・サンローランのブルーのガウンに合わせていたのが
ブルガリのタクティカットのイヤリングとブレスだったそう。

日本は、ジュエリーが売れる市場ではないし、
そもそも女優が着飾って国際的なイベントに出席する機会も少ないので、
高級ジュエラーとはどうしても縁遠いくなってしまうのですよねぇ…、残念だけれど。

★ オマケ

イメージ 12

せっかく上野まで足を運んだので、どら焼きで有名なうさぎや(公式サイト)に寄り道。


目的は、(↓)こちら。

イメージ 13

かねてから一度食べてみたいと思っていた、“どら餡ソフト au lait”。
北海道ノースプレインファームの牛乳ソフトクリームに、うさぎやがどら焼きに使っている餡子を混ぜた物。
店内のショウケースの所で注文すると、店員さんが奥に入って、作ってもってきてくれる。
サッパリしたミルクのソフトクリームに餡子が合っていて美味。
食べ進めていったら、底の方に餡子が入っていて、得した気分。
これで300円は良心的。




顧客向け内覧会のような商品プロモーション的展覧会だったらイヤだなぁ~と思っていたのだが、
ちゃんと芸術的価値が感じられる展覧会で、とても良かった。
日本は到底かなわないヨーロッパの宝飾文化にタメ息の連続。
日本だと、例えばミキモトのような老舗の真珠商がジュエリーにも幅を広げているけれど、
歴史がぜんぜん違うし、市場に需要が無いから、成長のしようもない。
高級宝飾が売れなくなってきているのは、ヨーロッパも同じだが、
今でも、石のセッティングひとつ見ても、レベル違いで、
日本がこの先百年頑張っても絶対に追いつけない分野。
仮にジュエリーにあまり興味が無かったとしても(…私は大アリだが)、小さな芸術品として観賞の価値あり。
現在に至るまでの130年の中で、流行の流れが分るのも面白い。

人の入りは、お隣の<始皇帝と大兵馬俑>展より、ずっと少ない。
しかし、2~3人のお友達グループで来る女性が多く、
お喋りしながらショウケースの前を独占し、なかなかどいてくれないから、多少イラッとさせられることも。
結局2回も見学してしまった、その<始皇帝と大兵馬俑>については、また後日。



◆◇◆ アート・オブ・ブルガリ~130年にわたるイタリアの美の至宝 ◆◇◆
東京国立博物館・表慶館

会期:2015年9月8日(火曜)~11月29日(日曜)

9:30~17:00 (基本的に月曜)

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