今朝のニュースで、女優の原節子(1920-2015)が、
今年9月5日、神奈川県内の病院ですでに亡くなっていたことを知る。享年95歳。
もしかして、もう百歳を超えているかも知れないと想像していたので、
年齢を聞き、案外と若いとさえ思ってしまった。どちらにしても、平均寿命を悠々越える大往生である。
女優としての現役時代をリアルタイムでは知らない私だけれど、
学生時代好んで鑑賞していた小津安二郎監督作品で親しんでいたので、なんだか淋しい。
原節子の女優としての活動期間は約28年。
1963年、小津安二郎監督の葬儀に現れたのを最後にすっかり雲隠れし、50年以上。
それでも、こうして大きく報道されるのだから、まさに“伝説の女優”。
オードリー・ヘップバーンのように、高齢になっても表舞台に出たり、
自分の知名度を生かし、ボランティア活動を続ける女優さんも、勿論素晴らしいとは思うけれど、
年をとった姿は一切見せない!というマレーネ・ディートリッヒや原節子のような女優を
現代では珍しい“ホンモノの銀幕女優”、“伝説の女優”と、カッコよく思ってしまう。
もう随分前になるが、神奈川の自宅に居る原節子を隠し撮りした週刊誌があったように記憶しているが、
本人の思いを打ち砕くような強引な取材に、怒りさえ感じた。
原節子さま、やすらかに。御冥福をお祈りいたします。
原節子逝去のニュースを知った日のお菓子は、洋菓子よりやはり和菓子でしょう。
ここには3種類の和菓子を。
★ 井上耕養庵:若狭葛ようかん
大きさは、だいたい12センチ×17センチ×厚さ2センチ。
小豆を葛でかためた羊羹。
バラク・オバマのアメリカ大統領就任で、俄然注目を集めるようになった福井県小浜市の和菓子屋さん、
井上耕養庵(公式サイト)の“若狭葛ようかん”。
私は福井県小浜市と縁もゆかりも無いどころか、
実のところ、オバマが大統領になるまで小浜市という街の名前さえ聞いたことがなかった…。
このお菓子を食べるのも初めて。
なんでも、秋元康と結婚して芸能界を引退した元おにゃんこクラブの麻巳子夫人が福井県小浜市で、
この“若狭葛ようかん”や“丁稚ようかん”といった井上耕養庵をお菓子を好物だと
しばしばメディアで発言しているのだとか。
葛と言うと、奈良県の吉野葛を真っ先に思い浮かべるけれど、こちらは地元・福井の若狭葛を使用。
産地によりどのような違いがあるのか、正直なところ分らないが、商品に付いていた説明書によると、
江戸時代の文人・頼山陽(らい・さんよう)も、母親の病気見舞いに熊川葛を送り、そこに添えた手紙に
「熊川は吉野より よほど上品にて 調理の功これあり」と記しているのだと。
使用している葛が熊川だからかどうかは不明だけれど、プルンプルン…!
とても柔らかで滑らかだが、適度な弾力もあり。
甘さはかなり控えめで、小豆の風味を生かしたさっぱり味。
このお菓子を簡単に説明するなら、甘さの少ない薄ーいおしるこを葛で固めた感じ。
…なんて表現してしまうと、不味そうだけれど、ちゃんと美味です。
まぁ、要は、よく“あん豆腐”といった名前で売られている一種の水羊羹。
本来夏向きのお菓子なのかも知れないけれど、
秋冬でも、食後にひと口何か甘味が欲しい時に、ノド越しがよく、サッパリしていて最適。
★ 紀の国屋:芋金時
大きさは、直径約4センチ。
金時芋を少量の寒天と砂糖で煮詰めた芋羊羹。
こちらはもっと今の季節に相応しいお菓子で、紀の国屋(公式サイト)の“芋金時”という商品。
要は
芋羊羹なのだが、茶巾型にまとめられている。

中に何か隠れているのかと思い、割ってみたら、中まで全部芋羊羹であった。
甘さは控えめで、お芋本来の味と甘みがほんのり。
私には、和菓子としてやや物足りないが、
特別甘党ではない人が、何かちょっと口淋しい時に、お芋の自然な甘さで胃を充たすのには良さそう。
★ 赤坂青野:赤坂もち
容器の大きさは、だいたい幅5.5センチ×奥行3.5センチ×高さ3センチ。
胡桃と黒糖を練り込んだ餅に、きな粉をまぶしたきな粉餅。
最後は、1899年創業、東京赤坂の老舗・赤坂青野(公式サイト)の“赤坂もち”。
同店のお菓子はごくたまに食べることがあるが、これは看板商品でありながら、実は今回が初めて。
容器を包んでいる風呂敷は、日本画家・加山又造のデザイン。
大きさといい、風呂敷包みになっているこの形式といい、かの桔梗屋信玄餅を彷彿。
しかし、赤坂青野の説明によると、「餅をとり、きな粉に付けて食べるというお菓子は、初代の時から製造」、
「ひとつの器に入れ、一個ずつ風呂敷包み式にしたのは3代目の工夫」、
「今でこそこの種の商品は多く見掛けるようになりましたが、元々は青野本店がはじめたもの」とのこと。
つまり、昭和43年(1968年)に発売された桔梗屋信玄餅はパクリです、と暗に示しているのでしょう。
その桔梗屋信玄餅とは、“蜜をかけるかかかけないか”という違いがある。
その事に関しても、「黒蜜をかけない点も、一般的なきな粉餅と異なる特徴」、
「素材本来の香ばしさと口当たりの良さが堪能できる」、「自然の甘さを実感できる」と説明されている。
でも、蜜をかけないと、味は?と心配になるが、赤坂もちには、餅本体に、黒糖が練り込まれているのだ。
しかも、かなりはっきりと味付けされていて、お餅がちゃんと甘い。
食感は非常に柔らかで、口の中で溶けるよう。
しかも、その中にさらに細かく刻まれた胡桃が混ぜ込まれているので、
柔らかなだけでなく、歯応えに変化がある。
まぁ美味しいけれど、私は特別きな粉が好きではないので、
何度も繰り返し食べたいというほどの物ではないかも。
蜜をかけるタイプだと、蜜の水分で、きな粉もしっとり食べ易くなるが、
赤坂もちには、水分が加わらないから、乾いたきな粉が気管に入り、ゲホゲホしてしまい、食べにくい。
きな粉をケチらず、たっぷり添えているので、きな粉好きな人にはお薦め。