【2011年/中国・香港・アメリカ/104min.】
≪長女・玫瑰の場合≫
長女・玫瑰は、長年の夢が叶い、ようやく宇宙ステーションでの任務に就くが
相方Michaelは、なんと自分をフッたかつての恋人。 宇宙空間でふたりきりの気まずい時間が流れ…。
≪次女・玉蘭の場合≫
シドニーに留学したものの、極度の潔癖症に陥り、画家になる夢も恋もままならない次女・玉蘭。
ある日、Johnnyという青年と出逢い、好感を抱くが、彼の職業がゴミ収集と知り、反射的に拒絶してしまう。
≪三女・牡丹の場合≫
三女の牡丹は、美貌がウリの人気のアイドル女優。 大根役者との汚名を挽回すべく
次回作で演じるウエイトレス体験をしようと、正体を隠し、カフェでバイトを始め、聞風という青年に出会う。
≪母の場合≫
夫を亡くし、北京で三女・牡丹とふたりで暮らす母。 今や気楽なひとり身の母は、趣味で料理を始め
牡丹の運転手として働く料理上手の華叔から、色々アドヴァイスを受けるようになる。

『ホット・サマー・デイズ』に続く第2弾。 プロデューサーは陳果(フルーツ・チャン)。
前作は、
フォトグラファーとしては大好きな夏永康の映画初監督作品ということで、期待もあったが

あまりにも凡庸な出来に失望。 まさか2本目が制作されるとは思いもよらなかった。
『ホット・サマー・デイズ』にガッカリしたのは私だけで、世間では概ね好評だったという事か。
この第2弾『ハッピーイヤーズ・イブ』には、もはや期待も無いが
前作と同時に
日本版DVDがリリースされたので、レンタルで鑑賞。

宇宙ステーションで働く長女・玫瑰、シドニーに暮らす病的なまでに潔癖症の次女・玉蘭、
大根でも美人の人気女優、三女・牡丹、そしてそれら三姉妹の母という黄家の4人の女性それぞれに訪れる
4人4様の恋を描いた
ラヴストーリー。

原題は、前作『全城熱戀』に対し、本作は『全球熱戀』。
“全城(街中)”から“全球(全世界)”に、文字通り大幅グローバル化。
物語は、母と三女・牡丹が暮らす中国・北京、
次女・玉蘭の留学先で華人が多く暮らすオーストラリア・シドニー、
そして地球を飛び出し(…!)、長女・玫瑰が働く宇宙ステーションという3地点で展開する。
恋の形も色々で、長女・玫瑰は、別れた元恋人との復縁、
次女・玉蘭は、異国の地で、華人男性と心の傷を修復する癒し恋、
三女・牡丹は、身分を隠し、知り合ってしまった明星と一般青年の格差恋愛、
もう恋などとは無縁と思われた未亡人の母は、同世代男性との老いらくの恋。
(クリックで拡大)
出演は、長女・玫瑰Roseに劉若英(レネ・リウ)、次女・玉蘭Lilyに桂綸鎂(グイ・ルンメイ)、
三女・牡丹Peonyに楊穎(Angelababy アンジェラベイビー)、そして三姉妹の母親に徐帆(シュイ・ファン)。
4人の女性のお相手となる♂男性キャストは、長女の元恋人Michaelに郭富城(アーロン・クオック)、
次女とシドニーで出会うJohnnyに陳奕迅 (イーソン・チャン)、
三女の正体にまったく気付かないバイト先の同僚・聞風に井柏然(ジン・ボーラン)、
三女の運転手として働きながら、その母に想いを寄せる華叔に劉金山(リウ・ジンシャン)。
前作『ホット・サマー・デイズ』から連続登板の俳優も多く
三姉妹の中では次女に扮する桂綸鎂だけが初登板。
桂綸鎂は近年大陸を拠点に活動し、出演作が娯楽作品中心になってしまっているのが残念。 本作品も然り。
これはこれで良いけれど、桂綸鎂をより輝かせているであろう台湾映画、
楊雅(ヤン・ヤーチェ)監督の『女朋友。男朋友~Gf*Bf』に期待。
モデルでもあるべいべぇーは、人気女優の役という事もあり、メイクやファッションも見もの。
正体を隠すために、アラレちゃん仕様の
黒い丸眼鏡をかけるが

これまた可愛い(…例え人工美であったとしても)。
母親役の徐帆は、馮小剛(フォン・シャオガン)監督の奥方。
それにしても、隠居した未亡人を演じるほど年とっていたっけ?! 実際、肌のハリツヤも良いし。
そこで、ちょっと調べてみたら、案の定、1967年生まれで、40代半ばであった。
娘役の劉若英とは、なんとたったの3歳違い…! 同世代のアラフォーで、片や母親、片や娘とは…。
男優の方では、井柏然のみ前作からの連続起用。 しかも、前作同様、べいべぇーのお相手役。
べいべぇー&柏然を、現代中国の百恵&友和にでもする気か。
ポップなインテリアや衣装がキュートで目に楽しいが
映像に夏永康独特のカラーが出ているかと言えば、やはり出ておらず、標準的な娯楽映画との差を感じない。
それは物語にも言えること。 気軽に観るには楽しいラヴストーリーであっても、それ以上の特徴は無い。
ただ、三姉妹+母という4ツの恋愛に絞った事で、前作より、コンパクトに分かり易くまとまっている。
あと、一ガイジンとしては、シドニーや、ましてや宇宙などはさておき
せめて北京パートでは、もっと北京らしい風景が観たかった。
三女がバイトするカフェは、798藝術區内と見受けるし
荷台に西瓜をのせた自転車で、古い町並みを流すシーンも有るけれど
基本的には、むしろ北京らしさは最小限に抑え
国のカラーなどを出さないポップな絵作りをしているように感じる。