かの島の領有権問題で中華圏からの出品が減り
監督・出演者の来日に至っては、壊滅的な2012年第25回東京国際映画祭。
私個人的には、この時期どうしても仕事が外せなくなり、ほとんど映画祭通い出来ないのが、不幸中の幸い。
楊瑾(ヤン・ジン)監督の『ホメられないかも~有人賛美聰慧、有人則不』は
私にとって本年度鑑賞の数少ない作品の内の一本で、上映後に監督のQ&Aが付く唯一の作品。
そう、有り難い事にやって来たのだ、楊瑾監督。
インディペンデント系の監督は、余計なシガラミがあまり無くて、来日し易いのかしら。
いざ来てくれると、逆に「来ちゃって大丈夫なの?!」と心配になったりもするけれど。
★ 『ホメられないかも』 楊瑾監督 Q&A
映画の感想は後日として、上映終了後に行われた約30分のQ&Aの中から
印象に残った部分をザッと残しておく。
司会進行役は、アジアの風プログラミングディレクター石坂健治。


実は今客席で映画を観ていたのですが、お客さんが笑ってくれていたので、ホッとしました。

作品の中では、山西省の方言が使われているそうですが
舞台になっている山西省は、監督の生まれ故郷ですよね?

はい、山西省の運城という所が故郷です。 山西省は、とても方言の多い所です。
私は山西省の南端の出身で、妻は北の出身なので、妻の故郷へ行っても
人々が何を話しているのか分かりません。

作品は現代ではなはく、1995~97年くらいを設定にしているとのことですが。

ダム建設のために、あの土地の人々が、他へ引っ越していった時代です。

実際に、皆、木を植えて、お金持ちになりましたか?

今と当時では状況が違います。 今はもらえませんが、当時はお金をもらえました。
村人同士が皆知り合いで、大袈裟ではない程度の額のお金をもらいました。

中国の人々は、ラジオ体操のシーンを見るだけで、時代が分かるそうですね?

私の時代はラジオ体操第8で、今はラジオ体操第10です。
やっているゲームも時代で変わります。 以前は任天堂でしたが、今はパソコンのゲームです。

演出上気を付けた部分は?

クランクインの前に充分な準備をし、子供たちと仲良くなるよう努めました。
いざ撮影が始まると、子供たちは賢くて、すぐにOKが出る演技をするのですが
大人たちは難しくて、何十テイクも重ねました。

子供は、現地でオーディションで選んだのですか?

クランクインの1ヶ月前にオーディションで選びました。

ふたりの子供の内ひとりが楊晉(ヤン・ジン)という名前でしたが、本作品は監督自身の体験や
元になった事実が有るのですか?

私自身、小三の時に、友達の家で3日間を過ごしたことがあります。
その時、友達のお姉さんの事など、小さな秘密も教えてもらいました。

賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督など、山西省出身の映画監督が多いのには、何か理由が?

山西省の人は粘り強いから、良い監督が生まれるのかも知れません。
韓傑(ハン・ジェ)監督、寧浩(ニン・ハオ)監督は、北京師範大学の先輩でもあります。

最後に登場する勘の良い男性は、楊戩(ヤン・ジェン)のように第3の目を持っていましたが
あれは勘の良さを強調するためですか?

孫悟空と闘う楊戩を見て、大抵子供たちは孫悟空の方を好きになりますが
私は、名前のせいで(名前が似ているから)、楊戩の方が好きでした。
あの男性は、おばあさんの黒猫を持って行ってくれたヒーローなので、あのように描きました。

映画の中の子供たちには兄弟がいますが、中国にはひとりっ子政策があるのでは?

多くの中国人は、子供をふたり欲しがります。 罰金を払ってでも、ふたり欲しいのです。

今回の作品には、学校の協力も必要でしょうし、以前より大がかりになりましたか?

『牛乳先生』の時は3人だけでしたが、今回は45人で撮りました。
今回は電影局の許可証を得られたので、協力も得られました。

逆に、インディーズでは、撮れる所だけで撮るのですか?

そうです。

撮影期間はどれくらいですか? 撮影はフィルムですか、ビデオですか?

2010年8月に18日間で撮りましたが、お金が無くなったので、1年半後にアニメのポストプロダクションに入り
またそれでお金が無くなりました。
撮影には、HDCAMを使っています。


そんなに時間をかけたら、子供たちは成長してしまうのでは?

子供の撮影は2010年の18日間だけですから。

作品を観てくれて、ありがとうございます。
また、ここに残ってくれて、ありがとうございました。
★ 楊瑾監督からのプレゼント
来場者のために、映画のポスターとカードを持ってきてくれたという楊瑾監督。
Q&A終了後に、場所を外に移し、希望者にプレゼント。
ポスターは、持ち帰るのが大変なので、私はカードの方を選び、記念にサインをしていただいた。
★ オマケ
プレゼントをいただき、帰宅するため、TOHOシネマズ六本木ヒルズの階段を下りようとしたら下方で、ある西洋人男性にカメラを向ける人々が、視界に入ってきた。
他のスクリーンで上映された作品の監督さん?誰かしら?と、目をこらしたら…
あらら、想定外のザッケーローニじゃん。
ついでなので、私も、去って行くザッケローニをわざわざ引き留め、一枚写真を撮らせていただいた。
仕事以外で決して役に立たない、使用人口の極めて低い
イタリア語が、珍しく役に立った。

ザックさんのチームに気の利いたひと言くらい言おうとも思ったが
私、
サッカーにまったく興味が無く、何も分からないので、ボロが出ると余計に失礼になると思い、やめた。

映画『ホメられないかも』については、また後日。 最近色々と立て込んでいるので、ずっと先になるかも。
子供たちが、子供らしくて、キュートな作品であった。 楊瑾監督も来てくれて、ありがとう♪
私は行けないけれど、明日上映の『風水』で
王競(ワン・ジン)監督のQ&Aが行われるのかも、ちょっと気になる。