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北京2016:夕刻の天安門広場~降旗儀式

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何度北京を訪れても、滞在中、絶対に一度は行きたくなるのが、天安门广场(天安門広場)
この広場に立つと、北京に来たーっ!という実感が湧く。

★ 天安門広場

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天安門広場は、北京の中軸線上、故宮の南側に位置する世界最大の広場。
その原型ができたのは、明朝第3代皇帝・永楽帝が、明永楽19年(1421)、北京に遷都する前、
永楽3年(1406)、紫禁城の建設に着手し、永楽15年(1417)、南門の承天門(現・天安門)を、
そして永楽18年(1420)、紫禁城を完成させた頃にまで遡る。


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1949年、中華人民共和国が成立すると、
その建国初期の1954年、周辺が整備され、ほぼ現在の天安門広場が形成。
(画像は、人民英雄記念碑が完成したばかりの1958年頃に撮られた物。)


南北に880メートル、東西に500メートル、面積44万平米、百万人の収納が可能という巨大な広場の中には、
現在、人民英雄記念碑や毛主席記念堂が、また西側には人民大会堂、東側には中国国家博物館が建つ。

北京を、ひいては、国家を象徴する場所であるため、
1989年の天安門事件(六四事件)のような革命運動の舞台にも。

それでも、私が初めて北京を訪れた90年代半ばは、まだまだユルく、出入りは自由であった。
今も別に入場に難しい制限はなく、依然北京の超有名観光スポットだが、
手荷物検査を受けないと、入れなくなっている。

★ 入場

なにぶん広い天安門広場なので、出入り口は一ヶ所ではない。
ただ、地下鉄駅から直接アクセスしようと、地上を歩いて来ようと、手荷物検査は絶対の義務。
空港と同じような検査で、人々の列は案外スムーズにはけていく。
でもねぇ、前、夏休みド真ん中に行ってしまったら、スムーズな検査も追いつかない、人、人、人の山で、
天安門広場の中に入るためだけに、約一時間を要してしまった…。
多分、国慶節の頃もスゴイでしょうね。
あと、全人代会期中など、入れない時期もあるので、要注意。



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今回、私は、地下鉄1号線の天安门东(天安門東)駅で下車し、
すぐに広場へは入らず、取り敢えず、天安门(天安門)側へ。


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まずは、手荷物チェックの列に並ぶ。
(手荷物の無い人は、ボディチェックだけをする列につけば良い。そちらの方が、列が短い。)


苦にならない程度の時間で、チェックゲートをパスし、そのまま天安門の方へ。

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“門”と呼ぶには、あまりにも立派な天安門。
毛沢東の肖像画が掲げられたこの風景は、北京へ行ったことの無い日本人にも、お馴染みであろう。
この天安門、普通の観光客でも、上ることが出来ます。


でも、今回の私の目的は、天安門ではなく…

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その向かいに広がる天安門広場の方。

なので、天安門を外側から軽く見学したら…

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地下通路を使い、天安門と広場の間をはしる大通り・长安街(長安街)を横断。
荷物チェックはすでに受けているので、あとはもう何もせず、広場に入れる。

★ ここが天安門広場

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はい、入りました、天安門広場。広いです。
(画像は、天安門広場、真ん中よりやや前方辺りから、天安門の方を撮った物。)
周辺の建造物も全て大きく、我々日本人が自然と基準にしてしまっている“物差し”では測り知れない。
実際に天安門広場に立つと、テレビのニュース映像などで見て、勝手にイメージしていた大きさを、
遥かに超えるサイズであることを実感する。


広場内の主要建造物をザッとチェック。

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広場西側に建つのは人民大会堂(人民大会堂)
プレハブ住宅じゃぁあるまいし、十ヶ月ポッキリで建造されたとは信じ難い巨大会議場。
会議が行われていない時なら、基本的に、内部を見学できる。



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人民大会堂の向かい、広場東側に建つのは中国国家博物馆(中国国家博物館)
パスポート提示で、入場無料。



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広場内、ほぼ中央には人民英雄纪念碑(人民英雄記念碑)
革命烈士を顕彰する、高さ37.94メートルの石碑。



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人民英雄記念碑の南側には毛主席纪念堂(毛主席記念堂)
毛沢東(1893-1976)の遺体を安置している廟で、
死後ちょうど一年にあたる1977年9月9日に落成の式典が行われ、一般開放。
我々外国人でも、無料で遺体を見ることはできるが、内部では立ち止まらずに進むことが義務。
カメラの持ち込みは禁止。当然、携帯電話での撮影もダメ。



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植え込みも綺麗に整備されている。
植物をこんな風に綺麗に整えだしたのは、多分北京五輪の準備が始まった頃からだったような気がする。



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衛兵は、広場内を巡回している人と、立ちっ放しの人がいるのだけれど、皆やたら姿勢が良い!
夏は強烈な太陽光線が差し、冬は氷点下になる天安門広場で、微動だにせず立ち尽くすとは、アッパレ。

★ 降旗儀式

この天安門広場では、毎日欠かさず、日の出に合わせて“升旗仪式(昇旗儀式)”
日の入りに合わせて“降旗仪式(降旗儀式)”というセレモニーが行われている。
漢字から想像できると思うが、日の出に合わせ、中国の国旗・五星紅旗を揚げ、
日の入りに合わせ降ろす儀式である。

そんなの見て何が面白いんだ?!と疑いつつも、
ずーーーっと前に一度、国旗掲揚を見学に行ったら、意外にも面白かった。
夏季の日の出といったら、早朝5時頃。
そんな時間に広場に来る物好きなんて、自分の他いるワケが無いと思っていたら、
いえいえ、そんな物好きがウジャウジャ居たのです。
まだ暗い巨大広場に、どこから降って湧いたのか、黒山の人だかりができている光景は、
SF映画のようにミステリアスかつ壮観で、国旗掲揚以上に印象に残った。


実は、この度、天安門広場を訪れたのは、あの不思議な感覚を久し振りに体験したくなったから。
しかし、前述のように、近年、天安門広場への入場は面倒になっているので、
朝は諦め、一度も見たことの無い日の入りの国旗降納の儀式へ行くことにしたのだ。

9月初旬の日の入りは、だいたい夕方の6時50分くらい。

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早い人は、もう30分以上前から、ベストポジションをキープ。
私は好位置での見学をサッサと諦め、先に記したように、広場内を散策していた。




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儀式の時間が近づくと、警備員が広場内を巡回し、
人々に、退去、もしくは国旗掲揚台の方へ移動するよう指示を出し始める。
儀式が始まる5分前には、あの広ーい広場で、人が居るのは国旗掲揚台周辺だけ。後方はガラーン。
私も、国旗掲揚台へ向かい、なるべく小柄な人を探し、その後ろに陣取る。
(経験上、子供を連れたパパの後ろはNG。子供に見せたい一心で、肩車をするから。)

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見学者、結構います。
でも、懸念していたほど埋もれず、案外見通しが良い。


儀式スタート。

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中国人民武装警察部隊所属の天安門国旗護衛隊による一糸乱れぬ動き。



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五星紅旗が下げられる中盤、後方の天安門に灯りがともる。


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はい、五星紅旗が下まで来ました。
これにて終了。


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解散。直ちに広場から出るように指示される。


ちょっとくらいなら、写真を撮っていても大丈夫。

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皆、立ち止まり、ライトアップした天安門をバックに写真を撮りたがるのだけれど…

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それでも、案外、あっという間に、人が掃ける。
ちょっと前まで大勢の人で賑わっていたのに、ガランとモヌケの殻になった巨大広場は、なんか不思議な感じ。




何てことないけれど、意外に面白いイベント。
衛兵交代なら、人並みに、バッキンガム宮殿や、台北忠烈祠、あとのアテネなどでも見たが、
天安門広場の昇旗降旗儀式は、場の雰囲気が何とも言えず独特で、好き。


ついでなので、この儀式を執り行っている“天安門国旗護衛隊”にも少し触れておく。
天安門国旗護衛隊が正式に組織されたのは1991年。
中国人民武装警察部隊の所属なので、彼らも一応武装警察なのであろう。
どこの国でも「衛兵交代をやる衛兵にブ男はいない」と言われているが、
天安門国旗護衛隊も例外ではなく、顔立ちも選考の対象になるという。
北京の武装警察部隊に入隊する多くの新兵の中から、身長180センチ~190センチの間で、
他にも、首の長さ、肩の高さ、足の長さや形が条件に合う者だけを選抜。

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訓練も大変なもので、筋力トレーニング、歩行練習は勿論のこと、“眼功”なる目力トレーニングも。
そうすると、炎天下でも、40秒瞬きをしないで、3時間微動だにせず直立していられるカラダになるようだ。
もちろん、実践でも、儀式をより美しく見せるため、例えば、75センチの歩幅で、
金水橋から国旗まで138歩で行き、2分07秒で旗を揚げるといった細々とした決まりがいっぱい。
旗の上げ下げも楽な仕事ではありませんね。



ちなみに、私が、天安門広場へ行ったその日は、上空に、たっぷりモクモクの雲が立ち込めていた。
私がそれまでに見てきたのは、雲ひとつ無い真っ青な空の下の天安門広場ばかりだったけれど、
このように雲に覆われているのも、また違った幻想的な趣きがあってイイ感じ。
日が暮れ、灯りがともされた天安門と天安門広場が、これまた美しい。
中国は、ヨーロッパのように黄色っぽい灯りを使っているから、夜景が綺麗。
日本の青白い電灯は情緒が無くて大嫌い。なぜ変えないのでしょう…。



◆◇◆ 天安门广场 Tiananmen Square ◆◇◆
地下鉄1号線・天安门东(天安門東)/天安门西(天安門西)/地下鉄2号線・前门(前門)下車。


日々変わる国旗を掲揚/降納の時間は、

もしくは、ネットの天気予報を見れば、日の出、日の入りの時間は簡単に分かる。

北京2016:天安門

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一向に終わりが見えない2016年北京備忘録…。

天安門広場で毎日日の入りの時刻に行われている国旗降納の儀式について記したついでに、
大通り・長安街をはさみ、広場の向かいに建つ天安門についても、簡単に残しておく。

★ 天安門

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天安门(天安門)は、まるでお城のような立派な建造物だが、
名前からも察しがつくように、あくまでも“門”、紫禁城(故宮)の南側に構える城門である。

紫禁城の歴史は、大都(現・北京)に都を造営した元朝の世祖・忽必烈(フビライ)の頃にまで遡る。
その後、時代が明朝に移ると、俗に“永楽帝”と呼ばれる明の第3代皇帝・成祖朱棣(1360-1424)が、
永楽元年(1403)、明の都を、南京から北京へ移すことを決定。
永楽3年(1406)から、元の時代に作られた皇宮を基礎に、大規模な改築を重ね、
永楽18年(1420)遂に紫禁城が完成。
翌、永楽19年(1421)、明は正式に北京へ遷都。

天安門は、紫禁城建設に伴い、永楽15年(1417)に創建された北京皇城の南側の正門。
南京の承天門を模して造られたことから、当時の名称は、まんま“承天門”。

その後、落雷や攻撃で、崩壊されては再建された承天門が、またまた壊れて再建されたのは、
清が明を滅ぼし、北京に入城してから。
清の順治8年(1651)、順治帝福臨の命で大々的に再建されたこの城門は、
「受命於天,安邦治國(天命を受け、安定した国を治める)」という意味を込め、
現在まで使われている“天安門”に改称。



建築の特徴は、南北に34.7メートル、面積約4800平米。
5ツの通路をもつ城壁の上に、9間の入母屋造りをのせ、上部は琉璃瓦で覆われている。
使われている木材の大半は楠。大殿の内部には、紅の漆を施された直径92センチの柱が60本。
城樓の周囲には、蓮をイメージした漢白玉の欄干が並ぶ。


我々日本人が、“天安門”と聞き、真っ先に頭に思い描くのは…

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ニュース映像などで度々目にしている毛沢東(1893-1976)の肖像画であろう。
大きさは、大体6メートル×4メートルほどあるらしい。(つまり、2階建て住宅くらいの高さ。)
そんな毛沢東の巨大肖像画が天安門に掲げられたのは1949年。
ずーっと同じ肖像画ではなく、幾度となくリニューアルされている。

リニューアルされたところで被写体は常に毛沢東。
“天安門に毛沢東”は、“コーヒーにクリープ”くらい切っても切れない組み合わせ、…と思い込みがちだが、
実は、過去には、毛沢東以外の肖像画も掲げられている。

例えば、こちら(↓)

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ソ連の最高指導者、ヨシフ・スターリン(1878-1953)。
1953年、スターリン死去の際、北京政府が追悼集会を開催し、
「斯大林同志永垂不朽(スターリン同志は永遠に不滅)」の追悼句と共に、
スターリンの肖像画を天安門に一日だけ掲げている。


もっと驚きなのは、こちら(↓)

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wow!蔣介石(1887-1975)!国共内戦に破れる1949年までの国民党政府期間は、
な、な、なんと、蔣介石が天安門を飾っていたのです。今では考えられない。歴史って面白い。


但し、天安門は、時代を象徴する権力者の肖像画を飾る巨大な額縁などではない。
明・清の時代には、皇帝たちが、ここで、詔令を発したり、出征/凱旋する軍隊を迎えたり、
殿試(科挙の最終試験)の公布をするなど、重要な行事が行われる場所であったという。

もっとずーっと近年になり、1949年10月1日…

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毛沢東が「同胞們、中華人民共和国、中央人民政府、今天成立了!」と
中華人民共和国成立を宣言したのも、やっぱりこの天安門。

今でも、天安門広場で大きな国家イベントがあると、
国の要人が天安門のバルコニーにずらりと並んでいる姿を見る。

…なので、中国の要人、もしくは国賓にでもならない限り、天安門に登るのは不可能と思いがちだが、
いえいえ、1988年に一般開放されている。
我々も、ちょっとだけお金を払えば、簡単にあの場所に行けるのです。

★ 天安門への道

私が最後に天安門に入ったのは、もう数年前。
今回、久し振りにふと思い立ち、ある日の夕方、立ち寄ってみた。


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天安門のみを見学する人も、その先にある故宮を見学する人たちと同じように、
天安門の城壁にある5ツの通路の内、開放されている一つを通り、まずは天安門の裏側へ回る。
(かつては皇帝しか通れなかったという中央の通路は、今でもやはり一般見学者には封鎖されている。)



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故宮見学者はそのまま北へ直進し、天安門見学者は、ここでチケットを購入。大人一人15元也。
最近、故宮は、チケットの購入にパスポートの提示が必要と聞いていたので、
天安門も同様かと思っていたら、こちらは不要であった。


チケットを入手しても、天安門にはまだ登れない。
天安門ではバッグの持ち込みが禁止されている。

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チケット売り場の近くにある有料の存包処(バッグ保管所)に預ける。
カメラの持ち込みはOK。他、お財布などの貴重品は、小袋などに入れて持って行けば問題ナシ。

料金は、バッグの種類や大きさによって異なる。

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私の場合、A4サイズが入るやや大きめのショルダーバッグで、3元であった。
預かってくれる時間は基本的に一時間まで。それ以上になると延長料金がかかるので要注意。


ぜんぜん関係ないけれど、そのバッグ保管所の脇のゴミ箱の所に…

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あらら、「禁止小便」の張り紙。
天安門はお上りさんが多いから、子供にゴミ箱でおしっこさせちゃう人も居るんでしょうねぇ。

★ いざ、天安門!

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荷物も預け、いよいよ天安門へ。
“参观天安门城楼入口”と記されたこのゲートで、ボディチェックを受け…

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あとは、西側の階段から上に登るだけ。
(階段は、東西両方にあり、西が入り口、東が出口専用となっている。)

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はい、階段、上り切りました。
当たり前だけれど、近くで見る赤い旗は、やたら大きく、風でバッサバサとはためいている。


そして、(↓)こちらが…

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これまで多くの要人たちが見下ろしたであろう、天安門楼城からの天安門広場の眺め。



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(↑)こちらは、前述の“蓮を模した漢白玉の欄干”。
欄干と植え込みの間には、常に数人の係り員がいる。
欄干を乗り越える人や、天安門から飛び降りようとする人を制止するためだろうか。


広場とは反対側に目をやると…

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真っ赤な楼閣。


楼閣にも入れる。中には、お土産を扱うちょっとした売店もあり。
但し、内部では撮影禁止。
…なのだけれどぉ、皆、出入り口の所から内部の写真を撮りまくっており、
それに関しては、係り員からのお咎めはナシ。
“内部に入り、内部の撮影はNG”だけれど、“外部から身を乗り出し、内部を撮影する分にはOK”ってこと…?

私も外から撮ってみた。

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パーテーションで仕切られた応接間のような部屋が横にいくつか並んでいる。
何かの行事で、要人らが天安門に立つ際、ここを控えの間として使うらしい。

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天井や、“中国版シャンデリア”のような照明は、細工が精巧で非常に美しい。


これにて、天安門見学は終了。
東側の階段から退出。

★ 出口が無い…!

その後、地下鉄駅に向うつもりでいた私は、
見学を終えた時点で初めて“そうそう簡単には地下鉄駅へ辿り着けない”という事実に気付く。
以前は、天安門広場側から入り、天安門広場側に出ることが可能だったのだが、
いつの間にか、“南から入り、北から出る”という一方通行に変わっていた…。
故宮見学が、南から北への一方通行に決められた事は知っていたけれど、
そのルールが天安門のみの見学者にも適用される事は知らなかった。

仕方が無いので、係り員に最寄りの駅がどこなのか尋ねながら、北へ北へと直進。

思い掛けず、天安門以外の物まで見学することに。

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こちらは、天安門と午門の間に位置する端门(端門)
皇帝が外出する際の護衛用の武器や儀仗などを保管しておく場所だったらしい。


脇にちょっとした人垣ができているので覗いたら…

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天安門国旗護衛隊が訓練中であった。
(天安門国旗護衛隊については、昇降旗儀式について記した天安門広場のエントリを参照。)


さらに北上すると、有名なあの午门(午門)

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午門は紫禁城の正門。
映画『ラストエンペラー』(1987年)で、幼い溥儀が自転車で外の世界へ出ようとしたところ、衛兵に遮られ、
やるせない気持ちで、大切にしていた鼠を投げつけた、あの門。(参照→北京2014:故宮①)
現在は、故宮博物院の入場口になっているが、この時間はすでに閉館しており、ここも閉ざされていた。



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なので、私は、午門の東側にある左阙门(闕左門)と記されたこの門から、取り敢えず外部へ。

赤壁の外側は、柳の緑とお堀の水が延々と続く気持ちの良い風景。

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お散歩に最適です。
幾度となく、横をミニバスが通ったので、それに乗ればどこか繁華街に出られると察したが、
まだまだ体力に余裕があったので、お散歩することにした。


東へ東へと歩いていくと…

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小さな商店が並ぶ、下町情緒のあるエリアに。


さらにもう少しだけ東へ行くと…

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王府井大街に到着!


北京は、碁盤の目に整備されているので、方角さえ間違わなければ、大抵目的地に着く。
天安門から王府井に辿り着くまでの所要時間は、ゆっくりブラブラ歩きで大体一時間くらい。
気持ちの良い環境をお散歩できるので、時間と体力のある方はお試しを。
(逆に、時間の無い人は、天安門見学には要注意。見学時間以上に退出に時間がかかるので。)



なお、天安門の前に広がる巨大広場・天安門広場、
及び、そこで毎日行われている国旗降納の儀式については、以下にリンク。




◆◇◆ 天安门 Tiananmen ◆◇◆
地下鉄1号線・天安门东(天安門東)/天安门西(天安門西)

8:30~17:00(3月~10月) / 8:30~16:30(11月~2月)

15元(大人一般) /5元(学生/60~64歳)
無料(65歳以上/身長120センチ以下、もしくは6歳以下の子供)

手荷物は有料の保管所に預けること

夏の和洋菓子3種(+テレビ雑記)

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中華圏では“夏のヴァレンタイン”とも称される七夕が、今年2017年は、一昨日8月28日だったらしく、
微博上にも、恋する二人にまつわる様々なメッセージや画像が溢れたが、
中でも、私のお気に入りは(↓)こちら。

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ドラマ『如懿傳~Ruyi's Royal Love in the Palace』より、辮髪を結ってもらっている乾隆帝。うっとり…。

前から気になっているのだけれど、清代の男性の場合、後ろの三つ編みの部分はともかく、
前方のハゲの部分は、どれ程度の頻度で、誰がどのように処理していたのだろうか…??
皇帝のような地位の高い男性なら、お抱えの剃髪係りくらい居ただろうが、じゃぁ、一般庶民は…?
一日でも放置したら、ポツポツと毛が生えてきてしまい、綺麗な状態をキープするのは困難なハズ。
どなたか清の辮髪史に詳しい方がいらしたら、教えて下さいませ。

もう普通の髪形の男では満足できない!辮髪サイコーじゃんっ!
…と辮髪の魅力に気付いてしまった方は、こちらの“辮髪(べんぱつ)大特集♪”も併せてどうぞ。




近々放送の要録画番組も3本。

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一本目は、9月1日(金曜)夜、毎度の日テレ『アナザースカイ』
今回のゲストは“ピコ太郎”こと古坂大魔王で、ピコ太郎ブームのスタート地点となった台湾を訪れ、
空前のフィーバーとなった空港の様子を語ったり、念願の夜市を訪れたり、
台湾を代表する高級ホテルの手厚い歓迎に感動したりするらしい。

以前から、アイドルやお笑い芸人がハワイを紹介する回には、あまり期待していないのだけれど、
近年は、そこに台湾も加わった。“安近短”でお手軽である事に加え、
親日のイメージを抱く視聴者も多いから、当たり障りが無いという理由で選ばれるのかナ、と。
今回も、“ブームのスタート地点=台湾”とした事を少々コジ付けに感じてしまい、期待値低め。
ゲストが本当に思い入れのある場所を紹介する回の方が断然面白いのよねぇ…。
もっとも、今回、御本人が語るらしい“フィーバーになった空港”は事実。
2016年11月、ピコ太郎・初訪台の際の空港の様子は(↓)こんな感じ。

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この時は、現地の芸能人の協力も得て、大体的にプロモーションを行い、かなりメディアに取り上げられていた。
…けれど、そんなブームも、すでに去ってしまったと見受ける。
台湾は、南国特有なのか、日本以上に、パーッと熱し易く冷め易い、シビアな市場という印象。
(まぁ、<PPPA>に続くヒットが出ていないから、冷めちゃったのだろうけれど。)

今回の『アナザースカイ』のロケは、7月下旬に行われたみたい。

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“念願の夜市”というのは、饒河街夜市のことのようです。





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翌9月2日(土曜)は、NHK BSプレミアムで『チョイ住みinマレーシア』
初対面の二人が、海外のある街で、暮らすように過ごすことをコンセプトにした人気の『チョイ住み』シリーズ、
第12弾となる新作の舞台は、マレーシアのクアラルンプール。
そこで共同生活をするのは、料理研究家の浜田陽子とアーティストのチョーヒカル。
チョーヒカル(趙)は、騙し絵のような不思議なボディペイントで有名な、日本育ちの中国系アーティスト。
浜田陽子の方は知らないのだが、お料理番組を見る人たちの間では、結構有名な料理研究家なのだろうか。
『チョイ住み』シリーズに料理研究家が登場するのは、もしかして土井善晴以来?
土井善晴センセが、野村周平と過ごしたキューバ編は、なかなか良かった。今回はどうでしょう。
出演者の職種に関係なく、舞台がマレーシアというだけで、楽しみ。





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その日は、その後も引き続きNHK BSプレミアム。
『チョイ住み』の後に放送するのは、『盗まれた長安 よみがえる古代メトロポリス』という番組。
なんか推理サスペンスのようなタイトルで、内容は分かるようで分からないのだが、
どうやら、西安で起きた盗掘事件にスポットを当てているようだ。

西安は、かつて唐の都・長安があった場所。
近年、経済発展で開発工事がどんどん行われ、それに伴い、遺構が次々と見付かり、
幻のメトロポリス・長安の様子も次第に明らかに。
そんな折り、陵墓が盗掘され、そこにあった石槨が、密かに海外に売り払われ、
しかもそれが世紀の大発見だったと判明し、大騒動になったという事件を取り上げているみたい。

“石槨(shíguǒ せっかく)”とは、石でできた棺のこと。
西安で盗まれた石槨とは、恐らく武惠妃(699-737)の石槨を指す。
武惠妃は、唐朝第9代皇帝、あの玄宗皇帝(685-762)の寵妃。
(玄宗は、寵妃・武惠妃を亡くした後、息子の妃であった、かの楊貴妃(719-756)にのめり込んでゆく。)
番組が、どのような切り口で、この石槨を取材しているのかは不明だが、
結果を言うと、アメリカに流出したその石槨は、すでに中国に戻り、修復もされ、現在は陝西歴史博物館が収蔵。
盛唐の頃の寵妃の石槨なんて、超お宝に決まっているし、
唐朝を描く陳凱歌(チェン・カイコー)監督最新作『空海 KU-KAI』も公開を控えているので、
今回のこの番組は、“間接的な映画の予習”としても、とても興味深い。





早いもので、8月も明日で終わり。
このまま秋になり→そして冬に突入していくと思うと、なんか寂しい…。
お菓子も、…特に和菓子は、すでに秋仕様に変わりつつあるので、夏っぽい物はそろそろ食べ納めであろう。
今回、ここには、過ぎゆく今夏を偲びながら、和と洋のお菓子を計3ツ。

★ 飛騨 大井屋:麩まんじゅう

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大きさは、一辺約5センチの三角形。
生麩の生地で、こし餡を包み、さらに笹の葉でくるんだお饅頭。




一つ目は、飛騨 大井屋(公式サイト)“麩まんじゅう”

今まで食べてきた他店の麩饅頭との分かり易い違いは、見た目。
他店のは、大抵、コロッとした形だが、ここのは平たいおにぎり型。

色は、お店によって異なり、お麩本来の色をそのまま生かしたベージュっぽい物と、
ヨモギ等を混ぜ込んだ緑の物が主流だと思うけれど、ここのは後者。

これも当然ヨモギ麩かと思いきや、うン、何か違うような…。
もしかして、青のりを使っているのでは?気のせいか、ほんのり磯の味を感じる。

中には、滑らかなこし餡。
私は元々こし餡派だけれど、特に麩饅頭の場合は、
こし餡の方が、ツルンとした生麩の邪魔にならず、相性が良いように思う。

★ 飛騨 大井屋:若桃

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大きさは、直径約4センチ。
青桃の甘露煮を、白餡と共に、葛の生地で包み、桜葉を添えた生菓子。



もう一つも飛騨 大井屋から季節の上生菓子で“若桃”

これは、見た目で想像していた物と違った!(←良い意味で。)
どこの和菓子屋さんでも、夏になると店頭に並ぶ水饅頭の類と、一見同じなのだけれど、割って、ビックリ。
中に、餡以外に、なにやら実が入っている。

この実は、早摘みした小さな桃を甘露煮にした物。
早摘みの桃なんて、恐らく食べたことが無い。
熟した大きな桃とは、味も食感も全然違う。
果汁が少なく、味は特別甘くもなければ、酸っぱくもない。
オリーヴにも似た、コリッとした食感が面白い。

餡はピンク色だけれど、白餡。
薄っすら桃の味を感じるのは、青梅の甘露煮が染み出ているせいかも知れない。
(もしくは、ただの気のせい。)


一見普通でも、実は珍しい生菓子で、気に入った。
青桃自体は、果汁が少なく、甘くも酸っぱくもないなどと言ってしまうと、さぞやマズそうだが、
これが入ることによって、お菓子全体の甘さが緩和され、サッパリするし、歯応えのアクセントにもなっている。

★ ル・フレザリア・パティスリー:トゥーヌソル

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大きさは、直径約6センチ。
アルフォンソ・マンゴー・ムースの中に、
パッションフルーツ・クリームと、パイナップルのヴァニラ・コンポートを隠し、ココナッツの台の上にのせ、
チョコレートのひまわりで飾ったケーキ。




最後は洋モノ。ル・フレザリア・パティスリー(公式サイト)“トゥーヌソル”

アルフォンソ種のマンゴーを使ったムースの中に、
パッションフルーツ・クリームと角切りにしたパイナップルのコンポートを入れた球体部分がメイン。
マンゴーそのものを感じる濃厚な甘さのムースを、パッションフルーツの酸味で中和。

下に敷かれているココナッツの台は、ダックワーズのような焼き菓子。
ココナッツは、味も食感も効いている。
このココナッツ台と本体のムースの間に、ちょっと挟まっている刻んだナッツも香ばしくて良い。


う~ん、トロピカル。
マンゴー、パッションフルーツ、パイナップル、ココナッツ、チョコ…。
好きな物ばかりの組み合わせだから、不味いわけないとが思っていたけれど、やはり美味しかった。
フランス語で“ひまわり”を意味する“Tournesol”という名前にちなみ、
トップに飾られたチョコレート製のひまわりが目を引き、見た目も可愛らしい。
ル・フレザリア・パティスリーは、フォトジェニックなケーキが得意ですよね。

北京2017:一年ぶり

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ダラダラと綴り続けていた2016年北京旅行備忘録が一向に終わらず、モヤモヤした気持ちのまま、
またまた行って参りました、北京へ。


今回は久し振りに母を伴った旅行。
ある友人が、非常にお元気だった御両親を、何の前触れも無く、突如立て続けに亡くした事が、
私に少なからず影響し、「久し振りに親と旅行してみようかしら…」と。
本当は、父も一緒と考えていたのだが、他に用があって、母のみとなった。

母は、今回久し振りの海外。
数年前、自分の母親が急死し(つまり、私にとっては母方の祖母)、
周囲が想像している以上のショックを受け、色々と思う事があったようで、
「もうパパ以外の人とは、海外へは行きませんから!」と私に宣言。
ところが、ちょうどその頃から、父に国内旅行ブームが到来したので、結果的に母は海外へ行かなくなった。

場所を北京に限定すると、母にとっては、もう本当に超久し振り。
元々中国に偏見のある人では無いが、
日本でタレ流されている報道などに、知らず知らずの内に感化されているのか、
「mangoちゃんの分も有るから大丈夫よ!」とか言いながら、PM2.5対策用マスクまで用意していた。
生まれも育ちも東京で、高度成長期に光化学スモッグ漬けになった生粋の東京人のアナタ様が、
北京の空気に敏感に反応することは絶対に無いっ!と言ったんですけれどね、私。

案の定、母のそのマスクは出番なし。
心のどこかで「マスク装着で過ごさなければならない…」と北京のハードルを低くしていたくらいだから、
実際に触れた北京には感動の連続だったようだ。

超久し振りだったので、母がまず驚いたのは、著しく発展した北京の大都会っぷり。
その反面、歴史も感じられ、見所が多く、とにかくスケールが日本とは桁違い。そして、なにより人が良い。

私も今回母と行ったことで、初めて気が付いたのだが、中国って、本当に老女に親切。
地下鉄やバスに乗ると、母が若い子から席を譲られる確率ほぼ100%。
あまりに譲られるため、申し訳なくなり、なるべく席から離れた所に立っていると、
わざわざ「座って」と呼びに来てくれる人までいる。
街中の普通の人がそんなくらいだから、我々が客として訪れるホテルやお店の人の親切は、半端じゃない。
母本人は勿論感激しているし、私も、人民の皆さまがうちの母に親切にしてくれることに感謝し、
この先、日本で年配の外国人観光客と遭遇したら、ちゃんと気を遣おうと思ったのであった。

また、母と一緒だと、どうしても日本語で喋ることになるので、
周囲に我々が日本人だとバレバレになるのだけれど、
バレバレになった事で、「日本大好き!」を熱くアピールしてくる人が多かったのにも、軽く驚かされた。



お天気に関しては、「恵まれた」とは言い切れない。
今にも降り出しそうな曇り空がずっと続き、帰国が近くなってから、ようやく快晴。
ただ、出発前にチェックしていた天気予報だと、連日雨のはずだったので、降られなかっただけマシかナ、と。



あとねぇ、今回、ホテルの部屋でテレビをつける度に、やたら目にしたのが、こちら(↓)

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放送を開始したばかりの孫儷(スン・リー)主演新ドラマ『那年花開月正圓~Nothing Gold Can Stay』。
チラ見した程度だが、なんか面白そうであった。






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親が一緒だと、行動が制限されるし、何かとお一人様の方が楽な事が多いのだけれど、
今回はあくまでも“親と旅する”こと自体を目的と考え、割り切った。
そして、その母が本当に楽しそうにしていたので、今回はこれでもうOK。


そんな訳で、この度の北京では、あまり積極的に色々な事をしていないし、写真もそんなに撮っていない。
しかも、撮った写真の多くが“風景withうちの母”なので、ブログに使いにくい…。
それでも、地味ぃーに、気長に、北京2017旅の備忘録を更新していくつもりでございます。

大陸ドラマ『皇貴妃の宮廷~多情江山』

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若き皇帝・順治帝福臨が天下を治める17世紀清代の中国。
江南地方への初めての巡幸を控えた順治帝は、
子を身籠った寵妃・果珍を一人残して旅立つことが心配でならない。
そんな折り、皇后である索爾娜が、些細な事で、お付きの太監・小溜子を殺すという事件が起きる。
皇太后の姪という立場を楯に、傲慢に振る舞う索爾娜を、常々腹立たしく思っていた順治帝は、
蝶をめでる会に参加していた嬪妃たちを集め、
皆の前で、索爾娜に、皇后が持つ命令権を3ヶ月停止すると命じる。

索爾娜に与えた処分の事後報告と、江南巡幸前の挨拶を兼ね、慈寧宮を訪れた順治帝に、
母である孝莊太后は、「江南は美人が多い。くれぐれも漢族の女子など連れ帰らぬよう」と釘を刺すと共に、
信頼する太監・劉光才には、しっかり皇帝の見張りをするよう密かに命じる。

はるばる江寧までやって来た順治帝一行。
ここでの一番の目的は、官僚が不正を行っていないかを調査すること。
彼らのありのままの仕事ぶりを知るため、絹織物を扱う“黄”という姓の豪商を装う順治帝。
この時、彼はまだ知らない、明朝の復権を目論む天地會に、この巡幸が筒抜けになっていること、
そして江南一の美女と名高い怡清園の歌妓・董小宛との運命の出逢いが待っていることを…。



2017年6月半ば、チャンネル銀河で始まった大陸ドラマ『皇貴妃の宮廷~多情江山』が、
約2ヶ月半後の8月末、全59話の放送を終了。
私は北京へ行っていたため、一週間以上遅れてのゴールイン。

このドラマ、第一話を観て最初に受けた率直な印象は、「軽い…」。
女優のメイク、衣装、映像全般がチャラい、チャチィと感じた。
最後まで観終えた今も、決して“傑作”と讃えることはないけれど、
後半戦で、遅ればせながら、徐々に物語に入り込み、ナンだカンだ言って、そこそこ楽しめた気がする。

★ 概要

メガホンをとったのは、香港の監督李惠民(レイモンド・リー)と大陸の白雲默(バイ・ユンモー)

李惠民監督が過去に手掛けた作品で、私が確実に観たと記憶しているは、
張曼玉(マギー・チャン)、林青霞(ブリジット・リン)、梁家輝(レオン・カーフェイ)、
そして甄子丹(ドニー・イェン)という豪華キャストで撮られた映画『ドラゴン・イン/新龍門客棧』(1992年)。

ドラマだと、これまで何度も映像化されている金庸の小説を台湾でドラマ化した任賢齊(リッチー・レン)主演作
『スウォーズマン 笑傲江湖~笑傲江湖』を撮ったのが、やはりこの李惠民監督で、
日本にも入ってきているけれど、私は未見。

一方、白雲默の方は、その李惠民監督に師事した新進気鋭の監督さん。
…と言っても、1976年生まれのすでにアラフォー。
やはり李惠民監督とタッグを組んで撮った作品が多く、
単独監督作品で日本に入ってきている物は、今のところ無さそう。


この『皇貴妃の宮廷』は、中文原題『多情江山』。
台湾ではタイトルが放送局によって異なり、
中天綜合台では『董鄂妃傳』、中視數位台では『多情皇妃·董小宛』。

★ 物語

漢族や漢文化に対する官僚たちの拒絶反応が強い清朝初期を背景に、
江南巡行の際、漢族の歌妓・董小宛を見初め、宮中に迎え入れたことで、周囲からの激しい反対に遭うも、
屈することなく、彼女との愛を貫く順治帝の22歳から24歳までを描く清宮恋愛ドラマ



この手の大陸時代劇は、長きに渡る歴史を順々に綴る壮大な大河ドラマである場合が多いけれど、
本作は、若干6歳で即位した清朝第3代皇帝、“順治帝”こと愛新覺羅福臨の最晩年、2年だけに焦点を当て、
順治帝統治下の清代の歴史をベースに、寵妃・董鄂氏との純愛を描いたラヴ・ストーリー。

『宮廷の泪 山河の恋~山河戀·美人無淚』の後半部分と重なるお話なので、
『宮廷の泪』を観ていると、歴史の流れがより分かり易いはず。

その『宮廷の泪』にも描かれているように、順治帝福臨は、母親の姪っ子を皇后に立てていたにも拘わらず、
その皇后には目もくれず、他の女性に夢中になってしまったのは史実。
但し、その寵妃が、この『皇貴妃の宮廷』に描かれているような“漢族の歌妓”というのはフィクション。


入江曜子の著書<紫禁城~清朝の歴史を歩く>の中から、
彼らの複雑な関係に関する部分を少し抜粋しておく。(カッコ内は私が付けた注釈)

順治八年、十四歳の皇帝は母后の姪にあたる博爾濟吉氏=本作の索爾娜を皇后に選び、大婚を挙行。
しかしその二年後、十六歳の皇帝はその皇后が奢侈を好むとの理由で側妃の位に落とし、
翌年第二の皇后を立てる。しかし眼鏡に叶ったはずのこの皇后もまた、
純朴ではあるが才知に乏しいとの理由で二年後には廃后を決定する。
この二度目の廃后騒ぎの真因は、順治十三年、皇帝の居宮乾清宮と皇后の居宮坤寧宮の修建が
完了したのを期に董鄂氏=本作の董小宛を嬪として迎えたことで露呈した。

朝廷と親しい関係にあったイエズス会の宣教師アダム・シャールは、
「董鄂氏=董小宛は順治の第十一弟=博果爾 ボゴルの妻であったが、
皇帝の炎のような恋の結果、略奪した」として、その直後に起こった弟の急死を憤死か自殺かと疑っている。
事実その死を待っていたかのように、順治帝は董鄂氏をただちに皇后に準じる皇貴妃とし、
また四年後に董鄂氏が世を去ったときには追封して皇后としただけでなく、
この措置に批判的な人々に対する弁明だったのだろうか、自ら『董妃行状』の筆をとって、
その生涯の美徳を讃えたほどの感情を示した。


史実では、同じ“道ならぬ恋”でも、“異民族との恋”ではなく、“略奪婚”だったようだ。
(元々博果爾の妻だったという説に異を唱える学者もいて、
実際のところ、彼女の来歴には諸説あり、あやふやなまま。)
現実には、漢族の女性を嬪妃にしていなくても、順治帝が漢文化にかなり傾倒していたのは、
事実として言い伝えられている事。
本ドラマでは、そんな順治帝の“漢贔屓”をエッセンスに、実際に順治帝の寵妃であった董鄂氏に、
美貌と溢れる才能で名を馳せた明代末期の名妓・董小宛(1623-1651)を合わせ、
“董小宛”という半真半偽の人物像に膨らませ、順治帝の一途な純愛物語に仕立て上げたのであろう。

★ 順治帝

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本ドラマの主人公、“順治帝”こと愛新覺羅福臨(1638-1661)について、簡単におさらい。
福臨は、後金の大汗にして清朝第2代皇帝・皇太極(ホンタイジ)と、
後に“孝莊文皇后”となる博爾濟吉特氏との間に生まれた息子で、皇太極にとっては第9子。
崇8年(1942)、皇太極崩御で皇位を継承した時は僅か5歳で、
叔父(父親の異母弟)である多爾袞(ドルゴン)が摂政王として、実権を握る。
あまりにも大きな権力をもってしまったこの多爾袞は、専横を極めるようになった上、
福臨の生母・博爾濟吉特氏を娶ったことで、福臨の不満は溜まる一方。
(ママが多爾袞に降嫁したという話は、現時点で確証されていないが、仮に真実であったとしても、
未亡人が死んだ夫の兄弟と再婚する、いわゆるレビラト婚は、満族では珍しくない事。
福臨は漢文化に傾倒していたため、ママの降嫁が許せなかったと言い伝えられている。)
そこで、順治7年(1650年)、多爾袞が死に、翌年、13歳で親政を始めると、
多爾袞に与えられていた追尊を剥奪し、多爾袞一派を排除。

ちょうどその頃、ママの手配で、ママの姪っ子・博爾濟吉特氏を皇后に迎えるが、
彼女が奢侈を好むとの理由で、順治10年(1653年)、周囲の反対を押し切り、博爾濟吉特氏を“靜妃”に降格。
翌順治11年(1654年)、もう一人別の博爾濟吉特氏を2代目皇后に冊封。
新たな皇后は、福臨より3歳年下で、美しく、誠実な性格ではあったけれど、福臨からは気に入られず、
順治13年(1656年)、董鄂氏が入宮すると、福臨は彼女を寵愛し、賢妃→皇貴妃と昇格させる一方、
皇后を冷遇。現皇后を廃し、董鄂氏を皇后に冊封しようと試みるが、
廃后も2度目となると、ママをはじめ、周囲の反対もさすがに強く、断念。
そうこうしている内、順治17年(1660年)、董鄂氏が若くして病死。
福臨は、寵妃の死をひどく悲しみ、彼女を皇后に追封し、彼自身、その翌年、順治18年(1661年)に崩御。
享年たったの24歳。死因は、当時、満族には免疫が無かった天然痘。

あまりにも若過ぎる死だったため、「実は順治帝は死んでおらず、寵妃・董鄂氏を弔うため、出家し、
“行痴”の法名を名乗り、五台山で生きている」という“順治帝出家説”まで流れるが、
順治帝の“純愛”に関しては、前出の<紫禁城~清朝の歴史を歩く>には、以下のように記されている。

その死を最愛の「皇后」を失ったためとする解釈はいささかロマンティックにすぎよう。
董妃入宮ののちも順治は複数の女性を後宮に侍らせ、天然痘によるその死後にも
二人の男子誕生がみられるのである。
生涯童貞の誓いをたてた宣教師たちは、皇帝のこの行状を「異常性欲」と評して失望を隠さない。

子孫を残すことは、皇帝にとっては大切なお仕事だから、“異常性欲”も皇帝の資質(笑)。
順治帝の何がスゴイって、若干24歳で亡くなっているのに、子供を14人も(!)遺しているのだ。
もっとも、そのほとんどが夭逝しており、ちゃんと育ったのは、4人の男児と一人の女児だけ。
それでも、その内の一人、第3子の玄(1654-1722)は、後に清朝最盛期の名君と称えられる康熙帝である。

順治帝に関し、もう一つ記しておくと、
順治帝は、順治元年(1644年)、多爾袞率いる清軍が山海関を破ったことで、
北京城に入城した初めての清朝皇帝である。つまり、紫禁城を自宅兼職場にした初めての清朝皇帝。
よって、本ドラマの主な舞台は紫禁城。

★人物相関図

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主要登場人物については、まずはザッと、こちらの人物相関図で関係をチェック。
以下、さらに、細かく。

★ キャスト その①:運命の二人

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高雲翔(ガオ・ユンシャン):順治帝愛新覺羅福臨(1638-1661)~若き清朝第3代皇帝

順治帝福臨については、前述の通り。
13歳でお嫁さんをもらい、24歳で亡くなっている皇帝なので、短い生涯で常に子供というイメージがある。
『宮廷の泪』の福臨と比べてみます。

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『宮廷の泪』の福臨は、本ドラマで福臨を演じる高雲翔より十歳若い吳俊余(ウー・ジュンユー)で、
やはり子供っぽいイメージ。この若さは、実際の福臨に近いのかも知れない。
ただ、『宮廷の泪』版福臨ほど子供っぽいと、ラヴストーリーがおままごとのようになってしまうから、
もっと大人っぽい高雲翔をキャスティングしたのは、正解かも。
高雲翔は実際1982年生まれの結構な大人で、私生活では、女優・董璇(ドン・シュエン)と結婚し、
もう子供もいるパパなのだが、その割には若々しく、愛にも政にも一途な20代の皇帝役に無理が無い。
台湾系アメリカンで、同じ年の俳優・黃柏鈞(デニー・ホァン)と、お顔の雰囲気が似ている。
清潔感と、それなりの風格を兼ね備え、悪くないと思っていたのだが、
後半、猫を被った果珍にまんまと騙されている彼を見て、「この男、もしかして馬鹿…?!」と幻滅…。



侯夢瑤(ホウ・モンヤオ):董小宛/董鄂氏(1639-1660)~江南で名を轟かす歌妓から順治帝の寵妃へ

実際の寵妃・董鄂氏と、明代末期の名妓・董小宛を足したキャラクターなので、物語序盤、彼女は歌妓で、
身分を伏せ、お忍びで江南に視察にやって来た福臨を、富商の“黄公子”と信じ、恋に落ちる。
お忍び行脚中の水戸黄門が、現地女性と恋愛に発展する、言わば“清朝版・逆『ローマの休日』”って感じ。
ところが、その黄門様、いや、黄公子が、天下人だと判明したから、さぁ大変!
度を越えた超玉の輿が波乱の幕開けで、
理不尽な嫌がらせや、命まで危険に晒される壮絶なイジメが、以後、次々と小宛を襲うことになる。
それでも耐えて耐えて絶えまくり、ひたすら利他的で自己犠牲を厭わない小宛を、
「頑張れ!」と応援するどころか、見ていて軽くイラッとするのはナゼでしょう…??!
演じている侯夢瑤は、充分美人の部類だが、それでも董小宛は主役としての魅力に何か欠けるのよねぇ…。
私だって、実際に友達になるなら、善人の方が良いけれど、ドラマの主役だったら、ただの善人は退屈。

ついでに、もう一つ、侯夢瑤の苦手な部分を言ってしまと、
彼女、普段はおブスではなくても、号泣する顔が美しくないのです。
(もっとも、美しく号泣するのは、どんな女優さんでも難しいでしょうが…。)
正確には、“美しくない”というより、“号泣している顔が、森進一の物真似をするコロッケに似ている”。
一度そう見えてしまってからは、彼女が泣く度に、笑いをこらえるようになってしまった不埒な私…。


ちなみに、『宮廷の泪』でこの役を演じたのは…

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子役出身の張雪迎(チャン・シュエイン)。
おとなしい皇后とは正反対の活発な性格で、福臨を魅了するという設定であった。

★ キャスト その②:後宮の女たち

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20代前半でも、大勢の嬪妃がいた順治帝福臨だが、ここには絞って数名を。

袁詠儀(アニタ・ユン):孝莊太后(1613-1688)~順治帝福臨の生母

先に叔母が大福晉として嫁いでいた皇太極(ホンタイジ)に側妃として嫁ぎ、福臨を産んだ、
俗に“大玉兒”と呼ばれるこの女性は、『宮廷の泪』では主人公。
『宮廷の泪』では、袁姍姍(ユエン・シャンシャン)が、まだ屈託のない少女時代から、
太皇太后に登り詰めるまでの、長い生涯を演じきっているけれど、
こちらの『皇貴妃の宮廷』では、皇太極も多爾袞も亡くなり、独り身になったもうオバちゃんの大玉兒。
演じている香港明星・袁詠儀は、本ドラマ出演者の内、日本で最も有名なのでは…?懐かしいですよねー。

『宮廷の泪』の袁姍姍と、『皇貴妃の宮廷』の袁詠儀を比べてみます。

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共に“袁”姓の女優さん、うーン、両者とも、近寄り難い雰囲気は無く、むしろ親近感が売りでしょうか。
袁詠儀が清宮ドラマに出演するのは、これが初めて。
袁詠儀も孫がいる太后を演じる年になったのかぁ~という感慨はあるけれど、
その役が果たして合っているかどうかは、別問題。
若い頃、親しみ易いキャラクターで人気を博した袁詠儀は、年を重ねても、その親近感は失われず、
太后役、ましてや「20年前は絶世の美女だった」という設定だと、「・・・・?」。
ほぼ同世代の香港明星なら、『宮廷の諍い女~後宮甄嬛傳』の蔡少芬(エイダ・チョイ)の方が、威厳がある。
袁詠儀だと、どうしても、普通の“お母ちゃん”っぽい雰囲気になってしまう。
まぁ、孝莊も、太后である以前に一人の母だったという部分を強調したいがゆえの起用だったと受け止めます。



徐小颯(シュー・シャオサー):索爾娜(?-?)~順治帝の皇后で後に廃され靜妃に降格

索爾娜は、伯母・孝莊太后の後ろ盾があり、傲慢に振る舞うが、
孝莊太后でさえ尻拭いできない程お調子にのって暴走を繰り返し、結局皇后を廃されてしまう。

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『宮廷の泪』でこの役を演じる、まだあどけない董慧(ドン・フェイ)と違い、
本ドラマの徐小颯は、あらら、随分なスレッ枯らし。
この二人を見ると、2作品は、廃皇后の解釈がかなり違うことが分かる。
『皇貴妃の宮廷』の徐小颯は、バブリーなメイクのせいか、後宮で足の引っ張り合いをする清代の妃というより、
企業を舞台にした現代劇で同僚にあれこれ嫌がらせをする意地悪OLという印象。
“分かり易い悪役”という点で、『宮廷の諍い女』の華妃にも近いが、後半、小宛に対する態度をアッサリ変え、
「実のことろ、彼女の事は認めているわ」と発言したのには、耳を疑った。案外柔軟な索爾娜(笑)。



徐麒雯(シュー・チーウェン):靈珠~簡親王濟度と縁戚関係 索爾娜最大のライバル

靈珠は架空の人物。美人で華やかな自分に大層な自信があり、索爾娜を蹴落とし、皇后の座を狙う。
衝動的な索爾娜と違い、計算をするので、最初の内は悪事もバレずに済むが、
従兄の簡親王濟度と組み、行動に歯止めが利かなくなったことで、窮地に追い込まれ、
順治帝から罰を下される前に、自ら毒酒をあおり、命を絶つ。
靈珠役の徐麒雯は『織姫の祈り~天涯織女/衣被天下』で演じた主人公の友人・胡小梅の印象が強い。
あの胡小梅も、靈珠ほどではないにしても、悪賢く、上昇志向が強い野心家であった。



米露(ミー・ルー):多娜(1641-1718)~索爾娜が廃されたことで、蓉貴妃から2代目皇后に昇格

誠実な性格ではあるが、順治帝からの寵愛は受けられなかったと言い伝えられている彼女は、
それでも、皇后、皇太后の座に、中国史上最長の64年も居座り続けた女性。
“出る杭は打たれる”というくらいだから、目立たず、のらりくらりとしていた方が、周囲も気を緩め、
長い目で見ると、結局はオイシイのかもね。
ドラマの中の多娜も、存在が地味であるため、2代目皇后に就任しても、
他の嬪妃たちから、人畜無害と見做される。
そのように、周囲を安心させておき、実はイヤな奴というのが、この多娜。
演じているのは『武則天-The Empress-~武媚娘傳奇』での高陽公主役が記憶に新しい米露。
裏表があるという点で、多娜も高陽公主も共通。



劉越(リウ・ユエ):果珍~若くして後宮にあがった天真爛漫な妃

架空の人物・果珍は、優しく素直な性格のため、小宛が後宮に入るまで、順治帝が一番信頼し、可愛がる妃。
小宛がやって来てからも、他の嬪妃とは違い、彼女と親しく交流するので、順治帝は果珍を益々信頼。
小宛も果珍には心を許しているし、皇帝、皇太后、他の嬪妃たちもみ~んな、果珍は善人であると疑わない。
…ところが、この可愛らしい果珍こそが、後宮で一番腹の中がドス黒い女だったのですねー。
劉越という女優さんは、『後宮の涙~陸貞傳奇』に陳の同昌公主役でチラッと出ていたらしいが、
まったく記憶にない。18歳と言っても通じる若々しさだけれど、1986年生まれというから、もう三十路。
ドラマの前半、前髪を下ろしていると、まるで子供。中盤以上、前髪を上げたら、雰囲気がガラリと変わった。

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前髪を下ろしている時は気付かなかったけれど、上げたら、“井上真央+岩崎宏美÷2”って感じの顔だった。



孫婉婷(スン・ワンティン):佟佳氏(1640-1663)~順治帝の第3子・玄の生母

佟佳氏は、後に清朝第4代皇帝・康熙帝となる玄を産んだ妃。
果珍と共に、後宮では珍しい“善人枠”の一人で、小宛も彼女を信頼し、姉妹のように交流。
その後、果珍は、偽善者であったことが判明するけれど、佟佳氏は最後までイイ人。
ただ、イイ人であるせいか、後の皇帝の生母にも拘わらず、目立たないカスミのような存在。
後宮モノでは、毒婦の方が存在感を発揮するものなのです。
実際の佟佳氏も薄幸で、せっかく息子が皇帝に即位し、自身も皇太后に昇格したのに、
その翌年に24歳の若さで病死…。
扮する孫婉婷は、景甜(ジン・ティエン)が大玉兒を演じるドラマ
『大玉兒傳奇~The Legend of Xiaozhuang』では、福臨の寵妃・董鄂氏を演じているようだ。

★ キャスト その③:その他

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亓航(チー・ハン):英格爾~順治帝の侍衛

順治帝の侍衛・英格爾は架空の人物。順治帝と一緒に育てられ、順治帝からの信頼も厚い。
扮する亓航は、現在日本で放送中の『記憶の森のシンデレラ~放棄我,抓緊我』にも、
何やらスパイ活動をしている怪しげな男・康星の役で出演している。
『記憶の森のシンデレラ』の亓航は、ちょっとムッチリした印象。その3年前のドラマ『皇貴妃の宮廷』で見ると、
特に笑った顔が、若い頃の黃曉明(ホアン・シャオミン)に似ている。



韓(ハン・ユエ):宋扣扣~董小宛の侍女

扣扣も架空の人物。小宛の侍女といっても、小宛がまだ歌妓だったころからの仲で、
主従関係を越えた姉妹のような大親友。
姉が小宛で、こちらの扣扣は妹の立場なのだが、見た目は扣扣の方が老けているので、
二人が「姊姊」、「妹妹」と呼び合っているのが違和感…。
さらに言ってしまうと、主人公の小宛が苦手な私は、この扣扣はもっと苦手。
すぐに騒いで面倒を起こし、小宛ら周囲に迷惑を掛け、しかも学ばず、同じ間違いを繰り返す。
日本では、“ウザい”と毛嫌いされるこの手のキャラが、
中華圏の作品では、しばしば“明るく活発な女の子”と好意的に登場することに、お国柄の違いを感じる。



高仁(ガオ・レン):簡親王濟度(1633-1660)~清の重鎮・鄭親王濟爾哈朗の次男

濟度は、清の太祖・努爾哈赤(ヌルハチ)の三弟・舒爾哈齊の第6子・濟爾哈朗の第2子。
うわぁ~、複雑(苦笑)。順治帝の遠縁の皇族であることには間違いない。
努爾哈赤の甥っ子である父・濟爾哈朗は、建国時、特に功績の大きかった八家に与えられた
“鉄帽子王”の一家の祖。鉄帽子王の家では、爵位が世襲できるという特権がある。
つまり濟度は、父親の功績のお陰で、揺ぎ無い地位に居座れた特権中の特権階級なわけ。
だからと言って、実際の濟度が、その地位に驕り、専横を極めたという事実は無く、
むしろそれなりの軍功を立てたようだ。
ドラマの中だと、年の近い遠縁の天下人・順治帝にライバル心ムキ出しで、
順治帝を窮地に追い込むため、次々と悪行を重ね、遂には皇帝殺害まで企てるが失敗し、終身刑に処される。
暴挙に出た根底には、単なるライバル心だけではなく、漢文化に傾倒する順治帝が許せない、
何がナンでも、満族の文化を守らなければ!という“満族ファースト”の民族愛が有ったのであろう。
度が過ぎた保守に走り、身を滅ぼしたって感じ。
実際、清の皇族には、多かれ少なかれ、そういう部分は有ったであろう。
高仁は、見る度にゲスな男を演じているが(…と言っても、他には『金蘭良縁~金玉良缘』しか観ていない)、
よくよく見るとハンサムで、私、もしかして、同じ“高さん”でも主演の高雲翔より、この高仁の方が好みかも。



馬捷(マー・ジェ):劉光才~内務府総管を務める漢族の太監

劉光才は、漢族でありながら、皇太后からの信任も厚い太監。
でも、所詮は漢族で、“反清復明(清を倒し明を復活)”掲げる地下組織・天地會と裏で繋がり、
自分たちに有利になるよう、漢族の歌妓・董小宛の入宮を企てたり、宮中の秘密事項を漏洩したり…。
太監に成りすまし、宮中に潜伏しスパイ活動をする劉光才は、まるで“清宮版『インファナル・アフェア』”!
“反清復明”のために、去勢までして太監の職を得たのなら、その熱意は凄まじい。
…なんて思いながら見ていたら、やっぱり朝廷に忠実な太監で、天地會を欺いていた。
頬がプヨプヨな馬捷のお顔は、人の良さそうなおじちゃんにも、極悪人にも、どちらにも見えるから、
劉光才の真意は掴みにくい。

★ テーマ曲

テーマ曲は、オープニングが霍思宇(フオ・スーユー)の<一生緣為這一眼>
エンディングが劉可(リウ・クー)&王馨(ワン・シンユエ)の<我註定愛你>
私はどちらにも特別思い入れが無いのだけれど、そうねぇ、ここには切々と歌い込んでいるOP曲ではなく、
よりモダンな印象のED曲<我註定愛你>の方を。






化繊っぽく悪光りするパステルカラーの衣装をはじめとする視覚的要素にまったく惹かれない上、
肝心の内容でも、最初の内は、異民族の歌妓にのぼせる若き皇帝や、
よく有る後宮の女たちの足の引っ張り合いに興味がもてず、
さらには、主人公・董小宛にもまったく魅力を感じず、
良い所を見付けられないまま、ダラダラと惰性だけで視聴を続けていたのだが、
後半、簡親王濟度が、製衣局の女官・那の恋心を利用し、靈珠と共謀し、
董小宛の殺害、さらには、大胆にも皇帝の殺害を企てたものの失敗したことで、犯人捜しが始まった辺りから、
ドラマに推理モノの色が強くなり、俄然面白くなった。
ただ、実のところ、その推理も「おぉ~、そう来たかー!」と感嘆させられるヒネリは無く、
肩透かしを食らうことも多い。
お世辞にも「良くできた脚本」と誉められない割りに、なぜか不思議と楽しめた、…後半は。

ラスト2話も雑な駆け足展開。董小宛が皆から認められ、漢族でありながら皇貴妃に冊封され、
後宮にも、清の民にも、平和と安定が訪れたのも束の間、
次のシーンでは、唐突に、順治帝が床に臥せており、余命幾ばくも無いと死の宣告を受ける。

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病名は、史実通り、天然痘。実際に天然痘に侵された場合、どういう症状が出るのか知らないけれど、
本ドラマの順治帝は、イケメンっぷりを保つ配慮か、額のみに赤いオデキがポツポツ。

恋する二人の最期は、史実にアレンジ。
寵妃・董鄂氏の死で哀しみに暮れ、彼女を追うように順治帝も崩御という史実とは異なり、
本ドラマでは、まず順治帝が不治の病に侵され、彼と運命を共にすると決心した董小宛が、自ら服毒し、
二人仲良くあの世行き。言うなれば、董小宛の“積極的殉死”。
ただ単に“皇帝に最も愛された寵妃”に納まらず、
欲が無く、ひたすら崇高な愛のみに生きた女性という印象を強調した解釈であった。
(そして、私は、そんな無私無欲で崇高過ぎる主人公に、最後の最後まで魅力を感じなかった…。)



ホームドラマチャンネル、平日夜11時のこの枠は、2017年9月4日(月曜)より、
唐嫣(ティファニー・タン)主演の『王女未央-BIOU-~錦繡未央』を放送。
正確には、“午後1時枠”で放送開始。
これまでは、夜11時が初回放送で、翌日午後1時に再放送をしていたが、
このドラマから逆にして、午後11時を初回にしたみたい。
どちらにしても、私は録画で観るから、関係無いのだけれど。
その新番組『王女未央』は、南北朝時代のお話。
北魏の文成文明皇后(441-490)の伝記をベースにしているらしい。
相手役は、唐嫣との共演が多く、交際を公けにしている羅晉(ルオ・チン)。
時代劇出演の少ない吳建豪(ヴァネス・ウー)も重要な役で出ています。

北京2017:ホテル①~全般

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北京はホテルの選択肢が多いので、ホテル選びも楽しみの一つ。
常宿をつくるより、次々と新地開拓をしたくなってしまう。
ここのところ特に気になっているのが、
日本未上陸の北京瑰丽酒店(ローズウッド北京)と北京华尔道夫酒店(ウォルドーフ・アストリア北京)。

…なのだけれどぉ、なにせ今回は母が一緒。
立地が“地下鉄駅に近い”という毎度の絶対条件に加え、
母親世代が落ち着くような雰囲気で、母がウダウダできるエグゼクティヴ・ラウンジが有り、
さらに、すでに勝手が分かっている所が良いと考え、
昨年利用した北京四季酒店(フォーシーズンズ・ホテル北京)に再び宿泊することにした。



余談になりますが、北京四季酒店と言えば…

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2017年3月15日、我が愛しの金城武が、周冬雨(チョウ・ドンユィ)と共に、
主演作『喜歡你~This Is Not What I Expected』の取材、及び記者発表会を行ったホテル。
私もどうせだったら、その時に宿泊して、金城クンとスレ違いたかった~。
四季酒店のエレベーターの内装は、金城クンが佇んでいるこの画像のまんまだから、
この先、宿泊する方は、チェックしてみてね。
(今回、私は、金城武と“間接Kiss”ならぬ“間接エレベーター”で我慢。)

★ 訪中直前

訪中のちょっと前には、すでに予約済みのホテルにメール。
これは毎度私がやっている事で、
アーリー・チェックイン、レイト・チェックアウト、客室のミニバーを空にしておいて…等々、
事前にリクエストをホテル側に伝えている。
北京四季酒店の宿泊は今回2度目だったので、そのリクエストメールに、「昨年は一人で宿泊しました。
今年は、私の一ヶ月遅れのバースデー・トリップで、母を伴い、またお邪魔いたします」
といった文を添えておいたら、返信で、母の名前と、客室に特別なアレンジをする希望を尋ねられた。
客室の設えをどうこうしたいという希望は無かったので、母のフルネームのみをお知らせ。


ちなみに、リクエスト・メールは、どのような内容で、いつ送るかと聞かれることがあるが、
私の場合は、大体到着の一週間から5日くらい前で、
当たり前だが、例えば、本来正午チェックアウトのところを、夜7時までタダで部屋を使わせて!
などといった無茶なお願いはしない。
リクエストはいつも常識の範囲内にとどめ、それらリクエストが通らなかったことは、今までただの一度も無い。
但し、私は、基本的に、ホテルの予約はホテル直。
旅行会社やホテル予約サイト等を通し、大幅割り引きで予約した場合などに、
リクエストがどれ程度受け入れられるのかは不明。

★ 北京四季酒店

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北京四季酒店がある亮马桥(亮馬橋)は、大使館が多く、住んでいる外国人も多いエリア。
そういう意味では、東京に例えるなら、差し詰め、麻布・広尾界隈といった所だろうか。


北京首都国際空港からホテルへは、私はタクシーを利用。
道の混み具合によっても異なるけれど、所要時間は25分から40分くらい。
金額にすると、大体70~80元といったところ。
支払い時、メーターに示された金額に、高速代の10元が加算される。
「メーターの額と違う!ボラレた…!」なんて、ブルーにならないでネ。

公共交通利用の場合は、まず、机场线(機場線)で、三元桥(三元橋)へ行き、
地下鉄10号線に乗り換え、ひと駅、亮马桥(亮馬橋)で下車し、B出口から地上に出て、徒歩5分程度。
私はいつも荷物が多いので、絶対にタクシーを利用するが、電車移動でも簡単なはず。



ホテルは亮马桥路(亮馬橋路)という通りに面しているので、
タクシー利用にしても、地下鉄利用にしても、その亮馬橋路に入ると、
じきに、上部に“FOUR SEASONS HOTEL”と記された建物が、右手に見える。

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去年は、建物正面に置かれていた真っ赤な彫刻は、今年無くなっていた。
期間限定の展示だったのだろうか。


正面玄関からホテルの中へ入ります。

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正面はいつも白いお花でエレガントに飾られており、奥の壁には、漢詩(?)の展示。
実は、これ、近寄ってよく見ると、漢字一つ一つが銅らしき金属で作られたアート作品。



右側にはレセプション。

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一般客室を予約した人は、ここでチェックイン。
私はエグゼクティヴ・フロアの部屋を予約しているので、
26階にある行政酒廊(エグゼクティヴ・クラブ・ラウンジ)へ直接行き、そこでチェックイン。
但し、エグゼクティヴ・フロア宿泊客でも、両替は、1階のこのレセプションで(24時間対応)。



建物は、真ん中が吹き抜けになった“ロ”の字型。

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一方の壁面には、金属の蝶々がいっぱい。
インテリアデザインは、NYのマンダリン・オリエンタル、ローマのセント・レジス、ドバイのシャングリラ等々
世界中のラグジュアリーホテルを手掛けるHBA ハーシュ・ベンダー・アソシエイツ。




次の“北京2017:ホテル②”では、客室について。



◆◇◆ 北京四季酒店 Four Seasons Hotel Beijing ◆◇◆
北京市 朝阳区 三元桥 亮马桥路 48号

+86 (10) 5695 8888

地下鉄10号線・亮马桥(亮馬橋)駅、B出口から徒歩5分

映画『スキップ・トレース』

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【2016年/アメリカ・中国・香港/107min.】
陳港生(ベニー・チャン)は、香港の刑事。
“鬥牛士(マタドール)”と呼ばれる謎の裏組織を捜査中、同僚の白志勇(ヨン)が絶体絶命の危機に。
なんとか彼を救出しようとした陳港生の努力も空しく、
白志勇は愛娘・白舒(サマンサ)の世話を陳港生に託し、命を落とす。

9年後。
同僚・白志勇を失ったあの日以来、ずっとマタドールの捜査に執着する陳港生に、上司は辟易。
一方、ロシアン・マフィアに追われているアメリカ人詐欺師のコナー・ワッツは、マカオに上陸。
ひと儲けを企み、早速訪れたカジノで、美しい女性・白舒に心奪われ、
彼女の部屋のカードキーをこっそり盗みだし、ウッハウハ。
ところが、こんな所にまで、ロシアン・マフィアの追っ手が…!
必死にホテル内を逃げ回り、エレベーターに乗り込んだところ、そのエレベーターが、VIP階で止まり、
コナー・ワッツは、偶然にも、ある女性が香港マフィアに殺害される現場を目撃してしまう。
ショックでひっくり返りそうになりながらも、VIP階からの脱出に成功。
しかし、そのせいで、ロシアン・マフィアに捕まり、シベリアへ拉致されてしまう。

この一件で、巻き添えを食らった白舒。コナー・ワッツを見付けなければ、自分の身が危ない。
白志勇の死後、何かと面倒を見てきた白舒の危機を知った陳港生は、
彼女を助けるため、コナー・ワッツの居所を突き止め、単身シベリアへ飛ぶが…。



初夏に『レイルロード・タイガー』(2016年)を観たばかりで、またまた成龍(ジャッキー・チェン)主演作を鑑賞。
こちらはハリウッドとの合作で、手掛けたのは、
『ダイ・ハード2』(1990年)や『クリフハンガー』(1993年)でお馴染みのフィンランド人監督レニー・ハーリン
レニー・ハーリン監督は、この後、
『古剣奇譚(こけんきたん)-久遠の愛-~古劍奇譚』のタイトルでドラマ化もされている人気RPGゲームの映画版
『古劍奇譚之流月昭明~Legend of the Ancient Sword』を手掛けており、活動の場を中国に広げている。



本作品は、亡くなった同僚の娘・白舒(サマンサ)から、
彼女がマカオのカジノで巻き込まれた詐欺事件の犯人コナー・ワッツを捕まえて欲しいと頼まれた
香港警察の刑事・陳港生(ベニー・チャン)が、単身ロシアへ飛び、逮捕に成功するも、
そのコナー・ワッツがロシアや香港のマフィアに狙われるなかなかの厄介者で、
しかも陳港生が長年追ってる事件の鍵を握っている人物だと判明し、
二人はそれぞれの思惑を抱きながら、揃って香港を目指し、逃走するアクション・コメディ

色んな要素を盛り込んだ娯楽作である。
例えば、一つめの要素は、
香港の刑事・陳港生が長年捜査している香港裏社会の黒幕を暴こうとする刑事ドラマ
コナー・ワッツはアメリカ人詐欺師だが、マカオで偶然にもその黒幕が起こした殺人現場に居合わせてしまう。
陳港生にとってコナー・ワッツは、ただの詐欺師以上に、黒幕を逮捕するための重要な証人となる。


二つめの要素は、バディもの
ロシアのマフィアから追われているコナー・ワッツは、
マカオで殺人を目撃してしまったがために、香港の裏組織からも狙われてしまう。
その香港の裏組織は、まさに陳港生が追い続けている黒幕。
意外な共通点で繋がった二人は、否応なしに、コンビとなる。
一般的な“バディもの”と同じで、二人は性格が違い、気も合わないが、
苦楽を共にする内に、次第に友情が芽生えてくる。


三つめの要素は、ロード・ムーヴィ
陳港生は、ロシアでコナー・ワッツを捕えるが、帰国の前に、パスポートを焼かれてしまう。
そこで、仕方なく、陸路でロシアから、モンゴル、中国広西省を経由し、香港を目指す羽目に。

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広大な戈壁(ゴビ)砂漠や広西の棚田といった大自然は勿論のこと、
潑泥節(泥かけ祭り)、羊皮筏などなど少数民族の文化を楽しめる壮大な大陸横断となっている。



日本公開版はオリジナル版で、言語は基本的に英語
そこにさらに、華人同士の会話は中国語、ロシア人同士はロシア語といった具合に、他言語が混ざる。
登場人物の名前も、華人でも大抵は英語名が使われており、
日本語字幕もそれに準じ、“Bennie Chan”→“ベニー・チャン”というように表記されている。
中華圏での上映には、中国語吹き替え版も作られており、そちらでは、登場人物が中国名になっている。





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出演は、香港裏社会の黒幕を長年捜査している刑事・陳港生(ベニー・チャン)に成龍(ジャッキー・チェン)
アメリカ人詐欺師コナー・ワッツにジョニー・ノックスヴィル
捜査中に命を落とした陳港生の同僚・白志勇(ヨン)に曾志偉(エリック・ツァン)
白志勇の娘・白舒(サマンサ)に范冰冰(ファン・ビンビン)
陳港生の上司・唐警官(タン警部)に王敏(マイケル・ウォン)
香港裏社会“鬥牛士(マタドール)”のボスと目される王衛東(ヴィクター・ウォン)に
趙文瑄(ウィンストン・チャオ)などなど。


成龍の役名“ベニー・チャン”には、『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(2004年)等、
数多くの成龍主演作を手掛けている香港人監督・陳木勝(ベニー・チャン)を重ねてしまった。
中国語版の方の役名は“陳港生”で、これは成龍の本名。
本名を役名にするなんて、この役に成龍自身、かなり思い入れがあるのかも?
還暦も過ぎ、激しいアクションは控えるようになった成龍だが、
以前ほど体を張ってはいなくても、本作品では、成龍らしいユーモラスなアクションは見られる。
マトリョーシカを小道具にしたアクションシーンは、ベタだけれど、楽しい。


陳港生とコンビを組むことになるアメリカ人コナー・ワッツは、
『君に読む物語』をパクッて両親の感動秘話を語るようなセコイ詐欺師。
そのようなエセ感動秘話を人に語るのは、実は孤独な孤児だからで、根は悪い奴ではない。
扮するジョニー・ノックスヴィルは、本作品でコメディに挑戦しているせいか、
たまにジム・キャリーに見える時があった。
成龍のヒット曲<明明白白我的心>の一節を、中国語で歌うシーンもあり。


范冰冰が成龍と共演するのは『新宿インシデント』(2009年)以来?
『新宿インシデント』では、確か、成龍と恋仲になるクラブのママを演じていた。
30歳近く年下の美人女優を恋人役にするなんて、
いくら大スタアだからって、成龍も随分図々しいナと、当時思ったが、
今回は、ちゃんと、年相応に“刑事とその同僚の娘”という関係であった。

で、その同僚が曾志偉。これっぽっちも似ていない范冰冰と父娘を演じにあたり、
言い訳するかのように、「母親に似て、美人になったな」という台詞があった(笑)。
この曾志偉は、特別出演扱いで、冒頭にチラッと出てくるだけかと思っていたら、
実は物語のキーパーソンであった。


王敏や趙文瑄は、英語が堪能というのが、キャスティングされた一因かもね。



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他、陳港生の部下・林明達(エズモンド)役で郭品超(ディラン・クォ)が出ていた。
大きな役とは言い難いが、郭品超が英語の台詞に挑戦し、ハリウッド作品に出演するのは、これが初めて。
一時期は、“台湾の速水もこみち”と呼ばれ、日本進出にも結構積極的だったけれど、
大陸に拠点を置くようになってからは、大陸ドラマへの出演がメインで、ここ日本では目にする機会が激減。
実は、私、随分前に、郭品超が、当時付き合っていた女の子と新宿をブラブラしているのを発見し、
声を掛け、サインをもらったことがあるのヨ。
いや、“発見”するまでもなく、長身でやたら小顔なので、帽子&サングラスで変装していても、
あからさまに郭品超であった。
驚いたことに、今もう40歳になられたそうだが、本作品で見る郭品超は、相も変わらずの美男であった。


陳港生のもう一人の部下・劉思麗(レスリー)には、
范冰冰主演ドラマ『武則天-The Empress-~武媚娘傳奇』で、王廃皇后を演じた施詩(シー・シー)
范冰冰とは、本作品での再共演で、恋人役を避けた成龍だが、代わりにこの施詩とラヴラヴ。
還暦過ぎても、どーーーしても若い女の子と恋仲にならなければ気が済まない成龍。
このオジちゃん、一体いつになったら枯れるのでしょうか。


あと、『ライジング・ドラゴン』(2012年)以来、今や成龍作品の常連である
元テコンドー選手・張藍心(ジャン・ランシン)が、本作品にも、香港裏組織の女性メンバー婷婷の役で出演。
長----いおみ足を、ピッタピタにフィットした革のパンツに包み、キレのあるアクションを披露する姿は、
アジア人離れした無国籍な雰囲気。





鑑賞前、「平凡な喜劇」、「成龍も年をとった」といった現地での辛口評ばかりを目にしていたので、
まったく期待していなかったのだが、それが良かったのか、結構楽しめた。
確かにベタなアクション・コメディで、新鮮味には欠けるかも知れないが、
小難しい事など何も考えずに観るには悪くない。
色んな地域の風俗文化を盛り込んだロード・ムーヴィとしての面が、特に楽しめた気がする。
そういう部分には、レニー・ハーリン監督の“外国人目線”が生かされているのかも知れない。


さて、今年は、成龍作品の日本公開がまだ続く。
12月には、『功夫瑜珈~Kung Fu Yoga』が、『カンフー・ヨガ』の邦題で公開予定。
カンフーとヨガという、それぞれにおいしいネタを持つ中印両国の合作!
先日搭乗した羽田⇔北京線の機内で、観ようと思えば観られたのだが、
初見は映画館のスクリーンで!と考え、敢えてスルーした。12月を楽しみに待ちます。

北京2017:ホテル②~客室

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今年、2017年、母と訪れた北京で宿泊したのは、北京四季酒店(フォーシーズンズ・ホテル北京)
“北京2017:ホテル①~全般”に続き、ここでは客室について。



このホテルでは、建物下層に一般客室、上層の22階から26階までに、
行政酒廊(エグゼクティヴ・クラブ・ラウンジ)と呼ばれるラウンジにアクセスできる行政客房(クラブ・ルーム)や、
いくつかのスイート・ルームが、
また、最上階27階には、ホテルでたった一室しかない730㎡の皇家套房(インペリアル・スイート)がある。

私が予約したのは、クラブ・ルームの内、最もスタンダードなツイン・ベッドのお部屋。
エグゼクティヴクラブ・フロア予約客は、ホテル到着後、一階のレセプションには立ち寄らず、
26階にあるラウンジへ直行し、そこでチェックイン。

チェックイン時に対応してくれたのは、去年もいた女性スタッフ2名。
手続き終了後、大きなブーケをプレゼントしてくれた。
昨年は、客室に入ったら、日本のお蕎麦が用意されていたが、どうせ食べないので、お花の方が嬉しい。
さらなる嬉しいサプライズは、部屋のアップグレード。これには、母、大喜び。

★ 北京四季酒店 2112号室

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与えられた部屋は、21階の2112号室。
恐らく“四季客房(フォーシーズンズ・ルーム)”と呼ばれるタイプのお部屋だと思うけれど、
それが正解かどうかは、確認していないので、不明。

(↑)上の間取り図は、私がメモ帳に、書きあじの悪いペンで、ササッと手描きした物なので、キタナイけれど、
おおよその雰囲気を掴むのには問題無いであろう。

スタンダードな部屋より、10~15㎡は明らかに大きく、広々。
大きなクローゼットが2ツ、洗面台には洗面ボウルが2ツ有るので、
母と二人でも、それぞれ一つずつを自分専用にできるのが嬉しい。


以下、写真と共に、部屋をチェック。

★ エントランス附近

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入り口の扉を入ると、正面の壁に鏡。そのすぐ下のキャビネットには、蘭のお花。

左側はクローゼット。
中にはセイフティボックスやアイロン等も置かれている。

★ ベッドルーム

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メインのベッドルーム。
この画像だと、部屋の広さが掴みにくいかも。
なにせ、幅も高さもかなりあるベッドが2台ドーン!ドーン!と置いてあるので。

寝具は、エレガントで清潔感もある白で統一。
ノリが効いたホテルのシーツで寝るのって、気持ちが良いですよねぇー。


ベッドの向かい側には、キャビネットがあり、その上にスマートテレビ。
初日、入室時には、私と母の名前宛てで、ホテルからのウェルカムのメッセージが映し出されている。

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“北京2017:ホテル①~全般”にも記したように、テレビをつけると、朝でも晩でも、
孫儷(スン・リー)主演の新ドラマ『那年花開月正圓~Nothing Gold Can Stay』をよく目にした。
中国語がまったく分からない母は、孫儷を見ながら、
「この人、面白いわぁ~。これ、コメディ時代劇みたいヨ」と言っていたが、
私が想像するに、コメディではなく、徐々にシリアスに展開していきそう。
私がチラ見した前半だけだと、孫儷&何潤東(ピーター・ホー)のダブル主演のようだったけれど、
実際には、何潤東は早々にお亡くなりになり、陳曉(チェン・シャオ)が相手役になるようだ。
ちなみに、陳曉は、昨年、台湾の陳妍希(ミシェル・チェン)と結婚した大陸の年下イケメン夫です。(→参照



話を、客室に戻します。
窓の横に置かれた台には、さり気なく小さな花瓶。

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爽やかで可愛らしい白+グリーンがお気に入りだったのだけれど、
滞在中に一度、白+薄紫+グリーンのお花に変わった。(ま、それも素敵だった。)


お花と言えば、(↓)こちらも。

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チェックインの際、頂いたブーケ。
本当の事を言うと、私、お花は品種に関係なく白が好きなのだが、“気は心”でございます。
ブーケをプレゼントしてくれたという気持ちが嬉しいではないか。
このお花は、バスルームにあった花瓶に生け、ベッドルーム隅の机の上に飾り、
滞在中、毎日、目を楽しませていただいた。

★ お机

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で、(↑)こちら、頂いたブーケを生けた花瓶を置いたライティング・デスク。
一つ一つの家具が大きいので、花瓶が小さく見えているけれど、実は結構大きなブーケです。


机の横に設置されている縦長の棚には、花瓶や美術書、ステーショナリー等。

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ステーショナリーは、机の引き出しにしまっているホテルが多いが、
ここでは、専用の収納ボックスに、ひとまとめ。
メモ帳、便せん、封筒、ポストカード、ボールペン、ハサミ、お裁縫キットといった一般的な物の他に、
筆記用具では筆ペンも。
ただの紙製の栞も、フサフサが付くだけで、チャイナ・テイストになり、可愛らしい。


ちなみに、客室でも勿論フリーWi-Fi。
パスワードは、部屋番号と自分の姓。(例えば、田中さんなら“tanaka”といった具合にアルファベットで。)

★ くつろぎスペース

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ベッドルーム、ベッドをはさみ、窓側から反対の壁際の方を見ると、
エントランスの横に、ソファーを置いた寛ぎのスペース。滞在中は、ここが、ちょっとした我が家の居間。
この寛ぎスペースだけでも、日本のショボいビジネスホテルの一室より余程広い。




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脇にはミニバー。




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最近、多くのホテルで定番となっているネスプレッソや、ミネラルウォーター、果物は、常に補充。
毎日、夜には、安眠を導くという自然派クッキーも置かれている。
ドライ・アップル+ドライ・オレンジを練り込んだ物と、レーズン+オートミールの2種類。
また、引き出しの中には、グラス等の食器類がいっぱい。


さらに、初日の晩、外から部屋に戻って来ると…

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テーブルの上に、母に宛てられたカードと共に、中華菓子。
「Welcome to the Forbidden City!」から始まるウェルカムのカード。ちょっとした心遣いに、母、感激。
私宛てではなく、母個人宛てだったのが、やはり嬉しかったのでは?



いや、それより、部屋に置かれていた食べ物の中で、私が取り分け気に入ったのが、こちら(↓)

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春光というメーカーの“伝統椰子糖~特浓(特濃)”、はい、ココナッツ・キャンディです。
名前に“伝統”と付いているが、初めて見た。去年宿泊した時には、部屋に無かったし。

中国の伝統的な飴というと、“大白兎”が有名で、それなら、頂いて、何度か食べたことがある。
中国版ミルキーのような飴で、不味くはないが、珍しさもない。

春光の伝統椰子糖は、“特浓(特濃)”と記されている通り、まんまココナッツミルクを濃縮して固めた味。
これは、ココナッツ好きにはタマラナい…!

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レトロな包みもキュート。
気に入って、早速調べたら、南国・海南土産の定番であることが判明。
北京のスーパーでも買えるなら、大人買いする!と意気込んでいたのだが、
なかなか見付けられないまま時間切れ。残念…!次回は買いたい。
日本全国のココナッツファンの皆さまにも、これはお薦めです。

★ バス・ルーム

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ベッドルームと壁で隔たれたもう一方のスペースは、バスルーム。




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“ルーム”と言うか、廊下のようになっており、エントランス側に背負向け、右側にクローゼット、
左側にそれぞれ独立したトイレとシャワールーム、そして突き当りにお風呂。




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おトイレも充分広く、中にかなりしっかりした洗面台まである。




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窓際にあるお風呂は気持ちよいが、6階にあるフィットネスセンターのサウナばかり利用していたので、
ここでは、ほとんど入浴していない。




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アメニティはエトロ。
去年の物と同じだが、容器のサイズが倍以上大きな100ml。
一人で宿泊の場合は小さなサイズ、二人で宿泊の場合は大きなサイズが置かれるのかも。



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前述のように、洗面台には、洗面ボウルが2ツ。一個を自分専用にできるのが嬉しい。
洗面台の隅には、蘭のお花。電気を点け明るくできる拡大鏡もあり。
他にも、歯ブラシ、歯磨き粉、ティッシュ、コットン、綿棒、シャワーキャップ、
ジュエリーを置いておけるちょっとしたケース、男性用にシェーバー等々、大抵の物は準備されている。
マザーパールで統一されたソープディッシュ等の浴室アクセサリーが、シンプルで嫌味なくフェミニン。




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洗面台の下には、ヘアドライヤー。ちゃんと強風。
“电吹风”と漢字で刺繍された袋がステキ。
(ヘアアイロンやくるくるドライヤーは、客室に置かれてはいないけれど、リクエストすれば借りられると思う。)



そして、この洗面所で一番スゴイのは…

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鏡がスマートテレビになっていること。当然リモコンでちゃんとチャンネルも変えられます。
(映っているのは、やはりドラマ『那年花開月正圓』の孫儷。 …笑)
“镜面电视 Electric Mirror”と呼んでいるようだ。
これ、昨年宿泊したエグゼクティヴクラブフロアのスタンダードな客室には設置されていなかった。

★ その他

漢字が刺繍されたヘアドライヤー袋が素敵と言ったついでに、(↓)こちらも。

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“洗衣袋”=ランドリーバッグ。


(↓)こちらは、靴袋。

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朝、出掛ける前に、この中に靴を入れ、部屋に置いておくと、お掃除の人が持って行き、
靴磨きをして、夜には部屋に戻ってくる。靴磨きは、無料のサービスです。




以上、ザッと客室について。
次の“北京2017:ホテル③”では、行政酒廊(エグゼクティヴ・クラブ・ラウンジ)について。



◆◇◆ 北京四季酒店 Four Seasons Hotel Beijing ◆◇◆
北京市 朝阳区 三元桥 亮马桥路 48号

+86 (10) 5695 8888

地下鉄10号線・亮马桥(亮馬橋)駅、B出口から徒歩5分

季節の変わり目に和洋菓子2種(+“『琅琊榜』繋がり”撮影in日本)

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TBSの『ハロー張りネズミ』は、今晩の放送で終わりなのですね。
私、同じ原作コミックを台湾でドラマ化した『探偵物語~偵探物語』が好きなので、
当初、日本版には期待していなかったのだけれど、
テイストの異なる日本版も、結局のところ、これはこれで、なかなか良かった。
(キャストの中で、深キョンの起用だけが、未だにどうも納得できない。)


最終回と言えば、好評につき、2017年5月20日から、毎週土曜に3話ずつ再放送されている大陸の神劇
『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』も、明日9月16日(土曜)で、全54話を終了。
もう何度も観ていて、結果も知っているのだから、終わったって良いじゃないの!…とも思うのだが、
な~んか淋しいのよねぇ…。
そんな“『琅琊榜』繋がり”で、ある事をふと思い出した。



それは、今から約2ヶ月前の7月、
大陸で大成功した台湾の映画監督、“ちん・まさみち”こと陳正道(レスト・チェン)が…

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千葉から、…しかも、よりによって、ごくごく普通の日本的な学校のお教室から微博を更新しているのを見て、
何のお仕事のために、そんな所に居るのだろうと、ちょっとした興味が湧いた。


今週ようやくその謎が解明。

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スマートフォンメーカーOPPOのためのショートフィルム(要はネット上で公開する長尺のCM)
『看不見的TA』の撮影だったようだ。
マサミチはそれのプロデューサー。
すでに半年前、香港の黃進(ウォン・ジョン)監督×李易峰(リー・イーフォン)主演で
第1弾の『看不見的TA之時間裂縫』を発表。

今回の第2弾では、これまで多くのMVを撮ってきた台湾の新鋭監督、
歐哲綸(オウ・ジャールン)がメガホンをとり、3人組人気アイドルユニットTFBOYSを主演に、
メンバー一人それぞれ一本の短編、計3本が日本で撮影されている。

ポスターの上から順にチェックすると、一本目が王俊凱(ワン・ジュンカイ)主演の『做朋友吧』
2本目が王源(ワン・ユエン)主演の『奇怪的民宿』
そして3本目が易烊千璽(イー・ヤンチェンシー)主演の『美男宅急便』



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TFBOYSって、日本にどれくらいファンがいるの…?
私、鹿(ルー・ハン/ルハン)がカワイイ系アイドルとして出てきた時、
大陸芸能も変わったなぁ~と感慨にふけりつつ、
同時に、(自分好みかどうかはさて置き、客観的に見て)まぁ確かに可愛いわね、…とも思ったのだが、
その後のTFBOYSに至っては、若過ぎて、もう本当に理解の範囲外。
スタア然としたスタアが当たり前だった中国で、
どこにでも居そうな普通の男の子がスーパーアイドルになる日が来るとはねぇ。
TFBOYSは、中国というより、“フツー”に価値を見出す日本的なアイドルという印象。
この夏、撮影場所を提供した千葉の人々も、
まさかこの子たちが億単位のお金を稼ぎだしている超人気者とは想像だにしなかったであろう。


話は、ここで、ようやく頭に戻ります。
TFBOYSに興味の無い私が、なぜ『看不見的TA』を観たかと言うと、
2本目の『奇怪的民宿』で、王源クンと共演しているのが、王勁松(ワン・ジンソン)だと気付いたから。

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王勁松は、そう、『琅琊榜』で梁帝の妹・言氏の兄、あの枯れた世捨て人・言闕を演じた俳優さん。
『奇怪的民宿』の中では、しょっぱなから、畳敷きの旅館の一室で、ビール片手にタメ息ついております。
(破産して、家族を残し、姿をくらました父親役なので、この『奇怪的民宿』でも、ある種の“世捨て人”。)
この夏、あの言侯爺と、知らぬ間に同じ関東の空気を吸っていたかと思うと、ちょっと嬉しい。


以下、その『看不見的TA』の新作3本を貼っておく。
所詮CMなので、観るのにハイレベルな中国語は不必要。
宣伝してるのは、R11というモデルのスマートフォン。
このモデルは、カメラの画素数が約2万というのが一つの売りらしい。
それぞれの作品の中で、3人の主人公が、「僕の目は、2万画素だから」云々と言っているのは、そのため。


『看不見的TA~做朋友吧』
出演:王俊凱(ワン・ジュンカイ)×張子楓(チャン・ヅーフォン)




『看不見的TA~奇怪的民宿』
出演:王源(ワン・ユエン)×王勁松(ワン・ジンソン)




『看不見的TA~美男宅急便』
出演:易烊千璽(イー・ヤンチェンシー)×劉雅瑟(リウ・ヤースー)





これらのショートフィルムを観ると、そこに映っている風景が、台湾でも香港でも大陸でもなく、
紛れもなく“日本の郊外”であると感じる。

そして、『奇怪的民宿』で言侯爺がたい焼きを買っているのは、こちら(↓)

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千葉ではなく、東京であった。恵比寿にあるたいやきひいらぎの分店として数年前に学芸大学にオープンした
目黒ひいらぎ(公式サイト)というお店みたい。
私は、あまり積極的にたい焼きを食べないので知らなかったが、結構な人気店のよう。
映像に映っている店員さんは、多分このお店の本当の店員さんなのであろう。
たい焼き好きな方は、是非学芸大学へ行って、
王源クンと王勁松が実際に座ったベンチに腰掛け、“間接ベンチ”してみてね。報告、お待ちしております。




ついでに、“『琅琊榜』繋がり+撮影in日本”ネタを、もう一つ。
(↓)こちら、私のお気に入りフォトグラファー陳漫(チェン・マン)が、
雑誌<時尚芭莎(ハーパーズ・バザー)>150周年記念10月号のために撮り下ろしたグラビア。

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『琅琊榜』で飛流を演じた吳磊(ウー・レイ)と、維吾爾(ウィグル)族の人気女優・迪麗熱巴(ディリラバ)。
吳磊クンも東京に来ていたのですね~。ナマ吳磊、見たかった…!
場所は東京。具体的にどこ、これ…?!ゴールデン街っぽく見えなくもない。
陳漫、“おでん”や“まぐろ”の提灯にインスパイアされたのでしょうか。(やたら撮っているし。 …笑)


まだ有ります。

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こちらは、東京の寂れた街角がさらに80年代ディスコちっくに。


(↓)こちら、一番星桃次郎&ヤモメのジョナサンも息を飲む、美女とデコトラ。

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デコトラは、日本ならではですね。





さて、私のおやつは、たい焼きではない。
まだまだ暑いと思ったら、涼しい日もあったり、台風が来たり、天候が不安定な季節の変わり目に、
夏の終わりを惜しみながら洋菓子一つと、秋の到来を感じさせる和菓子を一つ。

★ キャトル・キャール:瀬戸内レモンタルト

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大きさは、直径約7センチ、高さ約4.5センチ。
レモンカードを流し入れたココアタルトの中央に、少量のスポンジ生地をのせ、
その上に、さらにメレンゲを盛ったタルト。




ひとつめは洋モノで、キャトル・キャール(公式サイト)“瀬戸内レモンタルト”
レモンタルトは大好きなお菓子。
一年中売っているお店もあるけれど、やはり夏限定にしているお店が多い気がする。
これから秋も深まると、どんどん食べられなくなってしまうタルト。寂しいけれど、そろそろ食べ納め。
確か、キャトル・キャールも夏のみの販売だったはず。

私が好きなレモンタルトは、“レモンカード+メレンゲ+タルト生地”という伝統的な物。
キャトル・キャールのこれも、基本的には伝統的なレモンタルト。
ちょっと珍しいのは、タルト生地が真っ黒なこと。
これは、薄めに焼いたオレオクッキーって感じ。ココアの味は、邪魔になっていない。

肝心なレモンカードは、“瀬戸内レモンタルト”と名付けられているくらいだから、
瀬戸内産のレモンを使用しているのだろう。酸味が爽やか。


トップに飾られたマーガレットのような白いお花は、以前は無かった。可愛らしい。
お洒落にアレンジされた他店のレモンタルトは、メレンゲの量が少ない場合が多いけれど、
ここのは、ちゃんとたっぷりなのが、嬉しい。

★ 青柳正家:おはぎ(こし餡)

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大きさは、長い部分で約5センチ、幅約4センチの俵型。
もち米をこし餡で包んだおはぎ。




続いて、“菊最中”で有名な青柳正家(公式サイト)のお菓子。
2017年は、秋のお彼岸が、9月20日から26日とのことなので、この季節に合った“おはぎ”を。
つぶ餡とこし餡の2種類があり、私の選択は後者。
青柳正家のお菓子は、春に販売されているさくら餅が大好きで、毎年必ず食べているのだけれど、
おはぎは初めて。

形は、円に近い俵型。
2種類ある餡の内、こし餡を選んだのは、まぁ、元々こし餡派ということもあるが、
青柳正家のこし餡が好きだから。
青柳正家定番のこし餡は、綺麗な藤色で、舌触りが滑らか。とても上品な餡。
菊最中に使っている物より、水分を多くしているかも知れない。よりユルく、瑞々しい感じ。
(そのため、簡単に流れて崩れてしまい、綺麗な写真を撮るのが難しい。)
中のもち米は、想像していたよりは弾力がある。


上品でさっぱりしているが、ちゃんと適度に甘さがあるのが良い。
小ぶりなので、一気にペロリと平らげてしまった。

映画『パターソン』

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【2016年/アメリカ/118min.】
ニュージャージー州パターソン、ある月曜日。
バスの運転手パターソンは、いつものように自宅のベッドの中で朝を迎える。
横で目覚めたばかりのローラが、ぽつりぽつりと話を始める、
「素敵な夢を見たわ、私たちに双子の子供がいるの」と。

いつもの朝と同じように、車庫へ向かうパターソン。
担当路線のバスの運転席に座り、ノートを開く。
それは、これまで心に浮かんだ詩を綴り続けてきたノート。
新たなページにまたペンを走らす。
お気に入りのマッチ、オハイオ印のブルー・ティップ・マッチの詩を…。



2016年5月開催の第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された時から気になっていた
ジム・ジャームッシュ監督最新作。
念の為、補足しておくと、その年のカンヌでパルム・ドールを獲得したのは、
ケン・ローチ監督作品『わたしは、ダニエル・ブレイク』
本作品は、一応、出演しているワンちゃんが、パルム・ドッグ賞を受賞している。



本作品は、ニュージャージー州パターソンに暮らすバス運転手パターソンの7日間を綴った物語

ある月曜日の朝に始まり、一週間後の月曜日の朝に終わる、
主人公パターソンの日常を綴った、本当にただそれだけの作品。
しかも、そのパターソンは、刺激に満ちた日々を目まぐるしく、エネルギッシュに生きる
超多忙な有名人などではない。
むしろ、平凡すぎるくらい平凡な男で、そんな彼のルーティーンを淡々と追った作品なのだ。


妻ローラ、愛犬マーヴィンと暮らすバス運転手パターソンの日常は、基本的に以下の通り。
朝、ベッドで目覚め、ローラお手製のサンドウィッチを手に出勤。
担当する“23 パターソン”路線のバスの運転席に腰掛け、ノートに詩を綴り、
車庫長ドニーとひと言ふた言交わし(ドニーの話は大抵ちょっとした不満)、バス発車。
乗客の話に耳を傾けながら運転を続け、終業と共に帰宅。
愛犬マーヴィンの散歩がてら、ドクが経営する行き付けのバーに立ち寄り、ビールを引っ掛け、
ほんのりビールの匂いを漂わせたまま、ローラが待つ自宅のいつものベッドで就寝。

来る日も来る日も、本当にこれだけなの。
でも、繰り返されるこのような平凡な日常の中にも、実は日々ちょっとした変化が有って、
判で押したような“同じ毎日”は決して無い。

一見刺激の無い生活を「あ゛ーーー、退屈ーーっ…!」とボヤくのではなく、
それどころか、さり気ない日常の中に何かしらの変化や感動を見出し、
それを詩にしたためるバス運転手パターソンは、天性の詩人なのかも知れない。



舞台となるニュージャージー州パターソンは、私がこれまで一度も注目したことの無い街。
観光で訪れる外国人など珍しい、これといって何も無い田舎町だろうと思っていたが、
作中、この街出身の有名人の名前が次々と挙がり、結構な“有名人排出地”であることが分かる。
それら有名人とは、古いところでは、イタリアのウンベルト1世を暗殺したガエタノ・ブレーシ(1869-1901)、
お笑いコンビ“アボットとコステロ”の片割れルー・コステロ(1906-1959)、
そして作中何度も名が出て来る詩人のウィリアム・カーロス・ウィリアムズ(1883-1963)に
アレン・ギンズバーグ(1926-1997)等々…。

この中で、私にとっての一番の有名人は、ビート文学の代表的詩人アレン・ギンズバーグ。
ウィリアム・カーロス・ウィリアムズは、その名もズバリ<パターソン>という詩集まで出していたのですね。
知らなかった。(作中、日本の詩人が手にしている日本版詩集の表紙には、タイトルが<パタスン>と表記。
実際には、日本では、そのタイトルでの出版は無いみたい。映画の撮影用に作られた小道具の本だろうか。
確かに、“パタスン”の方が“パターソン”より英語の“Paterson”の発音に近いかもね。)
映画には、これらパターソン出身の詩人や、“詩”自体、また、パターソンという街への愛が感じられる。





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主な出演は、バス運転手のパターソンにアダム・ドライバー
彼の妻ローラにゴルシフテ・ファラハニ


主人公は、パターソンで生まれたパターソンという名の男。
私、博多に留学経験があって、“Hakata”を英語名(?いや、日本語だが…)にしている台湾人を知っているので、
“パターソン”もニックネームなのかと思っていたら、
作中、本人がしっかりと「ニックネームではない、本名だ」と言っていた。
柴又で生まれた子供に、“柴又”と名付けるようなものよねぇ…??

このパターソン、名前は少々変わっていても、
自分は特別なんだ!皆とは違うんだ!という押し付けがましい自我はまったく発していない。
口数少なく、何事にも控えめで、健気にさえ感じる。
妻ローラが、彼の詩を世に発表しようとしても、「いや、いや、とんでもない…」と消極的。
心の声を感じるがままに文字にしているだけで、
それによって世間から認められたいとか、有名になりたいなどという欲の無い人。


アダム・ドライバーを見るのは、『沈黙~サイレンス』(2016年)以来。

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蓑を背負ったハリウッドスタア(笑)。
『沈黙~サイレンス』を観たのは、もう遠い昔のように思っていたけれど、
実は『パターソン』と同じ年に制作された映画。
『沈黙~サイレンス』で演じているフランシス・ガルぺは、
キリシタンの弾圧が激しい江戸時代の日本へ渡る神父なので、表情が険しく、崇高でもあった。
こちら『パターソン』のパターソン役は、それとは醸す雰囲気がガラリと異なるから、
あの神父様と同一人物という気がしない。
アダム・ドライバーは、いわゆる美男子ではないが、あの個性的な顔立ちは俳優として良いなぁ~と思う。


一方、妻ローラ役のゴルシフテ・ファラハニは、文句なしの美人。
日本人が抱きがちな“イラン出身女優”のイメージを覆す女優さんだと思う。
特に本作品で演じているローラは、とても自由な感じで、時に不思議ちゃんっぽくもあり、
下手すると、ウザい女に成り下がりそうなのだけれど、パターソンとは割れ鍋に綴じ蓋で、微笑ましいカップル。

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モノトーンが好きらしく、洋服、カーテン、ギター、そしてカップケーキまで、
ナンでもカンでも、ブラック&ホワイトにしているのが可愛かった。



本作品には、パターソンと関わる色んな人が登場するが、中でも我々日本人がついつい注目してしまうのは…

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やはり永瀬正敏であろう。


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『ミステリー・トレイン』(1989年)以来久々にジム・ジャームッシュ監督作品に再登板。懐かしい~。
(共演者の工藤夕貴は、現在農業をしながらオーガニックな生活を送る一方、お顔の方はすっかり人工的に。
もう二度とジム・ジャームッシュ監督に起用してもらえない雰囲気。
『ミステリー・トレイン』の頃はキュートだったのにねぇ…。遠い目…。)

永瀬正敏は、なかなか出てこないから、このまま映画が終わってしまうのではないかと心配しだした終盤、
日本からやって来た詩人の役で登場。
見た目は、詩人というより、“村役場の出納課職員”という感じ。
台詞が英語のせいか、ギコチなく感じたが、それゆえ、よりリアルに“日本の中年男性”の雰囲気は出ていた。
彼が、詩の翻訳を否定して言う「レインコートを着てシャワーを浴びるようなもの」という台詞には、共感。

最近、また海外作品づいてきていている永瀬正敏。
許鞍華(アン・ホイ)監督の新作で、周迅(ジョウ・シュン)主演の映画『明月幾時有~Our Time Will Come』も、
是非日本で公開して欲しい…!
近頃、軍服着ている日本人が登場する戦時下を描く中国映画だと、
反日映画だ!と無駄に騒ぐ輩が増えたから、良作でもなかなか公開に至らないのが、残念でならない…。



『ミステリー・トレイン』で思い出したが…

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『パターソン』で毎朝、一日の始めとなるベッドのシーンは、『ミステリー・トレイン』とも似ている。
ベッドを上から捉えたこのアングルは、ジム・ジャームッシュ監督のお気に入りなのでしょうか。



あと、(↓)こちらが、カンヌでパルム・ドッグ賞を受賞したお犬様。

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マーヴィンを演じたイングリッシュブルドッグのネリー。
オスだと思い込んでいたら、メスだった。





ジム・ジャームッシュ監督作品は、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984年)、
『ダウン・バイ・ロー』(1986年)、『ミステリー・トレイン』(1989年)、『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991年)
といった初期の頃の物が一番好き。
近年の物だと『ブロークン・フラワーズ』(2005年)はかなり好き。
(“近年”といっても、もう十年以上も前だったのか…!)
つまり、アグレッシヴに攻めている作品より、肩の力が抜けた感じの作風が好みだし、
まことに勝手ながら、そういう作品をより“ジム・ジャームッシュ監督らしい”と感じてしまう。
この新作『パターソン』も、力の抜け具合が、私がジム・ジャームッシュ監督に求める感覚に近い。
さらに、以前にはあまり感じられなかった種の優しさにも溢れる作品であった。

昔はトンがった印象のあったジム・ジャームッシュ監督だけれど、
実は1953年生まれで、気が付けばすでに64歳…!
年をとると、意識せずとも守りに入り、やたら“イイ話”を撮るようになるベテラン監督も多いが、
この『パターソン』を観る限り、ジム・ジャームッシュ監督は、そこまでツマラナいオジちゃんにはなっておらず、
それでいて適度に角が取れたという印象。

レ・アントルメ国立:変化球バウムクーヘン2種(+明星ハレの日&テレビ雑記)

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御存知の方が多いと思いますが、2017年9月16日、范冰冰(ファン・ビンビン)が、36回目のお誕生日に、
かねてから交際を公にしていた李晨(リー・チェン)からのプロポーズを承諾。
かつて、「男性とは別れるかも知れないが、仕事は裏切らない」といった発言もあったので、
結婚に過度の夢を抱くタイプではないと思っていたが、
それまで交際相手を公表することの無かった范冰冰が、李晨に限って関係を明かしたので、
その時点ですでに結婚が念頭にあるのかなぁ~と想像していた。


なので、范冰冰&李晨の婚約自体には驚きナシ。
それより見入ったのは、その婚約公表時に公開された(↓)こちらのお写真。

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ムコ殿・李晨(左端)を交えた范さんファミリーのお写真。
右端にいるのは、范冰冰の弟・范丞丞(ファン・チェンチェン)クン。


随分前、当ブログの“大陸美女名鑑:范冰冰”にも記したように、
丞丞クンはミレニアムベイビーで、姉・冰冰よりなんと19歳も若い。

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あまりに年の差があるため、「実は弟ではなく、范冰冰が産んだ私生児なのでは…」という噂も流れた。
さらに言うと、その私生児の父親があの洪金寶(サモ・ハン)!という噂まで。
今回、成長した丞丞クンの写真が久し振りに公開されたことで、
“父親=デブゴン説”は完全に払拭されたであろう。ぜんぜん似ていないものねぇ。

そして、もう一つ軽く驚いたのが、范パパと李晨が実の父子並みに酷似しているという事。
やはり女性は父親になんとなく似た男性に惹かれるものなのでしょうか。
身長は、もしかして、范家の男性陣の方が、180センチの李晨より高い…?
范サンちは、大柄なのかも知れません。

なお、結婚式の具体的な日取りを尋ねられた范冰冰は、
「人生の大事なので、もう少し時間をちょうだい」と、じっくり考えて準備したいことを示唆。
相当なド派手婚になるかも知れませんねー。期待。




お祝い事がもう一つ。

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9月20日は胡歌(フー・ゴー)の御生誕記念日。宗主、本日、35歳になりました。
目下、世俗を離れ、ほぼ隠遁生活中の胡歌、節目の35歳で、今年は何か動きがあるでしょうか。


ちなみに、胡歌は昨日19日、四川省でツーリング中のところを目撃されている。

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あちらの芸能人は、プライベートでカメラを向けられても、嫌がらず(いえ、内心はイヤでしょうが)、
ちゃんと応じてあげるのが、ご立派。
胡歌は、今日のお誕生日を色達で過ごすのでは?と見られているみたい。
色達は、四川省甘孜(ガンゼ)藏(チベット)族自治州の北東部に位置する県で、
世界最大の寧瑪(ニンマ)派仏教学院・喇榮五明佛學院(ラルンガル僧院)があることで有名。
半年ほど前、NHKが『天空の宗教都市』とかいうタイトルの番組で、4K映像で捉えた映像と共に紹介。
非常に美しく神聖な場所であった。また再放送してくれないかしら~。胡歌を想いながら再視聴したい。

何はともあれ、胡歌が色達で(?)心安らかにお誕生日を過ごせることを祈ります。おめでとうございます!






近々放送の要録画番組も2本だけ。

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一本目は、9月23日(土曜)、NHKで放送の『総書記 遺(のこ)された声 日中国交45周年目の秘史』
2013年に亡くなった作家・山崎豊子(1924-2913)の自宅から、
1980年代、当時総書記だった胡耀邦(1915-1989)の肉声を録音したテープが発見。
番組は、遺された総書記のその肉声と、今回独自に入手した外交資料をもとに、
日中関係の未来を考えるスクープドキュメント、…との事。

山崎豊子が<大地の子>執筆にあたり、胡耀邦と幾度となく面会した事実は、広く知られているので、
録音テープが出てきても、“発見”というほどのことではないと思うけれど、
今回、番組の中で、肉声を流すなら、是非聞いてみたい。

ちなみに、ドラマ『大地の子』は、今月LaLaTVで放送されたが(本日が最終回)、観逃した。
20年以上前のドラマなので、映像にはさすがに古さを感じるけれど、それでもなお名作。
主演の上川隆也も、あの頃が一番良かった。今は、50代の茶髪がキツイ…。
実力派と呼ばれる俳優に、下手な若作りは不要と思うが。





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翌、9月24日(日曜)は、TBSの『旅ずきんちゃん』
女性タレントが、女子会ノリで日本各地を巡る一種の紀行番組。
今週の放送では、日本を飛び出し、シンガポールへ。
大久保佳代子、友近、天木じゅん、和地つかさの4人が、マリーナベイ・サンズを遊び尽くすという。
天木じゅんと和地つかさは知らない。どうやら二人共、小柄+童顔+巨乳が売りのグラビアアイドルみたい。
大丈夫、大久保サンが出ていれば、私も疎外感なく視聴できます。
今回の取材がマリーナベイ・サンズ内限定ということは、来週以降もシンガポール特集が続くのでしょうか。






お菓子は、レ・アントルメ国立(公式サイト)から2種類のバウムクーヘンを。

レ・アントルメ国立が出している“国立バウム”というバウムクーヘンを以前食べたことがある。
直径20センチほどの、シットリした食感のバウムクーヘンであった。

以下2ツのお菓子は、そのバウムクーヘンの小型お一人様ヴァージョンで、
なおかつ、ちょっとした手を加えた物。

★ 国立バウム

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大きさは、直径約6センチ、厚さ約3センチ。
ホイップクリームを添えたバウムクーヘン。



こちらの物は、名前がまんま“国立バウム”
小さく作ったあの国立バウムに、さらにホイップクリームが添えられている。
ホワホワに盛られ、見るからに美味しそうな生クリームは、トップの飾り程度かと思いきや、
バウムクーヘンの穴の中にまで、ちゃんとギッシリ詰められていた。

バウムクーヘン本体は、あの国立バウムのまんまで、シットリふっくら焼き上げられている。
周囲に塗られた糖衣のサクッとした食感が、案外効いている。


非常にシンプル。
バウムクーヘンさえ買ってくれば、自分でも作れそうだが、
生クリームを泡立てるのは面倒なので、有り難い。

★ シトロンバウム

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大きさは、直径約6センチ、厚さ約3センチ。
中にレモン・カスタードクリームを詰め、その上にメレンゲを盛り、レモンピールを添えたバウムクーヘン。




続いて、“シトロンバウム”

国立バウムをマイナーチェンジしたシトロン版なので、
上の白いホワホワは、当然ホイップクリームだと思い込んでいたら、
なんと、とっても軽ーーいメレンゲであった。

穴の中に詰められているのは、レモン・カスタード。
滑らかな食感で、きちんと酸味がある。
ほのかに甘いバウムクーヘンやメレンゲと、レモン・カスタードの酸味のバランスが良い。


これは、レモンタルトのバウムクーヘン版って感じで、爽やかにサッパリ食べられる。
レモンタルトが好きな人なら、これも多分好き。
私は、レモンタルトが好きなので、これもやっぱり気に入った。
ただ、残念なことに、こちらは夏限定の商品なので、もうそろそろ店頭から消えてるかも。
来夏も是非販売して欲しい。

映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』

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【2016年/韓国/118min.】
各地で謎の暴動が頻発している韓国。
証券会社でファンドマネージャーをするソグは、
根っからの仕事人間で、家庭を顧みず、挙句、妻ナヨンとは別居。
まだ幼い娘スアンの面倒は、同居している母に任せっ放し。
スアンの誕生日にプレゼントを買おうとしても、子供が欲しい物など分からない。
そんな父親にスアンがおねだりしたのは、釜山行き。釜山で暮らす母親に会いたいと言うのだ。
今は仕事が忙しいと、一度はこのおねだりを却下したものの、スアンの訴えに折れ、釜山行きを承諾。

早速、翌朝、まだ暗い内に家を出て、ソウル駅でKTX101号の3号車に乗り込む父娘。
列車は、定刻通り、5時半に発車。実は発車の直前、13号車に滑り込むように乗り込んだ女性が一人。
体調が悪いのか、すぐにトイレに駆け込み、それっきり。

順調に運行を続けるKTX101号の車中で、
「トイレからずっと出て来ない人がいる」との連絡を受けた乗務員のミンジは、
トイレを調べ、床に倒れ込む女性を発見。
女性の救出を試みようとするが、突如暴れ出したその女性に逆に襲われ…。



アニメーション出身のヨン・サンホ監督による初の実写長編映画。

世界各国で好評を博し、日本でも公開前から期待する人が多かった作品。
期待の高さゆえか、日本公開が発表されてからは、邦題がイケてない!と不満の声が続出。
韓国語の原題『부산행』は、“釜山行き”を意味するそうで、中国ではそのまんま『釜山行』と題されているし、
英語のタイトルも同意の『Train To Busan』。
新幹線のような高速鉄道が主な舞台となる作品なので、
日本のタイトルは、日本人に馴染みのあるその新幹線と、
映画の内容を掛け合わせ、『新感染』としたのであろう。
鑑賞前、私は、この作品に思い入れがまったく無かったので、邦題に噛みつくことも無かったけれど、
確かに、このチープなダジャレ邦題は、B級映画を連想させ、多くの映画ファンがお怒りになるのも理解できる。
安っぽくせずに、インパクトの強さ狙うなら、皆さまが仰る通り、『釜山行き』の方が良かったのに。
まぁ、外国映画の邦題が悪趣味というのは、これに限ったことではない。中国語作品なんて、もっと悲惨だしね。




本作品は、ソウルを発った釜山行き特急列車KTX101号の閉ざされた車中、
感染すると凶暴なゾンビと化す謎のウィルスが見る見るうちに蔓延し、狂乱状態に陥る中、
人々が生き残りをかけ、もがき、戦う様子を描くサヴァイヴァル・アクション群像劇

平たく言ってしまえば、“ゾンビ映画”、“パニック・ムーヴィ”。
大変評判の良い作品でありながら、鑑賞前、私の期待が低かった理由も、そこである。
私が好む韓国映画は、往々にして娯楽作品より、文芸作品やアート作品。
非現実的な話よりは、現実味のある話である。
例えば、ポン・ジュノ監督による怪獣映画『グエムル 漢江の怪物』(2006年)とか、
最近の物だと、國村隼も出演しているナ・ホジン監督の『哭声/コクソン』(2016年)とか、
どちらも世間での評判はすこぶる良い作品であるが、私にはまったく響かず、それどころか大いにシラケた。

ところが、この『新感染』は、それらと同じ非現実的な娯楽作品でありながら、どういう訳か、楽しめてしまった。
ど、ど、ど、どうしてでしょう…?違いは何…??


この作品が、観衆を惹き付ける一つの要素は、みなぎる疾走感。
とにかく展開がスピーディで、先が気になってしまう。
KTX101号の車中に、謎のウィルスを持ち込んだのは、
発車直前に滑り込むように乗り込んだ一人の不審な女性なのだが、
彼女が発狂してからのウィルス感染は非常に速く、
映画が始まってものの30分で、車中の多くの乗客がすでにゾンビ。
えっ、現時点でこんなにゾンビ率が高かったら、残りの一時間半をどう持たすの…?!と気になってしまった。

結局のところ、本作品は、最初から最後までKTX101号の中のみで展開される100%の密室劇ではない。
原因不明のウィルスは、韓国全土に蔓延しており、あっちもこっちも壊滅状態。
列車が、途中いくつかの街を通り過ぎたり、立ち寄ったりしながら、
初期防御に成功した釜山を目指す、一種のロード・ムーヴィ的要素がある。

さらに、みるみる数を減らしていく乗客の内何人が、また誰が、
あの惨状を生き延び、釜山に辿り着くのかというサヴァイヴァル・ゲームの要素も。

そういう危機的状況に置かれた時、ついつい出てしまうのが人間性。
本作品は非現実的なゾンビ映画でありながら、現実社会にも通じる人間のエゴも描かれる。
さらにさらに、それぞれの乗客たちの背景を描く人間ドラマの要素もあるし、彼らの心情の変化も見えてくる。






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出演は、証券会社のファンドマネージャー、ソグにコン・ユ、ソグの娘スアンにキム・スアン
妊娠中の女性ソギョンにチョン・ユミ、ソギョンの夫サンファにマ・ドンソク
高速バス会社常務ヨンソクにキム・ウィソンなどなど…。

コン・ユは、いかにも女性に好かれそうな、清潔で優しいイメージの二枚目だとは認めても、
クセが無さ過ぎるのだろうか、俳優として、何か今ひとつ面白みに欠けると思っていた。
今回演じているソグは、証券会社のファンドマネージャー。
優秀で、稼ぎも充分で、スーツ姿もビシッと決まっているソグは、これまでのコン・ユのイメージ通り。
…でもなく、実は、これが、自分本位の結構イヤな奴。
頭の悪いブ男が虚勢を張っている方がまだマシ。
シレーッと性格の悪さを覗かせるエリート美男の方が、嫌味な感じがして、余計にムカッと来るものです。
この作品では、コン・ユのそんな底意地の悪い部分をちょっと見ることができ、良かった。

もっとも、最初から最後まで一貫して性格が悪いわけではない。
自分と娘だけが難を逃れられれば良いと思っていた男が、徐々に協調性を身に着け、
仕舞いには自己犠牲をも厭わなくなっていた。
つまり、本作品は、仕事でも家庭でも自分本位だったソグが、
大災難を機に、自分を見直し、人として変わっていく様子を描く、中年男の遅まきの成長記としての面もあり。


本当に人格に難があるのは、ヨンソクという高速バス会社常務のオジさん。
自分だけ生き延びるためなら、追ってくるゾンビの方に、女子高生を突き飛ばしちゃうんだから、エゲツない。
このオジさんが役員を務めるバス会社のバスには絶対に乗りたくないワ。


本作品で、二枚目のコン・ユ以上に、多くの女性のハートを掴むのは、マ・ドンソクなのでは。
扮するサンファは、ぜんぜん美中年じゃないし、口も多少悪い。でも、根は優しくて、力持ち!

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当初は、似合っているのだか似合っていないのだかよく分からない
ジャケット+スカーフという中尾彬or石田純一風の小洒落た格好をしているのだけれど、
上着を脱いだら、「もしかして、この人、事態を予期してスタンバっていたんじゃないか?!」と疑わせるほど、
やる気マンマンが伝わって来る、むっちりボディを覆う黒T姿…!
さらに、腕にガムテープを巻き、ガッシガッシとゾンビをなぎ倒すサンファのカッコ良さよ。ホレるわ。





冒頭のシーンから食い付いてしまった。だって…

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交通整理のお人形が、やけに艶めかしいんですもの。日本で使われているお人形と随分違う。
あんなお人形が道の脇に立っていたら、目を奪われ、事故を起こしてしまいそう。

その後、物語が本格的に動き出すと、目まぐるしい展開は、観衆に息をつく暇も与えないほど。
しかも、全てがすっきり2時間以内で完結する潔さ。

終盤、「もしかしてソグは、サンファから託されたソギョンと再婚するのではないか…?
娘のスアンも、ソギョンに懐いていることだし…」と想像したけれど、そういうラストではなく、ホッとした。
(危機を共に乗り越えたソグ+スアン+ソギョンで新家庭を築くなんて、いくら何でもベタ過ぎる。)
人間のエゴを表現している部分や、それぞれの登場人物の人間ドラマの部分を、
韓国的にあまり熱く濃密に描き過ぎると、説教臭くなってしまいそうだが、
それを適当なところで抑えているのも、好感がもてる。

私にとっては、“2度も3度も観直したい”というタイプの作品ではないが、
噂に違わず、よく出来たエンターテインメント作品で、チケット代金以上に2時間を楽しませていただいた。
香港映画と同じで、韓国映画も、刑事モノ、裏社会モノ、ヴァイオレンスには、私個人は食傷気味なので、
そういうのとはまた違うタイプの韓国エンターテインメント作品を新鮮にも感じた。


現実社会にああいう状況が起きるとは考えにくいが、万が一、億が一、そうなったら、どうしましょ。
例えば、戦時下など、“人を殺さなければ自分が殺される”という状況に立たされると、
どんな真人間でも自分が助かるために人を殺めてしまうと言う。
仕方が無い事だったとしても、出来れば、そういう人になりたくないし、
襲われる恐怖に怯えながら、逃げ続けるのもシンドい…。
だったら、いっそ、早い内に謎のウィルスに感染して、ゾンビになって、
サンファにブン殴られて、サッサと死んでしまった方が楽だわ、…なんて考えながら、映画館を出たのでした。

ちなみに、凶暴に襲い掛かってくる恐ろしいゾンビであるが、弱点もあり、ドアノブを回せないらしい。
だから、ドアに鍵が無くても、きちんと閉じてさえいれば、ゾンビは入って来られない。
もしかして、ヨン・サンホ監督は、犬か猫を飼っていて、このゾンビの弱点を思い付きました?



同じヨン・サンホ監督によるアニメーション作品で、
この『新感染』の前日譚を描く『ソウル・ステーション/パンデミック』も、
2017年9月30日(土曜)に、日本で公開されるそう。

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映画館で予告編を観たら、絵がダークな雰囲気で、私好みのテイストであった。こちらも、面白いかも。

北京2017:ホテル③~エグゼクティヴ・クラブ・ラウンジ

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今年、2017年、母と訪れた北京で宿泊したのは、北京四季酒店(フォーシーズンズ・ホテル北京)
私が宿泊したのは、行政酒廊(エグゼクティヴ・クラブ・ラウンジ)と呼ばれるラウンジにアクセスできるお部屋。
ここでは、その行政酒廊(エグゼクティヴ・クラブ・ラウンジ)について。

★ 北京四季酒店:行政酒廊

“クラブ・ラウンジ”、“エグゼクティヴ・ラウンジ”等と呼ばれるラウンジを有しているホテルは結構ある。
私個人的には、24時間バトラー・サービスなどより、ラウンジの方が利用価値が高いと感じているので、
バトラーとラウンジの二者択一なら、後者を有するホテルを選びがち。




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北京四季酒店のラウンジは、ホテルの26階。
ラウンジにアクセスできる部屋を予約している人は、
チェックインもチェックアウトも、1階のレセプションではなく、このラウンジで行う。

オープンしているのは、朝6時半から夜11時まで。
その間、いつでも自由に利用可能。


オープンしている間、さらに以下の3ツの時間帯には、食べ物の提供あり。

Breakfast       : 6:30am~11:00am
Afternoon Tea: 3:00pm~5:00pm
Happy Hour     : 5:30pm~7:30pm


以下、時間帯ごとに見ていきます。

★ Breakfast

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ホテルの朝ゴハン、大好き。
一般宿泊客用のダイニングと、エグゼクティヴ・フロア宿泊客用のラウンジを比べた場合、
前者の方がメニューが豊富というのは、よく有ること。
その差があまりにも極端だと、ガッカリしてしまう人もいるであろう。
北京四季酒店では、1階に誰もが朝食に利用できるOPUSという広いロビーラウンジがある。
念の為、私は、そちらも覗いてみた。
結果を言うと、OPUSの方が提供される食べ物の量が圧倒的に多いが、品数には大差が無い。
となると、こじんまりした空間で、利用者が限定されているエグゼクティヴクラブ・ラウンジの方が、
サービスが行き届くし、雰囲気も落ち着いており、やはり格段良いと感じる。
OPUSの良い点は、朝食営業が6時からと、ラウンジより30分早いこと。
ちょっとでも早く朝ゴハンを食べ、仕事なり観光なりに出発したい人は、そちらを利用すると良いでしょう。



ラウンジの朝食メニューは、中華と洋食の2本立て。
私は、朝は、在り来たりの洋モノしか食べないのだけれど、
「中国では朝食も中華で!」という方のために、一部ピックアップ。


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お粥は、基本の白粥の提供が毎日ある他、日によって、小米粥(粟粥)や紅豆粥(あずき粥)も。
紅豆粥を食べた母は、「お赤飯をお粥にしたみたいで美味しい」と言っていた。



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トッピングも色々。定番の油条は勿論のこと、昨年、虫(!)と見紛ったチョロギのお漬物も。



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茶叶蛋(茶葉蛋)も中国ならではですよね。
茶葉蛋は、卵を茶葉や八角などの香辛料で煮込んだ中華風煮卵。
レシピは、地域やお店によって様々。茶葉は、紅茶、次いで烏龍茶を使うことが多いようだが、
普洱茶や緑茶になることもあるみたいだし、結局のところ、“絶対”は無い。
北京四季酒店の場合、何の茶葉を使っているかは未確認。



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麺は、太さや具材を選ぶと、その場でコックさんが調理。



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もちろん、蒸し点心も。ホテルの厨房で作っている物だから美味しいはず。
(北京四季酒店の中には、采逸軒という評判の良い広東料理のレストランがある。)



私の朝食も簡単に公開。

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飲み物は、西瓜ジュースとカプチーノ(+たまに豆乳)。
表に出ているのは、オレンジやグレープフルーツといった定番ジュースのみ。
私は、昨年と同様に、今年も毎朝、リクエストで西瓜ジュースを作ってもらった。
母は、無難にグレープフルーツジュースとレモンティーというシトロン尽くし。
日本ではなかなか飲めないから西瓜ジュースにすれば?という私の言葉は、完全スルー。



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卵は、具沢山のオムレツでオーダー。
ベイクド・トマトは、私にとって、ホテル朝食のほぼマスト。北京四季酒店では、プチトマトを使用。
キヌアをメインに、スナップえんどう、ブロッコリー、オレンジを混ぜたサラダは、昨年無かったメニュー。
気に入って、今年は毎朝食べた。



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フルーツ盛り合わせ。
林檎、バナナ、メロン、西瓜、パイナップル、葡萄、ドラゴンフルーツといった毎日必ず並ぶ果物の他、
プラムやチェリー、蓮霧(れんぶ)、直径2センチほどのプチ桃など、日替わりで出てくる物も。



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ほおずきは、日本だと鑑賞用が主なので、私にとって、食用ほおずきは、ヨーロッパのイメージ。
母は会席料理で何度か食べたそうだが、私はチョコレートで和えたお菓子としてしか食べた記憶が無い。
そのまま食べるほおずきは、甘さも酸味も控えめで、敢えて表現するなら“固めで甘めのプチトマト”という感じ。



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日本人にとって、もっとレアなのは、こちら。ナマの棗(なつめ)。
日本の店頭で目にするのは、ドライに加工した輸入物がほとんど。
私もドライならたまに食べているけれど、ナマは初めて。
食感は、柔らかなのにサクッ!という矛盾。
例えば林檎の場合、品種によってざっくり2種類、
フカッと柔らかなジョナゴールド系と、シャキッと固いふじ系に分かれ、私の好みは断然固い方なのだけれど、
棗の質感は、不思議なことに、そのどちらもが両立している感じ。
味は、“水分が少なく、酸味が無い林檎”とでも言おうか。う~ン、説明しにくい。
これを乾燥させると、あのドライ棗になるとは想像しにくい味。



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パイナップルは、全然珍しくありませんよね。
でも、竹串に刺したプレゼンが可愛い。去年は、普通にカットされているだけだった。
見たことの無いタイプの竹串で、気に入ったので、スタッフの女の子に、
「中国では、こういう竹串はよく有るの?スーパーで買えるかしら?」と世間話程度に話したら、
実はその後厨房に尋ねてくれていた。
なんでも、業者から業務用で買い付けている物で、一般にはあまり出回っていないと言う。
その答えに、ちょっとガッカリしたのだが、なんとおニューの竹串を数本袋に入れ、プレゼントしてくれた。
嬉しい。自宅では、これに何を刺して食べましょう??



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ヨーグルトはプレーンを選択。フルーツやシリアルと共に。
さらに、普段はあまり使わない蜂蜜もかけて。蜂蜜も、確か去年は普通の蜂蜜だけだったはずだが…

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今年は、シナモン、クコの実、オレンジピールで香り付けした蜂蜜が登場。
味も香りも一番良いのはオレンジピール。クコの実ハニーは中国っぽくて良い。

★ Afternoon Tea

アフタヌーンティーは、外で過ごしていることが多い午後3時から5時という時間設定のため、
ほとんど利用していない。
私と限らず、他の宿泊客にとっても、その時間帯は外出している場合が多いのであろう。
ラウンジは空いている。



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提供される食べ物は、やはり甘い物が中心。
定番のスコーンや洋菓子の他、中国らしく中華菓子も。
また、甘いお菓子以外にも、フルーツや、カナッペのようなちょっとした“しょっぱい系”も用意されている。



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激甘党の私だが、北京では喉ばかり渇き、お菓子はあまり食べていない。
滞在中、ここで何本のサン・ペレグリーノを飲み干したことか。
画像に写っているのは、2種類のプチタルトと、中華の餅菓子(胡麻入り)。
こんもりメレンゲが盛られたレモンタルトは、去年食べて気に入った物。
直径3センチ程度のプチサイズだが、手抜きなくちゃんとレモンタルトで、美味。

★ Happy Hour   

ハッピーアワーは、大盛況。
あれこれちょこちょこと摘まみながら、お酒を楽しんでいる人がいる一方、
ガッツリ系のお肉や麺もあるので、しっかり夕食をとっている人も。

お酒は色々と取り揃えてあるようで、カクテルなども作ってくれるみたい。
母は多少飲めるみたいだけれど、同伴の私が下戸ということもあり、飲んでいなかった。
基本的によく食べる人ではあるが、北京では外で沢山食べていたため、常にお腹がいっぱいいっぱいで、
ハッピーアワーでも飲み食い控えめ。

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ま、それでも、結構な量を食べていますね。


私はもっと控えめ。

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この蛇腹にカットした甘酢漬けの胡瓜は、意外に美味しかった。
甘い物を食べる時は、一緒にミント・ミルクティーやコーヒーをお共に。
画像には無いマカロンは、レモン味とコーヒー味がお気に入り。

小さな容器に入ったこのマンゴープリンも美味。

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“プリン”と言うより“マンゴークリーム”。
ゼラチンでプルンプルンに固めたマンゴープリンは嫌いな私、これは美味しく頂いた。




お腹いっぱいで、飲み食いが目当てではなくても、居心地が良いから、ウダウダしたくなるラウンジ。
外出先から戻ると、自分の部屋へ行く前に、取り敢えず立ち寄りたくなります。
北京四季酒店が建つエリアは、上海の外灘(バンド)などとは違い、摩天楼は臨めないが、代わりに…

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綺麗な夕焼け空が。
実はラウンジの東側にはバルコニーが有って、外に出ることもできる。
これから冬になると、日の入りも早くなるので、ハッピーアワーだと、外はすでに真っ暗かも。

★ 総評

洗練されていても、堅苦しくなく、リラックスできる雰囲気。
スタッフは優秀で、サービスが温か、かつ、きめ細やか。
(北京式“おもてなし”には、ヨーロッパ的な洗練に加え、アジア的な人情味を非常に強く感じる。)
母は、「絶対に容姿で選ばれている」と言っていたけれど、確かに彼らは内面のみならず、外見もよろしい。
一人、長身で可愛い顔をしたA君という若い男の子がいて、並みのアイドルより余程ルックスが良いため、
ついつい目が行ってしまい、その度に、私は「いかん、いかん」と自主規制。
私の年で美少年に見入ると、セクハラ、パワハラ、ストーカー、いずれかの嫌疑がかかり、
相手に恐怖心を抱かせかねませんからねー。結構、気ぃ遣うのヨ。

そう言えば、女性マネージャーのJさんは、子供の頃から、L'Arc〜en〜Cielのhydeが大好きで、
日本でコンサートにも行ったと話していた。
私、L'Arc〜en〜Cielにはまったく無関心だったけれど、自分たちの活動を通し、
多少なりとも国際交流に平和的に貢献していると思ったら、ちょっと尊敬した。


最後の日には、そのJさんが代表し、スタッフが寄せ書きしたカードを贈ってくださいました。ジーン…。


サービスを突き詰めると、やはり“人”だと感じる。
部屋が綺麗とか、食べ物が美味しいとか、ホテルを高く評価する理由は色々有っても、
一番心に刻まれているのは、やはり、皆が皆、私と母にとても良くしてくれたという事。良い想い出しかない。
皆さま、ありがとうございました!



最後に、ホテル関連をまとめてリンク。

北京2017:ホテル③~エグゼクティヴ・クラブ・ラウンジ


2017年北京旅行備忘録は、これからが本番。まだまだ続きます。


◆◇◆ 北京四季酒店 Four Seasons Hotel Beijing ◆◇◆
北京市 朝阳区 三元桥 亮马桥路 48号

+86 (10) 5695 8888

地下鉄10号線・亮马桥(亮馬橋)駅、B出口から徒歩5分

和菓子2種(+映画祭・テレビ雑記)

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映画祭シーズン到来。
2017年10月開催の第30回東京国際映画祭
及び、その提携企画である東京・中国映画週間の上映ラインナップが、本日公開。

今年の東京国際映画祭は、オープニング作品に『鋼の錬金術師』、
クロージング作品に『不都合な真実2:j放置された地球』、
そして第30回記念オープニングスペシャルに『空海 KU-KAI』が上映されることは、事前に明かされていた。

本日の情報によると、コンペティション部門の審査委員長はトミー・リー・ジョーンズで、
審査員の中には、趙薇(ヴィッキー・チャオ)も名を連ねている。
趙薇が東京国際映画祭に来るのは、
自身の初監督作品『So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ』が上映された2013年以来。

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あの時、上映後のQ&Aに登壇した趙薇は、“監督”といっても女優さんだから、華やかでキラキラしていた。
今年も、映画祭開催中に、会場でお見掛けできるかも知れません。



肝心の上映ラインナップは、実はまだちゃんとチェックしていない。
ザッと目を通し、一つ意外だったのは、
私が“映画祭で上映するには軽過ぎるエンタメ作品”だと思っていた…

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金城武&周冬雨(チョウ・ドンユィ)主演の『喜歡‧你』が、『こんなはずじゃなかった!』の邦題で上映されること。
まさに、こんなはずじゃなかった!(←良い意味で)。



東京・中国映画週間の方は、本数が少ないので、すでに全作品チェック済み。
メガヒットが記憶に新しい吳京(ウー・ジン)監督主演作『戦狼2 ウルフ・オブ・ウォー』をはじめ、
馮倫(スティーヴン・フォン)監督作品でジャン・レノも出ている『潜入捜査~俠盜聯盟』、
邱禮濤(ハーマン・ヤオ)監督×劉華(アンディ・ラウ)主演の『ショックウェーブ~拆彈專家』、
麥兆輝(アラン・マック)と潘耀明(アンソニー・パン)の共同監督で
黃軒(ホアン・シュエン)主演の『ザ・アドベンチャーズ~非凡任務』など、
香港電影ファンが喜びそうな作品がかなり入っているという印象。



東京国際映画祭で『空海 KU-KAI~妖貓傳』、中国映画週間で『ザ・アドベンチャーズ』と
二本主演作が上映される黃軒は、来日の確率が極めて高いと推測。

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ナマ黃軒を拝むのは、私の悲願。どうかその願いを達成させて…!
(ただ、この度、東京国際映画祭のサイトにはっきり“ホアン・シュアン”と記載されてしまったため、
今後日本での通称が“ホアン・シュエン”ではなく“ホアン・シュアン”に確定するであろう事は、
私にとっては悲劇でしかない。角川は、つい最近も『空海』のポスターの国名表示で問題を起こしたばかり。
ちゃんとした仕事をして下さい。


その『空海』には、ドラマ『太子妃狂想曲~太子妃升職記』で大ブレイクした
張天愛(チャン・ティエンアイ)も出ているのだが…

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彼女もまた出演作が二本、『ナーガの真珠~鮫珠傳』と
『君のいる世界から僕は歩き出す~從你的全世界路過』が、中国映画週間で上映。
期間中、3本もの出演作が上映されるのだから、張天愛も来日してくれれば良いのにねー。
日本に留学経験があって、日本語が喋れると噂される彼女の日本語、聞いてみたいですよね。



今年は何本の映画を観られるのだろうか、私。
両映画祭とも、まだ具体的な上映スケジュールが出ていないので、どうなるか分からないし、
仮に私の予定が空いていたところで、そもそもチケットを入手できるのか…?
昨年起きたオンラインチケット販売の大混乱を思い出すと、怒りとストレスでワナワナしてくる…。
昨年の大失態を猛省し、今年は強靭なシステムを整えていると信じたい。


なお、開催期間は以下の通り。

第30回東京国際映画祭  2017年10月25日(水曜)~11月3日(金曜・祝)
- レッドカーペット・イベント 10月25日(水曜)
2017東京・中国映画週間 2017年10月20日(金曜)~10月26日(木曜)
- 開幕式+『ボーン・イン・チャイナ~我們誕生在中國』上映 10月21日(土曜) 14:00~
- ゴールド・クレイン賞授賞式+『戦狼2 ウルフ・オブ・ウォー』上映 10月26日(木曜) 14:00~



出演作が上映される前述の二人の俳優については、以下を参照。
どちらも、日本と所縁のある俳優さんです。






近々放送の要録画テレビ番組も一本だけ。

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9月29日(金曜)放送、毎度の日テレ『アナザースカイ』
今週は映画監督・行定勲のアナザースカイ、台湾。
恐らく、10月7日に公開を控えている監督最新作、
松本潤×有村架純主演『ナラタージュ』の宣伝で、出演するのであろう。

近年の『アナザースカイ』では、“無難”という理由だけで台湾を選んだとしか思えない回がかなり有り、
そういうのは決まって面白くないのだけれど、
今回の行定勲監督の場合は、所詮新作映画プロモーションの一環だったとしても、
御本人が台湾にそれなりの思い入れがあるのは確か。

番組紹介では「映画監督・行定勲が大きな影響を受けた台湾で名作の舞台を巡る。
尊敬する世界的な映画人と再会。」と記述。

かねてから、行定勲監督は、台灣新電影(台湾ニューシネマ)に影響を受けたと語っており、
具体的には、例えば、助監督時代に、林海象監督に頼まれ、楊昌(エドワード・ヤン)監督が
『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991年)を撮影中の現場に機材を届けたとか、
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督作品『恋恋風塵』(年)に影響を受けた等々と、様々な話をしている。
また、そういう御縁から、自身の作品に張震(チェン・チェン)を出演させたり、
侯孝賢監督作品でお馴染みのカメラマン李屏賓(リー・ピンビン)や録音の杜篤之(ドゥ・ドゥチー)らを起用。
将来、監督作品に出てもらいたい台湾女優は桂綸鎂(グイ・ルンメイ)との発言も。

最近はと言うと、つい一週間前の9月19日、
台北市政府文化局、台北市電影委員會らが主催するワークショップ、
台北電影學院(Taipei Film Academy)に招かれ、
香格里拉遠東飯店(シャングリラ・ファーイースタン・プラザ・ホテル)で講義を行っている。

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行定勲サン、足を組む時、ズボンと靴下の間にお肌が見えるのは絶対にNGヨ…。

それはそうと、その講義(…と言うより“トークショー”)で、行定勲監督がどういう事を語ったかというと、
例えば、初めて手掛けた日中合作映画『真夜中の5分前』(2014年)を取り上げ、
「華人俳優は、常にプロテクトされている日本人俳優とは違い、オープンで環境適応能力が高い。
撮影環境が決して良くなく、更衣室も無かった時、
ふと振り返ったら、張孝全(チャン・シャオチュアン)が階段の隅でズボンを脱いでいて驚いた。
劉詩詩(リウ・シーシー)でさえ、ちょっと隣のデパートのトイレで着替えて来る!と。」、
「強いて劉詩詩の欠点を一つ挙げるなら、声が非常に小さい。それ以外は素晴らしい女優。」
台湾については、「台湾のさり気ない日常が好き」、「台湾の夜が好き」、
「エビ釣り大好き。エビ釣りの腕は、台湾人以上」
新作については、「日本人カップルが台湾へ遊びに行く話。」、
「エビ釣り場とか、24時間営業の書店とか、印象的な台湾の夜の光景を出来れば作品の中に入れたい」と。


劉詩詩の声が超小さなウィスパーヴォイスだという話は、日本でもしていた。
ドラマだと、声優の通る声に吹き替えられているから、我々はそっちを聞き慣れちゃっているけれどねぇ~。
そんな囁き声の劉詩詩は、『宮廷女官 若曦(ジャクギ)~步步驚心』の大ヒットで、あちらでは大スタアなのに、
文句も言わず、デパートのおトイレでお着替えしてくれたのですね。なんて気さくな若曦さん。

新作の企画は、現実にちゃんと動き出しているのだろうか。
台湾へ行く日本人カップルを、どの俳優が演じるのか、興味あり。
ただ、ザックリ語られたこの内容だと、
陳駿霖(アーヴィン・チェン)監督の『台北の朝、僕は恋をする』(2010年)とカブリまくっているようにも思える。


話を『アナザースカイ』に戻します。
番組の中で、行定勲監督が再会するという“尊敬する世界的な映画人”は誰なのでしょう。
行定勲監督よりキャリアや年齢が上で、存命となると、超大物なら侯孝賢監督、
そうでなければ、自身の作品に参加してもらっている李屏賓か杜篤之?
行定勲監督が巡るという“名作の舞台”の“名作”が、どの作品を指すのかにも興味あり。
確認は、放送時のお楽しみ。
とにかく、今回の『アナザースカイ』は、映画ファンは楽しめる回になるかも?




藝術の秋、映画の秋、そして食欲の秋。お菓子は、和の物を2ツ。

★ 柏屋:もっちりわらび餅

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容器の大きさは、だいたい長さ15.5センチ×幅6.5センチ×深さ3センチ。
切り分け、別添えのきな粉をかけいただく、わらび餅。




まずはこちら。柏屋06-6621-2575)の“もっちりわらび餅”
大阪の物らしいが、ちょっと調べても、柏屋の実態はよく分からず。
どうやら店舗を持たずに、大阪阿倍野でお菓子の製造卸をしている会社みたい。

プラスティック容器に流し入れられた本体を3等分に切ると、
ひと切れの大きさは、小ぶりの胡麻豆腐ほどになる。
切り分ける際、すでにモチッとした圧が、包丁から伝わって来た。
実際に口にすると、“もっちり”という表現から想像する食感とは、やや違う。
確かに弾力はあるけれど、寒天のような噛み切り易さも混ざった食感。
とにかく、いわゆる“わらび餅”ではなく、様々なデンプン類をミックスした感じ。
味はサッパリで、うっすらと甘みあり。
甘さは、砂糖、グラニュー糖、三温糖でつけているようだ。

きな粉は、3袋付きの大盤振る舞い。
本体を3等分に切り分けたので、一個のわらび餅につき、きな粉1袋の計算。
私は、きな粉があまり好きではないので、半袋~1/3袋で充分。


以前食べた美濃忠の“垂水の蕨”にちょっと似た感じ。
サッパリしていて食べ易いが、「また買いたい!」と思わせる“何か”が欠けている気が…。
私が特別きな粉贔屓でないこともあるが、
これにさらに黒蜜をかけ、もう少しコッテリさせて食べた方が良いかも。

★ 仙太郎:七穀ぼた

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大きさは、幅約7センチの俵型。
刻んだ青じそを混ぜ込んだ七穀米で、つぶ餡を包んだぼた餅。




こちらは、当ブログに繰り返し登場しているお馴染みの品、仙太郎(公式サイト)“七穀ぼた”
夏の間は食べていなかったのだが、本日は、2017年秋の彼岸明けとのことなので、久し振りに。

えっ、ぼた餅は春で、秋のお彼岸なら、おはぎでしょ?!と思う人が多いだろうけれど、
仙太郎では一年を通して常に“ぼた餅”。
元々、“ボタ”とはお米の卑称で、欠けて売り物にできないお米を“ボタ米”と称し、
それで作ったお菓子が“ぼた餅”になったという由来に準じ、
仙太郎では敢えて一年中“ぼた餅”の呼称を使用。
本来、農耕の間の食用だったぼた餅は、その後いつしかお彼岸のお供え物となり、
それぞれの季節に合わせ、春には牡丹の花の“牡丹餅”、
秋には萩の花の“お萩”と呼ばれるようになったという。
つまり、仙太郎の説によると、春の“ぼた餅”、秋の“おはぎ”は、美しく昇華させた後付けのネーミングという事。

本来の呼称を敢えて使い続ける仙太郎のぼた餅が、素朴でドカンと大きいのも、
“余り物で作った農民の間食”という本来のぼた餅の姿を意識しているからなのかも知れない。

ただ、素朴でありながら工夫のある、この“七穀ぼた”のようなぼた餅は、
昔の農民は食べていなかったであろう。
七穀とは、もち米、黒米、ひえ、粟、たかきび、押し麦、小豆を指す。
それら7種の雑穀は、形状がしっかり残っている八分づきで、さらに刻んだ青じそが混ぜ込まれている。
中には、いかにも“田舎のおばあさんが作りました”という感じの素朴なつぶ餡。


実際に大きい上、自然と咀嚼回数が増える雑穀を使っているため、とても食べ応えがある。
お菓子と食事の中間的な不思議なぼた餅で、穀物の旨味と食感をきちんと感じられるし、
爽やかな青じそと甘い餡子の相性も良し。

映画『三度目の殺人』

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【2017年/日本/124min,】
弁護士・重盛朋章は、同期の摂津から、彼が手に負えなくなっている案件の助っ人を頼まれる。
その案件とは、小さな食品加工会社・山中食品の山中光男社長が殺され、河川敷で発見された事件。
間も無く逮捕されたのは、山中食品を解雇された三隅高司。
実は三十年前にも殺人事件を起こしている男で、
今回の事件も、金に困り、自分が社長を殺し、財布を持ち逃げしたと、早々に自供。
一見、何の変哲もない強盗殺人事件だが、
三隅の弁護を担当することになった摂津は、あまりにもコロコロと変わる三隅の証言に困惑。
手に負えなくなり、重盛に助けを求めたというわけだ。

殺人も二度目となると死刑が当然、無期懲役に持ち込むのは極めて困難。
「せめて自供する前に頼んでくれよ…」と渋々手を貸すことになった重盛だが、
三隅に接見したり、物証を調べながら、法廷戦術を練り
、これなら行けるかも知れない…と、明るい光が見えた頃、想定外の事態が発生。
なんと、三隅が、重盛ら弁護士に断りもなく、勝手に週刊誌の取材を受け、
「社長の妻・美津江から頼まれ、保険金目当てで殺した」と話していたのだ。
詰め寄る重盛に、悪びれずに語る三隅によると、
妻・美津江が受け取る保険金8千万円の内、一千万円をもらう約束で、前金として50万円を受け取り、
それらやり取りをしたメールも携帯電話に残っているという。

三隅は美津江と男女の仲だったのか…?
三隅が暮らしていたアパートを訪れた重盛は、
大家から、ここにしばしば来ていた足の悪い女の子が居たことを聞かされる。
その女の子とは、被害者・山中社長の娘、咲江であった…。



是枝裕和監督、『海よりもまだ深く』(2016年)以来の新作。
最終的に賞は逃したが、第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品。



本作品は、勝つことに拘る弁護士・重盛が、友人でもある同期の摂津に泣きつかれ、
気が進まないまま殺人事件の弁護を引き受け、
当初は、普段通り、減刑に持ちこむための策を淡々と練り、順調に事を運べると目算していたが、
証言が二転三転する容疑者・三隅と接し、周辺を調査していく内に、
勝利以上に真実の究明に突き動かされていく様子を描く法廷心理サスペンス


これまで、家族という身近な存在を題材に、リアルな描写でホームドラマを撮ることが多かった是枝裕和監督が、
弁護士を主人公にしたサスペンスという異分野に挑戦しているのが目新しい。

人気小説やコミックの映画化が全盛の昨今には珍しく、
オリジナル脚本にこだわり、過去の作品の大半を自身の原案・脚本で撮ってきた是枝裕和監督も、
法廷劇ほど畑違いだと、さすがに他人様の小説を拝借したのだろうと、漠然と思い込んでいたら、
いや、これも監督のオリジナル・ストーリーであった。
この映画のノベライズで、佐野晶との共著<三度目の殺人>は、2017年9月、宝島社より発売。


事の発端は、小さな食品会社を営む社長が、解雇した元従業員に殺されたという比較的ありふれた殺人事件。
その元従業員・三隅高司は、30年前にも殺人の前科がある男で、
今回、二度目の殺人容疑での逮捕後、早々に自分が犯人であることを自供。
通常、殺人事件は二度犯すと、死刑判決が当たり前。
ましてや、今回は、三隅本人が、自分が社長を殺したと素直に自供しているのだ。

勝ちに拘る弁護士・重盛にとって、もしその判決を無期懲役に減刑できれば御の字、白星である。
三隅の周辺を調査し、証拠品などから法廷戦術の方向性を決めた重盛は、これで勝算ありと睨むのだが、
当の三隅が、重盛に断りもなく週刊誌の取材を受け、自ら証言を覆してしまったから、
重盛は作戦の練り直しを迫られてしまう。

コロコロ変わる三隅の証言、次々と出て来る新たな物証や第三者の話。
じゃぁ、結局、誰がどのような動機で社長の山中を殺したのか?!
その謎を追い、最終的に解明されるのが、一般的な犯罪サスペンスであろう。
でも、本作品は、謎解きの犯罪サスペンスとは少々違うのだ。

我々観衆が、最後に怪しむ犯人と殺害動機は、恐らく3パターン程に絞られる。
最も怪しいのは、やはり三隅単独の犯行。
しかし、映画は幕を下ろす最後の瞬間まで、「その通り!御名答!」とは教えてくれない。
本作品でより重要なのは、犯罪の謎解きではなく、
司法制度の在り方や、人が人を裁くことの難しさなのだと感じる。

弁護士の重盛自身、「依頼人に寄り添って、理解しようとか共感しようなんて不要」、
「真実なんてどうせ分からない。有利になる結果を導き出すことが大切」といった発言をしている。
そのため、女性検察官・篠原からは
「あなたみたいな弁護士が、犯罪者が罪と向き合う妨げになる」と皮肉られもするが、
本作品で裁判の進め方を見ていると、重盛のような考えの人たちが、真実か否かより、あるべき結果に向けて、合理的に、…と言うより、むしろ事務的に処理していくのが裁判に思えてくる。

そのように、淡々と裁判をこなし、白星をあげていくことが当たり前であった仕事人・重盛なのに、
三隅の事件に関わる内に、心の中で変化が生まれてくる。
作品が、犯罪の謎解き以上に、重盛をはじめとする人々の心の動きに比重を置いて描いているのを見ると、
法廷劇とは言っても、広い意味での人間ドラマであり、
やはりこれまでの是枝裕和監督作品の延長線上にある作品なのだと感じる。

作中、3組の“父と娘”が描かれているのも、
これまでの是枝裕和監督作品の延長線上にある家族の物語と言えるかも。
3組とは、三隅+疎遠になっている36歳の娘、被害者・山中社長+咲江、弁護士・重盛+ゆか。
是枝裕和監督は、自身の父親を、世間的には駄目人間に属する父親だったと思っているようで、
駄目オヤジが主人公の『海よりもまだ深く』のような作品も撮っているけれど、
自分が娘をもつ父親になったことで、“息子目線の父親像”のみならず、
父娘関係への関心が強まっているのでしょうか。
本作品に登場する3組の内、良好な関係を築いている父娘は、ひと組も居ないのだが、それも監督らしい。
どんな家族でも、叩けばホコリは出て来るもので、それを綺麗に覆い隠した作品より、
チクリと突いてくる方がリアルだし、より是枝裕和監督っぽい。





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主演は、弁護士の重盛朋章に福山雅治、重盛が弁護する殺人容疑の三隅高司に役所広司

福山雅治は、『そして、父になる』(2013年)に引き続き、是枝裕和監督作品2度目の登板。
『そして、父になる』は、福山雅治のカラーが、是枝裕和監督の作風に合わない!と懸念して鑑賞したら、
意外と馴染んでいて、ホッとした。今回は2度目で、こちらも慣れているから、妙な先入観も懸念も無く、鑑賞。
扮する重盛は、裁判に勝つためなら、犯罪スレスレのどんな汚い手も使う悪徳弁護士などではないけれど、
ちょっとした言動から軽く“イヤな奴”感が覗く男で、福山雅治は、そのチラ見せ具合が結構上手い。

『そして、父になる』との共通点もあった。
両作品で福山雅治が演じている二人の男性は、共に、手土産がとらやの羊羹なの(笑)。


役所広司は、是枝裕和監督作品初登板。
初登板でも、『そして、父になる』の時、福山雅治に対し抱いたような不安は、最初から無かった。
扮する三隅は、二度も人を殺めている男である。
なのに、最初の接見室のシーンでは、拍子抜けするほど普通のオジさん。
ところが、そんな普通のオジさんが、証言を二転三転させる様子を見ていると、
「こういう人がサイコパスなのでは…」という空恐ろしさが芽生えてくる。
物語も終盤になると、今度は、実の娘に対する懺悔の気持ちから、娘を重ねた咲江を必死に守ろうと、
自らを犠牲にする痛ましいまでに健気な男にも思えてくるし、結局のところ、掴み所が無い難しい役。



他の出演者もザッと見ておくと…

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重盛と同期の弁護士・摂津大輔に吉田鋼太郎、重盛の後輩弁護士・川島輝に満島真之介
殺された山中食品社長の娘・山中咲江に広瀬すず、社長の妻で咲江の母・山中美津江に斉藤由貴など。

吉田鋼太郎、軽っ…(笑)!
重い内容の本作品で、吉田剛太郎が演じる、どこか軽々しいお調子者の摂津は、良い息抜きポイント。
三隅の扱いに困惑し、重盛に助っ人を頼む摂津であるが、
後に、そもそも摂津が三隅に自供を勧めた一人であることが判明。どこまでも無責任な摂津弁護士。
過去の是枝裕和監督作品でリリー・フランキーが演じた役回りを、吉田鋼太郎が引き継いだ感じ。

もう一人の弁護士・川島は、重盛にも摂津にも無い真っ直ぐで優しい心をもつ新人。
ひた向きでピュアな熱血漢は、満島真之介の十八番。

広瀬すずは、『海街diary』(2015年)以来、2度目の是枝裕和監督作品。
まだ十代ですでに2度も出ていれば、もう充分“常連”。
是枝裕和監督作品で見る広瀬すずは、普段のアイドル的な彼女と違い、影のある女の子。
19歳という実年齢以上に、より“少女”っぽい透明感も引き出されている。

最近、三度目の殺人ならぬ、三度目の不倫報道で、世間を騒がせた斉藤由貴は、
“是枝裕和監督的”ではない生々しさや俗っぽさが有る女優だと思っていたので、今回の起用は意外。
実際に見たら、“何やら事情を抱えている弱者なのだか強かなのだかよく分からないグレーな主婦”は
なかなかのハマり役。
“脆さ”や“危うさ”を通り越し、本当にデンジャラスなオバさん斉藤由貴だからこそ醸せる雰囲気だと思えた。
現状を考えると、“ダイエットで綺麗になった美魔女・斉藤由貴”、
“50代には見えない可愛い斉藤由貴”といった路線で売るのはもう難しいだろうけれど、
いっそヨゴレに切り替えれば、需要はあるはず。




ロケ地は、神奈川県横浜を中心に、
埼玉県川口、北海道留萌、名古屋の名古屋市役所などで行われた模様。

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私が一番気になっているのは、重盛弁護士事務所が入居している外観が昭和レトロなビルヂングなのだが、
ザッと調べても、公開されている情報は見当たらず。
どなたか、あれがどこだがお分かりになる方、いらっしゃいます?


美術監督は、『空気人形』(2009年)でも、是枝裕和監督作品に関わっている種田陽平
種田陽平は同じく美術を担当した、吳宇森(ジョン・ウー)監督最新作で、
『君よ憤怒の河を渉れ』(1976年)の中華版リメイク『追捕~MANHUNT』が2018年に日本公開を控えている。
これは、張涵予(チャン・ハンユー)と共に、福山雅治がダブル主演の作品なので、
種田陽平は、『三度目の殺人』→『追捕』と、間接的に福山雅治とのコラボが続いている。





お気に入りに映画監督が何か新しい分野に挑むと、期待する気持ちと、失望する不安の両方が湧くが、
結果を言うと、是枝裕和監督が法廷劇に挑んだこの『三度目の殺人』は、面白かった。

真実や正義より勝ちにこだわるエリート弁護士、夫の殺害依頼をする妻、炭鉱閉山で職も希望も失う男、
親子関係の断絶、食品偽装、性暴力などなど、
これまでにも多くの作品で取り上げられてきた珍しくも何とも無い要素をたっぷり盛り込んでいるのので、
下手すると、陳腐で退屈な作品になってしまいそうだが、
それら在り来たりの要素の組み立て方が巧妙で、物語の中にグイグイ引き込まれた。
言うなれば、コンビニ食材で、高級料亭並みの料理をこさえた感じ。
よくよく考えるとアラや矛盾が多々有るのだけれど、全体が調和しているから、気にならない。

あの状況下で、三隅に死刑を言い渡すような裁判は、いくら何でもズサンで、
あれが現実なら、日本は冤罪で死刑にされる人が続出しちゃう、リアルじゃなーい!とも当初思ったが、
今改めて考えると、まさにその部分こそが、本作品の肝で、
映画ではやや誇張して表現されているものの、“人が人を裁くこと”は、それほど危うく不透明で、
なんとも釈然としない重い気持ちを残す。

『三度目の殺人』というタイトルの意味も考えてしまう。
一度目は、三隅が30年前に起こした殺人事件。
二度目は、三隅が起こしたとされる食品会社社長殺人事件。
で、三度目は、三隅に突き付けられた“死刑”という名の殺人かしら、と。
皆さまの解釈は如何に…?

香港ミニチュア展

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丸の内のKITTEで開催の<香港ミニチュア展>を見学。

3年前の2014年、池袋サンシャインシティで同展が開催された際は、
会期が短かったこともあり、行きそびれた。
今回の会期も同様に短いのだが、今度こそ見逃すまいと、丸の内までひとっ走り。

★ 香港ミニチュア展

<香港ミニチュア展>は、その名からも想像できるように、
懐かしい香港の街並みや風物詩を再現したミニチュア作品を展示している催しで、
香港特別行政区設立20周年記念イベントの一環で開催。

展示されているのは、香港のミニチュア作家17名が制作した48点のミニチュア作品。

私の思い違いでなければ、前述のように、同展がここ東京で開催されるのは、2014年池袋以来。
池袋では、14名の作家による39の作品が展示されたそう。
両展では重複する作品も多いが、今回は48点の内、日本初お披露目の作品14点を含むので、
前回の池袋を見た人でも、また新たな物に触れられるはず。




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今回の会場は、旧東京中央郵便局の局舎を一部利用し、
2013年、商業施設として生まれ変わったKITTEの一階にある“アトリウム”と呼ばれるホール。
誰でも自由に通り抜けできる場所で、入場無料、撮影OK。

撮影に関しては、控えめに“撮っても構いませんヨ”ではなく、
それどころか、撮った写真をインスタグラムに投稿しよう!というキャンペーンを実施。
専用ハッシュタグ“#香港ミニチュア展2017”、“#アガる香港”を付け、インスタに投稿された写真の中から
抽選でTシャツ、トートバッグ、マグネットといった香港返還20周年グッズが当たる。

応募する/しないは不明だが、会場には撮影する人がいっぱい。
皆さま、それぞれの作品の前に陣取り、夢中で撮影しているので、場所によっては暗黙の順番待ちが。
私は、仕事の前に立ち寄っていたので、あまり時間が無く、思う存分撮りまくることはできなかった。

あと、撮影に適しているとは言い難い環境なのが、ちょっと残念。
展示ケースのガラスに余計な物が写り込んでしまうのと、ライティングが今いち。
そもそもが展示専用のギャラリーではなく、あくまでもビルのエントランスホールであり、
作品保護のためには、ガラスケースの使用は止むを得ないのだけれど、
あぁ、これが無ければ、もっと綺麗に撮れるのに~とタメ息。まぁ、仕方が有りませんよね。


以下、私が撮った写真を少しだけ。

★ 添記玩具

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<添記玩具>
作:蔡璧龍+何國添


1970年代に九龍城で営業していたおもちゃ屋さん。
店内には、約2百点ものおもちゃが!

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ロボコン、アトム、ウルトラマン等々、日本発のキャラクターもいっぱい。

★ 老金山貨店

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<老金山貨店>
作:李嘉蓮


“山貨”とは、竹などの木材、麻、素焼きなどで作った日用品、荒物。
1940年代の香港は、当時産業の主流だった農業・漁業用の荒物を売る店が多くあったが、
時代の流れで、伝統的な山貨店は淘汰され、今では生活用品や金物を売る店に変貌。

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小さな竹籠も一つ一つちゃんと編まれている。

★ 老金缸瓦陶瓷舗

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<老金缸瓦陶瓷舗>
作:李嘉蓮


器・陶器の家庭用品、食器、調理器具などを売るお店。



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今でも、上海街辺りには、こういうキッチングッズのお店が軒を連ねていますよねぇ~。

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陶器はちゃんと絵付けされているし…。ふぅ~。
こういうブタの貯金箱(←くるんとした睫毛でお目々パッチリのブタ)、ある、ある!
重ねたお椀を痛めぬよう、間に紙を挟んでいるところまで再現。

★ 羅記皮鞋

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<羅記皮鞋>
作:陳翠薇


60年代の香港を舞台にした羅啟銳(アレックス・ロー)監督による映画
『歲月神偷~Echoes of the Rainbow』(2010年)に登場する靴屋さんを再現。

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日本未公開作品で、私は観ていないのだが、
映画の中で、任達華(サイモン・ヤム)&吳君如(サンドラ・ン)扮する夫婦が営んでいるのが、
恐らくこの“羅記皮鞋”という靴屋さん。“鞋”の丸看板が、映画とミニチュアでまったく同じ。


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お人形さんが履けそうな小さな靴がウィンドウに何足も。
映画の方も観たい!(話題になった作品なので、日本にも入って来ると踏んでいたら、入って来ない…。)

★ 展豐老金行

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<展豐老金行>
作:陳翠薇


こういう金の装飾品を売るお店は、今でも香港の街角でよく目にする。

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そうそう、こういう赤いフェルト生地の上に、眩い金製品。
定番の金のバングルやイヤリングの他、
左側の壁に掛けられているような、子孫繁栄を願うブタをかたどった大ぶりのネックレスも、
実際、香港の貴金属店では普通に売られている。

★ 香港髮廊

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<香港髮廊>
作:黎熾明


昔懐かしの理髪店。男女両方に対応しているみたい。
入り口には、珠のれんと、“歡迎光臨”の玄関マット。

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陶器のムキ出しの洗面台、天井から下がる電髪用のお釜(?)、壁には明星のお写真…。
当時、香港人がこぞって髪形を真似たであろうこれら写真の明星たちが具体的に誰なのか知りたい。

★ 老三雜貨

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<老三雜貨>
作:李嘉蓮


“食”の香港、やはり食べ物関係のお店は外せない。
“雜貨”と言っても、日本人が想像する雑貨ではなく、乾物や調味料などを売るお店。

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見ているだけで、乾物特有の匂いが鼻をついたと錯覚を起こす。

★ 金記 香風味小吃

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<金記 香風味小吃>
作:李嘉蓮


香港式の小吃(軽食)を売るお店。
旺角(モンコック)辺りをリサーチして制作したそう。

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調理場もショウケースも全てステンレス製で、洒落っ気ナシの、こういう小さなお店も香港っぽい。
串刺しのお食事系から、香港風ベビーカステラ・雞蛋仔のような甘い物まで、お馴染みの小吃が店頭に並ぶ。

★ 香港冰室

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<香港冰室>
作:黎熾明+陳慧姬+陳詠琴


“冰室”は、香港伝統の喫茶店。

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テーブルの台とガラス板の間にはメニューが挟まれ(ハズキルーペを掛けても解読不能であろう極小文字!)、
その上に並ぶのは、ハムエッグやアイスレモンティー等、冰室定番のちょとジャンクな品々。
壁を覆う細かいタイルがまた、いかにも香港。
そして、この冰室で一番の驚きがテレビ。
これ、小さなテレビに白黒写真を貼っているのではない。なんと、ちゃんと動画が流れているの…!




ここに挙げたのは、展示作品のごく一部。
しかも、(ライティングやガラスケースを言い訳にさせていただくが…)写真が上手く撮れていなくて、
作品の良さが伝わらないのが、残念。
気の遠くなるような作業をコツコツと重ね、作り上げられたであろう作品たちは、どれも素晴らしく、
あまりの精巧さと再現度の高さに息を飲むばかりなのだけれど、
現時点で一番記憶に焼き付いている作品を3ツだけ挙げるなら、おもちゃ屋さん、理髪店、冰室かしら。

これを無料で見せてくれるなんて、お得なイベント。休日には、ミニチュア制作実演会もあり。
まだ開催中なので、お時間が許される方は、
この機会に是非現地で、精巧なミニチュアを直にご堪能下さいませ。
(私は別に香港特別行政区政府からの回し者でも、香港政府観光局の宣伝局員でもない。)

香港好きなら、なおのこと楽しめるはず。
丸の内の一角に出現した、郷愁漂う小さなオールド香港は、見ているだけで、気分が上がります。



◆◇◆ 香港ミニチュア展 Hong Kong in Miniature ◆◇◆
会場: KITTE marunouchi 1階アトリウム

会期: 2017年9月29日(金曜)~10月9日(月曜・祝)

午前11:00~午後9:00

無料

聚楽:月餅2種(+日常の呟き、テレビ雑記)

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2017年10月1日、“台湾版アカデミー賞”とも称される、第54回金馬獎のノミニー発表。
ノミネートのリストを見て、色んな意味で食い付いてしまったのが、
作家・張嘉佳(チャン・ジャージャー)が自身の短編小説を、
王家衛(ウォン・カーウァイ)のプロデュースで、初監督した映画『擺渡人~See You Tomorrow』が、
7部門でノミネートされていること。

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7部門の内、特に驚きなのが、我が愛しの金城武が、最佳男主角(主演男優賞)でノミネートされたこと。
多くの台湾メディアが「デビュー28年、43歳にして、金城武初ノミネート!」と大きく報道。


…で、ふと、釈然としないあの過去を思い出した。
金城クンの金馬主演男優賞ノミネートは、正確にはお初ではないのだ。
それは振り返ること今から9年前の2008年、第45回金馬獎での出来事。
金城クンは、『レッドクリフ』の諸葛亮役が認められ、その年の主演男優賞にノミネート。
…のハズが、「金城武は日本国籍、台湾人ではない。ノミニー資格に不適合」との理由で、
発表から僅か7時間後に取り消されたという、なんともモヤモヤする過去あり。

今回、台湾メディアは金城武“初”ノミネートをこぞって報道しているものの、
どこも“9年前の消えた初ノミネート”には触れていない。
あれは、台湾では、もはや触れる事さえタブーなのでしょーか。
そもそも、あの時、国籍問題で取り消されたのなら、9年の間に金馬のノミニー資格が変更されたのか…?

今回のノミニー発表を受け、金城クンが事務所を通し出したのは、「非常感謝」という簡単なコメントのみ。
コメディでこういう賞を獲るのは難しいという気もするけれど、どうなるでしょうねぇ~。
とにかく、最終的に賞を獲る/獲らないは別にしても、
金城クンが授賞式に出席したら、大きな話題にはきっとなる。出席するのかしら…?!

そんな何かと話題の第54回金馬獎授賞式は、2017年11月25日(土曜)、台北の國父紀念館にて開催。
台湾のこういうイベントはとにかく長いので、寝落ちせずに中継を観られる自信なし…。




ところで、2017年の中秋節は、明日10月4日(水曜)とのこと。
中国では、10月1日の国慶節から大型連休。
日本でも、商売をやっている人たちは、この時期が書き入れ時と期待も膨らむであろう。

そういう事情もあるからだろうか。
つい先日、久し振りに伊勢丹側からビックロを通り抜け新宿駅の方へ出ようとしたら、
そのビックロの地下化粧品売り場で、目に飛び込んできた資生堂エリクシールの広告が…

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あらら、なんと林心如(ルビー・リン)。ビックロで、この一角だけ、台湾の化粧品店と見紛う雰囲気。

華人旅行者狙いで林心如の広告を出しているのだろうけれど、どうなの、こういうのって…?効果あるの??
もし私が外国で化粧品店へ入り、そこで日本人女優のポスターを見たところで、
それによって購買欲が刺激されることは、まず無い。
それどころか、いかにも“日本人客を狙っています!”感がビンビン伝わって来て、引いちゃいそう…。
それに、私が外国へ行く大きな理由の一つは現実逃避だから、現地で日本という現実には触れたくない。
望むのは断然“自国に居るような安心感”より“異国情緒”。
“日本と同じ”を求めるなら、日本から動かないのが一番の安上がり。
華人旅行者だって、わざわざ日本まで来るなら、
林心如のポスターより、自分たちの国には無い光景を見たいのでは。
まぁ、人それぞれだろうけれど、一般的には、そこんとこ、どうなのでしょう…?!



で、その後、東急ハンズへ行ったら…

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いつの間にか、支付宝(アリペイ)や微信支付(ウィチャットペイメント)での決済が可能になっていた。

中国へ行くと、ここ数年で、キャッシュレス化が急速に進んでいるのが、ありありと分かる。
クレジットカードでさえ過去の遺物になりつつあり、モバイル決済時代にすでに突入。
日本の何年も先を行っていて、えっ、こんな物まで?!という物まで、QRコードでピッピとお支払い。

(↓)こちら、タクシーの中に設置されている募金箱。

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募金箱にも小銭は入れない(小銭が有るなら、勿論それを入れてもOK)。QRコードでピッピと募金。
コンビニで、レジ横に置いてある募金箱を持ち逃げしても無駄なわけ。どうせ中身は空だから。


東京出身の私が、上海や北京といった中国の大都会へ行くと、
そこがまるで未来都市のようで、東京がド田舎に思えてくるのだから、逆に彼らが東京に来たら、
「うわぁ~、なんだか昔の中国みたい。ノスタルジック~」と郷愁にふけること間違いナシ。
きっと中国では、もうそう遠くない将来、
“現金”という物を見たことも触ったこともない世代が出現するに違いない。
日本のお店が、そういう人たちにより多くのお買い物をしてもらいたいのなら、
林心如のポスターを貼るより、支付宝や微信支付に対応する方が、比較にならないほど有益だと思うワ。




近々放送の要録画番組も2本だけ。

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一本目は、10月5日(木曜)、NHK BSプレミアムで放送の『世界入りにくい居酒屋』
今回取り上げるのは、アンコール遺跡で有名なカンボジア・シェムリアップ。
“居酒屋”というより“屋台”らしが、店主が丹精込めて作る料理はどれも侮れない逸品ばかり。
いつも女性二人組で進行されてきたこの番組に、今回は男性が初登場し、
大久保佳代子の相方を、アンジャッシュ児嶋一哉が務める点にも注目。




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もう一本は、10月9日(月曜・祝)、NHK Eテレで放送の『香川照之の昆虫すごいぜ!』
カマキリ先生に扮した香川照之が愛する昆虫を熱く語りまくり話題騒然となった初回放送から早一年。
視聴者からの熱烈なリクエストで、今度はオニヤンマを取り上げ、3時間目の授業を放送。
これ、もうすでにシリーズ化されていると言えるわよねぇ…?
このまま香川照之のライフワークになっていきそう。
香川照之の本気が感じられ、昆虫にまったく興味の無い私まで、引き込まれる、
…と言うより、飲み込まれてしまう番組。今回も楽しみ。





お菓子は、中秋節ということで、もちろん月餅♪
日本で買う月餅は、もう何年も、横浜中華街の聚楽045-651-2190)の物一辺倒なので、
今回ここに出す2種類も、当ブログでは、繰り返し紹介してきた私の定番中の定番になります。

★ 白あん大月餅

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大きさは、直径約7.5センチ、厚さ約3.5センチ。
蓮の実を練り上げた自家製餡を生地に包み、焼き上げた月餅。



ひとつめの“白あん大月餅”は、俗に“蓮蓉大月餅”と呼ばれる物。
この画像だと解読困難だが、上部にも恐らく“蓮蓉”と刻印されている。

和菓子で白餡と言えば、最も一般的なのが手亡豆で作られた餡だけれど、
これは蓮の実を練って作られている。
ベージュ色の蓮の実餡は、とてもキメ細やかな舌触りで、味も繊細。

★ ココナッツ月餅

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大きさは、直径約7.5センチ、厚さ約3.5センチ。
刻みココナッツを生地にたっぷり包み込み、焼き上げた月餅。




もうひとつは、“ココナッツ月餅”
上部には、“椰絲月餅”の刻印。
こちらは、白あん大月餅以上に私の定番で、もう何年も、日本一気に入っている月餅。

他店では、“ココナッツ月餅”と言えば、大抵、白餡などをベースにココナッツを混ぜた餡を包んだ物を指すが、
聚楽では、本当にココナッツばかりを、これでもかーーーーっ!と言わんばかりに、ゴッソリ包んでいる。
正確には、白胡麻も混ぜられているが、我々が想像する“餡子”らしき物は、一切入っていない。
ココナッツが半生状態なのも特徴で、独特の香りと甘みがあり、食感もシャキシャキ。


なにせココナッツしか入っていないのだから、
ココナッツ嫌いな人にとっては、食べることが罰ゲームになりかねない月餅だが、
ココナッツ好きにはタマラない月餅。
これ以上のココナッツ月餅があるなら、知りたい。

映画『わたしたち』

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【2015年/韓国/94min.】
ソンは、工場で働く父、軽食屋を営む母、4歳の弟ユンと暮らす10歳の女の子。
手先が器用で、弟の面倒をよく見る優しいお姉ちゃんだけれど、
学校では他の女子から露骨に無視され、いつも独りぼっち。
明日から夏休みという終業式の日、ソンは、ジアという初めて見る女の子と言葉を交わす。

初めて見るのも当然。
ジアは、多忙な両親に代わり面倒を見てくれる祖母の家に身を寄せるため、転校してきたばかり。
ソンが手作りのミサンガをプレゼントしたことで、二人は急接近。
来る日も来る日も一緒に過ごし、仕舞いにはジアがソンの家に泊まり込み、弟のユンも懐き、仲良く遊ぶが、
そんな孫をみかねた祖母からのお小言で、ジアは塾通いを開始。
一緒に塾へ行こうとジアから誘われるソンだが、高い授業料を親に頼めるわけがない。
夏休みも終わりに近付いたある日、塾へ向かうジアを見付けたソンは、言葉を失い、固くなる。
なんと、ジアと一緒にいる塾の友達が、学校でいつもソンをイジメる同級生ボラだったのだ。

間も無くして始業式。
ソンのクラスに、転校生ジアがやって来る。
教壇に立ち、自己紹介するジアに、ソンは笑顔を向け、そっと手を振るが、ジアの反応は無く…。



韓国の新鋭、ユン・ガウンの長編監督デビュー作。
過去に数本の短編作品を発表しているユン・ガウン監督は、1982年生まれの女性。
長編デビュー作となる本作品には、名匠イ・チャンドン監督が企画から参加。

本作品は、2016年、『私たち』の邦題で、第17回東京フィルメックスのコンペティション部門に出品され、
観客賞とスペシャルメンションをダブル受賞。
私も行った閉幕の授賞式では、2ツめの賞で再び名を呼ばれたユン・ガウン監督が、
日本語で「また来ちゃいました…」とはかみながらステージ上に現れた姿が印象的であった。(→参照
私は、フィルメックスでは、本作品を観ていないのだが、その閉幕式で、日本公開が決定したとの発表あり。
評判の作品が近い将来一般映画館で鑑賞可能と知り、楽しみに待っていた。




本作品を簡単に説明すると、
学校に友達のいない独りぼっちのソンと、転校してきたばかりのジアという二人の10歳の女子小学生の
しょっぱい少女時代を描いた物語。

学校で仲間外れにされているソンが、転校生のジアと出逢うのは、夏休みを控えた終業式の日。
ソンが学校でどういう位置づけなのかを知らず、何の先入観も無くソンをソンとして見て、交流を始めるジアは、
ソンにとっては唯一の大切な友達。
一緒にお料理をしたり、川で水遊びしたり、ホウセンカで爪を染めたり、お泊りをしたり…、
二人が仲良く遊ぶ様子は微笑ましく、
また、かつて少女だった多くの大人の女性たちにとっては懐かしさを覚える
キラキラしたひと夏の想い出が綴られる。

…が、キラキラしているのは、そこまで。
夏休みも終盤に近付くと、それぞれの家庭環境の違いが、二人の関係に徐々に影を落とす。
ソンにとってのショックは、ジアが塾に通い始め、そこでボラという新しい友達を作ったこと。
ボラは、学校でいつもソンに意地悪をしているリーダー格の同級生。
そう、ソンは、イジメられっ子である普段の自分を、このボラを通し、恐らくジアに悟られてしまったのだ。

そして迎える新学期。
ジアはソンと距離を置き、ボラとツルむようになる。
ソンは、自分がジアに何をして避けられているのか分からない。
元の関係を取り戻したくて、ジアに働きかけるが、頑張れば頑張るほど避けられ、
遂には完全に突き放されてしまう。

映画は、あの夏休みがまるで無かったかのように、
ソンが、また独りぼっちのイジメられっ子という“日常”に戻り、終わりではない。
勉強のできるジアが、テストで一番をとったことで、
それまでずっとトップだったボラは、少なからず傷付き、お気に入りの転校生ジアを反目するように。
あとはもう、あれよあれよと言う間に、今度はジアがイジメの標的に。

昨日まで皆と仲良くしていた子が、ほんの些細なキッカケで、いきなり仲間外れにされる事は、
日本の学校でもよく有ると聞く。
新たなイジメの標的となったジアが、イジメられっ子同士でまたソンと仲良くできるかというと、それも難しい。
だって、そもそも、ボラにくっ付いて、あんなに仲良しだったソンを切り捨てたのは、ジアの方なのだから。

学校が、自分にとっての“全世界”になってしまう子供たちにとって、そこでのイジメはキツイ…。
大人になり、その頃を振り返っても、それは“ホロ苦い”程度の形容では処理できない相当苦々しい記憶で、
ずっと心に突き刺さる棘であり続けるのではないだろうか。
ユン・ガウン監督は、本作品のベースは、自分自身の小学6年生の時の体験だと語っている。
「大好きな友達との幸せで心が痛むような出来事。
心に強烈に残っていたこの体験を、いつか映画に撮りたいと思っていた」と。



本作品には、イジメや裏切りのような負の出来事のみならず、
前述のように、夏休みの楽しい想い出も描かれており、特に印象に残るのが、ホウセンカの花。

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スリ潰しペースト状になった花びらを、爪に塗り、ラップを巻いて、しばらく放置すると、爪が赤く染まるのだ。
言わば、天然のネイルエナメル。
韓国では、多くの女性が子供時代に経験する、ちょっと背伸びをしたお洒落なのだろうか。
映画では、このホウセンカの使い方が絶妙で、楽しかった夏の想い出がどんどん遠ざかっていくかのように、
染めた爪が徐々に元に戻っていき、そこから時の経過を感じさせる。





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出演は、イジメられっ子のイ・ソンにチェ・スイン、転校生のハン・ジアにソル・へイン
そしてクラスのリーダー格ボラにイ・ソヨン

この3人の少女たちは、オーディションで百人以上の子供たちの中から選ばれたそう。
激戦を勝ち抜いた子供たちだからといって、大人顔負けの天才子役という感じではない。
むしろ、演じていないかのように自然で、イジメっ子もイジメられっ子も、子供がありのままに子供らしい。

特に、主人公のソンには、最初から見入った。
学校で、ふた組に分かれ、ドッジボールのような遊びをする際、
ジャンケンをして、勝った方から、気に入った子を一人ずつ自分のチームに引き抜いていくシーン。
メンバー選びは、言わば人気のバロメーター。人気者は早々にお呼びが掛かり、不人気だと売れ残っていく。
カメラが捉え続けているのは、ほとんどソンだけで、具体的なやり取りは、スクリーンに映し出されない。
また一人、また一人と、受け皿が決まっていくのに、まったく名前を呼ばれないいソン。
公然と突き付けられる“不人気”のレッテルに、露骨にショックや哀しみを見せず、
ビミョーに気まずい表情を浮かべるソンが、強く印象に刻まれた。

ソンを演じるこのチェ・スインという女の子は、その後も、そういうビミョーな表現が非常に上手かった。
いつも感情を飲み込み、言いたい事も言えず、気まずそうなソンが、けな気…。


ジアは裕福な家庭の子。親は離婚していて、母親は現在イギリス在住。
ソンとは対照的な大人びたシッカリ者で、自分の世界をすでに持っている子に見える。
一見、周囲に流されない一匹狼のジアが、
新学期になると、ソンからボラにあっさり乗り換えたのが、当初理解できなかったが、
後になって、実はジアも前の学校でイジメに遭っていたことが判明。
強者にくっ付いたり、自分を良く見せるための嘘をつくのは、
イジメを経験したジアに自然に働く防衛本能なのであろう。それもまた切ない。


ボラはリーダー格に相応しい華やかな美人さん。
いつも自分が中心で、一番じゃないと気が済まないタイプ。
その自分の立ち位置が失われる不安の裏返しで、徒党を組んだり、攻撃的な態度に出てしまったりするのかも。







子供が主人公の映画で、肝心の子供が、鍛え抜かれた演技のアザトい子役だと、一気にシラケるけれど、
この作品では、子供たちがテクニックに走らず、ありのままの子供でいるのが(←少なくともそう見える。
仮に、鍛え抜かれた結果の演技だったとしても、計算がまった感じられない)、
とても良いし、だからこそグッと来る。

どこの国も同じねぇ~。
日本人キャストで、そのまま日本でリメイクしても、まったく違和感の無いお話。
だからと言って、どんな監督にも撮れる在り来たりの映画というわけではない。
素直で初々しい感性と、まるでドキュメンタリーを観ているかのようなリアルな作風に、惹き付けられた。
ユン・ガウン監督によると、元々はもっとドラマティックに書かれた脚本だったのを、
イ・チャンドン監督からの助言で、より自然に、より真実が伝わる話に変わっていったそう。
ユン・ガウン監督は、日本の是枝裕和や小津安二郎なども、好きな監督に挙げているが、
派手さで観衆の気を引かず、淡々とリアリティを追及するシンプルな作品には、確かに通じるものが。

韓国人は日本人と比べ、喜怒哀楽がはっきりしていて、感情をストレートに表に出すタイプが多く、
韓国映画もまた、感情を噴出し、怒涛の展開をするものが多いという印象が無きにしも非ずだが、
ユン・ガウン監督は、日本人がイメージしがちなそういう韓国人とは違う繊細な女性なのでしょう。
次回作は、何をテーマに撮るのか、興味あり。

栗蒸し羊羹2種(+祝・男前2名御生誕記念)

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真っ白な霧に飲み込まれてしまった今朝の東京。
…にもかかわらず、「カラッと晴れて夏のような暑さ」、
「気温は30度近くまで上昇」と断言する天気予報を疑うことなく、夏仕様の服で出掛けたら、
太陽がまったく顔を見せないまま、ついには夕方を迎え、私は寒くて、寒くて、震え上がった…。
現代の気象観測能力でも、当日の天気予報(しかも、あそこまで自信満々に言い切っていた天気予報)が、
ここまであからさまにハズレることが有るのですねぇー。参りましたワ…。




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それはそうと、本日10月11日は、我が愛しの金城武御生誕記念日。
1973年生まれの金城クンは、本日で44歳。おめでとうございます!

金城情報が入って来ない日本では、相も変わらず、隠遁状態が続いているかのように感じられるが、
実はちゃんと労働に従事しており、出演作の話題は続いている。
周冬雨(チョウ・ドンユィ)と共演の『喜歡·你~This Is Not What I Expected』は、
『こんなはずじゃなかった!』の邦題で、もう直開幕の第30回東京国際映画祭で上映。
作家・張嘉嘉(チャン・ジャージャー)の監督デビュー作『擺渡人~See You Tomorrow』では、
二枚目の型を破った演技が認められ、来月発表の第54回金馬獎で初めて主演男優賞にノミネート。(→参照

そして、さらに新しいところでは…

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『キョンシー』(2013年)で監督デビューした香港の麥浚龍(ジュノ・マック)最新作
『風林火山~Sons Of The Neon Night』への出演!

タイトルからは時代劇を想像するが現代劇で、もちろん武田信玄は出てこない。
香港と大陸間の、麻薬取り締まり官と売人を巡る出来事を中心に展開する犯罪モノで、
金城クンが演じるのは、一族の黒い歴史を消し去りたいと考える大財閥の後継者らしい。

売人集団が香港の銅鑼湾(コーズウェイベイ)で起こす一連の騒ぎを撮影するにあたり、
まさか銅鑼湾で本当に爆弾を使うわけにはいかないから…

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広東省惠州の製鉄所内に、ホンモノと同スケールで、銅鑼湾の街並みを造ってしまったそう…!
セットの画像を見ても分かるように、香港なのに、雪が降ってるの。
異常気象が続く中、起きる事件とのこと。
前作の『キョンシー』もそうだったけれど、
従来の犯罪モノの枠に囚われない、幻想的で凝った映像の作品になるかも知れない。

共演は、古天樂(ルイス・クー)、劉青雲(ラウ・チンワン)、梁家輝(レオン・カーフェイ)といった
香港映画お馴染みの顔ぶれに加え、女性では、大陸の美人女優・高圓圓(カオ・ユエンユエン)も出演。
これだけでも、随分な豪華キャストである。

ちなみに、近年は、親しい監督の作品でないと、なかなか出演しない金城武を、
映画一本しか発表していない新人監督が、どうやって口説き落とすことに成功したのか?
と麥浚龍は問われたようだが、これといった裏技は無く、実に簡単で、脚本を金城クンに送ったらしい。
そうしたら、OKの返事が来て、その後、東京で初めて会って、長々とお喋りしたのだと。
この話で、私が一番気になった部分は、二人が“東京”で初顔合わせをしたという点。
金城クンって、結局のところ、どこを生活の拠点にしているのでしょうねぇー…?!



ついでに、もうひと方、祝っちゃいます。

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10月14日は、張震の御生誕記念日。
1976年生まれの張震は、この土曜で41歳に。
まだ3日先だけれど、忘れるよりマシ。ハッピー・プレバースデーto張震♪

張震と言えば、SABUの新作『Mr.Long/ミスター・ロン~龍先生』の公開が待ち遠しい。
張震は、元々SABUのファンで、2005年に映画祭で初めて会い、
一昨年偶然再会したのを機に、『ミスター・ロン』でのコラボが実現。
撮影の日数は、たったの20日程度だったとのこと。
SABUに関しては、「顔は怖いけれど、実は彼が撮る映画と同じで、
クールな中に、ユーモアや可愛さがある人」と評している。
確かに、SABUは、強面よね。 (が、実は長身で、下手な俳優よりスタイルが良く、カッコイイ)。
張震とSABUは、感性が近いようにも感じるので、
『ミスター・ロン』がどのような作品になっているのか、観るのが本当に楽しみ。


今週は、愛する男たちの御生誕ラッシュで、(心の中で)祝うのに忙しいわぁ~。
では、改めまして、金城武サマ、張震サマ、おめでとうございます!





お菓子は、栗蒸し羊羹を2ツ。
愛する男たちが、この世に生を受けた秋ならではの和の甘味。

★ 亀屋:栗むし羊羹

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大きさは、だいたい5センチ×4.5センチ×厚さ2センチ。
栗の甘露煮を上部に並べた蒸し羊羹。




一つめは、亀屋042-385-8181)の“栗むし羊羹”
“はけの小路”という軽羹のようなお菓子が好きなお店。栗蒸し羊羹は初めて。

新栗を使った羊羹。
栗蒸し羊羹の形は、お店によって異なるが、ここのは四角形。
上にのっている栗は、大振りの物が一個半分くらいの量だろうか。
本体の羊羹の大きさに対し、存在感がある。
甘く煮込まれた栗が、甘さ控えめの羊羹と合わさると、丁度良い感じ。

定番中の定番。
“正しい栗蒸し羊羹”という印象。

★ 仙太郎:渋栗蒸し

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大きさは、二等辺三角形の一番長い辺が約9センチ、厚さが3センチほど。
渋皮付きの栗を上に並べ、三角形に切った蒸し羊羹。




続いて、仙太郎(公式サイト)“渋栗蒸し”
仙太郎の“栗蒸し”という栗蒸し羊羹なら何度も食べているけれど、この“渋栗蒸し”は恐らく初めて。

商品名は、渋皮付きの栗を使っているから“渋栗蒸し”。
渋皮を剥いた栗の甘露煮を使った物だと“栗蒸し”。
どうも新栗が出ると甘露煮にして“栗蒸し”を販売し、新栗が無い時だと“渋栗蒸し”みたい。
そう聞いてしまうと、“栗蒸し”の方がより新鮮で良い気がしてしまうが、
普段、私は、どちらかと言うと、渋皮付きの方が好き。

この“渋栗蒸し”の栗は、ホクホクの食感。
味は、甘露煮にした物に比べ、やはり抑えた甘さ。
本体の羊羹も、甘さほんのりなので、全体的に甘さ控えめ。
結構な大きさがあるので、これくらいの甘さが妥当だと思うが、
私は激甘党なので、もう少し甘さが強い方が、より好みかも。まぁ、このままでも充分美味ですが。

映画『エタニティ 永遠の花たちへ』

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【2016年/フランス・ベルギー/115min.】
19世紀末のフランス。
ヴァランティーヌは、ブルジョア夫妻の娘として生まれた女の子。
17歳になると、彼女のもとに、ジュールとの結婚話が舞い込む。
一度は断ったものの、それでも諦めないジュールに徐々に惹かれてゆき、ついに結婚を決意。
間も無くして、双子の男の子を出産。その後も次々と子供に恵まれ、幸せに満ち満ちるヴァランティーヌ。

そんなヴァランティーヌの幸せに、初めて影が落ちる。
7人目の子供エティエンヌが、生まれてすぐに天に召されたのだ。
それでも、ピエールという新たな息子に恵まれ、喜んだのも束の間、その一年後、夫ジュールが急逝。
生と死を一時に経験するヴァランティーヌ。
こうして彼女の結婚生活は20年で幕を下ろす。
ジュールの死から立ち直ろうとしている頃、開戦。
徴兵された一番上の双子を送り出すが、まだ恋も知らなかった彼らは、そのまま帰らぬ人に。
追い打ちをかけるように、娘のエリザベットが病死。
哀しみの日々に、光をもたらしてくれたのは、息子アンリからの結婚を決めたという報告。

アンリのお相手は、ヴァランティーヌもよく知る、アンリの幼馴染みマチルド。
マチルドには、ガブリエルという唯一無二の親友がいる。
ガブリエルもまたシャルルという男性と結婚し、二組の若い夫婦は、同じ建物に住み、交流し、
やがてガブリエルはソランジュを、そのすぐ後に今度はマチルドがジュールという子供を産み、
家族は賑やかになっていくが…。



トラン・アン・ユン監督の最新作を鑑賞。
前作の『ノルウェイの森』(2010年)もそうだけれど、この新作も小説の映画化。
原作は、1995年に発表されたフランスの女性作家、アリス・フェルネによる<L'Élégance des Veuves>。
この小説は、今のところ、日本語訳版は出ていないようだ。
タイトルの意味は、“未亡人たちのエレガンス”。このお題だけだと、内容掴めず…。



本作品は、19世紀末、フランス上流階級のブルジョワ夫妻の間に生まれた娘ヴァランティーヌが、
17歳で結婚し、多くの子をもうけ、そこから脈々と受け継がれていく一族の系譜を、
3人の女性を中心に描くファミリー・ヒストリー

1962年、ベトナム・ダナン生まれのトラン・アン・ユン監督は、
1975年、12歳の時、両親と共にベトナム戦争を逃れ、フランスに移民した監督さん。
人生の大半を過ごした(過ごしている)のはフランスだが、
フランスを舞台にしたフランス語作品を撮るのは、実はこれがお初。
その初の試みである本作品、物語が幕を開けるのは、19世紀末ベル・エポックの時代。
もうコッテコテにおフランスちっくな時代である。

でも、トラン・アン・ユン監督のインタヴュを読むと、
自分が長年暮らすフランスのより良き時代(ベルエポック)を撮りたくなった、…という事は別に無いようだ。
それどころか、「そのような時代も、上流階級も知らない」、
「私の家族は貧しかったので、あの時代のそういう階級とは繋がりを感じない」と話している。

では、トラン・アン・ユン監督が、原作小説を読み、どこに心揺さぶられたかというと、
それが、大勢の人々から形成される一大家族の物語だという点。
監督自身は、ベトナム戦争のせいで、ほとんどの身内を失い、知っているのは両親と男兄弟一人だけ。
そんな事もあり、人生の儚さに対する感性が強いという。
本作品の舞台となっているあの時代は“背景”に過ぎず、
トラン・アン・ユン監督が描きたかったのは、あくまでも、あの家族の物語で、それが全てなのだと。

実際にこの映画は、ヴァランティーヌという一人の女の子に始まり、
結婚や出産を通し、親族が枝葉のようにどんどん増え、
一族が脈々と永続していく過程を、淡々と綴り続けている、ただそれだけの作品である。
長い時間の間には、個々の人物にとって、幸せな時期も不幸せな時期もあるし、
社会的にも、例えば戦争のような大事件も起こる。
けれども、本作品では、「〇〇年、戦争が勃発」、「◇◇国が、△△国を攻撃」などという具体的な説明や、
戦争を直接表現する爆撃シーン等は一切排除されている。
トラン・アン・ユン監督にとって、そういう事は、背景の一要素で、
描きたいのは“それでも永続していく家族”そのものなのだと、ヒシヒシと感じた。


作品の最後には、確か「ラン・ケーとカオ・フィーに捧ぐ」みたいなメッセージが出たのだけれど、
あれって、トラン・アン・ユン監督の子供の名前だろうか。
監督自身は、御本人も語っているように、
止むを得ない事情もあり、親族と呼べる人が居ないコンパクトな家族で育ったわけだが、
そのため、大家族や脈々と繋がっていく系譜に対し、畏敬の念や、一種の憧れがあるのかも知れない。
そして、自分自身が結婚し、二人の子供にも恵まれたことで、
それまで無縁だった家族の系譜も、自分の世代からは積み重ねられる、
百年後、二百年後には、トラン一族の大きなファミリーツリーができるかも知れないと、
強く意識したということはないだろうか。
映画の最後に捧げられた二人の名前を見て、勝手にそんな想像が膨らんだ。
(その想像は、まったくのお見当外れかも知れないのだが。)



作風の特徴を一つ挙げるなら、台詞の少なさと、それに代わるナレーションの多さ。
台詞を極力廃した静かぁ~な作風は、過去全てのトラン・アン・ユン監督作品にも通じるけれど、
本作品では、ナレーションで多くの事が語られる。
クラシックのピアノ曲が度々流れているのも、特徴的。
なんか、動く絵を見ながら、読み聞かせをしてもらっている気分になった。


映像の美しさも相変わらず。

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撮影を担当したのは、『夏至』(2000年)、『ノルウェイの森』(2010年)に続き、
これがトラン・アン・ユン監督との3度目のコラボになるお馴染み李屏賓(リー・ピンビン)
今回の作品で、映像の特徴と感じたのは“光”。
自然光、もしくは、より自然に近い光が、キラキラと眩い。





決して複雑なお話ではないけれど、
登場人物が多いので(…と言うか、生まれてくる子供の数がハンパじゃない!)…

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混乱し易い人は、人物相関図に目を通すと良いでしょう。


さらにその中から、物語の中心となる3人の女性をチェック。

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演じているのは、若くしてジュールに嫁ぐヴァランティーヌにオドレイ・トトゥ
ヴァランティーヌの息子アンリと結婚するマチルドにメラニー・ロラン
そして、マチルドの大親友ガブリエルにべレニス・ベジョ


キュートな『アメリ』(2001年)で世界中の人々を魅了したオドレイ・トトゥも、
すでにアラフォー(1976年生まれ)。
いくら童顔でも、17歳の役はキツかろうと、本作品の幕開けを恐る恐る見たら、
なんのなんの、ちゃんと初々しい17歳になっているではないか。
それから、結婚し、子供をもつようになると、年相応の美しい母の顔。
息子アンリが結婚すると、物語がお嫁さんにシフトしていくので、出演シーンが激減し、
その後、たまに登場する度に、どんどんと老人化が加速。
老人になったヴァランティーヌは、さすがに特殊メイクを施しているだろうし、カメラも引きで撮っているが、
オドレイ・トトゥは、観衆に無理矢理な印象を与えずに、
さも自然に一人の女性の少女時代から高齢になって死ぬまでを演じきっている。


メラニー・ロラン扮するマチルドは、ヴァランティーヌにとっては、お嫁さんの立場の女性。
一般的に、美人は、愛嬌が売りのおへちゃな女性より、老けて見える傾向あり(若い頃は特に)。
メラニー・ロランも美女タイプゆえ、大人びて見えるのに、
オドレイ・トトゥの方が義母役というキャスティングが当初理解できなかったけれど、
前述のように、このマチルドの登場で、物語の比重が彼女にシフトするので、
二人が掛け合うシーンは実はあまり多くなく、両者の見た目問題は無いも同然。

このマチルドは、本作品に登場する他の女性たちと同じように、かなりの子沢山なのだが、
40歳近くで流産した後、最後にもう一人マリーという女の子を産み、自分は命を落とす。
すでに大勢の子供がいるのだから、
夫のアンリも、妻の命と引き換えにしてまでの新たな子供なんて望まないはず。
なのに、何がナンでもマリーを産もうとするマチルドには、種の保存に対する
(本作品のテーマを考えるなら、“種の保存”より“種の継続”という方が正確か)彼女の執念を感じた。


そんなマチルドの親友ガブリエルが、3人目の女性。
家族の物語なのに、親友が重要な役で登場することを不思議に思っていたら、
実はマチルドとガブリエルは従姉妹同士であった。
二人の母親が姉妹で、それぞれに早く夫を亡くしたため、一緒に暮らすようになり、
マチルドとガブリエルも子供の頃からずっと一緒。
従姉妹でありながら、仲の良い友人でもあるのだ。

べレニス・ベジョ扮するガブリエルは、あとの二人と比べると、感情を露見させるタイプに見える。
3人の女性には、それぞれ良い事も悪い事も起きるが、それをドラマティックに演出しないこの作品で、
息子を骨髄炎で亡くしたガブリエルが、うわぁぁぁぁぁぁぁと悲しみの感情を表に出したのが、印象に残った。


番外で、もう一人、忘れてはならない女性が、トラン・ヌー・イエン・ケー

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トラン・アン・ユン監督の妻、トラン・ヌー・イエン・ケーは、
過去の監督作品4本に出演する“トラン・アン・ユン御用女優”であるが、この『エタニティ』には出ていない。
キャストの中にアジア人女性がポツンと混ざっていたら、物語の設定上おかしいので、
出演していないのも当然であろう。
…ところが、物語が幕を閉じた後、クロージングクレジットをボケーッと眺めていたら、
トラン・ヌー・イエン・ケーの名を発見。なんと、ナレーションを担当していたのは、彼女だったのだ。
姿こそ現さなくても、重要な役で、この作品に参加していたのですね。耳に心地よい優しい声であった。



男性ももちろん登場するが、女性に比べ、存在感は薄い。
この映画は、やはり女性の物語。
本筋とはズレた部分で、やや気になったのは、ヴァランティーヌの夫ジュール。
仕事をしている様子が無く、登場シーンでは大抵ギターを弾いているの。
もっとも、ヨーロッパの昔の上流階級は、職なんて有っても無いようなものだから、
ギターばかり弾いていても問題ないのだけれど。






耽美で芸術的な作品に対し、まことに言いにくいが、
本作品を観終え、今、最初にパッと思い浮かぶ率直な印象は、昔はどこの国でも子沢山だったということ。
野球チームが組めるほど大勢の子供を一人の女性が産んじゃうのだから、びっくり。
その全てが人生を全うできるわけではなく、病気や事故、戦争などで、一人、そしてまた一人と欠けていくが、
それでも一族の系譜は、じわじわと広がってゆく。

病死の場合、病名が明かされたのは、確か骨髄炎だけであった。
ガブリエルのまだ幼い息子フランソワ、
そして、修道女になったヴァランティーヌの娘マルゴが立て続けに亡くなり、死因は共に骨髄炎。
昔は、骨髄炎って、死に至る大変な病気だったのですね、きっと。


本作品は、ちょうどカズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞し、日本中が湧いている時に観た。
日本に来る移民や、外国の血が流れる人々に対して非情な日本人たちが、
イギリスへ移民し、日本国籍を放棄したカズオ・イシグロに対しては、
「生まれは長崎」だの、「本人も日本の影響を受けたと言っている」、「日本の誇り」
などと舞い上がっているのを傍観し、正直、ゲンナリさせられた。
ただ、私は、「カズオ・イシグロはオリジナルこそ日本であれ、日本語を喋らないイギリス人なのだから、
もはや日本とは微塵の関りも無いのっ!」と
急にカズオ・イシグロの親戚ヅラを始めた日本人たちを、全否定したいわけではない。
日本の血を引く外国人の功績を、さも日本の手柄のようにお調子づくことは論外だが、
カズオ・イシグロのように、ヨーロッパへ移民したアジア人芸術家には、
多かれ少なかれアジア的な感性が作用しているのではないかと感じることは多々ある。
本作品のトラン・アン・ユン監督もそうだし、
中国からフランスへ移民した『小さな中国のお針子』(2001年)で有名な戴思傑(ダイ・シージエ)もそう。
彼らの作品には、西洋とも東洋とも割り切れない、なんとも曖昧な感覚があって、私は大好き。
色んな文化がミックスされた魅力が有るし、
それでいて、祖国か移民先の国、どちらかにドップリではなく、
両国どちらからも距離を置き、何ものにも属さない冷めた目線があって、良い。

余談になるけれど、トラン・アン・ユン監督の名前は漢字で書くと“陳英雄”。
元々は漢字文化圏でありながら、ベトナムは韓国と同じで、漢字を使用しなくなった国だし、
ましてや監督はフランスに長いので、
もうずっと当たり前のように“Tran Anh Hung”と表記され続けているけれど、
華人と何ら変わらない“陳英雄(ちん・えいゆう!)”という名を見ると、監督が近い人に感じられてくる。
(ベトナム人の名前表記については、随分前に、かのホー・チミンが“胡志明”であると気付いた時に、
ベトナムが元々は漢字の国だったことを改めて思い知らされた気がした。)


制作本数が決して多いとは言えないトラン・アン・ユン監督、
次はいつ、どのような作品を発表してくれるのだろうか。
フランスを舞台にしたこの『エタニティ』も良かったけれど、
またアジアを舞台に、アジア人俳優が演じる映画も撮って欲しい。
ちなみに、私のお気に入りトラン・アン・ユン監督作品は、
未だにやはり『青いパパイヤの香り』(1993年)と『夏至』(2000年)。
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