第53回金馬獎①で、受賞結果を記したのに引き続き、
こちらでは、私が当ブログで不定期に更新している企画、“勝手にファッションチェック♪”を。
台湾のイベントなんてどうせ地味なんでしょ、と思う人もいるだろうが、
全中華圏を巻き込むこの映画の祭典は、日本の映画賞など足元にも及ばないほど、
そこに参加する明星たちのお召し物も非常に華やかで、目に楽しいのです。
★ 男子の部
では、女性に比べ、どうしても地味になりがちな♂男性のお召し物を、まず先に簡単に見ておきます。

主演男優賞のプレゼンターを務めた張震は、サンローランで。
この服にこの帽子は、確固たるオノレがある張震だから許されるアイテム。
普通の男性には危険すぎる冒険になるので、避けた方が無難でしょう。

お薬で逮捕後の本格復帰作『マンダレーへの道~再見瓦城』で、
早速主演男優賞にノミネートされた幸運な柯震東は、シンプルでエレガントなランヴァン。
よく見ると、靴はステッチに遊び心があり、年相応の若々しさ。
台湾は、お薬にとても甘く、この手の事件を起こした芸能人の復帰は非常に早い。
一度過ちを犯した人でも、再起のチャンスがあるのは、良いことかも知れないが、
再犯率がかなり高いのもまた事実なので、周囲に迷惑を掛けないためにも、心するように!

張孝全は、最佳造型設計と最佳美術設計、両賞のプレゼンターとして金馬に参加。
正面からだと、スクールボーイ風にも見えるお召し物は…
後ろから見ると、刺繍が施された、グッチの“l'aveugle par amour(愛に盲目)”シリーズと一目瞭然。

上の画像で、張孝全と肩を並べ歩いている、ポール・スミスのスーツ姿の男性は、実は鳳小岳。
張孝全が、映画『GF*BF』(2012年)で密かに想いを寄せていた同性の鳳小岳と、
この日一緒にプレゼンターを務め、会場を沸かせた。
同作で共演した桂綸鎂(グイ・ルンメイ)も、客席から思わず笑み。

若くてカッコイイ人ばかりだと不公平なので、オッサンも一人、入れておきます。
最優秀監督賞を受賞した大陸の巨匠・馮小剛監督。
馮小剛監督は、以前、妻で女優の徐帆(シュー・ファン)が
金馬獎に“落馬”させられたことに対する怒りを引きずっていたのか、主演男優賞を受賞した昨年は欠席。
今年は出席し、素直に喜びを表していた。
服は、どうせオッサンだから、コナカか青木だろう、…などと見縊ってはなりません、エルメネジルド・ゼニアです。
年も年なので、あまりモード系の物でチャラチャラするより、ゼニアくらいの正統派で正解。
★ 女子の部 ①:ペールカラー
続いて♀女子の部。
今年、女性のお召し物で目立ったのが、淡いペールカラー。
さらに言うと、20~30メートルくらい先から見たら、「えっ、まさか裸…?!」と目を疑ってしまう、
まるで何も着ていないかのように見えるヌーディーなカラーが多かった。

台湾映画界きっての国際派で、華やかな場の装いに慣れている舒淇は、この日もお洒落。
叶姉妹が着ると大層下品に見えるロベルト・カヴァッリも、スレンダーな舒淇が着ると、ハイ、この通り。
服をモードっぽく着こなしたかったら、巨乳より貧乳の方が絶対得だから、
胸が小さいとお悩みのお嬢さん方、間違ってもシリコン注入などは考えない方が良いですよ。

ドラマ界ではすでにお馴染みの陳庭妮。
初主演映画『失控謊言~White Lies, Black Lies』での演技が認められ、新人俳優賞のノミニーに。
最終的に、賞は10歳の男の子に持っていかれちゃったけれど、大切な第一歩を踏み出した。
林志玲(リン・チーリン)と同じ凱渥(キャットウォーク)所属の彼女は、
身長175センチの抜群のスタイルで、この日はヴァレンティノを着て登場。
でもねぇ、ナンなのでしょう、良く言えば清楚だが、どこか淋し気で貧相にさえ見える。
何か物足りなさを感じてしまう、この日の陳庭妮なのであった。

『七月與安生~Soul Mate』で、24歳にして影后に封じられた周冬雨。
『サンザシの樹の下で』から“早6年”、…いや、“まだ6年”と言うべきか。
グンゼの木綿の白いパンツを穿いていそうだったあの無垢な女の子も、
お洒落にミュウミュウを着こなす一端の明星に成長。
デブには危険なこの膨張色のガウンも、小枝のように細い彼女は可憐に着こなしている。
ずっと年上の金城武を相手にヒロインを演じる映画『男人手冊』も(→参照)、楽しみ。

『七月與安生』で共演した周冬雨と揃って影后に封じられた馬思純は、
清純派として、最近、人気も知名度も一気に急上昇の女優さん。
当ブログによくお越しの方はもう御存知でしょうが、
彼女は、NHK『大地の子』で上川隆也の奥さんを演じた蔣雯麗(ジアン・ウェンリー)の姪っ子ちゃん。
金馬獎では、意識的に周冬雨とお召し物の色のトーンを合わせたのだろうか。
色もシルエットもふわふわの、ルイーザ・ベッカリアのガウンは、ピュアなイメージの彼女に合っている。
★ 女子の部 ②:モノトーン
フォーマルの定番、モノトーンは相変わらず人気。
でも、うわぁ~素敵♪って程の着こなしは、あまり無かった気が…。

昨年、『百日告別』で影后の座に就いた林嘉欣は、
張震と共に、主演男優賞のプレゼンターのお役にあずかり、今年も出席。
お召し物は2年連続でブラック。
昨年着た台湾人デザイナーの物は、ボワボワのバルーン状態で、残念としか言いようがなかった…。(→参照)
今年はランヴァンで名誉回復。今回もベスト・ドレッサーとは言い難くても、
シルエットがずっとスッキリし、随分良くなった(←嘉欣サマ、思いっ切り上から目線でゴメンなさい)。

『七月與安生』をプロデュースした夫の陳可辛(ピーター・チャン)に同伴して出席した吳君如は
ジョルジオ・アルマーニで。
よく見ると、胸元におリボンが有ったり、ディティールがラヴリーなのだけれど、
痛い印象は無く、むしろ大人っぽくまとまっている。

韓流スタア・宋承憲と、最優秀短編作品賞のプレゼンターを務めた林依晨は、
あまりヴェラ・ウォンぽくないヴェラ・ウォンで。
白黒がはっきりブロッキングされ過ぎているのだろうか、特に首元辺りが、やけに重く感じる。
ちなみに、この日、一緒に登壇した宋承憲は、簡単な中国語で御挨拶。
何度も破局報道が出ているので、真相は不明だが、劉亦菲(リウ・イーフェイ)と交際が噂されるだけあり、
中国語が上達していた。

おフランスから大物女優が登場。『ホウ・シャオシェンのレッドバルーン』(2012年)でコラボした
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督と共に、最優秀監督賞のプレゼンター。
ひと言ふた言口にした中国語があまりにも下手で、自分でも吹き出しておられた。
ジュリエット・ビノシュお姐サマも、前出の林依晨と同じランヴァンのブラック&ホワイトなのだが、
うーン、どうなのでしょう。フーテンの寅さん風に羽織ったジャケットが、本当に必要なのかビミョー。
★ 女子の部 ③:その他

これはもう一目瞭然のシャネルですねー。
遠目には分からないが、全体にビーズを施した豪華で贅沢なガウン。
あちらでは酷評されているが、そこまでクソミソに言われるほど悪くないように思う。
肩が一直線に張ったデザインなので、
確かに角度によっては、エモン掛けに吊り下がっているようにも見えてしまうが…。

李玟は歌のパフォーマンスを披露するため、7年ぶりに金馬獎に登場。
久し振りのハレの日のお衣装は、ニコラス・ジェブラン。
性別を超越したドラァグ・クイーンを連想させるキョーレツないで立ち。
しかし、李玟自身に強烈な個性があるので、もうどうぞ御自由に!という感じ。迫力で着こなしておられます。

王菲(フェイ・ウォン)の娘・竇靖は、『七月與安生』の主題歌<(It's not a crime) It's just what we do>の
作詞作曲演唱の全てを手掛け、オリジナル楽曲賞にノミネートされた恐るべきティーンエイジャー。
(↓)こんな曲です。
両親ともミュージシャンだからねぇ、やはりDNAなのでしょうか。
金馬獎には、ニナ・リッチを男の子みたいに着こなして出席。
口から首に一直線のラインを引いたメイクも個性的で彼女ならでは。すでに“自分”を持っている子。

大トリは、華やかなイベントには欠かすことのできない范冰冰サマで締めましょう。
范冰冰は、『我不是潘金蓮~I Am Not Madame Bovary』で主演女優賞にノミネートされ、
エリー・サアブのブルーのガウンで、金馬獎に参戦。
往年のハリウッド女優を彷彿させるクラシックなテイストだが、
実は片側がガバッと割れており、左足が付け根まで覗いて、セクシー。
ハイ、冰冰サマのおみ足、いただきました~。范冰冰はケチりません。
ちなみに、手にしているクラッチバッグは、ルイ・ヴィトン。
スポンサー契約の関係と想像するが、最近范冰冰は、こういう時、大抵ルイ・ヴィトンのクラッチを持っている。
結局、惜しくも受賞は逃したが、同作で監督賞に輝いた馮小剛監督から、
「お金にならない文芸作品で演じてくれるスタアは得難い」と感謝の言葉をもらい、涙ぐむ場面もあった。
この映画、観たいわぁ~。
私が選ぶ
ベスト・ドレッサーは、金馬獎だけにゴールドで決めた舒淇かしら。

大物感では、范冰冰のオーラも、やはりスゴイ。
皆さまのお好みは、どの明星の着こなしですか?