お正月気分がすっかり抜けたところで、遅ればせながら、昨年度の我が映画&ドラマ鑑賞を振り返り、
今回設定した賞は以下の通り。
注目の俳優には芒果演員獎(マンゴ俳優賞)を。
![イメージ 1]()
ドラマ『飛魚高校生~飛魚高校生』/映画『楊貴妃 Lady Of The Dynasty』
ドラマ部門は、昨年の『幸せが聴こえる~聽見幸福』に引き続き、
王傳一(ワン・チュアンイー)の主演作で『飛魚高校生~飛魚高校生』。
かつて台湾が得意とした“偶像劇”と呼ばれるアイドルドラマが低迷し、幾久しい。
低迷の理由は単純で、内容が安っぽい上、もはや新鮮味も無く、飽きられたのであろう。
この『飛魚高校生』も、プロットが古臭く、キャストにも魅力が無く、ただただ退屈であった。
不名誉な事に、この部門の常連さんになってしまった王傳一は、
さすがに考え直し、大陸進出に舵を切り替えた模様。
(ただ、才能あふれる美男俳優がザックザクいる人材豊富な大陸で、王傳一がやって行けるか疑問。)
次点は、同じく台湾ドラマの『アニキに恋して~愛上哥們』と、大陸ドラマの『三国志 趙雲伝~武神趙子龍』。
後者は邦題にも問題が。<三国志>、ほとんど関係ないし…。
映画部門は、『楊貴妃 Lady Of The Dynasty』。
台湾映画『52Hzのラヴソング』と迷ったが、ドラマ部門も台湾モノなので、恩情で取り下げた。
それに、『52Hzのラヴソング』は所詮低予算のこじんまりした作品。
『楊貴妃』は、あんなに豪華キャスト&一流スタッフを集め、何故ここまで残念な仕上がりになるのだか?!
“張藝謀(チャン・イーモウ)監督による日中合作映画”と誤解を招くような宣伝をしていた
日本の配給会社のいい加減さにも、呆れた。
戒めの意味も込め、臭榴槤獎を贈る。
![イメージ 2]()
日本『ハロー張りネズミ』/中国『歡樂頌 第一季~Ode to Joy1』
日本のドラマは、今年もやはりwowowが総じて優秀で、
軽めなところでは、『プラージュ~訳ありばかりのシェアハウス』
(同じ星野源+石田ゆり子出演作でも大ヒットした『逃げ恥』よりずっと私好み)とか、『名刺ゲーム』、
社会派では『社長室の冬~巨大新聞社を獲る男』(北乃きいだけは完全なミスキャスティング)や、
『石つぶて~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち』などが、現代の政治の闇にも通じ、面白かった。
でも、今年は敢えて、広く視聴されている地上波から、『ハロー張りネズミ』に決定。
同名コミックのドラマ化で、私は文芸作品の香りがする台湾版『探偵物語~偵探物語』が好きなので、
日本版には期待していなかったのだけれど、
エンタメ色の濃い日本版も、これはこれで、まったくの別モノとして、面白く視聴した。
次点は、他の多くの日本人が挙げるであろう『カルテット』。
高齢者による高齢者向けのドラマ『やすらぎの郷』も、
益々高齢化する日本を反映した、今まで有りそうで無かったドラマという点で評価。
日本に入って来る台湾ドラマは壊滅的なので、今年はもうパス。
大陸ドラマは、史劇を中心に、それなりに楽しめたのは事実だが、
『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』を観てしまった私は、不幸にも目が肥えてしまい、
何を観ても“ハマる”というレベルに到達できなくなってしまった…。
そこで、いっそ史劇は隅に置き、取り敢えず、日本未上陸の『歡樂頌 第一季~Ode to Joy1』を選出。
2017年春に現地で放送された続編ではなく、2016年にヒットした一作目の方ね。
『琅琊榜』の監督+プロデューサーによる現代劇で、キャストも多くが『琅琊榜』と重なる。
上海に暮らす5人の女性を描く群像劇で、トレンディドラマのような軽いノリを想像していたら、
意外にも、ヘヴィにならない程度に、巧いこと現代中国が反映されており、さすがは『琅琊榜』組と感心。
![イメージ 3]()
一人めは、金城武。
そもそも、この黄金芒果獎は、私が金城武を讃美するために始めたようなものだが、
最近は、金城武出演作がなかなか日本に入ってこないため、讃えようにも讃えられずにいた。
そうしたら、2017年秋、東京国際映画祭で『恋するシェフの最強レシピ』が上映。
イイ具合に熟してきた金城クンを大スクリーンの中に拝み、興奮で呼吸が乱れましたワ。
この『恋するシェフの最強レシピ』は、今年2018年3月、正式に日本公開。もう一度観ます!
もう一人は、黃軒(ホアン・シュエン/ホアン・シュアン)。
2018年2月の日本公開を前に、こちらも昨年秋の東京国際映画祭で、
『空海 KU-KAI~妖貓傳』のフッテージが公開された。
ほんの数分のお披露目映像のために、今や超売れっ子の黃軒が来日してくれたのは、嬉しい予想外。
お陰で、私も“ナマ黃軒を拝む”という悲願を達成!(→参照)
今年は、その超大作『空海』を皮切りに、他の主演作も公開されるので、
遅ればせながら、日本にも遂に黃軒時代が到来すると読み、芒果演員獎に選出。
日本でも一気に知名度を上げそうなその黃軒については、こちらの“大陸男前名鑑:黃軒”で予習を。
![イメージ 4]()
『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』4Kデジタルリマスター版
バブル崩壊の煽りで、お蔵入りになってしまった故・楊昌(エドワード・ヤン)監督、1991年の作品。
もう二度と世に出ないと懸念されていたその不遇の名作が、
なんと25年の時を経て、デジタルリマスター版として蘇り、スクリーンに戻ってきた…!
当時14歳だった主演俳優・張震(チャン・チェン)も、再上映にあたり、来日し、舞台挨拶を決行。(→参照)
久し振りに目にする名作に、ナマ張震というオマケまで付き、私は至福の時を過ごしたのであった。
約4時間という長尺のため、公開期間中、結局2回しか映画館へ行けなかったけれど、やはり大好きな作品。
近年の台湾映画には幻滅させられることが多いので、余計に輝いて見えた。
![イメージ 5]()
『ブラインド・マッサージ』
婁(ロウ・イエ)監督2014年の作品。
様々な映画賞で高い評価を得た作品なので、日本にもすぐに入ってくるだろうと高を括っていたら、
結局約3年も待たされてしまった。
その間、期待がどんどん高まってしまったので、実際に観て幻滅するのが怖かったのだけれど、
最初に直感した通り、私の好みにドストライクの作品であった。
盲人たちの愛と性を、禁忌を犯すかのように過剰に盛り上げることなく、婁テイストで描く名作。
黃軒(ホアン・シュエン)、秦昊(チン・ハオ)、郭曉冬(グオ・シャオドン)といった実力派俳優の中に
素人の盲人たちを投入したキャスティングも上手くいっている。
婁監督全作品の中でも、BEST3に入れたい作品。
以下、2017年度気に入った作品を、絞りに絞ってもう十本。
韓国映画は、日本での上映本数が相変わらず多い割りに、
近年はパッとする物がなく、一時期の勢いが衰えたという印象を抱いていたけれど、
2017年は久々の豊作で、珍しく3本も入賞。(内一本『春の夢』は中国人監督による韓国語作品だが。)
珍しいと言えば、私がこの賞にアニメを入れたのは初めてかも…?
『Have a Nice Day』はアート系アニメの傑作!芸術性に走るだけではなく、ストーリーも面白い。
これが長編アニメ2作目の劉健(リウ・ジエン)監督は天才だと思います。
2017年は、気に入った作品が多かったので、
『T2 トレインスポッティング』は入れるか外すか悩んだのだが、
最終的に入れたのは、“ヒット作の続編はコケる”のイメージを覆してくれたから。
次点は、中国映画『老いた野獣』、日本映画『三度目の殺人』、『Mr.Long/ミスター・ロン』、
娯楽色の強い作品なら韓国の『新感染 ファイナル・エクスプレス』や中国の『恋するシェフの最強レシピ』、
ドキュメンタリー作品『メットガラ ドレスをまとった美術館』等々。
2017年、色んな意味で印象に残った作品に、実はあともう一本、『あゝ、荒野』がある。
![イメージ 6]()
最終的に賞から外したのは、位置づけに迷ったから。
『あゝ、荒野』は、前後編の2部作として、2017年10月に劇場公開された直後に、DVDがリリース。
さらに、時期をほぼ同じくして、劇場版でカットされたシーンを加え、6話に編集し直した物を、
webで配信し、日本映画専門チャンネルでも放送。(私は、その放送で視聴。)
これ、私が感じている“もはや映画とドラマに垣根が無い”を、まんま表している作品なわけ。
大陸ドラマを観ていると、かけるお金、映像のレベル、出演俳優の顔ぶれ等々、
映画と比べても、今や遜色が無い。
映画館で観る物が“映画”で、テレビで観る物が“ドラマ”なら、区別し易いけれど、
どちらもネットで観るとなると、両者の違いは、長いか短いかの尺の問題だけという気がしてくる。
私がそんな事を感じるようになっていたら、
2017年5月、カンヌ国際映画祭が、コンペティション部門に出品されていたNetflixの作品2本を外し、
来年以降、“劇場公開を前提としない物は除外”という新たなルールを発表。
この新ルールには賛否両論あるようですね~。
web配信は、新人監督とか、何らかの事情で劇場公開できない作品にとっては、救世主と思えるし、
時代の流れと言ってしまえばそれまでなのだけれど、
スクリーン第一主義の私としては、やはり“映画は映画館で”にこだわりたいのよねぇ…。
さらに、ドラマに関して言うと、中国などでは、テレビでの放送からネット配信への移行が顕著。
“電視劇(テレビドラマ)”とは名ばかりで、テレビで観ない時代に突入。
自分の都合に合わせ、いつでもどこでも観ることが出来るのはメリットだけれど、
私の場合、パソコンかスマートフォンを利用し、ちまちま観ることになるし、
電車の中だと、動画がスムーズに再生されず、イラつかされることが多いので、
だったら、大きなテレビ画面でテレビでの放送をゆったり観る方が好ましい。…少なくとも今の時点では。
で、2018年。
観たい映画はいっぱい有り過ぎて、何を挙げて良いか分からない。
最低限、2017年の映画祭で観逃した『大仏+~大佛普拉斯 The Great Buddha+』、
『天使は白をまとう~嘉年華 Angels Wear White』といった作品が、
正式に日本に入って来てくれたら嬉しいのだけれど…。
ドラマでは、2018年、年明け早々に、『琅琊榜』の続編『瑯琊榜之風起長林 Nirvana in Fire II』が、
今年日本で放送されるという事を知ったので、それが楽しみ。
もう一本、楽しみにしているドラマ『如懿傳~Ruyi's Royal Love in the Palace』は、
現地での放送開始も延び延びになっているので、日本で観られる日が来るのか心配…。
皆さまは、2017年、どんな映画やドラマがお気に召しましたか?
例年通り、独断と偏見だけで、勝手に表彰させていただきます。
今回設定した賞は以下の通り。
最優秀作品賞に当たる黄金芒果奬(ゴールデン・マンゴ賞)、
テレビドラマを対象にした芒果電視劇奬(マンゴTVドラマ賞)、
逆に、映画、テレビドラマそれぞれの苦手作品には
当ブログ版“ラジー賞”、臭榴槤獎(くっさ~いドリアン賞)、
さらに今回は、黄金芒果獎には収まり切れない思い入れのある作品に芒果特別獎(マンゴ特別賞)と、注目の俳優には芒果演員獎(マンゴ俳優賞)を。
【ノミネートの条件】
映画賞の対象は、2017年度、
私mangoが 映画館、映画祭など、劇場のスクリーンで観た初見の作品のみとする。
よって2017年度劇場公開された作品でも、私にとって初見でなければ、対象外の扱い。
また、テレビやネット、DVD等で鑑賞した作品も、対象外とする。
芒果電視劇奬に関しては、2017年度内に観終えたドラマのみ対象で、鑑賞途中のものは含まない。
★ 臭榴槤獎~くっさ~いドリアン賞
ドラマ『飛魚高校生~飛魚高校生』/映画『楊貴妃 Lady Of The Dynasty』
ドラマ部門は、昨年の『幸せが聴こえる~聽見幸福』に引き続き、
王傳一(ワン・チュアンイー)の主演作で『飛魚高校生~飛魚高校生』。
かつて台湾が得意とした“偶像劇”と呼ばれるアイドルドラマが低迷し、幾久しい。
低迷の理由は単純で、内容が安っぽい上、もはや新鮮味も無く、飽きられたのであろう。
この『飛魚高校生』も、プロットが古臭く、キャストにも魅力が無く、ただただ退屈であった。
不名誉な事に、この部門の常連さんになってしまった王傳一は、
さすがに考え直し、大陸進出に舵を切り替えた模様。
(ただ、才能あふれる美男俳優がザックザクいる人材豊富な大陸で、王傳一がやって行けるか疑問。)
次点は、同じく台湾ドラマの『アニキに恋して~愛上哥們』と、大陸ドラマの『三国志 趙雲伝~武神趙子龍』。
後者は邦題にも問題が。<三国志>、ほとんど関係ないし…。
映画部門は、『楊貴妃 Lady Of The Dynasty』。
台湾映画『52Hzのラヴソング』と迷ったが、ドラマ部門も台湾モノなので、恩情で取り下げた。
それに、『52Hzのラヴソング』は所詮低予算のこじんまりした作品。
『楊貴妃』は、あんなに豪華キャスト&一流スタッフを集め、何故ここまで残念な仕上がりになるのだか?!
“張藝謀(チャン・イーモウ)監督による日中合作映画”と誤解を招くような宣伝をしていた
日本の配給会社のいい加減さにも、呆れた。
戒めの意味も込め、臭榴槤獎を贈る。
★ 芒果電視劇奬~マンゴTVドラマ賞
日本『ハロー張りネズミ』/中国『歡樂頌 第一季~Ode to Joy1』
日本のドラマは、今年もやはりwowowが総じて優秀で、
軽めなところでは、『プラージュ~訳ありばかりのシェアハウス』
(同じ星野源+石田ゆり子出演作でも大ヒットした『逃げ恥』よりずっと私好み)とか、『名刺ゲーム』、
社会派では『社長室の冬~巨大新聞社を獲る男』(北乃きいだけは完全なミスキャスティング)や、
『石つぶて~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち』などが、現代の政治の闇にも通じ、面白かった。
でも、今年は敢えて、広く視聴されている地上波から、『ハロー張りネズミ』に決定。
同名コミックのドラマ化で、私は文芸作品の香りがする台湾版『探偵物語~偵探物語』が好きなので、
日本版には期待していなかったのだけれど、
エンタメ色の濃い日本版も、これはこれで、まったくの別モノとして、面白く視聴した。
次点は、他の多くの日本人が挙げるであろう『カルテット』。
高齢者による高齢者向けのドラマ『やすらぎの郷』も、
益々高齢化する日本を反映した、今まで有りそうで無かったドラマという点で評価。
日本に入って来る台湾ドラマは壊滅的なので、今年はもうパス。
大陸ドラマは、史劇を中心に、それなりに楽しめたのは事実だが、
『琅琊榜(ろうやぼう)麒麟の才子、風雲起こす~瑯琊榜』を観てしまった私は、不幸にも目が肥えてしまい、
何を観ても“ハマる”というレベルに到達できなくなってしまった…。
そこで、いっそ史劇は隅に置き、取り敢えず、日本未上陸の『歡樂頌 第一季~Ode to Joy1』を選出。
2017年春に現地で放送された続編ではなく、2016年にヒットした一作目の方ね。
『琅琊榜』の監督+プロデューサーによる現代劇で、キャストも多くが『琅琊榜』と重なる。
上海に暮らす5人の女性を描く群像劇で、トレンディドラマのような軽いノリを想像していたら、
意外にも、ヘヴィにならない程度に、巧いこと現代中国が反映されており、さすがは『琅琊榜』組と感心。
★ 芒果演員獎~マンゴ俳優賞
一人めは、金城武。
そもそも、この黄金芒果獎は、私が金城武を讃美するために始めたようなものだが、
最近は、金城武出演作がなかなか日本に入ってこないため、讃えようにも讃えられずにいた。
そうしたら、2017年秋、東京国際映画祭で『恋するシェフの最強レシピ』が上映。
イイ具合に熟してきた金城クンを大スクリーンの中に拝み、興奮で呼吸が乱れましたワ。
この『恋するシェフの最強レシピ』は、今年2018年3月、正式に日本公開。もう一度観ます!
もう一人は、黃軒(ホアン・シュエン/ホアン・シュアン)。
2018年2月の日本公開を前に、こちらも昨年秋の東京国際映画祭で、
『空海 KU-KAI~妖貓傳』のフッテージが公開された。
ほんの数分のお披露目映像のために、今や超売れっ子の黃軒が来日してくれたのは、嬉しい予想外。
お陰で、私も“ナマ黃軒を拝む”という悲願を達成!(→参照)
今年は、その超大作『空海』を皮切りに、他の主演作も公開されるので、
遅ればせながら、日本にも遂に黃軒時代が到来すると読み、芒果演員獎に選出。

★ 芒果特別獎~マンゴ特別賞

バブル崩壊の煽りで、お蔵入りになってしまった故・楊昌(エドワード・ヤン)監督、1991年の作品。
もう二度と世に出ないと懸念されていたその不遇の名作が、
なんと25年の時を経て、デジタルリマスター版として蘇り、スクリーンに戻ってきた…!
当時14歳だった主演俳優・張震(チャン・チェン)も、再上映にあたり、来日し、舞台挨拶を決行。(→参照)
久し振りに目にする名作に、ナマ張震というオマケまで付き、私は至福の時を過ごしたのであった。
約4時間という長尺のため、公開期間中、結局2回しか映画館へ行けなかったけれど、やはり大好きな作品。
近年の台湾映画には幻滅させられることが多いので、余計に輝いて見えた。
★ 黄金芒果奬~ゴールデン・マンゴ賞

婁(ロウ・イエ)監督2014年の作品。
様々な映画賞で高い評価を得た作品なので、日本にもすぐに入ってくるだろうと高を括っていたら、
結局約3年も待たされてしまった。
その間、期待がどんどん高まってしまったので、実際に観て幻滅するのが怖かったのだけれど、
最初に直感した通り、私の好みにドストライクの作品であった。
盲人たちの愛と性を、禁忌を犯すかのように過剰に盛り上げることなく、婁テイストで描く名作。
黃軒(ホアン・シュエン)、秦昊(チン・ハオ)、郭曉冬(グオ・シャオドン)といった実力派俳優の中に
素人の盲人たちを投入したキャスティングも上手くいっている。
婁監督全作品の中でも、BEST3に入れたい作品。
以下、2017年度気に入った作品を、絞りに絞ってもう十本。
『迫り来る嵐』:撮影出身の董越(ドン・ユエ)監督による推理ミステリー
『Have a Nice Day』:ベルリン国際映画祭に入選した中国初のアニメ
『お嬢さん』:サラ・ウォーターズの小説を日本統治下の韓国に置き換えパク・チャヌクが映画化
『愚行録』:ポーランドで映画を学んだ日本の新鋭・石川慶監督長編デビュー作
『ムーンライト』:黒人主人公を成長に合わせ3部構成で描く人間ドラマ
『春の夢』:朝鮮族の監督・張律(チャン・リュル)による韓国映画 主要キャストは韓国の映画監督たち
『わたしたち』:韓国の新人女性監督ユン・ガウンが描くしょっぱい少女時代の物語
『相愛相親(そうあいそうしん)』:張艾嘉(シルヴィア・チャン)が初めて大陸を舞台に撮った監督主演作
『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』:ゴロツキ中年男がヒーローになる現代イタリアの御伽噺
『T2 トレインスポッティング』:1996年ヒット作の続編 監督&主演は当時と同じ
韓国映画は、日本での上映本数が相変わらず多い割りに、
近年はパッとする物がなく、一時期の勢いが衰えたという印象を抱いていたけれど、
2017年は久々の豊作で、珍しく3本も入賞。(内一本『春の夢』は中国人監督による韓国語作品だが。)
珍しいと言えば、私がこの賞にアニメを入れたのは初めてかも…?
『Have a Nice Day』はアート系アニメの傑作!芸術性に走るだけではなく、ストーリーも面白い。
これが長編アニメ2作目の劉健(リウ・ジエン)監督は天才だと思います。
2017年は、気に入った作品が多かったので、
『T2 トレインスポッティング』は入れるか外すか悩んだのだが、
最終的に入れたのは、“ヒット作の続編はコケる”のイメージを覆してくれたから。
次点は、中国映画『老いた野獣』、日本映画『三度目の殺人』、『Mr.Long/ミスター・ロン』、
娯楽色の強い作品なら韓国の『新感染 ファイナル・エクスプレス』や中国の『恋するシェフの最強レシピ』、
ドキュメンタリー作品『メットガラ ドレスをまとった美術館』等々。
2017年、色んな意味で印象に残った作品に、実はあともう一本、『あゝ、荒野』がある。
『あゝ、荒野』は、前後編の2部作として、2017年10月に劇場公開された直後に、DVDがリリース。
さらに、時期をほぼ同じくして、劇場版でカットされたシーンを加え、6話に編集し直した物を、
webで配信し、日本映画専門チャンネルでも放送。(私は、その放送で視聴。)
これ、私が感じている“もはや映画とドラマに垣根が無い”を、まんま表している作品なわけ。
大陸ドラマを観ていると、かけるお金、映像のレベル、出演俳優の顔ぶれ等々、
映画と比べても、今や遜色が無い。
映画館で観る物が“映画”で、テレビで観る物が“ドラマ”なら、区別し易いけれど、
どちらもネットで観るとなると、両者の違いは、長いか短いかの尺の問題だけという気がしてくる。
私がそんな事を感じるようになっていたら、
2017年5月、カンヌ国際映画祭が、コンペティション部門に出品されていたNetflixの作品2本を外し、
来年以降、“劇場公開を前提としない物は除外”という新たなルールを発表。
この新ルールには賛否両論あるようですね~。
web配信は、新人監督とか、何らかの事情で劇場公開できない作品にとっては、救世主と思えるし、
時代の流れと言ってしまえばそれまでなのだけれど、
スクリーン第一主義の私としては、やはり“映画は映画館で”にこだわりたいのよねぇ…。
さらに、ドラマに関して言うと、中国などでは、テレビでの放送からネット配信への移行が顕著。
“電視劇(テレビドラマ)”とは名ばかりで、テレビで観ない時代に突入。
自分の都合に合わせ、いつでもどこでも観ることが出来るのはメリットだけれど、
私の場合、パソコンかスマートフォンを利用し、ちまちま観ることになるし、
電車の中だと、動画がスムーズに再生されず、イラつかされることが多いので、
だったら、大きなテレビ画面でテレビでの放送をゆったり観る方が好ましい。…少なくとも今の時点では。
で、2018年。
観たい映画はいっぱい有り過ぎて、何を挙げて良いか分からない。
最低限、2017年の映画祭で観逃した『大仏+~大佛普拉斯 The Great Buddha+』、
『天使は白をまとう~嘉年華 Angels Wear White』といった作品が、
正式に日本に入って来てくれたら嬉しいのだけれど…。
ドラマでは、2018年、年明け早々に、『琅琊榜』の続編『瑯琊榜之風起長林 Nirvana in Fire II』が、
今年日本で放送されるという事を知ったので、それが楽しみ。
もう一本、楽しみにしているドラマ『如懿傳~Ruyi's Royal Love in the Palace』は、
現地での放送開始も延び延びになっているので、日本で観られる日が来るのか心配…。
皆さまは、2017年、どんな映画やドラマがお気に召しましたか?