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『ミスター・ノー・プロブレム』梅峰監督+王梓桐他Q&A

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第29回東京国際映画祭、コンペティション部門に選出され、ワールド・プレミアとして上映された中国映画
『ミスター・ノー・プロブレム~不成問題的問題 Mr. No Problem』を鑑賞。

脚本家として有名で、婁(ロウ・イエ)監督作品『スプリング・フィーバー』(2009年)では、
第62回カンヌ国際映画祭・脚本賞を受賞している梅峰(メイ・フォン)が、初監督した作品。

ワールド・プレミアなので、作品に関して、それ以上の詳細は分からないし、世間で評論もされていないが、
それでも私は漠然と「どうしても観たい!」と思っていた。
その思いが強過ぎたのか(?)、この作品は、チケットWEB販売システムにトラブルが生じた際、
4席も重複して取れてしまった…(現在は、キャンセル処理が済み、返金を待つのみ)。

上映は、10月29日(土曜)と11月2日(水曜)の2回。
私が席を押さえたのは、六本木EXシアターで上映される土曜日の方。

コンペティション部門への出品なので、
すでに上映スケジュール発表時、どちらにも必ず梅峰監督のQ&Aは有ると想像していた。
その想像通り、私が行った29日のQ&Aには梅峰監督が参加した他、
映画の中で佟逸芳を演じた女優・王梓桐(ワン・ズートン)、
プロデューサーで北京電影學院理事会理事長の侯光明(ホウ・グアンミン)、
プロデューサーで北京電影學院管理系主任・吳曼芳(ウー・マンファン)、
そして、プロデューサーで好樣傳媒(Hiyoung Media)總裁・丁一(ディン・イー)の計5名が登壇。

主人公・丁務源を演じている范偉は、11月2日の方にのみ出席予定。
主演男優のお話はもちろん聞きたいけれど、范偉は2007年『胡同(フートン)愛歌』の公開で来日した際、
ポレポレ東中野で見ているので、諦めがついた。

諦めきれなかったのが、こちら(↓)

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作中、秦妙齋に扮している張超(チャン・チャオ)。
当初、29日に登壇予定だったのに、ある日、東京国際映画祭のサイトを覗いたら、10月22日付けで
「チャン・チャオさん(俳優)の登壇はキャンセルになりました。何卒、ご了承下さい」という悲報。ガーン…!!
最初から来ないものと思っていれば、ショックも無いけれど、
来ると信じ、ウキウキしていたところで、キャンセルを知らされると、
山の頂上から一気に地面に叩き落されたかのような衝撃が…。

オーディション番組『加油好男兒(頑張れイイ男)』で注目された歌手出身の張超は、
この顔で、身長188センチ。最強じゃん。
あ゛ー、ナマ張超、見たかったぁぁーーーっ…!
私はね、森や滝でマイナスイオンを浴びて癒されるより、
二枚目俳優が発する美オーラを浴びて、細胞を活性化させたいの。残念…!!!

★ 『ミスター・ノー・プロブレム~不成問題的問題 Mr. No Problem』 梅峰監督+王梓桐他Q&A

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上映終了後に行われた約30分のQ&Aに登壇した5名を改めてチェックしておこう。
画像左から、佟逸芳を演じた女優・王梓桐(ワン・ズートン)、プロデューサー侯光明(ホウ・グアンミン)、
監督の梅峰(メイ・フォン)、そしてプロデューサーの吳曼芳(ウー・マンファン)と丁一(ディン・イー)。

会場の観衆が一番「誰、これ?」と疑問に感じたのは、恐らく右端の丁一氏であろう。
だって、“プロデューサー”とか“総裁”という肩書に違和感さえ覚える若さだもん。
吳曼芳女史と並ぶと、ママと息子みたい。
私、上映前に、彼を会場で見掛けた時、日本在住の留学生かと思った。
この丁一率いる好樣傳媒は、ちょっと調べてみたところ、2012年創業の新型メディア企業で、
『ミスター・ノー・プロブレム』とはまったく趣きの異なる映画、
趙麗穎(チャオ・リーイン)と、最近亡くなったばかりの喬任梁(キミー・チャオ)が主演する
『我們的十年~Days Of Our Own 』もプロデュースを手掛けたようだ。

監督の梅峰は、気難しい芸術家というより、大学教授、文学者といった雰囲気。
物腰が柔らかく、丁寧な物言いで、なおかつ知的な印象。

女優さんの王梓桐は、日本が初めてで、国際レベルの映画祭に参加するのも初めてなんですって。
切れ長の涼し気な瞳が印象的で、とても初々しい。


このような面々で行われたQ&Aだが、
カンヌ脚本賞受賞者の初監督作品がワールドプレミアということで、会場には珍しく西洋人の姿を多数見掛け、
使われる言語が中国語、日本語、英語の3ヶ国語になるため、“伝言ゲーム”のように時間を喰う。
ハッキリ言って、Q&Aの内容をあまり覚えていないのだけれど、
ささやかな記憶の中から、取り分け印象に残った部分を書き残しておく。



質問
元々脚本家でありながら、初監督作品をオリジナルストーリーにせず、
老舎(1899-1966)が40年代に書いた小説を選んだ理由は?

梅峰監督
いくつかの理由があります。
まず、この映画は、北京電影學院・青年電影製片廠(青年映画制作所)の
人材育成プロジェクトの一環として企画された作品です。
また、老舎は1966年に亡くなっているので、今年はその死からちょうど50周年に当たります。
あと、40年代から題材を取りたいという希望もありました。



質問
なぜ白黒の映像にしたのですか?

梅峰監督
本作品を撮るにあたり、残されている40年代の映像資料を沢山見ました。
そんな作業をする中で、人々が民国という時代に抱いているイメージが白黒であると気付き、
あの時代を表現するなら、やはりモノクロだと決めました。



質問
“引き”の映像が多い意図は?

梅峰監督
私は、北京電影學院の文学系で、世界の映画史を教えていることもあり、
外国映画を観る時、カメラワークを気にして観るのがクセになっています。
撮影に入る前、皆と議論を重ねる中で、この作品には現代風のカメラワークは合わないと思いました。





異業種から監督業に乗り出す人は、結構いる。
脚本家として活動してきた梅峰も、文字だけだった自分の世界を、映像を使い、
自分の手でより明確に表現したいという野望があったのかなぁ~、なんて想像していたのだけれど、
今回のQ&Aを聞いていたら、野望以上の“新たな試み”であったことを感じた。
ワールド・プレミアであるため、作品についての情報が入っていなかったわけだが、
これ、北京電影學院・青年電影製片廠が主導で進めたプロジェクトで、
人材育成という側面がかなり大きかったのですね。
出演者も裏方さんも、北京電影學院卒業生や関係者が多いらしい。
(ちなみに、今回来日した女優・王梓桐は、北京のもう一つの名門、中央戲劇學院卒。)

そんな話を聞いてしまうと、素人レベルの学生映画を想像してしまう人もいるかも知れないが、
そんな事はぜんぜんない…!
流れがゆったりしているので、起伏のある香港映画などを好きな人には退屈かも知れないが、
私の好みにはドンピシャであった。
年末までの残り2月でロクな映画を観なかったら、これ、本年度の私のベスト3に絶対に入る。

★ サイン会

六本木EXシアターを訪れたのは、先日の『メコン大作戦~湄公河行動』鑑賞に続き、2度目。
『メコン大作戦』の時は、Q&A終了後、
司会者から「2階で、監督がサイン会をやって下さいます」とアナウンスされ、
言われた通り建物2階に行ってみると、カフェ・スペースがサイン会会場として準備されていた。(→参照
今回は何も情報が無かったし、2階に上がる人も見掛けなかったので、帰路につこうと表に出たら、
建物入り口附近にちょっとした人の群れ。覗いてみたら、囲まれているのは梅峰監督。
サイン会をするなら、『メコン大作戦』の時のように、2階に会場を作ってくれれば良いのに、
何かの都合で場所を使用できなかったのだろうか。
自然派性的に始まったサイン会という様子だったので、
もしかして梅峰監督自身“サインを求められる”という考えが思いつかなかったのかも知れない。

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で、はい、私もサインを頂きました。
梅峰監督にサインを頂き、今度こそ帰ろうと思ったら、
道路際に立っている王梓桐を見掛けたので、彼女からもサインを頂いた。
右下の細い字が、王梓桐のサイン。王梓桐、おっとりしていて、感じ良かったですヨ。
益々の飛躍を期待しております!




『ミスター・ノー・プロブレム~不成問題的問題』は、好き嫌いが分かれ易く、
こういうのを苦手な人が観たら、15分で寝落ちしてしまう作品かも知れないけれど、
好きな人は絶対に好きだから!(←当たり前ですね。)
上映はあともう一度。次は、主演男優の范偉も登壇するので、
興味のある人は、11月2日(水曜)に六本木ヒルズへ!
映画の感想は、また後日。

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