昨日、2016年11月26日(土曜)、台北の國父紀念館では、映画の大きな祭典が開催。
そう、中国語映画界のアカデミー賞、第53回金馬獎 Golden Horse Awards。
私は、第17回東京フィルメックスに行っており、帰宅してから、ライヴ中継をつけたら、
ちょうど
孫燕姿(ステファニー・スン)の歌のパフォーマンスが始まるところ。

…が、声は出ていないし、音程もハズレまくり。どうしゃちゃったの孫燕姿?!と画面に釘付け。
ネットの回線が変なのかとさえ疑った。しかし、その後、風邪が原因で上手く歌えなかったとの発表あり。
「時間をかけて準備したのに、こんな事になってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱい。本当に死にたい!」
と御本人もコメント。えぇぇー、死なないでよ~。
昨今、一度失敗するとその映像がネット上に残ってしまうから、本当にやるせない気持ちでしょう。
少なくとも、私は、金馬獎の歌のパフォーマンスが口パクではなく、
歌手が本当に歌っているのだと判って、良かったかも。
その第53回金馬獎の中から、日本人でも関心が高い重要な項目に絞り、以下、
結果を。

最佳劇情片(最優秀作品賞)
『八月~The Summer Is Gone』 :張大磊(チャン・ダーレイ)監督最佳導演(最優秀監督賞)
馮小剛(フォン・シャオガン)監督 :『我不是潘金蓮~I Am Not Madame Bovary』最佳男主角(最優秀主演男優賞)
范偉(ファン・ウェイ) :『ミスター・ノー・プロブレム~不成問題的問題』最佳女主角(最優秀主演女優賞)
周冬雨(チョウ・ドンユー)・馬思純(マー・スーチュン) :『七月與安生~Soul Mate』最佳男配角(最優秀助演男優賞)
林柏宏(リン・ボーホン) :『六弄咖啡館~At Café 6』最佳女配角(最優秀助演女優賞)
金燕玲(エレイン・ジン) :『一念無明~Mad World』最佳新導演(最優秀新人監督賞)
黃進(ウォン・チュン)監督 :『一念無明~Mad World』最佳新演員(最優秀新人俳優賞)
孔維一(コン・ウェイイー) :『八月~The Summer Is Gone』最佳原著劇本(最優秀オリジナル脚本賞)
龍文康、伍奇偉、麥天樞 :『大樹は風を招く~樹大招風』最佳改編劇本(最優秀脚色賞)
梅峰(メイ・フォン)、黃石(ホアン・シー) :『ミスター・ノー・プロブレム~不成問題的問題』
『ゴッドスピード~一路順風』か『マンダレーへの道~再見瓦城』が本命と見られていた今年の金馬獎で…
ダークホース『八月』が最優秀作品賞を受賞。
『八月』は、まだ10歳の男の子・孔維一(コン・ウェイイー)が新人俳優賞も受賞。
これ、今年の東京国際映画祭でも上映され、観に行きたかったけれど、行けなかった作品。
(正確には、“無理すれば行けた”。システムトラブルでチケットを重複購入させられたため、
疲労と怒りから、追加購入を放棄したのであった…。)
地味な作品なので、映画祭で逃してしまい、もう二度と観られないと諦めかけていたけれど、
金馬獎で受賞したことだし、日本でもどこか配給してくれないだろうか。
8部門と今年最多のノミネート数で、期待のかかった『ゴッドスピード』は、
残念ながら最佳美術設計(最優秀美術デザイン賞)の一賞に終わった。
でも、良い映画であることにはかわりません。
昨年、『ロクさん~老炮儿』でマサカの主演男優賞に輝いた馮小剛が、
今年は本業の監督業で撮った『我不是潘金蓮』で、最優秀監督賞を受賞したのにも注目。
そして、今年の影帝・影后は、『ミスター・ノー・プロブレム』の范偉(ファン・ウェイ)と、
『七月與安生~Soul Mate』からなんと2人の女優、周冬雨(チョウ・ドンユイ)・馬思純(マー・スーチュン)が!
范偉の受賞は、非常に納得。
最優秀主演女優賞は、私個人的には、『マンダレーへの道』の吳可熙(ウー・クーシー)に獲らせたかった。
『七月與安生』は、陳可辛(ピーター・チャン)プロデュースの、曾國祥(デレク・ツァン)監督作品。
七月と安生という二人の女の子の物語で、それぞれを演じているのが、周冬雨と馬思純。
昨晩の受賞発表では、まず周冬雨だけが呼ばれ、時間を置いてから、
「もう一人…」と、付け足すように馬思純の名が読み上げられるというサプライズな演出。
このダブル受賞で、興奮が隠せない二人の様子の可愛らしかったこと。
周冬雨は、彼女のデビュー作『サンザシの樹の下で』を手掛けた張藝謀(チャン・イーモウ)監督に対し、
「張藝謀監督が私をこの世界に引き入れてくれなかったら、私は映画というものに関わることはなかった」
と真っ先に感謝の意を述べていた。
馬思純は、「七月と安生はそもそも一人の人物。
ありがとう冬雨、もしあなたが居なければ、私はこの賞を獲れなかった。
そして、私が居なければ、冬雨、あなたはこの賞を獲れなかったわヨ」
と笑っているのだか泣いているのだか分からない表情で、面白おかしくコメントしていた。
二人とも本当に嬉しそうであった。
馬思純の方は、日本でまだあまり知られていないが、現在BS12トゥエルビで放送中の
范冰冰(ファン・ビンビン)主演ドラマ『武則天 The Empress~武媚娘傳奇』に、
後半、小悪魔・賀蘭敏月の役で登場するので、興味のある方はチェック。