日本で上映されるわけないと思っていた洪金寶(サモ・ハン)監督主演作『特工爺爺』が、

3月末、その公開に先駆け、新宿武蔵野館で4月6日に先行上映が行われ、
なんとそこに洪金寶御本人がやって来て、舞台挨拶をするとの発表があり、もっとビックリ。
景気の良かった頃は、ミニシアター系の小品でも、海外スタアの来日舞台挨拶が行われることも有ったけれど、
近年は激減。まさか洪金寶レベルの大物がやって来るとは、嬉しい想定外。
でも、午後4時15分の回の後と、6時55分の回の前、2回の舞台挨拶を予定しているとはいえ、
日本で成龍(ジャッキー・チェン)と並ぶ人気を誇ったあの洪金寶に、
130席程度しかない新宿武蔵野館は小さ過ぎやしないか…?
せめて、シネマート新宿くらいのキャパは欲しいところ。
新宿武蔵野館で舞台挨拶と言えば、3月半ばに、
『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991年)25年ぶりの再上映に際し、
来日した張震(チャン・チェン)を拝みに行ったのが(→参照)、まるでまだ昨日の事のよう。
張震は、私の長年の御贔屓なので、チケット争奪戦では緊張しまくり、それでもなんとか入手に成功し、安堵。
嗚呼、あの緊張再びか…。いや、日本での知名度を考えたら、洪金寶は張震以上にハードルが高い。
日が迫っていたので、チケット発売は、開催のたった3日前。
“ダメ元”で、一応挑戦だけすることにした。
チケット発売のその瞬間、新宿武蔵野館のサーバーは、案の定のアクセス集中で、ぜんぜん中に入れない。
反復運動で、クリックを続けていたところ、発売開始約12分で、座席選択に進めたという幸運。
これは『牯嶺街少年殺人事件』の時より、かなりマシ。
しかし、その時、座席はすでに7割が埋まっていたので、焦ってしまい、
『牯嶺街少年殺人事件』での教訓をまったく生かせず、
またしても、ジタバタしながら、理想とは程遠い席をキープしてしまった。
どうせ“ダメ元”だったのに、なぜ心をもっと平静に保てなかったのよ、私。
でもこれでナマ洪金寶に謁見は確定。席が理想とは違っても、現状を受け入れ、満足することにいたします。
★ 迎えた当日
私がチケットを取ったのは、午後4時15分の回の方。
張震は、“できることならお付き合いした相手”なので、
『牯嶺街少年殺人事件』舞台挨拶の時は、オトメ心が蘇り、妙な動悸、息切れを感じてしまったが、
洪金寶は父親感覚なので、会うのに感じるのは単純な嬉しさだけ。
ウッキウキ気分で新宿武蔵野館へ。
『おじいちゃんはデブゴン』の公開は5月27日なので、映画館にはまだポスターなどは貼られておらず、
いつも通りの新宿武蔵野館。
これから大物を迎えてイベントやります!というお祭り気分を盛り上げてくれる仕掛けなどは無い。
でも、来場者は皆さまからは、不思議な高揚感が伝わってくる。
やっぱ洪金寶は、みんなのアイドルなのですね~。
あと、女性が多かった『牯嶺街少年殺人事件』の時と違い、今回は男性もかなり居るのが特徴的。
★ 『おじいちゃんはデブゴン』監督&主演・洪金寶舞台挨拶
前から6列目の自分の席に着席し、まずは映画鑑賞。
午後6時ちょっと前に終了し、舞台挨拶の準備。
単館の小品にしては珍しく、取材の人が、ゾロゾロとかなりの人数入って来た。注目度の高さが窺えます。

洪金寶が前回来日した『SPL/狼よ静かに死ね』(2005年)公開の時にも、司会をしたらしい。
簡単な前説があり、いよいよ洪金寶サマ降臨!
ジャケットの下はストライプのシャツ。
大きなおなかに巻かれたウエスタン調のベルトは、洪金寶がしていると、チャンピオン・ベルトのようにも見える。
以下、印象に残ったお言葉を、ザッと残しておく。

若い頃から、こんな年寄りになるまで、応援し続けてくれ、皆さんには感謝しています。

『SPL/狼よ静かに死ね』以来11年ぶりの来日ですが、久し振りの日本は如何ですか。

確かに久し振りですが、日本のことはずっと気にかかっていて、香港でも日本料理ばかりを食べていましたよ。
日本には良い印象があります。
人が親切だし、これまで一緒に仕事をした日本人も、皆真面目な良い人たちでした。
日本でも映画を撮りたいですね。

アクション指導や出演はされても、監督をなさるのは久し振りですよね?

彭于晏(エディ・ポン)とやった映画『黃飛鴻之英雄有夢~Rise of the Legend』の後、
この『おじいちゃんはデブゴン』の脚本を見せられました。
それを読み、良い話だと言ったら、「じゃぁ、監督をやってみない?」と言われ、
本当にやることになったのですが、
最初の脚本だと、アクションシーンが少なかったので、アクションをもっと加えました。

どういうアクションに拘りましたか。

どうやって相手の腕をへし折ろうかと、拘りました。
私が演じる丁虎は、殺し屋ではなく、要人を守るボディガードをやっていた男です。
要人を守るためには、相手が攻撃できないようにしなければならない。
そういう背景から、アクションを設計しました。

劉華(アンディ・ラウ)は、出演だけではなく、制作にも関わっていますよね。

彼は元々この作品のプロデューサーでした。
友人たちが沢山出演することになったら、劉華の方から、自分も出て演じたいと言ってきたのです。

出演者の顔ぶれが本当に豪華ですよね。

「一日遊びに来ない?」と自分で一人一人に電話したら、
皆「いいよ、ヒマだから」と快く受けてくれました。
石天(ディーン・セキ)や麥嘉(カール・マック)は、私が頼まなければ、出てくれない人でしょうね。

そういう旧友の皆さんとは、お食事したり、色々楽しまれたのですか。

彼らは役者なので、演じ終えたら、ヒマになりますが、私は監督なので、ずっと忙しかった。
もちろん一緒に食事をしたり、食べながらお喋りしたりは、しました。

観客の皆さんが、『おじいちゃんはデブゴン』をもう一度観る時、より楽しむポイントは?

時間通りに来て、最初から最後まできちんと観ること!

次回作の構想はありますか。

準備している企画があって、7月か8月にはクランクインしたいと思っています。
詳細に関しては、“面白い作品”としか言えません。
ここで、日本で洪金寶の吹き替えをずーーーっと担当している声優の水島裕が、
花束を抱え、スペシャルゲストとして登場。

日本では、サモハンと水島はセット販売になっておりますので。
20代の頃に最初の吹き替えをやらせて頂いてから、約40年です。
僕が吹き替えを担当する人は、ルークスカイウォーカーのマーク・ハミルにしても、
『フレンズ』のマシュー・ペリーにしても、皆いなくなってしまうんですよ。
サモハンさんだけは、居続けてくれるので、嬉しいです。

水島さんを引退させないために、働き続けます。

お願いします。一言だけでもいいから、映画に出て下さい。

出資者さえ居れば、出続けますよ。
御本人も仰ているように、日本だと、“洪金寶=水島裕”と思う人が多いみたいだけれど、
私は子供の頃から吹き替えで洪金寶作品を観た記憶が無く、
(ファンが多いようなので、とても言いづらいのだが…)実はこの水島裕という声優さんを知りませんでした…。
40年洪金寶の吹き替えを担当していると聞いて、年齢を察し、驚いた。随分お若く見えますねー。
この後は、
撮影タイム。

取材の人たちの後には、我々にも撮影のお許し。但し、与えられた時間は、30秒ポッキリ!
私の出来高たったの3枚。
しかも、焦り&緊張から、全てブレブレ。しかも、しかも、内一枚は、まるで心霊写真。
30秒なんて、有って無いようなもの。
ファンは愛が大きいから、下手な取材記者よりよほど良い宣伝をするのに…。
★ 出待ち
こうして、約30分の夢のひと時は終了。
洪金寶は、次の回でも、上映前に舞台挨拶を行うので、
控え室から会場入り口までほんの1~2メートルの距離を移動する彼を一目見ようと、多くの人々が待機。
ここは確実に洪金寶を拝める場所なので、私も一緒に待ってみた。
で、実際、見ることはできたのだがぁ…
ここでも撮った写真はブレブレであった…。
楽しかったわぁ~!
私、ナマ洪金寶は、今回がお初であった。
実物の洪金寶サマは、顔周りのお肉を削ぎ落したら、恐らくかなりの小顔と推測。
白髪が素敵な60代のおじ様で、大物オーラをビンビン発し、それでいて、優しくて、気さく。
益々好きになってしまいましたヨ。
洪金寶サマは、香港映画界の生けるレジェンドであり、皆の永遠のアイドルです!
6時55分の回で御覧になった方々は、いかがでしたか。何か興味深い話は出ましたか?
映画『おじいちゃんはデブゴン』に関しては、また後日!