2015年11月9日(月曜)の本日、
NHK BSプレミアムでも放送があった
高倉健主演映画『君よ憤怒の河を渉れ』。

中国で大ヒットしたこの映画のリメイクを手掛ける吳宇森(ジョン・ウー)監督が、ついに始動した模様。
東京国際映画祭のインタヴュでは、2016年早々にクランクインと語っていたが(→参照)、
すでに日本国内でお仕事を始めたみたい。
画像左は昨日、右は本日、それぞれ吳宇森監督の微博で発表された物。
左の画像は、美術の相談中か?顔がよく見えない真ん中の男性は、ひょっとして種田陽平?
種田陽平は、吳宇森がプロデュースした『セデック・バレ』でも美術を担当しているから有り得ない話ではない。
本日は、奥方とビリケンさんにお参りをしたのでしょうか。
近い将来、キャストの発表もあるかも知れない。ドキドキ。
明日は健さんの命日だから、吳宇森監督もまだ日本に留まりそうな予感。
本題はこちら。
昨晩、11月9日(日曜)に、
日テレで放送の『世界の果てまでイッテQ!』を観た。

普段はほとんど観ることのない番組なのだが、
イモトアヤコが5年ぶりに
中国を訪れ、パンダを取材していると知り、珍しく視聴した次第。

珍獣ハンターのイモトは、パンダ以外の生き物、中国大山椒魚や中国原産のブサカワ犬3種も紹介。
左から、チャウチャウ(鬆獅狗/獢獢)、シャーペイ(沙皮狗)、チャイニーズ・クレステッドドッグ(中國冠毛犬)。
人は、いかにタルミを防ぐかに躍起になるのに、
ぶよぶよタルタルが売りになるのだから、羨ましいです、シャーペイが。
私は、この中で、チャイニーズ・クレステッドだけは、何度見ても慣れず、
あの毛の無い肌を不気味に感じてしまうのだが、
イモトは「皮膚が人間みたい。人間の赤ちゃんを抱いているようで、これが一番母性が湧く」と言っていた。
イモトは珍獣ハンターだから、このように、希少動物パンダや珍種の犬を取材しているだけなのかと思ったら、
他にも、流行りモノから、有名景勝地・九寨溝まで、広く中国を紹介していて、この番組、殊の外面白かった。
その中で私が取り分け気になった食べ物がふたつ。
★ 人参果
ひとつめは“人参果 rénshēnguŏ”。日本語では“にんじんか”と発音。
かの<西遊記>の中で、三千年に一度開花し、三千年に一度実を付け、さらに三千年かけて熟し、
見た目は人間の子供に似ており、香りを嗅ぐだけで360歳生きられ(…!)、
一個食べると4万7千年生きられる(…!!)と言い伝えられている幻の果実。
<西遊記>は、日本でも親しまれている物語だけれど、
大抵は子供用の絵本や日本で制作されたテレビドラマを通して知るため、
中国の本当の<西遊記>を細部まで知る日本人は案外少なく、人参果の知名度も低い。
かく言う私も、<西遊記>に出てくる果実では
桃のイメージの方がずっと強い。

が、中国では、この人参果、
<西遊記>の中の<偷吃人参果(人参果を盗み食い)>という段でよく知られているらしい。
旅の途中、万寿山の五荘観に立ち寄った際、寺の弟子に人参果を振る舞われた三蔵は、
赤ん坊の形に驚き、どんなに勧められても食べられないと断るが、
これが長寿の果実であると知った悟空、八戒、沙悟浄がこっそり盗んで食べてしまうというお話。
物語の中に登場する幻の長寿フルーツを、本当に作ってしまったのですね~。
本当に食べられる果実なのに、人型とは…!
水と一緒に瓶詰めにすると、胎児のホルマリン漬けっぽくて、益々不気味。三蔵が拒んでしまったのも分る。![]()

これ、フルーツ&ベジタブル・カーヴィングのように、彫って作っているのではない。
とても原始的な方法で、実がまだ小さい内に型を被せ、その中で成長させていく。
日本でもこの方法で、四角い西瓜などが作られているけれど、
果実にこんなに細かい細工を施すのが可能だとは思わなかった。もしかして中国伝統の月餅がヒントか?
そもそも人型の果実を作ろうなんて、日本人にはまず無い発想。
一説には、2003年、河北省邯鄲市魏縣で試験栽培が始まり、2009年辺りから市場に出始めたようだ。
特にここ最近は、大陸のあちこちで出回っているみたい。
原理が簡単なので、真似る農家が増えてきているのでしょう。
ザッと見た限り、値段は一個10元から60元とまちまち。
デザインは、生産者によって少しずつ異なる。私は、おなかに“福”の字が入った人参果が欲しい。
見れば見るほどキモカワイイ。
型さえ変えれば、他の人型もできるし、他の果実にも応用できる。
日本でも、こういうのを作る農家が出てくるかも?
千疋屋やタカノで売られていたら、私、贈答用に買います、絶対。
こういう型は、中国大手ショッピングサイト
淘宝(タオバオ)をちょっと探せば、いくらでも出てくる。

趣味で家庭菜園をやっている日本の皆さまが、簡単に試せそうな物も。
プロの農家じゃないと、難しいことはできないだろうけれど…
星型やハート型の胡瓜くらいなら、素人でも栽培できそうな気が。
最近、キャラ弁とか、お弁当にこだわる人が多いから、自分で作った可愛い胡瓜も活かせそう。
この人参果について色々読んでいて、ふと朝鮮人参を思い出した。
あれ、まさに“人のような形をした不老長寿の妙薬”ではないか。
もしかして、<西遊記>が書かれた明代に、とても貴重だった朝鮮人参が、
架空の果実・人参果のヒントになったって事はないの?
★ 工藝棉花糖
番組中、もうひとつ私の目を奪ったのが、綿あめ。
たかが綿あめ、されど綿あめ、ポップで可愛い工藝棉花糖(gōngyì miánhuatáng工芸綿あめ)である。
色の違うお砂糖の綿を順番に巻いていき、
大輪のお花に!

作る工程が見られる動画は、(↓)こちら。

綿あめは、子供の頃に食べたことがあるけれど、それっきり。
特別美味しいというほどの物ではないから、残りの人生で食べることは、もう無いと思っていたが、
こんな綿あめを見掛けたら、思わず買ってしまうだろう。(…そして、食べ切れないし、持ち帰れないしで困る。)
人参果にしても工芸綿あめにしても、すごく単純な物だが、発想の勝利。
春秋航空の立ち席などもそうだけれど(→参照)
中国人は既成概念に囚われていなくて、発想がとても自由でエキセントリック。
今回の『イッテQ』では、人参果と工芸綿あめに気を取られ、
すっかり印象が薄れてしまったが、
パンダちゃんも勿論可愛かったです。

【追記:2015年11月10日】
『世界の果てまでイッテQ~珍獣ハンターイモト ワールドツアーin中国』の追加情報で、ブログを更新。
九寨溝でイモトの熱唱に翻弄された“香港の長澤まさみ”については、こちらから。